(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123921
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】米粉含有パン用添加剤、米粉含有パン、および米粉含有パンの作製方法
(51)【国際特許分類】
A21D 2/36 20060101AFI20240905BHJP
A21D 13/066 20170101ALI20240905BHJP
【FI】
A21D2/36
A21D13/066
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031744
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅根 伸悟
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB02
4B032DG08
4B032DK03
4B032DK12
4B032DK18
4B032DK29
4B032DK55
(57)【要約】
【課題】加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができる米粉含有パン用添加剤、その米粉含有パン用添加剤を含む米粉含有パン、および米粉含有パンの作製方法を提供する。
【解決手段】チアシード粉末を含有する米粉含有パン用添加剤、その米粉含有パン用添加剤を含む米粉含有パン、および米粉含有パンの作製方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チアシード粉末を含有することを特徴とする米粉含有パン用添加剤。
【請求項2】
請求項1に記載の米粉含有パン用添加剤であって、
前記チアシード粉末の体積平均粒径は、10.0μm~1500μmの範囲であることを特徴とする米粉含有パン用添加剤。
【請求項3】
チアシード粉末と、米粉と、を含有することを特徴とする米粉含有パン。
【請求項4】
請求項3に記載の米粉含有パンであって、
前記チアシード粉末の体積平均粒径は、10.0μm~1500μmの範囲であることを特徴とする米粉含有パン。
【請求項5】
チアシード粉末と、米粉と、を用いることを特徴とする米粉含有パンの作製方法。
【請求項6】
請求項5に記載の米粉含有パンの作製方法であって、
前記チアシード粉末の体積平均粒径は、10.0μm~1500μmの範囲であることを特徴とする米粉含有パンの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉含有パン用添加剤、その米粉含有パン用添加剤を含む米粉含有パン、および米粉含有パンの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルゲンフリーや食料自給率向上等の観点から、米粉を使用した米粉含有パンの需要が近年、高まっている。以前から米粉含有パンは流通しているが、パン生地の加工適性が悪かったり、パンが膨らみにくかったり、食感や風味がパンらしくなかったりと、いろいろな課題を抱えている。
【0003】
これらを解決するために、米粉含有パンに小麦グルテンを使用することがあるが、この場合、パンにはアレルゲンが含まれるため、別の問題が発生する。
【0004】
また、別の解決策として、米粉含有パンにヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤(特許文献1参照)やプロテアーゼ等の酵素(特許文献2参照)等を使用する方法があるが、これらは食品添加物であるため、使用が忌避される場合もある。
【0005】
小麦グルテンや食品添加物を使用する以外の解決策としては、粒子径や比表面積(特許文献3参照)、澱粉損傷度(特許文献4参照)等を限定した、特殊な米粉を使用する方法もあるが、特殊な米粉を使用する必要がある点に制約がある。
【0006】
その他にも、主として通常の米粉を使用する場合に、混捏後の生地の物性を制限する方法(特許文献5参照)等があるが、工程上の制約がある。
【0007】
このように、品質の良い米粉パンを作製するために、様々な方法が検討されているが、加工適性、米粉パンの品質、製造効率等に課題が残されている。特にこれらを全て満たすような米粉含有パンの作製方法が求められている。
【0008】
一方、ソバ、アマランサス、キヌア、キビ、エンバクのうちの1種以上の穀類とチアシードとを含むパンが報告されている(特許文献6参照)。特許文献6では、イースト菌およびベーキングパウダーを使用しない特殊な製法が用いられている。
【0009】
特許文献7,8には、チアシード粉末をケーキ類に使用することが記載されているが、チアシードによって栄養価を補う、または高めることを目的として使用していると考えられ、外観、食感、風味の改良については言及がない。特許文献7では、粒径が0.01~1.0mmの高野豆腐を必須成分とすることによってソフト感の良い食感を得ており(実施例、比較例参照)、アレルゲンを含む、にがり等の凝固剤が使用されているという問題点がある。特許文献8では、ミルクタンパク質成分を必須成分とすることによって卵代替品とすることを目的としているが、アレルゲンを含むという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4651641号公報
【特許文献2】特許第6083730号公報
【特許文献3】特許第5951319号公報
【特許文献4】特許第6779536号公報
【特許文献5】特許第5769053号公報
【特許文献6】特許第5834160号公報
【特許文献7】特開2016-077184号公報
【特許文献8】特開2022-530422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができる米粉含有パン用添加剤、その米粉含有パン用添加剤を含む米粉含有パン、および米粉含有パンの作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、チアシード粉末を含有する、米粉含有パン用添加剤である。
【0013】
前記米粉含有パン用添加剤において、前記チアシード粉末の体積平均粒径は、10.0μm~1500μmの範囲であることが好ましい。
【0014】
本発明は、チアシード粉末と、米粉と、を含有する、米粉含有パンである。
【0015】
前記米粉含有パンにおいて、前記チアシード粉末の体積平均粒径は、10.0μm~1500μmの範囲であることが好ましい。
【0016】
本発明は、チアシード粉末と、米粉と、を用いる、米粉含有パンの作製方法である。
【0017】
前記米粉含有パンの作製方法において、前記チアシード粉末の体積平均粒径は、10.0μm~1500μmの範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができる米粉含有パン用添加剤、その米粉含有パン用添加剤を含む米粉含有パン、および米粉含有パンの作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0020】
<米粉含有パン用添加剤>
本実施形態に係る米粉含有パン用添加剤は、チアシード粉末を含有する。本実施形態に係る米粉含有パン用添加剤は、チアシード粉末を含有する、米粉含有パンの膨らみ、食感、風味改善用の添加剤である。本実施形態に係る米粉含有パン用添加剤は、チアシード粉末を含有する、米粉含有パンの加工適性、膨らみ、食感、風味改善用の添加剤である。
【0021】
本発明者らは、米粉含有パン用添加剤としてチアシード粉末を用いて検討した結果、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができることを見出した。チアシード粉末を含む米粉含有パン用添加剤を用いることによって、特許文献1,2のような使用が忌避される食品添加物を使用しなくても、特許文献3,4のような特殊な米粉を使用しなくても、また、特許文献5,6のような特殊な製法、工程を使用しなくても、加工適性や品質の良い米粉含有パンを作製することができる。このようにして得られる米粉含有パンは、アレルゲンフリーである。
【0022】
チアシードは、シソ科サルビア属に分類される植物であるチアの種子であり、チアシード粉末は、それを粉末化したものである。用いるチアシード粉末としては、チアシードを粉末状にしたものであればよく特に制限はない。
【0023】
本実施形態で用いるチアシード粉末は、通常の粒状のチアシードよりも脂質の含有量が低く、たんぱく質の含有量が高いものであることが好ましい。特許文献6では、イースト等を使用しない特殊な製法が用いられており、かつ、粉末状ではない粒状のチアシードを使用していると推測される。
【0024】
チアシード粉末の脂質の含有量は、例えば、40.0質量%以下であり、15.0質量%以下であることが好ましい。チアシード粉末の脂質の含有量が40.0質量%を超えると、流動性が悪かったり、劣化が早かったりする場合がある。チアシード粉末の脂質の含有量の下限は、特に制限はないが、例えば、5.0質量%である。なお、通常の粒状のチアシードの脂質の含有量は、例えば、5.0質量%~40.0質量%の範囲である。
【0025】
チアシード粉末のたん白質の含有量は、例えば、10.0質量%以上であり、40.0質量%以上であることが好ましい。チアシード粉末のたん白質の含有量10.0が10.0質量%未満であると、風味や食感の改良効果が低い場合がある。チアシード粉末のたん白質の含有量の上限は、特に制限はないが、例えば、80.0質量%である。なお、通常の粒状のチアシードのたん白質の含有量は、例えば、10.0質量%~80.0質量%の範囲である。
【0026】
チアシード粉末の体積平均粒径は、例えば、10.0μm~1500μmの範囲であり、20.0μm~700μmの範囲であることが好ましく、25.0μm~200μmの範囲であることがより好ましい。チアシード粉末の体積平均粒径が10.0μm未満であると、製造適性が悪い場合があり、1500μmを超えると、改良効果が得られない場合がある。なお、通常の粒状のチアシードの体積平均粒径は、例えば、10.0μm~3000μmの範囲である。
【0027】
本実施形態に係る米粉含有パン用添加剤は、チアシード粉末の他に、増粘多糖類、加工デンプン、食物繊維、酵素等の一般的に米粉パンに用いられる他の成分を含んでもよい。
【0028】
他の成分の含有量は、例えば、チアシード粉末100質量%に対して、例えば、1質量%~100質量%の範囲であり、10質量%~50質量%の範囲であることが好ましい。
【0029】
本実施形態に係る米粉含有パン用添加剤は、粉末の形態である。
【0030】
<米粉含有パン>
本実施形態に係る米粉含有パンは、上記米粉含有パン用添加剤と、米粉と、を含有する米粉含有パンである。また、本実施形態に係る米粉含有パンは、チアシード粉末と、米粉と、を含有する米粉含有パンである。
【0031】
米粉含有パンとしては、米粉を含むパンであればよく、特に制限はない。米粉含有パンとしては、食パン、フランスパン、菓子パン、テーブルロール、クロワッサン、デニッシュ、蒸しパン、ベーグル、ホットケーキ等が挙げられる。
【0032】
米粉としては、米を粉にしたものであればよく、特に制限はないが、例えば、うるち米粉、もち米粉等が挙げられる。米粉は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
米粉含有パンは、米粉の他に、小麦、大麦、ライ麦等の麦類、そば、とうもろこし、豆類、芋類、木の実等の穀物を粉にした穀粉等を含んでもよい。米粉以外の穀粉としては、特に制限はないが、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、そば粉、片栗粉、とうもろこし粉、大豆粉等が挙げられる。米粉以外の穀粉は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。米粉以外の穀粉としては、一般的に小麦粉が用いられる。
【0034】
小麦粉としては、小麦を粉にしたものであればよく、特に制限はないが、例えば、普通小麦から得られる薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、超強力粉等の普通小麦粉、加熱処理等を施した加工小麦粉や、デュラム小麦から得られるデュラム粉、デュラムセモリナ等が挙げられる。小麦粉は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
米粉含有パン中のチアシード粉末の含有量は、米粉の質量に対して、例えば、5.0質量%~100質量%の範囲であり、好ましくは10.0質量%~70.0質量%の範囲である。米粉含有パン中のチアシード粉末の含有量が、米粉の質量に対して5.0質量%未満であると、効果が得られない場合があり、100質量%を超えると、加工適性や風味、食感に悪影響を与える場合がある。
【0036】
米粉含有パン中の米粉の含有量は、米粉含有パン全体の質量に対して、例えば、10質量%~70質量%の範囲であり、好ましくは20質量%~65質量%の範囲である。米粉含有パン中の米粉の含有量が、米粉含有パン全体の質量に対して10質量%未満であると、パン生地やパンがやわらかくなり過ぎる場合があり、70質量%を超えると、パン生地やパンが硬くなり過ぎる場合がある。
【0037】
米粉以外の穀粉を用いる場合、米粉含有パン中の米粉以外の穀粉の含有量は、米粉の質量に対して、例えば、1000質量%以下であり、好ましくは100質量%以下である。米粉含有パン中の米粉以外の穀粉の含有量が、米粉の質量に対して1000質量%を超えると、加工適性や食感に悪影響を与える場合がある。
【0038】
米粉含有パンは、例えば、米粉、米粉以外の穀粉、チアシード粉末の他に、例えば、イースト、卵成分、乳成分、塩類、糖類、油脂、乳化剤、ビタミンC、酵素等の一般的に米粉含有パンに用いられる他の成分を含んでもよい。米粉含有パンは、卵成分等の動物性原料を含まなくてもよい。
【0039】
米粉含有パンにおいて、その他の成分の配合量は、各種米粉含有パンの製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0040】
イーストとしては、特に制限はなく、例えば、ドライイースト、生イースト、インスタントドライイースト等が挙げられる。イーストは、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。イーストの含有量は、特に制限はなく、例えば、米粉の質量に対して、0.05質量%~30質量%の範囲である。
【0041】
卵成分としては、卵黄、卵白、全卵、乾燥卵白等が挙げられる。卵成分は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。卵成分の含有量は、特に制限はなく、例えば、米粉の質量に対して、10質量%~100質量%の範囲である。動物性原料を用いないという点では、卵成分を用いない方が好ましい。
【0042】
乳成分としては、牛乳、脱脂粉乳、豆乳等が挙げられる。乳成分は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。乳成分の含有量は、特に制限はなく、例えば、米粉の質量に対して、30質量%~150質量%の範囲である。動物性原料を用いないという点では、乳成分を用いる場合は、豆乳を用いることが好ましい。
【0043】
塩類としては、食塩、有機酸塩、無機塩等が挙げられる。塩類は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩類の含有量は、特に制限はなく、例えば、米粉の質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲である。
【0044】
糖類としては、砂糖、麦芽糖、トレハロース、デキストリン等が挙げられる。糖類は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。糖類の含有量は、特に制限はなく、例えば、米粉の質量に対して、0.1質量%~30質量%の範囲である。
【0045】
油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング等が挙げられる。油脂は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。油脂の含有量は、特に制限はなく、例えば、米粉の質量に対して、0.1~10質量%の範囲である。
【0046】
本実施形態に係る米粉含有パンは、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好なパンである。
【0047】
<米粉含有パンの作製方法>
本実施形態に係る米粉含有パンの作製方法は、上記米粉含有パン用添加剤と、米粉と、を用いる方法である。本実施形態に係る米粉含有パンの作製方法は、チアシード粉末と、米粉と、を用いる方法である。パンの作製方法は、各種パンの製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0048】
例えば、米粉含有パンは、例えば、米粉と、必要に応じて米粉以外の穀粉と、チアシード粉末と、水と、イースト(酵母)と、卵成分、乳成分、塩類、糖類、油脂等の通常パンの製造で使用される成分と、を混合し、混捏することによって米粉パン用生地を作製し、所定の温度、時間で、焼成装置で焼成することによって作製すればよい。
【0049】
例えば、米粉含有ホットケーキは、例えば、牛乳、豆乳等の乳製品と、必要に応じて卵とを混合したものに、米粉と、必要に応じて米粉以外の穀粉と、チアシード粉末と、を含むホットケーキミックスを加え、混合してホットケーキ用生地を作製し、所定の温度、時間で、焼成装置で焼成することによって作製すればよい。
【0050】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0051】
本実施形態に係る米粉含有パンの作製方法によって、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができる。本実施形態に係る米粉含有パンの作製方法によって、卵成分等の動物性原料を用いなくても、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができる。
【実施例0052】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
<実施例1~5、比較例1,2>
[米粉含有食パンの作製]
表2に示す配合比(質量部)で、下記方法で米粉含有食パンを作製した。比較例1では、チアシードを用いず、比較例2では、チアシードとして市販の粒状のチアシードを用い、実施例5では、その粒状のチアシードを乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、粉末化したチアシード粉末Cを用いた。実施例1~4では、市販のチアシード粉末Aおよびチアシード粉末Bを用いた。
【0054】
用いた粒状チアシード、チアシード粉末A~Cの体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー)を用いて、粒子の粒度分布を測定し、体積平均粒子径を求めた。粒状チアシードは粒径が大きく、レーザー回析式粒度分布測定装置の適性範囲外であったため、ノギスを用いて測定した結果を参考値とした。結果を表1に示す。粒状チアシード、チアシード粉末A~Cの脂質およびたん白質の含有量は、食品包装に記載された表示および製品の規格書を参照した。結果を表1に示す。
【0055】
(米粉含有食パンの作製方法)
(1)表2に示す組成で各原料を混合し、ホームベーカリーの米粉パンモードで製パンした。
(2)室温(25℃)で4時間放冷して、米粉含有食パンを得た。
【0056】
[評価方法]
(体積測定)
焼成、放冷後の米粉含有食パンの体積(cc)を、レーザー体積計(SMS社製、Volscan Profiler 300)を用いて測定した。結果を表3に示す。
【0057】
(物性測定)
体積測定後の米粉含有食パンを厚さ20mmにスライスした。クリープメータ(山電社製、RHEONER II CREEP METER RE2-33005C)を用いて、20mmプランジャー、1mm/sec、歪率66.67%の条件で、かたさ(Pa)および復元性(凝集性)の測定を行った。結果を表3に示す。
【0058】
(官能評価)
スライスした米粉含有食パンについて、外観(形状、色)、風味、食感を下記基準で評価した。官能評価は、7名のパネラーによる評価の平均値である。結果を表3に示す。
【0059】
<官能評価基準>
(外観)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
(風味)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
(食感)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
実施例1~5の米粉含有食パンは、外観(形状、色)、風味、食感ともに良好であった。チアシードを用いない比較例1、粒状のチアシードを用いた比較例2の米粉含有食パンは、外観(形状、色)、風味、食感ともに実施例1~5の米粉含有食パンに比べて劣っていた。実施例1の米粉含有食パンは、比較例1、比較例2の米粉含有食パンに比べて、膨らみが良好であった。また、実施例1~5の米粉含有食パンは、比較例1、比較例2の米粉含有食パンに比べて、加工適性が良好であることが推測された。
【0064】
<実施例6~8、比較例3~6>
[米粉含有ホットケーキの作製]
表4に示す配合比(質量部)で、下記方法で米粉含有ホットケーキを作製した。外観(形状、色)、風味、食感を下記基準で評価した。官能評価は、7名のパネラーによる評価の平均値である。結果を表5に示す。
【0065】
(米粉含有ホットケーキの作製方法)
(1)豆乳と、卵を含む場合は卵を混合し、ホットケーキミックス、チアシードを含む場合はチアシードを加えてホイッパーで100回混合した。
(2)生地80gをホットプレートに流し入れ、150℃で約4分間焼成し、反転して約4分間焼成した。
(3)約4時間放熱後、厚さを測定し、官能評価を行った。
【0066】
<官能評価基準>
(外観)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
(風味)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
(食感)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
【0067】
【0068】
【0069】
実施例6~8の米粉含有ホットケーキは、外観(形状、色)、風味、食感ともに良好であった。チアシードを用いない比較例4、粒状のチアシードを用いた比較例5,6の米粉含有ホットケーキは、外観(形状、色)、風味、食感ともに実施例6~8の米粉含有ホットケーキに比べて劣っていた。比較例3の米粉含有ホットケーキは、外観(形状、色)、風味、食感は良好であったが、卵を用いており、動物性原料を含む。実施例6~8では、チアシード粉末を用いることによって、卵等の動物性原料を用いなくても、外観(形状、色)、風味、食感ともに良好であった。また、実施例6~8の米粉含有ホットケーキは、比較例3~6の米粉含有ホットケーキに比べて、膨らみが良好であった。
【0070】
このように、チアシード粉末を使用することによって、加工適性、膨らみ、食感、風味が良好な米粉含有パンを得ることができた。