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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123889
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車上装置及びデータ管理装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/14 20060101AFI20240905BHJP
   B60L 15/40 20060101ALI20240905BHJP
   B61L 27/70 20220101ALI20240905BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20240905BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240905BHJP
【FI】
B61L23/14 Z
B60L15/40 J
B61L27/70
H04W48/16 134
H04W88/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031678
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】横山 保
【テーマコード(参考)】
5H125
5H161
5K067
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125CA06
5H125CC04
5H125EE51
5H161AA01
5H161BB02
5H161CC02
5H161DD21
5H161EE07
5H161FF07
5H161JJ12
5K067EE02
5K067EE04
5K067EE10
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】地上装置との間での列車制御用の無線通信を確実に行うための技術を提供すること。
【解決手段】車上装置10は、地上装置との間で無線通信網を介した列車制御用の無線通信を行う列車に搭載される。車上装置10は、N種(例えば3種)の無線通信網それぞれに対応する第1~第3の無線通信部110a,110b,110cと、列車の走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれによる地上装置との間での通信を計測及び/又は評価した通信調査データを記憶する車上記憶部190と、列車の現在の走行位置に対応する通信調査データに基づいて、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cの中から列車制御用の無線通信に使用する無線通信部を切り替える制御を行う切替制御部163と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上装置との間で無線通信網を介した列車制御用の無線通信を行う列車に搭載される車上装置であって、
N種(N≧2)の前記無線通信網それぞれに対応するN個の無線通信手段と、
前記列車の走行位置毎に、前記N個の無線通信手段それぞれによる前記地上装置との間での通信を計測及び/又は評価した通信調査データを記憶する記憶部と、
前記列車の現在の走行位置に対応する前記通信調査データに基づいて、前記N個の無線通信手段の中から前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う切替制御手段と、
を備える車上装置。
【請求項2】
前記列車制御用の無線通信を行っていないときに、前記N個の無線通信手段のうちの何れかの無線通信手段を使用して前記地上装置との間での通信を試行し、当該試行時の走行位置及び使用した無線通信手段に対応する新たな前記通信調査データを取得して前記記憶部の記憶内容を更新する通信調査データ更新制御手段、
を更に備える請求項1に記載の車上装置。
【請求項3】
前記通信調査データは、前記列車の走行位置毎で且つ走行方向別に、前記通信調査データを記憶し、
前記切替制御手段は、前記列車の現在の走行位置及び走行方向に対応する前記通信調査データに基づいて、前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う、
請求項1に記載の車上装置。
【請求項4】
前記通信調査データは、前記列車の走行位置毎で且つ走行速度域毎に、前記通信調査データを記憶し、
前記切替制御手段は、前記列車の現在の走行位置及び走行速度域に対応する前記通信調査データに基づいて、前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う、
請求項1に記載の車上装置。
【請求項5】
前記通信調査データは、前記列車の走行位置毎で且つ時間帯別に、前記通信調査データを記憶し、
前記切替制御手段は、前記列車の現在の走行位置及び時間帯に対応する前記通信調査データに基づいて、前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う、
請求項1に記載の車上装置。
【請求項6】
前記通信調査データは、前記地上装置との間での通信時間又は通信速度の計測データ、又は、当該計測データを評価したデータ、である、
請求項1~5の何れか一項に記載の車上装置。
【請求項7】
地上装置との間で無線通信網を介した列車制御用の無線通信を行う列車に搭載される車上装置による無線通信の試行結果データを収集するデータ管理装置であって、
前記車上装置は、N種(N≧2)の前記無線通信網それぞれに対応するN個の無線通信手段と、前記N個の無線通信手段の中から前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う切替制御手段と、前記列車制御用の無線通信を行っていないときに、前記N個の無線通信手段のうちの何れかの無線通信手段を使用して前記地上装置との間での通信を試行することで、当該試行時の走行位置及び使用した無線通信手段の情報を含む前記試行結果データを得る通信試行制御手段と、を備えており、
前記車上装置から、前記通信試行制御手段によって得られた前記試行結果データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記試行結果データに基づいて、走行位置毎に、前記N個の無線通信手段それぞれによる前記地上装置との間での通信を計測及び/又は評価した通信調査データを作成する通信調査データ作成手段と、
を備えるデータ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車に搭載される車上装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
列車の車上装置と地上側の設備(地上装置)との間で無線通信を行って必要なデータを送受するための技術として、複数の通信媒体の中から電波状態の良好な通信媒体を選んで通信を行う技術が知られている(特許文献1を参照)。また、予め走行区間毎に電波状態の良好な通信媒体を示す情報を記憶しておき、列車の現在の走行位置に応じて使用する通信媒体を切り替える技術も知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-159873号公報
【特許文献2】国際公開第2017/183205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特許文献1,2の技術で開示されている電波状態とは別の指標を用いた新たな手法によって、地上装置との間での列車制御用の無線通信を確実に行うための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、地上装置との間で無線通信網を介した列車制御用の無線通信を行う列車に搭載される車上装置であって、N種(N≧2)の前記無線通信網それぞれに対応するN個の無線通信手段(例えば、図5に示す第1~第3の無線通信部110a,110b,110c)と、前記列車の走行位置毎に、前記N個の無線通信手段それぞれによる前記地上装置との間での通信を計測及び/又は評価した通信調査データを記憶する記憶部(例えば、図5に示す車上記憶部190)と、前記列車の現在の走行位置に対応する前記通信調査データに基づいて、前記N個の無線通信手段の中から前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う切替制御手段(例えば、図5に示す切替制御部163)と、を備える車上装置である。
【0006】
第1の発明によれば、車上装置には、N個の無線通信手段それぞれについて、列車の走行位置毎に、地上装置との間での通信を計測及び/又は評価した通信調査データが記憶される。そして、列車の現在の走行位置に応じた通信調査データを用いて、各無線通信手段の中から使用する無線通信手段を切り替えることができる。したがって、地上装置との間での列車制御用の無線通信を確実に行うことが可能となる。
【0007】
また、第2の発明は、上記の発明において、前記列車制御用の無線通信を行っていないときに、前記N個の無線通信手段のうちの何れかの無線通信手段を使用して前記地上装置との間での通信を試行し、当該試行時の走行位置及び使用した無線通信手段に対応する新たな前記通信調査データを取得して前記記憶部の記憶内容を更新する通信調査データ更新制御手段(例えば、図5に示す計測データ更新制御部165、評価データ更新制御部167)、を更に備える車上装置である。
【0008】
第2の発明によれば、列車の走行中、列車制御用の無線通信を行っていないときに、何れかの無線通信手段を使用して地上装置との間での通信を試行して、試行時の走行位置について、使用した無線通信手段に係る新たな通信調査データを取得できる。したがって、N個の無線通信手段それぞれに係る走行位置毎の通信調査データの記憶内容を、随時更新することが可能となる。
【0009】
また、第3の発明は、上記の発明において、前記通信調査データは、前記列車の走行位置毎で且つ走行方向別に、前記通信調査データを記憶し、前記切替制御手段は、前記列車の現在の走行位置及び走行方向に対応する前記通信調査データに基づいて、前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う、車上装置である。
【0010】
第3の発明によれば、N個の無線通信手段それぞれに係る走行位置毎の通信調査データを走行方向別に記憶しておき、列車の現在の走行位置及び走行方向に応じた通信調査データを用いて、列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替えることができる。
【0011】
また、第4の発明は、上記の発明において、前記通信調査データは、前記列車の走行位置毎で且つ走行速度域毎に、前記通信調査データを記憶し、前記切替制御手段は、前記列車の現在の走行位置及び走行速度域に対応する前記通信調査データに基づいて、前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う、車上装置である。
【0012】
第4の発明によれば、N個の無線通信手段それぞれに係る走行位置毎の通信調査データを走行速度域毎に記憶しておき、列車の現在の走行位置及び走行速度域に応じた通信調査データを用いて、列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替えることができる。
【0013】
また、第5の発明は、上記の発明において、前記通信調査データは、前記列車の走行位置毎で且つ時間帯別に、前記通信調査データを記憶し、前記切替制御手段は、前記列車の現在の走行位置及び時間帯に対応する前記通信調査データに基づいて、前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う、車上装置である。
【0014】
第5の発明によれば、N個の無線通信手段それぞれに係る走行位置毎の通信調査データを時間帯別に記憶しておき、列車の現在の走行位置及び時間帯に応じた通信調査データを用いて、列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替えることができる。
【0015】
また、第6の発明は、上記の発明において、前記通信調査データは、前記地上装置との間での通信時間又は通信速度の計測データ、又は、当該計測データを評価したデータ、である、車上装置である。
【0016】
第6の発明によれば、地上装置との間での通信時間や通信速度を用いて、列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替えることができる。
【0017】
また、第7の発明は、上記の発明において、地上装置との間で無線通信網を介した列車制御用の無線通信を行う列車に搭載される車上装置による無線通信の試行結果データを収集するデータ管理装置であって、前記車上装置は、N種(N≧2)の前記無線通信網それぞれに対応するN個の無線通信手段と、前記N個の無線通信手段の中から前記列車制御用の無線通信に使用する無線通信手段を切り替える制御を行う切替制御手段と、前記列車制御用の無線通信を行っていないときに、前記N個の無線通信手段のうちの何れかの無線通信手段を使用して前記地上装置との間での通信を試行することで、当該試行時の走行位置及び使用した無線通信手段の情報を含む前記試行結果データを得る通信試行制御手段と、を備えており、前記車上装置から、前記通信試行制御手段によって得られた前記試行結果データを取得する取得手段(例えば、図9に示す取得部31)と、前記取得手段により取得された前記試行結果データに基づいて、走行位置毎に、前記N個の無線通信手段それぞれによる前記地上装置との間での通信を計測及び/又は評価した通信調査データを作成する通信調査データ作成手段(例えば、図9に示す通信調査データ作成部33)と、を備えるデータ管理装置である。
【0018】
第7の発明によれば、車上装置から、走行位置毎の各無線通信手段に係る試行結果データを収集することができる。そして、収集した試行結果データに基づいて、無線通信手段それぞれに係る走行位置毎の通信調査データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車上装置と中央装置との無線通信を説明するための図。
図2】列車制御システムの全体構成例を示す図。
図3】通信計測履歴データのデータ構成例を示す図。
図4】通信評価データのデータ構成例を示す図。
図5】車上装置の機能構成例を示すブロック図。
図6】車上装置が行う処理の流れを示すフローチャート。
図7】計測データ更新制御処理の流れを示すフローチャート。
図8】変形例における通信評価データのデータ構成例を示す図。
図9】変形例における中央装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
【0021】
図1は、本実施形態の列車制御システムにおける車上装置10と中央装置30との間の無線通信を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態の列車制御システムは、軌道9を走行する列車1に搭載される車上装置10と、地上装置である中央装置30と、を含み、無線通信網7を介した無線通信によって互いにデータの送受が可能に接続されて構成されている。
【0022】
車上装置10は、列車1の現在の走行位置を計測しつつ、中央装置30との間で列車制御用の無線通信を行って列車1の走行に必要な制御情報を随時取得しながら、列車1の走行制御を行う。具体的には、車上装置10は、中央装置30からの制御情報に従って列車1の速度パターンを生成し、生成した速度パターンに従って列車1の走行制御を行う。
【0023】
ここで、車上装置10と中央装置30との間の通信環境は、列車1の走行位置によって変わる。周囲に存在する建造物や樹木等の障害物との位置関係が走行位置によって変化し、通信相手の基地局との距離も変化するためである。そこで、本実施形態では、車上装置10を、N種(N≧2)の無線通信網7それぞれに対応するN個の無線通信部を備えた構成とする。
【0024】
図2は、本実施形態における列車制御システムの全体構成例を示す図である。例えば、車上装置10は、図2に示すように、3個の無線通信部(第1~第3の無線通信部)110a,110b,110cを備えており、対応する3種の無線通信網(第1~第3の無線通信網)7a,7b,7cを介した中央装置30との無線通信が可能な構成となっている。より詳細には、第1~第3の無線通信網7a,7b,7cは、例えば、異なる通信事業者(通信事業者a,b,c)が提供している携帯電話回線等の無線通信網である。そして、車上装置10は、列車1の現在の走行位置に応じて使用する無線通信部を切り替え、対応する通信事業者の無線通信網7を介して中央装置30との間で列車制御用の無線通信を行う。
【0025】
そのために、車上装置10は、通信調査データとして、列車1の走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれによる中央装置30との間での通信を計測した通信計測データを記憶するとともに(図3の通信計測履歴データ191を参照)、当該通信計測履歴データ191をもとにして、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cをそれぞれ使用した場合の中央装置30との通信を走行位置毎に評価した通信評価データを記憶する(図4の通信評価データ193を参照)。そして、列車1の走行中は、車上装置10は、列車1の現在の走行位置に対応する通信評価値に基づいて、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cの中から中央装置30との列車制御用の無線通信に使用する無線通信部を切り替える切替制御処理を実行する。
【0026】
また、車上装置10は、列車1の走行中、列車制御用の無線通信を行っていないときに、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cのうちの何れかを使用して中央装置30との間での通信を試行して、通信計測履歴データ191を更新する計測データ更新制御処理を実行する。そして、車上装置10は、列車の運行終了後等の所定のタイミングで通信計測履歴データ191を集計・評価して、通信評価データ193を更新する評価データ更新制御処理を実行する。
【0027】
1.通信計測履歴データについて
図3は、通信計測履歴データ191のデータ構成例を示す図である。図3に示すように、通信計測履歴データ191は、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cのそれぞれについて、取得済みの通信計測データを蓄積したデータテーブルである。過去に取得した全ての通信計測データを蓄積しておく構成でもよいし、直近の過去所定期間分の通信計測データを蓄積しておく構成でもよい。過去所定期間分を記憶しておく場合の当該期間は、例えば1ヶ月分や1週間分、3日分等、適宜設定してよい。また、走行位置は、例えば、走行する線区の起点から所定の単位距離毎の位置とすることができる。単位距離は、例えば、100mとする等適宜設定しておけばよい。
【0028】
本実施形態では、計測データ更新制御処理において、列車1の走行中、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cの何れかを使用した場合の中央装置30との間での通信時間が計測される。通信時間は、通信相手(この場合、中央装置30)を指定した応答時間であり、無線通信網7に応じた所定の応答時間計測処理で計測することが可能である。例えば、無線通信網7がIPネットワークであれば、pingコマンドを使用して計測することが可能である。そして、計測された通信時間が計測日時と対応付けられて当該走行位置に係る通信計測データとされ、通信計測履歴データ191として車上装置10に記憶される。
【0029】
2.計測データ更新制御処理について
計測データ更新制御処理では、車上装置10は、列車1の走行中、列車制御用の無線通信を行っていないときに、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cのうちの何れかを使用して中央装置30との間の通信を試行し、通信時間を計測する。本実施形態では、車上装置10は、走行位置毎に(つまり、列車1が所定の単位距離を走行するたびに)計測データ更新制御処理を実行する。具体的には、例えば、列車制御用の無線通信を行っていないタイミングを選んで中央装置30に対してpingコマンドを実行することで、通信時間を取得する。
【0030】
どの無線通信部を使用して通信を試行するのかは、列車1の現在の走行位置に係る取得済みの通信計測データの計測日時を比較して決定する。例えば、列車1の現在の走行位置が図3の「5k100m」の走行位置の場合であれば、車上装置10は、対応する第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信計測データのうちの最後に計測された通信計測データ(破線で囲って示す3つ)の計測日時を参照して、計測日時が最も古い無線通信部を選択する。図3の例では、第3の無線通信部110cを選択することとなる。その場合は、車上装置10は、第3の無線通信部110cを使用して中央装置30に対するpingコマンドを実行し、得られた応答時間(通信時間)を現在時刻(計測日時)と対応付けて、当該走行位置における第3の無線通信部110cの新たな通信計測データとして通信計測履歴データ191に追加する。本実施形態においては、通信計測履歴データ191は、当日の列車1の運行終了後の1日1回程度のタイミングで集計・評価される。また、列車1は、同じ線区を1日の間に何度も走行する。このため、1度の走行で全ての無線通信部に係る通信計測データを取得する必要はない。何度も走行する間に、それぞれの無線通信部に係る通信計測データが最終的に通信計測履歴データ191に追加されればよい。
【0031】
なお、以上説明したように、本実施形態では、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cのうちの何れか1つを選んで中央装置30との間での通信を試行するが、これに限定されない。例えば、試行のための時間的な余裕があるのであれば、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cの全てについて中央装置30との間での通信を試行して、通信時間を計測する構成としてもよい。すなわち、1度の走行で全ての無線通信部に係る通信計測データを取得する構成としてもよい。また、走行位置は意識せず、列車制御用の無線通信を行っていないときに随時通信を試行して、通信時間を計測する構成でもよい。その場合は、計測した通信時間を計測日時と対応付けて、試行時の走行位置における通信計測データとして追加することで、通信計測履歴データ191を更新する。
【0032】
3.通信評価データについて
図4は、通信評価データ193のデータ構成例を示す図である。図4に示すように、通信評価データ193は、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cのそれぞれについて、対応する通信計測データの評価結果を格納したデータテーブルである。
【0033】
本実施形態では、評価データ更新制御処理において、通信計測履歴データ191に蓄積されている通信計測データが評価される。評価は、例えば、高い方から順に「A」~「E」の5段階で行われ、最新の評価結果(「A」~「E」の通信評価値)が通信評価データ193に設定される。
【0034】
4.評価データ更新制御処理について
本実施形態では、車上装置10は、例えば、列車1の運行終了後に評価データ更新制御処理を実行して、通信評価データ193を更新する。評価データ更新制御処理では、車上装置10は、通信計測履歴データ191を参照し、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信計測データを順次評価する。具体的には、1つの走行位置について1つの無線通信部に着目すると、車上装置10は、先ず、当該走行位置の当該無線通信部に係る通信計測データそれぞれの各通信時間の平均値(平均通信時間)を算出する。ここでの処理により、当日の運行で計測された通信時間を含めて通信計測データが集計される。続いて、車上装置10は、算出した平均通信時間を「A」~「E」の5段階で評価する。ここでの処理は、平均通信時間が短いほど評価が高くなるように、平均通信時間の時間長と、「A」~「E」の通信評価値と、の関係を予め設定しておくことで実現できる。
【0035】
5.切替制御処理について
切替制御処理では、車上装置10は、列車1の走行中、通信評価データ193に従って、走行位置毎に、列車制御用の無線通信で使用する無線通信部を切り替える制御を行う。具体的には、車上装置10は、通信評価データ193から列車1の現在の走行位置に対応する第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信評価値を読み出し、通信評価値が最も高い無線通信部に切り替える制御を行う。これにより、列車制御用の無線通信に使用する無線通信部が、走行位置毎に、平均通信時間がより短く、評価のより高い無線通信部に切り替えられる。
【0036】
6.機能構成について
図5は、車上装置10の機能構成例を示すブロック図である。図5に示すように、車上装置10は、第1の無線通信部110aと、第2の無線通信部110bと、第3の無線通信部110cと、操作入力部130と、表示部150と、車上制御部160と、車上記憶部190と、を備える。
【0037】
操作入力部130は、例えば、スイッチやボタン等を有する入力装置であり、操作入力に応じた操作信号を車上制御部160に出力する。表示部150は、例えば、ランプや液晶表示装置等で実現され、車上制御部160からの表示信号に応じた表示を行う。
【0038】
車上制御部160は、中央装置30からの制御情報等に基づいて、車上装置10の動作を統括的に制御する。車上制御部160は、走行位置算出部161と、切替制御部163と、計測データ更新制御部165と、評価データ更新制御部167と、を含む。これらの各機能部は、プログラムを実行することによりソフトウェアとして実現される演算処理ブロックであってもよいし、信号処理回路によって実現される回路ブロックであってもよい。本実施形態では、車上制御部160が所定のプログラムを実行することによりソフトウェアとして実現される演算処理ブロックとして説明する。
【0039】
走行位置算出部161は、車輪又は車軸の回転を検出するパルスジェネレータや速度発電機等の回転検出器(不図示)の検出信号をもとに、自列車の現在の走行位置(走行距離)を算出する。算出した走行位置は、走行位置情報195として車上記憶部190に記憶される。
【0040】
切替制御部163は、切替制御処理を実行する機能部であり、通信評価データ193から列車1の現在の走行位置に対応する第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信評価値を読み出し、列車制御用の無線通信に使用する無線通信部を切り替える制御を行う。本実施形態では、切替制御部163は、走行位置情報195に従って、列車1が所定の単位距離を走行するたびに、通信評価値が最も高い無線通信部に切り替える制御を行う。
【0041】
計測データ更新制御部165は、計測データ更新制御処理を実行する機能部である。計測データ更新制御部165は、列車1の走行中、列車制御用の無線通信を行っていないときに、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cのうちの何れかを使用して中央装置30との間での通信を試行し、通信時間を計測する。本実施形態では、計測データ更新制御部165は、走行位置情報195に従って、列車1が所定の単位距離を走行するたびに計測データ更新制御処理を実行する。そして、計測データ更新制御部165は、得られた通信時間を計測日時と対応付けて、通信を試行した無線通信部に係る新たな通信計測データとして通信計測履歴データ191に追加する。
【0042】
評価データ更新制御部167は、評価データ更新制御処理を実行する機能部である。本実施形態では、評価データ更新制御部167は、列車1の運行終了後において、当日の運行で新たに計測・追加された通信計測データを含む通信計測履歴データ191を集計して、通信評価データ193を更新する。具体的には、評価データ更新制御部167は、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信計測データについて平均通信時間を算出する。そして、評価データ更新制御部167は、算出した平均通信時間を「A」~「E」の5段階で評価して、通信評価データ193を更新する。
【0043】
車上記憶部190は、ICメモリやハードディスク等の記憶媒体により実現される。この車上記憶部190には、車上装置10を動作させ、車上装置10が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、当該プログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶され、或いは処理の都度一時的に記憶される。本実施形態では、車上記憶部190には、通信計測履歴データ191(図3を参照)と、通信評価データ193(図4を参照)と、走行位置情報195と、が記憶される。
【0044】
7.処理の流れについて
図6は、車上装置10が行う処理であって、無線通信部の切り替えに関連した処理の流れを示すフローチャートである。列車1の走行中は、走行位置毎に(列車1が所定の単位距離を走行するたびに)、切替制御部163が切替制御処理を実行する(ステップS1)。すなわち、切替制御部163は、通信評価データ193を参照し、当該走行位置において通信評価値が最も高い無線通信部に切り替える制御を行う。
【0045】
続いて、計測データ更新制御部165が計測データ更新制御処理を実行して、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cの何れかを使用した中央装置30との間での通信を計測して、列車1の現在の走行位置について新たな通信計測データを計測する(ステップS3)。図7は、計測データ更新制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図7に示すように、計測データ更新制御処理では、列車制御用の無線通信を行っていないときに(ステップS31:NO)、ステップS33に移行する。列車制御用の無線通信を行っている場合には(ステップS31:YES)、当該無線通信が終了するのを待ってステップS33に移行する。そして、ステップS33では、計測データ更新制御部165は、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cの中から、今回通信を試行する無線通信部を選択する。例えば、通信計測履歴データ191を参照して、列車1の現在の走行位置に対応する第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信計測データの中から最後に計測した通信計測データの計測日時を読み出す。そして、読み出した計測日時が最も古い無線通信部を選択する。
【0047】
続いて、計測データ更新制御部165は、ステップS33で選択した無線通信部を使用して中央装置30との間での通信を試行し、通信時間を計測する(ステップS35)。そして、計測データ更新制御部165は、ステップS35で計測した通信時間を計測日時と対応付けて現在の走行位置の当該無線通信部に係る新たな通信計測データとし、通信計測履歴データ191に追加する(ステップS37)。
【0048】
計測データ更新制御処理を実行したならば、図6のステップS5に移行して、列車1の運行を終了するまでの間は(ステップS5:NO)、ステップS1に戻って上記した処理を繰り返す。
【0049】
また、列車1の運行を終了した場合には(ステップS5:YES)、評価データ更新制御部167が評価データ更新制御処理を実行して、通信評価データ193を更新する(ステップS7)。本実施形態では、評価データ更新制御部167は、走行位置毎に第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信計測データを集計し、「A」~「E」の5段階で評価して、通信評価データ193に設定する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、列車1の走行中、現在の走行位置において、中央装置30との間での通信に係る平均通信時間がより短く評価の高い無線通信部を使用して、列車制御用の無線通信を行うことができる。したがって、中央装置30との間での列車制御用の無線通信を確実に行うことが可能となる。
【0051】
なお、本発明を適用可能な形態は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0052】
[変形例1]
例えば、上記実施形態では、中央装置30との間での通信時間を計測して通信計測データとし、通信計測履歴データ191に追加するとともに、計測された通信時間を評価して通信評価データ193を更新する例を説明した。これに対し、中央装置30との間での通信速度を計測して通信計測データとし、通信計測履歴データに追加するとともに、計測された通信速度を評価して通信評価データを更新する構成としてもよい。
【0053】
[変形例2]
また、上記実施形態では、走行する線区の起点から所定の単位距離毎の位置を走行位置とし、走行位置毎に(つまり、列車が所定の単位距離を走行するたびに)計測データ更新制御処理を実行して、通信時間を計測することとした。そして、各走行位置の通信計測データを評価した通信評価データに従って、走行位置毎に、列車制御用の無線通信で使用する無線通信部を切り替える制御を行うこととした。これに対し、予め走行する線区を、周辺の地形や、そこが市街地なのか山の中なのかといった周辺環境等に基づいて複数の区間に区画し、各区間の境界位置を計測位置として設定しておく構成としてもよい。そして、走行位置が計測位置を通過したタイミングで計測データ更新制御処理を実行するとともに、各計測位置の通信計測データを評価した通信評価データに従って、区間毎に、列車制御用の無線通信で使用する無線通信部を切り替える制御を行うこととしてもよい。
【0054】
[変形例3]
また、上記実施形態では、列車の走行時に毎回通信計測データを取得し、列車の運行終了後等の所定のタイミングで通信計測履歴データを集計・評価して、通信評価データを更新することとした。これに対し、通信計測データの取得や通信評価データの更新は、1週間毎や1か月毎といった所定期間毎に行う構成としてもよい。すなわち、例えば、月毎の所定の日の列車の走行時に通信計測データを取得し、当日の運行終了後に通信評価データを更新する等としてもよい。
【0055】
[変形例4]
また、上記実施形態では、通信調査データとして、中央装置30との間での通信を計測した通信計測データと、当該通信を評価した通信評価データと、を記憶しておく構成とした。これに対し、通信計測データ及び通信評価データの何れか一方を通信調査データとして記憶しておく構成でもよい。その場合は、当該通信調査データに基づいて、列車制御用の無線通信に使用する無線通信部を走行位置毎に切り替える制御を行う。
【0056】
[変形例5]
また、上下線で走行する線路が異なる複線の線区を走行する列車の車上装置に適用する場合には、通信調査データ(例えば上記実施形態の通信計測データ及び通信評価データ)を走行方向別に記憶しておく構成でもよい。その場合は、車上装置10は、列車1が上り方向である場合には、上り用の通信評価データを用いて走行位置毎に使用する無線通信部(上記実施形態では第1~第3の無線通信部110a,110b,110c)を切り替える制御を行うとともに、上り用の通信計測履歴データに随時通信計測データを追加して更新する。一方、下り方向である場合には、車上装置10は、下り用の通信評価データを用いて走行位置毎に使用する無線通信部を切り替える制御を行うとともに、下り用の通信計測履歴データに随時通信計測データを追加して更新する。運行終了後は、車上装置10は、上り用及び下り用の通信計測データをそれぞれ集計・評価して、対応する通信評価データを更新する。上下線で走行する線路が異なる場合には、同じキロ程であっても、上り方向/下り方向で無線通信を行う実際の位置が異なる。そのため、走行位置をキロ程の位置で管理する場合等においては、本方式を採用するとより好適である。
【0057】
[変形例6]
また、例えば、各駅停車や快速、特急等の走行速度域が異なる列車種別の列車として運行される場合には、通信調査データ(通信計測データ及び通信評価データ)を走行速度域別に記憶しておく構成でもよい。その場合は、車上装置10は、列車の走行速度域に対応する通信評価データを用いて走行位置毎に使用する無線通信部を切り替える制御を行うとともに、該当する走行速度域用の通信計測履歴データに随時通信計測データを追加して更新する。運行終了後は、車上装置10は、各走行速度域用の通信計測データをそれぞれ集計・評価して、対応する通信評価データを更新する。走行する列車に搭載された車上装置10が無線通信網7を介して地上装置と無線通信を行う場合、無線通信網7の側は、基地局間でハンドオーバーを行う必要が生じる。走行速度が速くなるほど、ハンドオーバーの頻度が高くなる。そのため、走行位置及び走行速度域によっては、無線通信網7毎に、地上装置との間での通信時間に差が生じる場合が起こり得る。したがって、複数の列車種別の列車が運行される線区の場合等においては、本方式を採用するとより好適である。また、上り方向/下り方向でハンドオーバーを行う基地局が異なるため、変形例3と変形例4とを組み合わせる方式も好適である。
【0058】
[変形例7]
また、通信計測データの評価は、複数の時間帯毎に分けて行う構成としてもよい。図8は、本変形例における通信評価データのデータ構成例を示す図である。図8では、朝/昼/夜の3つの時間帯毎に通信計測データを集計・評価する例を示している。本変形例の場合は、車上装置10は、評価データ更新制御処理において、各走行位置の第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信計測データを時間帯毎に集計する。すなわち、計測日時が朝の時間帯の通信計測データに基づいて平均通信時間を算出し、算出した平均通信時間を評価する。昼の時間帯及び夜の時間帯についても同様に、通信計測データを集計・評価して、通信評価データを更新する。
【0059】
そして、列車1の走行中は、走行位置毎に、現在時刻の時間帯に対応する第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれの通信評価値を通信評価データから読み出して、使用する無線通信部を切り替えるのに用いる。すなわち、現在時刻の時間帯において通信評価値が最も高い無線通信部に切り替える制御を行う。
【0060】
[変形例8]
また、外部のデータ管理装置が、軌道9を走行する列車1の車上装置10のそれぞれから試行結果データを収集し、収集した試行結果データから通信調査データを作成する構成としてもよい。例えば、中央装置30が、車上装置10から試行結果データとして通信計測データを収集し、収集した通信計測データを集計・評価して通信評価データを作成する構成としてもよい。図9は、その場合の中央装置30の構成例を示す図である。図9に示すように、中央装置30は、取得部31と、通信調査データ作成部33と、を備える。
【0061】
取得部31は、軌道9を走行する列車の車上装置10のそれぞれから試行結果データを取得・収集する。そのために、車上装置10は、例えば、列車の運行終了後等の所定のタイミングで、無線通信網7等を介して試行結果データを中央装置30に送信する。具体的には、当日の運行で新たに取得した通信計測データのそれぞれに、走行位置と、使用した無線通信部を示す情報と、を対応付けた試行結果データを送信する制御を行う。
【0062】
通信調査データ作成部33は、取得部31によって取得された試行結果データに基づいて、走行位置毎に、第1~第3の無線通信部110a,110b,110cそれぞれによる中央装置30との間での通信を評価した通信評価データを作成する。そして、通信調査データ作成部33は、作成した通信評価データを各車上装置10に送信する。車上装置10では、中央装置30から送信された通信評価データを用いて、走行位置毎に使用する無線通信部を切り替える制御を行う。
【0063】
[変形例9]
また、上記実施形態では、地上装置として中央装置30を例示し、車上装置10が中央装置30との間で行う列車制御用の無線通信について説明した。これに対し、駅装置や、図1に示す踏切制御装置5、転てつ機の制御装置等の地上装置との間で列車制御用の無線通信を行う場合にも同様に適用が可能である。
【0064】
[変形例10]
また、上記実施形態では、3種の無線通信網7a,7b,7cに対応する3個の無線通信部110a,110b,110cを車上装置10が備えた構成を例示したが、無線通信網の種類は2種以上であればよく、車上装置10は、対応した無線通信部を備えていればよい。また、採用する無線通信網の組み合わせについても特に限定されない。例えば、無線通信網には、通信事業者の携帯電話回線を用いてもよいし、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク等の無線LANを含めることができる。また、軌道9に沿って専用の無線基地局を設置することで形成した無線通信網、軌道9に沿ってループアンテナや漏洩同軸ケーブル(LCX)を敷設することで形成した無線通信網等を含めてもよい。組み合わせの例を挙げれば、例えば、所定の通信事業者が提供している携帯電話回線と、無線LANと、LCXと、の3種の無線通信網を採用する構成とすることもできる。その場合は、各無線通信網に対応した3個の無線通信部を車上装置10が備えた構成とする。
【符号の説明】
【0065】
10 車上装置、110a,110b,110c 無線通信部、130 操作入力部、150 表示部、160 車上制御部、161 走行位置算出部、163 切替制御部、165 計測データ更新制御部、167 評価データ更新制御部、190 車上記憶部、191 通信計測履歴データ、193 通信評価データ、195 走行位置情報、30 中央装置、31 取得部、33 通信調査データ作成部、7(7a,7b,7c) 無線通信網、1 列車、5 踏切制御装置、9 軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9