(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123881
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031669
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】篠田 知紀
(72)【発明者】
【氏名】井上 健
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FD20
2C056HA15
2C056HA29
2C056HA37
2C056HA46
(57)【要約】
【課題】ノズルが高湿の空気にさらされる虞を効率よく低減できる印刷装置、印刷システムを提供する。
【解決手段】媒体25を支持する媒体支持部15と、媒体支持部15に支持される媒体25の印刷領域Pに対してノズル41から溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部38と、印刷領域Pに向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部21と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持する媒体支持部と、
前記媒体支持部に支持される前記媒体の印刷領域に対してノズルから溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部と、
前記印刷領域に向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ドライエア送風部は、印刷された前記媒体が外部に導出される媒体導出部から前記印刷領域に向かってドライエアを送風することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記媒体支持部に設けられ、印刷後の前記媒体を加温する媒体加温部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ドライエア送風部は、印刷前の前記媒体が内部に導入される媒体導入部から前記印刷領域に向かってドライエアを送風することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記液体吐出部を搭載して走査方向に移動可能なキャリッジを更に備え、
前記ドライエア送風部は、前記キャリッジ上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
ドライエアを生成可能なドライエア生成部を更に備え、
前記ドライエア送風部は、
一端が前記ドライエア生成部に接続される流路と、
前記流路の他端に接続されるドライエア送風ノズルと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記ドライエア送風部は、ドライエアを加温するドライエア加温部を有することを特徴とする請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
媒体を支持する媒体支持部と、
前記媒体支持部に支持される前記媒体の印刷領域に対してノズルから溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部と、
前記印刷領域に向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部と、
を有する印刷装置と、
ドライエアを生成可能なドライエア生成装置と、
を備え、
前記ドライエア送風部は、
一端が前記ドライエア生成装置に接続される流路と、
前記流路の他端に接続されるドライエア送風ノズルと、
を有することを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの印刷装置、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のようにノズルから液体を吐出して印刷する印刷装置の一例である液体吐出装置がある。液体吐出装置は、筐体内の湿度を調整する湿度調整部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶剤を含む液体の中には、吸湿性を有するものがある。例えばノズル内の液体が高湿の空気に晒されると、液体は吸湿する。吸湿した液体は、液体中に含まれる顔料などの成分が凝集する虞がある。しかし、特許文献1の液体吐出装置は、筐体内の湿度を調整する構成であるため、ノズル周辺の空気を効率的に除湿することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する印刷装置は、媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部に支持される前記媒体の印刷領域に対してノズルから溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部と、前記印刷領域に向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部と、を備える。
【0006】
上記課題を解決する印刷システムは、媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部に支持される前記媒体の印刷領域に対してノズルから溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部と、前記印刷領域に向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部と、を有する印刷装置と、ドライエアを生成可能なドライエア生成装置と、を備え、前記ドライエア送風部は、一端が前記ドライエア生成装置に接続される流路と、前記流路の他端に接続されるドライエア送風ノズルと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】印刷装置を備える印刷システムの一実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、印刷装置、印刷システムの一実施形態について図を参照しながら説明する。印刷装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を記録するインクジェット式のプリンターである。液体は、溶剤が主溶媒であり、顔料が溶媒中に分散したインク、いわゆるエコソルベントインクである。
【0009】
<印刷システム>
図1に示すように、印刷システム11は、印刷装置12と、ドライエア生成装置13と、を備える。
【0010】
<印刷装置>
印刷装置12は、媒体支持部15と、媒体加温部16と、搬送部17と、筐体18と、印刷部19と、排気部20と、ドライエア送風部21と、検温部22と、制御部23と、を備えてもよい。
【0011】
媒体支持部15は、媒体25を支持するように構成される。本実施形態の媒体支持部15は、第1支持台15fと、第2支持台15sと、第3支持台15tと、を有する。
第1支持台15f、第2支持台15s、及び第3支持台15tは、例えば、板状の部材である。第1支持台15f、第2支持台15s、及び第3支持台15tは、媒体25を下方から支持する。第1支持台15f、第2支持台15s、及び第3支持台15tは、媒体25が搬送される方向である搬送方向D1においてこの順で並ぶ。
【0012】
第1支持台15fは、媒体25に接触する第1支持面27fを有する。第1支持台15fは、搬送方向D1において搬送部17より上流に位置する。
第2支持台15sは、媒体25に接触する第2支持面27sを有する。第2支持台15sは、搬送方向D1において搬送部17より下流に位置する。
【0013】
第3支持台15tは、媒体25に接触する第3支持面27tを有する。第3支持台15tは、搬送方向D1において搬送部17より下流に位置する。第3支持台15tは、搬送方向D1において第2支持台15sより下流に位置する。すなわち、搬送部17は、搬送方向D1において第1支持台15fと第2支持台15sとの間に位置する。
【0014】
本実施形態において、媒体25は、第1支持面27f、第2支持面27s、及び第3支持面27tに沿って搬送される。そのため、本実施形態において、搬送方向D1は、第1支持面27f、第2支持面27s、第3支持面27tに沿って延びる方向である。
【0015】
媒体加温部16は、媒体支持部15に設けられてもよい。例えば、媒体加温部16は、第3支持台15tに設けられる。媒体加温部16は、第3支持台15tを温めることで、印刷後の媒体25を加温してもよい。
【0016】
搬送部17は、媒体25を搬送するように構成される。搬送部17は、一対のローラーが媒体25を挟んだ状態で回転することにより、媒体25を搬送してもよい。搬送部17は、媒体25を搬送することにより、印刷前の媒体25が巻き重ねられた図示しないロール体から媒体25を引き出してもよい。
【0017】
筐体18は、印刷部19と、排気部20と、を収容するように構成される。
印刷装置12は、媒体導入部29と、媒体導出部30と、を有する。媒体導入部29は、印刷前の媒体25を、筐体18の内部に導入する。筐体18は、第1支持台15fとの間に媒体導入部29を形成する。本実施形態の媒体導入部29は、筐体18と第1支持台15fとの間の隙間である。媒体導出部30は、印刷された媒体25を、筐体18の外部に導出する。筐体18は、第3支持台15tとの間に媒体導出部30を形成する。本実施形態の媒体導出部30は、筐体18と第3支持台15tとの間の隙間である。
【0018】
排気部20は、筐体18内に供給されるドライエアを、吸気口32から排気口33に誘導する。
図1では、ドライエアの流れを一点鎖線で示す。排気部20は、排気路34と、フィルター35と、ファン36と、を有してもよい。
【0019】
排気路34は、吸気口32と、排気口33と、を結ぶ。吸気口32は、印刷部19と対向してもよい。吸気口32は、印刷部19の上方に位置してもよい。吸気口32は、走査方向D2に亘って印刷領域Pと対向するように幅広に設けられてもよい。
【0020】
フィルター35は、排気路34に設けられてもよい。フィルター35は、ミストなどを捕捉する。ファン36は、フィルター35と排気口33との間の排気路34に設けられてもよい。ファン36は、排気口33に向けて送風する。
【0021】
印刷部19は、液体吐出部38と、キャリッジ39と、を有してもよい。
液体吐出部38は、液体を吐出するように構成される。液体吐出部38には、ノズル41が開口する。詳しくは、液体吐出部38は、1以上のノズル41が開口するノズル面42を有する。本実施形態では、媒体支持部15とノズル面42との間の領域を印刷領域Pともいう。印刷領域Pは、ノズル面42に垂直な方向においてノズル面42と第2支持台15sとに挟まれる領域である。
【0022】
液体吐出部38は、媒体支持部15に支持される媒体25の印刷領域Pに対してノズル41から溶剤を含む液体を吐出する。液体吐出部38は、媒体25に液体を吐出することで印刷可能である。
【0023】
キャリッジ39は、液体吐出部38を搭載する。キャリッジ39は、走査方向D2に移動可能である。キャリッジ39は、媒体25に対して走査するように構成される。キャリッジ39が走査しながら液体吐出部38が液体を吐出することによって、媒体25に画像が印刷される。すなわち、本実施形態の液体吐出部38は、媒体25に対して走査するシリアルタイプである。液体吐出部38は、媒体25の幅に対して長尺に設けられるラインタイプであってもよい。
【0024】
検温部22は、温度を検出するように構成される。検温部22は、筐体18外の温度を検出してもよい。検温部22は、筐体18内の温度を検出してもよい。検温部22は、供給されるドライエアの温度を検出してもよい。検温部22は、排気されるドライエアの温度を検出してもよい。
【0025】
制御部23は、印刷装置12もしくは印刷システム11における各機構の駆動を統括的に制御し、印刷装置12もしくは印刷システム11で実行される各種動作を制御する。
制御部23は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0026】
ドライエア送風部21は、印刷領域Pに向かってドライエアを送風可能である。ドライエア送風部21は、ドライエア加温部44と、1以上の流路45と、1以上のドライエア送風ノズル46と、を有してもよい。
【0027】
ドライエア加温部44は、ドライエアを加温する。ドライエア加温部44は、流路45とドライエア生成装置13との間に設けられてもよい。流路45は、ドライエア加温部44を介してドライエア生成装置13に接続されてもよい。
【0028】
ドライエア送風部21は、複数の流路45を備えてもよい。本実施形態のドライエア送風部21は、3つの流路45を備える。3つの流路45を区別する場合は、それぞれ第1流路45f、第2流路45s、及び第3流路45tともいう。
【0029】
ドライエア送風部21は、走査方向D2に複数のドライエア送風ノズル46を備えてもよい。本実施形態のドライエア送風部21は、流路45と同数のドライエア送風ノズル46を備える。3つのドライエア送風ノズル46を区別する場合は、それぞれ第1送風ノズル46f、第2送風ノズル46s、及び第3送風ノズル46tともいう。ドライエア送風ノズル46は、走査方向D2に幅広に設けられてもよい。ドライエア送風ノズル46は、印刷領域Pに対応可能な幅で設けられてもよい。
【0030】
ドライエア送風ノズル46は、ドライエアを吹き出す図示しない吹出口が、先端に形成されている。吹出口の断面積は、流路45の断面積より小さくてもよい。口を絞ることにより、ドライエアを送風する向きを定めやすくすることができる。
【0031】
流路45は、一端がドライエア生成装置13に接続される。流路45は、他端がドライエア送風ノズル46に接続される。具体的には、第1流路45fは、一端がドライエア生成装置13に接続され、他端が第1送風ノズル46fに接続される。第2流路45sは、一端がドライエア生成装置13に接続され、他端が第2送風ノズル46sに接続される。第3流路45tは、一端がドライエア生成装置13に接続され、他端が第3送風ノズル46tに接続される。
【0032】
ドライエア送風部21は、媒体導入部29から印刷領域Pに向かってドライエアを送風してもよい。第1送風ノズル46fは、媒体導入部29に向けてドライエアを送風してもよい。第1送風ノズル46fは、媒体導入部29に導入される媒体25に向けてドライエアを送風してもよい。媒体25に当たったドライエアは、媒体25に沿うようにして印刷領域Pに流れる。第1送風ノズル46fは、走査方向D2に複数設けられてもよい。第1送風ノズル46fは、走査方向D2に幅広に設けられてもよい。第1送風ノズル46fは、印刷領域Pに対応可能な幅で設けられてもよい。
【0033】
ドライエア送風部21は、キャリッジ39上に設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、キャリッジ39上に設けられる。第2送風ノズル46sは、キャリッジ39の移動に伴って、液体吐出部38と共に走査方向D2に移動する。第2送風ノズル46sは、印刷領域Pの外に設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、印刷領域Pより上方に設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、媒体25に対して斜めに送風することで、印刷領域Pに向かってドライエアを送風してもよい。
【0034】
ドライエア送風部21は、第2送風ノズル46sを複数備えてもよい。例えば、複数の第2送風ノズル46sは、液体吐出部38を走査方向D2に挟むように、走査方向D2の両側に設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、搬送方向D1に複数並んで設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、液体吐出部38より搬送方向D1の上流に設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、液体吐出部38より搬送方向D1の下流に設けられてもよい。第2送風ノズル46sは、走査方向D2に複数並んで設けられてもよい。
【0035】
ドライエア送風部21は、媒体導出部30から印刷領域Pに向かってドライエアを送風してもよい。第3送風ノズル46tは、媒体導出部30に向けてドライエアを送風してもよい。第3送風ノズル46tは、媒体導出部30から導出される媒体25に向かってドライエアを送風してもよい。媒体25に当たったドライエアは、媒体25に沿うようにして印刷領域Pに流れる。第3送風ノズル46tは、走査方向D2に複数設けられてもよい。第3送風ノズル46tは、走査方向D2に幅広に設けられてもよい。第3送風ノズル46tは、印刷領域Pに対応可能な幅で設けられてもよい。
【0036】
<ドライエア生成装置>
ドライエア生成装置13は、ドライエアを生成可能である。ドライエア生成装置13は、ドライエアを生成可能なドライエア生成部48を備える。ドライエア生成部48は、筐体18内の雰囲気からドライエアを生成してもよいし、筐体18外の雰囲気からドライエアを生成してもよい。
【0037】
ドライエア生成装置13は、取り込んだ雰囲気を冷却することによって、雰囲気中の水蒸気を結露させる。これにより、ドライエア生成装置13は、取り込んだ雰囲気を除湿する。ドライエア生成装置13は、冷却した雰囲気を常温に戻すことによって、ドライエアを生成する。ドライエア生成装置13は、例えば、取り込んだ雰囲気を冷媒により冷却する。冷媒は、水、ガスなどである。ドライエア生成装置13は、例えば、取り込んだ雰囲気と冷却した雰囲気とで熱交換させることによって、冷却した雰囲気を常温に戻す。
【0038】
ドライエア生成装置13は、生成したドライエアをドライエア送風部21に供給する。一例では、ドライエア生成装置13には、流路45の一端の一例である上流端に接続される。これにより、ドライエア生成装置13は、ドライエア送風部21にドライエアを効果的に供給できる。
【0039】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
ドライエア送風部21は、印刷領域Pに向けてドライエアを供給する。ドライエア送風部21によりドライエアが供給されると、印刷領域Pの雰囲気が、除湿されたドライエアに置き変わる。水分およびミストなどを含む雰囲気は、排気部20により筐体18の外に排出される。ドライエア送風部21は、ノズル41が晒される印刷領域Pの雰囲気に含まれる水分及びミストを低減させる。印刷領域Pの水分が低減すると、ノズル41内の液体が水蒸気を吸湿する虞が低減されるため、吸湿に伴って液体中に含まれる顔料が凝集する虞が低減される。
【0040】
媒体25に行われた印刷は、液体中の溶剤が蒸発することで定着する。雰囲気の温度が低い場合、蒸発した液体がノズル面42、筐体18内などに結露する虞がある。しかし、ドライエアは、ドライエア加温部44で加温される。第3送風ノズル46tから送風されたドライエアは、媒体25越しに媒体加温部16に加温される。
【0041】
制御部23は、例えばドライエア加温部44と媒体加温部16による加温を制御してもよい。例えば、検温部22が検出した温度が閾値より低い場合、制御部23は、ドライエア加温部44と媒体加温部16の少なくとも一方を駆動してドライエアを加温してもよい。
【0042】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)液体吐出部38は、印刷領域Pに対してノズル41から液体を吐出する。ドライエア送風部21は、印刷領域Pに向かってドライエアを送風する。そのため、ノズル41が高湿の空気に晒される虞を効率よく低減できる。
【0043】
(1-2)ドライエア送風部21は、印刷された媒体25が外部に導出される媒体導出部30から印刷領域Pに向かってドライエアを送風する。したがって、水蒸気を含む外部の空気が、媒体導出部30から入り込む虞を低減できる。
【0044】
(1-3)印刷された媒体25は、媒体加温部16により加温されることで乾燥が促進されると共に、媒体導出部30から導出される。そのため、媒体導出部30から送風されるドライエアは、媒体加温部16により加温される。したがって、印刷領域Pには加温されたドライエアが送風されるため、例えば印刷装置12が低温環境で使用される場合でもノズル41の周辺に結露が生じる虞を低減できる。
【0045】
(1-4)ドライエア送風部21は、印刷前の媒体25が内部に導入される媒体導入部29から印刷領域Pに向かってドライエアを送風する。したがって、水蒸気を含む外部の空気が、媒体導入部29から入り込む虞を低減できる。
【0046】
(1-5)ドライエア送風部21は、走査方向D2に移動可能なキャリッジ39上に設けられる。そのため、例えば走査方向D2に亘ってドライエア送風部21を設ける場合に比べ、ドライエア送風部21を小型化することができる。
【0047】
(1-6)流路45は、ドライエア生成部48と、ドライエア送風ノズル46と、を接続する。ドライエア生成部48をドライエア送風ノズル46から離して配置することができるため、ドライエア生成部48の配置の自由度を高めることができる。
【0048】
(1-7)ドライエア加温部44は、ドライエアを加温する。印刷領域Pには加温されたドライエアが送風されるため、例えば印刷装置12が低温環境で使用される場合でもノズル41の周辺に結露が生じる虞を低減できる。
【0049】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・ドライエア生成部48は、印刷装置12に設けられてもよい。すなわち、印刷装置12は、ドライエア生成部48を備えてもよい。ドライエア生成部48は、筐体18の外に設けられてもよい。ドライエア生成部48は、筐体18の中に設けられてもよい。流路45は、一端がドライエア生成部48に接続され、他端がドライエア送風ノズル46に接続されてもよい。
【0051】
・印刷システム11もしくは印刷装置12は、複数のドライエア生成部48を備えてもよい。例えば、第1流路45f、第2流路45s、及び第3流路45tは、別々のドライエア生成部48に接続されてもよい。印刷システム11が備えるドライエア生成部48のうち、一部のドライエア生成部48は、印刷装置12が備えてもよい。すなわち、印刷システム11は、ドライエア生成部48を備える印刷装置12と、ドライエア生成部48を備えるドライエア生成装置13と、を備えてもよい。
【0052】
・ドライエア送風部21は、1つの流路45が分岐して複数のドライエア送風ノズル46に接続されてもよい。例えば第1流路45fは、第1送風ノズル46fと第2送風ノズル46sに接続されてもよい。
【0053】
・ドライエア加温部44は、流路45の途中に設けられてもよい。ドライエア加温部44は、流路45とドライエア送風ノズル46との間に設けられてもよい。
・印刷装置12は、複数のドライエア加温部44を備えてもよい。例えば、第1流路45f、第2流路45s、及び第3流路45tのドライエアは、別々のドライエア加温部44に加温されてもよい。
【0054】
・印刷装置12は、ドライエア加温部44と、媒体加温部16と、の少なくとも一方を備える構成としてもよいし、何れも備えない構成としてもよい。
・ドライエア生成装置13は、ドライエア加温部44を備えてもよい。
【0055】
・媒体加温部16は、第1支持台15f、第2支持台15s、及び第3支持台15tのうち、少なくとも1つを加温してもよい。媒体加温部16は、第1支持台15fを加温することにより、印刷前の媒体25を加温してもよい。媒体加温部16は、第1支持台15fを加温することにより、第1送風ノズル46fから送風されるドライエアを、媒体25越しに加温してもよい。媒体加温部16は、第2支持台15sを加温することにより、印刷領域Pの媒体25を加温してもよい。
【0056】
・ドライエア送風部21は、第1送風ノズル46f、第2送風ノズル46s、及び第3送風ノズル46tのうち、何れか1つ、もしくは何れか2つを備える構成としてもよい。
・ドライエア送風部21は、ドライエア送風ノズル46を備えない構成としてもよい。この場合、一端がドライエア生成装置13もしくはドライエア生成部48に接続された流路45の他端を印刷領域Pに向けて配置してもよい。
【0057】
・ドライエア送風ノズル46は、筐体18内に設けられてもよい。ドライエア送風ノズル46は、キャリッジ39とは別に設けられてもよい。
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0058】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0059】
(A)印刷装置は、媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部に支持される前記媒体の印刷領域に対してノズルから溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部と、前記印刷領域に向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部と、を備える。
【0060】
この構成によれば、液体吐出部は、印刷領域に対してノズルから液体を吐出する。ドライエア送風部は、印刷領域に向かってドライエアを送風する。そのため、ノズルが高湿の空気に晒される虞を効率よく低減できる。
【0061】
(B)(A)に記載の印刷装置において、前記ドライエア送風部は、印刷された前記媒体が外部に導出される媒体導出部から前記印刷領域に向かってドライエアを送風してもよい。
【0062】
この構成によれば、ドライエア送風部は、印刷された媒体が外部に導出される媒体導出部から印刷領域に向かってドライエアを送風する。したがって、水蒸気を含む外部の空気が、媒体導出部から入り込む虞を低減できる。
【0063】
(C)(A)又は(B)に記載の印刷装置は、前記媒体支持部に設けられ、印刷後の前記媒体を加温する媒体加温部を更に備えてもよい。
この構成によれば、印刷された媒体は、媒体加温部により加温されることで乾燥が促進されると共に、媒体導出部から導出される。そのため、媒体導出部から送風されるドライエアは、媒体加温部により加温される。したがって、印刷領域には加温されたドライエアが送風されるため、例えば印刷装置が低温環境で使用される場合でもノズルの周辺に結露が生じる虞を低減できる。
【0064】
(D)(A)~(C)に記載の印刷装置において、前記ドライエア送風部は、印刷前の前記媒体が内部に導入される媒体導入部から前記印刷領域に向かってドライエアを送風してもよい。
【0065】
この構成によれば、ドライエア送風部は、印刷前の媒体が内部に導入される媒体導入部から印刷領域に向かってドライエアを送風する。したがって、水蒸気を含む外部の空気が、媒体導入部から入り込む虞を低減できる。
【0066】
(E)(A)~(D)に記載の印刷装置は、前記液体吐出部を搭載して走査方向に移動可能なキャリッジを更に備え、前記ドライエア送風部は、前記キャリッジ上に設けられてもよい。
【0067】
この構成によれば、ドライエア送風部は、走査方向に移動可能なキャリッジ上に設けられる。そのため、例えば走査方向に亘ってドライエア送風部を設ける場合に比べ、ドライエア送風部を小型化することができる。
【0068】
(F)(A)~(E)に記載の印刷装置は、ドライエアを生成可能なドライエア生成部を更に備え、前記ドライエア送風部は、一端が前記ドライエア生成部に接続される流路と、前記流路の他端に接続されるドライエア送風ノズルと、を有してもよい。
【0069】
この構成によれば、流路は、ドライエア生成部と、ドライエア送風ノズルと、を接続する。ドライエア生成部をドライエア送風ノズルから離して配置することができるため、ドライエア生成部の配置の自由度を高めることができる。
【0070】
(G)(A)~(F)に記載の印刷装置において、前記ドライエア送風部は、ドライエアを加温するドライエア加温部を有してもよい。
この構成によれば、ドライエア加温部は、ドライエアを加温する。印刷領域には加温されたドライエアが送風されるため、例えば印刷装置が低温環境で使用される場合でもノズルの周辺に結露が生じる虞を低減できる。
【0071】
(H)印刷システムは、媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部に支持される前記媒体の印刷領域に対してノズルから溶剤を含む液体を吐出することで印刷可能な液体吐出部と、前記印刷領域に向かってドライエアを送風可能なドライエア送風部と、を有する印刷装置と、ドライエアを生成可能なドライエア生成装置と、を備え、前記ドライエア送風部は、一端が前記ドライエア生成装置に接続される流路と、前記流路の他端に接続されるドライエア送風ノズルと、を有する。
【0072】
この構成によれば、上記印刷装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0073】
11…印刷システム、12…印刷装置、13…ドライエア生成装置、15…媒体支持部、15f…第1支持台、15s…第2支持台、15t…第3支持台、16…媒体加温部、17…搬送部、18…筐体、19…印刷部、20…排気部、21…ドライエア送風部、22…検温部、23…制御部、25…媒体、27f…第1支持面、27s…第2支持面、27t…第3支持面、29…媒体導入部、30…媒体導出部、32…吸気口、33…排気口、34…排気路、35…フィルター、36…ファン、38…液体吐出部、39…キャリッジ、41…ノズル、42…ノズル面、44…ドライエア加温部、45…流路、45f…第1流路、45s…第2流路、45t…第3流路、46…ドライエア送風ノズル、46f…第1送風ノズル、46s…第2送風ノズル、46t…第3送風ノズル、48…ドライエア生成部、D1…搬送方向、D2…走査方向、P…印刷領域。