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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123931
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20240905BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
E04H6/18 606B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031763
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼我 隆之
(57)【要約】
【課題】コストダウンを図りながら、電動車両の充電作業時間及び利用者の待ち時間を短縮することができる、機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】本発明の機械式駐車装置1は、車両2を収容可能な複数の格納棚3と、車両2を載置して格納棚3に収容する複数のパレット4と、使用していないパレット4を仮置き可能な仮置き棚5と、パレットの搬送を制御する制御装置6と、を備えている。制御装置6は、一般棚32から充電棚31への電動車両21の搬送時及び充電棚31から一般棚32への電動車両21の搬送時に、パレット4を旋回させずに搬送するように構成されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を収容可能な複数の格納棚と、前記車両を載置して前記格納棚に収容する複数のパレットと、前記パレットの搬送を制御する制御装置と、を備えた機械式駐車装置であって、
前記複数の格納棚は、電動車両を充電可能な充電棚と、電動車両を充電しない一般棚と、を含み、
前記制御装置は、前記一般棚から前記充電棚への前記電動車両の搬送時及び前記充電棚から前記一般棚への前記電動車両の搬送時に、前記パレットを旋回させずに搬送するように構成されている、
ことを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電動車両の充電が完了する前に、前記充電棚と鉛直方向の同列に配置された前記一般棚のうち少なくとも一つの一般棚が空棚となるように制御するように構成されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記制御装置は、充電予定のある電動車両を前記充電棚と鉛直方向の同列の一般棚に予め収容するように構成されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記充電棚は、前記パレットの昇降路に対して片側又は両側に配置されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記充電棚は、前記パレットの昇降路に対して片側に配置されており、前記昇降路に対して反対側に配置された前記格納棚に収容される前記パレットは、充電非対応パレットである、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記充電棚の個数は、前記車両の車高によって分類された群数に基づいて設定されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
使用していないパレットを仮置き可能な仮置き棚を備えている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記仮置き棚の個数は、前記充電棚と同数に設定されている、請求項6に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
前記充電棚及び前記仮置き棚は、前記パレットの昇降路に対して片側に配置されており、前記昇降路に対して反対側に配置された前記格納棚に収容される前記パレットは、充電非対応パレットである、請求項7に記載の機械式駐車装置。
【請求項10】
前記パレットの送り装置は、前記パレットの片側のみに配置される、請求項9に記載の機械式駐車装置。
【請求項11】
前記パレットは、一つの給電端子と、両側に配置される一対の送り装置と、を備えている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関し、特に、電動車両を充電可能な機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、立体空間を効率的に利用する大規模な機械式駐車装置として、車両をパレットに載置して収容する、エレベータ方式、水平循環方式等の駐車装置が既に開発されている。
【0003】
また、近年、電気をエネルギー源とする電動モータを動力源とする電気自動車(EV:Electric Vehicle)が普及しつつある。また、電動モータの他に内燃機関(エンジン)を動力源として併せ持つハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)も普及しつつある。以下、本明細書において、「電動車両」とは、電気自動車(EV)及びハイブリッド車(HV)の両方を含むものとする。
【0004】
現在の電動車両は、外部電源から充電可能な二次電池(蓄電池)を有し、二次電池から電動モータに電気を供給して駆動させる方式が一般的である。電動車両が普及するにつれ、機械式駐車装置には複数の電動車両が駐車されることとなる。
【0005】
例えば、特許文献1等には、電動車両を充電可能な充電用駐車部を少なくとも1箇所備え、前記充電用駐車部に格納可能な充電用パレットを有し、前記充電用パレットは、前記充電用駐車部の数よりも少なくとも1枚以上多い枚数が備えられるとともに、前記充電用パレットを含む全てのパレットの総数は、前記充電用駐車部を含む全ての駐車部の総数に対し、1乃至充電用駐車部の個数分少ないことを特徴とする充電機能を備えた立体駐車設備が開示されている。
【0006】
また、特許文献1には、待機中の適切なタイミングで、入庫している充電用パレットを入れ替えて順次所定の電動車両に充電するように制御することが開示されている。以下、本明細書において、駐車装置に収容した電動車両を入れ替えながら充電することを「輪番充電」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5156583号
【特許文献2】特許第6152189号
【特許文献3】特許第5771420号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、輪番充電する際に、充電しようとする電動車両が収容された棚と充電用の棚とが鉛直方向の同列に存在しない場合には、特許文献2に記載された構造では、電動車両を搭載したパレットの向きが異なるため、一旦、パレットを乗降室まで降ろしてパレットを180°旋回させる必要があり、輪番充電の作業に時間を要することとなる。
【0009】
また、特許文献1に記載された構造では、充電側接続部や集電装置をパレットの両側に設けており、パレットの送り装置や集電装置をパレットの両側方に設けることで、コストアップにつながっていた。さらに、A側からB側にパレットを送るためには、パレットの横行機構がパレットの両側に必要になり、コストアップの要因となっていた。
【0010】
また、特許文献3には給電端子の構造が開示されているが、パレットを旋回させない場合には給電端子をパレットの両側方に設ける必要があり、コストアップの要因となっていた。
【0011】
また、パレット旋回時には乗降室を利用できないため、入出庫処理を行うことができず、待ち時間が増大することが予想される。
【0012】
本発明は係る問題点に鑑み創案されたものであり、コストダウンを図りながら、電動車両の充電作業時間及び利用者の待ち時間を短縮することができる、機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、車両を収容可能な複数の格納棚と、前記車両を載置して前記格納棚に収容する複数のパレットと、前記パレットの搬送を制御する制御装置と、を備えた機械式駐車装置であって、前記複数の格納棚は、電動車両を充電可能な充電棚と、電動車両を充電しない一般棚と、を含み、前記制御装置は、前記一般棚から前記充電棚への前記電動車両の搬送時及び前記充電棚から前記一般棚への前記電動車両の搬送時に、前記パレットを旋回させずに搬送するように構成されている、ことを特徴とする機械式駐車装置が提供される。
【0014】
前記制御装置は、前記電動車両の充電が完了する前に、前記充電棚と鉛直方向の同列に配置された前記一般棚のうち少なくとも一つの一般棚が空棚となるように制御するように構成されていてもよい。
【0015】
前記制御装置は、充電予定のある電動車両を前記充電棚と鉛直方向の同列の一般棚に予め収容するように構成されていてもよい。
【0016】
前記充電棚は、前記パレットの昇降路に対して片側又は両側に配置されていてもよい。
【0017】
前記充電棚は、前記パレットの昇降路に対して片側に配置されており、前記昇降路に対して反対側に配置された前記格納棚に収容される前記パレットは、充電非対応パレットであってもよい。
【0018】
前記充電棚の個数は、前記車両の車高によって分類された群数に基づいて設定されていてもよい。
【0019】
前記機械式駐車装置は、使用していないパレットを仮置き可能な仮置き棚を備えていてもよい。
【0020】
前記仮置き棚の個数は、前記充電棚と同数に設定されていてもよい。
【0021】
前記充電棚及び前記仮置き棚は、前記パレットの昇降路に対して片側に配置されており、前記昇降路に対して反対側に配置された前記格納棚に収容される前記パレットは、充電非対応パレットであってもよい。
【0022】
前記パレットの送り装置は、前記パレットの片側のみに配置されていてもよい。
【0023】
また、前記パレットは、一つの給電端子と、両側に配置される一対の送り装置と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0024】
上述した本発明に係る機械式駐車装置によれば、前記一般棚から前記充電棚への前記電動車両の搬送時及び前記充電棚から前記一般棚への前記電動車両の搬送時に、前記パレットを旋回させずに搬送することができ、構造の簡素化によるコストダウンを図りながら、電動車両の充電作業時間及び利用者の待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
図2】充電予定の電動車両(X)を充電棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
図3】電動車両(X)の充電中の状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
図4】充電完了の電動車両(X)を空棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
図5】充電予定の電動車両(Y)を充電棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
図6】電動車両(Y)の充電中の状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
図7】充電完了の電動車両(Y)を空棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置の変形例を示す全体構成図である。
図10】本発明の第三実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
図11】パレットの送り装置の第一例を示す概略図であり、(A)はパレットの引き込み時の状態、(B)はパレットの送り出し時の状態、を示している。
図12】パレットの送り装置の第二例を示す概略図であり、(A)はパレットの引き込み時の状態、(B)はパレットの送り出し時の状態、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図1図12(B)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
【0027】
本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置1は、図1に示したように、車両2を収容可能な複数の格納棚3と、車両2を載置して格納棚3に収容する複数のパレット4と、使用していないパレット4を仮置き可能な仮置き棚5と、パレットの搬送を制御する制御装置6と、を備えている。
【0028】
機械式駐車装置1は、例えば、エレベータ方式の駐車装置である。エレベータ方式の駐車装置は、例えば、ワイヤロープ等により建屋11の天井部から吊り下げられ、昇降装置7により昇降可能に構成されたリフト8を備えている。建屋11内には、リフト8を上下方向に昇降可能に構成された空間である昇降路10が形成されている。なお、説明の便宜上、昇降装置7とリフト8とを繋ぐワイヤの図を省略してある。
【0029】
また、機械式駐車装置1は、車両を入出庫させる空間を形成する乗降室12を備えている。乗降室12の建屋11の正面には図示しない出入口扉が配置されている。また、乗降室12に形成されたピット13には、パレット4の向きを変更する旋回装置9が設置されている。なお、旋回装置9は、リフト8と一体に構成されていてもよい。また、制御装置6は、例えば、建屋11内に配置されるが、建屋11外に配置されていてもよい。
【0030】
なお、機械式駐車装置1は、図示した構成に限定されるものではなく、車両2をパレット4に載置して搬送可能な形式であれば、くし型エレベータ方式、水平循環方式等の他の方式の駐車装置であってもよい。また、機械式駐車装置1は、契約車両のみを収容する駐車装置であってもよいし、商業施設等の利用者を収容する駐車装置であってもよい。
【0031】
車両2は、電動車両21とガソリン等の石油燃料により駆動される車両の両方を含む意味である。また、電動車両21は、電気をエネルギー源とする電動モータを動力源とする電気自動車(EV:Electric Vehicle)及び電動モータの他に内燃機関(エンジン)を動力源として併せ持つハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)の両方を含むものとする。
【0032】
また、車両2は、車高によって、乗用車N、ミドルルーフ車M及びハイルーフ車Hの三つの群に分類される。図1に示した機械式駐車装置1は、全ての車高(三つの群)の車両2を駐車可能に構成されている。電動車両21は、パレット4に載置されると手動で又は自動的に図示しない給電端子に接続される。
【0033】
パレット4は、車両2を載置する板部材である。パレット4は、リフト8と格納棚3との間で受け渡し可能に構成されている。車両2はパレット4と一緒に格納棚3に収容される。パレット4には、図示しないが、電動車両21を充電可能な給電端子が配置されている。
【0034】
例えば、給電端子は、パレット4の左側又は右側の何れか一方に配置されている。パレット4を充電棚31に格納する場合には、格納棚3に配置された充電装置14に給電端子を接続できるように、旋回装置9によりパレット4の向きが調整される。なお、給電端子は、全てのパレット4に配置されている必要はなく、電動車両21の利用量を勘案し、複数のパレット4の一部にのみ配置されていてもよい。
【0035】
格納棚3は、リフト8に載置されたパレット4を昇降させる昇降路10の両側に多段に配置されている。また、説明の便宜上、図1において、昇降路10の右側の列をA列と称し、昇降路10の左側の列をB列と称することとする。格納棚3は、建屋11内に配置された柱部材に設置された横行レールを備えている。なお、本実施形態において、説明の便宜上、横行レールの図を省略してある。
【0036】
格納棚3は、電動車両21を充電可能な充電棚31と、電動車両21を充電しない一般棚32と、を含む。また、格納棚3の上下方向の間隔は、格納する車両2の車高に応じて設定されており、乗用車N用、ミドルルーフ車M用及びハイルーフ車H用で上下方向の間隔が異なっている。
【0037】
充電棚31は、例えば、図1に示したように、乗降室12に近い下段に3個配置される。また、充電棚31は、乗用車N用の充電棚31nと、ミドルルーフ車M用の充電棚31mと、ハイルーフ車H用の充電棚31hと、をそれぞれ少なくとも1個ずつ含むように構成される。また、充電棚31は、昇降路10に対して片側のA列に集約して配置されている。
【0038】
充電棚31の個数は、車両2の車高によって分類された群数に基づいて設定されている。すなわち、本実施形態では、乗用車N・ミドルルーフ車M・ハイルーフ車Hの三つの群に分類されていることから、それぞれの群に少なくとも一つの充電棚31が配置されるように三つの充電棚31が設置されている。
【0039】
一般棚32は、例えば、図1に示したように、充電棚31と鉛直方向の同列(本実施形態ではA列)に7個配置される。また、A列の一般棚32は、乗用車N用の一般棚32nと、ミドルルーフ車M用の一般棚32mと、ハイルーフ車H用の一般棚32hと、をそれぞれ少なくとも2個ずつ含むように構成される。
【0040】
また、充電棚31が配置されていないB列には、A列の格納棚3の車高に合わせて、乗用車N用の一般棚32nと、ミドルルーフ車M用の一般棚32mと、ハイルーフ車H用の一般棚32hとが、それぞれ3個ずつ含むように配置される。
【0041】
仮置き棚5は、使用しないパレット4を一時的に格納しておく棚である。仮置き棚5は車両2を格納しない棚であり、例えば、B列の最上段に配置される。仮置き棚5は、輪番充電時に使用するものであるため、仮置き棚5の個数は、充電棚31と同数に設定されている。本実施形態では、充電棚31の個数が3個であるため、仮置き棚5の個数も3個に設定される。
【0042】
なお、仮置き棚5の配置は、図示した構成に限定されるものではなく、B列の下段や中段に配置されていてもよいし、収容台数に余裕がある場合にはA列に配置されていてもよい。
【0043】
充電棚31に配置された充電装置14は、それぞれ分電盤15を介して電源16に接続されている。分電盤15は、充電装置14に供給する電力量や充電時間等の制御を行う。図示したように、乗用車N用・ミドルルーフ車M用・ハイルーフ車H用の充電棚31を全て同じ片側(本実施形態ではA列)に配置し、各群内で最も下段に配置することにより、配線経路を短縮化及び単純化することができ、配線工事に要する工数を低減することができる。
【0044】
制御装置6は、車両2の入出庫の制御を処理する機器である。また、制御装置6は、輪番充電時にパレット4を入れ替える操作を制御する機器でもある。例えば、図1に示したように、A列の上から2段目に充電予定のある電動車両21(X)が収容され、A列の上から5段目に充電予定のある電動車両21(Y)が収容されているものとする。なお、説明の便宜上、電動車両21(X)及び電動車両21(Y)を灰色に塗り潰してある。
【0045】
制御装置6は、充電予定のある電動車両21(X)及び電動車両21(Y)を充電棚31と鉛直方向の同列(本実施形態ではA列)の一般棚32に予め収容するように構成されている。本実施形態では、電動車両21(X)及び電動車両21(Y)の両方ともハイルーフ車Hであるため、電動車両21(X)及び電動車両21(Y)は入庫時に充電棚31hを有するA列のハイルーフ車H用の一般棚32hに収容される。
【0046】
最初に、電動車両21(X)の充電処理について図2図4を参照しつつ説明する。ここで、図2は、充電予定の電動車両(X)を充電棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。図3は、電動車両(X)の充電中の状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。図4は、充電完了の電動車両(X)を空棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
【0047】
制御装置6は、電動車両21(X)の充電を開始する充電開始時間になると、リフト8を移動させて電動車両21(X)を迎えに行き、図2に示したように、電動車両21(X)を所定の充電棚31に搬送する。本実施形態では、電動車両21(X)はハイルーフ車Hであるため、電動車両21(X)はハイルーフ車H用の充電棚31hに搬送される。
【0048】
上述したように、電動車両21(X)は、入庫時に充電棚31hを有するA列の一般棚32hに収容されているため、充電時における一般棚32hから充電棚31hへの搬送に際し、電動車両21(X)を載置したパレット4を旋回させる必要がない。
【0049】
したがって、図2に矢印で示したように、電動車両21(X)を載置したパレット4を一般棚32hから充電棚31hに直接搬送することができ、乗降室12に配置された旋回装置9を経由させる必要がない。
【0050】
制御装置6は、電動車両21(X)の充電が完了する前に、充電棚31と鉛直方向の同列(本実施形態ではA列)に配置された電動車両21(X)を収容可能な一般棚32hのうち少なくとも一つを空棚33(車両2が格納されていない棚)となるように制御する。本実施形態では、図3に示したように、電動車両21(X)が収容されていた上から2段目の一般棚32hを電動車両21(X)の充電中の間、空棚33となるように制御する。
【0051】
なお、A列にハイルーフ車H用の充電棚31hが複数存在する場合には、必ずしも上から2段目の一般棚32hを空棚33に保持しておく必要はなく、他のハイルーフ車H用の一般棚32hを空棚33となるように制御してもよい。
【0052】
また、空棚33は、電動車両21(X)の充電完了時に存在していればよいため、電動車両21(X)の充電中の間に入出庫される車両2については、上から2段目の一般棚32hに格納するようにしてもよい。
【0053】
制御装置6は、電動車両21(X)の充電が完了する充電完了時間になると、リフト8を移動させて電動車両21(X)を迎えに行き、図4に示したように、電動車両21(X)を一般棚32の空棚33に搬送する。本実施形態では、電動車両21(X)は、A列の上から2段目の一般棚32hに搬送される。
【0054】
次に、電動車両21(Y)の充電処理について図5図7を参照しつつ説明する。ここで、図5は、充電予定の電動車両(Y)を充電棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。図6は、電動車両(Y)の充電中の状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。図7は、充電完了の電動車両(Y)を空棚に搬送した状態を示す機械式駐車装置の全体構成図である。
【0055】
制御装置6は、電動車両21(Y)の充電を開始する充電開始時間になると、リフト8を移動させて電動車両21(Y)を迎えに行き、図5に示したように、電動車両21(Y)を所定の充電棚31に搬送する。本実施形態では、電動車両21(Y)はハイルーフ車Hであるため、電動車両21(Y)はハイルーフ車H用の充電棚31hに搬送される。
【0056】
図1に示したように、電動車両21(Y)は、入庫時に充電棚31hを有するA列の一般棚32hに収容されているため、充電時における一般棚32hから充電棚31hへの搬送に際し、電動車両21(Y)を載置したパレット4を旋回させる必要がない。
【0057】
したがって、図5に矢印で示したように、電動車両21(Y)を載置したパレット4を一般棚32hから充電棚31hに直接搬送することができ、乗降室12に配置された旋回装置9を経由させる必要がない。
【0058】
制御装置6は、電動車両21(Y)の充電が完了する前に、充電棚31と鉛直方向の同列(本実施形態ではA列)に配置された電動車両21(Y)を収容可能な一般棚32hのうち少なくとも一つを空棚33となるように制御する。本実施形態では、図6に示したように、電動車両21(Y)が収容されていた上から5段目の一般棚32hを電動車両21(Y)の充電中の間、空棚33となるように制御する。
【0059】
なお、A列にハイルーフ車H用の充電棚31hが複数存在する場合には、必ずしも上から5段目の一般棚32hを空棚33に保持しておく必要はなく、他のハイルーフ車H用の一般棚32hを空棚33となるように制御してもよい。
【0060】
また、空棚33は、電動車両21(Y)の充電完了時に存在していればよいため、電動車両21(Y)の充電中の間に入出庫される車両2については、上から5段目の一般棚32hに格納するようにしてもよい。
【0061】
制御装置6は、電動車両21(Y)の充電が完了する充電完了時間になると、リフト8を移動させて電動車両21(Y)を迎えに行き、図7に示したように、電動車両21(Y)を一般棚32の空棚33に搬送する。本実施形態では、電動車両21(Y)は、A列の上から5段目の一般棚32hに搬送される。
【0062】
上述した第一実施形態に係る機械式駐車装置1によれば、一般棚32から充電棚31への電動車両21の搬送時及び充電棚31から一般棚32への電動車両21の搬送時に、パレット4を旋回させずに搬送することができ、電動車両21の輪番充電時における充電作業時間を短縮することができる。また、電動車両21の充電作業時間を短縮したことにより、利用者の待ち時間を短縮することもできる。
【0063】
上述した第一実施形態では、電動車両21がハイルーフ車Hである場合の輪番充電について説明しているが、電動車両21が乗用車N又はミドルルーフ車Mである場合も同様に輪番充電される。
【0064】
また、制御装置6は、充電棚31と仮置き棚5と格納棚3とを用いてパレット4を入れ替えながら電動車両21を充電可能な輪番充電モードと、充電棚31に充電しない車両2又は電動車両以外の車両2を収容可能な駐車優先モードと、を切り替え可能に構成されていてもよい。
【0065】
なお、輪番充電モードは、上述したように、充電棚31を利用して電動車両21を輪番充電することができるように、車両2を格納する運転モードである。また、駐車優先モードは、車両2を充電する必要がない場合(例えば、全ての車両2が電動車両21ではない場合、車両2が電動車両21であっても充電する必要がない場合等)に、充電棚31を一般棚32として利用する運転モードである。
【0066】
次に、本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置1について、図8及び図9を参照しつつ説明する。ここで、図8は、本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。図9は、本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置の変形例を示す全体構成図である。なお、上述した図1に示した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0067】
図8に示した第二実施形態に係る機械式駐車装置1は、充電棚31をパレット4の昇降路10に対して両側に配置したものである。すなわち、図8に示した機械式駐車装置1は、A列に加えてB列にも充電棚31を配置したものである。また、本実施形態では、A列にも仮置き棚5を配置するようにしてもよい。
【0068】
仮置き棚5の個数は、充電棚31と同数に設定されるため、A列の充電棚31と同数の仮置き棚5をA列に配置し、B列の充電棚31と同数の仮置き棚5をB列に配置することが好ましい。なお、全ての充電棚31の個数に対応した全ての仮置き棚5をA列又はB列の片側に集約して配置してもよい。
【0069】
本実施形態では、A列の充電棚31を使用する電動車両21はA列の一般棚32に収容され、B列の充電棚31を使用する電動車両21はB列の一般棚32に収容されており、電動車両21の輪番充電はA列及びB列の各々で完結するように構成されている。
【0070】
したがって、第二実施形態に係る機械式駐車装置1によっても、一般棚32から充電棚31への電動車両21の搬送時及び充電棚31から一般棚32への電動車両21の搬送時に、パレット4を旋回させずに搬送することができ、電動車両21の輪番充電時における充電作業時間を短縮することができる。また、電動車両21の充電作業時間を短縮したことにより、利用者の待ち時間を短縮することもできる。
【0071】
上述した第二実施形態では、格納棚3の最上段に仮置き棚5を配置して説明したが、本構成に限定されるものではなく、最下段に仮置き棚5を設置しても良いし、中間棚やその他の場所に設置しても良い。
【0072】
また、図8に示した第二実施形態では、充電棚31を最下段に集約し、仮置き棚5を最上段に集約しているが、図9に示した変形例のように、充電棚31及び仮置き棚5を車高の高さに応じた群数ごとに分散して配置してもよい。このような構成により、ハイルーフ車H、ミッドルーフ車M及び乗用車Nの各々について、輪番充電する際に要するリフト8の移動距離を短くすることができ、入れ替え時間の短縮化を図ることができる。
【0073】
次に、本発明の第三実施形態に係る機械式駐車装置1について、図10を参照しつつ説明する。ここで、図10は、本発明の第三実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。なお、上述した図8に示した第二実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0074】
図10に示した第三実施形態に係る機械式駐車装置1は、昇降路10に対して片側に配置されるA列の格納棚3を輪番充電可能に構成し、昇降路10を挟んでA列と反対側に配置されるB列の格納棚3を非電動車両専用に構成したものである。
【0075】
したがって、A列の格納棚3には、充電棚31、一般棚32及び仮置き棚5が配置され、B列の格納棚3には、一般棚32のみが配置される。また、B列の格納棚3には電動車両21が収容されないことから、B列に使用されるパレット4は給電端子を有しない充電非対応パレット41であってもよい。
【0076】
このように、格納棚3の列ごとに充電対応及び充電非対応の機能を区分することにより、例えば、電動車両21以外の車両2(非電動車両)の利用が多い機械式駐車装置1における導入コストの低減を図ることができる。
【0077】
次に、上述した機械式駐車装置1におけるパレット4の送り装置について説明する。ここで、図11は、パレットの送り装置の第一例を示す概略図であり、(A)はパレットの引き込み時の状態、(B)はパレットの送り出し時の状態、を示している。図12は、パレットの送り装置の第二例を示す概略図であり、(A)はパレットの引き込み時の状態、(B)はパレットの送り出し時の状態、を示している。
【0078】
上述した第一実施形態~第三実施形態に係る機械式駐車装置1は、一般棚32から充電棚31への電動車両21の搬送時及び充電棚31から一般棚32への電動車両21の搬送時に、パレット4を旋回させずに搬送することができるように、機械式駐車装置1の片側(例えば、A列)に輪番充電に必要な構成を集約したものである。
【0079】
このとき、例えば、図11(A)に示したように、充電対応のパレット4は、一つの給電端子42と、一つの送り装置43と、を備えている。給電端子42は、パレット4の側面の片側にのみ配置され、送り装置43は、給電端子42と反対側のパレット4の側面の片側にのみ配置される。かかる構成によりパレット4の構成を簡素化することができ、装置全体のコストダウンを図ることができる。
【0080】
送り装置43は、例えば、リフト8に搭載された引き込み装置81のフック82に係止可能なレールにより構成される。フック82は、レールに沿って転動可能なコロ(転動体)を備えている。図11(A)に示したように、パレット4の引き込み時には、フック82を図の時計回りに回転させ、パレット4を格納棚3等からリフト8に引き込む。また、図11(B)に示したように、パレット4の送り出し時には、フック82を図の反時計回りに回転させ、パレット4をリフト8から格納棚3等に引き込む。なお、引き込み装置81及び送り装置43の構成は図示した構成に限定されるものではない。
【0081】
また、図12に示したように、パレット4は、一つの給電端子42と、両側に配置される一対の送り装置43,44と、を備えていてもよい。このように、送り装置43,44をパレット4の両側に配置することにより、図12(A)及び図12(B)に示したように、昇降路10を挟んだ両側(A列及びB列)のどちらにもパレット4を旋回させずに搬送することができる。
【0082】
この場合、充電棚31、一般棚32、空棚33、仮置き棚3等は任意に配置・構成することができ、設計時の制約を低減することができ、コストダウンを図ることができる。また、既設の機械式駐車装置1にも容易に適用することができる。
【0083】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0084】
1 機械式駐車装置
2 車両
3 格納棚
4 パレット
5 仮置き棚
6 制御装置
7 昇降装置
8 リフト
9 旋回装置
10 昇降路
11 建屋
12 乗降室
13 ピット
14 充電装置
15 分電盤
16 電源
21 電動車両
31,31h,31m,31n 充電棚
32,32h,32m,32n 一般棚
33 空棚
41 充電非対応パレット
42 給電端子
43,44 送り装置
81 引き込み装置
82 フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12