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特開2024-123907自動取引装置、紙幣補充方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123907
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】自動取引装置、紙幣補充方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/245 20190101AFI20240905BHJP
【FI】
G07D11/245
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031710
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】堀 充利
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA07
3E141CA04
3E141FG05
3E141FG11
(57)【要約】
【課題】紙幣の補充が行われる場合の利用者の待ち時間を短くする。
【解決手段】自動取引装置は、紙幣が収納される紙幣収納部と、第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに第1の閾値よりも小さい第2の閾値を補充閾値として設定する補充閾値設定部と、紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が、補充閾値設定部により設定された補充閾値以下になった場合に、紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで紙幣収納部に紙幣を補充するように制御する補充制御部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置であって、
紙幣が収納される紙幣収納部と、
第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を前記補充閾値として設定する補充閾値設定部と、
前記紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が、前記補充閾値設定部により設定された前記補充閾値以下になった場合に、前記紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで前記紙幣収納部に紙幣を補充するように制御する補充制御部と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記第1のタイミングは、取引の受付待機中に表示される待機画面の表示開始時点から利用者の取引開始時点までの時間が第1の所定時間未満であることが連続して所定回数以上発生したタイミングである、
ことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記第2のタイミングは、前記時間が前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間以上になったタイミングである、
ことを特徴とする請求項2記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記第1のタイミングは、前記自動取引装置の利用者が多くなることが予め想定される繁忙期の始期のタイミングであり、
前記繁忙期は、前記自動取引装置の過去の利用履歴に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記第2のタイミングは、前記自動取引装置の利用者が少なくなることが予め想定される閑散期の始期のタイミングであり、
前記閑散期は、前記自動取引装置の過去の利用履歴に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項4記載の自動取引装置。
【請求項6】
自動取引装置は、
第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を前記補充閾値として設定し、
紙幣が収納される紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が前記補充閾値以下になった場合に、前記紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで前記紙幣収納部に紙幣を補充する、
ことを特徴とする紙幣補充方法。
【請求項7】
自動取引装置に、
第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を前記補充閾値として設定し、
紙幣が収納される紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が前記補充閾値以下になった場合に、前記紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで前記紙幣収納部に紙幣を補充する、
という処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、紙幣補充方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automatic Teller Machine)等の自動取引装置では、出金等の取引に使用される紙幣が収納される紙幣収納庫に収納されている紙幣の枚数が所定枚数以下になると、紙幣の補充が行われる。例えば、紙幣収納庫に収納される紙幣の最小枚数と最大枚数とが予め設定され、紙幣収納庫に収納されている紙幣の枚数が最小枚数以下になると、紙幣収納庫に収納される紙幣の枚数が最大枚数になるまで紙幣の補充が行われる。
【0003】
紙幣の補充を行う装置として、その他、特許文献1~3に記載の装置等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-10489号公報
【特許文献2】特開2012-146344号公報
【特許文献3】特開2012-64118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動取引装置での紙幣の補充は、例えば、利用者の取引が終了した時点で紙幣収納庫に収納されている紙幣の枚数が最小枚数以下になった場合に開始する。そして、紙幣の補充が開始した後は、それが終了するまで次の利用者は取引を開始することができない。そのため、取引中の利用者の後ろに次の利用者が待機しているような状況において、取引終了後に紙幣の補充が開始してしまった場合には、それが終了するまで次の利用者は取引を開始することができない。紙幣の補充では、少なくとも最小枚数と最大枚数との差分に相当する紙幣の補充が行われるため、紙幣の補充には比較的に長い時間を要する。そのため、次の利用者は長い時間、取引を開始することができずに待たされることになる。このような利用者の待ち時間は、取引中の利用者の後ろに次の利用者が待機する状況が連続して続くような、利用者が多い状況(取引が多い状況、繁忙時)において発生しやすい。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、紙幣の補充が行われる場合の利用者の待ち時間を短くすることができる自動取引装置、紙幣補充方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
装置の一観点は、自動取引装置であって、紙幣が収納される紙幣収納部と、第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を前記補充閾値として設定する補充閾値設定部と、前記紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が、前記補充閾値設定部により設定された前記補充閾値以下になった場合に、前記紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで前記紙幣収納部に紙幣を補充するように制御する補充制御部と、を備える。
【0008】
方法の一観点は、紙幣補充方法であって、自動取引装置は、第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を前記補充閾値として設定し、紙幣が収納される紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が前記補充閾値以下になった場合に、前記紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで前記紙幣収納部に紙幣を補充する。
【0009】
プログラムの一観点は、自動取引装置に、第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を前記補充閾値として設定し、紙幣が収納される紙幣収納部に収納されている紙幣の枚数が前記補充閾値以下になった場合に、前記紙幣収納部に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで前記紙幣収納部に紙幣を補充する、という処理を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙幣の補充が行われる場合の利用者の待ち時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態に係る自動取引装置の機能構成を例示する図である。
図2】一実施の形態に係る自動取引装置の外観構成を例示する図である。
図3】一実施の形態に係る自動取引装置のハードウェア構成を例示する図である。
図4】紙幣処理ユニットの概略構成を例示する図である。
図5】紙幣処理ユニットでの紙幣補充時の紙幣の流れを例示する図である。
図6】補充閾値設定処理の流れを例示するフローチャートである。
図7】紙幣の補充例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態に係る自動取引装置の機能構成を例示する図である。
【0014】
図1に例示した自動取引装置1の機能構成は、自動取引装置1が備える紙幣補充機能に関する主要な機能構成を示すものであり、その他の機能に関する機能構成については図示を省略している。
【0015】
図1に例示した自動取引装置1は、紙幣収納部2と、補充閾値設定部3と、補充制御部4とを備える。
【0016】
紙幣収納部2は、紙幣が収納される。収納される紙幣は、例えば、出金等の取引に使用される紙幣である。補充閾値設定部3は、第1のタイミングに第1の閾値を補充閾値として設定し、第2のタイミングに第1の閾値よりも小さい第2の閾値を補充閾値として設定する。補充制御部4は、紙幣収納部2に収納されている紙幣の枚数が、補充閾値設定部3により設定された補充閾値以下になった場合に、紙幣収納部2に収納される紙幣の枚数が所定枚数になるまで紙幣収納部2に紙幣を補充するように制御する。所定枚数は、例えば、予め設定されている最大枚数である。
【0017】
第1のタイミングは、取引の受付待機中に表示される待機画面の表示開始時点から利用者の取引開始時点までの時間が第1の所定時間未満であることが連続して所定回数以上発生したタイミングであってもよい。第2のタイミングは、その時間が第1の所定時間よりも長い第2の所定時間以上になったタイミングであってもよい。
【0018】
あるいは、第1のタイミングは、自動取引装置1の利用者が多くなることが予め想定される繁忙期の始期のタイミングであってもよい。第2のタイミングは、自動取引装置1の利用者が少なくなることが予め想定される閑散期の始期のタイミングであってもよい。この場合、繁忙期、閑散期は、自動取引装置1の過去の利用履歴に基づいて決定されてもよい。
【0019】
このような紙幣補充機能を備えた自動取引装置1によれば、例えば、利用者が多い状況では、第1の閾値が補充閾値として設定されることで、紙幣の補充が行われるときの紙幣補充枚数を少なくすることができる。結果として、紙幣の補充に要する時間が短くなるので、紙幣の補充が行われる場合の利用者の待ち時間を短くすることができる。以下、このような自動取引装置1について、より具体的に説明する。
【0020】
図2は、一実施の形態に係る自動取引装置の外観構成を例示する図である。
【0021】
図2に例示した自動取引装置1は、例えば、銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストアの店舗等に設置されるATMである。この自動取引装置1は、通帳挿入排出部11、カード挿入排出部12、硬貨入出金部13、紙幣入出金部14、及び表示入力ユニット15を備える。
【0022】
通帳挿入排出部11は、通帳の受け付け及び返却を行う。カード挿入排出部12は、取引に使用されるカード(キャッシュカード等)の受け付け及び返却を行う。また、カード挿入排出部12は、取引明細が印刷されたレシートの排出も行う。硬貨入出金部13は、入金硬貨の受け付け及び出金硬貨の排出を行う。紙幣入出金部14は、入金紙幣の受け付け及び出金紙幣の排出を行う。表示入力ユニット15は、待機画面等の各種画面の表示や、利用者からの入力操作の受け付けを行う。
【0023】
図3は、一実施の形態に係る自動取引装置のハードウェア構成を例示する図である。
【0024】
図3に例示した自動取引装置1は、制御ユニット21、表示入力ユニット15、通帳処理ユニット22、カード処理ユニット23、硬貨処理ユニット24、及び紙幣処理ユニット25を備える。
【0025】
制御ユニット21は、プロセッサ211、RAM(Random Access Memory)212、通信インタフェース213、グラフィック処理ユニット214、記憶装置215、及び入出力インタフェース216を備え、それらはバス217で相互に接続されている。また、図示はしないが、制御ユニット21は、バス217に接続されるFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を更に備えてもよい。この場合は、制御ユニット21の機能の一部をFPGAやASIC等が提供してもよい。
【0026】
プロセッサ211は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ211は、OS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラム等の各種のプログラムを実行することにより、自動取引装置1の各部を制御して自動取引装置1の全体動作を制御する。なお、プロセッサ211の一部の機能は、上述の補充閾値設定部3及び補充制御部4の機能を提供する。
【0027】
RAM212は、プロセッサ211により実行されるプログラムの一部が一時的に格納されると共に、プロセッサ211の作業用記憶領域として使用される。
【0028】
通信インタフェース213は、図示しないネットワークに接続され、当該ネットワークを介して図示しない外部装置(例えばホストコンピュータ)と通信を行う。
【0029】
グラフィック処理ユニット214は、表示入力ユニット15の表示装置15aと接続され、プロセッサ211からの制御信号に従って、待機画面等の各種画面を表示装置15aに表示させる。
【0030】
記憶装置215は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であり、プロセッサ211により実行される各種のプログラムやプログラムの実行に必要な各種データ等が記憶される。
【0031】
入出力インタフェース216は、表示入力ユニット15のタッチパネル15b、通帳処理ユニット22、カード処理ユニット23、硬貨処理ユニット24、及び紙幣処理ユニット25と接続されている。入出力インタフェース216は、例えば、プロセッサ211と、タッチパネル15b、通帳処理ユニット22、カード処理ユニット23、硬貨処理ユニット24、及び紙幣処理ユニット25との間で信号の入出力を行う。なお、入出力インタフェース216は、可搬型記憶媒体に対する情報の書き込みや読み出しが可能な可搬型記憶媒体インタフェースと更に接続されてもよい。
【0032】
表示入力ユニット15は、表示装置15aと当該表示装置15a上に配置されたタッチパネル15bとを備えるタッチパネル付きディスプレイである。表示装置15aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、待機画面等の各種画面を表示する。タッチパネル15bは、当該タッチパネル15bに対する入力操作を検出し、その検出結果に応じた信号をプロセッサ211に出力する。
【0033】
通帳処理ユニット22は、通帳を通帳挿入排出部11から挿入、排出する。また、挿入された通帳が有する磁気ストライプに記録された情報の読み出しや、通帳記入等を行う。
【0034】
カード処理ユニット23は、カード挿入排出部12で受け付けたカードを取り込み、取り込んだカードをカード挿入排出部12から排出する。また、取り込んだカードが有する磁気ストライプやICチップに対する情報の読み出しや書き込みを行う。また、カード処理ユニット23は、取引明細をレシートに印刷してカード挿入排出部12から排出する。
【0035】
硬貨処理ユニット24は、硬貨の鑑別、収納、補充等を行う。また、硬貨を硬貨入出金部13から入出金する。紙幣処理ユニット25は、紙幣の鑑別、収納、補充等を行う。また、紙幣を紙幣入出金部14から入出金する。
【0036】
図4は、紙幣処理ユニットの概略構成を例示する図である。
【0037】
図4に例示した紙幣処理ユニット25は、紙幣入出金部14、プール部251、鑑別部252、万券スタッカ253、千券スタッカ254、回収金庫255、補充金庫256、取忘リジェクトボックス257、運用リジェクトボックス258、及び補充リジェクトボックス259と、その各部間で紙幣を搬送する搬送路とを備える。なお、図4では、搬送路を、各部間を結ぶ線で表している。
【0038】
プール部251は、紙幣入出金部14で受け付けられ、紙幣入出金部14から鑑別部252を経由して搬送された入金紙幣が一時的に収納される。鑑別部252は、紙幣の真贋、金種、新旧、及び状態等を鑑別する。
【0039】
万券スタッカ253は、出金等の取引に使用される万券紙幣が収納される。千券スタッカ254は、出金等の取引に使用される千券紙幣が収納される。万券スタッカ253と千券スタッカ254の各々は、上述の紙幣収納部2の機能を提供する。
【0040】
なお、図示はしないが、万券スタッカ253と千券スタッカ254の各々は、収納されている紙幣の高さ(紙幣堆積高さ)を検出するセンサを備えており、当該センサの検出結果に基づいて、プロセッサ211は、万券スタッカ253と千券スタッカ254の各々に収納されている紙幣の枚数を認識することができる。
【0041】
回収金庫255は、回収される紙幣(例えば旧紙幣)が収納される。補充金庫256は、万券スタッカ253及び千券スタッカ254に補充される紙幣が金種別に収納される。
【0042】
取忘リジェクトボックス257は、紙幣入出金部14にて利用者が取り忘れた紙幣が収納される。運用リジェクトボックス258は、自動取引装置1の運用中(但し、紙幣の補充中を除く)において、鑑別部252による鑑別の結果、リジェクトされた紙幣(例えば損券)が収納される。補充リジェクトボックス259は、紙幣の補充中において、鑑別部252による鑑別の結果、リジェクトされた紙幣(例えば損券)が収納される。
【0043】
図5は、紙幣処理ユニットでの紙幣補充時の紙幣の流れを例示する図である。
【0044】
図5に例示したように、万券紙幣の補充が行われる場合は、補充金庫256に収納されている万券紙幣が鑑別部252を経由して万券スタッカ253に収納される。千券紙幣の補充が行われる場合は、補充金庫256に収納されている千券紙幣が鑑別部252を経由して千券スタッカ254に収納される。なお、鑑別部252での鑑別の結果、リジェクトされた紙幣(例えば損券)は、補充リジェクトボックス259に収納される。
【0045】
このような紙幣の補充において、万券紙幣の補充は、利用者の取引が終了した時点で万券スタッカ253に収納されている万券紙幣の枚数が補充閾値以下になった場合に開始し、万券スタッカ253に収納される万券紙幣の枚数が所定枚数(予め設定されている最大枚数)になるまで行われる。千券紙幣の補充は、利用者の取引が終了した時点で千券スタッカ254に収納されている千券紙幣の枚数が補充閾値以下になった場合に開始し、千券スタッカ254に収納される千券紙幣の枚数が所定枚数(予め設定されている最大枚数)になるまで行われる。このような紙幣の補充は、プロセッサ211の制御の下に行われる。なお、万券紙幣の補充が行われる場合の補充閾値及び所定枚数(最大枚数)と、千券紙幣の補充が行われる場合の補充閾値及び所定枚数(最大枚数)は同じであるとする。
【0046】
補充閾値は可変であり、次に説明する補充閾値設定処理によって設定される。
【0047】
図6は、補充閾値設定処理の流れを例示するフローチャートである。なお、補充閾値設定処理は、プロセッサ211がプログラムを実行することにより行われる処理である。また、補充閾値設定処理は、自動取引装置1の運用中において繰り返し行われる処理である。
【0048】
図6に例示した補充閾値設定処理では、まず、自動取引装置1は、取引繁忙モードとして「繁忙」が設定されているか否かを判定する(S1)。
【0049】
取引繁忙モードは、当該モードとして「繁忙」、「閑散」、及び「通常」のいずれか一つが設定されるものである。詳しくは、取引の受付待機中に表示される待機画面の表示開始時点から利用者の取引開始時点までの時間が第1の所定時間未満であることが連続して所定回数以上発生したタイミングに「繁忙」が設定され、その時間が第1の所定時間よりも長い第2の所定時間以上になったタイミングに「閑散」が設定され、それ以外のタイミングに「通常」が設定される。なお、初期値としては「通常」が設定されている。これにより、利用者が多い状況(取引が多い状況)では、取引繁忙モードとして「繁忙」が設定され、利用者が少ない状況(取引が少ない状況)では、取引繁忙モードとして「閑散」が設定され、それ以外の状況(通常の状況)では、取引繁忙モードとして「通常」が設定されるようになる。このような取引繁忙モードの設定処理も、プロセッサ211がプログラムを実行することにより行われる処理である。なお、利用者の取引開始時点とは、例えば、待機画面に対する利用者の入力操作が行われた時点や、カード挿入排出部12でカードが受け付けられた時点や、通帳挿入排出部11で通帳が受け付けられた時点である。
【0050】
S1の判定結果がYESの場合、自動取引装置1は、閾値N1を補充閾値として設定する(S2)。なお、S1の判定結果がYESの場合とは、取引の受付待機中に表示される待機画面の表示開始時点から利用者の取引開始時点までの時間が第1の所定時間未満であることが連続して所定回数以上発生したタイミングともいうことができる。
【0051】
一方、S1の判定結果がNOの場合、自動取引装置1は、取引繁忙モードとして「閑散」が設定されているか否かを判定する(S3)。
【0052】
S3の判定結果がYESの場合、自動取引装置1は、閾値N1よりも小さい閾値N2を補充閾値として設定する(S4)。なお、S3の判定結果がYESの場合とは、取引の受付待機中に表示される待機画面の表示開始時点から利用者の取引開始時点までの時間が第1の所定時間よりも長い第2の所定時間以上になったタイミングともいうことができる。
【0053】
一方、S3の判定結果がNOの場合、自動取引装置1は、閾値N1よりも小さく且つ閾値N2よりも大きい閾値N3を補充閾値として設定する(S5)。なお、S3の判定結果がNOの場合とは、上述のタイミング(閾値N1を補充閾値として設定するタイミング及び閾値N2を補充閾値として設定するタイミング)以外のタイミングともいうことができる。
【0054】
S2、S4、又はS5の処理を終了すると、自動取引装置1は、図6に例示した補充閾値設定処理を終了する。
【0055】
このような補充閾値設定処理によれば、利用者が多い状況では閾値N1が補充閾値として設定され、利用者が少ない状況では閾値N2(N2<N1)が補充閾値として設定され、それ以外の状況では閾値N3(N2<N3<N1)が補充閾値として設定されるようになる。
【0056】
図7は、紙幣の補充例を示す図である。より詳しくは、図7の上段は、平日昼間等の繁忙時(利用者が多い状況)での紙幣の補充例を示し、図7の中段は、通常時での紙幣の補充例を示し、図7の下段は、夜間等の閑散時(利用者が少ない状況)での紙幣の補充例を示す。なお、この補充例では、閾値N1を最大枚数の3/4の枚数とし、閾値N2を最大枚数の1/4の枚数とし、閾値N3を最大枚数の1/2の枚数としている。
【0057】
図7の上段に示したように、繁忙時では、閾値N1が補充閾値として設定されるので、紙幣の補充が行われるときの紙幣補充枚数を少なくすることができる。このときの紙幣補充枚数は、少なくとも最大枚数と閾値N1との差分に相当する紙幣枚数となる。このように紙幣補充枚数を少なくすることができるので、結果として、紙幣の補充に要する時間が短くなり、紙幣補充のために利用者が待たされる時間を短くすることができる。
【0058】
一方、図7の下段に示したように、閑散時では、閾値N2が補充閾値として設定されるので、紙幣の補充が行われるときの紙幣補充枚数を多くすることができる。このときの紙幣補充枚数は、少なくとも最大枚数と閾値N2との差分に相当する紙幣枚数となる。なお、紙幣補充枚数が多くなると、紙幣の補充に要する時間が長くなるものの、閑散時では、利用者が取引を終了してから次の利用者が取引を開始するまので時間が長くなるので、取引終了後に紙幣の補充が行われたとしても、次の利用者が取引を開始する時点では紙幣の補充が終了しており、利用者は待たされることなく取引を開始することができる。
【0059】
図7の中段に示したように、通常時では、閾値N3が補充閾値として設定されるので、紙幣の補充が行われるときの紙幣補充枚数は、少なくとも最大枚数と閾値N3との差分に相当する紙幣枚数となり、繁忙時の紙幣補充枚数と閑散時の紙幣補充枚数との中間程度の紙幣枚数となる。また、紙幣の補充に要する時間も、繁忙時の紙幣の補充に要する時間と閑散時の紙幣の補充に要する時間との中間程度の時間となる。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、例えば、利用者が多い状況において、紙幣の補充が行われる場合の利用者の待ち時間を短くすることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、利用者が多くなることが予め想定される繁忙期の始期のタイミングに取引繁忙モードとして「繁忙」が設定され、利用者が少なくなることが予め想定される閑散期の始期のタイミングに取引繁忙モードとして「閑散」が設定され、それ以外の期間(通常期)の始期のタイミングに取引繁忙モードとして「通常」が設定されるようにしてもよい。このときの繁忙期、閑散期、及び通常期は、自動取引装置1の過去の利用履歴に基づいて決定されてもよい。例えば、自動取引装置1の過去の利用履歴から、平日昼間の時間帯に利用者が多く、夜間の時間帯に利用者が少ないと判断された場合には、平日昼間の時間帯を繁忙期とし、夜間の時間帯を閑散期とし、それら以外の時間帯を通常期としてもよい。
【0062】
また、本実施の形態では、万券用と千券用とで別々の補充閾値を設け、万券紙幣の補充を万券用補充閾値に基づいて行い、千券紙幣の補充を千券用補充閾値に基づいて行うようにしてもよい。万券用補充閾値の設定も千券用補充閾値の設定も、図6に例示した補充閾値設定処理と同様の処理により行われてもよい。この場合、万券用補充閾値として設定され得る閾値N1、N2、N3と、千券用補充閾値として設定され得る閾値N1、N2、及びN3は、その一部又は全部の値が異なっていてもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、3つの閾値(N1、N2、N3)のうちのいずれか一つが補充閾値として設定されたが、2つの閾値のうちのいずれか一つ、又は、4つ以上の閾値のうちのいずれか一つが、補充閾値として設定されるようにしてもよい。この場合は、より繁忙な(より利用者が多くなる)状況であるほど、より大きな閾値が補充閾値として設定され、より閑散な(より利用者が少なくなる)状況であるほど、より小さな閾値が補充閾値として設定されるようにしてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 自動取引装置
2 紙幣収納部
3 補充閾値設定部
4 補充制御部
11 通帳挿入排出部
12 カード挿入排出部
13 硬貨入出金部
14 紙幣入出金部
15 表示入力ユニット
15a 表示装置
15b タッチパネル
21 制御ユニット
22 通帳処理ユニット
23 カード処理ユニット
24 硬貨処理ユニット
25 紙幣処理ユニット
211 プロセッサ
212 RAM
213 通信インタフェース
214 グラフィック処理ユニット
215 記憶装置
216 入出力インタフェース
217 バス
251 プール部
252 鑑別部
253 万券スタッカ
254 千券スタッカ
255 回収金庫
256 補充金庫
257 取忘リジェクトボックス
258 運用リジェクトボックス
259 補充リジェクトボックス
N1、N2、N3 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7