IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 極東開発工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図1
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図2
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図3
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図4
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図5
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図6
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図7
  • 特開-ディストリビュータ及び車両 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123894
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ディストリビュータ及び車両
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/78 20060101AFI20240905BHJP
   E04G 21/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B66C23/78 E
E04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031690
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 篤
(72)【発明者】
【氏名】林 和也
【テーマコード(参考)】
2E172
3F205
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA33
2E172CA44
2E172CA46
3F205AA20
3F205FA01
3F205FA07
(57)【要約】
【課題】アウトリガの格納状態と展開状態を固定用ピンから判別することができるディストリビュータ及び車両を提供する。
【解決手段】ベースとブーム装置とアウトリガとを備え、アウトリガは、外筒と、外筒に格納された格納位置と外筒から外側に張り出した展開位置との間で移動可能な内筒と、外筒に対して内筒を格納位置及び展開位置に固定する固定用ピンとを備え、固定用ピンは、第1の外径を有する基端部と、第1の外径よりも小さい第2の外径を有する先端部を備え、外筒は、第1の外径よりも大きい穴径を有するピン挿入孔を備え、内筒は、第1の外径よりも小さく且つ第2の外径よりも大きい穴径を有する第1の孔と、第1の外径よりも大きい穴径を有する第2の孔とを備え、第1の孔は、内筒が格納位置にあるときピン挿入孔と対向し、固定用ピンの先端部が挿入され、第2の孔は、内筒が展開位置にあるときピン挿入孔と対向し、固定用ピンの基端部が挿入される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースに支持されるブーム装置と、前記ベースを支持するアウトリガと、を備え、
前記アウトリガは、前記ベースに固定される外筒と、前記外筒に格納された格納位置と前記外筒から外側に張り出した展開位置との間で移動可能な内筒と、前記外筒に対して前記内筒を前記格納位置及び前記展開位置に固定する固定用ピンと、を備え、
前記固定用ピンは、第1の外径を有する基端部と、前記第1の外径よりも小さい第2の外径を有する先端部と、を備え、
前記外筒は、前記第1の外径よりも大きい穴径を有するピン挿入孔を備え、
前記内筒は、前記第1の外径よりも小さく且つ前記第2の外径よりも大きい穴径を有する第1の孔と、前記第1の外径よりも大きい穴径を有する第2の孔と、を備え、
前記第1の孔は、前記内筒が前記格納位置と前記展開位置の何れか一方の位置にあるとき前記ピン挿入孔と対向し、前記固定用ピンの前記先端部が挿入され、前記第2の孔は、前記内筒が前記格納位置と前記展開位置の何れか他方の位置にあるとき前記ピン挿入孔と対向し、前記固定用ピンの前記基端部が挿入される、ディストリビュータ。
【請求項2】
前記第1の孔は、前記内筒が前記格納位置にあるとき前記固定用ピンの前記先端部が挿入され、前記第2の孔は、前記内筒が前記展開位置にあるとき前記固定用ピンの前記基端部が挿入される、請求項1に記載のディストリビュータ。
【請求項3】
前記アウトリガは、前記ピン挿入孔の周囲に立設され、前記固定用ピンを前記ピン挿入孔へ案内するガイド筒と、
前記固定用ピンと前記ガイド筒を同時に貫通する抜け止めピンと、を備え、
前記固定用ピンは、前記抜け止めピンが挿通される貫通孔を備え、
前記ガイド筒は、前記内筒が前記格納位置にあるとき前記貫通孔と対向する第1の抜け止め孔と、前記内筒が前記展開位置にあるとき前記貫通孔と対向する第2の抜け止め孔と、を備える、請求項1に記載のディストリビュータ。
【請求項4】
前記抜け止めピンは、側方に突出する突起を備え、
前記アウトリガは、前記ガイド筒の外側に設けられ、前記突起に接触することで前記抜け止めピンの抜ける方向への移動を規制する規制部を備える、請求項3に記載のディストリビュータ。
【請求項5】
前記アウトリガは、前記第2の抜け止め孔に挿入された前記抜け止めピンを検知するセンサを備える、請求項3に記載のディストリビュータ。
【請求項6】
前記ブーム装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記センサが前記抜け止めピンを検知しないとき、前記ブーム装置の動作を制限する、請求項5に記載のディストリビュータ。
【請求項7】
前記ブーム装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記アウトリガは、前記ベースの左前領域に配置される第1のアウトリガと、前記ベースの右前領域に配置される第2のアウトリガと、前記ベースの左後領域に配置される第3のアウトリガと、前記ベースの右後領域に配置される第4のアウトリガと、を含み、
前記制御装置は、各アウトリガの前記センサが前記抜け止めピンを検知したとき、検知した前記抜け止めピンを有する前記アウトリガが配置された領域での前記ブーム装置の動作を許可し、且つ各アウトリガの前記センサが前記抜け止めピンを検知しないとき、検知しない前記抜け止めピンを有する前記アウトリガが配置された領域での前記ブーム装置の動作を制限する、請求項5に記載のディストリビュータ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の前記ディストリビュータが搭載される車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ディストリビュータ及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、コンクリート圧送装置において、横杆と脚体を含むアウトリガを展開して打設作業(コンクリートの分配作業)を行い、格納することで車載を可能にしている。
【0003】
アウトリガを格納状態と展開状態でそれぞれ固定するため、例えば、アウトリガの外筒と内筒に設けた貫通孔に固定用ピンが挿入される。このとき、挿入された固定用ピンからは、アウトリガの格納状態と展開状態を判別することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭60-162646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、アウトリガの格納状態と展開状態を固定用ピンから判別することができるディストリビュータ及び車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ディストリビュータは、ベースと、前記ベースに支持されるブーム装置と、前記ベースを支持するアウトリガと、を備え、
前記アウトリガは、前記ベースに固定される外筒と、前記外筒に格納された格納位置と前記外筒から外側に張り出した展開位置との間で移動可能な内筒と、前記外筒に対して前記内筒を前記格納位置及び前記展開位置に固定する固定用ピンと、を備え、
前記固定用ピンは、第1の外径を有する基端部と、前記第1の外径よりも小さい第2の外径を有する先端部と、を備え、
前記外筒は、前記第1の外径よりも大きい穴径を有するピン挿入孔を備え、
前記内筒は、前記第1の外径よりも小さく且つ前記第2の外径よりも大きい穴径を有する第1の孔と、前記第1の外径よりも大きい穴径を有する第2の孔と、を備え、
前記第1の孔は、前記内筒が前記格納位置と前記展開位置の何れか一方の位置にあるとき前記ピン挿入孔と対向し、前記固定用ピンの前記先端部が挿入され、前記第2の孔は、前記内筒が前記格納位置と前記展開位置の何れか他方の位置にあるとき前記ピン挿入孔と対向し、前記固定用ピンの前記基端部が挿入される。
【0007】
車両は、上記のディストリビュータが搭載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るディストリビュータの左側面図
図2】本実施形態に係るディストリビュータの平面図
図3】本実施形態に係るディストリビュータの背面図
図4】本実施形態に係るディストリビュータの左側面図
図5】固定装置の平面図
図6】固定装置の側面図
図7図3において内筒が格納位置にあるときのVII-VII線断面図
図8図3において内筒が展開位置にあるときのVII-VII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0010】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0011】
以下の説明において、第1方向D1は、前後方向ともいい、第1方向D1のうち、各図における矢印方向を前方向とし、各図における矢印方向と反対方向を後方向とする。また、第2方向D2は、横方向(左右方向)ともいい、第2方向D2のうち、各図における矢印方向を左方向とし、各図における矢印方向と反対方向を右方向とする。また、第3方向D3は、上下方向ともいい、第3方向D3のうち、各図における矢印方向を上方向とし、各図における矢印方向と反対方向を下方向とする。
【0012】
以下、ディストリビュータにおける一実施形態について、図1図8を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、ディストリビュータの構成等の理解を助けるために例示するものであり、ディストリビュータの構成を限定するものではない。
【0013】
図1図3に示すように、ディストリビュータ1は、ベース2と、ベース2に支持されるブーム装置3と、ベース2を支持するアウトリガ4と、を備えている。また、ディストリビュータ1は、ポンプ1a、オイルタンク1b、及び制御装置1cを備えていてもよい。ポンプ1aは、ブーム装置3及びアウトリガ4を駆動する。制御装置1cは、主にブーム装置3を制御する。
【0014】
ベース2は、例えば、前後方向D1に延びる矩形枠状の部材である。ポンプ1a、オイルタンク1b、及び制御装置1cは、ベース2上に載置される。ポンプ1aは、ベース2の前部に配置され、オイルタンク1b及び制御装置1cは、ベース2の後部に配置されている。
【0015】
ブーム装置3は、打設位置に生コンクリートを供給するためのものである。図1は、ブーム装置3が折り畳まれた状態を示しており、図4は、ブーム装置3が伸展した状態を二点鎖線で示している。
【0016】
ブーム装置3は、例えば、ベース2に固定される架台31と、架台31の上に設けられ、鉛直軸線回りに旋回可能なターンポスト32と、ターンポスト32の先端に設けられるブーム33と、を備えている。架台31は、図2に示すように、ベース2の前後方向D1及び左右方向D2の略中央に固定されていてもよい。ターンポスト32は、図1に示すように、上下方向D3に対して傾斜する方向に延びている。
【0017】
ブーム33は、互いに屈曲可能に連結された第1ビーム33a、第2ビーム33b、第3ビーム33cを備えていてもよい。第1ビーム33aの基端部は、ターンポスト32の上端部に回動可能に連結されている。そして、第2ビーム33bの基端部は、第1ビーム33aの先端部に回動可能に連結され、第3ビーム33cの基端部は、第2ビーム33bの先端部に回動可能に連結されている。ブーム装置3は、第1~第3ビーム33a~33cに沿った配管を備えている。この配管は、基端側が不図示のコンクリートポンプの吐出管に接続され、先端側が不図示の打設ホースに接続される。
【0018】
ターンポスト32及び第1~第3ビーム33a~33cは、それぞれの連結部分がブーム駆動手段によって回動駆動することができる。ブーム駆動手段は、制御装置1cによって制御される。ブーム駆動手段は、不図示の旋回駆動手段と、起伏駆動手段34a~34cと、を備えている。旋回駆動手段は、例えば、架台31に設けられたモータである。起伏駆動手段34aは、例えば、両端をターンポスト32と第1ビーム33aにそれぞれ回動可能に連結した第1シリンダである。また、起伏駆動手段34bは、例えば、両端を第1ビーム33aと第2ビーム33bにそれぞれ回動可能に連結した第2シリンダである。また、起伏駆動手段34cは、例えば、両端を第2ビーム33bと第3ビーム33cにそれぞれ回動可能に連結した第3シリンダである。
【0019】
アウトリガ4は、ベース2の左前領域に配置される第1のアウトリガ4aと、ベース2の右前領域に配置される第2のアウトリガ4bと、ベース2の左後領域に配置される第3のアウトリガ4cと、ベース2の右後領域に配置される第4のアウトリガ4dと、を含む。第1~第4のアウトリガ4a~4dは略同じ形状のため、これらを特に区別する必要がない場合、以下、単にアウトリガ4として説明する。
【0020】
アウトリガ4は、外筒41と、外筒41の内部で筒軸方向に沿って移動可能な内筒42と、外筒41に対して内筒42を固定する固定装置5と、を備えている。
【0021】
外筒41は、ベース2の前後方向D1の端部に固定される。外筒41は、左右方向D2に沿って延びる四角筒状の部材である。なお、第1のアウトリガ4aの外筒41と第2のアウトリガ4bの外筒41は、一体として構成されていてもよい。同様に、第3のアウトリガ4cの外筒41と第4のアウトリガ4dの外筒41は、一体として構成されていてもよい。
【0022】
内筒42は、左右方向D2に沿って延びる四角筒状の部材である。内筒42は、外筒41よりもわずかに細くなっている。そのため、内筒42は、外筒41に格納された格納位置と、外筒41から外側に張り出した展開位置(図2及び図3に二点鎖線で示している)との間で移動可能となっている。内筒42が格納位置にあるとき、アウトリガ4は格納状態であり、内筒42が展開位置にあるとき、アウトリガ4は展開状態である。なお、アウトリガ4の格納状態と展開状態との間の動作(内筒42の格納位置と展開位置との間の移動)は、手動で行われてもよく、アクチュエータ等を用いて自動で行われてもよい。
【0023】
内筒42は、外側端に縦筒421を備えている。縦筒421は、上下方向D3に伸縮可能な可動脚部422(図1を参照)を備えている。打設作業時には、内筒42を展開位置に移動させた後、可動脚部422を伸長させて可動脚部422の下端を地面に接地させる。
【0024】
固定装置5は、図3に示すように、外筒41の上面に配置されている。図5は、固定装置5の平面図である。図6は、固定装置5の側面図である。図7は、図3において内筒42が格納位置にあるときのVII-VII線断面図である。図8は、図3において内筒42が展開位置(図3に二点鎖線で示している)にあるときのVII-VII線断面図である。
【0025】
固定装置5は、外筒41に対して内筒42を格納位置及び展開位置に固定する。固定装置5は、固定用ピン51を備えている。固定用ピン51は、図7に示すように、第1の外径d1を有する基端部51aと、第1の外径d1よりも小さい第2の外径d2を有する先端部51bと、を備えており、先端部51bが基端部51aよりも細くなっている。基端部51aと先端部51bは、段差部51cで接続されている。また、固定用ピン51は、基端部51aにボルト等で固定された板状のストッパ51dを備えている。また、固定用ピン51は、後述する抜け止めピン53が挿通される貫通孔51eを備えている。
【0026】
外筒41は、図7に示すように、上壁に形成されたピン挿入孔41aを備えている。ピン挿入孔41aの穴径は、第1の外径d1よりも大きくなっている。
【0027】
また、内筒42は、上壁に形成された第1の孔42a(図7を参照)と第2の孔42b(図8を参照)とを備えている。第1の孔42aと第2の孔42bは、内筒42の筒軸方向(ここでは左右方向D2)に並べて形成されている。また、第1の孔42aは、図7に示すように、内筒42が格納位置にあるときピン挿入孔41aと対向する位置に形成されている。一方、第2の孔42bは、図8に示すように、内筒42が展開位置にあるときピン挿入孔41aと対向する位置に形成されている。
【0028】
第1の孔42aの穴径は、第1の外径d1よりも小さく且つ第2の外径d2よりも大きくなっている。これにより、図7に示すように、内筒42が格納位置にあるとき、固定用ピン51は、外筒41のピン挿入孔41aから挿入された後、先端部51bが第1の孔42aに挿入される。段差部51cが内筒42の上面に当接することで、固定用ピン51は上下方向D3の位置が決められる。
【0029】
第2の孔42bの穴径は、第1の外径d1よりも大きくなっている。これにより、図8に示すように、内筒42が展開位置にあるとき、固定用ピン51は、外筒41のピン挿入孔41aから挿入された後、基端部51aが第2の孔42bに挿入される。ストッパ51dが後述するガイド筒52の上端に当接することで、固定用ピン51の上下方向D3の位置が決められる。
【0030】
以上のように、図7に示す内筒42が格納位置にあるときの固定用ピン51と、図8に示す内筒42が展開位置にあるときの固定用ピン51とは、高さが異なる。これにより、アウトリガ4の格納状態と展開状態を固定用ピン51から判別することができる。
【0031】
固定装置5は、ピン挿入孔41aの周囲に立設され、固定用ピン51をピン挿入孔41aへ案内するガイド筒52と、固定用ピン51とガイド筒52を同時に貫通する抜け止めピン53と、を備えている。
【0032】
ガイド筒52は、上下方向D3に延びる円筒状の部材である。ガイド筒52は、ブラケット54を介して外筒41の上壁に固定されている。
【0033】
ガイド筒52は、第1の抜け止め孔52aと第2の抜け止め孔52bとを備えている。また、ガイド筒52は、上部から前後方向D1に延びる第1のカバー52cを備えている。第1のカバー52cは、後述するセンサ57を上方から覆う。第1のカバー52cは、図6に示すように、固定用ピン51のストッパ51dと紐状部材52d(例えば、チェーン、ワイヤ、ロープ等)で接続されていてもよい。
【0034】
第1の抜け止め孔52aと第2の抜け止め孔52bは、上下方向D3に並べて形成されている。第1の抜け止め孔52aと第2の抜け止め孔52bは、何れも抜け止めピン53よりも大きくなっており、抜け止めピン53が挿通可能である。
【0035】
第1の抜け止め孔52aは、図7に示すように、内筒42が格納位置にあるとき、固定用ピン51の貫通孔51eと対向する位置に形成されている。これにより、内筒42が格納位置にあるとき、抜け止めピン53は、固定用ピン51の貫通孔51eとガイド筒52の第1の抜け止め孔52aを貫通し、固定用ピン51が外筒41及び内筒42から抜けるのを防止する。
【0036】
一方、第2の抜け止め孔52bは、図8に示すように、内筒42が展開位置にあるとき、固定用ピン51の貫通孔51eと対向する位置に形成されている。これにより、内筒42が展開位置にあるとき、抜け止めピン53は、固定用ピン51の貫通孔51eとガイド筒52の第2の抜け止め孔52bを貫通し、固定用ピン51が外筒41及び内筒42から抜けるのを防止する。
【0037】
抜け止めピン53は、側方に突出する突起53aを備えている。突起53aは、板状の部材である。突起53aは、図7に示すように、固定用ピン51のストッパ51dと紐状部材53b(例えば、チェーン、ワイヤ、ロープ等)で接続されていてもよい。
【0038】
固定装置5は、ガイド筒52の周囲に配置される第2のカバー55及び第3のカバー56を備えている。第2のカバー55は、ブラケット54の上面及びガイド筒52の側面に溶接等で固定されている。また、第3のカバー56は、第1のカバー52cにボルト等で固定されている。
【0039】
第2のカバー55は、図5に示すように、前後方向D1に延びるカバー本体部55aと、カバー本体部55aの前後方向D1の一方端から左右方向D2に延びるセンサ取付部55bと、カバー本体部55aの前後方向D1の他方端から左右方向D2であってセンサ取付部55bと反対方向に延びる規制部55c,55dと、を備えている。センサ取付部55bには、後述するセンサ57が固定される。
【0040】
規制部55c,55dは、第1の規制部55cと第2の規制部55dとを含む。第1の規制部55cは、第2の規制部55dよりも上方に形成されている。また、図7に示すように、第1の規制部55cは、第1の抜け止め孔52aよりも下方に形成され、第2の規制部55dは、第2の抜け止め孔52bよりも下方に形成されている。
【0041】
第1の規制部55cは、図7に示すように、内筒42が格納位置にあるとき、抜け止めピン53の突起53aと前後方向D1に対向する。また、第2の規制部55dは、図8に示すように、内筒42が展開位置にあるとき、抜け止めピン53の突起53aと前後方向D1に対向する。そのため、抜け止めピン53が抜ける方向(ここでは後方向)へ移動しようとすると、突起53aが規制部55c,55dに接触する。これにより、規制部55c,55dは、抜け止めピン53の抜ける方向への移動を規制することができる。なお、抜け止めピン53を挿し込む際には、突起53aを水平方向に回動させることで、規制部55c,55dを避けることができる。抜け止めピン53を挿した後は、手指から離すことで突起53aは重力により下方に回動し、規制部55c,55dと対向するようになる。
【0042】
固定装置5は、ガイド筒52の第2の抜け止め孔52bに挿入された抜け止めピン53を検知するセンサ57を備えていてもよい。センサ57は、センサ取付部55bに固定されている。センサ57は、例えば、非接触の近接センサである。
【0043】
抜け止めピン53が第2の抜け止め孔52bに挿入されているときとは、図8に示すように、内筒42が展開位置にあるときである。すなわち、センサ57は、内筒42が展開位置であることを検知する。センサ57は、抜け止めピン53を検知したとき、制御装置1cへ検知信号を送信する。これにより、制御装置1cは、センサ57からの検知信号を受信したとき、内筒42が展開位置であると判定し、センサ57からの検知信号を受信しないとき、内筒42が格納位置であると判定することができる。
【0044】
制御装置1cは、センサ57が抜け止めピン53を検知せず、センサ57からの検知信号を受信しないとき、ブーム装置3の動作を制限するようにしてもよい。ここで、ブーム装置3の動作とは、ブーム33の旋回及び起伏である。これにより、少なくとも一つのアウトリガ4a~4dが展開されていない場合、ブーム装置3の動作が制限されるため、安全性が高まる。
【0045】
また、制御装置1cは、各アウトリガ4a~4dのセンサ57が抜け止めピン53を検知したとき、検知した抜け止めピン53を有するアウトリガ4a~4dが配置された領域でのブーム装置3の動作を許可し、且つ各アウトリガ4a~4dのセンサ57が抜け止めピン53を検知しないとき、検知しない抜け止めピン53を有するアウトリガ4a~4dが配置された領域でのブーム装置3の動作を制限するするようにしてもよい。例えば、第1~第3のアウトリガ4a~4cのセンサ57が抜け止めピン53を検知したとき、第1~第3のアウトリガ4a~4cが配置されたベース2の左前領域、右前領域、及び左後領域でのブーム装置3の動作は許可され、第4のアウトリガ4dのセンサ57が抜け止めピン53を検知しないとき、第4のアウトリガ4dが配置されたベース2の右後領域でのブーム装置3の動作は制限される。例えば、ベース2の右後領域に柱等の障害物があって第4のアウトリガ4dが展開できない場合であっても、第1~第3のアウトリガ4a~4cを展開して打設作業を行うことができる。
【0046】
[1]
以上より、ディストリビュータ1は、本実施形態のように、ベース2と、前記ベース2に支持されるブーム装置3と、前記ベース2を支持するアウトリガ4と、を備え、前記アウトリガ4は、前記ベース2に固定される外筒41と、前記外筒41に格納された格納位置と前記外筒41から外側に張り出した展開位置との間で移動可能な内筒42と、前記外筒41に対して前記内筒42を前記格納位置及び前記展開位置に固定する固定用ピン51と、を備え、前記固定用ピン51は、第1の外径d1を有する基端部51aと、前記第1の外径d1よりも小さい第2の外径d2を有する先端部51bと、を備え、前記外筒41は、前記第1の外径d1よりも大きい穴径を有するピン挿入孔41aを備え、前記内筒42は、前記第1の外径d1よりも小さく且つ前記第2の外径d2よりも大きい穴径を有する第1の孔42aと、前記第1の外径d1よりも大きい穴径を有する第2の孔42bと、を備え、前記第1の孔42aは、前記内筒42が前記格納位置と前記展開位置の何れか他方の位置(本実施形態では格納位置)にあるとき前記ピン挿入孔41aと対向し、前記固定用ピン51の前記先端部51bが挿入され、前記第2の孔42bは、前記内筒42が前記格納位置と前記展開位置の何れか一方の位置(本実施形態では展開位置)にあるとき前記ピン挿入孔41aと対向し、前記固定用ピン51の前記基端部51aが挿入される、という構成が好ましい。
【0047】
斯かる構成によれば、内筒42が格納位置にあるときの固定用ピン51と、内筒42が展開位置にあるときの固定用ピン51とは、高さが異なるため、アウトリガ4の格納状態と展開状態を作業者の目視で固定用ピン51から判別することができる。
【0048】
[2]
また、上記[1]のディストリビュータ1においては、本実施形態のように、前記第1の孔42aは、前記内筒42が前記格納位置にあるとき前記固定用ピン51の前記先端部51bが挿入され、前記第2の孔42bは、前記内筒42が前記展開位置にあるとき前記固定用ピン51の前記基端部51aが挿入される、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、内筒42が展開位置にあるとき、すなわち、アウトリガ4が展開状態にあるとき、大きな外径を有する基端部51aで荷重を受けることができる。一方、内筒42が格納位置にあるとき、すなわち、アウトリガ4が格納状態にあるとき、固定用ピン51には大きな荷重がかからないため、先端部51bで内筒42を固定しても問題とはならない。また、作業者は、固定用ピン51が深くまで刺さっていれば、アウトリガ4が展開状態であると認識できるため、安全性が高まる。
【0050】
[3]
また、上記[1]又は[2]のディストリビュータ1においては、本実施形態のように、前記アウトリガ4は、前記ピン挿入孔41aの周囲に立設され、前記固定用ピン51を前記ピン挿入孔41aへ案内するガイド筒52と、前記固定用ピン51と前記ガイド筒52を同時に貫通する抜け止めピン53と、を備え、前記固定用ピン51は、前記抜け止めピン53が挿通される貫通孔51eを備え、前記ガイド筒52は、前記内筒42が前記格納位置にあるとき前記貫通孔51eと対向する第1の抜け止め孔52aと、前記内筒42が前記展開位置にあるとき前記貫通孔51eと対向する第2の抜け止め孔52bと、を備える、という構成が好ましい。
【0051】
斯かる構成によれば、アウトリガ4の格納状態及び展開状態において、固定用ピン51が抜けることを確実に防止することができる。
【0052】
[4]
また、上記[3]のディストリビュータ1においては、本実施形態のように、前記抜け止めピン53は、側方に突出する突起53aを備え、前記アウトリガ4は、前記ガイド筒52の外側に設けられ、前記突起53aに接触することで前記抜け止めピン53の抜ける方向への移動を規制する規制部55c,55dを備える、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、抜け止めピン53が固定用ピン51から抜けることを確実に防止することができる。具体的には、例えば、アウトリガ4を格納状態としてディストリビュータ1を車載で運搬するとき、運搬中に抜け止めピン53が固定用ピン51から抜けることを確実に防止することができる。また、例えば、アウトリガ4を展開状態として打設作業を行うとき、打設作業中に抜け止めピン53が固定用ピン51から抜けることを確実に防止することができる。
【0054】
[5]
また、上記[3]又は[4]のディストリビュータ1においては、本実施形態のように、前記アウトリガ4は、前記第2の抜け止め孔52bに挿入された前記抜け止めピン53を検知するセンサ57を備える、という構成が好ましい。
【0055】
斯かる構成によれば、アウトリガ4が展開状態であることを検知することができる。また、アウトリガ4が展開状態のとき、固定用ピン51が確実に挿さっていることを検知することができる。
【0056】
[6]
また、上記[5]のディストリビュータ1においては、本実施形態のように、前記ブーム装置3の動作を制御する制御装置1cをさらに備え、前記制御装置1cは、前記センサ57が前記抜け止めピン53を検知しないとき、前記ブーム装置3の動作を制限する、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、少なくとも一つのアウトリガ4a~4dが展開されていない場合、ブーム装置3の動作が制限されるため、安全性が高まる。
【0058】
[7]
また、上記[5]のディストリビュータ1においては、本実施形態のように、前記ブーム装置3の動作を制御する制御装置1cをさらに備え、前記アウトリガ4は、前記ベース2の左前領域に配置される第1のアウトリガ4aと、前記ベース2の右前領域に配置される第2のアウトリガ4bと、前記ベース2の左後領域に配置される第3のアウトリガ4cと、前記ベース2の右後領域に配置される第4のアウトリガ4dと、を含み、前記制御装置1cは、各アウトリガ4a~4dの前記センサ57が前記抜け止めピン53を検知したとき、検知した前記抜け止めピン53を有する前記アウトリガ4a~4dが配置された領域での前記ブーム装置3の動作を許可し、且つ各アウトリガ4a~4dの前記センサ57が前記抜け止めピン53を検知しないとき、検知しない前記抜け止めピン53を有する前記アウトリガ4a~4dが配置された領域での前記ブーム装置3の動作を制限する、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、アウトリガ4a~4dの何れかが展開できない場合であっても、その他のアウトリガ4a~4dを展開して打設作業を行うことができる。
【0060】
[8]
また、車両は、上記[1]~[7]の何れか1つのディストリビュータ1が搭載される、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、内筒42が格納位置にあるときの固定用ピン51と、内筒42が展開位置にあるときの固定用ピン51とは、高さが異なるため、アウトリガ4の格納状態と展開状態を固定用ピン51から判別することができる。なお、ディストリビュータ1を車両に搭載する場合、ベース2は、車体フレームに固定されてもよく、車体フレームと一体で構成されてもよい。
【0062】
なお、ディストリビュータ1及び車両は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ディストリビュータ1及び車両は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0063】
(A)上記実施形態に係るディストリビュータ1においては、第1の孔42aは、内筒42が格納位置にあるとき固定用ピン51の先端部51bが挿入され、第2の孔42bは、内筒42が展開位置にあるとき固定用ピン51の基端部51aが挿入される、という構成である。しかしながら、ディストリビュータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1の孔42aは、内筒42が展開位置にあるとき固定用ピン51の先端部51bが挿入され、第2の孔42bは、内筒42が展開位置にあるとき固定用ピン51の基端部51aが挿入される、という構成でもよい。このとき、固定用ピン51の先端部51bは、アウトリガ4が展開状態にあるときの大きな荷重に耐えることができるように設計される。
【0064】
(B)上記実施形態に係るディストリビュータ1においては、アウトリガ4は、ピン挿入孔41aの周囲に立設され、固定用ピン51をピン挿入孔41aへ案内するガイド筒52と、固定用ピン51とガイド筒52を同時に貫通する抜け止めピン53と、を備え、固定用ピン51は、抜け止めピン53が挿通される貫通孔51eを備え、ガイド筒52は、内筒42が格納位置にあるとき貫通孔51eと対向する第1の抜け止め孔52aと、内筒42が展開位置にあるとき貫通孔51eと対向する第2の抜け止め孔52bと、を備える、という構成である。しかしながら、ディストリビュータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、アウトリガ4は、ピン挿入孔41aの周囲に立設され、固定用ピン51をピン挿入孔41aへ案内するガイド筒52と、固定用ピン51とガイド筒52を同時に貫通する抜け止めピン53と、を備え、ガイド筒52は、抜け止めピン53が挿通される貫通孔を備え、固定用ピン51は、内筒42が格納位置にあるとき前記貫通孔と対向する第1の抜け止め孔と、内筒42が展開位置にあるとき前記貫通孔と対向する第2の抜け止め孔と、を備える、という構成でもよい。
【0065】
(C)上記実施形態に係るディストリビュータ1においては、抜け止めピン53は、側方に突出する突起53aを備え、アウトリガ4は、ガイド筒52の外側に設けられ、突起53aに接触することで抜け止めピン53の抜ける方向への移動を規制する規制部55c,55dを備える、という構成である。しかしながら、ディストリビュータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、アウトリガ4は、抜け止めピン53に挿通されるスナップピン又はロックピンを備える、という構成でもよい。
【0066】
ディストリビュータ1は、第1~第4のアウトリガ4a~4dの少なくとも一つが展開できていないことを報知する不図示の報知手段(例えば、ランプ、ブザー等)を備えていてもよい。報知手段は、制御装置1cによって制御される。第1~第4のアウトリガ4a~4dが展開されているか否かは、上記のセンサ57や外筒41と内筒42の間に別途設けたセンサ等によって検知される。
また、各アウトリガ4(第1~第4のアウトリガ4a~4d)にランプを設け、展開が完了するとランプがそれぞれ発光するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…ディストリビュータ、1a…ポンプ、1b…オイルタンク、1c…制御装置、2…ベース、3…ブーム装置、4…アウトリガ、4a…第1のアウトリガ、4b…第2のアウトリガ、4c…第3のアウトリガ、4d…第4のアウトリガ、5…固定装置、31…架台、32…ターンポスト、33…ブーム、33a…第1ビーム、33b…第2ビーム、33c…第3ビーム、34a~34c…起伏駆動手段、41…外筒、41a…ピン挿入孔、42…内筒、42a…第1の孔、42b…第2の孔、51…固定用ピン、51a…基端部、51b…先端部、51c…段差部、51d…ストッパ、51e…貫通孔、52…ガイド筒、52a…第1の抜け止め孔、52b…第2の抜け止め孔、52c…第1のカバー、52d…紐状部材、53…抜け止めピン、53a…突起、53b…紐状部材、54…ブラケット、55…第2のカバー、55a…カバー本体部、55b…センサ取付部、55c…第1の規制部、55d…第2の規制部、56…第3のカバー、57…センサ、421…縦筒、422…可動脚部、D1…前後方向、D2…左右方向、D3…上下方向、d1…第1の外径、d2…第2の外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8