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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123888
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240905BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240905BHJP
   B41J 19/18 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B41J29/00 A
B41J2/01 301
B41J19/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031677
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】大塚 輝真
(72)【発明者】
【氏名】渥美 英敏
(72)【発明者】
【氏名】掛井 宏一
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔平
(72)【発明者】
【氏名】宮本 義照
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2C480
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FA15
2C056HA29
2C056HA38
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS11
2C061BB35
2C480CA01
2C480CA02
2C480CA49
2C480CB02
2C480CB29
2C480DA01
2C480DB02
2C480DB16
(57)【要約】
【課題】印刷品質が低下することを抑制する。
【解決手段】プリンタ10は、主走査方向Yに延びたガイドレール12と、ガイドレール12に対して摺動自在に設けられ、主走査方向Yに移動可能なインクヘッド16と、被印刷物5を支持するテーブル30と、筐体50と、第1アジャスタ90と、第2アジャスタ95とを備える。筐体50は、テーブル30が設けられた下側筐体51と、インクヘッド16が主走査方向Yに移動可能に設けられ、下側筐体51よりも上方に配置され、かつ、平面視において下側筐体51から主走査方向に突出した上側筐体52とを有する。第1アジャスタ90は、下側筐体51から主走査方向Yに突出した上側筐体52の部分を支持するように設けられ、設置面100に接触する。第2アジャスタ95は、上側筐体52から副走査方向Yに突出した下側筐体51の部分に設けられ、設置面100に接触する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に延びたガイドレールと、
前記ガイドレールに対して摺動自在に設けられたインクヘッドと、
前記インクヘッドを前記主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、
被印刷物を支持するテーブルと、
前記テーブルが設けられた下側筐体と、前記インクヘッドが前記主走査方向に移動可能に設けられ、前記下側筐体よりも上方に配置され、かつ、平面視において前記下側筐体から前記主走査方向に突出した上側筐体とを有する筐体と、
前記上側筐体を支持し、前記筐体が設置される設置面に接触する第1アジャスタと、
前記下側筐体を支持し、前記設置面に接触する第2アジャスタと、
を備え、
前記ガイドレールは、平面視において前記下側筐体から前記主走査方向に突出するように前記上側筐体に設けられ、
前記上側筐体は、
平面視において前記下側筐体から前記主走査方向の一方側に突出した第1上側突出部と、
平面視において前記下側筐体から前記主走査方向の他方側に突出した第2上側突出部と、
を有し、
前記下側筐体は、平面視において矩形状であり、
前記下側筐体は、
平面視において前記上側筐体から、前記主走査方向と交差する副走査方向の一方側に突出した第1下側突出部と、
平面視において前記上側筐体から前記副走査方向の他方側に突出した第2下側突出部と、
を有し、
前記第1アジャスタは、前記第1上側突出部と前記第2上側突出部を支持するように複数設けられ、
前記第2アジャスタは、平面視における前記下側筐体の四隅の部分に設けられるように、前記第1下側突出部と前記第2下側突出部に設けられている、プリンタ。
【請求項2】
前記下側筐体と前記上側筐体は別体であり、
前記筐体は、前記下側筐体と前記上側筐体とを連結させる連結筐体を有し、
前記連結筐体は、
前記第1上側突出部を下方から支持する第1連結突出部と、
前記第2上側突出部を下方から支持する第2連結突出部と、
を有し、
前記第1アジャスタは、前記第1連結突出部および前記第2連結突出部に設けられている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記第1アジャスタおよび前記第2アジャスタは、高さを調整可能に構成されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記第1アジャスタにおける前記設置面に対する摩擦抵抗は、第1抵抗であり、
前記第2アジャスタにおける前記設置面に対する摩擦抵抗は、前記第1抵抗よりも大きい第2抵抗である、請求項1から3までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記第2アジャスタにおける前記設置面と接触する部分は、ゴムによって形成されている、請求項1から3までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、被印刷物に対して印刷を行うインクジェットプリンタが開示されている。このインクジェットプリンタは、被印刷物が載置されるテーブルと、テーブルを支持し、所定のX方向に延伸した台部と、台部に支持され、X方向と直交するY方向に延伸したY方向延伸部材と、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備えている。Y方向延伸部材には、Y方向に延びたガイドレールが設けられ、インクジェットヘッドは、ガイドレールに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0003】
台部の底面には、脚部が設けられている。脚部は、上下方向に延びており、下端が床面に接している。このことによって、脚部によって台部が支持される。よって、例えば印刷時において、台部が床面に対して揺動し難くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6285093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記インジェットプリンタでは、印刷時においてインクジェットヘッドがY方向に移動する際、ガイドレールが設けられたY方向延伸部材がY方向に揺動することがあった。上述のように、被印刷物が載置されるテーブルを支持する台部は、脚部によって揺動し難くなっている。その結果、Y方向延伸部材と台部との間で揺動する量の差が生じ、インクジェットヘッドから吐出されたインクにおける、テーブルに支持された被印刷物の着弾位置にズレが生じるおそれがあった。その結果、印刷品質が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷品質が低下することを抑制することが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、主走査方向に延びたガイドレールと、ガイドレールに対して摺動自在に設けられたインクヘッドと、前記インクヘッドを前記主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、被印刷物を支持するテーブルと、筐体と、第1アジャスタと、第2アジャスタとを備えている。前記筐体は、下側筐体と、上側筐体とを有している。前記下側筐体には、前記テーブルが設けられている。前記上側筐体は、前記インクヘッドが前記主走査方向に移動可能に設けられ、前記下側筐体よりも上方に配置され、かつ、平面視において前記下側筐体から前記主走査方向に突出している。前記第1アジャスタは、前記上側筐体を支持し、前記筐体が設置される設置面に接触する。前記第2アジャスタは、前記下側筐体を支持し、前記設置面に接触する。前記ガイドレールは、平面視において前記下側筐体から前記主走査方向に突出するように前記上側筐体に設けられている。前記上側筐体は、平面視において前記下側筐体から前記主走査方向の一方側に突出した第1上側突出部と、平面視において前記下側筐体から前記主走査方向の他方側に突出した第2上側突出部と、を有している。前記下側筐体は、平面視において矩形状である。前記下側筐体は、平面視において前記上側筐体から、前記主走査方向と交差する副走査方向の一方側に突出した第1下側突出部と、平面視において前記上側筐体から前記副走査方向の他方側に突出した第2下側突出部と、を有している。前記第1アジャスタは、前記第1上側突出部と前記第2上側突出部を支持するように複数設けられている。前記第2アジャスタは、平面視における前記下側筐体の四隅の部分に設けられるように、前記第1下側突出部と前記第2下側突出部に設けられている。
【0008】
前記プリンタによれば、第2アジャスタが設置面に接触しながら、下側筐体のうち平面視における上側筐体から副走査方向に突出した第1下側突出部および第2下側突出部を支持しているため、下側筐体を安定して支持しつつ、下側筐体を揺動し難くすることができる。上側筐体は、平面視において下側筐体よりも主走査方向に突出しているため、インクヘッドが主走査方向に往復移動する距離が長くなる。そのため、印刷時において、インクヘッドが主走査方向に移動するときに、上側筐体が揺動し易くなることがあり得る。しかしながら、前記プリンタでは、第1アジャスタが設置面に接触しながら、上側筐体のうち平面視における下側筐体から主走査方向に突出した第1上側突出部および第2上側突出部を支持しているため、上側筐体を安定して支持しつつ、上側筐体を揺動し難くすることができる。よって、印刷時において、下側筐体と上側筐体との間に揺動する量に差が生じ難いため、印刷品質が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷品質が低下することを抑制することが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るプリンタを模式的に示す斜視図である。
図2】実施形態に係るプリンタを模式的に示す正面図である。
図3】実施形態に係るプリンタを模式的に示す平面図である。
図4】実施形態に係るプリンタを模式的に示す右側面図である。
図5】実施形態に係るプリンタを模式的に示す底面図である。
図6】プリンタの下側筐体を模式的に示す斜視図である。
図7】プリンタの上側筐体を模式的に示す斜視図である。
図8】プリンタの連結筐体を模式的に示す斜視図である。
図9】第1アジャスタを模式的に示す図である。
図10】第2アジャスタを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1図2図3図4図5は、それぞれ本実施形態に係るプリンタ10の斜視図、正面図、平面図、右側面図、底面図である。以下の説明において、プリンタ10の左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザ、ここでは後述の操作パネル75(図1参照)と対向する位置にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10の正面にいるユーザがプリンタ10から遠ざかる方を前方、ユーザがプリンタ10に近づく方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)した方向である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。符号Zは、高さ方向、言い換えると上下方向を示している。ただし、これら方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0013】
プリンタ10は、いわゆるインクジェット方式のプリンタであり、インクジェットプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は、インクジェット方式に限定されず、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
【0014】
プリンタ10は、図2に示す被印刷物5に対して印刷を行うものである。被印刷物5は、例えば少なくとも一部に主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平面を有するものである。被印刷物5は、例えば記録紙である。ただし、被印刷物5は、記録紙などの紙に限定されない。例えば被印刷物5には、PCV、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、金属板、ガラス板、木材板などの比較的に厚みを有するものが含まれる。また、被印刷物5は、例えばスマートフォンケースなどの立体物であってもよい。
【0015】
図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール12と、キャリッジ14と、インクヘッド16と、ヘッド移動機構20とを備えている。ガイドレール12は、主走査方向Yに延びたレールである。キャリッジ14は、ガイドレール12に係合している。キャリッジ14は、ガイドレール12に対して摺動可能に設けられている。キャリッジ14は、ガイドレール12に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0016】
インクヘッド16は、インクを吐出するものである。インクヘッド16は、キャリッジ14に設けられている。ここでは、インクヘッド16は、その底面を露出するように、キャリッジ14に支持されている。インクヘッド16は、キャリッジ14と共に、ガイドレール12に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。なお、図示は省略するが、インクヘッド16は、インクを吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を有している。当該ノズル面は、インクヘッド16の底面を構成している。インクヘッド16の数は特に限定されないが、図2に示すように、ここでは4つである。4つのインクヘッド16は、主走査方向Yに並んで配置されている。
【0017】
ヘッド移動機構20は、キャリッジ14およびインクヘッド16を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構20は、左右のプーリ21a、21bと、ベルト22と、ヘッドモータ23とを備えている。左のプーリ21aは、ガイドレール12の左端部の周囲に設けられ、右のプーリ21bは、ガイドレール12の右端部の周囲に設けられている。ベルト22は、無端状のベルトであり、左右のプーリ21a、21bに巻き掛けられている。ベルト22には、キャリッジ14が取り付け固定されている。ここでは、例えば右のプーリ21bには、ヘッドモータ23が接続されている。本実施形態では、ヘッドモータ23が駆動することで、右のプーリ21bが回転し、左右のプーリ21a、21bの間においてベルト22が走行する。このことによって、キャリッジ14およびインクヘッド16は、ガイドレール12に沿って主走査方向Yに移動する。
【0018】
本実施形態では、プリンタ10は、テーブル30と、テーブル移動機構40とを備えている。テーブル30は、被印刷物5を支持するものである。ここでは、テーブル30の上面に、被印刷物5が載置される。テーブル30に被印刷物5が支持された状態で、被印刷物5に対して印刷が行われる。テーブル30は、ガイドレール12、キャリッジ14およびインクヘッド16よりも下方に配置されている。ここでは、インクヘッド16からのインクは、テーブル30に支持された被印刷物5に向かって吐出される。インクヘッド16は、下方に向かってインクを吐出することで、被印刷物5に対して印刷を行う。テーブル30の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。
【0019】
図6は、プリンタ10の下側筐体51を示す斜視図である。図6に示すように、テーブル移動機構40は、インクヘッド16(図2参照)に対してテーブル30を副走査方向Xに移動させる機構である。ここでは、テーブル30が副走査方向Xに移動することで、テーブル30に支持された被印刷物5も副走査方向Xに移動する。なお、テーブル移動機構40の構成は特に限定されない。本実施形態では、テーブル移動機構40は、左右一対のXレール41と、テーブルキャリッジ42と、フィードモータ43とを備えている。図示は省略するが、Xレール41は、ガイドレール12、キャリッジ14およびインクヘッド16(いずれも図2参照)よりも下方に配置されている。図6に示すように、Xレール41は、副走査方向Xに延びている。なお、図6では、左のXレール41のみが図示され、右のXレール41の図示は省略されている。右のXレール41は、左のXレール41の右方であって、後述の下側筐体51の内側の右面に設けられている。
【0020】
図6に示すように、テーブルキャリッジ42は、テーブル30を支持しつつ、副走査方向Xに移動可能なものである。ここでは、テーブルキャリッジ42は、テーブル30を下方から支持する支持部材42aと、支持部材42aに対して摺動自在に設けられた係合部材42bとを有している。詳細な図示は省略するが、係合部材42bは、左右一対のXレール41に係合するように構成されている。テーブルキャリッジ42は、係合部材42bがXレール41に係合することで、Xレール41に摺動自在に構成されている。テーブルキャリッジ42には、フィードモータ43が接続されている。本実施形態では、図示は省略するが、左右一対のXレール41の間には、副走査方向Xに延びたボールねじが設けられている。当該ボールねじには、テーブルキャリッジ42の係合部材42bに設けられたナットに噛み合わされている。フィードモータ43は、ボールねじに接続されており、左右一対のXレール41の間に配置されている。ここでは、フィードモータ43が駆動すると、ボールねじが軸線周りに回転する。ボールねじが回転することで、テーブルキャリッジ42およびテーブル30が、左右一対のXレール41に沿って副走査方向Xに移動する。このことによって、テーブル30に支持された被印刷物5も副走査方向Xに移動する。
【0021】
なお、図示は省略するが、プリンタ10は、テーブル30を昇降させる昇降機構を備えている。例えばテーブルキャリッジ42において、支持部材42aは、係合部材42bに対して上下方向Zに移動可能に構成されている。図6に示すように、係合部材42bには、上方に向かって開口した挿入開口42cが形成されている。支持部材42aは、挿入開口42cに摺動自在に挿入されている。昇降機構は、支持部材42aにおける挿入開口42cに挿入される長さを変更させることで、テーブル30を昇降させるように構成されている。
【0022】
本実施形態では、図4に示すように、プリンタ10は、筐体50と、第1アジャスタ90と、第2アジャスタ95とを備えている。図2に示すように、筐体50には、ガイドレール12が設けられている。また、筐体50には、キャリッジ14、インクヘッド16およびテーブル30が移動可能に設けられている。ここでは、筐体50は、下側筐体51と、上側筐体52と、連結筐体53とを有している。
【0023】
本実施形態では、図3に示すように、下側筐体51と上側筐体52とは、平面視において一部が重なるようにして、上下に並んでいる。図4に示すように、上側筐体52は、下側筐体51の上方に配置されている。図7は、プリンタ10の上側筐体52を示す斜視図である。ここでは、図6および図7に示すように、下側筐体51と上側筐体52は、別体である。ただし、下側筐体51と上側筐体52とは、一体的に形成されたものであってもよい。
【0024】
図6に示すように、下側筐体51は、被印刷物5が載置されるテーブル30を支持する枠状の構造物であって、内部に内部空間を有している。下側筐体51には、テーブル30が副走査方向Xに移動可能に設けられている。ここでは、下側筐体51は、上方に向かって開口した形状を有している。テーブル30は、上面を下側筐体51から上方に露出させるようにして下側筐体51に設けられている。例えばテーブル30が上昇したとき、下側筐体51の上方に配置され、テーブル30が下降したとき、下側筐体51内に収まる。下側筐体51は、主走査方向Yよりも副走査方向Xに長い形状であり、かつ、平面視において矩形状である。ここでは、図3に示すように、下側筐体51は、一部が上側筐体52と平面視において重なるように配置されている。下側筐体51は、上側筐体52よりも下方に配置され、かつ、平面視において上側筐体52から副走査方向Xに突出している。ここでは、下側筐体51は、平面視において上側筐体52から副走査方向Xの一方側(ここでは前側)に向かって突出し、かつ、平面視において上側筐体52から副走査方向Xの他方側(ここでは後側)に向かって突出している。
【0025】
本実施形態では、図4に示すように、下側筐体51は、下側中央部60と、第1下側突出部61と、第2下側突出部62とを有している。下側中央部60は、下側筐体51における副走査方向Xの中央部分を構成している。下側中央部60は、上側筐体52と平面視おいて重なる部分である。
【0026】
第1下側突出部61は、下側筐体51の前部を構成している。第1下側突出部61は、下側中央部60の前方に配置されており、下側中央部60と連続している。ここでは、図3に示すように、第1下側突出部61は、平面視において上側筐体52から副走査方向Xの一方側(ここでは前側)に突出している。図4に示すように、第2下側突出部62は、下側筐体51の後部を構成している。第2下側突出部62は、下側中央部60の後方に配置されている。第2下側突出部62は、下側中央部60と連続している。本実施形態では、図3に示すように、第2下側突出部62は、平面視において上側筐体52から副走査方向Xの他方側(ここでは後側)に突出している。本実施形態では、図6に示すように、下側中央部60、第1下側突出部61および第2下側突出部62は、主走査方向Yの長さが同じであるが、異なっていてもよい。図4に示すように、第1下側突出部61の副走査方向Xの長さは、第2下側突出部62の副走査方向Xの長さよりも長い。ただし、第1下側突出部61の副走査方向Xの長さは、第2下側突出部62の副走査方向の長さよりも短くてもよいし、同じであってもよい。
【0027】
本実施形態では、図6に示すように、テーブル30は、第1下側突出部61、下側中央部60および第2下側突出部62に亘って副走査方向Xに移動可能に構成されている。ここでは、図3に示すように、テーブル移動機構40の左右一対のXレール41は、平面視において上側筐体52より前側に延びており、かつ、上側筐体52より後側に延びている。Xレール41は、第1下側突出部61、下側中央部60および第2下側突出部62に亘って設けられ、下側筐体51の内部空間に配置されている。ここでは、図6に示すように、左のXレール41は、下側筐体51の内側の左面に設けられている。図示は省略するが、右のXレール41は、下側筐体51の内側の右面に設けられている。このような左右一対のXレール41の構成によって、テーブル30は、Xレール41に沿って副走査方向Xに移動するとき、第1下側突出部61、下側中央部60および第2下側突出部62を通過する。
【0028】
図2に示すように、上側筐体52は、インクヘッド16が搭載されたキャリッジ14を主走査方向Yに移動可能に構成するための構造物である。図3に示すように、上側筐体52は、副走査方向Xよりも主走査方向Yに長い形状であり、かつ、平面視において矩形状である。ここでは、上側筐体52は、一部が下側筐体51と平面視において重なるように配置されている。上側筐体52は、図4に示すように、下側筐体51よりも上方に配置され、かつ、図3に示すように、下側筐体51から主走査方向Yに突出している。ここでは、上側筐体52は、平面視において下側筐体51から主走査方向Yの一方側(ここでは左側)に向かって突出し、かつ、平面視にいて下側筐体51から主走査方向Yの他方側(ここでは右側)に向かって突出している。
【0029】
本実施形態では、図2に示すように、上側筐体52は、上側中央部70と、第1上側突出部71と、第2上側突出部72とを有している。上側中央部70は、上側筐体52における主走査方向Yの中央部分を構成している。図3に示すように、上側中央部70は、下側筐体51の下側中央部60と平面視において重なっている。
【0030】
第1上側突出部71は、上側筐体52の左部を構成している。第1上側突出部71は、上側中央部70の左方に配置されており、上側中央部70と連続している。第1上側突出部71は、平面視において下側筐体51から主走査方向Yの一方側(ここでは左側)に突出している。第2上側突出部72は、上側筐体52の右部を構成している。第2上側突出部72は、上側中央部70と連続しており、上側中央部70の右方に配置されている。第2上側突出部72は、平面視において下側筐体51から主走査方向Yの他方側(ここでは右側)に突出している。本実施形態では、図7に示すように、第1上側突出部71および第2上側突出部72は、上側中央部70よりも下方に突出している。
【0031】
本実施形態では、図2に示すように、キャリッジ14およびインクヘッド16は、第1上側突出部71、上側中央部70および第2上側突出部72に亘って主走査方向Yに移動可能に構成されている。ここでは、ガイドレール12は、平面視において下側筐体51から主走査方向Y(ここでは、主走査方向Yの一方側および他方側の両側)に突出するように上側筐体52に設けられている。ガイドレール12は、平面視において下側筐体51から左側に延びており、かつ、下側筐体51から右側に延びている。ガイドレール12は、第1上側突出部71、上側中央部70および第2上側突出部72に亘って上側筐体52に設けられている。ここでは、キャリッジ14およびインクヘッド16は、ガイドレール12に沿って主走査方向Yに移動するとき、第1上側突出部71、上側中央部70および第2上側突出部72を通過する。
【0032】
なお、本実施形態では、上側筐体52の上側中央部70は、前方および下方に向かって開口している。上述のように、上側中央部70の下方には、下側筐体51の下側中央部60が配置されているため、上側中央部70は、下側中央部60に向かって開口している。そのため、インクヘッド16が主走査方向Yに移動しているときにおいて上側中央部70を通過するとき、インクヘッド16からのインクは、上側中央部70の上記開口を通過して、下側中央部60に配置されたテーブル30に支持された被印刷物5に吐出される。このように、上側中央部70において、インクヘッド16からインクが吐出されることで、テーブル30に支持された被印刷物5に印刷が行われる。
【0033】
本実施形態では、図1に示すように、上側筐体52の第2上側突出部72には、操作パネル75が設けられている。操作パネル75は、ユーザが印刷に関する操作を行うものである。ここでは、操作パネル75は、第2上側突出部72の前面に設けられている。操作パネル75は、プリンタ10の各種設定の情報などが表示される表示画面76aと、操作キー76bとを有している。ユーザは、例えば操作キー76bを操作することによって、表示画面76aに各種設定の情報を表示したり、各種設定の情報を決定したりすることができる。なお、本実施形態では、操作キー76bは、表示画面76a上に設けられたタッチパネルによって実現されている。しかしながら、操作キー76bは、物理的な操作子(例えばボタン)によって実現されてもよい。
【0034】
上側筐体52の第1上側突出部71には、カートリッジ収容部78が設けられている。カートリッジ収容部78には、インクカートリッジ79が収容されている。インクカートリッジ79は、図示しないインクチューブを介してインクヘッド16(図2参照)に接続されている。インクカートリッジ79には、インクヘッド16に供給するインクが収容されている。ここでは、インクカートリッジ79に収容されたインクは、上記のインクチューブを通じてインクヘッド16に供給される。インクヘッド16は、インクカートリッジ79から供給されたインクを吐出して、被印刷物5に対する印刷を行う。
【0035】
本実施形態では、図1に示すように、下側筐体51の第1下側突出部61の上方であって、上側筐体52の上側中央部70の前方には、前カバー65が設けられている。前カバー65は、第1下側突出部61を上方から覆うと共に、上側中央部70を前方から覆うように構成されている。前カバー65は、例えば透明または半透明な部材によって形成されている。そのため、ユーザは、前カバー65を通じて第1下側突出部61および上側中央部70の内部を視認することができる。なお、図2図4において、前カバー65は省略されている。また、本実施形態では、図3および図4に示すように、下側筐体51の第2下側突出部62の上方には、後カバー66が設けられている。後カバー66は、第2下側突出部62を上方から覆うように構成されている。ここでは、後カバー66は、不透明な部材(例えば金属)によって形成されているが、前カバー65と同様に、透明または半透明な部材によって形成されてもよい。
【0036】
図2に示すように、連結筐体53は、下側筐体51と上側筐体52とを連結させるものである。ここでは、連結筐体53は、下側筐体51と上側筐体52を下方から支持しつつ、下側筐体51と上側筐体52を上下で連結させている。なお、連結筐体53の構成は特に限定されない。図8は、プリンタ10の連結筐体53を示す斜視図である。本実施形態では、図8に示すように、連結筐体53は、連結中央部80と、第1連結突出部81と、第2連結突出部82とを有している。
【0037】
図2に示すように、連結中央部80は、下側筐体51を支持するものである。ここでは、図4に示すように、連結中央部80は、下側筐体51の下側中央部60の下方に設けられている。連結中央部80は、下側中央部60の底面に接触しており、下方から下側中央部60を支持している。連結中央部80は、主走査方向Yに延びたものである。
【0038】
第1連結突出部81および第2連結突出部82は、上側筐体52を支持するものである。ここでは、図8に示すように、第1連結突出部81は、連結中央部80の左端部に接続されており、連結中央部80と連続している。第1連結突出部81は、連結中央部80から左側に突出しており、図2に示すように、上側筐体52の第1上側突出部71の下方に設けられている。第1連結突出部81は、第1上側突出部71の底面と接触しており、第1上側突出部71を下方から支持している。
【0039】
なお、第1連結突出部81の形状は特に限定されない。本実施形態では、第1連結突出部81は、L字状の形状を有している。第1連結突出部81は、第1縦部材81aと、第1横部材81bとを有している。第1縦部材81aは、高さ方向Zに延びたものである。第1縦部材81aの下端部は、連結中央部80の左端部に接続されている。第1縦部材81aは、連結中央部80の左端部から上方に延びている。第1縦部材81aは、下側中央部60の左方に配置され、下側中央部60(図1参照)の左面に接触している。図2に示すように、第1横部材81bは、主走査方向Yに延びたものである。第1横部材81bの右端部は、第1縦部材81aの上端部に接続されている。第1横部材81bは、第1縦部材81aの上端部から左方に延びている。第1横部材81bは、上側筐体52の第1上側突出部71の下方に配置され、第1上側突出部71の底面に接触している。
【0040】
第2連結突出部82は、連結中央部80の右端部に接続されており、連結中央部80と連続している。連結中央部80は、第1連結突出部81と第2連結突出部82とを連結している。第2連結突出部82は、連結中央部80から右側に突出しており、上側筐体52の第2上側突出部72の下方に設けられている。第2連結突出部82は、第2上側突出部72の底面と接触しており、第2上側突出部72を下方から支持している。
【0041】
なお、第2連結突出部82の形状は特に限定されない。本実施形態では、第2連結突出部82は、第1連結突出部81と同様に、L字状の形状を有している。ここでは、第2連結突出部82は、第2縦部材82aと、第2横部材82bとを有している。第2縦部材82aは、高さ方向Zに延びたものである。第2縦部材82aは、下端部が連結中央部80の右端部に接続されている。第2縦部材82aは、連結中央部80の右端部から上方に延びている。図1に示すように、第2縦部材82aは、下側筐体51の下側中央部60の右方に配置され、下側中央部60の右面に接触している。下側中央部60は、第2縦部材82aと第1縦部材81a(図2参照)によって挟まれている。第2横部材82bは、主走査方向Yに延びたものである。第2横部材82bは、左端部が第2縦部材82aの上端部に接続されている。第2横部材82bは、第2縦部材82aの上端部から右方に向かって延びている。第2横部材82bは、上側筐体52の第2上側突出部72の下方に配置され、第2上側突出部72の底面に接触している。
【0042】
本実施形態では、連結筐体53は、下側筐体51および上側筐体52に固定されることで、下側筐体51と上側筐体52とを連結する。例えば連結筐体53と下側筐体51、および、連結筐体53と上側筐体52とは、図示しない螺子によって固定されている。例えば連結筐体53の連結中央部80と、下側筐体51の下側中央部60とが螺子によって固定される。また、連結筐体53の第1連結突出部81(詳しくは第1横部材81b)と、上側筐体52の第1上側突出部71とが螺子によって固定され、かつ、連結筐体53の第2連結突出部82(詳しくは第2横部材82b)と、上側筐体52の第2上側突出部72とが螺子によって固定される。なお、第1連結突出部81(詳しくは第1縦部材81a)、および、第2連結突出部82(詳しくは第2縦部材82a)は、下側中央部60と螺子によって固定されてもよい。
【0043】
図4に示すように、第1アジャスタ90および第2アジャスタ95は、筐体50を安定した状態で支持するための支持部材である。ここでは、筐体50は、設置面100に設置される。設置面100は、例えば建物の床面である。ただし、設置面100は、机などの台の上面であってもよい。設置面100は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった面である。第1アジャスタ90および第2アジャスタ95は、設置面100に接触しつつ、筐体50を下方から支持するものである。本実施形態では、印刷中においてインクヘッド16が主走査方向Yに移動するとき、設置面100に対して筐体50が主走査方向Yに揺動することがあり得る。ここでは、第1アジャスタ90および第2アジャスタ95は、設置面100に対して筐体50が揺動し難くするためのものである。
【0044】
図2に示すように、第1アジャスタ90は、設置面100に接触しつつ、上側筐体52を支持するゴム無しアジャスタである。ここでは、第1アジャスタ90は、上側筐体52の第1上側突出部71および第2上側突出部72を支持するように複数設けられている。第1アジャスタ90の数は特に限定されないが、図5に示すように、ここでは2つである。以下の説明において、2つの第1アジャスタ90の個々について説明する場合には、符号90a、90bを適宜用いることとする。2つの第1アジャスタ90のうち、左の第1アジャスタ90aは第1上側突出部71を支持するものであり、右の第1アジャスタ90bは第2上側突出部72を支持するものである。
【0045】
本実施形態では、第1アジャスタ90は、上側筐体52に直接設けられておらず、連結筐体53に設けられている。第1アジャスタ90は、連結筐体53を介して第1上側突出部71および第2上側突出部72を間接的に支持している。ここでは、第1アジャスタ90は、上側筐体52の真下に位置している。左の第1アジャスタ90aは、第1上側突出部71の真下に位置している。ここでは、例えば第1上側突出部71を主走査方向Yに2等分したときの上側中央部70側の部分(ここでは右側の部分)の真下に、左の第1アジャスタ90aが位置している。左の第1アジャスタ90aは、第1上側突出部71の下方に設けられた連結筐体53の第1連結突出部81に設けられている。詳しくは、左の第1アジャスタ90aは、第1連結突出部81の第1縦部材81aの底面に設けられている。左の第1アジャスタ90aは、第1縦部材81aの底面から設置面100に向かって延びており、ここでは下方に向かって延びている。
【0046】
右の第1アジャスタ90bは、第2上側突出部72の真下に位置している。具体的には、右のアジャスタ90bは、第2上側突出部72を主走査方向Yに2等分したときの上側中央部70側の部分(ここでは左側の部分)の真下に、右の第1アジャスタ90bが位置している。ここでは、右の第1アジャスタ90bは、連結筐体53の第2連結突出部82に設けられており、詳しくは第2連結突出部82の第2縦部材82aの底面に設けられている。右の第1アジャスタ90bは、第2縦部材82aの底面から設置面100に向かって延びており、ここでは下方に向かって延びている。
【0047】
第2アジャスタ95は、設置面100に接触しつつ、下側筐体51を支持するゴム有りアジャスタである。ここでは、図5に示すように、第2アジャスタ95は、下側筐体51の第1下側突出部61および第2下側突出部62を支持するように複数設けられている。なお、第2アジャスタ95の数は特に限定されないが、ここでは4つである。以下の説明において、4つの第2アジャスタ95の個々について説明する場合には、符号95a、95b、95c、95dを適宜用いることとする。
【0048】
本実施形態では、4つの第2アジャスタ95は、平面視における矩形状の下側筐体51における四隅の部分に設けられている。4つの第2アジャスタ95のうち、第2アジャスタ95a、95b、95c、95dは、それぞれ下側筐体51の左前、右前、左後、右後の部分の底面に設けられている。ここでは、2つの第2アジャスタ95a、95bは、第1下側突出部61の底面に設けられ、第1下側突出部61を下方から支持している。2つの第2アジャスタ95a、95bは、第1下側突出部61の底面から設置面100(図2参照)に向かって延びており、ここでは下方に向かって延びている。2つの第2アジャスタ95c、95dは、第2下側突出部62の底面に設けられ、第2下側突出部62を下方から支持している。2つの第2アジャスタ95c、95dは、第2下側突出部62の底面から設置面100に向かって延びており、ここでは下方に向かって延びている。
【0049】
本実施形態では、第1アジャスタ90および第2アジャスタ95は、高さ調整可能に構成されている。ここでは、第1アジャスタ90は、高さ方向Zに延びる長さを調整可能に構成されている。第2アジャスタ95は、下側筐体51の底面から下方に延びる長さを調整可能に構成されている。図9は、第1アジャスタ90を示す図である。図10は、第2アジャスタ95を示す図である。図9に示すように、例えば第1アジャスタ90は、高さ方向Zに延びた第1ボルト91と、第1ボルト91の下端に設けられた第1ベース92とを有している。第1ボルト91は、連結筐体53の底面に形成された第1挿入孔(図示せず)に挿入される。第1ボルト91が上記第1挿入孔に挿入される長さを調整することで、第1アジャスタ90の高さを調整することができる。同様に、図10に示すように、例えば第2アジャスタ95は、高さ方向Zに延びた第2ボルト96と、第2ボルト96の下端に設けられた第2ベース97とを有している。第2ボルト96は、下側筐体51の底面に形成された第2挿入孔(図示せず)に挿入されるように構成されている。ここで、第2ボルト96が上記第2挿入孔に挿入される長さを調整することで、第2アジャスタ95の高さを調整することができる。
【0050】
本実施形態では、第2アジャスタ95は、第1アジャスタ90よりも設置面100に対して滑り難いように構成されている。ここでは、図9に示すように、第1アジャスタ90における設置面100に対する摩擦抵抗は、第1抵抗R1である。図10に示すように、第2アジャスタ95における設置面100に対する摩擦抵抗は、第2抵抗R2である。ここで、第2抵抗R2は第1抵抗R1よりも大きい値である。
【0051】
本実施形態では、第2アジャスタ95における設置面100と接触する部分(ここでは底面)は、ゴムによって形成されている。ここでは、第2アジャスタ95は、下部を覆うゴムキャップ98を有している。ゴムキャップ98は、第2アジャスタ95の下部(ここでは、第2アジャスタ95の第2ベース97)を下方から覆っており、設置面100と接触する。ここでは、ゴムキャップ98以外の第2アジャスタ95の部分(ここでは、第2ボルト96および第2ベース97)は、例えば金属によって形成されている。第2アジャスタ95は、いわゆるゴム付きアジャスタである。ゴム付きアジャスタは、設置面100との摩擦係数が大きいため、設置面100に対する滑り防止効果が大きい。よって、設置面100に対して滑りを発生し難く、筐体50、直接的には下側筐体51を安定した状態で設置面100に設置することができる。
【0052】
一方、図9に示すように、第1アジャスタ90における設置面100と接触する部分(ここでは底面)は、ゴムによって形成されておらず、例えば金属によって形成されている。第1アジャスタ90の下部(例えば第1ベース92)には、第2アジャスタ95のようなゴムキャップは設けられていない。そのため、第1アジャスタ90では、第1ベース92が設置面100に接触する。ここでは、第2アジャスタ95の全体(詳しくは第1ボルト91および第1ベース92)が金属によって形成されている。第1アジャスタ90は、いわゆるゴム無しアジャスタである。
【0053】
ここで、下側筐体51と同様に、設置面100に対して滑りを発生し難く、安定した状態で上側筐体52を設置面100に設置するためには、第1アジャスタ90をゴム付きアジャスタで形成することが有効であると考えられる。しかしながら、ゴム付きアジャスタは、ゴムによって設置面100との摩擦係数を大きくすることができる一方、ゴムの伸縮性によって床反力による揺れ抑制効果が低くなる。特に、本実施形態では、上側筐体52の全体に亘って(言い換えると、第1上側突出部71、上側中央部70および第2上側突出部72に亘って)キャリッジ14が主走査方向Yの一方から他方、または他方から一方に移動可能に構成されている。また、上側筐体52は、下側筐体51よりも主走査方向Yの一方および他方に突出している。このため、キャリッジ14が主走査方向Yの一方から他方、または他方から一方に移動するとき、上側筐体52は主走査方向Yの両方へ振動し易くなっている。よって、第1アジャスタ90として滑り防止用のゴム付きアジャスタを用いた場合には、上側筐体52における主走査方向Yの両方への振動を抑制し難い。
【0054】
これに対して、本実施形態のように、第1アジャスタ90としてゴム無しアジャスタを用いた場合には、床反力による揺れを抑制することができるため、上側筐体52における主走査方向Yの両方への振動を抑制することができる。ここで、第1アジャスタ90としてゴム無しアジャスタを用いた場合には、設置面100との摩擦係数が小さくなり、滑り易くなり得る。しかしながら、連結筐体53を介して、上側筐体52は下側筐体51と連結されており、下側筐体51の四隅にはゴム付きアジャスタである第2アジャスタ95が設けられている。そのため、下側筐体51は設置面100に対して滑りを発生させることなく、安定した状態で設置面100に設置されている。よって、第1アジャスタ90としてゴム無しアジャスタを用いた場合であっても、上側筐体52を安定した状態で設置面100に設置することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、図2に示すように、プリンタ10は、主走査方向Yに延びたガイドレール12と、ガイドレール12に対して摺動自在に設けられたインクヘッド16と、インクヘッド16を主走査方向Yに移動させるヘッド移動機構20と、被印刷物5を支持するテーブル30と、テーブル30を副走査方向Xに移動させるテーブル移動機構40(図6参照)とを備えている。更に、図4に示すように、プリンタ10は、筐体50と、第1アジャスタ90と、第2アジャスタ95とを備えている。筐体50は、図6に示すように、テーブル30が副走査方向Xに移動可能に設けられた下側筐体51と、図2に示すように、インクヘッド16が主走査方向Yに移動可能に設けられ、下側筐体51よりも上方に配置され、かつ、平面視において下側筐体51から主走査方向Yに突出した上側筐体52とを有している。第1アジャスタ90は、上側筐体52を支持し、筐体50が設置される設置面100に接触する。第2アジャスタ95は、下側筐体51を支持し、設置面100に接触する。
【0056】
本実施形態では、印刷時、図2に示すインクヘッド16が主走査方向Yに往復移動しながら印刷が行われる。仮に上側筐体52を支持する第1アジャスタ90が省略されると、インクヘッド16における主走査方向Yの移動により、設置面100に対して上側筐体52が主走査方向Yに揺動することがあり得る。ここでは、上側筐体52は、平面視において下側筐体51よりも主走査方向Yに突出しているため、インクヘッド16が主走査方向Yに往復移動する距離が長くなる。そのため、印刷時において、インクヘッド16が主走査方向Yに移動するときに、上側筐体52が揺動し易くなることがあり得る。一方、印刷時、下側筐体51は、第2アジャスタ95によって支持されているため、上側筐体52と比較して主走査方向Yに揺動し難い。このように、印刷時に、下側筐体51と上側筐体52における揺動する量に差が生じると、インクヘッド16からテーブル30に支持された被印刷物5へのインクの着弾位置に差が生じることがあり得る。その結果、印刷品質が低下することがあり得る。特に、いわゆる双方向印刷のときには、下側筐体51と上側筐体52との揺動する量に差が生じると、インクの着弾位置のズレが顕著になり、印刷品質がより低下するおそれがある。
【0057】
しかしながら、本実施形態では、上側筐体52は、第1アジャスタ90によって支持されている。そのため、印刷時において上側筐体52は、主走査方向Yに揺動し難くすることができる。よって、印刷時において、上側筐体52と下側筐体51とにおける揺動する量に差が生じ難くなり、被印刷物5へのインクの着弾位置にズレが生じ難くなる。よって、印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0058】
本実施形態では、ガイドレール12は、平面視において下側筐体51から主走査方向Yに突出するように上側筐体52に設けられている。このことによって、ガイドレール12が主走査方向Yに比較的に長いため、ガイドレール12に沿って移動するインクヘッド16における主走査方向Yの移動距離も長くなり、印刷時、上側筐体52が主走査方向Yに揺動し易くなる。しかしながら、本実施形態では、上側筐体52は、第1アジャスタ90によって支持されているため、上側筐体52を揺動し難くすることができる。
【0059】
本実施形態では、図9に示すように、第1アジャスタ90における設置面100に対する摩擦抵抗は、第1抵抗R1である。図10に示すように、第2アジャスタ95における設置面100に対する摩擦抵抗は、第1抵抗R1よりも大きい第2抵抗R2である。このことによって、第2アジャスタ95は、第1アジャスタ90よりも設置面100に対して滑り難くすることができる。よって、第2アジャスタ95によって、筐体50が設置面100に対して滑り難くすることができる。第1アジャスタ90における設置面100に対する摩擦抵抗を、第2アジャスタ95における設置面100に対する摩擦抵抗より小さくすることで、平面視において下側筐体51から主走査方向Yに突出する上側筐体52に設けられたガイドレール12上をインクヘッド16が移動することで生じる慣性力を、設置面100による反力によって抑制することができる。その結果、上側筐体52の揺動を抑えることができる。
【0060】
本実施形態では、図10に示すように、第2アジャスタ95における設置面100と接触する部分を、ゴムによって形成させるという簡単な方法で、第2アジャスタ95の摩擦抵抗を、第1アジャスタ90の摩擦抵抗よりも容易に大きくすることができる。
【0061】
本実施形態では、図3に示すように、上側筐体52は、平面視において下側筐体51から主走査方向Yの一方側(ここでは左側)に突出した第1上側突出部71と、平面視において下側筐体51から主走査方向Yの他方側(ここでは右側)に突出した第2上側突出部72とを有している。図2に示すように、第1アジャスタ90は、第1上側突出部71と第2上側突出部72を支持するように複数設けられている。ここでは、下側筐体51の左右両側に位置する第1上側突出部71および第2上側突出部72が、第1アジャスタ90によって支持されるため、上側筐体52を安定して支持することができる。よって、上側筐体52が揺動することをより抑えることができる。
【0062】
本実施形態では、図6および図7に示すように、下側筐体51と上側筐体52は別体である。筐体50は、下側筐体51と上側筐体52とを連結させる連結筐体53(図8参照)を有している。このように、下側筐体51と上側筐体52とが別体である場合、下側筐体51と上側筐体52との間で揺動する量に差が生じ易くなる。しかしなながら、本実施形態では、第1アジャスタ90が上側筐体52を支持し、第2アジャスタ95が下側筐体51を支持することで、下側筐体51と上側筐体52とが別体であっても、下側筐体51と上側筐体52とで揺動する量に差が生じ難くすることができる。
【0063】
本実施形態では、図2に示すように、連結筐体53は、第1上側突出部71を下方から支持する第1連結突出部81と、第2上側突出部72を下方から支持する第2連結突出部82とを有している。第1アジャスタ90は、第1連結突出部81および第2連結突出部82に設けられている。このことによって、第1アジャスタ90は、第1連結突出部81を介して第1上側突出部71を支持することができると共に、第2連結突出部82を介して第2上側突出部72を支持することができる。また、第1連結突出部81および第2連結突出部82は、第1上側突出部71および第2上側突出部72よりも設置面100に近い位置に配置されている。そのため、第1アジャスタ90を第1連結突出部81および第2連結突出部82に設けることで、設置面100までの距離を短くすることができるため、第1上側突出部71および第2上側突出部72を安定して支持することができる。
【0064】
本実施形態では、図5に示すように、下側筐体51は、平面視において矩形状である。第2アジャスタ95は、平面視における下側筐体51の四隅の部分に設けられている。このことによって、第2アジャスタ95によって下側筐体51を安定して支持することができる。
【0065】
本実施形態では、図3に示すように、下側筐体51は、平面視において上側筐体52から副走査方向Xの一方側(ここでは前側)に突出した第1下側突出部61と、平面視において上側筐体52から副走査方向Xの他方側(ここでは後側)に突出した第2下側突出部62とを有している。図5に示すように、第2アジャスタ95は、第1下側突出部61と第2下側突出部62に設けられている。このことによって、上側筐体52の前後両側に位置する第1下側突出部61および第2下側突出部62が、第2アジャスタ95によって支持されるため、下側筐体51を安定して支持することができる。
【0066】
本実施形態では、第1アジャスタ90および第2アジャスタ95は、高さを調整可能に構成されている。このことによって、筐体50の底面から設置面100までの距離に応じて、第1アジャスタ90および第2アジャスタ95の高さを調整する。このことによって、第1アジャスタ90および第2アジャスタ95は、筐体50の底面から設置面100までの距離が変更された場合であっても、設置面100に接触させつつ、筐体50を支持することができる。
【0067】
本実施形態では、下側筐体51と上側筐体52とは別体であり、連結筐体53が下側筐体51と上側筐体52を連結していた。しかしながら、連結筐体53は省略されてもよい。この場合、下側筐体51と上側筐体52とは、直接に組み付けられることで連結されてもよい。
【0068】
本実施形態では、第1アジャスタ90は、連結筐体53の第1連結突出部81および第2連結突出部82に設けられ、第1連結突出部81および第2連結突出部82を介して、第1上側突出部71および第2上側突出部72を支持していた。しかしながら、第1アジャスタ90は、第1上側突出部71および第2上側突出部72に直接設けられてもよく、かつ、第1上側突出部71および第2上側突出部72を直接支持してもよい。
【符号の説明】
【0069】
5 被印刷物
10 プリンタ
12 ガイドレール
16 インクヘッド
20 ヘッド移動機構
30 テーブル
40 テーブル移動機構
50 筐体
51 下側筐体
52 上側筐体
53 連結筐体
61 第1下側突出部
62 第2下側突出部
71 第1上側突出部
72 第2上側突出部
81 第1連結突出部
82 第2連結突出部
90 第1アジャスタ
95 第2アジャスタ
100 設置面
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10