(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123934
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】軒先唐草
(51)【国際特許分類】
E04D 13/15 20060101AFI20240905BHJP
E04D 3/40 20060101ALI20240905BHJP
E04D 13/158 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
E04D13/15 G
E04D3/40 M
E04D13/158 501Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031770
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108GG15
(57)【要約】
【課題】各種の外装材の水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる軒先唐草を提供する。
【解決手段】本発明の軒先唐草1は、建築物の外装材4の水下端に配置される下部材2及び該下部材2に組み付け可能な上部材3からなり、下部材2は、上方が開放する溝部22と、接続受部23と、を備え、上部材3は、外装材4の水下端を押さえる押さえ部31と、接続受部23取り付けられる接続授部32と、を備え、外装材4の下地5に固定された下部材2の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は上部材3にて押圧状に挟持されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外装材の水下端に配置される下部材及び該下部材に組み付け可能な上部材からなる軒先唐草であって、
前記下部材は、上方が開放する溝部と、接続受部と、を備え、
前記上部材は、前記外装材の水下端を押さえる押さえ部と、前記接続受部へ取り付けられる接続授部と、を備え、
前記外装材の下地に固定された前記下部材の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は前記上部材にて押圧状に挟持されていることを特徴とする軒先唐草。
【請求項2】
前記下部材は、略鉛直状の支持部を備え、該支持部には規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の軒先唐草。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の外装材の水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる軒先唐草に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の縦葺き屋根等の軒先は、特許文献1に示されるように外装材(屋根板材A)の軒先端部(折返し部1a)を、下地(下地部10)に固定された唐草(唐草部材B)の水下端(係止先端部6)に曲げ込むことで組み付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、外装材の端部を折曲させて組み付けるため、一枚(一列)毎に加工を行う必要があり、手間がかかると共に作業の熟練度合(技量ばらつき)による差異を生じ易く、曲げ加工に不具合があると、漏水や飛散に繋がる恐れもあった。
また、曲げによって唐草と一体化されているため、外装材の熱伸縮によって「ひずみ」や「曲げ加工部分の外れ、拡がり」等が発生し易いものであった。
【0005】
そこで、本発明は、各種の外装材の水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる軒先唐草を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、建築物の外装材の水下端に配置される下部材及び該下部材に組み付け可能な上部材からなる軒先唐草であって、前記下部材は、上方が開放する溝部と、接続受部と、を備え、前記上部材は、前記外装材の水下端を押さえる押さえ部と、前記接続受部へ取り付けられる接続授部と、を備え、前記外装材の下地に固定された前記下部材の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は前記上部材にて押圧状に挟持されていることを特徴とする軒先唐草に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記軒先唐草において、前記下部材は、略鉛直状の支持部を備え、該支持部には規制部を有することを特徴とする軒先唐草をも提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の軒先唐草は、各種の外装材の水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる。即ち従来の曲げ込み加工に代えて上下から挟持する構造を採用したので、作業の熟練度合(技量ばらつき)による差異を生じ難いため、漏水や飛散に繋がる恐れも著しく低下させることができる。
また、この軒先唐草を用いることで、外装材の施工についても自由度が大きくなり、用いる外装材についても縦葺きでも横葺きでも限定されないので、幅広い外装構造に適用することができる。
【0009】
また、軒先唐草は、前記軒先唐草において、前記下部材は、略鉛直状の支持部を備え、該支持部には規制部を有する場合には、外装構造への取付位置を規制しているので、外装構造に対して適正な位置規制が果たされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の軒先唐草の一実施例(実施例1)を拡大して示す側断面図である。
【
図2】実施例1の軒先唐草を用いて軒樋が施工された軒先構造を示す側断面図である。
【
図3】(a)実施例1の軒先唐草を用いた軒先構造を示す斜視図、(b)該軒先構造を裏面側から見た斜視図である。
【
図4】(a)実施例1の軒先唐草を取り付ける施工において、下部材を取り付けた状態を示す斜視図、(b)背面側から見た排水部材を拡大して示す斜視図、(c)背面側から見た外装材及びキャップ材を拡大して示す斜視図、(d)上部材を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図5】(a)実施例1の軒先唐草を取り付けた外装構造の軒先端部を示す斜視図、(b)その平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の軒先唐草は、建築物の外装材の水下端に配置される下部材及び該下部材に組み付け可能な上部材からなり、下部材は、上方が開放する溝部と、接続受部と、を備え、上部材は、外装材の水下端を押さえる押さえ部と、接続受部へ取り付けられる接続授部と、を備え、外装材の下地に固定された下部材の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は上部材にて押圧状に挟持されているので、各種の外装材の水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる。
【0012】
本発明の軒先唐草は、一般的な軒先唐草と同様に屋根の軒先の先端に取り付けられる水切材であって、同様に屋根からの雨水を雨樋に流すことができるが、一般的な単一部材とは異なり、前述のように上部材と下部材との二部材からなる。
二部材のうち、下部材は、建築物の外装材の水下端に配置され、上方が開放する溝部と、接続受部と、を備え、特に原材料を限定しないが、例えばアルミ等の押出型材等にて成形されている。
また、上部材は、上記下部材に組み付け可能であって、外装材の水下端を押さえる押さえ部と、前記接続受部へ取り付けられる接続授部と、を備え、特に原材料を限定しないが、例えばアルミ等の押出型材等にて成形されている。
そして、外装材の下地に固定された下部材の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は上部材にて押圧状に挟持されている。即ち下部材の接続受部に上部材の接続授部が接続されることで、上部材と下部材との間に外装構造の軒先端部が挟持される。
【0013】
本発明の軒先唐草が取り付けられる外装材は、特に限定するものではなく、前述のように各種の外装材を適用することができる。即ち本発明の軒先唐草は、横葺き、縦葺き等を問わず、また水下側(軒先)から水上側(棟側)へ施工していく手順にも、その逆に水上側から水下側へ施工していく手順にも適用できる。
【0014】
前記下部材は、この唐草の本体とも言える部材であり、建築物の外装材の下地への固定部、溝部、接続受部が備えられている。
この下部材における固定部は、前記外装材の下地に固定される部位であり、後述する図示実施例のように略水平状の横片でもよいが、それに限定されるものではない。
また、この下部材における溝部は、上方が開放する構成、即ち内部に雨水等を導く凹状部が設けられている構成であれば、その形状は特に限定しないが、後述する図示実施例のようにその底部に水抜き孔を設けて更に下方に配する軒樋や内樋に雨水を導くようにしてもよい。
さらに、この下部材の接続受部は、上部材(の接続授部)が組み付けられる構成であれば特にその詳細な構成を限定しないが、後述する図示実施例のように係合又は嵌合が望ましい。
【0015】
前記上部材は、この唐草のカバーとも言える部材であって、前述のように前記外装材の水下端を押さえる押さえ部が備えられ、前記下部材の接続受部へ取り付けられる接続授部が備えられて下部材に組み付け可能である。
この上部材における押さえ部は、水下側から水上側へ延在する部分に相当し、特に先端が薄肉になるように形成することで外装材表面を伝って流れてくる雨水が裏面側へ回り込むことを防止できる。特に後述する図示実施例のように平面視ジグザグ模様(だんだら模様)に形成され、複数の三角状部分が先端が薄肉になるように形成されることで、雨水が裏面側へ回り込むことを防止できる。更に望ましくは、先端が下降する傾斜状に成形することで、雨水の回り込みが防止される。
また、この上部材の接続授部は、前記下部材の接続受部へと組み付けられる構成であれば特にその詳細な構成を限定しないが、後述する図示実施例のように係合又は嵌合が望ましい。
【0016】
なお、前記下部材には、鉛直状の支持部を設け、該支持部には規制部を有することが望ましい。この支持部は、下部材に一体的に成形される部位でも良いし、後述する図示実施例のように形成した取付部に別部材の支持材(部)を一体的に取り付けても良い。支持材が別体の場合、押出型材に限定されず、鋼板等をロール成形したものであってもよい。
また、この支持部が規制部を有するとは、後述する図示実施例のように外装構造への取付位置を特定している(規制している)ことを意味しており、例えば外装構造を形成する部材に切欠き等の凹状部を形成し、該凹状部に下方から上向き片状の支持部を挿着状に取り付けることで凹状部を形成下部材の位置規制が果たされる。
【0017】
前述のように本発明の軒先唐草も、一般的な軒先唐草と同様に屋根の軒先の先端に取り付けられる水切材であり、同様に屋根からの雨水を雨樋に流すことができるが、その雨樋(軒樋や内樋)については何等限定しない。
後述する図示実施例では、開口上面を落ち葉除けの機能を有するカバー材で覆った軒樋を軒先側に配設しているが、これらの構成に限定されず、どのような雨樋構造を採用しても良い。
【0018】
このように本発明の軒先唐草は、建築物の外装材の水下端に配置される下部材及び該下部材に組み付け可能な上部材からなり、下部材は、上方が開放する溝部と、接続受部と、を備え、上部材は、外装材の水下端を押さえる押さえ部と、接続受部へ取り付けられる接続授部と、を備え、外装材の下地に固定された下部材の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は上部材にて押圧状に挟持されているので、各種の外装材の水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる。即ち従来の曲げ込み加工に代えて上下から挟持する構造を採用したので、作業の熟練度合(技量ばらつき)による差異(不均一)を生じ難く、水や飛散に繋がる恐れも著しく低下させることができる。
また、曲げ込み加工に代えて挟持する構造を採用したことは、外装材の水下端の処理される幅(代)もばらつきなく出来上がり精度を均一化させることができる。
そのため、本発明の軒先唐草は、適用する外装材が横葺き、縦葺き等を問わず、また水下側(軒先)から水上側(棟側)へ施工していく手順にも、その逆に水上側から水下側へ施工していく手順にも適宜に且つ容易に適用できる。
【0019】
また、下部材に、鉛直状の支持部を設け、該支持部には規制部を有する場合には、外装構造への取付位置を規制しているので、例えば後述する図示実施例では排水部材や下地を外装構造に対して適正な位置規制が果たされる。
【実施例0020】
図1~3(特に
図1)に示す実施例1の軒先唐草1は、建築物の外装材4の水下端に配置される下部材2及び該下部材2に組み付け可能な上部材3からなり、外装材4の下地5に固定された下部材2の表面に、外装構造の軒先端部が位置されると共に、その端部表面は上部材3にて押圧状に挟持されている。
【0021】
この軒先唐草1の下部材2は、建築物の外装材4の水下端に配置される部材であり、建築物の外装材4の下地5への固定部21、上方が開放する溝部22、後述する接続授部へ取り付けられる接続受部23が備えられている。なお、
図1,2に示す符号4は外装材と説明したが、
図3(及び後述する
図4,5)では縦葺き外装材4Aとキャップ材4Bに相当し、下地5はその裏面側に配設するバックアップ材である。
この下部材2における固定部21は、略水平状の横片に形成され、図示しない固着具にて下地5へ固定されている。
また、この下部材2における溝部22は、内部に雨水等を導く凹状部が設けられ、図中にハッチングで示す水抜き孔220がその底部に設けられ、
図1には図示していないが、
図2,3に示すように下方に配した軒樋に雨水を導く。
さらに、この下部材2の接続受部23は、上向き片24の上端に形成され、上部材3(の接続授部32)が組み付けられる鏃状であり、上方から係合状に取り付けることができる。
【0022】
なお、この下部材2に関する図中の符号25は、溝部22から水上側へ延在する横片、26,27は、横片25から起立すると共に隙間を隔てて鉛直状に起立する縦片であり、28及び29は、上向き片24からそれぞれ軒側へ下降状に形成された被固定部及び補助片である。
そして、縦片26,27間には、別部材の支持材2Bが一体的に装着されることで、鉛直状の支持部を形成している。
【0023】
この軒先唐草1の上部材3は、外装材4の水下端を押さえる押さえ部31が備えられ、下部材2の接続受部23へ取り付けられる接続授部32が備えられて下部材2に組み付け可能である。
この上部材3における押さえ部31は、水下側から水上側へ延在する横片状であり、先端が薄肉状の先端部311が形成され、外装材4の表面を伝って流れてくる雨水が裏面側へ回り込むことを防止できる。
また、この上部材3の接続授部32は、下向き片33の下端に形成され、前記下部材2の接続受部23へと係合状に組み付けられる鏃状に形成されている。
【0024】
このように実施例1における軒先唐草1は、下部材2に設けた接続受部23に、上部材3に設けた接続授部32を係合状に組み付けて一体化されるため、外装材4の軒先端部はこれらの上部材3と下部材2との間に挟着され、容易に外装材4の軒先納めを果たすことができる。
【0025】
なお、図示実施例では外装材4の軒先端を直線状に示したが、外装材の熱伸縮によるひずみ等が生じた場合などは必ずしも当該軒先端が直線状にならない場合もある。
さらに、一般的に軒側から棟側へ向かって外装材を敷設する場合には軒先端が揃え易いが、逆方向の施工、即ち棟側から軒側へ向かって外装材を敷設する場合には、加工精度や前述のひずみ等が軒先端のばらつきに直接的に影響を及ぼしてしまう。
これらの場合にも、前述のように外装材4の軒先端部が上部材3と下部材2との間に挟着される構成を採用したので、軒先端のばらつきを解消して容易に外装材4の軒先納めを果たすことができる。そのため、外装材4の施工についても自由度が大きくなり、用いる外装材4についても縦葺きでも横葺きでも限定されないので、幅広い外装構造に適用することができる。
【0026】
図2及び
図3は、前記
図1の実施例1の軒先唐草1を用いた施工例であって、その開口上面を落ち葉除けの機能を有するカバー材7Bで覆われた軒樋7Aが、前記軒先唐草1の軒先側に配設されている。
この軒樋7Aは、略水平状の底面71の軒先側(図面では左側)に、三つの傾斜面と二つの略水平面とで構成される底面71には、段状の軒先側(図面では左側)側面72と、略垂直状に起立する建築物側(図面では右側)側面73とが形成され、これらの底面71及び側面72,73にて雨水等の排水路が形成されている。
軒先側の側面72の上端に位置する傾斜面と略水平面は、カバー材7Bに保持(係合)される軒先端721である。
また、建築物側の側面73の下端には、隅部状の被支持部731が設けられ、鼻隠し壁面8Aに固定された取付材7Cに下方から支持される部位である。この取付材7Cは、鼻隠し壁面8Aに沿わせる垂直状の固定片(固着具7e)の下端を折曲した支持片77を備え、該支持片77が軒樋7Aの被支持部731を下方から支持する。
【0027】
また、
図2及び
図3に示すカバー材7Bは、内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する部材であって、その表面(化粧面74)には雨水を内部へ導く導水口741として複数の小径のスリット孔が形成され、その下端である軒先端(係合部)75が軒樋7Aの軒先端721と係合して取り付けられ、その上端付近に軒先唐草1(の被固定部28)に固定される固定部76が形成されている。そして、化粧面74の上端を、被固定部28と補助片29との間に介在状に臨ませている。
前記軒先端75は、化粧面74の下端から斜め上方へ延在し、その先端を下方へ折曲し、更にその下端を内側へ折曲した略コ字状の係合部を形成している。
【0028】
その他の構成を
図4(a)を用いて簡単に説明すると、流れ方向に沿うように排水部材6を取り付けるが、この排水部材6は、その内部に所定巾の取付部材6Bを図示しない固定具にてその下方の野地材8B上に固定する。
この排水部材6は、
図4(b)に拡大して示すように左右の側縁部61,61間に、上方へ凸状の隆状固定部62を有するため、左右に凹状の排水路63,63を備える構成であり、隆状固定部62を跨ぐ取付部材6Bを配して固定されている。この排水部材6の水下端は、
図2に示すように下部材2の溝部22の上方に臨んでいるので、屋根面に降り注いだ雨水は、排水部材6(排水路63)から下部材2の溝部22の水抜き孔220へと導かれ、軒樋7A内へと流下される。
【0029】
また、隣り合う排水部材6,6間には、
図4(a)に示すように下地5を配設して略平坦状の下地面を作成し、その表面に
図4(d)に示すように外装材4A及びキャップ材4Bを取り付けている。
この外装材4Aは、
図4(c)に拡大して示すように略平坦状の面板部41の左右の側端に段差部42を介して延在部43が形成され、その先端を折り返して係合部44が形成されている。また、キャップ材4Bは、略平坦状の平坦部45と、その左右の側縁を裏面側へ折返しその先端を垂下させた垂下部46と、その下端に外側へ跳ね上げ状に形成した係合部47と、を備えている。
そして、取付部材6Bの左右に外装材4A,4Aを突き合わせ状に臨ませ、その係合部44を係合させて取り付け、更にその間にキャップ材4Bを上方から押圧状に取り付けることでその係合部47を取付部材6Bに一体的に固定する。
【0030】
なお、前述のようにこの軒先唐草1には、下部材2が略鉛直状の支持部(支持材2B)を備える構成としたが、この支持部(支持材2B)は、排水部材6,6間に配設されるので、この支持部(支持材2B)の側端縁に対して排水部材6の位置規制が果たされるため、規制部とは当該持部(支持材2B)の側端縁を指す。
また、
図4(a),(d)より明らかなように下地5の軒端は、この支持部(支持材2B)に当接するように配設されるので、規制部とは当該支持部(支持材2B)の全体(厳密には図の右側面)を指す。
さらに、この支持部(支持材2B)の上端は、排水部材6の底面に当接しているので、この排水部材6の底部に支持部(支持材2B)の上端端が係合される凹状部を形成したとすれば、規制部とは当該支持部(支持材2B)の上端縁を指す。
このように、支持部(支持材2B)には、排水部材6や下地5の位置規制を果たす規制部を有しているので、これらの排水部材6や下地5の外装構造への取付位置が規制されているので、外装構造に対して適正位置にそれぞれの部材を位置させて取り付けることができる。
なお、この実施例1では、下部材2に別部材の支持材2Bを取り付けて鉛直状の支持部としたが、下部材2に一体的に成形される部位でもよいが、当該支持材2Bが極めて簡易な構成であるため、当該実施例1の態様が望ましい。
【0031】
次に、
図4(a),(d)を用いて軒先唐草1(2,3)の取付手順を説明すると、まず前記構成の下部材2を、
図4(a)に示すように野地材8Bの表面に沿わせ、図示しない固定具にて固定する。
その後、別部材の支持材2Bを上方から一体的に装着することで、鉛直状の支持部が形成される。この支持材2Bの側端が、その側面に当接するように排水部材6及び取付部材6Bを配設することで、これらの排水部材6及び取付部材6Bのずれ動きが規制され、図示しない固着具を打ち込むことで、この排水部材6及び取付部材6Bは固定される。
次に、バックアップ材である下地5を排水部材6,6間に取り付けて平坦状の下地面が形成される。
さらに、その後、外装材4A及びキャップ材4Bを取り付け、
図4(d)に示すように略平坦状の外装面が形成される。この
図4(d)では、上部材3を臨ませている状態が示されているが、下部材2と上部材3との組付けについては、
図5に示すように下部材2の接続受部23を上部材3の接続授部32に係合させて組付けられるが、既に
図1や
図2でも説明しているとおりである。
【0032】
以上説明したように本発明の軒先唐草1は、各種の外装材4,4Aの水下端を、容易に且つ確実に組み付けることができる。即ち従来の曲げ込み加工に代えて上部材3と下部材2にて外装材4,4Aを上下から挟持する構造を採用したので、作業の熟練度合(技量ばらつき)による差異を生じ難いため、漏水や飛散に繋がる恐れも著しく低下させることができる。
また、この軒先唐草1(2,3)を用いることで、外装材4,4Aの施工についても自由度が大きくなり、用いる外装材4,4Aについても縦葺きでも横葺きでも限定されないので、幅広い外装構造に適用することができる。