(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123903
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/187 20060101AFI20240905BHJP
H01R 13/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01R13/187 A
H01R13/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031701
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】芦部 健太
(57)【要約】
【課題】第1端子に対して第2端子を抜き差ししても、第1端子と第2端子を高い信頼性で電気的に接続することができるコネクタを提供する。
【解決手段】第2端子12が所定の挿入方向に沿って第2端子収容部13H内の所定の接続完了位置まで挿入された場合に、第1端子11の第1対向面11Aから突出する突起11Cが第2端子12の第2対向面12Cに形成された突起収容部12Dに収容されることにより、第2端子12は所定の接続完了位置に保持され、バネ部材13Fにより第2端子12の被押し付け部12Bを介して第2端子12が第1端子11に押し付けられ、第1端子11の第1接点部P1および第2端子12の第2接点部P2が互いに接触して第1端子11と第2端子12が互いに電気的に接続される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の第1端子に対して平板状の第2端子を平行に移動させて重ね合わせることにより前記第1端子と前記第2端子を互いに接続するコネクタであって、
前記第1端子に取り付けられ且つ前記第2端子を前記第1端子に向けて押し付けるためのバネ部材を備え、
前記第1端子は、第1対向面と、前記第2端子に向けられた第1接点部を有し、
前記第1対向面と前記バネ部材の間に前記第2端子が挿入される第2端子収容部が形成され、
前記第2端子は、前記第1対向面に対向する第2対向面と、前記第1端子に向けられた第2接点部と、前記バネ部材に対向するバネ部材対向面に突出形成された被押し付け部を有し、
前記第1対向面および前記第2対向面のうちの一方から前記第1対向面および前記第2対向面のうちの他方に向かって突出する突起を有し、前記他方は、前記突起を収容する凹状の突起収容部を有し、
前記第2端子が所定の挿入方向に沿って前記第2端子収容部内の所定の接続完了位置まで挿入された場合に、前記突起が前記突起収容部に収容されることにより前記第2端子は前記所定の接続完了位置に保持され、前記バネ部材により前記被押し付け部を介して前記第2端子が前記第1端子に押し付けられ、前記第1接点部および前記第2接点部が互いに接触して前記第1端子と前記第2端子が互いに電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記第2端子が前記所定の接続完了位置まで挿入された場合に、前記突起の頂部と前記突起収容部の底部の間に所定の間隙が形成される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1端子は、前記第1対向面に突出形成された第1凸部を有し、
前記第1接点部は、前記第1凸部の頂部に配置され、
前記第2接点部は、前記第2対向面上に配置されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2端子は、前記第2対向面に突出形成された第2凸部を有し、
前記第2接点部は、前記第2凸部の頂部に配置され、
前記第1接点部は、前記第1対向面上に配置されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1接点部および前記第2接点部は、前記突起に対して前記所定の挿入方向に重ならない位置に配置されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1端子は、複数の前記第1接点部を有し、
前記第2端子は、前記複数の前記第1接点部に対応する複数の前記第2接点部を有する請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数の前記第1接点部および前記複数の前記第2接点部は、それぞれ、前記所定の挿入方向に対して対称の形状を有する二等辺三角形の頂点に配置される3つの前記第1接点部および3つの前記第2接点部からなる請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記突起および前記突起収容部は、前記二等辺三角形の辺の上、または、前記二等辺三角形の内側に配置されている請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記突起および前記突起収容部は、前記二等辺三角形の外側に配置されている請求項7に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記突起は、前記第1対向面および前記第2対向面のうちの前記一方に一体に形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第1接点部が露出するように前記第1対向面上に取り付けられた突起形成部品を備え、
前記突起は、前記突起形成部品に形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記突起は、前記第1対向面に形成され、前記突起収容部は、前記第2対向面に形成され、前記被押し付け部は、前記突起収容部と同じ位置における前記バネ部材対向面に形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第1端子に取り付けられ且つ前記バネ部材を前記第1対向面に対向するように保持するバネ部材保持部を備える請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに係り、特に、平板状の第1端子に対して平板状の第2端子を平行に移動させて重ね合わせることにより第1端子と第2端子を互いに接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1端子に対して第2端子を抜き差しすることにより第1端子と第2端子の接続を行うコネクタが知られている。
例えば、特許文献1には、
図51に示されるようなコネクタが開示されている。このコネクタにおいては、第1端子1の一対の弾性接触片2の間に第2端子3が挿入されることにより、一対の弾性接触片2がそれぞれ所定の弾性力で第2端子3に接触し、これにより、第1端子1と第2端子3とが互いに電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第2端子3が第1端子1の一対の弾性接触片2の間に挿入される過程において、第2端子3は、常に、一対の弾性接触片2から所定の弾性力を受けて摺動されるため、弾性接触片2と第2端子3の摺動部位が摩耗しやすくなる。
また、第1端子1と第2端子3の接続状態において、何らかの外力を受ける等により、第1端子1と第2端子3が互いに相対的に移動することによっても、一対の弾性接触片2と第2端子3との間で摺動部位が摩耗しやすくなる。
このため、第1端子1と第2端子3の電気的接続の信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、第1端子に対して第2端子を抜き差ししても、第1端子と第2端子を高い信頼性で電気的に接続することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るコネクタは、
平板状の第1端子に対して平板状の第2端子を平行に移動させて重ね合わせることにより第1端子と第2端子を互いに接続するコネクタであって、
第1端子に取り付けられ且つ第2端子を第1端子に向けて押し付けるためのバネ部材を備え、
第1端子は、第1対向面と、第2端子に向けられた第1接点部を有し、
第1対向面とバネ部材の間に第2端子が挿入される第2端子収容部が形成され、
第2端子は、第1対向面に対向する第2対向面と、第1端子に向けられた第2接点部と、バネ部材に対向するバネ部材対向面に突出形成された被押し付け部を有し、
第1対向面および第2対向面のうちの一方から第1対向面および第2対向面のうちの他方に向かって突出する突起を有し、他方は、突起を収容する凹状の突起収容部を有し、
第2端子が所定の挿入方向に沿って第2端子収容部内の所定の接続完了位置まで挿入された場合に、突起が突起収容部に収容されることにより第2端子は所定の接続完了位置に保持され、バネ部材により被押し付け部を介して第2端子が第1端子に押し付けられ、第1接点部および第2接点部が互いに接触して第1端子と第2端子が互いに電気的に接続されるものである。
【0007】
第2端子が所定の接続完了位置まで挿入された場合に、突起の頂部と突起収容部の底部の間に所定の間隙が形成されることが好ましい。
また、第1端子は、第1対向面に突出形成された第1凸部を有し、第1接点部は、第1凸部の頂部に配置され、第2接点部は、第2対向面上に配置されているように構成することができる。あるいは、第2端子は、第2対向面に突出形成された第2凸部を有し、第2接点部は、第2凸部の頂部に配置され、第1接点部は、第1対向面上に配置されているように構成してもよい。
【0008】
第1接点部および第2接点部は、突起に対して所定の挿入方向に重ならない位置に配置されていることが好ましい。
第1端子は、複数の第1接点部を有し、第2端子は、複数の第1接点部に対応する複数の第2接点部を有することができる。
複数の第1接点部および複数の第2接点部は、それぞれ、所定の挿入方向に対して対称の形状を有する二等辺三角形の頂点に配置される3つの第1接点部および3つの第2接点部からなることが好ましい。
さらに、突起および突起収容部は、二等辺三角形の辺の上、または、二等辺三角形の内側に配置することができ、あるいは、二等辺三角形の外側に配置することもできる。
【0009】
突起は、第1対向面および第2対向面のうちの一方に一体に形成されることができる。
あるいは、第1接点部が露出するように第1対向面上に取り付けられた突起形成部品を備え、突起は、突起形成部品に形成されるように構成することができる。。
また、記突起は、第1対向面に形成され、突起収容部は、第2対向面に形成され、被押し付け部は、突起収容部と同じ位置におけるバネ部材対向面に形成されているように構成することができる。
さらに、第1端子に取り付けられ且つバネ部材を第1対向面に対向するように保持するバネ部材保持部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、第2端子が所定の挿入方向に沿って第2端子収容部内の所定の接続完了位置まで挿入された場合に、突起が突起収容部に収容されることにより第2端子は所定の接続完了位置に保持され、バネ部材により被押し付け部を介して第2端子が第1端子に押し付けられ、第1接点部および第2接点部が互いに接触して第1端子と第2端子が互いに電気的に接続されるので、第1端子に対して第2端子を抜き差ししても、第1端子と第2端子を高い信頼性で電気的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】接続前の実施の形態1に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1における第1端子構造体を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1における第1端子構造体を示す側面図である。
【
図4】実施の形態1における第1端子を表面側から見た斜視図である。
【
図5】実施の形態1における第1端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図6】実施の形態1における第2端子を表面側から見た斜視図である。
【
図7】実施の形態1における第2端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図8】第2端子の挿入初期における実施の形態1のコネクタを示す平面図である。
【
図9】
図8のA-A線に対応し且つ第2端子の挿入初期における実施の形態1のコネクタを示す断面図である。
【
図10】
図8のA-A線に対応し且つ第2端子の挿入途中における実施の形態1のコネクタを示す断面図である。
【
図11】
図8のA-A線に対応し且つ第2端子が接続完了位置まで挿入された状態における実施の形態1のコネクタを示す断面図である。
【
図12】接続前の実施の形態2に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図13】実施の形態2における第1端子構造体を示す側面図である。
【
図14】実施の形態2における第1端子を表面側から見た斜視図である。
【
図15】実施の形態2における第1端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図16】実施の形態2における第2端子を表面側から見た斜視図である。
【
図17】実施の形態2における第2端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図18】第2端子の挿入初期段階における実施の形態2のコネクタを示す平面図である。
【
図19】
図18のB-B線に対応し且つ第2端子の挿入初期における実施の形態2のコネクタを示す断面図である。
【
図20】
図18のB-B線に対応し且つ第2端子の挿入途中における実施の形態2のコネクタを示す断面図である。
【
図21】
図18のB-B線に対応し且つ第2端子が接続完了位置まで挿入された状態における実施の形態2のコネクタを示す断面図である。
【
図22】接続前の実施の形態3に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図23】実施の形態3における第1端子構造体を示す側面図である。
【
図24】実施の形態3における第1端子を表面側から見た斜視図である。
【
図25】実施の形態3における第1端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図26】実施の形態3における第2端子を表面側から見た斜視図である。
【
図27】実施の形態3における第2端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図28】第2端子の挿入初期における実施の形態3のコネクタを示す平面図である。
【
図29】
図28のC-C線に対応し且つ第2端子の挿入初期における実施の形態3のコネクタを示す断面図である。
【
図30】
図28のD-D線に対応し且つ第2端子の挿入初期における実施の形態3のコネクタを示す断面図である。
【
図31】
図28のC-C線に対応し且つ第2端子の挿入途中における実施の形態3のコネクタを示す断面図である。
【
図32】
図28のD-D線に対応し且つ第2端子の挿入途中における実施の形態3のコネクタを示す断面図である。
【
図33】
図28のC-C線に対応し且つ第2端子が接続完了位置まで挿入された状態における実施の形態3のコネクタを示す断面図である。
【
図34】
図28のD-D線に対応し且つ第2端子が接続完了位置まで挿入された状態における実施の形態3のコネクタを示す断面図である。
【
図35】接続前の実施の形態4に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図36】実施の形態4における第1端子構造体を示す側面図である。
【
図37】実施の形態4における突起形成部品が取り付けられた第1端子を示す斜視図である。
【
図38】実施の形態4における第1端子を表面側から見た斜視図である。
【
図39】実施の形態4における第1端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図40】実施の形態4における突起形成部品を表面側から見た斜視図である。
【
図41】実施の形態4における突起形成部品を裏面側から見た斜視図である。
【
図42】実施の形態4における第2端子を表面側から見た斜視図である。
【
図43】実施の形態4における第2端子を裏面側から見た斜視図である。
【
図44】第2端子の挿入初期における実施の形態4のコネクタを示す平面図である。
【
図45】
図44のE-E線に対応し且つ第2端子の挿入初期における実施の形態4のコネクタを示す断面図である。
【
図46】
図44のF-F線に対応し且つ第2端子の挿入初期における実施の形態4のコネクタを示す断面図である。
【
図47】
図44のE-E線に対応し且つ第2端子の挿入途中における実施の形態4のコネクタを示す断面図である。
【
図48】
図44のF-F線に対応し且つ第2端子の挿入途中における実施の形態4のコネクタを示す断面図である。
【
図49】
図44のE-E線に対応し且つ第2端子が接続完了位置まで挿入された状態における実施の形態4のコネクタを示す断面図である。
【
図50】
図44のF-F線に対応し且つ第2端子が接続完了位置まで挿入された状態における実施の形態4のコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係るコネクタを示す。このコネクタは、第1端子11と第2端子12を有している。第1端子11には、バネ部材保持部13が取り付けられており、第1端子11とバネ部材保持部13により、第1端子構造体S1が形成されている。
第1端子11および第2端子12は、いずれも、金属等の導電性材料から形成され、平板形状を有している。
第2端子12は、第1端子構造体S1に挿入されることにより第1端子11に電気的に接続される。
【0013】
ここで、便宜上、平板形状の第1端子11および第2端子12がYZ面に沿って延び、第1端子構造体S1に対して第2端子12が挿入される方向を+Z方向、第1端子11および第2端子12に垂直な方向をX方向と呼ぶものとする。
【0014】
図2に第1端子構造体S1を示す。
図2において、バネ部材保持部13の内部が見えるように、バネ部材保持部13は、破線により表されている。
バネ部材保持部13は、屈曲された金属板等の板状部材からなり、中心軸がY方向に沿って延びる、概ね角筒形状を有している。すなわち、バネ部材保持部13は、-X方向側に位置し且つYZ面に沿って延びる底板部13Aと、+X方向側に位置し且つYZ面に沿って延びる上板部13Bと、-Z方向側に位置し且つXY面に沿って延びる前板部13Cと、+Z方向側に位置し且つXY面に沿って延びる後板部13Dとを有している。
前板部13Cには、第2端子12が挿入される開口部13Eが形成され、上板部13Bの-Z方向端部には、-X方向および+Z方向に向かって屈曲されて延びるバネ部材13Fが形成されている。バネ部材13Fの先端部には、Y方向に延び且つ-X方向に向かって突出する押し付け部13Gが形成されている。
【0015】
図3に示されるように、底板部13Aに対する上板部13BのX方向の高さは、第1端子11のX方向の厚さよりも大きい寸法を有しており、第1端子11が、バネ部材保持部13の底板部13Aに接してバネ部材保持部13の内部に位置するように、バネ部材保持部13は第1端子11に取り付けられている。
第1端子11の+X方向側の表面は、第2端子12に対向する第1対向面11Aを形成しており、第1端子11の第1対向面11Aとバネ部材13Fとの間に、第2端子12が挿入される第2端子収容部13Hが形成されている。
【0016】
図4に示されるように、第1端子11の第1対向面11Aには、それぞれ+X方向に向かって突出する3つの第1凸部11Bが形成されている。3つの第1凸部11Bは、Z方向に対して対称の形状を有する二等辺三角形T1の3つの頂点の位置に配置され、それぞれの第1凸部11Bの+X方向を向いた頂部に第1接点部P1が形成されている。
【0017】
また、第1端子11の第1対向面11Aには、それぞれ+X方向に突出する2つの突起11Cが形成されている。2つの突起11Cは、二等辺三角形T1の互いに同じ長さを有する2本の辺の上に配置されている。具体的には、それぞれの突起11Cは、二等辺三角形T1の対応する辺の中央部に位置し、3つの第1接点部P1に対して、第2端子12の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されている。
2つの突起11Cの第1対向面11Aからの突出高さは、3つの第1凸部11Bの第1対向面11Aからの突出高さよりも高く、それぞれの突起11Cの+X方向の頂部は、第1接点部P1よりも+X方向側に位置している。
【0018】
3つの第1凸部11Bおよび2つの突起11Cは、第1端子11にプレス加工を施すことにより形成することができ、その結果、
図5に示されるように、第1端子11の-X方向側の裏面に第1凸部11Bおよび突起11Cに対応する5つの窪みが形成されている。すなわち、2つの突起11Cは、第1対向面11Aに一体に形成されている。
【0019】
図6に示されるように、第2端子12の+X方向側の表面は、第2端子12が第1端子構造体S1の第2端子収容部13Hに挿入されたときにバネ部材13Fに対向するバネ部材対向面12Aを形成しており、バネ部材対向面12Aに、+X方向に向かって突出する被押し付け部12Bが形成されている。被押し付け部12Bは、Y方向に沿って細長く延びる形状を有している。
【0020】
また、
図7に示されるように、第2端子12の-X方向側の裏面は、第2端子12が第1端子構造体S1の第2端子収容部13Hに挿入されたときに第1端子11の第1対向面11Aに対向する第2対向面12Cを形成しており、第2対向面12Cに+X方向に向かって窪む凹状の突起収容部12Dが形成されている。
突起収容部12Dは、Y方向に沿って細長く延びており、第1端子11の2つの突起11Cを共に収容し得る大きさを有している。また、突起収容部12Dは、第1端子11の突起11Cの頂部と第1接点部P1の間のX方向の高低差よりも大きい寸法の深さを有している。
【0021】
被押し付け部12Bおよび突起収容部12Dは、第2端子12にプレス加工を施すことにより1工程で同時に形成することができ、互いにYZ面内において同じ位置に配置されている。
【0022】
次に、実施の形態1に係るコネクタの作用について説明する。
第2端子12を第1端子11に電気的に接続する際には、
図1に示される第2端子12が-Z方向から+Z方向に移動され、
図8に示されるように、第2端子12の先端部が、第1端子構造体S1のバネ部材保持部13の開口部13Eを通ってバネ部材保持部13内に挿入される。
【0023】
このとき、
図9に示されるように、第2端子12の+Z方向側の先端部は、第1端子11とバネ部材13Fの間を通って+Z方向に挿入されるが、第1端子11の2つの突起11Cの頂部がそれぞれ第1接点部P1よりも+X方向側に位置している。このため、-X方向を向いた第2端子12の第2対向面12Cは、第1接点部P1に接触することなく2つの突起11Cの頂部の上に位置し、+X方向を向いた第2端子12のバネ部材対向面12Aは、バネ部材13Fの押し付け部13Gに接触してバネ部材13Fを+X方向に向けて弾性圧縮することとなる。
【0024】
この状態で、第2端子12は、バネ部材13Fと第1端子11の第1対向面11Aとの間に形成されている第2端子収容部13Hに挿入される。
図9に示される状態においては、第2端子12のバネ部材対向面12Aから+X方向に突出する被押し付け部12Bは、バネ部材13Fの押し付け部13Gよりも-Z方向側に位置しており、まだ、押し付け部13Gに接触していない。
【0025】
さらに第2端子12が+Z方向に挿入されると、
図10に示されるように、第2端子12の第2対向面12Cが第1端子11の2つの突起11Cの頂部の上に位置したまま、第2端子12の被押し付け部12Bがバネ部材13Fの押し付け部13Gに接触し、押し付け部13Gは、第2端子12のバネ部材対向面12Aから+X方向に突出する被押し付け部12Bに乗り上げる。
【0026】
この状態で、第2端子12の+Z方向への挿入を続けると、
図11に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子12の被押し付け部12Bに乗り上げたまま、第2端子12の第2対向面12Cに形成されている突起収容部12Dは、第1端子11の2つの突起11Cの+X方向側に位置し、2つの突起11Cが突起収容部12Dに収容される。このときの第2端子収容部13H内における第2端子12の位置を、「接続完了位置」と呼ぶものとする。
【0027】
ここで、第2端子12の突起収容部12Dは、第1端子11の突起11Cの頂部と第1接点部P1の間のX方向の高低差よりも大きい寸法の深さを有しているため、第2端子12が接続完了位置に位置することにより2つの突起11Cが突起収容部12Dに収容されると、それぞれの突起11Cの頂部と突起収容部12Dの底部の間に所定の間隙が形成され、第2端子12の第2対向面12Cが第1端子11の3つの第1接点部P1に接触する。
【0028】
このとき、3つの第1接点部P1に接触する第2対向面12Cの3つの部位により、それぞれ第2端子12における第2接点部P2が形成される。
図11に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子12の被押し付け部12Bに乗り上げているので、第2端子12は、バネ部材13Fにより被押し付け部12Bを介して第1端子11に押し付けられ、第1接点部P1および第2接点部P2が互いに所定の接触圧で接触し、第1端子11と第2端子12は互いに電気的に接続される。
【0029】
このように、第2端子12が接続完了位置まで挿入される間は、第2端子12の第2対向面12Cは、第1端子11の2つの突起11Cの頂部にのみ接触し、第2端子12が接続完了位置に位置して2つの突起11Cが突起収容部12Dに収容されたときに、初めて第2端子12の第2対向面12Cが第1端子11の3つの第1接点部P1に接触する。
【0030】
さらに、第1端子11の2つの突起11Cは、3つの第1接点部P1に対して、第2端子12の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されているため、第1端子11の3つの第1接点部P1は、第2端子12のいずれの部分にも擦られることなく第2端子12の3つの第2接点部P2に接触することとなる。同様に、第2端子12の3つの第2接点部P2は、第1端子11のいずれの部分にも擦られることなく第1端子11の3つの第1接点部P1に接触することとなる。
このため、第2端子収容部13Hへの第2端子12の挿入に際して、第1接点部P1および第2接点部P2の摩耗が大幅に抑制され、第1端子11と第2端子12を高い信頼性で電気的に接続することが可能となる。
【0031】
実施の形態2
図12に、実施の形態2に係るコネクタを示す。このコネクタは、第1端子21と第2端子22を有している。第1端子21には、バネ部材保持部13が取り付けられており、第1端子21とバネ部材保持部13により、第1端子構造体S2が形成されている。
第1端子21および第2端子22は、いずれも、金属等の導電性材料から形成され、平板形状を有している。
第2端子22は、第1端子構造体S2に挿入されることにより第1端子21に電気的に接続される。
【0032】
バネ部材保持部13は、実施の形態1における第1端子構造体S1に用いられたバネ部材保持部13と同じものである。
図13に示されるように、第1端子21が、バネ部材保持部13の底板部13Aに接してバネ部材保持部13の内部に位置するように、バネ部材保持部13は第1端子21に取り付けられている。
第1端子21の+X方向側の表面は、第2端子22に対向する第1対向面21Aを形成しており、第1端子21の第1対向面21Aとバネ部材13Fとの間に、第2端子22が挿入される第2端子収容部13Hが形成されている。
【0033】
図14に示されるように、第1端子21の第1対向面21Aには、それぞれ+X方向に突出する2つの突起21Cが形成されている。2つの突起21Cは、Y方向に並んで配置されている。
2つの突起21Cは、第1端子21にプレス加工を施すことにより形成することができ、その結果、
図15に示されるように、第1端子21の-X方向側の裏面に突起21Cに対応する2つの窪みが形成されている。すなわち、2つの突起21Cは、プレス加工を通して第1対向面21Aが変形することにより形成されたものである。
【0034】
図16に示されるように、第2端子22の+X方向側の表面は、第2端子22が第1端子構造体S2の第2端子収容部13Hに挿入されたときにバネ部材13Fに対向するバネ部材対向面22Aを形成しており、バネ部材対向面22Aに、+X方向に向かって突出する被押し付け部22Bが形成されている。被押し付け部22Bは、Y方向に沿って細長く延びる形状を有している。
【0035】
また、
図17に示されるように、第2端子22の-X方向側の裏面は、第2端子22が第1端子構造体S2の第2端子収容部13Hに挿入されたときに第1端子21の第1対向面21Aに対向する第2対向面22Cを形成しており、第2対向面22Cに+X方向に向かって窪む凹状の突起収容部22Dが形成されている。
突起収容部22Dは、Y方向に沿って細長く延びており、第1端子21の2つの突起21Cを共に収容し得る大きさを有している。
被押し付け部22Bおよび突起収容部22Dは、第2端子22にプレス加工を施すことにより1工程で同時に形成することができ、互いにYZ面内において同じ位置に配置されている。
【0036】
また、第2端子22の第2対向面22Cには、それぞれ-X方向に向かって突出する3つの第2凸部22Eが形成されている。3つの第2凸部22Eは、Z方向に対して対称の形状を有する二等辺三角形T2の3つの頂点の位置に配置され、それぞれの第2凸部22Eの-X方向を向いた頂部に第2接点部P2が形成されている。
第2端子22が第1端子構造体S2の第2端子収容部13Hに挿入されたときに、突起収容部22Dに第1端子21の2つの突起21Cが収容されるが、3つの第2接点部P2は、2つの突起21Cに対して、第2端子22の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されている。
【0037】
また、第1端子21の2つの突起21Cの第1対向面21Aからの突出高さは、第2端子22における3つの第2接点部P2の第2対向面22Cからの高さよりも高く設定されている。
さらに、第2端子22の突起収容部22Dは、第1端子21の突起21Cの第1対向面21Aからの突出高さと第2端子22の第2接点部P2の第2対向面22Cからの高さの差分よりも大きい寸法の深さを有している。
【0038】
次に、実施の形態2に係るコネクタの作用について説明する。
第2端子22を第1端子21に電気的に接続する際には、
図12に示される第2端子22が-Z方向から+Z方向に移動され、
図18に示されるように、第2端子22の先端部が、第1端子構造体S2のバネ部材保持部13の開口部13Eを通ってバネ部材保持部13内に挿入される。
【0039】
このとき、
図19に示されるように、第1端子21の突起21Cの第1対向面21Aからの突出高さは、第2端子22の第2接点部P2の第2対向面22Cからの高さよりも高いため、第2端子22の第2接点部P2が第1端子21の第1対向面21Aに接触することなく、第2端子22の第2対向面22Cは、第1端子21の突起21Cの頂部の上に位置する。
また、+X方向を向いた第2端子22のバネ部材対向面22Aは、バネ部材13Fの押し付け部13Gに接触してバネ部材13Fを+X方向に向けて弾性圧縮することとなる。
【0040】
この状態で、第2端子22は、バネ部材13Fと第1端子21の第1対向面21Aとの間に形成されている第2端子収容部13Hに挿入される。
図19に示される状態においては、第2端子22の被押し付け部22Bは、バネ部材13Fの押し付け部13Gよりも-Z方向側に位置しており、まだ、押し付け部13Gに接触していない。
【0041】
さらに第2端子22が+Z方向に挿入されると、
図20に示されるように、第2端子22の第2対向面22Cが第1端子21の2つの突起21Cの頂部の上に位置したまま、第2端子22の被押し付け部22Bがバネ部材13Fの押し付け部13Gに接触し、押し付け部13Gは、第2端子22のバネ部材対向面22Aから+X方向に突出する被押し付け部22Bに乗り上げる。
【0042】
この状態で、第2端子22の+Z方向への挿入を続けると、
図21に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子22の被押し付け部22Bに乗り上げたまま、第2端子22の第2対向面22Cに形成されている突起収容部22Dは、第1端子21の2つの突起21Cの+X方向側に位置し、2つの突起21Cが突起収容部22Dに収容される。このときの第2端子収容部13H内における第2端子22の位置を、「接続完了位置」と呼ぶものとする。
【0043】
ここで、第2端子22の突起収容部22Dは、第1端子21の突起21Cの第1対向面21Aからの突出高さと第2端子22の第2接点部P2の第2対向面22Cからの高さの差分よりも大きい寸法の深さを有しているため、第2端子22が接続完了位置に位置することにより2つの突起21Cが突起収容部22Dに収容されると、それぞれの突起21Cの頂部と突起収容部22Dの底部の間に所定の間隙が形成され、第2端子22の3つの第2接点部P2が第1端子21の第1対向面21Aに接触する。
【0044】
このとき、3つの第2接点部P2に接触する第1対向面21Aの3つの部位により、それぞれ第1端子21における第1接点部P1が形成される。
図21に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子22の被押し付け部12Bに乗り上げているので、第2端子22は、バネ部材13Fにより被押し付け部22Bを介して第1端子21に押し付けられ、第1接点部P1および第2接点部P2が互いに所定の接触圧で接触し、第1端子21と第2端子22は互いに電気的に接続される。
【0045】
このように、第2端子22が接続完了位置まで挿入される間は、第1端子21の第1対向面21Aは、第2端子22のいずれの部分にも接触することがなく、第2端子22が接続完了位置に位置して2つの突起21Cが突起収容部22Dに収容されたときに、初めて第2端子22の3つの第2接点部P2が第1端子21の第1対向面21Aに接触する。
【0046】
さらに、第1端子21の2つの突起21Cは、第2端子22の3つの第2接点部P2に対して、第2端子22の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されているため、第2端子22の3つの第2接点部P2は、第1端子21のいずれの部分にも擦られることなく第1端子11の3つの第1接点部P1に接触することとなる。同様に、第1端子11の3つの第1接点部P1は、第2端子22のいずれの部分にも擦られることなく第2端子22の3つの第2接点部P2に接触することとなる。
このため、実施の形態2に係るコネクタにおいても、実施の形態1と同様に、第2端子収容部13Hへの第2端子22の挿入に際して、第1接点部P1および第2接点部P2の摩耗が大幅に抑制され、第1端子21と第2端子22を高い信頼性で電気的に接続することが可能となる。
【0047】
実施の形態3
図22に、実施の形態3に係るコネクタを示す。このコネクタは、第1端子31と第2端子32を有している。第1端子31には、バネ部材保持部13が取り付けられており、第1端子31とバネ部材保持部13により、第1端子構造体S3が形成されている。
第1端子31および第2端子32は、いずれも、金属等の導電性材料から形成され、平板形状を有している。
第2端子32は、第1端子構造体S3に挿入されることにより第1端子31に電気的に接続される。
【0048】
バネ部材保持部13は、実施の形態1における第1端子構造体S1に用いられたバネ部材保持部13と同じものである。
図23に示されるように、第1端子31が、バネ部材保持部13の底板部13Aに接してバネ部材保持部13の内部に位置するように、バネ部材保持部13は第1端子31に取り付けられている。
第1端子31の+X方向側の表面は、第2端子32に対向する第1対向面31Aを形成しており、第1端子31の第1対向面31Aとバネ部材13Fとの間に、第2端子32が挿入される第2端子収容部13Hが形成されている。
【0049】
図24に示されるように、第1端子31の第1対向面31Aには、それぞれ+X方向に向かって突出する3つの第1凸部31Bが形成されている。3つの第1凸部31Bは、Z方向に対して対称の形状を有する二等辺三角形T3の3つの頂点の位置に配置され、それぞれの第1凸部31Bの+X方向を向いた頂部に第1接点部P1が形成されている。
【0050】
また、第1端子31の第1対向面31Aには、それぞれ+X方向に突出する2つの突起31Cが形成されている。2つの突起31Cは、二等辺三角形T3の外側に配置されている。具体的には、それぞれの突起31Cは、互いにY方向に間隔を隔てるように、二等辺三角形T3よりも+Y方向側および-Y方向側に位置し、3つの第1接点部P1に対して、第2端子32の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されている。
2つの突起31Cの第1対向面31Aからの突出高さは、3つの第1凸部31Bの第1対向面31Aからの突出高さよりも高く、それぞれの突起31Cの+X方向の頂部は、第1接点部P1よりも+X方向側に位置している。
【0051】
3つの第1凸部31Bおよび2つの突起31Cは、第1端子31にプレス加工を施すことにより形成することができ、その結果、
図25に示されるように、第1端子31の-X方向側の裏面に第1凸部31Bおよび突起31Cに対応する5つの窪みが形成されている。
【0052】
図26に示されるように、第2端子32の+X方向側の表面は、第2端子32が第1端子構造体S3の第2端子収容部13Hに挿入されたときにバネ部材13Fに対向するバネ部材対向面32Aを形成しており、バネ部材対向面32Aに、+X方向に向かって突出する2つの被押し付け部32Bが形成されている。2つの被押し付け部32Bは、互いにY方向に並び且つY方向に間隔を隔てて配置されている。
【0053】
また、
図27に示されるように、第2端子32の-X方向側の裏面は、第2端子32が第1端子構造体S3の第2端子収容部13Hに挿入されたときに第1端子31の第1対向面31Aに対向する第2対向面32Cを形成しており、第2対向面32Cに+X方向に向かって窪む2つの凹状の突起収容部32Dが形成されている。
2つの突起収容部32Dは、互いにY方向に並び且つY方向に間隔を隔てて配置されている。2つの突起収容部32DのY方向の間隔は、第1端子31の2つの突起31CのY方向の間隔に等しく設定されている。また、それぞれの突起収容部32Dは、第1端子31の突起31Cを収容し得る大きさを有している。
【0054】
さらに、2つの突起収容部32Dは、それぞれ、第1端子31の突起31Cの頂部と第1接点部P1の間のX方向の高低差よりも大きい寸法の深さを有している。
2つの被押し付け部32Bおよび2つの突起収容部32Dは、第2端子32にプレス加工を施すことにより1工程で同時に形成することができ、互いにYZ面内において同じ位置に配置されている。
【0055】
次に、実施の形態3に係るコネクタの作用について説明する。
第2端子32を第1端子31に電気的に接続する際には、
図22に示される第2端子32が-Z方向から+Z方向に移動され、
図28に示されるように、第2端子32の先端部が、第1端子構造体S3のバネ部材保持部13の開口部13Eを通ってバネ部材保持部13内に挿入される。
【0056】
このとき、
図29および
図30に示されるように、第2端子32の+Z方向側の先端部は、第1端子31とバネ部材13Fの間を通って+Z方向に挿入されるが、第1端子31の2つの突起31Cの頂部がそれぞれ第1接点部P1よりも+X方向側に位置している。このため、-X方向を向いた第2端子32の第2対向面32Cは、第1接点部P1に接触することなく2つの突起31Cの頂部の上に位置し、+X方向を向いた第2端子32のバネ部材対向面32Aは、バネ部材13Fの押し付け部13Gに接触してバネ部材13Fを+X方向に向けて弾性圧縮することとなる。
【0057】
この状態で、第2端子32は、バネ部材13Fと第1端子31の第1対向面31Aとの間に形成されている第2端子収容部13Hに挿入される。
図29および
図30に示される状態においては、第2端子32のバネ部材対向面32Aから+X方向に突出する被押し付け部32Bは、バネ部材13Fの押し付け部13Gよりも-Z方向側に位置しており、まだ、押し付け部13Gに接触していない。
【0058】
さらに第2端子32が+Z方向に挿入されると、
図31および
図32に示されるように、第2端子32の第2対向面32Cが第1端子31の2つの突起31Cの頂部の上に位置したまま、第2端子32の被押し付け部32Bがバネ部材13Fの押し付け部13Gに接触し、押し付け部13Gは、第2端子32のバネ部材対向面32Aから+X方向に突出する被押し付け部32Bに乗り上げる。
【0059】
この状態で、第2端子32の+Z方向への挿入を続けると、
図33および
図34に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子32の被押し付け部32Bに乗り上げたまま、第2端子32の第2対向面32Cに形成されている突起収容部32Dは、第1端子31の2つの突起31Cの+X方向側に位置し、2つの突起31Cが突起収容部32Dに収容される。このときの第2端子収容部13H内における第2端子32の位置を、「接続完了位置」と呼ぶものとする。
【0060】
ここで、第2端子32の突起収容部32Dは、第1端子31の突起31Cの頂部と第1接点部P1の間のX方向の高低差よりも大きい寸法の深さを有しているため、第2端子32が接続完了位置に位置することにより2つの突起31Cが突起収容部32Dに収容されると、それぞれの突起31Cの頂部と突起収容部32Dの底部の間に所定の間隙が形成され、第2端子32の第2対向面32Cが第1端子31の3つの第1接点部P1に接触する。
【0061】
このとき、3つの第1接点部P1に接触する第2対向面32Cの3つの部位により、それぞれ第2端子32における第2接点部P2が形成される。
図33および
図34に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子32の被押し付け部32Bに乗り上げているので、第2端子32は、バネ部材13Fにより被押し付け部32Bを介して第1端子31に押し付けられ、第1接点部P1および第2接点部P2が互いに所定の接触圧で接触し、第1端子31と第2端子32は互いに電気的に接続される。
【0062】
このように、第2端子32が接続完了位置まで挿入される間は、第2端子32の第2対向面32Cは、第1端子31の2つの突起31Cの頂部にのみ接触し、第2端子32が接続完了位置に位置して2つの突起31Cが突起収容部32Dに収容されたときに、初めて第2端子32の第2対向面32Cが第1端子31の3つの第1接点部P1に接触する。
【0063】
さらに、第1端子31の2つの突起31Cは、3つの第1接点部P1に対して、第2端子32の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されているため、第1端子31の3つの第1接点部P1は、第2端子32のいずれの部分にも擦られることなく第2端子32の3つの第2接点部P2に接触することとなる。同様に、第2端子32の3つの第2接点部P2は、第1端子31のいずれの部分にも擦られることなく第1端子31の3つの第1接点部P1に接触することとなる。
このため、実施の形態3に係るコネクタにおいても、実施の形態1および2と同様に、第2端子収容部13Hへの第2端子32の挿入に際して、第1接点部P1および第2接点部P2の摩耗が大幅に抑制され、第1端子31と第2端子32を高い信頼性で電気的に接続することが可能となる。
【0064】
実施の形態4
図35に、実施の形態4に係るコネクタを示す。このコネクタは、第1端子41と第2端子42を有している。第1端子41には、突起形成部品51およびバネ部材保持部13が取り付けられており、第1端子41と突起形成部品51とバネ部材保持部13により、第1端子構造体S4が形成されている。
第1端子41および第2端子42は、いずれも、金属等の導電性材料から形成され、平板形状を有している。
第2端子42は、第1端子構造体S4に挿入されることにより第1端子41に電気的に接続される。
【0065】
バネ部材保持部13は、実施の形態1における第1端子構造体S1に用いられたバネ部材保持部13と同じものである。
図36に示されるように、第1端子41が、バネ部材保持部13の底板部13Aに接してバネ部材保持部13の内部に位置するように、バネ部材保持部13は第1端子41に取り付けられている。
第1端子41の+X方向側の表面は、第2端子42に対向する第1対向面41Aを形成し、突起形成部品51は、第1対向面41Aの一部が露出するように第1対向面41A上に取り付けられており、露出した第1対向面41Aおよび突起形成部品51とバネ部材13Fとの間に、第2端子42が挿入される第2端子収容部13Hが形成されている。
【0066】
突起形成部品51が取り付けられた第1端子41を
図37に示す。突起形成部品51は、枠形状を有しており、突起形成部品51の内側を通して第1端子41の第1対向面41Aの一部が露出している。
【0067】
図38に示されるように、第1端子41の第1対向面41Aには、それぞれ+X方向に向かって突出する3つの第1凸部41Bが形成されている。3つの第1凸部41Bは、Z方向に対して対称の形状を有する二等辺三角形T4の3つの頂点の位置に配置され、それぞれの第1凸部41Bの+X方向を向いた頂部に第1接点部P1が形成されている。
3つの第1凸部41Bは、第1端子41にプレス加工を施すことにより形成することができ、その結果、
図39に示されるように、第1端子41の-X方向側の裏面に第1凸部41Bに対応する3つの窪みが形成されている。
【0068】
突起形成部品51は、
図40に示されるように、枠形状に切り抜かれ且つ屈曲された金属板から形成されており、YZ面に沿って延びる枠形状部51Aと、枠形状部51Aに連結された2つの筒状部51Bを有している。2つの筒状部51Bは、それぞれ、突起形成部品51を構成する金属板を、Y方向に延びる中心軸の回りに円筒形状に湾曲したものであり、互いにY方向に並び且つY方向に間隔を隔てて配置されている。これら2つの筒状部51Bにより、それぞれ+X方向に突出する2つの突起51Cが形成されている。
【0069】
また、それぞれの筒状部51BのY方向の中央部には、筒状部51Bの+X方向部分が切り欠かれた切り欠き51Dが形成されている。
2つの筒状部51Bが互いにY方向に間隔を隔てて配置され、さらに、それぞれの筒状部51Bに切り欠き51Dが形成されていることから、
図37に示されるように、突起形成部品51が第1端子41の第1対向面41Aに取り付けられたときに、第1端子41の3つの第1接点部P1に対して、第2端子42の挿入方向であるZ方向に重なる位置に突起51Cが存在しないように構成されている。
【0070】
さらに、突起形成部品51により形成される突起51Cの第1対向面41Aからの突出高さは、3つの第1接点部P1の第1対向面31Aからの高さよりも高く、それぞれの突起51Cの+X方向の頂部は、第1接点部P1よりも+X方向側に位置しているものとする。
このような突起形成部品51は、例えば、溶接等により第1端子41の第1対向面41Aに取り付けることができる。
【0071】
図42に示されるように、第2端子42の+X方向側の表面は、第2端子42が第1端子構造体S4の第2端子収容部13Hに挿入されたときにバネ部材13Fに対向するバネ部材対向面42Aを形成しており、バネ部材対向面42Aに、+X方向に向かって突出する2つの被押し付け部42Bが形成されている。2つの被押し付け部42Bは、互いにY方向に並び且つY方向に間隔を隔てて配置されている。
【0072】
また、
図43に示されるように、第2端子42の-X方向側の裏面は、第2端子42が第1端子構造体S4の第2端子収容部13Hに挿入されたときに第1端子41の第1対向面41Aに対向する第2対向面42Cを形成しており、第2対向面42Cに+X方向に向かって窪む2つの凹状の突起収容部42Dが形成されている。
2つの突起収容部42Dは、互いにY方向に並び且つY方向に間隔を隔てて配置されている。2つの突起収容部42Dは、第1端子41に取り付けられた突起形成部品51の2つの突起51Cを収容し得る大きさおよびY方向の間隔を有している。
【0073】
さらに、2つの突起収容部42Dは、それぞれ、突起形成部品51の突起51Cの+X方向の頂部と第1端子41の第1接点部P1の間のX方向の高低差よりも大きい寸法の深さを有している。
また、第2端子42の2つの被押し付け部42Bおよび2つの突起収容部42Dは、第2端子42にプレス加工を施すことにより1工程で同時に形成することができ、互いにYZ面内において同じ位置に配置されている。
【0074】
次に、実施の形態4に係るコネクタの作用について説明する。
第2端子42を第1端子41に電気的に接続する際には、
図35に示される第2端子42が-Z方向から+Z方向に移動され、
図44に示されるように、第2端子42の先端部が、第1端子構造体S4のバネ部材保持部13の開口部13Eを通ってバネ部材保持部13内に挿入される。
【0075】
このとき、
図45および
図46に示されるように、第2端子42の+Z方向側の先端部は、突起形成部品51とバネ部材13Fの間を通って+Z方向に挿入されるが、突起形成部品51の2つの突起51Cの+X方向の頂部がそれぞれ第1接点部P1よりも+X方向側に位置している。このため、-X方向を向いた第2端子42の第2対向面42Cは、第1接点部P1に接触することなく2つの突起51Cの頂部の上に位置し、+X方向を向いた第2端子42のバネ部材対向面42Aは、バネ部材13Fの押し付け部13Gに接触してバネ部材13Fを+X方向に向けて弾性圧縮することとなる。
【0076】
この状態で、第2端子42は、バネ部材13Fと第1端子41の第1対向面41Aおよび突起形成部品51との間に形成されている第2端子収容部13Hに挿入される。
図45および
図46に示される状態においては、第2端子42のバネ部材対向面42Aから+X方向に突出する被押し付け部42Bは、バネ部材13Fの押し付け部13Gよりも-Z方向側に位置しており、まだ、押し付け部13Gに接触していない。
【0077】
さらに第2端子42が+Z方向に挿入されると、
図47および
図48に示されるように、第2端子42の第2対向面42Cが突起形成部品51の2つの突起51Cの頂部の上に位置したまま、第2端子42の被押し付け部42Bがバネ部材13Fの押し付け部13Gに接触し、押し付け部13Gは、第2端子42のバネ部材対向面42Aから+X方向に突出する被押し付け部42Bに乗り上げる。
【0078】
この状態で、第2端子32の+Z方向への挿入を続けると、
図49および
図50に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子42の被押し付け部42Bに乗り上げたまま、第2端子42の第2対向面42Cに形成されている突起収容部42Dは、突起形成部品51の2つの突起51Cの+X方向側に位置し、2つの突起51Cが突起収容部42Dに収容される。このときの第2端子収容部13H内における第2端子42の位置を、「接続完了位置」と呼ぶものとする。
【0079】
ここで、第2端子42の突起収容部42Dは、突起形成部品51の突起51Cの+X方向の頂部と第1端子41の第1接点部P1の間のX方向の高低差よりも大きい寸法の深さを有しているため、第2端子42が接続完了位置に位置することにより2つの突起51Cが突起収容部42Dに収容されると、それぞれの突起51Cの頂部と突起収容部42Dの底部の間に所定の間隙が形成され、第2端子42の第2対向面42Cが第1端子41の3つの第1接点部P1に接触する。
【0080】
このとき、3つの第1接点部P1に接触する第2対向面42Cの3つの部位により、それぞれ第2端子42における第2接点部P2が形成される。
図49および
図50に示されるように、バネ部材13Fの押し付け部13Gが第2端子42の被押し付け部42Bに乗り上げているので、第2端子42は、バネ部材13Fにより被押し付け部42Bを介して第1端子41に押し付けられ、第1接点部P1および第2接点部P2が互いに所定の接触圧で接触し、第1端子41と第2端子42は互いに電気的に接続される。
【0081】
このように、第2端子42が接続完了位置まで挿入される間は、第2端子42の第2対向面42Cは、突起形成部品51の2つの突起51Cの頂部にのみ接触し、第2端子42が接続完了位置に位置して2つの突起51Cが突起収容部42Dに収容されたときに、初めて第2端子42の第2対向面42Cが第1端子41の3つの第1接点部P1に接触する。
【0082】
さらに、突起形成部品51の2つの突起51Cは、3つの第1接点部P1に対して、第2端子42の挿入方向であるZ方向に重ならない位置に配置されているため、第1端子41の3つの第1接点部P1は、第2端子42のいずれの部分にも擦られることなく第2端子42の3つの第2接点部P2に接触することとなる。同様に、第2端子42の3つの第2接点部P2は、第1端子41および突起形成部品51のいずれの部分にも擦られることなく第1端子41の3つの第1接点部P1に接触することとなる。
このため、実施の形態4に係るコネクタにおいても、実施の形態1~3と同様に、第2端子収容部13Hへの第2端子42の挿入に際して、第1接点部P1および第2接点部P2の摩耗が大幅に抑制され、第1端子41と第2端子42を高い信頼性で電気的に接続することが可能となる。
【0083】
なお、上記の実施の形態1、3および4において、第1端子11、31、41の3つの第1接点部P1は、例えば第1端子11、31、41の第1凸部11B、31B、41Bの頂部により形成されているが、これに限るものではない。例えば、それぞれの金属球の一部が第1対向面11A、31A、41A上に突出するように、3つの金属球を回転可能に第1端子11、31、41に保持し、第1対向面11A、31A、41A上に突出する金属球の表面を第1接点部P1として用いて、第1端子11、31、41と第2端子12、32、42を電気的に接続することもできる。
【0084】
このような回転可能な金属球の表面により第1接点部P1を形成すれば、第2端子12、32、42を挿入する際に第1接点部P1に第2端子12、32、42が接触すると、金属球が回転することで、第1接点部P1の摩耗がさらに抑制され、第1端子11、31、41と第2端子12、32、42の電気的接続の信頼性を向上させることが可能となる。
【0085】
また、上記の実施の形態1~4では、3つの第1接点部P1と3つの第2接点部P2とが接触しているが、これに限るものではなく、1つ以上の第1接点部P1が1つ以上の第2接点部P2に接触すればよい。ただし、実施の形態1~4のように、3つの第1接点部P1と3つの第2接点部P2とが接触する構成とすれば、接続状態における第1端子11、21、31、41と第2端子12、22、32、42の姿勢が安定し、電気的接続の安定性が向上するため好ましい。
【0086】
さらに、上記の実施の形態1~4では、3つの第1接点部P1と3つの第2接点部P2が二等辺三角形T1~T4の3つの頂点の位置に配置されているが、必ずしも二等辺三角形の頂点の位置に限られない。ただし、接続状態における第1端子11、21、31、41と第2端子12、22、32、42の姿勢を安定させるために、3つの第1接点部P1と3つの第2接点部P2は、二等辺三角形T1~T4の3つの頂点の位置に配置されることが好ましい。
【0087】
また、上記の実施の形態1~4では、2つの突起11C、21C、31C、51Cが用いられているが、これに限るものではない。ただし、実施の形態1~4のように、Y方向に並んで配置された2つの突起11C、21C、31C、51Cを用いることが、挿入時における第2端子12、22、32、42の姿勢を安定させるために好ましい。
【符号の説明】
【0088】
1 第1端子、2 弾性接触片、3 第2端子、11,21,31,41 第1端子、11A,21A,31A,41A 第1対向面、11B,31B,41B 第1凸部、11C,21C,31C,51C 突起、12,22,32,42 第2端子、12A,22A,32A,42A バネ部材対向面、12B,22B,32B,42B 被押し付け部、12C,22C,32C,42C 第2対向面、12D,22D,32D,42D 突起収容部、13 バネ部材保持部、13A 底板部、13B 上板部、13C 前板部、13D 後板部、13E 開口部、13F バネ部材、13G 押し付け部、13H 第2端子収容部、22E 第2凸部、51 突起形成部品、51A 枠形状部、51B 筒状部、51D 切り欠き、S1,S2,S3,S4 第1端子構造体、T1,T2,T3,T4 二等辺三角形、P1 第1接点部、P2 第2接点部。