(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123899
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】開閉窓
(51)【国際特許分類】
E05C 1/14 20060101AFI20240905BHJP
E05C 9/00 20060101ALI20240905BHJP
E06B 3/38 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E05C1/14 D
E05C9/00 Z
E06B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031695
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014EA01
2E014EB01
2E014EB02
2E014EB05
2E014EB08
(57)【要約】
【課題】上枠部または下枠部に鍵部材を取り付ける必要がなくなるため、上枠部または下枠部の厚みや高さを小さくでき、窓枠の上下方向の開口面積を大きくできる。
【解決手段】一対の縦枠部3A,3B、これら一対の縦枠部3A,3Bの上端側を連結する上枠部4、および一対の縦枠部3A,3Bの下端側を連結する下枠部5を有する窓枠2と、上側または下側が上枠部4または下枠部5に回動可能に取り付けられ、窓枠3を開閉可能とする窓部材6と、一対の縦枠部3A,3Bの少なくともいずれか一方に取り付けられ、窓部材6による窓枠2の閉塞状態を解除可能に施錠する鍵部材8A,9Bと、を備えた排煙窓1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の縦枠部、これら一対の縦枠部の上端側を連結する上枠部、および前記一対の縦枠部の下端側を連結する下枠部を有する窓枠と、
上側または下側が前記上枠部または前記下枠部に回動可能に取り付けられ、前記窓枠を開閉可能とする窓部材と、
前記一対の縦枠部の少なくともいずれか一方に取り付けられ、前記窓部材による前記窓枠の閉塞状態を解除可能に施錠する鍵部材と、
を備えたことを特徴とする開閉窓。
【請求項2】
前記窓部材は、屋外側に向けて回動可能に前記上枠部または前記下枠部に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の開閉窓。
【請求項3】
前記鍵部材は、前記縦枠部の屋内側から目視できない位置に収納されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の開閉窓。
【請求項4】
前記鍵部材を複数備え、
これら鍵部材は、前記一対の縦枠部のそれぞれに取り付けられ、
これら鍵部材には、いずれか一方の前記縦枠部に取り付けられた前記鍵部材を開錠することに伴い、いずれか他方の前記縦枠部に取り付けられた前記鍵部材を開錠させる連動部材が取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の開閉窓。
【請求項5】
前記連動部材は、いずれか一方の前記鍵部材の開錠動作に連動していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させるワイヤである、
ことを特徴とする請求項4記載の開閉窓。
【請求項6】
前記連動部材は、いずれか一方の前記鍵部材の開錠動作に連動していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させる棒材である、
ことを特徴とする請求項4記載の開閉窓。
【請求項7】
前記各鍵部材は、上下方向への移動で開錠動作するように前記縦枠部に取り付けられ、
前記棒材は、前記上枠部または前記下枠部に収容され、いずれか一方の前記鍵部材の開錠動作に連動して回転していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させる、
ことを特徴とする請求項6記載の開閉窓。
【請求項8】
前記各鍵部材は、上下方向への移動で開錠動作するように前記縦枠部に取り付けられ、
前記棒材は、前記上枠部または前記下枠部に収納され、いずれか一方の前記鍵部材の開閉動作に連動して上下方向に移動していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させる、
ことを特徴とする請求項6記載の開閉窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排煙窓等の開閉可能なパネル体を備える開閉窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排煙窓等の開閉可能なパネル体を備える開閉窓は、窓枠に対して障子の下端部を回動中心として屋外側へ開閉可能とされている。そして、障子の上端側に自重が大きく加わることから、窓枠の上側内側に鍵が取り付けられ、この鍵にて障子の上端側を開錠可能に固定させた構成の排煙窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排煙窓では、窓枠の上側内側に鍵を取り付けているため、屋内側から鍵が目視できてしまい美観に損ねる。また、この鍵を窓枠の内側に内蔵させた場合には、窓枠の上側部分の厚みや高さが大きくなってしまうことから、窓枠が大きくなってしまう。よって、結果として障子を小さくしなければならず、排煙窓の上下方向の開口面積を大きくすることが容易ではないという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として発明されたものであって、請求項1の発明は、一対の縦枠部、これら一対の縦枠部の上端側を連結する上枠部、および前記一対の縦枠部の下端側を連結する下枠部を有する窓枠と、上側または下側が前記上枠部または前記下枠部に回動可能に取り付けられ、前記窓枠を開閉可能とする窓部材と、前記一対の縦枠部の少なくともいずれか一方に取り付けられ、前記窓部材による前記窓枠の閉塞状態を解除可能に施錠する鍵部材と、を備えたことを特徴とする開閉窓である。
請求項2の発明は、請求項1において、前記窓部材は、屋外側に向けて回動可能に前記上枠部または前記下枠部に取り付けられている、ことを特徴とする開閉窓である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記鍵部材は、前記縦枠部の屋内側から目視できない位置に収納されている、ことを特徴とする開閉窓である。
請求項4の発明は、請求項1において、前記鍵部材を複数備え、これら鍵部材は、前記一対の縦枠部のそれぞれに取り付けられ、これら鍵部材には、いずれか一方の前記縦枠部に取り付けられた前記鍵部材を開錠することに伴い、いずれか他方の前記縦枠部に取り付けられた前記鍵部材を開錠させる連動部材が取り付けられている、ことを特徴とする開閉窓である。
請求項5の発明は、請求項4において、前記連動部材は、いずれか一方の前記鍵部材の開錠動作に連動していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させるワイヤである、ことを特徴とする開閉窓である。
請求項6の発明は、請求項4において、前記連動部材は、いずれか一方の前記鍵部材の開錠動作に連動していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させる棒材である、ことを特徴とする開閉窓である。
請求項7の発明は、請求項6において、前記各鍵部材は、上下方向への移動で開錠動作するように前記縦枠部に取り付けられ、前記棒材は、前記上枠部または前記下枠部に収容され、いずれか一方の前記鍵部材の開錠動作に連動して回転していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させる、ことを特徴とする開閉窓である。
請求項8の発明は、請求項6において、前記各鍵部材は、上下方向への移動で開錠動作するように前記縦枠部に取り付けられ、前記棒材は、前記上枠部または前記下枠部に収納され、いずれか一方の前記鍵部材の開閉動作に連動して上下方向に移動していずれか他方の前記鍵部材を開錠動作させる、ことを特徴とする開閉窓である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、窓枠の上枠部または下枠部に回動可能に取り付けられた窓部材であっても、上枠部または下枠部に鍵部材を取り付ける必要がない。このため、上枠部または下枠部の厚みや高さを小さくできるから窓枠の上下方向の開口面積を大きくできる。
請求項2の発明とすることにより、屋外側に向けて上枠部または下枠部に回動可能に取り付けられた窓部材としても、窓枠の上下方向の開口面積を大きくできる。
請求項3の発明とすることにより、屋内側から鍵部材が目視できないため、屋内側からの美観を向上できる。
請求項4の発明とすることにより、いずれか一方の鍵部材を開錠させることによって、連動部材がいずれか他方の鍵部材を開錠させるため、これら各鍵部材の連動させた開錠動作を容易にできる。
請求項5の発明とすることにより、いずれか一方の鍵部材の開錠動作させることにより、ワイヤ材がいずれか他方の鍵部材を開錠動作させるため、これら鍵部材を連動させて開錠動作させる動作を簡単な構成で実現できる。
請求項6の発明とすることにより、いずれか一方の鍵部材の開錠動作させることにより、棒材がいずれか他方の鍵部材を開錠動作させるため、これら鍵部材を連動させて開錠動作させる動作を簡単な構成で実現できる。
請求項7の発明とすることにより、いずれか一方の鍵部材の開錠動作に連動して、上枠部または下枠部に収納された棒材が回転して、いずれか他方の鍵部材を開錠動作させる。この結果、これら一対の鍵部材の開錠動作を連動させる棒部材を屋内側から目視できなくできるから、一対の鍵部材の開錠動作を連動させる構成であっても、屋内側からの美観を向上できる。
請求項8の発明とすることにより、いずれか一方の鍵部材の開錠動作に連動して、上枠部または下枠部に収納された棒材が上下方向に移動して、いずれか他方の鍵部材を開錠動作させる。この結果、これら一対の鍵部材の開錠動作を連動させる棒部材を屋内側から目視できなくできるから、一対の鍵部材の開錠動作を連動させる構成であっても、屋内側からの美観を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る開閉窓の概略正面図である。
【
図2】上記開閉窓の縦枠部の上端側の縦方向断面図である。
【
図3】上記開閉窓の縦枠部の一部を省略した縦方向断面図である。
【
図4】上記開閉窓の一部を省略した水平方向断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る開閉窓の連動構成を示す概略図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る開閉窓の連動構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1ないし
図5において、1はいわゆる隠ぺい式の開閉窓としての排煙窓である。この排煙窓1は、建物の屋外に面した壁の上部に取り付けられる略矩形枠状の窓枠2を備えている。窓枠2は、所定の間隔を空けて設置された一対の縦枠部3A,3Bと、これら一対の縦枠部3A,3Bの上端側を連結する上枠部4と、これら一対の縦枠部3A,3Bの下端側を連結する下枠部5とを有する矩形枠状に形成されている。なお、この窓枠2は、これら一対の縦枠部3A,3B、上枠部4および下枠部5が一体型の構成であっても、別体型の構成であってもよい。そして、窓枠2には、略矩形平板状の窓部材6が開閉可能に取り付けられている。窓部材6は、この窓部材6の下側が下枠部5に回動可能に取り付けられ、屋外側に向けて回動可能に構成された外倒し式となっている。
【0009】
窓枠2の上枠部4は、
図2および
図3に示すように、屋内側を覆う内側片部4aと、この内側片部4aの上端側に連結された上側片部4bとを有する断面略L型に形成されている。上側片部4bは、この上側片部4bの幅方向の一側(屋内側)に、内側片部4aの幅方向の一側(上端側)が連結され、この内側片部4aの屋外側と上側片部4bの下方との間に所定の収納空間4cが形成された構成となっている。
【0010】
次いで、下枠部5は、
図3に示すように、屋外側を覆う内側片部5aと、この内側片部5aの下端側に連結された下側片部5bとを有する断面略L型に形成されている。下側片部5bは、この下側片部5bの幅方向の一側(屋内側)に、内側片部5aの幅方向の一側(下端側)が連結された構成となっている。また、下側片部5bの上側面の幅方向の他側(屋外側)寄りの位置には、窓部材6の下端側を回動可能に係止する係止爪部5cが幅方向に亘って屋外側から屋内側に向けて突出して設けられている。また、下枠部5の下方には、ガラス等にて構成された複層ガラスなどのパネル材7が固定されて取り付けられている。
【0011】
さらに、一対の縦枠部3A,3Bは、
図4に示すように、屋内側を覆う内側片部3aと、この内側片部3aに対して略垂直に連結された取付片部3bとを有する断面略L型に形成されている。取付片部3bは、この取付片部3bの幅方向の一側(屋内側)に、内側片部3aの幅方向の一側が連結され、この内側片部3aの屋外側と取付片部3bの内側との間に所定の収納空間3cが形成された構成となっている。なお、
図4においては、2つの窓枠2が幅方向に連結された2連の窓枠とされ、これら2つの窓枠2の対向する側に位置する縦枠部3A同士が連結された連結枠3Cとして構成されている。
【0012】
一方、窓部材6は、矩形平板状のガラス等にて構成されたパネル材7と、このパネル材7の外縁を覆う枠材8とを有している。枠材8は、パネル材7の両側縁を覆う一対の縦枠部8a,8bと、これら一対の縦枠部8a,8bの上端側に連結されパネル材7の上側縁を覆う上枠部8cと、一対の縦枠部8a,8bの下端側に連結されパネル材7の下側縁を覆う下枠部8dとで構成されている。
【0013】
そして、枠材8の上枠部8cは、
図2および
図3に示すように、パネル材7の上端縁を嵌合保持する保持片部8eが屋外側に設けられている。保持片部8eの屋内側には、窓枠2に対して窓部材6を閉塞した際に、上枠部8cを窓枠2の上枠部4の内側片部4aの内側下端部に押し付けて気密を確保させるための閉塞片部8fが設けられている。
【0014】
枠材8の下枠部8dも同様に、パネル材7の下端縁を嵌合保持する保持片部8gが屋外側に設けられ、この保持片部8gの屋内側に閉塞片部8hが設けられている。保持片部8gもまた、窓枠2に対して窓部材6を閉塞した際に、下枠部8dを窓枠2の下枠部5の内側片部5aの内側上端部に押し付けて気密を確保させる構成となっている。そして、保持片部8gの下側面の幅方向の屋外側寄りの位置には、窓枠2の下枠部5に設けられた係止爪部5cに係合し、窓部材6の下端側を回動可能に保持する被係止爪部8jが幅方向に亘って屋内側から屋外側に向けて突出して設けられている。
【0015】
さらに、各縦枠部8a,8bは、
図4に示すように、パネル材7の幅方向の縁部を嵌合保持する保持片部8kと、この保持片部8kの屋内側に設けられた閉塞片部8mとを有している。閉塞片部8mは、保持片部8kの屋内側に位置する内側面8nの内縁に接続され、この内側面8nから垂直に屋内側に突出した構成となっている。その結果、各縦枠部8a,8bは、保持片部8kの内側面の屋内側と閉塞片部8mの外側との間に所定の収容空間8pが形成される構成となっている。
【0016】
一方、窓枠2の各縦枠部3A,3Bの収容空間3cには、
図2および
図4に示すように、窓部材6による窓枠2の閉塞状態を解除可能に施錠する鍵部材(ロック機構)9A,9Bが取り付けられている。これら鍵部材9A,9Bは、長手方向を有するケース体9aと、このケース体9a内に長手方向の両端部から各端部をそれぞれ突出させて取り付けられた細長矩形平板状のスライド部9bと、このスライド部9bの所定位置からの長手方向の移動にて開錠可能となる爪部(ラッチ)9cとを備えた隠ぺい式排煙錠とされている。要するに、各鍵部材9A,9Bは、所定位置からスライド部9bを長手方向に沿っていずれかの方向に移動させることによって、ケース体9aの上面から爪部9cが突出した状態が解除可能、要するに、ケース体9aから爪部9cが後退して開錠させる構成となっている。
【0017】
さらに、各鍵部材9A,9Bは、ケース体9aの長手方向を上下方向に向けた状態で、各縦枠部3A,3Bの取付片部3bの内側面の上側寄りの位置にケース体9aの下面を固定させて取り付けられ、これら取付片部3bにて覆われて屋内側から目視できないように収納空間3cに収容されている。さらに、いずれか一方の縦枠部3B(例えば
図4に示す連結枠3Cの場合においては幅方向の両側部に位置する縦枠部3B)に取り付けられた鍵部材9Bには、スライド部9bを長手方向に移動させるためのレバー部(連動ステー)9dが取り付けられている。レバー部9dは、一端側がスライド部9bの長手方向の下端部に連結され、他端側が縦枠部3Bの内側片部3a設けられた溝部(図示せず)に貫通されて屋内側に突出して取り付けられている。
【0018】
そして、レバー部9dの長手方向の他端側、要するに屋内側に突出した側の端部には、細長略円柱状の取手部9eの上端部が固定されて取り付けられている。取手部9eは、長手方向(軸方向)を上下方向に向けて取り付けられている。また、取手部9eは、この取手部9eを把持して下方に移動させることにより、この取手部9eの移動に連動してレバー部9dとともに鍵部材9Bのスライド部9bが下方へ移動して、ケース体9aから爪部9cを後退させて、この爪部9cによる施錠を解除可能にする構成となっている。
【0019】
一方、窓部材6の各縦枠部8a,8bには、これら各縦枠部8a,8bに取り付けられた鍵部材9A,9Bの爪部9cが係止する鍵受部材11が取り付けられている。鍵受部材11は、断面L字状の本体部11aを有し、この本体部11の一方の側辺部11bが、縦枠部8a,8bの保持片部8kの屋内側に位置する側面部に取り付けられて固定されている。本体部11aは、一方の側辺部11bを鍵部材9A,9Bのケース体9aの屋外側の側面に沿わせ、他方の側辺部11cを鍵部材9A,9Bのケース体9aの上面に沿わせて取り付けられている。さらに、本体部9aの他方の側辺部11cは、縦枠部8a,8bの閉塞片部8mの幅方向に沿って屋内側に突出し、この側辺部11cの長手方向の略中間部に、鍵部材9A,9Bの爪部9cが係止する略矩形状の係止溝11dが設けられている。
【0020】
さらに、
図2および
図5に示すように、各窓枠2の一対の各縦枠部3A,3Bに取り付けられた鍵部材9A,9Bのスライド部9bは、連動部材としてのワイヤ12にて連結されている。具体的に、これら鍵部材9A,9Bは、各スライド部9bの中間部にワイヤ12の端部が接続され、一方の鍵部材9Bのスライド部9bの移動が他方の鍵部材9Aのスライド部9bへ連動する構成となっている。そして、ワイヤ12は、一方の縦枠部3Aの収納空間3cから上枠部4の収納空間4cを介して他方の縦枠部3Bの収納空間3cへ引き回されて取り付けられ、この上枠部4の上側片部4bの幅方向の両端部にそれぞれ取り付けられた転向滑車13,14に巻回されて移動可能に取り付けられている。よって、ワイヤ12は、鍵部材9Bの開錠動作に連動して鍵部材9Bを開錠動作させる構成となっている。
【0021】
要するに、これら鍵部材9A,9Bは、取手部9eを把持して下方に移動させることに連動してレバー部9dとともに鍵部材9Bのスライド部9bが下方へ移動し、このスライド部9bの移動に連動してワイヤ12を介して鍵部材9Aのスライド部9bが上方へ移動する。その結果、これら鍵部材9A,9Bそれぞれの爪部9cが後退し、この爪部9cによる鍵受部材11の係止溝11dへの係止が解除され、これら鍵部材9A,9Bによる窓枠2に対する窓部材6の施錠が連動して同時に開錠(解除)される構成となっている。
【0022】
叙述の如く構成された本第1実施形態によれば、窓部材6の下端側が窓枠2の下枠部5に回動可能に取り付けられて屋外側に回動可能とされ、この窓枠2の各縦枠部3A,3Bの収容空間3cのそれぞれに鍵部材9A,9Bを取り付けた構成の排煙窓1としている。この結果、窓部材6の下端側が窓枠2の下枠部5に回動可能に取り付けられ屋外側に向けて回動可能とされた構成であっても、この窓枠2の上枠部4に鍵部材9A,9Bを取り付ける必要がなくなる。要するに、窓枠2の上枠部4から突出する部材を無くすことができるから、上枠部4の厚みや高さを小さくでき、窓枠2の上下方向の開口面積を大きくできる。
【0023】
また、窓枠2の各縦枠部3A,3Bの取付片部3bの内側面に各鍵部材9A,9Bを取り付け、これら鍵部材9A,9Bが取付片部3bにて覆われた各縦枠部3A,3Bの収納空間3cに収容させた構成としている。この結果、これら各鍵部材9A,9Bを屋内側から目視できない位置に収容できるため、屋内側から観た際の各縦枠部3A,3Bの外形形状を変化させずに各鍵部材9A,9Bを取り付けることができ、排煙窓1の屋内側からの美観を向上できる。
【0024】
さらに、鍵部材9Bに取り付けられた取手部9eを把持等して下方に移動させることにより、この取手部9eの移動に連動してレバー部9dとともに鍵部材9Bのスライド部9bが下方へ移動する。そして、このスライド部9bの移動に連動してワイヤ12を介して鍵部材9Aのスライド部9bが上方へ移動する構成としている。この結果、取手部9eの下方への移動によって、各鍵部材9A,9Bそれぞれの爪部9cが後退し、この爪部9cによる鍵受部材11の係止溝11dへの係止が解除される。
【0025】
よって、これら鍵部材9A,9Bによる窓部材6の施錠を連動させて同時に開錠できるため、取手部9eを下方へ移動させるという一つの動作で排煙窓1の開錠動作を容易にかつ確実に行うことができる。この場合に、これら鍵部材9A,9Bの開錠動作をワイヤ12にて連動させる構成としているため、これら鍵部材9A,9Bを連動させて開錠動作させる動作を簡単な構成で実現できる。
【0026】
また、窓枠2の各縦枠部3A,3Bに鍵部材9A,9Bを取り付ける構成であるため、共通する上枠部4および下枠部5の長さを変更することにより、各縦枠部3A,3Bの構成を変更することなく横方向の大きさが異なる排煙窓1にできる。また、一対の縦枠部3A,3B間に連動枠3Cを介在させることにより、複数の窓部材6を横方向に並べた排煙窓1であっても、共通する上枠部4および下枠部5の長さを変更することで対応できる。
【0027】
そして、窓枠2の各縦枠部3A,3Bの収納空間3cに鍵部材9A,9Bを収容させた構成としているため、これら縦枠部3A,3Bの収容空間3cに鍵部材9A,9Bを収容せず上枠部4の収容空間4cに鍵部材9A,9Bを収容させる構成の排煙窓に比べ、これら縦枠部3A,3Bの収容空間3cを大きく確保する必要がある。この結果、例えば窓部材6を開く際の衝撃を干渉するダンパ装置(図示せず)を大型にしても、これら縦枠部3A,3Bの収容空間3cに収納させて取り付けることができる。よって、大型のダンパ装置等であっても、各縦枠部3A,3Bの収容空間3cに収納させて取り付けることができる。
【0028】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る排煙窓1について、
図6を参照して説明する。この第2実施形態に係る排煙窓1は、窓枠2の一対の縦枠部3A,3Bに取り付けられた鍵部材9A,9Bの開錠動作を連動させる構成が前述の第1実施形態と相違している。参照符号は第1実施形態のものとし、特に相違点について以下に説明する。
【0029】
各鍵部材9A,9Bは、これら各鍵部材9A,9Bのスライド部9bの上端側に位置する端部が連動部材としての棒材(連動棒)21の長手方向の両端部に接続されている。棒材21は、この棒材21の長手方向を窓枠2の上枠部4の長手方向に沿わせた状態で、この上枠部4の収納空間4cに収納され、この収納空間4c内で周方向に回転可能に取り付けられている。そして、棒材21の長手方向の両端の周面部には、この棒材21の径方向に向けて突出した一対の連結片部22,23が取り付けられている。これら一対の連結片部22,23は、同一方向に突出して縦枠部3A,3Bの収容空間3cに収容され、一方の連結片部22の先端部が鍵部材9Aのスライド部9bの上端部に回動可能に連結され、他方の連結片部23が鍵部材9Bのスライド部9bの上端部に回動可能に連結されている。
【0030】
要するに、これら鍵部材9A,9Bは、取手部9eを下方に移動させるとレバー部9dとともに鍵部材9Bのスライド部9bが下方へ移動し、このスライド部9bの移動に連動して棒材21が回転して鍵部材9Aのスライド部9bが下方へ移動する。その結果、これら鍵部材9A,9Bそれぞれの爪部9cが後退して鍵受部材11の係止溝11dへの係止が解除され、これら鍵部材9A,9Bによる窓部材6の施錠が連動して解除される構成となっている。
【0031】
叙述の如く構成された第2実施形態に係る排煙錠1は、取手部9eを下方に移動させることに伴う棒材21の回転により、窓枠2の各縦枠部3A,3Bに取り付けられた鍵部材9A,9Bによる窓部材6の施錠を連動させて同時に開錠できるため、取手部9eを下方へ移動させるという一つの動作で排煙窓1の開錠動作を容易かつ確実に行うことができる。そして、これら鍵部材9A,9Bの開錠動作を棒材21の回転にて連動させる構成としているため、これら鍵部材9A,9Bを連動させて開錠動作させる動作を確実かつ簡単な構成で実現できる。
【0032】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る排煙窓1について、
図7を参照して説明する。この第3実施形態に係る排煙窓1は、鍵部材9A,9Bの開錠動作を連動させる構成が前述の第1および第2実施形態と相違している。参照符号は第1および第2実施形態のものとし、特に相違点について以下に説明する。
【0033】
各鍵部材9A,9Bのスライド部9bの上端側に位置する端部は、連動部材としての棒材(連動棒)31の長手方向の両端部に固定されて連結されている。この棒材31は、この棒材31の長手方向を窓枠2の上枠部4の長手方向に沿わせた状態で、この上枠部4の収納空間4cに収納され、この収納空間4c内で上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0034】
そして、棒材31の長手方向の両端の周面部には、この棒材31の径方向に向けて突出した一対の連結片部32,33が取り付けられている。これら一対の連結片部32,33は、同一方向に突出して縦枠部3A,3Bの収容空間3cに収容され、一方の連結片部32の先端部が鍵部材9Aのスライド部9bの上端部に連結され、他方の連結片部33が鍵部材9Bのスライド部9bの上端部に連結されている。
【0035】
要するに、これら鍵部材9A,9Bは、取手部9eを下方に移動させるとレバー部9dとともに鍵部材9Bのスライド部9bが下方へ移動し、このスライド部9bの移動に連動して棒材21が下方に移動して鍵部材9Aのスライド部9bを下方へ移動させる。その結果、これら鍵部材9A,9Bそれぞれの爪部9cが後退して、これら鍵部材9A,9Bによる窓部材6の施錠が連動して解除される構成となっている。
【0036】
叙述の如く構成された第3実施形態に係る排煙錠1は、取手部9eを下方に移動させることに伴う棒材31の下方への移動により、各鍵部材9A,9Bによる窓部材6の施錠を連動させて同時に開錠できる。よって、取手部9eを下方へ移動させるという一つの動作で排煙窓1の開錠動作を容易かつ確実に行うことができる。そして、これら鍵部材9A,9Bの開錠動作を棒材31の移動にて連動させる構成としているため、これら鍵部材9A,9Bを連動させて開錠動作させる動作を確実かつ簡単な構成で実現できる。
【0037】
<その他>
なお、上記各実施形態においては、窓枠2の一対の縦枠部3A,3Bのそれぞれに鍵部材9A,9Bを取り付け、これら鍵部材9A,9Bの開錠動作を連動させる排煙窓1としたが、比較的小さな排煙窓1であれば、一対の縦枠部3A,3Bのいずれか一方にのみ鍵部材9Aを取り付けた構成とすることもできる。また、窓部材6の下側を窓枠2の下枠部5に回動可能に連結し屋外側へ回動可能とした排煙窓1としたが、例えば屋内側へ回動する開閉窓であっても、対応させて用いることができる。
【0038】
また、上記各実施形態において、窓部材6の下枠部8dを窓枠2の下枠部5に回動可能に取り付けた外倒し式の排煙窓1のほか、この窓部材6の上枠部8cを窓枠2の上枠部4に回動可能に取り付けた突出し式の排煙窓1であっても、対応させて用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、排煙窓等の開閉可能なパネル体を備える開閉窓に係る分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 排煙窓(開閉窓)
2 窓枠
3A,3B 縦枠部
4 上枠部
5 下枠部
6 窓部材
9A,9B 鍵部材
12 ワイヤ(連動部材)
21 棒材(連動部材)
31 棒材(連動部材)