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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123910
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】止水板収納構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240905BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20240905BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/16 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031716
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 裕司
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036GA02
2E036HB38
2E036HC03
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 止水板を安定した状態で立て掛ける。
【解決手段】 開口を上方へ向けた上向き溝部21aを有する下側係合部20と、この下側係合部20の上方で上向き溝部21aに対向する下向き溝部31aを有する上側係合部30とを備え、下向き溝部31aの溝深さを上向き溝部21aの溝深さよりも大きくし、横幅方向を上下に向けた止水板10の上端側が下向き溝部31aに嵌め合わせられた後に、同止水板10の下端側が上向き溝部21aに嵌め合わせられるようにしたことを特徴とする止水板収納構造。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を上方へ向けた上向き溝部を有する下側係合部と、この下側係合部の上方で前記上向き溝部に対向する下向き溝部を有する上側係合部とを備え、
前記下向き溝部の溝深さを前記上向き溝部の溝深さよりも大きくし、横幅方向を上下に向けた止水板の上端側が前記下向き溝部に嵌め合わせられた後に、同止水板の下端側が前記上向き溝部に嵌め合わせられるようにしたことを特徴とする止水板収納構造。
【請求項2】
前記上向き溝部と前記下向き溝部の間に、嵌め合わせられる止水板の裏面に当接されるように被当接部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の止水板収納構造。
【請求項3】
前記上側係合部には、前記被当接部よりも上側において前記下向き溝部から奥側へ連続する空間であって、且つ横幅方向を上下に向けた止水板の上端側を斜め上方に挿入可能な空間である懐部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の止水板収納構造。
【請求項4】
前記被当接部は、前記止水板の裏面に当接されて弾性的に収縮することを特徴とする請求項2に記載の止水板収納構造。
【請求項5】
前記被当接部は、前記上側係合部又は前記下側係合部に一体的に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の止水板収納構造。
【請求項6】
前記被当接部は、上下方向に間隔を置いた上側被当接部と下側被当接部であり、
前記止水板の裏面上部側が、前記上側被当接部に接触又は近接するとともに、前記下向き溝部の手前側の内壁面に接触又は近接し、
同止水板の裏面下部側が、前記下側被当接部に接触又は近接するとともに、前記上向き溝部の手前側の内壁面に接触又は近接するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の止水板収納構造。
【請求項7】
前記下向き溝部の手前側の内壁面と、前記上向き溝部の手前側の内壁面とのうち、何れか一方又は双方に、前記止水板を弾性的に受ける弾性片を設けたことを特徴とする請求項6に記載の止水板収納構造。
【請求項8】
前記下側係合部及び前記上側係合部の横幅方向の寸法を、嵌め合わせられる前記止水板の止水高さ方向の全長よりも短くし、嵌め合わせられる前記止水板における止水高さ方向の一端側と他端側が、前記下側係合部及び前記上側係合部の側方へ突出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の止水板収納構造。
【請求項9】
横幅方向を上下に向けた前記止水板の下端には、その左端側と右端側で下方側の不動面に当接するように、足部が突設されていることを特徴とする請求項1に記載の止水板収納構造。
【請求項10】
前記止水板には、止水高さ方向の一端側に、搬送する際に手で把持することが可能な手掛け部が設けられ、その他端側に、下方側不動面に圧接させるためのパッキンが設けられ、前記止水板が前記下側係合部と前記上側係合部の間に嵌め合わせられた状態で、前記手掛け部と前記パッキンがそれぞれ左右方向の一方と他方に突出して露出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の止水板収納構造。
【請求項11】
前記上側係合部が上下位置変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1~10何れか1項に記載の止水板収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水板を収納するための止水板収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が、建物や地下道等の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態が想定される場合に、前記開口部を構成する左右の縦枠間に止水板を嵌め込み、この止水板により水の浸入を阻むようにした従来技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-014865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術によれば、通常時に、止水板は壁に立て掛けるようにして載置されており、災害時にはこの止水板を運び出して、開口部に設置するようにしている。
このため、止水板を壁に立て掛けた状態の意匠性が悪く、転倒のおそれもある。そこで、止水板は設置場所から離れた場所に保管される場合が多いが、このような場合には、高重量な止水板の搬出や搬入に時間がかかる、
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
開口を上方へ向けた上向き溝部を有する下側係合部と、この下側係合部の上方で前記上向き溝部に対向する下向き溝部を有する上側係合部とを備え、前記下向き溝部の溝深さを前記上向き溝部の溝深さよりも大きくし、横幅方向を上下に向けた止水板の上端側が前記下向き溝部に嵌め合わせられた後に、同止水板の下端側が前記上向き溝部に嵌め合わせられるようにしたことを特徴とする止水板収納構造。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、止水板を安定した状態で立て掛けることができる上、搬出搬入作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る止水板収納構造の一例を示す正面図である。
図2図1の(II)-(II)線に沿う断面位置において、分離状態の止水板、上側係合部及び下側係合部を示す縦断面図である。なお、位置決め機構の図示は省略している。
図3】同断面位置において、止水板の上端側を懐部に挿入している様子を示す縦断面図である。
図4】同断面位置において、図3の状態から止水板を略垂直になるまで回動させている様子を示す縦断面図である。
図5】同断面位置において、図4の状態から止水板を下向き溝部に挿入している様子を示す縦断面図である。
図6】止水板により開口部を塞いだ状態を屋内側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<具体的実施形態>
図1は、本発明に係る止水板収納構造の一例を示す。
止水板収納構造1は、横幅方向を上下に向けた止水板10を嵌め合わせて収納するものであり、上向き溝部21a及び下側被当接部22等を一体的に有する下側係合部20と、下向き溝部31a、懐部31b及び上側被当接部32等を一体的に有する上側係合部30とを備える。
【0010】
止水板10は、横方向へわたる略矩形板状に形成され、建物や地下道等の開口部Aを塞ぐようにして、開口部Aを構成する左右の柱状部材x,xに屋外側から装着される(図6参照)。
詳細に説明すれば、この止水板10は、開口部Aを覆う略矩形板状の本体板部11と、この本体板部11の横幅方向の端部側における上端側で柱状部材xの内側面に係脱される係脱装置12と、同横幅方向の端部側における下端側で横方向の位置決めをする位置決め機構13と、本体板部11の下端に設けられ下方側不動面に押圧される横方向のパッキン14と、本体板部11の横幅方向の一端側と他端側の各側で柱状部材xの見付け面に押圧される縦方向のパッキン15と、本体板部11の横幅方向の両端部各々から突出する上下の足部16,16と、搬送する際に手で把持することが可能な手掛け部17,17とを具備している。
この止水板10は、横幅方向を上下に向けて、下側係合部20の上向き溝部21aと、上側係合部30の下向き溝部31aとの間に嵌め合わせられる。
【0011】
本体板部11、係脱装置12、位置決め機構13及びパッキン14,15等には、例えば、特許文献1に記載される構成を適用することが可能である。
【0012】
各足部16は、ゴムやエラストマー樹脂等の合成樹脂材料から円錐台状に構成される。
この足部16は、本体板部11の横幅方向の一端部と他端部のそれぞれにおいて、上下方向に間隔を置いて二つ設けられる。
これら複数の足部16のうち、一端側または他端側の上下二つの足部16,16は、止水板10がその横幅方向を上下に向けて立てられた際に、この止水板10の下端において左端側と右端側で下方側不動面G1に当接する(図1参照)。
【0013】
手掛け部17は、止水板10を持ち運ぶ作業者等が手で掴むための部位であり、止水板10における止水高さ方向の上端部に、止水板幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば2つ)設けられる。
この手掛け部17は、止水板10が下側係合部20と上側係合部30の間に嵌め合わせられた状態で、側方へ突出して露出する(図1参照)。
【0014】
また、下側係合部20は、下側基板21と、この下側基板21の上部側に嵌め合わせられた下側被当接部22とを一体的に具備する(図2図5参照)。
【0015】
下側基板21は、硬質金属製の板材を曲げ加工してなり、その下部側に、開口を上方へ向けた上向き溝部21aを有し、上部側には、下側被当接部22を嵌め合わせるための下側係合凸部21bを有する。
この下側基板21は、図2に示す縦断面形状を、下側係合部20の横幅方向(図1によれば左右方向)の略全長にわたって連続している。
【0016】
上向き溝部21aは、横幅方向を上下に向けた止水板10の下端側を、止水板横幅方向へわたって挿入可能な凹状に形成される。
【0017】
この上向き溝部21aの手前側の内壁面21a1には、止水板10の裏面を弾性的に受ける弾性片21a11が設けられる。この弾性片21a11は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料によって平板状に形成され、内壁面21a1を覆っている。
【0018】
下側係合凸部21bは、上向き溝部21aの奥側に形成された平板状の立ち上がり片21cの上部側を縦断面横向き凸状に曲げて手前側へ突出させている(図2参照)。
【0019】
下側被当接部22は、ゴムやエラストマー樹脂、ウレタン樹脂等の弾性材料から形成され、横向き凹状の縦断面を下側係合部20の横幅方向の略全長にわたって連続している。この下側被当接部22は、背面側の凹部を下側係合凸部21bに対し、横幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば、二つ)嵌め合わせられる。なお、この下側被当接部22は、横幅方向に長尺な単数のものであってもよい。
この下側被当接部22は、止水板10の裏面に当接されて弾性的に収縮する。
【0020】
また、上側係合部30は、上側基板31と、この上側基板31の下部側に嵌め合わせられた上側被当接部32とを一体的に具備する。
【0021】
上側基板31は、硬質金属製の板材を曲げ加工してなり、その上部側に、開口を下方へ向けた下向き溝部31a及び懐部31bを有し、下部側には、上側被当接部32を嵌め合わせるための上側係合凸部31cを有する。
この上側基板31は、図2に示す縦断面形状を、上側係合部30の横幅方向(図1によれば左右方向)の略全長にわたって連続している。図示例によれば、上側基板31と下側基板21の横幅方向の長さは、略同一である。
【0022】
下向き溝部31aは、横幅方向を上下に向けた止水板10の上端側を挿入可能な凹溝である。この下向き溝部31aは、下側係合部20の上方で上向き溝部21aに対向するように位置する。
【0023】
下側基板21と上側基板31は、上向き溝部21aと下向き溝部31aの溝深さH1,H2が異なり、それ以外の部分は略上下対称形状である。
【0024】
下向き溝部31aの溝深さH2は上向き溝部21aの溝深さH1よりも大きく設定される。これによって、横幅方向を上下に向けた止水板10の上端側が下向き溝部31aに嵌め合わせられた後に、同止水板10の下端側が上向き溝部21aに嵌め合わせられるようにしている。
【0025】
懐部31bは、上側被当接部32よりも上側において下向き溝部31aから奥側へ連続する空間であって、且つ横幅方向を上下に向けた止水板10の上端側を斜め上方に挿入可能な空間を構成している(図3参照)。
【0026】
下向き溝部31aと懐部31bは、図示例によれば、縦断面略逆さ凹状の上側基板31内の一つの空間を構成している。すなわち、この空間の手前側は下向き溝部31aにより構成され、同空間の奥側は懐部31bにより構成される。
【0027】
この下向き溝部31aの手前側の内壁面31a1には、止水板10の裏面を弾性的に受ける弾性片31a11が設けられる。この弾性片31a11は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料によって平板状に形成され、下向き溝部31aの内壁面31a1を覆っている。この弾性片31a11は、上述した弾性片21a11と同一部品である。
【0028】
上側係合凸部31cは、下向き溝部31aの奥側に形成された平板状の垂下片31dの下部側を縦断面横向き凸状に曲げて手前側へ突出させている(図2参照)。
【0029】
上側被当接部32は、上記した下側被当接部22と同一の部品である。この上側被当接部32は、背面側の凹部を上側係合凸部31cに対し、横幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば、二つ)嵌め合わせられる。なお、この上側被当接部32は、横幅方向に長尺な単数のものであってもよい。
この上側被当接部32は、止水板10の裏面に当接されて弾性的に収縮する。
【0030】
上記構成の下側係合部20及び上側係合部30は、止水板10が設置される開口部Aの近傍の直立不動面G2(例えば、壁面や、建具の戸面等)に固定される。
【0031】
下側係合部20及び上側係合部30の横幅方向の寸法W1は、嵌め合わせられる止水板10の止水高さ方向の全長W2よりも短く設定される(図1参照)。
横幅方向を上下に向けた止水板10は、止水高さ方向の一端側と他端側をそれぞれ側方へ突出させるようにして、下側係合部20と上側係合部30の間に嵌り合う。すなわち、下側係合部20及び上側係合部30は、止水板10の止水高さ方向の全長W2の中央寄りに位置する。
【0032】
<作用効果>
次に、上記構成の止水板収納構造1について、止水板収納構造1を下側係合部20と上側係合部30の間に着脱する際の手順、及び作用効果等について説明する。
【0033】
先ず、横幅方向が上下を向くように、止水板10を直立させ、下側係合部20及び上側係合部30の手前側で下方側不動面G1上に載置する(図2参照)。
【0034】
次に、図3に示すように、止水板10の上端側を奥側へ寄せるようにして、止水板10を止水板厚さ方向へ傾斜させ、止水板10裏面の上部側を上側被当接部32に当接させ、止水板10の上端側を、上側係合部30の懐部31bに挿入する。
この際、止水板10は、その裏面を上側被当接部32に摺接させて、上端側が懐部31bの奥側へ挿入される。
【0035】
次に、図4に示すように、止水板10と上側被当接部32との接触状態を保持しながら、止水板10の上端側を手前側へ回動させるとともに、同止水板10の下端側を奥側へ回動させ、止水板10の背面を、下側係合部20と上側係合部30の両方に接触させる。
【0036】
次に、図5にしめすように、止水板10の背面と、下側被当接部22及び上側被当接部32との接触状態を保持しながら、止水板10を下方へ降ろし、止水板10の下端側を、上向き溝部21aに嵌め合わせるとともに、下端側の二つの足部16を、上向き溝部21aの外側で下方側不動面G1上に接触させる(図1及び図5参照)。
【0037】
このようにして、横幅方向の上下に向けた止水板10が、下側係合部20と上側係合部30の間に嵌め合わせられる。
この嵌め合い状態において、止水板10の裏面上部側が、上側被当接部32に接触又は近接するとともに、下向き溝部31aにおける手前側の内壁面31a1の弾性片31a11に接触又は近接する。
また、同止水板10の裏面下部側が、下側被当接部22に接触又は近接するとともに、上向き溝部21aにおける手前側の内壁面21a1の弾性片21a11に接触又は近接する。
さらに、同止水板10の下端側の二つの足部16,16が、止水板10の自重によって下方側不動面G1に圧接される(図1参照)。
したがって、止水板10は、下側係合部20と上側係合部30の間に、がたつきの少ない状態で収納される。
【0038】
また、収納状態の止水板10を、下側係合部20と上側係合部30の間から外す作業は、上記と逆の手順を行えばよい。
【0039】
よって、上記構成の止水板収納構造1によれば、止水板10を安定した状態で立て掛けることができる。
しかも、止水板10の収納状態において、止水板10の要部(係脱装置12や、位置決め機構13、手掛け部17等)が外部に露出しているため、災害時等に、収納状態の止水板10を容易に探し出し、搬出することができる。
【0040】
また、収納状態の止水板10は、図1に示すように、左右方向の一方側に手掛け部17を突出させ露出し、その他方側に、パッキン14を突出させ露出する。このため、作業者等は、左右に突出した手掛け部17とパッキン14を掴むようにして、止水板10を持ち上げることができ、搬出搬入等の作業性が良好である。
【0041】
<変形例>
上記実施形態に付加する構成として、上側基板31を壁面等の直立不動面G2に対し上下位置変更可能に設けてもよい。
上側基板31を上下位置変更可能にする具体的手段としては、例えば、上側基板31と直立不動面G2のうち、その一方にマグネットを設け、他方に前記マグネットに対し、異なる上下位置で磁気吸着可能に、磁性材を設ければよい。
他の具体的手段としては、上側基板31と直立不動面G2のうち、その一方に上下方向に並ぶ複数の止め穴を設け、その他方には前記複数の止め穴のいずれに対しても止着可能な止着具を設け、前記止着具を止着する前記止め穴の選択により、上側基板31の上下位置が変更されるようにすればよい。
さらに、他の具体的手段としては、ボールねじを用いた機構等により上側基板31の上下位置を無段階で調整可能にすることも可能である。
【0042】
上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、上向き溝部21aと下側被当接部22とを一体的に構成したが、これら上向き溝部21aと下側被当接部22は、分離した別部品として構成することも可能である。
同様に、上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、下向き溝部31a及び懐部31bと上側被当接部32とを一体的に構成したが、これら下向き溝部31a及び懐部31bと上側被当接部32とは、分離した別部品として構成することも可能である。
【0043】
上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、下向き溝部31aの手前側の内壁面31a1に弾性片31a11を設け、上向き溝部21aの手前側の内壁面21a1にも弾性片21a11を設けたが、これら弾性片31a11と弾性片21a11は、その一方又は双方を省くことが可能である。
【0044】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
開口を上方へ向けた上向き溝部を有する下側係合部と、この下側係合部の上方で前記上向き溝部に対向する下向き溝部を有する上側係合部とを備え、前記下向き溝部の溝深さを前記上向き溝部の溝深さよりも大きくし、横幅方向を上下に向けた止水板の上端側が前記下向き溝部に嵌め合わせられた後に、同止水板の下端側が前記上向き溝部に嵌め合わせられるようにしたことを特徴とする止水板収納構造。
(2)
前記上向き溝部と前記下向き溝部の間に、嵌め合わせられる止水板の裏面に当接されるように被当接部を設けたことを特徴とする(1)に記載の止水板収納構造。
(3)
前記上側係合部には、前記被当接部よりも上側において前記下向き溝部から奥側へ連続する空間であって、且つ横幅方向を上下に向けた止水板の上端側を斜め上方に挿入可能な空間である懐部が設けられていることを特徴とする(2)に記載の止水板収納構造。
(4)
前記被当接部は、前記止水板の裏面に当接されて弾性的に収縮することを特徴とする(2)または(3)に記載の止水板収納構造。
(5)
前記被当接部は、前記上側係合部又は前記下側係合部に一体的に設けられていることを特徴とする(2)~(4)いずれかに記載の止水板収納構造。
(6)
前記被当接部は、上下方向に間隔を置いた上側被当接部と下側被当接部であり、前記止水板の裏面上部側が、前記上側被当接部に接触又は近接するとともに、前記下向き溝部の手前側の内壁面に接触又は近接し、同止水板の裏面下部側が、前記下側被当接部に接触又は近接するとともに、前記上向き溝部の手前側の内壁面に接触又は近接するようにしたことを特徴とする(2)~(5)いずれかに記載の止水板収納構造。
(7)
前記下向き溝部の手前側の内壁面と、前記上向き溝部の手前側の内壁面とのうち、何れか一方又は双方に、前記止水板を弾性的に受ける弾性片を設けたことを特徴とする(6)に記載の止水板収納構造。
(8)
前記下側係合部及び前記上側係合部の横幅方向の寸法を、嵌め合わせられる前記止水板の止水高さ方向の全長よりも短くし、嵌め合わせられる前記止水板における止水高さ方向の一端側と他端側が、前記下側係合部及び前記上側係合部の側方へ突出するようにしたことを特徴とする(1)~(7)いずれかに記載の止水板収納構造。
(9)
横幅方向を上下に向けた前記止水板の下端には、その左端側と右端側で下方側の不動面に当接するように、足部が突設されていることを特徴とする(1)~(8)に記載の止水板収納構造。
(10)
前記止水板には、止水高さ方向の一端側に、搬送する際に手で把持することが可能な手掛け部が設けられ、その他端側に、下方側不動面に圧接させるためのパッキンが設けられ、前記止水板が前記下側係合部と前記上側係合部の間に嵌め合わせられた状態で、前記手掛け部と前記パッキンがそれぞれ左右方向の一方と他方に突出して露出するようにしたことを特徴とする(1)~(9)いずれかに記載の止水板収納構造。
(11)
前記上側係合部が上下位置変更可能に設けられていることを特徴とする(1)~(10)のいずれかに記載の止水板収納構造。
【符号の説明】
【0046】
1:止水板収納構造
10:止水板
11:本体板部
16:足部
17:手掛け部
20:下側係合部
21:下側基板
21a:上向き溝部
22:下側被当接部
30:上側係合部
31:上側基板
31a:下向き溝部
32:上側被当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6