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  • 特開-DCDCコンバータ制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123913
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】DCDCコンバータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20240905BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01R19/165 L
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031723
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】椎名 美臣
【テーマコード(参考)】
2G035
5H730
【Fターム(参考)】
2G035AB01
2G035AC02
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD20
2G035AD54
5H730AA13
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730DD04
5H730DD13
5H730DD16
5H730EE13
5H730FD41
5H730XX04
5H730XX15
5H730XX26
5H730XX35
(57)【要約】
【課題】回路にダメージを与えることなく、過電流検出回路の検査をすること可能なDCDCコンバータを提供する。
【解決手段】ハイサイドスイッチと、ハイサイドスイッチと並列に接続されたIV変換素子及び電流検出トランジスタと、ローサイドスイッチと、過電流検出回路と、第一の出力端子からハイサイドスイッチに第一の信号を出力し、第二の出力端子からローサイドスイッチに第二の信号を出力し、第三の出力端子から電流検出トランジスタに第三の信号を出力する制御回路を備え、ハイサイドスイッチに過電流を流すことなくIV変換素子に可変電流を流すことで過電流検出回路の検査を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流検出回路を備えたDCDCコンバータ制御装置であって、
電源端子と出力端子の間に接続されたハイサイドスイッチと、
前記ハイサイドスイッチと並列に接続されたIV変換素子及び電流検出トランジスタと、
前記出力端子と接地端子の間に接続されたローサイドスイッチと、
前記IV変換素子の両端の電圧に基づいて出力端子に流れる電流を検出し、検出信号を出力する過電流検出回路と、
前記検出信号が入力され、第一の出力端子から前記ハイサイドスイッチに第一の信号を出力し、第二の出力端子から前記ローサイドスイッチに第二の信号を出力し、第三の出力端子から前記電流検出トランジスタに第三の信号を出力する制御回路と、
前記IV変換素子と前記電流検出トランジスタの接続点に接続されたテスト端子と、を備え
前記電流検出トランジスタをオフに制御し、前記テスト端子に可変電流を流すことによって過電流検出回路の検査を行うことを特徴とするDCDCコンバータ制御装置。
【請求項2】
前記出力端子にプルダウン抵抗を接続して、前記ハイサイドスイッチをオンオフ制御して過電流検出信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のDCDCコンバータ制御装置。
【請求項3】
前記出力端子にプルアップ抵抗を接続して、前記ローサイドスイッチをオンオフ制御して過電流検出信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のDCDCコンバータ制御装置。
【請求項4】
過電流検出回路を備えたDCDCコンバータ制御装置であって、
電源端子と出力端子の間に接続されたハイサイドスイッチと、
前記ハイサイドスイッチと並列に接続されたIV変換素子及び電流検出トランジスタと、
前記出力端子と接地端子の間に接続されたローサイドスイッチと、
前記IV変換素子の両端の電圧に基づいて出力端子に流れる電流を検出し、検出信号を出力する過電流検出回路と、
入力される前記検出信号を基準電圧と比較するコンパレータを備え、第一の出力端子から前記ハイサイドスイッチに第一の信号を出力し、第二の出力端子から前記ローサイドスイッチに第二の信号を出力し、第三の出力端子から前記電流検出トランジスタに第三の信号を出力する制御回路と、
前記コンパレータの出力端子に接続されたテスト端子と、を備え
前記ハイサイドスイッチ及び前記ローサイドスイッチをオフに制御し、前記電流検出トランジスタをオンに制御し、前記出力端子に可変電流を流すことによって過電流検出回路の検査を行うことを特徴とするDCDCコンバータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流検出回路を備えたDCDCコンバータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DCDCコンバータのハイサイドスイッチに流れる電流を検出する過電流検出回路は、過電流保護のために通常の動作電流より大電流を検出することが要求されている。
【0003】
図5は、従来の過電流検出回路を備えたDCDCコンバータを示す回路図である。
制御回路5は、信号φ1でハイサイドスイッチであるPMOSトランジスタMP1と電流検出トランジスタであるPMOSトランジスタMP2を同時にオンオフして、信号φ2でNMOSトランジスタMN1をオンオフする。過電流検出回路4は、PMOSトランジスタMP1に流れる電流に比例したセンス電流をPMOSトランジスタMP2が流すことによって抵抗R1に発生した電圧をオペアンプで測定し、制御回路5に検出信号を出力する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-92305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DCDCコンバータの過電流を検出する過電流検出回路は、通常時の出力電流よりも大きな電流を検出する必要がある。過電流検出は、保護機能のため確実に動作することや、所望の検出電流値となっていることを担保したいが、検査工程で通常時の出力電流よりも大きな過電流を流すと、DCDCコンバータにダメージを与える可能性があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為され、DCDCコンバータにダメージを与えることなく、過電流を検出する過電流検出回路の検査をすることが出来るDCDCコンバータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のDCDCコンバータ制御装置は、ハイサイドスイッチと、ハイサイドスイッチと並列に接続されたIV変換素子及び電流検出トランジスタと、ローサイドスイッチと、IV変換素子の両端の電圧に基づいて出力端子に流れる電流を検出し検出信号を出力する過電流検出回路と、検出信号が入力され、第一の出力端子からハイサイドスイッチに第一の信号を出力し、第二の出力端子からローサイドスイッチに第二の信号を出力し、第三の出力端子から電流検出トランジスタに第三の信号を出力する制御回路と、を備え、ハイサイドスイッチに過電流を流すことなく、IV変換素子に可変電流を流すことで過電流検出回路の検査を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の過電流検出回路を備えたDCDCコンバータ制御装置によれば、ハイサイドスイッチをオフしたまま過電流検出回路の検査をすることが出来るため、検査工程でDCDCコンバータにダメージを与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のDCDCコンバータ制御装置を示すブロック図である。
図2図1のDCDCコンバータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図3】本実施形態のDCDCコンバータ制御装置の他の例を示すブロック図である。
図4図3のDCDCコンバータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5】従来のDCDCコンバータを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態のDCDCコンバータ制御装置について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のDCDCコンバータ制御装置100を示すブロック図である。
図1のDCDCコンバータ制御装置100は、電源端子1と、接地端子2と、出力端子SWと、テスト端子CSと、ハイサイドスイッチであるPMOSトランジスタMP1と、ローサイドスイッチであるNMOSトランジスタMN1と、電流検出トランジスタであるPMOSトランジスタMP2と、IV変換素子である抵抗R1と、過電流検出回路40と、制御回路50を備えている。過電流検出回路40は、アンプ41と、PMOSトランジスタ42と、抵抗R2、R3、R4を備えている。
【0012】
PMOSトランジスタMP1は、ソースが電源端子1に接続され、ドレインが出力端子SWに接続されてる。NMOSトランジスタMN1は、ソースが接地端子2に接続され、ドレインが出力端子SWに接続されてる。抵抗R1とPMOSトランジスタMP2は、PMOSトランジスタMP1と並列に接続されている。アンプ41は、反転入力端子が抵抗R2を介して抵抗R1の一端に接続され、非反転入力端子が抵抗R3を介して抵抗R1の他端に接続されている。PMOSトランジスタ42は、、ソースがアンプ41の反転入力端子に接続され、ゲートがアンプ41の出力端子に接続され、ドレインが抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は、接地端子2に接続されている。制御回路50は、入力端子に抵抗R4の一端が接続され、第一の出力端子がPMOSトランジスタMP1のゲートに接続され、第二の出力端子がNMOSトランジスタMN1のゲートに接続され、第三の出力端子がPMOSトランジスタMP2のゲートに接続されている。テスト端子CSは、抵抗R1の他端が接続されている。
【0013】
制御回路50は、入力端子に抵抗R4の一端に発生する電圧V1を入力して、第一の出力端子から信号φ1を、第二の出力端子から信号φ2を、第三の出力端子から信号φ3を出力する。制御回路50の他の入力信号や出力信号、DCDCコンバータ制御装置としての他の回路などは、説明の簡略化のため省略する。
【0014】
また、PMOSトランジスタMP2は、通常動作において、PMOSトランジスタMP1が流す出力電流に比例した微小な電流(センス電流)流す。そのため、PMOSトランジスタMP2は、PMOSトランジスタMP1よりも例えばゲート幅を小さく設計している。
【0015】
上述のように構成されたDCDCコンバータ制御装置100は、以下のように動作して過電流検出回路の検査を行う。ここで、過電流検出回路の検査では、テスト端子CSに可変電流ITを流す電流源が接続される。また、出力端子SWは、プルダウン用の抵抗RTが接続され、検出信号の出力端子を兼ねる。
【0016】
図2は、図1のDCDCコンバータ制御装置100の動作を示すタイミングチャートである。
【0017】
初期状態として、制御回路50は、信号φ1をLo、信号φ2をLo、信号φ3をHiにする。従って、PMOSトランジスタMP1はオン、NMOSトランジスタMN1はオフ、PMOSトランジスタMP2はオフする。出力端子SWは、PMOSトランジスタMP1によって電源端子1にプルアップされ、Hiを出力している。
【0018】
この状態で、テスト端子CSに接続された電流源が可変電流ITを0から徐々に大きくなるように流す。抵抗R1は、電源端子1からテスト端子CSに可変電流ITが流れるため、両端の電圧が徐々に大きくなる。抵抗R1の両端の電圧が徐々に大きくなると、アンプ41の出力電圧が徐々に下がる。このため、抵抗R4に流れる電流が大きくなり、電圧V1は徐々に大きくなる。
【0019】
制御回路50は、入力される電圧V1が図示しない基準電圧VREFを超えると、即ち過電流を検出すると、信号φ1をHiにしてPMOSトランジスタMP1をオフする。出力端子SWは、PMOSトランジスタMP1がオフするので、抵抗RTによって接地端子2にプルダウンされ、Loを出力する。
【0020】
この時、抵抗R1に流れる可変電流ITは、PMOSトランジスタMP1に流れる電流に比例した微小な電流である。このため、DCDCコンバータ制御装置100は、内部に大きな電流が流れることはない。
【0021】
以上説明したように、過電流検出回路の検査は、PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2がオフした状態で、抵抗R1に微小な可変電流ITを流すことによって行うことが出来る。従って、DCDCコンバータ制御装置100は、ハイサイドスイッチに過電流を流すことなく、過電流検出回路の検査を行うことが出来るため、ダメージを受けることはない。
【0022】
図3は、本実施形態のDCDCコンバータ制御装置200の他の例を示すブロック図である。
【0023】
図3のDCDCコンバータ制御装置200は、電源端子1と、接地端子2と、出力端子SWと、テスト端子Tと、ハイサイドスイッチであるPMOSトランジスタMP1と、ローサイドスイッチであるNMOSトランジスタMN1と、電流検出トランジスタであるPMOSトランジスタMP2と、IV変換素子である抵抗R1と、過電流検出回路40と、制御回路50を備えている。過電流検出回路40は、アンプ41と、PMOSトランジスタ42と、抵抗R2、R3、R4を備えている。制御回路50は、コンパレータ51と、基準電圧回路52を備えている。
【0024】
PMOSトランジスタMP1は、ソースが電源端子1に接続され、ドレインが出力端子SWに接続されてる。NMOSトランジスタMN1は、ソースが接地端子2に接続され、ドレインが出力端子SWに接続されてる。PMOSトランジスタMP2と抵抗R1は、PMOSトランジスタMP1と並列に接続されている。アンプ41は、反転入力端子が抵抗R2を介して抵抗R1の一端に接続され、非反転入力端子が抵抗R3を介して抵抗R1の他端に接続されている。PMOSトランジスタ42は、、ソースがアンプ41の反転入力端子に接続され、ゲートがアンプ41の出力端子に接続され、ドレインが抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は、接地端子2に接続されている。
【0025】
制御回路50は、入力端子を介してコンパレータ51の非反転入力端子に抵抗R4の一端が接続され、第一の出力端子がPMOSトランジスタMP1のゲートに接続され、第二の出力端子がNMOSトランジスタMN1のゲートに接続され、第三の出力端子がPMOSトランジスタMP2のゲートに接続されている。コンパレータ51は、反転入力端子に基準電圧回路52の出力端子が接続され、出力端子がテスト端子Tに接続されている。制御回路50の他の入力信号や出力信号、DCDCコンバータ制御装置としての他の回路などは、説明の簡略化のため省略する。
【0026】
上述のように構成されたDCDCコンバータ制御装置200は、以下のように動作して過電流検出回路の検査を行う。ここで、過電流検出回路の検査では、出力端子SWに可変電流ITを流す電流源が接続される。また、テスト端子Tは、過電流検出信号V2を出力する。
【0027】
図4は、図3のDCDCコンバータ制御装置200の動作を示すタイミングチャートである。
【0028】
初期状態として、制御回路50は、信号φ1をHi、信号φ2をLo、信号φ3をLoにする。従って、PMOSトランジスタMP1はオフ、NMOSトランジスタMN1はオフ、PMOSトランジスタMP2はオンする。可変電流ITは流れていないため、抵抗R1の両端には電圧が発生していない。従って、抵抗R4の一端の電圧V1は基準電圧回路52の基準電圧VREFより低く、テスト端子Tの過電流検出信号V2はコンパレータ51の出力であるLoになっている。
【0029】
この状態で、出力端子SWに接続された電流源が可変電流ITを0から徐々に大きくなるように流す。PMOSトランジスタMP2がオンしているため、抵抗R1は、電源端子1から出力端子SWに可変電流ITが流れ、両端の電圧が徐々に大きくなる。抵抗R1の両端の電圧が徐々に大きくなると、アンプ41の出力電圧が徐々に下がる。このため、抵抗R4に流れる電流が大きくなり、電圧V1は徐々に大きくなる。
【0030】
制御回路50は、電圧V1が基準電圧回路52の基準電圧VREFを超えると、即ち過電流を検出すると、コンパレータ51はHiを出力する。従って、テスト端子Tの過電流検出信号V2は、Hiになる。
【0031】
この時、抵抗R1に流れる可変電流ITは、PMOSトランジスタMP1に流れる電流に比例した微小な電流である。このため、DCDCコンバータ制御装置200は、PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2に大きな電流が流れることはない。
【0032】
以上説明したように、過電流検出回路の検査は、PMOSトランジスタMP1がオフした状態で、抵抗R1に微小な可変電流ITを流すことによって行うことが出来る。従って、DCDCコンバータ制御装置200は、ハイサイドスイッチに過電流を流すことなく、過電流検出回路の検査を行うことが出来るため、ダメージを受けることはない。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、過電流検出回路40は、抵抗R1の電圧に基づいて過電流検出すれば良く、実施形態の回路に限定されない。また、抵抗R1は、IV変換素子であれば良く、これに限定されない。また例えば、図1において出力端子にプルダウン抵抗RTを接続したが、プルアップ抵抗を接続してローサイドスイッチをオンオフしても良い。その他の論理も、実施形態の説明に限定されることなく、変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
MP1 PMOSトランジスタ(ハイサイドスイッチ)
MP2 PMOSトランジスタ(電流検出トランジスタ)
MN1 NMOSトランジスタ(ローサイドスイッチ)
R1 抵抗(IV変換素子)
40 過電流検出回路
50 制御回路
51 コンパレータ
52 基準電圧回路
100、200 DCDCコンバータ制御装置
図1
図2
図3
図4
図5