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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123909
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】複合蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B65D47/24 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031714
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩光
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA37
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA04
3E084EC03
3E084FA03
3E084FC07
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB17
3E084KA05
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD03
3E084LD18
(57)【要約】
【課題】容器100に装着された状態で倒立落下せしめられても、内容物がシール壁42を超えて容器100の内側層102外へ流出することが回避される、新規の複合蓋を提供すること。
【解決手段】閉塞壁10の下面に内側層102の上端部の外周面を支持する支持手段、例えば支持突条44を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する内側層と該内側層を囲繞する外側層とを備えた積層構造容器のための複合蓋であって、
閉塞壁と該閉塞壁の外周縁から垂下する筒形状の装着壁とを含み、該閉塞壁は内容物を排出する排出開口及び該容器の該内側層と該外側層との間に規定される層間空間に連通する吸引孔を有すると共に該吸引孔を閉塞可能な弁体をも有し、該閉塞壁の下面には該排出開口を囲繞して垂下し且つ外周面が該内側層の内周面と密着する筒状のシール壁が形成されている蓋本体と、
該蓋本体の該閉塞壁の下面に装着され且つ連通開口を有する中栓部材と、
該中栓部材に組み合わされ、常態においては該連通開口を閉じるが容器内圧が上昇すると該連通開口を開く逆止弁部材と、
を具備する複合蓋において、
該閉塞壁の下面には更に、該内側層の外周面の上端部を支持する支持手段が形成されている、ことを特徴とする複合蓋。
【請求項2】
常態において該支持手段と該内側層及び該外側層とは離隔する、請求項1に記載の複合蓋。
【請求項3】
該支持手段は周方向に連続する支持突条である、請求項1に記載の複合蓋。
【請求項4】
該支持手段は該内側層の外周面と該外側層の内周面との間に進入する、請求項1に記載の複合蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する内側層とこの内側層を囲繞する外側層とを備えた積層構造容器のための複合蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
近時においては、調味料、特に醤油のための容器として、内容物を収容する内側層とこの内側層を囲繞する外側層とを備えた積層構造容器が広く実用に供されている。かような容器のための容器蓋として、下記特許文献1には、蓋本体と、中栓部材と、逆止弁部材とを具備する複合蓋が開示されている。該蓋本体は閉塞壁と該閉塞壁の外周縁から垂下する筒形状の装着壁とを含んでいる。該閉塞壁は内容物を排出する排出開口及び該容器の該内側層と該外側層との間に規定される層間空間に連通する吸引孔を有すると共に該吸引孔を閉塞可能な弁体をも有している。該閉塞壁の下面には該排出開口を囲繞して垂下し且つ外周面が該内側層の内周面と密着する筒状のシール壁が形成されている。該中栓部材は該蓋本体の該閉塞壁の下面に装着され、連通開口を有している。該逆止弁部材は該中栓部材に組み合わされ、常態においては該連通開口を閉じるが容器内圧が上昇すると該連通開口を開く。
【0003】
上記のとおりの複合蓋を容器の口頸部に装着して容器内の内容物を排出するには、閉塞壁に形成された排出開口を下方に向けた状態で容器の外側層の外周面を圧搾する。かくすると、弁体によって吸引孔が閉塞されることで、容器の内側層と外側層との間の層間空間が加圧され、これに付随して内側層内の内容物収容空間の圧力つまり容器内圧も上昇せしめられる。これにより該逆止弁部材が該中栓部材に対して移動して該連通開口が開き、内容物が連通開口及び排出開口を順次に通過して排出され、内側層は減容せしめられる。内容物の排出を終了させるには、上記圧搾を停止する。かくすると、容器内圧の上昇が解除されて連通開口は逆止弁部材により再度閉じられる。また、容器内圧の上昇が解除されることで、弁体が吸引孔を開き、容器の外側層は弾性的に復元する。これにより、外側層と内側層との間の層間空間は負圧となり、空気が容器外部から吸引孔を通過して層間空間に進入し、内側層は圧搾せしめられたときの状態のままつまり減容された状態のまま保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-5378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、本発明者の経験によれば、上記特許文献1で開示された複合蓋を装着した容器が倒立落下つまり複合蓋が容器に対して下方に位置する状態で落下して複合蓋が地面と衝突した際に、内容物が複合蓋のシール壁を超えて容器の内側層外へ流出することがあった。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器に装着された状態で倒立落下せしめられても、内容物がシール壁を超えて容器の内側層外へ流出することが回避される、新規且つ改良された複合蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、複合蓋が地面と衝突した際の衝撃によって容器の内側層の上端部が径方向外方に倒れ、これにより容器の内側層の内周面が複合蓋のシール壁の外周面から離隔つまりシール壁によるシールが瞬間的に毀損される現象を突き止めた。そこで、本発明者は、閉塞壁の下面に内側層の上端部の外周面を支持する支持手段を設けることによって、上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決する複合蓋として、内容物を収容する内側層と該内側層を囲繞する外側層とを備えた積層構造容器のための複合蓋であって、
閉塞壁と該閉塞壁の外周縁から垂下する筒形状の装着壁とを含み、該閉塞壁は内容物を排出する排出開口及び該容器の該内側層と該外側層との間に規定される層間空間に連通する吸引孔を有すると共に該吸引孔を閉塞可能な弁体をも有し、該閉塞壁の下面には該排出開口を囲繞して垂下し且つ外周面が該内側層の内周面と密着する筒状のシール壁が形成されている蓋本体と、
該蓋本体の該閉塞壁の下面に装着され且つ連通開口を有する中栓部材と、
該中栓部材に組み合わされ、常態においては該連通開口を閉じるが容器内圧が上昇すると該連通開口を開く逆止弁部材と、
を具備する複合蓋において、
該閉塞壁の下面には更に、該内側層の外周面の上端部を支持する支持手段が形成されている、ことを特徴とする複合蓋が提供される。
【0009】
好ましくは、常態において該支持手段と該内側層及び該外側層とは離隔する。該支持手段は周方向に連続する支持突条であるのがよい。該支持手段は該内側層の外周面と該外側層の内周面との間に進入するのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合蓋にあっては、閉塞壁の下面に内側層の外周面の上端部を支持する支持手段が設けられていることで、容器の内側層の上端部が径方向外方に倒れることは阻止され、これによりシール壁の外周面と容器の内側層の内周面との密着は充分確実に維持される。従って、本発明の複合蓋が装着された容器が倒立落下し複合蓋が地面と衝突して複合蓋に衝撃が付加されたとしても、内容物がシール壁を超えて容器の内側層外へ流出することは回避される。
【0011】
予め付言しておくと、本願の出願時において既に公開されている特開2020-152425号公報には、閉塞壁の下面に環状のフラップ片が形成された複合蓋が開示されている。一見するとこのフラップ片は本発明の支持手段と同一若しくは類似する構成と思われうる。然しながら、このフラップ片は本発明の複合蓋における弁体として機能するものである。つまり、上記フラップ片は容器の外側層の外周面が圧搾された際に弾性的に変形して容器の外側層の内周面上端部と密接し、層間空間を閉塞せしめてこれを加圧させる。それ故に、上記フラップ片は本発明の支持手段とは全く異質の構成であり、容器の内側層の上端部が径方向外方に倒れることを阻止し得るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従って構成された複合蓋の好適実施形態が容器の口頸部に装着された状態の断面図。
図2図1に示す複合蓋の蓋本体の平面図。
図3図1に示す複合蓋の蓋本体の正面図。
図4図1に示す複合蓋の蓋本体の底面図。
図5図2において切断線A-Aで示す断面図。
図6図1において枠線Xで示す部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された複合蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0014】
便宜上、本発明に従って構成される複合蓋の好適実施形態の説明に先立って、この複合蓋が装着される容器から説明する。図1には、複合蓋2が装着される容器100の口頸部が示されている。容器100は内容物を収容する内側層102とこれを囲繞する外側層104とを備えた積層構造容器であり、内側層102と外側層104との間には層間空間106が規定されている。容器100は、外側層104を形成するための基材(外側プリフォーム)の内側に内側層102を形成するための基材(内側プリフォーム)を予め積層させた状態で、外側プリフォームと内側プリフォームとを一体にブローして共押し出しすることで形成される。かような容器100の成形方法は周知であり、詳細については例えば特許第2586294号公報を参照されたい。内側層102及び外側層104の原料は共にポリエチレンテレフタレート(PET)の如き適宜の合成樹脂であり、内側層102と外側層104とは剥離容易である。
【0015】
容器100の口頸部は円筒形状である。換言すれば、内側層102及び外側層104の上端部は共に円筒形状である。外側層104の上端部の外周面には半径方向外方に突出する環状嵌合突条108が形成されている。嵌合突条108の下方には、容器を運搬する際に使用される公知のサポートリング110も形成されている。外側層104の上端部の内周面には上方を向いた円環形状の肩面112が形成されている。内側層102の上端部には、上方フランジ114及び下方フランジ116が上下方向に間隔をおいて形成されていて、下方フランジ116の下面の外周縁部が外側層104の内周面に形成された肩面112と当接することで、内側層102は外側層104によって上下方向に支持されている。上方フランジ114は円環形状であってその外周面と外側層104の内周面との間には比較的幅広な円環形状の隙間118が存在する。一方、下方フランジ116も全体的には円環形状であるもののその外周縁部には図示しない複数個の切欠きが形成されており、この切り欠きを介して層間空間106は容器100の外部に連通する。かような容器100の口頸部は上記特許文献1にも開示されている。
【0016】
引き続き図1を参照して説明すると、全体を番号2で示す複合蓋は、蓋本体4と、中栓部材6と、逆止弁部材8とを具備している。図1と共に図2乃至図5も参照して説明すると、蓋本体4は適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形することで形成され、平面視において円形の閉塞壁10とこの閉塞壁10の外周縁から垂下する円筒形状の装着壁12とを含んでいる。閉塞壁10は上下方向に見て上方に位置する円形の中央部10aと、下方に位置する円環形状の外周部10bと、中央部10aと外周部10bとを接続する円錐台形状の中間部10cとを備えている。中央部10aには円形の排出開口14が形成されており、中央部10aの上面には排出開口14の外周縁を囲繞して上方に延びる排出筒16が形成されている。排出筒16の内周面の上下方向中間部には径方向内方に突出する円環状の突部20が形成されている。外周部10bには上下方向に貫通する円形の吸引孔22が形成されており、外周部10bの上面には吸引孔22の外周縁を囲繞して上方に延出する円筒形状の延出筒24が形成されている。閉塞壁10は吸引孔22を閉塞可能な弁体をも有する。かかる弁体については延出筒24と共に後述する。閉塞壁10の上面の外周縁部には略円筒形状の係止壁26が形成されている。係止壁26の外周面の上端には半径方向外方に突出した環状係止突条28が形成されている。
【0017】
図1に示すとおり、図示の実施形態においては、上記弁体は延出筒24の内側において上下方向に移動自在な弁部材30である。弁部材30は閉塞壁10の一部を構成するもののこれとは別体で形成され、複合蓋2が容器100の口頸部に装着されるのに先立って又は装着された後に閉塞壁10に組み合わされる。弁部材30も適宜の合成樹脂製である。弁部材30の外周面には環状の膨出作用部32が形成されている。そして、図5と共に図2及び図4を参照することによって理解されるとおり、延出筒24の内周面には半径方向内方に突出した円環状の弁座34が形成されており、弁座34の下面に弁部材30の膨出作用部32の上面が当接することで吸引孔22は閉塞される。かような弁体の構成つまり弁部材30及び延出筒24は上記特許文献1で開示された複合蓋も備えている。
【0018】
図1と共に図2乃至図5も参照して説明を続けると、中間部10cの下面には下方に向かって延びる円筒形状の係合壁38が形成されている。係合壁38の内周面の下端には半径方向内方に突出した環状係合突条40が形成されている。外周部10bにおける内周縁部の下面には下方に向かって延びる略円筒形状のシール壁42が形成されている。そして、本発明の複合蓋にあっては、閉塞壁10の下面には更に、容器100の内側層102の上端部の外周面を支持する支持手段が形成されていることが重要である。図示の実施形態においては、支持手段は閉塞壁10の外周縁部の下面において下方に垂下する支持突条44である。支持突条44はC字形状であって、吸引孔22が形成された部分を除いて周方向に連続して延在する。支持突条44の断面形状は下方に向かって漸次幅狭となる略三角形状である。所望ならば、支持手段は周方向に間隔をおいて配置される複数個の支持突起から構成されてもよい。
【0019】
装着壁12の内周面下端部には、径方向内方に向かって突出して周方向に弧状に延びる被嵌合突条52が形成されている。装着壁12には上端が開放された円筒形状の分離溝54が設けられている。この分離溝54は容器100の口頸部から複合蓋2を分別して廃棄するための分別機構の一部である。かような分別機構は既に周知であり、その詳細については、例えば特開2007-22567号公報を参照されたい。
【0020】
蓋本体4の装着壁12の上端にはヒンジ手段56を介して外蓋58が接続されている。外蓋58は蓋本体4と一体に形成され(従って外蓋58も合成樹脂製である)、蓋本体4の閉塞壁10を覆う閉位置(図1に示す状態)と閉塞壁10を露呈せしめる開位置(図2乃至図5に示す状態)との間で旋回自在である。なお、外蓋58に関する上下方向は、外蓋56が閉位置にある状態を基準とする。外蓋58は円形天面壁60とこの天面壁60の外周縁部から垂下する円筒形状スカート壁62とを有する。天面壁60の下面の中央には下方に延出する円柱形閉塞栓64が形成されている。外蓋58が閉位置にあるときに、閉塞栓64は閉塞壁10に形成された排出筒16の内側に挿通され、閉塞栓64の先端部の外周面が排出筒16の突部20の内周面と密着する。閉塞栓64の基端部の外周には、天面壁60の下面から下方に垂下する略円筒形状の垂下片66が形成されている。外蓋58が閉位置にあるときに、垂下片66は排出筒16の上端部の外周縁を囲繞する。垂下片66の内周縁部には、外蓋58を閉位置から開位置に旋回せしめる際に天面壁60の下面に付着した内容物の飛散を防止するための二重円環溝68も形成されている。天面壁60の下面の径方向中間部には、下方に垂下する筒状支持壁70が形成されている。図2に示すとおり、支持壁70は平面視において略D字形状に延在している。そして、外蓋58が閉位置にあるときに、支持壁70の下面の一部が閉塞壁10の中央部10aの上面に当接することで、天面壁60が天面壁60の上面に付加された外力によって下方に変形することは防止される。スカート壁62の内周面の下端部には、径方向内方に向かって突出して周方向に円弧状に延びる被係止突条72が本実施形態においては周方向に間隔をおいて2つ形成されている。ヒンジ手段56の直径方向反対側における、スカート壁62の外周面下端部には、外蓋58を旋回動せしめる際に指を掛けることができる鍔部74が形成されている。
【0021】
続いて、図1を参照して中栓部材6及び逆止弁部材8について説明する。中栓部材6は適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形することで形成され、蓋本体4の閉塞壁10の下面に装着される。図示の実施形態においては、中栓部材6は閉塞壁10の中間部10cにおいて下方に垂下する係合壁38の内周面下端に形成された係合突条40によって支持されており、中央部には連通開口76が形成されている。逆止弁部材8はゴム、エラストマー、シリコン等の如き比較的軟質である合成樹脂を射出成形することで形成され、中栓部材6に組み合わされる。更に詳しくは、逆止弁部材8は中栓部材6の上面と蓋本体4の閉塞壁10の下面との間に規定される空間に配置される。そして、外蓋58が開位置にあるときには、逆止弁部材8は、上面が閉塞壁10の下面に当接する上昇位置と、下面が中栓部材6の上面に当接する降下位置との間を上下方向に往復移動自在となる。一方、外蓋58が閉位置にあるときには、逆止弁部材8は外蓋58の閉塞栓64によって中栓部材6の上面に押し付けられて(換言すれば降下位置に保持されて)中栓部材6に形成された連通開口76を閉塞する。かような中栓部材6及び逆止弁部材8は上記特許文献1で開示された複合蓋も備えている。
【0022】
醤油の如き液体内容物が内側層102内に充填された容器100に複合蓋2を装着する際には、外蓋58が閉位置にある状態の複合蓋2の装着壁12を容器100の口頸部に被嵌し、複合蓋2を容器100に対して下方に強制せしめる。複合蓋2は、その装着壁12の内周面に形成された被嵌合突条52が外側層104の外周面に形成された嵌合突条108を弾性的に乗り越えてこれに嵌合されることで、容器100の口頸部に装着される。複合蓋2が容器100の口頸部に装着されると、図1に示すとおり、蓋本体4のシール壁42が容器100の内側層102の内部に進入し、シール壁42の外周面が内側層102の内周面を半径方向外方に押圧する(換言すれば、シール壁42は内側層102の内側に圧入される)。これにより、シール壁42の外周面が内側層102の内周面の上端部と密着し、内容物がシール壁42の外側を通過して内側層102(即ち容器100)の外部に流出することが阻止される。このとき更に、支持手段(図示の実施形態においては支持突条44)が内側層102の外周面と外側層104の内周面との間の隙間118に進入する。図6を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態においては、常態において支持突条44と内側層102及び外側層104とは離隔する。
【0023】
本発明の複合蓋にあっては、閉塞壁10の下面に内側層102の外周面の上端部を支持する支持手段(図示の実施形態においては支持突条44)が設けられていることで、容器100の内側層102の上端部が径方向外方に倒れることは阻止され、これによりシール壁42の外周面と容器100の内側層102の内周面との密着は充分確実に維持される。従って、本発明の複合蓋が装着された容器が倒立落下し複合蓋2が地面と衝突して複合蓋2に衝撃が付加されたとしても、内容物がシール壁42を超えて容器100の内側層102外へ流出することは回避される。図示の実施形態においては、常態において支持手段と内側層102及び外側層104とは離隔することから、複合蓋2が容器100の口頸部に装着される際、支持手段(支持突条44)が内側層102又は外側層104の上面との間で噛み込むことが可及的に回避される。
【0024】
図1に示すとおり、複合蓋2が容器100の口頸部に装着されると、容器100の上端(更に詳しくは内側層102の上端)が吸引孔22の下方に位置し、弁部材30の下端が内側層102の上端に当接する。これにより、弁部材30が上方に僅かに偏倚され、吸引孔22が開き、容器100の内側層102と外側層104との間に規定される層間空間106は吸引孔22を介して外部と連通する。なお、上述したとおり、吸引孔22には弁部材30が組み合わされている。
【0025】
容器の内容物を消費する際には、先ず、外蓋58の鍔部74に指を掛けて外蓋58を上方に強制し、外蓋58の被係止突条72を蓋本体4の係止突条28から弾性的に離脱させる。次いで、外蓋58を開位置に向けて旋回動せしめて閉塞壁10を露呈させる。その後に、容器100の側面を把持して適宜に傾斜せしめ、容器100の側面を圧搾する。容器100が圧搾されて層間空間106内の空気が吸引孔22に向かって流れることで、蓋本体4の延出筒24内に組み込まれた弁部材30は上方に更に偏倚される。そして、膨出作用部32の上面が弁座34の下面に密接、つまり弁部材30によって吸引孔22が閉塞されることで、層間空間106が加圧され、これに付随して内側層102も加圧される。内側層102が加圧されたことで、逆止弁部材8が降下位置から上昇位置へ移動して連通開口76は開放され、内側層102内に充填された内容物は連通開口76及び排出開口14を順次に通過して排出筒16から排出される。
【0026】
内容物の排出を停止するには、容器100の側面の圧搾を解除する。これにより、容器内圧の上昇は解除され、逆止弁部材8が上昇位置から降下位置へ移動して連通開口76は閉じられ、内容物の排出は停止される。つまり、内容物の排出が停止すると同時に内側層102は密閉される。また、容器100の圧搾が解除されたことで、弁部材30が吸引孔22を開き、容器の外側層104が弾性的に復元、即ち圧搾された状態から圧搾される前の状態に膨張する。これにより、外側層104と内側層102との間の層間空間106は負圧となり、空気が容器外部から吸引孔22を通過して層間空間106に進入し、内側層102は圧搾せしめられたときの状態のままつまり減容された状態のまま保持される。その後に外蓋58を開位置から閉位置へ閉旋回動せしめる。かくすると、外蓋58の天面壁60の下面に形成された閉塞栓64が蓋本体4の閉塞壁10に形成された排出筒16の内側に進入した後に閉塞栓64の下端面が逆止弁部材8と当接してこれを下方に押圧する。これにより、逆止弁部材8は閉位置に保持される。
【0027】
以上、本発明に従って構成された複合蓋について添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。例えば、図示の実施形態においては、弁体は、閉塞壁10の一部を構成するもののこれとは別体で形成された弁部材30であったが、閉塞壁10と一体的に形成される構成であってもよい。また、図示の実施形態においては、外蓋58はヒンジ手段56を介して蓋本体4に接続されていたが、外蓋及び蓋本体は螺条又は打栓により接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
2:複合蓋
4:蓋本体
6:中栓部材
8:逆止弁部材
10:閉塞壁
12:装着壁
14:排出開口
22:吸引孔
30:弁部材(弁体)
42:シール壁
44:支持突条(支持手段)
76:連通開口
100:容器
102:内側層
104:外側層
106:層間空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6