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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123897
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】押し治具
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01R43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031693
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】牧野 匡宏
(72)【発明者】
【氏名】大橋 絢貴
(72)【発明者】
【氏名】紅林 亜由子
【テーマコード(参考)】
5E051
【Fターム(参考)】
5E051GA09
5E051GB07
(57)【要約】
【課題】ゴム栓を周方向に均一な力でコネクタハウジング内に押し込むことができる押し治具を提供する。
【解決手段】押し治具3は、電線の外周に装着された円筒状のゴム栓を前記電線の長手方向に移動させてコネクタハウジング内に押し込むための押し治具である。押し治具3は、分離可能な第1部品1及び第2部品2が互いに組み付けられて構成されるものである。第1部品1及び第2部品2は、それぞれ、円筒をその中心軸を通る平面で2分割した形状の半円筒部10,20を備えている。第1部品1及び第2部品2が互いに組み付けられることで、半円筒部10,20同士が合わさって電線を囲む円筒を構成し、当該円筒が、ゴム栓を押圧可能な第1押圧部31及び第2押圧部32を成す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の外周に装着された円筒状のゴム栓を前記電線の長手方向に移動させてコネクタハウジング内に押し込むための押し治具であって、
分離可能な第1部品及び第2部品が互いに組み付けられて構成されるものであり、
前記第1部品及び前記第2部品は、それぞれ、円筒をその中心軸を通る平面で2分割した形状の半円筒部を備え、
前記第1部品及び前記第2部品が互いに組み付けられることで、前記半円筒部同士が合わさって電線を囲む円筒を構成し、当該円筒が、ゴム栓を押圧可能な押圧部を成す
ことを特徴とする押し治具。
【請求項2】
前記押圧部の一端部の外径は、前記押圧部の他端部の外径よりも大きく形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の押し治具。
【請求項3】
前記押圧部の中心軸と交差する方向に延びた一対の把持部が前記押圧部の両側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の押し治具。
【請求項4】
前記第1部品及び前記第2部品は、それぞれ、一対の板部を前記半円筒部の両側に備え、
前記第1部品及び前記第2部品が互いに組み付けられることで、前記一対の板部同士が合わさって前記一対の把持部を構成する
ことを特徴とする請求項3に記載の押し治具。
【請求項5】
前記第1部品が前記一対の把持部の一方を備え、前記第2部品が前記一対の把持部の他方を備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の押し治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の外周に装着されたゴム栓をコネクタハウジング内に押し込むための押し治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤハーネスを構成するコネクタの一例として、図19に示すものがある。このコネクタ500は、電線505の端末に接続された端子506と、端子506を収容したコネクタハウジング508と、電線505の外周に装着され、コネクタハウジング508内に押し込まれた円筒状のゴム栓507と、を備えている。
【0003】
上記ゴム栓507をコネクタハウジング508内に押し込む際は、図17に示すような専用の押し治具403を用いることがあった(例えば特許文献1を参照)。この押し治具403は、円筒をその中心軸と平行な平面で切った形状の把持部433と、把持部433の一端から突出した押圧部431と、を備えている。
【0004】
上記コネクタ500を組み立てる際は、以下の手順で組み立てる。まず、端子506が接続された状態の電線505にゴム栓507を装着し、端子506をコネクタハウジング508内に挿入する。次に、図18に示すように、押し治具403を電線505にセットする。そして、図19に示すように、把持部433を把持して、押圧部431をゴム栓507に当て、ゴム栓507をコネクタハウジング508内に押し込む。
【0005】
上記押し治具403は、ゴム栓507やその他様々な部品が装着された電線505に沿わせられるように、円筒の一部を切除した部分円筒形状(断面C字形状)とされている。また、ゴム栓507を押し込む際に力を加え易いように把持部433が太く形成され、押圧部431はコネクタハウジング508内に挿入可能なように細く形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-76910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の押し治具403においては、部分円筒形状(断面C字形状)に形成されているがゆえに、ゴム栓507の周方向に均一な力で押し込むことができず、ゴム栓507が傾いた状態でコネクタハウジング508内に位置付けられてしまうことがあった。押し治具403を軸周りに回転させて数回押し込み作業を繰り返すことでゴム栓507の傾きは解消できるが、このような作業は手間がかかる上、作業者の熟練度によってバラツキが生じる可能性があった。
【0008】
なお、本願発明者は、上述したゴム栓押し込み作業の作業効率を改善するために図13,14に示す押し治具303を考案した。この押し治具303は、円盤の一部を切り欠いた形状の操作部333と、操作部333の一面から突出した押圧部331とを備えている。押圧部331は、上記押圧部431と同様の形状である。操作部333は、上記把持部433の代わりに設けられた部位であり、指で押して強い力でゴム栓507を押し込めるように、押圧部331と反対側の背面が広く設定されている。また、効率的に力を伝えられるように、操作部333背面から押圧部331までの距離が短く設定されている。
【0009】
押し治具303を用いてゴム栓507をコネクタハウジング508内に押し込む際は、図15,16に示すように、押し治具303を電線505にセットし、操作部333を指で押して押圧部331をゴム栓507に当て、コネクタハウジング508内に押し込む。
【0010】
上記押し治具303においては、幾分か作業効率が改善されているものの、ゴム栓507を周方向に均一な力で押し込むという点については改善に至っていなかった。
【0011】
そこで、本発明は、ゴム栓を周方向に均一な力でコネクタハウジング内に押し込むことができる押し治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電線の外周に装着された円筒状のゴム栓を前記電線の長手方向に移動させてコネクタハウジング内に押し込むための押し治具であって、分離可能な第1部品及び第2部品が互いに組み付けられて構成されるものであり、前記第1部品及び前記第2部品は、それぞれ、円筒をその中心軸を通る平面で2分割した形状の半円筒部を備え、前記第1部品及び前記第2部品が互いに組み付けられることで、前記半円筒部同士が合わさって電線を囲む円筒を構成し、当該円筒が、ゴム栓を押圧可能な押圧部を成すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ゴム栓を周方向に均一な力でコネクタハウジング内に押し込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態にかかる押し治具の斜視図である。
図2図1の押し治具の分解図である。
図3図1の押し治具の背面図である。
図4図1の押し治具の正面図である。
図5図1の押し治具の側面図である。
図6図1の押し治具の使用方法を説明する図であり、第2部品を電線に沿わせた状態を示す図である。
図7図6の第2部品に第1部品を組み付けた状態を示す図である。
図8図7の押し治具でゴム栓をコネクタハウジング内に押し込んでいる様子を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態にかかる押し治具の斜視図である。
図10図9の押し治具の分解図である。
図11図9の押し治具の使用方法を説明する図であり、押し治具を電線にセットした状態を示す図である。
図12図11の押し治具でゴム栓をコネクタハウジング内に押し込んでいる様子を示す図である。
図13】参考例の押し治具の斜視図である。
図14図13の押し治具の背面図である。
図15図13の押し治具の使用方法を説明する図であり、押し治具を電線にセットした状態を示す図である。
図16図15の押し治具でゴム栓をコネクタハウジング内に押し込んでいる様子を示す図である。
図17】従来の押し治具の斜視図である。
図18図17の押し治具の使用方法を説明する図であり、押し治具を電線にセットした状態を示す図である。
図19図18の押し治具でゴム栓をコネクタハウジング内に押し込んでいる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態にかかる「押し治具」について、図1~8を参照して説明する。
【0016】
図1~5に示す押し治具3は、図7,8に示すように、コネクタ500の組み立てに用いられ、電線505の外周に装着された円筒状のゴム栓507を電線505の長手方向に移動させてコネクタハウジング508内に押し込むための押し治具である。
【0017】
また、コネクタ500は、電線505の端末に接続された端子506と、端子506を収容したコネクタハウジング508と、電線505の外周に装着され、コネクタハウジング508内に押し込まれた円筒状のゴム栓507と、を備えている。
【0018】
押し治具3は、分離可能な第1部品1及び第2部品2が互いに組み付けられて構成されるものである。
【0019】
第1部品1及び第2部品2は、それぞれ、円筒をその中心軸を通る平面で2分割した形状の半円筒部10,20を備えている。第1部品1及び第2部品2が互いに組み付けられることで、半円筒部10,20同士が合わさって電線505を囲む円筒を構成し、当該円筒が、ゴム栓507を押圧可能な押圧部30を成す。
【0020】
押圧部30の一端部の外径は、押圧部30の他端部の外径よりも大きく形成されている。この押圧部30の小径に形成された部分を第1押圧部と呼称し、符号31を付す。また、この押圧部30の大径に形成された部分を第2押圧部と呼称し、符号32を付す。
【0021】
第1部品1の半円筒部10は、第1押圧部31を構成する第1半円筒部11と、第2押圧部32を構成する第2半円筒部12と、を備えている。第1半円筒部11の内面と第2半円筒部12の内面は面一に連続している。即ち、押圧部30の内径は、その全長にわたって一定である。
【0022】
第2部品2の半円筒部20は、第1押圧部31を構成する第1半円筒部21と、第2押圧部32を構成する第2半円筒部22と、を備えている。第1半円筒部21の内面と第2半円筒部22の内面は面一に連続している。
【0023】
このように、本例の押し治具3は、外径が異なる第1押圧部31と第2押圧部32を備えている。このため、押し治具3は、サイズの異なる2種類のゴム栓の押し込み作業に用いることができる。図6~7に示す例では、ゴム栓507の押し込みに第1押圧部31を用いている。不図示の大サイズのゴム栓を押し込む際は、このゴム栓に第2押圧部32を当てるようにして用いる。
【0024】
押し治具3は、押圧部30の中心軸と交差する方向に延びた一対の把持部33が押圧部30の両側に設けられている。図2に示すように、第1部品1及び第2部品2は、それぞれ、一対の板部13,23を半円筒部10,20の両側に備えている。これら第1部品1及び第2部品2が互いに組み付けられることで、一対の板部13,23同士が合わさって一対の把持部33を構成する。
【0025】
第1部品1の板部13には、第2部品2の板部23側に突出した円柱状のボス14が設けられている。ボス14は、半円筒部10の両側に一対設けられている。第2部品2の板部23には、ボス14が嵌合する穴24が一対設けられている。各ボス14が各穴24に嵌合することで、第1部品1及び第2部品2が互いに組み付けられた状態が維持される。
【0026】
押し治具3を用いてゴム栓507をコネクタハウジング508内に押し込む際は、図6,7に示すように押し治具3を電線505にセットする。そして、一対の把持部33を把持して、図8に示すように第1押圧部31をゴム栓507に当て、コネクタハウジング508内に押し込む。押し込んだ後は、第1部品1及び第2部品2を分離させて電線505から外す。
【0027】
本例の押し治具3は、第1押圧部31、第2押圧部32が円筒状に形成されているので、ゴム栓507を周方向に均一な力でコネクタハウジング508内に押し込むことができる。また、ゴム栓507の押し込み方向と交差する方向に延びた一対の把持部33を備えているので、ゴム栓507を強い力で押し込むことができる。
【0028】
本発明の第2実施形態にかかる「押し治具」について、図9~12を参照して説明する。
【0029】
図9,10に示す押し治具103は、図11,12に示すように、コネクタ500の組み立てに用いられ、電線505の外周に装着された円筒状のゴム栓507を電線505の長手方向に移動させてコネクタハウジング508内に押し込むための押し治具である。
【0030】
押し治具103は、分離可能な第1部品101及び第2部品101が互いに組み付けられて構成されるものである。第1部品101及び第2部品101は、同一形状同一サイズである。
【0031】
第1部品101及び第2部品101は、それぞれ、円筒をその中心軸を通る平面で2分割した形状の半円筒部111を備えている。第1部品101及び第2部品101が互いに組み付けられることで、半円筒部111,111同士が合わさって電線505を囲む円筒を構成し、当該円筒が、ゴム栓507を押圧可能な押圧部131を成す。
【0032】
押し治具103は、押圧部131の中心軸と交差する方向に延びた一対の把持部113が押圧部131の両側に設けられている。図10に示すように、第1部品101が一対の把持部113の一方を備え、第2部品101が一対の把持部113の他方を備えている。
【0033】
第1部品101及び第2部品101は、それぞれ、半円筒部111と把持部113の間に介在した矩形部115と、矩形部115から突出した円柱状のボス114と、矩形部115に形成された穴124と、を備えている。第1部品101のボス114が第2部品101の穴124に嵌合し、第2部品101のボス114が第1部品101の穴124に嵌合することで、第1部品101及び第2部品101が互いに組み付けられた状態が維持される。
【0034】
押し治具103を用いてゴム栓507をコネクタハウジング508内に押し込む際は、図11に示すように押し治具103を電線505にセットする。そして、一対の把持部113を把持して、図12に示すように押圧部131をゴム栓507に当て、コネクタハウジング508内に押し込む。押し込んだ後は、第1部品101及び第2部品101を分離させて電線505から外す。
【0035】
本例の押し治具103は、押圧部131が円筒状に形成されているので、ゴム栓507を周方向に均一な力でコネクタハウジング508内に押し込むことができる。また、ゴム栓507の押し込み方向と交差する方向に延びた一対の把持部113を備えているので、ゴム栓507を強い力で押し込むことができる。
【0036】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0037】
1,101 第1部品
2,101 第2部品
3,103 押し治具
10,20,111 半円筒部
30,131 押圧部
33,113 把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19