(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123892
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】メディカルカート
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240905BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20240905BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20240905BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61G12/00 C
B62B3/00 D
B62B3/02 F
B62B5/00 F
A61G12/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031688
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康廣
【テーマコード(参考)】
3D050
4C341
【Fターム(参考)】
3D050AA38
3D050BB03
3D050BB05
3D050BB11
3D050DD03
3D050EE15
4C341JJ01
4C341LL07
4C341MN16
4C341MP01
4C341MQ03
4C341MS15
(57)【要約】
【課題】カテーテルなどの長尺な物品と、小型の箱状の物品との両方を自在に収納する。
【解決手段】メディカルカートは、四隅に配置され、少なくとも上下方向に延びた支柱と、上下方向に直交する幅方向に略直線状に延びたフレーム群と、前記支柱の下端にそれぞれ設けられたキャスターと、上下方向において前記フレーム群と前記キャスターとの間に位置し、幅方向と、上下方向及び幅方向に直交する前後方向とに延びた底受け面を備える受け部材とを有する。前記フレーム群は、幅方向に延びた少なくとも第1及び第2フレームを備え、前記第1及び第2フレームは、前後方向に間隔を空けて位置し、前記第1及び第2フレームは、それぞれ、幅方向に延びた第1及び第2支持面を備え、前記第1及び第2支持面は、前記第1支持面を延長した第1仮想面と前記第2支持面を延長した第2仮想面とが略直交するように位置している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅に配置され、少なくとも上下方向に延びた支柱と、
前記上下方向に直交する幅方向に略直線状に延びたフレーム群と、
前記支柱の下端にそれぞれ設けられたキャスターと、
前記上下方向において前記フレーム群と前記キャスターとの間に位置し、前記幅方向と、前記上下方向及び前記幅方向に直交する前後方向とに延びた底受け面を備える受け部材と、
を有し、
前記フレーム群は、フレームとして、前記幅方向に延びた少なくとも第1フレーム及び第2フレームを備え、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記前後方向に間隔を空けて位置し、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、それぞれ、支持面として、前記幅方向に延びた第1支持面及び第2支持面を備え、
前記第1支持面及び前記第2支持面は、前記第1支持面を延長した第1仮想面と前記第2支持面を延長した第2仮想面とが略直交するように位置している、メディカルカート。
【請求項2】
前記フレーム群は、前記フレームとして、さらに、前記幅方向に延びた第3フレーム及び第4フレームを備え、
前記第1フレーム、前記第2フレーム、前記第3フレーム及び前記第4フレームは、前記前後方向に間隔を空けて位置し、
前記第3フレーム及び前記第4フレームは、それぞれ、支持面として、前記幅方向に延びた第3支持面及び第4支持面を備え、
前記第3支持面は、前記第1仮想面と略同一平面上にあり、前記第4支持面は、前記第2仮想面と略同一平面上にある、請求項1に記載のメディカルカート。
【請求項3】
前記支持面は、前記上下方向及び前記前後方向の平面に対して傾斜した面である、請求項1又は2に記載のメディカルカート。
【請求項4】
前記フレーム群は、少なくとも、上側フレーム群と、前記上下方向において前記上側フレーム群よりも下側に位置する下側フレーム群とを備え、
前記受け部材は、前記上下方向において前記下側フレーム群と前記キャスターとの間に位置している、請求項1又は2に記載のメディカルカート。
【請求項5】
前記フレーム群の少なくとも1つのフレームに、前記幅方向に所定間隔で複数の孔が設けられ、
前記孔に係合する突出部を備え、前記上下方向及び前記前後方向に延びた面を構成する少なくとも1つの仕切り部材が着脱可能に設けられている、請求項1又は2に記載のメディカルカート。
【請求項6】
前記仕切り部材は、略S字形状の線状部材である、請求項5に記載のメディカルカート。
【請求項7】
前記フレーム群の各フレームは、L字部材であり、該L字部材の一面が前記支持面を構成している、請求項1又は2に記載のメディカルカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場で用いられる、医療用品の収納や運搬用のメディカルカートに関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療現場において、長尺な医療用品の収納に特化した什器や、医療用品の収納や運搬に特化したカートなどが用いられている。例えば、特許文献1は、カテーテルの収納を意図した物品収納什器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療現場において、カテーテルなどの長尺な物品を書物やファイルなどの冊子類や巻き束ねたカテーテルが収納された箱など比較的小型の箱状の物品とともに1台で整然と収納可能なカートのニーズがある。また、収納時のレイアウトに自由度を持たせることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、カテーテルなどの長尺な物品と、小型の箱状の物品との両方を自在に収納できるメディカルカートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)は、
四隅に配置され、少なくとも上下方向に延びた支柱と、
前記上下方向に直交する幅方向に略直線状に延びたフレーム群と、
前記支柱の下端にそれぞれ設けられたキャスターと、
前記上下方向において前記フレーム群と前記キャスターとの間に位置し、前記幅方向と、前記上下方向及び前記幅方向に直交する前後方向とに延びた底受け面を備える受け部材と、
を有し、
前記フレーム群は、フレームとして、前記幅方向に延びた少なくとも第1フレーム及び第2フレームを備え、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記前後方向に間隔を空けて位置し、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、それぞれ、支持面として、前記幅方向に延びた第1支持面及び第2支持面を備え、
前記第1支持面及び前記第2支持面は、前記第1支持面を延長した第1仮想面と前記第2支持面を延長した第2仮想面とが略直交するように位置している、メディカルカートである。
【0007】
本発明(2)は、前記フレーム群が、前記フレームとして、さらに、前記幅方向に延びた第3フレーム及び第4フレームを備え、前記第1フレーム、前記第2フレーム、前記第3フレーム及び前記第4フレームは、前記前後方向に間隔を空けて位置し、前記第3フレーム及び前記第4フレームは、それぞれ、支持面として、前記幅方向に延びた第3支持面及び第4支持面を備え、前記第3支持面は、前記第1仮想面と略同一平面上にあり、前記第4支持面は、前記第2仮想面と略同一平面上にある、(1)のメディカルカートである。
【0008】
本発明(3)は、前記支持面が、前記上下方向及び前記前後方向の平面に対して傾斜した面である、(1)又は(2)のメディカルカートである。
【0009】
本発明(4)は、前記フレーム群が、少なくとも、上側フレーム群と、前記上下方向において前記上側フレーム群よりも下側に位置する下側フレーム群とを備え、前記受け部材は、前記上下方向において前記下側フレーム群と前記キャスターとの間に位置している、(1)~(3)のいずれか1のメディカルカートである。
【0010】
本発明(5)は、前記フレーム群の少なくとも1つのフレームに、前記幅方向に所定間隔で複数の孔が設けられ、前記孔に係合する突出部を備え、前記上下方向及び前記前後方向に延びた面を構成する少なくとも1つの仕切り部材が着脱可能に設けられている、(1)~(4)のいずれか1のメディカルカートである。
【0011】
本発明(6)は、前記仕切り部材が、略S字形状の線状部材である、(5)のメディカルカートである。
【0012】
本発明(7)は、前記フレーム群の各フレームが、L字部材であり、該L字部材の一面が前記支持面を構成している、(1)~(6)のいずれか1のメディカルカートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カテーテルなどの長尺な物品と、小型の箱状の物品との両方を自在に収納できるメディカルカートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るメディカルカートの使用状態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るメディカルカート(仕切り部材を含む)を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るメディカルカート(仕切り部材を除く)を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るメディカルカート(仕切り部材を除く)を示す正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るメディカルカートを示す側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るメディカルカート(仕切り部材を除く)を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るメディカルカートの断面を示す図である。
【
図8】
図8は、フレーム群の各フレームの関係を説明するための図である。
【
図10】
図10は、仕切り部材をフレームに取り付けた状態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、長尺な物品の収納を説明するための図である。
【
図12】
図12は、小型の箱状の物品の収納を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るメディカルカート1について説明する。本実施形態に係るメディカルカート1は、
図1に示すように、カテーテルなどの長尺な物品101と、小型の箱状の物品102との両方を自在に収納できる。なお、小型の箱状の物品102とは、書物やファイルなどの冊子類や巻き束ねたカテーテルが収納された箱などの比較的小型の箱状の物品を意図している。
【0016】
図1~
図7は、本発明の実施形態に係るメディカルカート1の一例を示す図である。以下の説明では、図面におけるX方向がメディカルカート1の前後方向(奥行き方向)であり、Y方向がメディカルカート1の幅方向(左右方向)であり、Z方向がメディカルカート1の上下方向(高さ方向)である。
【0017】
本実施形態に係るメディカルカート1は、
図1~
図7に示すように、支柱11と、キャスター12と、フレーム群13と、受け部材14と、仕切り部材15と、を備える。メディカルカート1の材質は特に限定しないが、例えばスチール製である。
【0018】
メディカルカート1は、四隅に配置された支柱11を備える。支柱11は、メディカルカート1の少なくとも上下方向に延びている。本実施形態では、幅方向において同じ位置にある前後の支柱11がその上側でつながっており、略逆U字形となっている。また、前後の支柱11間には、前後方向に延びた側板16が設けられている。本実施形態では、上側側板17と下側側板18との2つの側板16がメディカルカート1の幅方向の両端にそれぞれ設けられている。また、前後方向において同じ位置にある左右の支柱11間を幅方向に延びた補強部材19が設けられている。補強部材19は、例えば支柱11の下端側に位置している。
【0019】
支柱11の下端には、キャスター12がそれぞれ取り付けられている。キャスター12は、周知の構造を備える一般的なものであってよい。
【0020】
フレーム群13は、メディカルカート1の幅方向に略直線状に延びている。本実施形態では、フレーム群13は、上側フレーム群21と、下側フレーム群22と、を備える。下側フレーム群22は、メディカルカート1の上下方向において上側フレーム群21よりも下側に位置している。本実施形態に係るメディカルカート1は、上下2つのフレーム群21、22により、小型の箱状の物品102を上段と下段の2段に収納可能となっている。上側フレーム群21の構成と下側フレーム群22の構成は同一であるため、以下、上側フレーム群21及び下側フレーム群22の構成について、単にフレーム群13と称して説明する。
【0021】
フレーム群13は、フレームとして、幅方向に略直線状に延びた第1フレーム23と、第2フレーム24と、第3フレーム25と、第4フレーム26と、を備える。第1フレーム23、第2フレーム24、第3フレーム25及び第4フレーム26は、
図3及び
図6に示すように、前後方向に間隔を空けて位置している。本実施形態では、メディカルカート1の前方から、第3フレーム25、第1フレーム23、第4フレーム26、第2フレーム24の順に位置しており、各フレーム23、24、25、26は上下方向において異なる高さに位置している。また、本実施形態では、
図8に示すように、第3フレーム25と第1フレーム23との前後方向の間隔d1と、後方の第2フレーム24と第4フレーム26との前後方向の間隔d2が略等しく、中間の第1フレーム23と第4フレーム26との前後方向の間隔d3は間隔d1、d2よりもやや広い。間隔d1、d2、d3は、長尺な物品を収納するスペースを構成する。間隔d1、d2、d3は略均一であってよい。各フレーム23、24、25、26の両端は、側板17、18に固定されている。
【0022】
フレーム群13の各フレーム23、24、25、26は、それぞれ、幅方向に延びた支持面27、28、29、31を備える。すなわち、第1フレーム23、第2フレーム24、第3フレーム25及び第4フレーム26は、それぞれ、支持面として、幅方向に延びた第1支持面27、第2支持面28、第3支持面29及び第4支持面31を備える。本実施形態では、
図8に示すように、第1フレーム23の第1支持面27と第3フレーム25の第3支持面29は、略同一平面上にある。第2フレーム24の第2支持面28と第4フレーム26の第4支持面31は、略同一平面上にある。
【0023】
支持面27、28、29、31は、上下方向及び前後方向の平面に対して傾斜した面である。第1フレーム23の第1支持面27及び第3フレーム25の第3支持面29は、例えば支柱11に対して約50°の角度で配置されている。また、第2フレーム24の第2支持面28及び第3フレーム26の第4支持面31は、例えば支柱11に対して約40°の角度で配置されている。メディカルカート1の後方に位置する支持面28、31の傾斜を前方に位置する支持面27、29の傾斜よりも緩やかにすることで、前方から小型の箱状の物品102が見えやすく取り出しやすくなっている。
【0024】
第1フレーム23の第1支持面27と第2フレーム24の第2支持面28は、
図8に示すように、第1支持面27を延長した第1仮想面S1と第2支持面28を延長した第2仮想面S2とが略直交するように位置している。また、第3支持面29は、第1仮想面S1と略同一平面上にあり、第4支持面31は、第2仮想面S2と略同一平面上にある。つまり、第1支持面27及び第3支持面29と、第2支持面28及び第4支持面31とは、第1支持面27及び第3支持面29を延長した第1仮想面S1と第2支持面28及び第4支持面31を延長した第2仮想面S2とが略直交するように位置している。
【0025】
フレーム群13を構成する各フレーム23、24、25、26は、本実施形態ではL字部材であり、L字部材の一面が支持面27、28、29、31を構成している。また、各フレーム23、24、25、26には、幅方向に所定間隔で複数の孔32が設けられることができる。孔32には仕切り部材15の突出部33が係合可能である。本実施形態では、第1フレーム23の第1支持面27及び第3フレーム25の第3支持面29に幅方向に所定間隔で複数の孔32が設けられており、また、第2フレーム24の第2支持面28とは異なる面34(第2支持面28と直交する面)に幅方向に所定間隔で複数の孔32が設けられている。各フレーム23、24、25の孔32の形状や間隔は同一である。
【0026】
受け部材14は、メディカルカート1の上下方向においてフレーム群13(下側フレーム群22)とキャスター12との間に位置している。受け部材14は、メディカルカート1の幅方向と前後方向とに延びた底受け面35を備える。本実施形態では、受け部材14はバスケット(網目状のカゴ部材)であり、
図3及び
図4に示すように、メディカルカート1の前方で下側フレーム群22の第3フレーム25に固定されており、メディカルカート1の後方で下側フレーム群22の第2フレーム24に固定されている。
【0027】
図1、
図2、
図9及び
図10に示される仕切り部材15は、メディカルカート1のフレーム群13に取り付けて上下方向及び前後方向の平面で物品(長尺な物品や小型の箱状の物品)を支持する部材である。メディカルカート1は、上下方向及び前後方向に延びた面を構成する少なくとも1つの仕切り部材15を備えることができる。仕切り部材15は、例えばワイヤー仕切りであり、略S字形状の線状部材である。仕切り部材15は、例えばS字の両端部とその中間部に合計3つの突出部33を備える。突出部33は、各フレーム23、24、25の孔32に係合する。
図11及び
図12には、S字の中間部に設けられた第1突出部36と、S字の両端部にそれぞれ設けられた第2突出部37及び第3突出部38とが示されている。第1突出部36は第1フレーム23の第1支持面27の孔32に係合し、第2突出部37は第2フレーム24の第2支持面28の孔32(第1支持面27の孔32と幅方向において同じ位置にある孔32)に係合し、第3突出部38は第3フレーム25の第3支持面29の孔32(第1支持面27の孔32及び第2支持面28の孔32と幅方向において同じ位置にある孔32)に係合する。仕切り部材15は各フレームに対して着脱可能であり、幅方向においてさまざまな位置に取り付けることができる。
図1及び
図2に示すように、複数の仕切り部材15を取り付けてよい。
【0028】
図1、
図11及び
図12を参照して、本実施形態に係るメディカルカート1における長尺な物品101の収納及び小型の箱状の物品102の収納について説明する。
【0029】
長尺な物品101は、フレーム群13(上側フレーム群21)の上方から、各フレーム23、24、25、26間に差し込まれる。各フレーム23、24、25、26間の隙間に長尺な物品101を差し入れることにより、
図1及び
図11に示すように、長尺な物品101がフレーム23、24、25、26に当接し、長尺な物品101を立て掛けた状態で姿勢良く収納可能である。また、長尺な物品101の下端は、受け部材14の底受け面35により支持される。
【0030】
小型の箱状の物品102は、上側フレーム群21に対してはメディカルカート1の前後方向又は上方から、下側フレーム群22に対してはメディカルカート1の前後方向から、フレーム23、24、25、26の支持面27、28、29、31上に載置される。
図1及び
図12に示すように、第1フレーム23の第1支持面27及び第3フレーム25の第3支持面29が小型の箱状の物品102の一辺に当接して支持し、第2フレーム24の第2支持面28及び第4フレーム26の第4支持面31が小型の箱状の物品102の他の一辺(前記一辺と直交する辺)に当接して支持する。傾斜した支持面27、28、29、31により、小型の箱状の物品102を前後方向から見やすく斜めに保持して収納可能である。
【0031】
このように、本実施形態に係るメディカルカート1は、長尺な物品101を収納するカートと、小型の箱状の物品102を収納するカートとの両方として機能する多機能カートである。メディカルカート1は、
図1に示すように、長尺な物品101と小型の箱状の物品102との両方を一遍に収納してもよいし、用途に応じて、長尺な物品101のみ、あるいは小型の箱状の物品102のみを収納してもよい。
図1では、右側に収納した長尺な物品101と左側に収納した小型の箱状の物品102との間に仕切り部材15を配置したほか、幅方向に3列に並べた長尺な物品101間にも仕切り部材15を配置することで、各物品を整然と収納している。
【0032】
フレーム群13の構成や配置は、上記のものに限定されない。以下、
図13~
図15を参照して、フレーム群13の他の態様について説明する。
【0033】
図13では、フレーム群13を構成する各フレーム23、24、25、26の支持面27、28、29、31を支柱11に対して約45°の角度で配置している。第1フレーム23の第1支持面27及び第3フレーム25の第3支持面29は、支柱11に対して約45°の角度で配置されている。また、第2フレーム24の第2支持面28及び第3フレーム26の第4支持面31は、支柱11に対して約45°の角度で配置されている。第1フレーム23と第4フレーム26とは上下方向において略同じ高さに位置し、第2フレーム24と第3フレーム25とは上下方向において略同じ高さに位置している。すなわち、フレーム群13の構成が前後対称である。これにより、メディカルカート1の前方からも後方からも同様に使用可能である。
【0034】
図14では、フレーム群13を構成するフレームの数を3つ(第1フレーム23、第2フレーム24及び第3フレーム25)としている。第1フレーム23の第1支持面27及び第3フレーム25の第3支持面29が小型の箱状の物品102の一辺に当接して支持し、第2フレーム24の第2支持面28が小型の箱状の物品102の他の一辺(前記一辺と直交する辺)に当接して支持している。フレームの数を3つとしたことで、各フレームの前後方向の間隔を広くし、長尺な物品101を差し込み可能なスペースを大きく取っている。
【0035】
図15では、フレーム群13を構成する各フレーム23、24、25、26が丸棒状部材である。角棒状部材であってもよい。丸棒状部材の一部が支持面27、28、29、31を構成する。各フレーム23、24、25、26は、L字の断面を備えるフレームに限らず、支持面27、28、29、31が物品に当接して物品を支持できるものであればよい。
【0036】
以下、本発明の実施形態の効果について述べる。
本発明の実施形態によれば、メディカルカートは、四隅に配置され、少なくとも上下方向に延びた支柱と、上下方向に直交する幅方向に略直線状に延びたフレーム群と、支柱の下端にそれぞれ設けられたキャスターと、上下方向においてフレーム群とキャスターとの間に位置し、幅方向と、上下方向及び幅方向に直交する前後方向とに延びた底受け面を備える受け部材と、を有する。フレーム群は、フレームとして、幅方向に延びた少なくとも第1フレーム及び第2フレームを備え、第1フレーム及び第2フレームは、前後方向に間隔を空けて位置している。第1フレーム及び第2フレームは、それぞれ、支持面として、幅方向に延びた第1支持面及び第2支持面を備える。第1支持面及び第2支持面は、第1支持面を延長した第1仮想面と第2支持面を延長した第2仮想面とが略直交するように位置している。幅方向に略直線状に延びたフレーム(第1フレーム及び第2フレーム)が、前後方向に間隔を空けて位置していることにより、前後方向の隙間に上方からカテーテルなどの長尺な物品を差し込むことができ、かつ、フレームよりも下側に底受け面を備える受け部材が設けられていることにより、上方から差し込まれた長尺な物品を受けて支持することができる。これにより、長尺な物品を収納することができる。また、フレーム(第1フレーム及び第2フレーム)の支持面(第1支持面及び第2支持面)が、第1支持面を延長した仮想面と第2支持面を延長した第2仮想面とが略直交するように位置していることにより、第1支持面及び第2支持面が書物やファイル、巻き束ねたカテーテルが収納された箱などの角のある矩形の物品の2辺に当接して物品を支持することができる。これにより、小型の箱状の物品を的確に収納することができる。
【0037】
すなわち、本実施形態によれば、カテーテルなどの長尺な物品と、小型の箱状の物品との両方を自在に収納可能なメディカルカートを提供することができる。1つのカートで長尺な物品と小型の箱状の物品との両方を整然と、コンパクトに収納することができ、使い勝手の良いメディカルカートを提供することができる。長尺な物品と小型の箱状の物品の収納時の配置にも自由度があり、利便性が高い。
【0038】
フレーム群は、フレームとして、さらに、幅方向に略直線状に延びた第3フレーム及び第4フレームを備えることができる。第1フレーム、第2フレーム、第3フレーム及び第4フレームは、前後方向に間隔を空けて位置している。第3フレーム及び第4フレームは、それぞれ、支持面として、幅方向に延びた第3支持面及び第4支持面を備える。第3支持面は、第1仮想面と略同一平面上にあり、第4支持面は、第2仮想面と略同一平面上にある。幅方向に延びたフレームを増やすことで支持面も増え、小型の箱状の物品をより確実に支持することができる。フレームが増えても、各フレームが前後方向に間隔を空けて位置していることにより、前後方向の隙間に上方からカテーテルなどの長尺な物品を差し込んで収納することができる。
【0039】
支持面は、メディカルカートの上下方向及び前後方向の平面に対して傾斜した面であることができる。これにより、小型の箱状の物品を傾けて保持することができ、小型の箱状の物品が見えやすく、かつ、取り出しやすく収納することができる。
【0040】
フレーム群は、少なくとも、上側フレーム群と、メディカルカートの上下方向において上側フレーム群よりも下側に位置する下側フレーム群とを備えることができる。受け部材は、上下方向において下側フレーム群とキャスターとの間に位置している。上段となる上側フレーム群と、下段となる下側フレーム群とを備えることで、小型の箱状の物品を2段に収納することができる。この場合であっても、各フレーム群を構成するフレームは前後方向に間隔を空けて位置しているため、前後方向の隙間に上方からカテーテルなどの長尺な物品を差し込んで収納することができる。
【0041】
フレーム群の少なくとも1つのフレームに、幅方向に所定間隔で複数の孔が設けられている。メディカルカートには、孔に係合する突出部を備え、上下方向及び前後方向に延びた面を構成する少なくとも1つの仕切り部材が着脱可能に設けられることができる。仕切り部材を設けることで、長尺な物品や小型の箱状の物品を整然と収納することができる。幅方向に所定間隔で複数の孔が設けられていることにより、仕切り部材を幅方向において自在に配置することができる。複数の仕切り部材を設けることでより見栄え良く、使いやすく整理して収納することが可能となる。また、突出部を孔に係合する簡素な構成の仕切り部材は、取扱いが容易であり、仕切り部材の位置の変更が自在である。
【0042】
仕切り部材は、略S字形状の線状部材であることができる。仕切り部材が略S字形状の線状部材であることで、簡素な構成で物品の側面を支持可能な仕切り部材を実現することができる。体裁もよい。
【0043】
フレーム群の各フレームは、L字部材であることができ、L字部材の一面が支持面を構成することができる。L字部材の一面を支持面とすることで、面全体で物品を支持することができる。また、フレームを平坦な面を備えるL字部材とすることで、仕切り部材が差しやすい。さらに、フレームをL字部材とすることで、メディカルカートを軽量にすることができる。コストも抑えることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形及び変更が可能である。受け部材として、バスケット以外に、前後方向及び幅方向に延びた平面を備える板状部材を設けてもよい。側板は、上側側板と下側側板の2つに限らず、1つの側板であってもよい。フレーム群は上側フレーム群と下側フレーム群に限らず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。例えば3つであれば、小型の箱状の物品を3段に収納可能である。仕切り板も略S字形状の線状部材に限らず、平板であってもよい。また、医療現場で用いられるメディカルカートについて説明してきたが、長尺な物品とその他の小型の箱状の物品などの収納や運搬に多機能カートとして用いることももちろん可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 メディカルカート
11 支柱
12 キャスター
13 フレーム群
14 受け部材
15 仕切り部材
21 上側フレーム群
22 下側フレーム群
23 第1フレーム
24 第2フレーム
25 第3フレーム
26 第4フレーム
27 第1支持面
28 第2支持面
29 第3支持面
31 第4支持面
32 孔
35 底受け面
101 長尺な物品
102 小型の箱状の物品