(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123906
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】光検出装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240905BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031709
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳満 千絵
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA01
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA03
4M118CA22
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA26
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118FA38
4M118GA08
4M118GB15
4M118GC08
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD07
4M118GD15
4M118HA22
4M118HA24
4M118HA25
5C024CX41
5C024CY47
5C024EX43
5C024EX52
5C024GX03
5C024GX07
5C024GX16
5C024GX18
5C024GX24
5C024GY31
5C024GY39
5C024HX17
(57)【要約】
【課題】光電変換の量子効率を向上させる。
【解決手段】光検出装置は、半導体基板内に配置されて入射光の光電変換を行う光電変換部と、半導体基板内に配置されて光電変換により生成される電荷を保持する電荷保持部と、半導体基板内に配置されて底部が半導体基板の裏面の近傍に伸長される形状に構成されて半導体基板より低い屈折率に構成される縦型電極部を有するゲート電極を備えるMOSトランジスタにより構成されて光電変換部の電荷を電荷保持部に転送する電荷転送部とを有する光検出装置である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内に配置されて入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板内に配置されて前記光電変換により生成される電荷を保持する電荷保持部と、
前記半導体基板内に配置されて底部が前記半導体基板の裏面の近傍に伸長される形状に構成されて前記半導体基板より低い屈折率に構成される縦型電極部を有するゲート電極を備えるMOSトランジスタにより構成されて前記光電変換部の電荷を前記電荷保持部に転送する電荷転送部と
を有する光検出装置。
【請求項2】
前記縦型電極部は、底部が前記半導体基板の裏面に達する形状に構成される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記縦型電極部は、透明導電部材により構成される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記縦型電極部は、金属により構成される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記縦型電極部は、複数の部材により構成される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記ゲート電極は、前記半導体基板の表面側に配置されるとともに底部が前記縦型電極部に接する形状に構成される平板電極部を更に備える請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記平板電極部は、前記半導体基板より低い屈折率に構成される請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記平板電極部は、前記入射光を反射する部材により構成される請求項6に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記平板電極部は、前記入射光を吸収する部材により構成される請求項6に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記ゲート電極は、複数の前記縦型電極部を備える請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
半導体基板内に配置されて入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板内に配置されて前記光電変換により生成される電荷を保持する電荷保持部と、
前記半導体基板内に配置されて底部が前記半導体基板の裏面の近傍に伸長される形状に構成されて前記半導体基板より低い屈折率に構成される縦型電極部を有するゲート電極を備えるMOSトランジスタにより構成されて前記光電変換部の電荷を前記電荷保持部に転送する電荷転送部と、
前記電荷保持部に保持された電荷に基づく信号を処理する処理回路と
を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子等の光検出装置は、画素に配置された光電変換部が露光期間に入射光に応じて電荷を生成し、露光期間の経過後に電荷転送部が生成された電荷を電荷保持部に転送する。その後、電荷保持部に保持された電荷に基づいて画素に配置された回路により画像信号が生成される。このような撮像素子において、半導体基板の裏面側に光電変換部が配置される撮像素子が使用されている。この撮像素子においては、光電変換部により生成される電荷を半導体基板の表面側に配置される電荷保持部に転送する電荷転送部が使用される。例えば、半導体基板の表面に埋め込まれた縦型ゲート電極を有する転送トランジスタにより構成される電荷転送部を備える固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、半導体基板の裏面側から入射する光が縦型ゲート電極により吸収されるため光電変換の効率が低くなるという問題がある。これにより、感度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本開示では、光電変換の量子効率を向上させる光検出装置及び電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光検出装置は、半導体基板内に配置されて入射光の光電変換を行う光電変換部と、上記半導体基板内に配置されて上記光電変換により生成される電荷を保持する電荷保持部と、上記半導体基板内に配置されて底部が上記半導体基板の裏面の近傍に伸長される形状に構成されて上記半導体基板より低い屈折率に構成される縦型電極部を有するゲート電極を備えるMOSトランジスタにより構成されて上記光電変換部の電荷を上記電荷保持部に転送する電荷転送部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の他の例を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図5】本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図6】本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図7】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図8】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図9】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図10】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図11】本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。
【
図12】本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。
【
図13】本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。
【
図14】本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。
【
図15】本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。
【
図16】電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図17】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図19】本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図20】
図19に示すカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。説明は、以下の順に行う。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.変形例
5.電子機器の構成
6.移動体への応用例
7.内視鏡手術システムへの応用例
【0009】
(1.第1の実施形態)
[光検出装置の構成]
図1は、本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の一例を示す図である。本例の光検出装置1は、
図1に示すように、基板11例えばシリコン基板に複数の光電変換部を含む画素12が規則的に2次元的に配列された画素アレイ部(いわゆる撮像領域)13と、周辺回路部とを有して構成される。画素12は、光電変換部となる例えばフォトダイオードと、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有して成る。複数の画素トランジスタは、例えば転送トランジスタ、リセットトランジスタ及び増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができる。その他、選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。画素12は、共有画素構造とすることもできる。この画素共有構造は、複数のフォトダイオードと、複数の転送トランジスタと、共有する1つの浮遊拡散領域と、共有する1つずつの他の画素トランジスタとから構成される。なお、光検出装置1は、本開示の「半導体装置」の一例である。
【0010】
周辺回路部は、垂直駆動回路33と、カラム信号処理回路34と、水平駆動回路35と、出力回路37と、制御回路36などを有して構成される。
【0011】
制御回路36は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また撮像素子の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路36では、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34及び水平駆動回路35などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、これらの信号を垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34及び水平駆動回路35等に入力する。
【0012】
垂直駆動回路33は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動線23を選択し、選択された画素駆動配線に画素を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素を駆動する。すなわち、垂直駆動回路33は、画素領域3の各画素12を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線9を通して各画素12の光電変換部となる例えばフォトダイオードにおいて受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号をカラム信号処理回路34に供給する。
【0013】
カラム信号処理回路34は、画素12の例えば列ごとに配置されており、1行分の画素12から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。すなわちカラム信号処理回路34は、画素12固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling)や、信号増幅、AD変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路34の出力段には水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線38との間に接続されて設けられる。
【0014】
水平駆動回路35は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路34の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路34の各々から画素信号を水平信号線38に出力させる。
【0015】
出力回路37は、カラム信号処理回路34の各々から水平信号線38を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。例えば、バファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理などが行われる場合もある。入出力端子39は、外部と信号のやりとりをする。
【0016】
なお、同図は、光検出装置1が基板11に形成される場合の例を表したものである。光検出装置1は、複数の半導体基板により構成することもできる。光検出装置1を構成する複数の基板を積層することにより、光検出装置1のサイズ(面積)を縮小することができる。この場合の例について次に説明する。
【0017】
[光検出装置の他の構成]
図2は、本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の他の例を示す図である。同図の光検出装置1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20、第3基板30)を備えている。光検出装置1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20、第3基板30)を貼り合わせて構成された3次元構造となっている。第1基板10、第2基板20及び第3基板30は、この順に積層されている。
【0018】
第1基板10は、基板11に、光電変換を行う複数の画素12を有している。複数の画素12は、第1基板10における画素アレイ部13内に行列状に設けられている。第2基板20は、半導体基板21に、画素12から出力された電荷に基づく画素信号を出力する画素回路22を4つの画素12毎に1つずつ有している。第2基板20は、行方向に延在する複数の画素駆動線23と、列方向に延在する複数の垂直信号線24とを有している。第3基板30は、半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有している。ロジック回路32は、例えば、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35及び制御回路36を有している。ロジック回路32(具体的には水平駆動回路35)は、画素12ごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路32では、例えば、ソース電極及びドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSiなどのサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0019】
垂直駆動回路33は、例えば、複数の画素12を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路34は、例えば、垂直駆動回路33によって選択された行の各画素12から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路34は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各画素12の受光量に応じた画素データを保持する。水平駆動回路35は、例えば、カラム信号処理回路34に保持されている画素データを順次、外部に出力する。制御回路36は、例えば、ロジック回路32内の各ブロック(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34及び水平駆動回路35)の駆動を制御する。
【0020】
図3は、本開示の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素12の構成例を表す回路図であり、画素12及び画素回路22の一例を表したものである。以下では、
図2に示したように、4つの画素12が1つの画素回路22を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つの画素12の出力が共通の画素回路22に入力されることを指している。
【0021】
各画素12は、互いに共通の構成要素を有している。
図2には、各画素12の構成要素を互いに区別するために、各画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号(1、2、3及び4)が付与されている。以下では、各画素12の構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各画素12の構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各画素12の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0022】
各画素12は、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された電荷転送部TRと、電荷転送部TRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持する電荷保持部を構成する浮遊拡散領域(フローティングディフュージョン)FDとを有している。フォトダイオードPDは、本開示の「光電変換部」の一具体例に相当する。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDのカソードが電荷転送部TRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。電荷転送部TRのドレインが浮遊拡散領域FDに電気的に接続され、電荷転送部TRのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。電荷転送部TRは、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0023】
1つの画素回路22を共有する各画素12の浮遊拡散領域FDは、互いに電気的に接続されるとともに、共通の画素回路22の入力端に電気的に接続されている。画素回路22は、例えば、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、増幅トランジスタAMPとを有している。なお、選択トランジスタSELは、必要に応じて省略してもよい。リセットトランジスタRSTのソース(画素回路22の入力端)が浮遊拡散領域FDに電気的に接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDD及び増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは画素駆動線23(
図2参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソース(画素回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23(
図2参照)に電気的に接続されている。
【0024】
電荷転送部TRは、オン状態になると、フォトダイオードPDの電荷を浮遊拡散領域FDに転送する。リセットトランジスタRSTは、浮遊拡散領域FDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態になると、浮遊拡散領域FDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路22からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、浮遊拡散領域FDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成しており、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態になると、浮遊拡散領域FDの電位に応じた電圧を、垂直信号線24を介してカラム信号処理回路34に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP及び選択トランジスタSELは、例えば、MOSトランジスタである。なお、カラム信号処理回路34は、本開示の「処理回路」の一具体例に相当する。
【0025】
[画素の構成]
図4は、本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素アレイ部13に配置される画素12の構成例を表す図である。また、同図の画素12は、基板11を構成する半導体基板120に形成される。同図の画素12には、光電変換部101(不図示)、電荷転送部102(
図3のTRに相当する)及び電荷保持部103(不図示)が配置される。同図には、電荷転送部102のゲート電極150を構成する縦型電極部151を記載した。同図の縦型電極部151は、矩形形状に構成される例を表したものである。画素12の境界には、分離部132が配置される。
【0026】
[画素の断面の構成]
図5は、本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素12の構成例を表す断面図である。同図の画素12は、半導体基板120と、分離部132と、絶縁膜130及び131と、配線領域140と、カラーフィルタ190と、オンチップレンズ193とを備える。
【0027】
半導体基板120は、素子等が配置される半導体の基板である。同図の半導体基板120には、光電変換部101、電荷転送部102及び電荷保持部103が更に配置される。半導体基板120は、例えば、シリコン(Si)により構成することができる。光電変換部101は、半導体基板120に形成されたウェル領域に配置される。便宜上、同図の半導体基板120は、p型のウェル領域を構成するものと想定する。このp型のウェル領域にn型及びp型の半導体領域を配置することにより、素子(の拡散層)を形成することができる。
【0028】
同図の半導体基板120に記載された矩形が半導体領域を表す。光電変換部101は、n型に構成された半導体領域121により構成される。具体的には、半導体領域121及び周囲のp型のウェル領域の界面に形成されるpn接合により構成されるフォトダイオードが光電変換部101に該当する。
【0029】
電荷保持部103は、n型の比較的高い不純物濃度に構成された半導体領域124により構成される。この半導体領域124が前述の浮遊拡散領域を構成する。
【0030】
電荷転送部102は、半導体領域121及び124並びにゲート電極150により構成される。n型に構成された半導体領域121及び124が電荷転送部102のソース領域及びドレイン領域に該当する。ゲート電極150は、縦型電極部151及び平板電極部159を備える。縦型電極部151は、半導体基板120の内部に配置されて底部が半導体基板120の裏面の近傍に伸長される形状に構成される電極である。また、平板電極部159は、半導体基板120の表面側に配置されるとともに底部が縦型電極部151に接する形状に構成される電極である。ゲート電極150にオン電圧を印加するとゲート電極150の表面の半導体領域にチャネルが形成され、半導体領域121及び124の間が導通状態になる。すなわち、光電変換部101及び電荷保持部103の間が導通し、光電変換部101の電荷が電荷保持部103に転送される。このように、電荷転送部102は、半導体基板120の厚さ方向に電荷を転送する。
【0031】
半導体基板120の表面側及び裏面側にはそれぞれ絶縁膜130及び131が配置される。この絶縁膜130及び131は、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)により構成することができる。なお、ゲート電極150と半導体基板120との間には不図示のゲート絶縁膜が配置される。
【0032】
分離部132は、画素12の境界に配置されて画素12を分離するものである。分離部132は半導体基板120の表面近傍から裏面側に貫通する形状に構成される。分離部132は、半導体基板120に形成された溝部にSiO2等の絶縁物を埋め込むことにより構成することができる。なお、分離部132と接する半導体基板120の領域には半導体領域123が配置される。この半導体領域123は、p型の比較的高い不純物濃度がコンフォーマルに構成される半導体領域である。半導体領域123は、半導体基板120の界面準位をピニングする半導体領域である。また、半導体領域122は、n型の比較的高い不純物濃度がコンフォーマルに構成される半導体領域である。半導体領域121及び122で、光電変換した電荷を蓄積する光電変換部101が構成される。
【0033】
配線領域140は、半導体基板120の表面側に配置されて素子の信号等を伝達する配線が配置される領域である。同図の配線領域140は、絶縁層141及び配線142を備える。配線142は、半導体基板120に形成される素子等に信号を伝達するものである。この配線142は、タングステン(W)や銅(Cu)により構成することができる。絶縁層141は、半導体基板120の表面側に配置された電極や配線142等を絶縁するものである。この絶縁層141は、例えば、SiO2により構成することができる。なお、半導体基板120及び配線領域140は、基板11を構成する。
【0034】
カラーフィルタ190は、入射光のうちの所定の波長の光を透過する光学的なフィルターである。カラーフィルタ190には、例えば、赤色光、緑色光及び青色光を透過するカラーフィルタを使用することができる。
【0035】
オンチップレンズ193は、入射光を集光するレンズである。このオンチップレンズ193は、例えば、半球形状に構成され、入射光を光電変換部101に集光する。
【0036】
前述のように、電荷転送部102のゲート電極150は、縦型電極部151を備える。この縦型電極部151は、半導体基板120を構成する部材であるSiより低い屈折率に構成することができる。これにより、半導体基板120の裏面側から入射した光の光路長を伸長することができ、量子効率を向上させることができる。
【0037】
縦型電極部151は、例えば、透明導電部材により構成することができる。この透明導電部材には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、In2O3、ZnO(Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)及びIGZO(In-Ga-Zn-O)が該当する。また、縦型電極部151は、例えば、金属により構成することもできる。この金属には、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)及びCuが該当する。
【0038】
平板電極部159も、半導体基板120を構成するSiより低い屈折率に構成することができる。
【0039】
また、平板電極部159は、入射光を吸収する部材により構成することもできる。この場合には、縦型電極部151を介して入射する光を平板電極部159により吸収することができる。これにより、入射光の配線領域140への漏洩を防ぐことができる。
【0040】
また、平板電極部159は、入射光を反射する部材により構成することもできる。この場合には、縦型電極部151を介して入射する光を平板電極部159により反射することができる。これにより、入射光の配線領域140への漏洩を防ぐことができる。また、入射光を半導体基板120の側に反射するため、反射光を光電変換に寄与させることができる。これにより、効率を向上させることができる。
【0041】
このように、本開示の第1の実施形態の光検出装置1は、電荷転送部102のゲート電極150に含まれる縦型電極部151の屈折率を半導体基板120より低くすることにより、光電変換の効率を向上させることができる。
【0042】
(2.第2の実施形態)
上述の第1の実施形態の光検出装置1は、底部が半導体基板120の裏面の近傍に伸長される形状に構成される縦型電極部151を備えていた。これに対し、本開示の第2の実施形態の光検出装置1は、底部が半導体基板120の裏面に達する形状に構成される縦型電極部151を備える点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0043】
[画素の構成]
図6は、本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、
図5と同様に、画素12の構成例を表す模式断面図である。便宜上、同図において半導体領域等の記載を省略している。同図の画素12は、縦型電極部151の形状が
図5の画素12と異なる。
【0044】
上述のように、同図の縦型電極部151は、底部が半導体基板120の裏面に達する形状に構成される。これにより、縦型電極部151により入射光を導光することができる。
【0045】
これ以外の光検出装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光検出装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
このように、本開示の第2の実施形態の光検出装置1は、底部が半導体基板120の裏面に達する形状の縦型電極部151を備える。これにより、半導体基板120の表面側に入射光を導光することができ、光電変換の効率を向上させることができる。
【0047】
(3.第3の実施形態)
上述の第1の実施形態の光検出装置1は、縦型電極部151を備えていた。これに対し、本開示の第3の実施形態の光検出装置1は、複数の部材により構成される縦型電極部151を備える点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0048】
[画素の構成]
図7乃至10は、本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、
図5と同様に、画素12の構成例を表す模式断面図である。同図の画素12は、縦型電極部151及び152を備える点で
図5の画素12と異なる。
【0049】
図8は、縦型電極部151乃至153を備えるゲート電極150の例を表したものである。縦型電極部151の外側に縦型電極部152が配置され、縦型電極部152の外側に縦型電極部153が配置される。
【0050】
図9は、縦型電極部151及び152の外側に縦型電極部153が配置される例を表したものである。
【0051】
図10は、
図9の縦型電極部151及び153が半導体基板120の裏面に達する形状に構成される例を表したものである。
【0052】
これ以外の光検出装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光検出装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
このように、本開示の第3の実施形態の光検出装置1は、縦型電極部が複数の部材により構成される。
【0054】
(4.変形例)
ゲート電極150のバリエーションについて説明する。
【0055】
図11乃至14は、本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素12の構成例を表す平面図である。複数の縦型電極部151が配置される例を表したものである。縦型電極部151を画素12の端部の方向に展延された形状にすることにより、画素12の端部の電荷の転送効率を向上させることができる。
【0056】
図15は、本開示の実施形態の変形例に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素12の構成例を表す断面図である。同図のゲート電極150は、複数の縦型電極部151を備える例を表したものである。これにより電荷の転送効率を更に向上させることができる。
【0057】
(5.電子機器の構成)
上述したような光検出装置1は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0058】
図16は、電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図16に示すように、電子機器701は、光学系702、光検出装置703、DSP(Digital Signal Processor)704を備えており、バス707を介して、DSP704、表示装置705、操作系706、メモリ708、記録装置709、及び電源系710が接続されて構成され、静止画像及び動画像を撮像可能である。
【0059】
光学系702は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光検出装置703に導き、光検出装置703の受光面(センサ部)に結像させる。
【0060】
光検出装置703には、上述したいずれかの構成例の光検出装置1が適用される。光検出装置703には、光学系702を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、光検出装置703に蓄積された電子に応じた信号がDSP704に入力される。
【0061】
DSP704は、光検出装置703からの信号に対して各種の信号処理を施して画像を取得し、その画像のデータを、メモリ708に一時的に記憶させる。メモリ708に記憶された画像のデータは、記録装置709に記録されたり、表示装置705に供給されて画像が表示されたりする。また、操作系706は、ユーザによる各種の操作を受け付けて電子機器701の各ブロックに操作信号を供給し、電源系710は、電子機器701の各ブロックの駆動に必要な電力を供給する。
【0062】
(6.移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0063】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0064】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0065】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0066】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0067】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0068】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0069】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0070】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0071】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0072】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0073】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0074】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0075】
図18では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0076】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0077】
なお、
図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0078】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0079】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0080】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0081】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0082】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、
図1の光検出装置1は、撮像部12031に適用することができる。
【0083】
(7.内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0084】
図19は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0085】
図19では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0086】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0087】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0088】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0089】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0090】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0091】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0092】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0093】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0094】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0095】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0096】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0097】
図20は、
図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0098】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0099】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0100】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0101】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0102】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0103】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0104】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0105】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0106】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0107】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0108】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0109】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0110】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0111】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0112】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0113】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0114】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、
図1の光検出装置1は、撮像部11402に適用することができる。
【0115】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0116】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0117】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体基板内に配置されて入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板内に配置されて前記光電変換により生成される電荷を保持する電荷保持部と、
前記半導体基板内に配置されて底部が前記半導体基板の裏面の近傍に伸長される形状に構成されて前記半導体基板より低い屈折率に構成される縦型電極部を有するゲート電極を備えるMOSトランジスタにより構成されて前記光電変換部の電荷を前記電荷保持部に転送する電荷転送部と
を有する光検出装置。
(2)
前記縦型電極部は、底部が前記半導体基板の裏面に達する形状に構成される前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記縦型電極部は、透明導電部材により構成される前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記縦型電極部は、金属により構成される前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(5)
前記縦型電極部は、複数の部材により構成される前記(1)から(4)の何れかに記載の光検出装置。
(6)
前記ゲート電極は、前記半導体基板の表面側に配置されるとともに底部が前記縦型電極部に接する形状に構成される平板電極部を更に備える前記(1)から(5)の何れかに記載の光検出装置。
(7)
前記平板電極部は、前記半導体基板より低い屈折率に構成される前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記平板電極部は、前記入射光を反射する部材により構成される前記(6)に記載の光検出装置。
(9)
前記平板電極部は、前記入射光を吸収する部材により構成される前記(6)に記載の光検出装置。
(10)
前記ゲート電極は、複数の前記縦型電極部を備える前記(1)から(9)の何れかに記載の光検出装置。
(11)
半導体基板内に配置されて入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板内に配置されて前記光電変換により生成される電荷を保持する電荷保持部と、
前記半導体基板内に配置されて底部が前記半導体基板の裏面の近傍に伸長される形状に構成されて前記半導体基板より低い屈折率に構成される縦型電極部を有するゲート電極を備えるMOSトランジスタにより構成されて前記光電変換部の電荷を前記電荷保持部に転送する電荷転送部と、
前記電荷保持部に保持された電荷に基づく信号を処理する処理回路と
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0118】
1、703 光検出装置
12 画素
34 カラム信号処理回路
101 光電変換部
102 電荷転送部
103 電荷保持部
120 半導体基板
150 ゲート電極
151~153 縦型電極部
159 平板電極部
701 電子機器
11402、12031、12101~12105 撮像部