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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123957
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/08 20060101AFI20240905BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
E02F9/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031808
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】上田 将誉
(72)【発明者】
【氏名】中口 肇
(72)【発明者】
【氏名】柏木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】川村 幸太郎
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EA02
(57)【要約】
【課題】収納箱から取り出した収納物の置くことが可能な作業スペースを確保可能な作業機械を提供すること。
【解決手段】油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、を備える。旋回体3は、旋回フレーム11と、第1ステップ面31aと、収納箱17と、を有する。旋回フレーム11は、走行体2の上側に旋回可能に配置されている。第1ステップ面31aは、旋回フレーム11上に配置されている。収納箱17は、第1ステップ面31aの隣に配置されている。収納箱17は、可動式の棚48を有する。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体の上側に旋回可能に配置された旋回フレームと、
前記旋回フレーム上に配置されたフラット面と、
前記フラット面の隣に配置された収納箱と、を有する、
旋回体と、を備え、
前記収納箱は、可動式の棚を有する、
作業機械。
【請求項2】
前記収納箱は、
上面と、
前記上面の前記フラット面側に配置された傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記フラット面側に近づくに従って下方に向かうように傾斜している、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記収納箱は、
前記フラット面に面する第1側面と、を更に有し、
前記傾斜面は、前記第1側面と前記上面との間に配置され、
前記収納箱は、前記第1側面、前記傾斜面、および前記上面にまたがって形成された開閉可能なカバーを有する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記収納箱は、
前記フラット面に面する第1側面と、
前記第1側面に対向し、前記第1側面を基準に前記フラット面の反対側に配置された第2側面と、を有し、
前記棚は、前記第2側面にヒンジを介して回転可能に取り付けられている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記収納箱は、
前記フラット面よりも下側に配置された底面を有する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記フラット面をステップとし、前記フラット面を含む通路を更に備え、
前記収納箱は、前記通路の隣に配置されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記フラット面への入口は、前記旋回体の側面側に配置され、
前記収納箱は、前記フラット面を挟んで前記入口に対向して配置され、
前記通路は、前記フラット面から前記旋回体の後方に向かって配置されている、
請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記フラット面の隣に配置された還元剤タンクと、
前記還元剤タンクを覆う開閉可能なカバーと、を更に備え、
前記還元剤タンクは、前記フラット面側に向いた還元剤の補給口を有する、
請求項2に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械には、メンテナンス等のために作業者が用いる工具等が収納された収納箱が配置されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に示す作業機械では、旋回体の右前に工具の収納箱が配置されている。収納箱は、作業者が通る通路の下側に配置されており、収納箱の前側には通路へのステップが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-141360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に示す構造では、収納箱の手前にステップしか配置されていないため、収納箱のカバーを開いた時に足元に収納物を置く場所がなく、一旦移動して収納物を別の場所に運ぶ必要があった。
【0006】
本開示は、収納箱から取り出した収納物を置くことができる作業スペースを確保可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる作業機械は、走行体と、旋回体と、を備える。旋回体は、旋回フレームと、フラット面と、収納箱と、を有する。旋回フレームは、走行体の上側に旋回可能に配置されている。フラット面は、旋回フレーム上に配置されている。収納箱は、フラット面の隣に配置されている。収納箱は、可動式の棚を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、収納箱から取り出した収納物を置くことができる作業スペースを確保可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルを示す斜視図である。
図2A】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルの旋回体の右前部の部分拡大図である。
図2B図2Aの収納箱からカバーを開けた状態を示す斜視図である。
図2C図2Aの収納箱の近傍を示す斜視図である。
図3A】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルの収納箱の近傍を後方向側から視た斜視図である。
図3B図3AのB部拡大図である。
図4A】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルの収納箱の内部構成を示す図である。
図4B図4AのC部拡大図である。
図5】(a)~(e)収納箱からのツールボックスとペール缶の取り出しを示す図である。
図6図4Aの収納箱からツールバッグを取り出して棚を上方向に回転させた状態を示す図である。
図7】(a)収納箱から取り出したペール缶を作業スペースに載置してツールボックスを第2ステップ面に載置した状態を示す斜視図である、(b)収納箱から取り出したツールボックスを作業スペースに載置した状態を示す斜視図である
図8】(a)作業者が還元剤タンクに還元剤を補充している状態を上方から視た斜視図である、(b)作業者が還元剤タンク18に還元剤を補充している状態を前方向側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示にかかる作業機械の一例としての油圧ショベルについて図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
<構成>
(油圧ショベル1の概要)
図1は、本実施の形態の油圧ショベル1の構成を示す模式図である。
【0012】
図1に示すように、油圧ショベル1(作業機械の一例)は、走行体2と、旋回体3と、を備える。
【0013】
走行体2は、一対の走行装置2a、2bを有する。各走行装置2a、2bは、履帯2c、2dを有している。エンジンからの駆動力によって走行モータが回転して履帯2c、2dが駆動されることによって油圧ショベル1が走行する。
【0014】
旋回体3は、走行体2の上側に配置されている。旋回体3は、旋回モータ(図示せず)によって上下方向に沿った軸を中心として走行体2に対して旋回可能に構成されている。旋回体3にはスイングマシナリが配置されている。走行体2には、スイングサークルが配置されており、スイングマシナリの出力ピニオンと噛み合っている。旋回モータの回転駆動がスイングマシナリ(図示せず)によって減速され出力ピニオンから出力される。これにより、スイングマシナリがスイングサークルの内側または外側を回転移動し走行体2に対して旋回体3が回転する。
【0015】
旋回体3は、旋回フレーム11と、キャブ12と、作業機13と、エンジンルーム14と、通路15と、手摺り16a、16bと、収納箱17と、還元剤タンク18(後述する図8(a))と、を有する。
【0016】
旋回フレーム11は、走行体2の上側に配置されており、走行体2に対して旋回可能なフレームである。キャブ12は、旋回フレーム11の前部左側位置に設けられている。キャブ12は、オペレータが運転時に着座する運転席として設けられている。キャブ12の内部には、運転席、作業機13を操作するための操作装置、および表示装置等が配置されている。
【0017】
なお、本実施形態において油圧ショベル1の前後左右は、キャブ12内の運転席を基準として説明する。運転席が正面に正対する方向を前方向Xfとし、前方向に対向する方向を後方向Xbとする。運転席が正面に正対したときの側方方向の右側、左側をそれぞれ右方向Yr、左方向Ylとする。
【0018】
作業機13は、旋回フレーム11の前部中央位置に取り付けられている。作業機13は、図1に示すように、ブーム21、アーム22、バケット23を有する。ブーム21の基端部は、旋回フレーム11に回転可能に連結されている。また、ブーム21の先端部はアーム22の基端部に回転可能に連結されている。アーム22の先端部は、バケット23に回転可能に連結されている。バケット23は、その開口がキャブ12の方向(後方)を向くことができるようにアーム22に取り付けられている。バケット23が、このような向きに取り付けられた油圧ショベル1は、バックホウと呼ばれている。
【0019】
ブーム21、アーム22およびバケット23のそれぞれに対応するように油圧シリンダ24~26(ブームシリンダ24、アームシリンダ25およびバケットシリンダ26)が配置されている。これらの油圧シリンダ24~26が駆動されることによって作業機13が駆動される。これにより、掘削等の作業が行われる。
【0020】
エンジンルーム14は、旋回体3のキャブ12の後側に配置されている。エンジンルーム14には、エンジン、エンジンの排ガスの後処理装置、エンジンを冷却する冷却ユニット、および油圧ポンプ等が収納されている。
【0021】
(通路15、手摺り16a、16b)
図2Aは、旋回体3の右前部の部分拡大図である。通路15は、作業者がメンテナンス等を行うために設けられている。通路15は、旋回体3に設けられている。通路15は、旋回フレーム11上に配置されている。通路15は、図2Aに示すように、旋回体3の右側面3aに入口15aを有する。通路15の入口15aは、キャブ12の右側に配置されている。通路15は、第1通路部分31と、第2通路部分32と、を有する。第1通路部分31は、入口15aから後方に向かって配置されている。第1通路部分31は、階段状である。本実施形態では、第1通路部分31は、第1ステップ面31a(フラット面の一例)、第1段差面31d、第2ステップ面31b、第2段差面31e、および第3ステップ面31cを有する。
【0022】
第1ステップ面31a、第2ステップ面31b、および第3ステップ面31cは、水平に配置されている。第1ステップ面31a、第2ステップ面31b、および第3ステップ面31cの順に下から配置されている。第1ステップ面31a、第2ステップ面31b、および第3ステップ面31cの順に前から後に向かって配置されている。第1ステップ面31aと第2ステップ面31bの間には段差が設けられている。第1段差面31dは、第1ステップ面31aの後方向Xb側の端と、第2ステップ面31bの前方向Xf側の端との間に配置されている。第1段差面31dは、前後方向に対して垂直に配置されている。第2ステップ面31bと第3ステップ面31cの間には段差が設けられている。第2段差面31eは、第2ステップ面31bの後方向Xb側の端と、第3ステップ面31cの前方向Xf側の端との間に配置されている。第2段差面31eは、前後方向に対して垂直に配置されている。
【0023】
第2通路部分32は、第1通路部分31の後端から左方向Ylに向かって設けられている。第2通路部分32は、図1に示すように、キャブ12の後側まで配置されている。第2通路部分32は、エンジンルーム14の天井の前側の部分に配置されている。
【0024】
第1通路部分31の第1ステップ面31aは、作業スペースSの底面を形成する。第1ステップ面31a上に作業スペースSが設けられている。
【0025】
手摺り16a、16bは、通路15の第1通路部分31の端に配置されている。手摺り16aは、第1通路部分31の第1ステップ面31aの前側に配置されている。手摺り16bは、第1通路部分31の右側面側に第1通路部分31に沿って配置されている。手摺り16aの右側面側の端と、手摺り16bの前側の端の間が、通路15の入口15aを形成する。
【0026】
(収納箱17)
収納箱17は、開閉可能なカバー40を有し、メンテナンスなどに用いる工具等を収納する。図2Bは、図2Aから収納箱17のカバー40を開けた状態を示す図である。図2Bに示すように、収納箱17は、ツールバッグ91およびペール缶92等を収納する。
【0027】
図2Cは、収納箱17の近傍の斜視図である。図2Cでは、手摺り16a、16bは省略している。収納箱17は、作業スペースSの左隣に配置されている。図3Aは、収納箱17の近傍を後方向Xb側から視た斜視図である。図3Aでは、第2ステップ面31bおよび還元剤タンク18が省略されている。
【0028】
収納箱17は、第1ステップ面31aの隣に配置されている。収納箱17は、第1ステップ面31aを挟んで通路15の入口15aに対向して配置されている。収納箱17は、図2Cおよび図3Aに示すように、第1側面41と、第2側面42と、第3側面43と、第4側面44と、上面45と、傾斜面46と、底面47(図4A)と、棚48と、を有する。
【0029】
第1側面41は、図2Cに示すように、作業スペースS(第1ステップ面31a)に面している。第1側面41は、左右方向に対して垂直に配置されている。第2側面42は、第1側面41と対向して配置されている。第2側面42は、左右方向に対して垂直に配置されている。第2側面42は、第1側面41の左方向Yl側に配置されている。なお、本明細書において、垂直または鉛直とは、厳密な意味で垂直または鉛直でなくてもよく、誤差を含んでもよく、社会通念上垂直または鉛直と認識できればよい。また、本明細書において、水平とは、厳密な意味で水平でなくてもよく、誤差を含んでもよく、社会通念上水平と認識できればよい。
【0030】
図2Cに示すように、第3側面43は、第1側面41の前側の端と第2側面42の前側の端を繋ぐように配置されている。第3側面43は、前後方向に対して垂直に配置されている。図3Aに示すように、第4側面は、第1側面41の後側の端と第2側面42の後側の端を繋ぐように配置されている。第4側面44は、前後方向に対して垂直に配置されている。第4側面44は、第3側面43と対向して配置されている。
【0031】
上面45は、図2Cに示すように、第2側面42の上端と、第3側面43の上端と、第4側面44の上端とを繋ぐように配置されている。上面45は、上下方向に対して垂直に配置されている。傾斜面46は、第1側面41と上面45の間に配置されている。傾斜面46は、第1側面41の右端と第1側面41の上端の間を繋ぐように配置されている。傾斜面46は、作業スペースS(第1ステップ面31a)に向かうに従って下方に位置するように傾斜している。
【0032】
図2Cおよび図3Aに示すように、カバー40は、第1側面41、傾斜面46、および上面45にまたがって形成されている。図3Aに示すように、カバー40の左端(作業スペースSとは反対側の端)は、第2側面42の上端とヒンジ49によって回転可能に接続されている。ヒンジ49は、前後方向に並んで2つ配置されている。
【0033】
カバー40には、開けた状態を維持するための棒状部材50が取り付けられている。図3Bは、図3AのB部拡大図である。棒状部材50は、カバー40と内側面51の間に配置されている。棒状部材50は、上下方向に対して斜めに配置されている。棒状部材50は、上方に向かうに従って左方向Ylに向かうように傾斜して配置されている。棒状部材50は、カバー40と内側面51の間に亘って配置されている。内側面51は、第3側面43の内側(後側)の近傍に配置されている。内側面51は、第3側面43と対向して配置されている。棒状部材50の第1端部50aは、後方に向かって曲がって、カバー40の内面40aに取り付けられたブラケット52に回転可能に取り付けられている。棒状部材50の第2端部50bは、前方に向かって曲がって内側面51に形成された貫通孔53に挿入されている。
【0034】
貫通孔53は、第1端53aと、第2端53bとを有する。貫通孔53は、第1端53aから右方向に向かって水平に形成され、その後、右下方に向かって第2端53bまで形成されている。第1端53aは、下方に向かって凹形状に形成されている。図3Bに示すように、カバー40を開けたときには、第2端部50bが、貫通孔53の第1端53aに配置され、第1端53aの凹形状に嵌る。このため、カバー40から作業者が手を放しても、第2端部50bが貫通孔53を移動せず、カバー40を開けた状態に維持することができる。
【0035】
また、カバー40を閉じるときには、カバー40を少し持ち上げることによって棒状部材50の第2端部50bを第1端53aの凹形状に嵌っている状態から開放できる。この状態で、第2端部50bは貫通孔53に沿って第2端53bに向かって移動することができるため、カバー40を閉じることができる。
【0036】
図4Aは、図3Aの矢印Aに沿って視た場合の収納箱17の内部構成図である。図4Aでは、第3側面43および内側面51が省略されている。図4Aでは、開けられた状態のカバー40が二点鎖線で示されている。また、図4Aでは、作業スペースSがハッチングで示されている。作業スペースSは、第1ステップ面31aを底面とする上方の空間のことである。図4Aに示すように、収納箱17の底面47は、第1ステップ面31aよりも下側に配置されている。このように、収納箱17の一部は、旋回フレーム11に埋設されている。これにより、収納箱71の上下方向の長さを長くでき、収納箱17に上下方向に長い物体を収納することが可能となる。
【0037】
棚48は、図4Aに示すように、収納箱17の内側に配置されており、可動式である。図3Aおよび図4Aに示すように、棚48にはツールバッグ91が載置されている。棚48の下側にはペール缶92が配置されている。ペール缶92は、図4Aに示すように、底面47に載置されている。図4Aでは、水平状態に配置された状態の棚48が実線で示され、上方に回転された鉛直状態の棚48が二点鎖線で示されている。
【0038】
図4Bは、図4AのC部拡大図である。図4Bに示すように、第2側面42の内側には、右方向Yrに向かって支持突起54が突出している。図示していないが、支持突起54は、前後方向の2箇所に設けられている。棚48は、支持突起54とヒンジ55を介して連結されている。棚48の左方向Yl側の端の下側にヒンジ55が取り付けられている。これにより、棚48は、左方向Yl側の端を中心にして、右方向Yr側の端が上下方向に回転可能に構成される。上方に回転した状態において、棚48は第2側面42に沿って鉛直状態で配置されている。
【0039】
棚48は、水平状態を保持でき、上方に回転した鉛直状態を保持できるように構成されている。棚48は、図3Bおよび図4Bに示すように、本体部61と、突出部材62と、を有する。本体部61は、箱状であって、例えば、ツールバッグ91が載置される。突出部材62は、本体部61から前方向Xfに向かって突出している。突出部材62は、円柱状である。
【0040】
内側面51には、下側クリップ部材63がブラケット64を介して配置されている。図3Bに示すように、ブラケット64は、内側面51に配置されている。下側クリップ部材63は、ブラケット64に固定されている。下側クリップ部材63は、弾性部材である。図4Bに示すように、下側クリップ部材63は、上方に向かって開口63aを有する。
【0041】
棚48が下方に回転して水平状態となる際には、本体部61の下方への回転と共に、突出部材62も下方に回転して開口63aから下側クリップ部材63の内側に挿入され、下側クリップ部材63に挟まれる。下側クリップ部材63は、内側に挿入された突出部材62を弾性的に保持する。これにより、棚48を水平状態で保持することができる。
【0042】
第3側面43の内面には、上側クリップ部材65が固定されている。上側クリップ部材65は、下側クリップ部材63と同様の形状である。上側クリップ部材65は、右方向Yrに向かって開口65aを有する。
【0043】
棚48が上方に回転して鉛直状態となる際には、本体部61の上方への回転と共に、突出部材62も上方に回転して開口65aから上側クリップ部材65の内側に挿入され、上側クリップ部材65に挟まれる。上側クリップ部材65は、内側に挿入された突出部材62を弾性的に保持する。これにより、棚48は、鉛直状態で保持することができる。
【0044】
収納箱17からのツールバッグ91とペール缶92の取り出しについて説明する。図5(a)~(e)は、ツールバッグ91とペール缶92の取り出しを示す図である。
【0045】
図5(a)に示すように、収納箱17のカバー40が開けられる。棒状部材50の第2端部50bが、貫通孔53の第1端53aの凹形状に嵌り、カバー40を開けた状態が保持される。
【0046】
次に、図5(b)に示すように、棚48の上に載置されているツールバッグ91が収納箱17から取り出される。なお、棚48は突出部材62が下側クリップ部材63に挿入されて水平状態が保持されている。
【0047】
次に、棚48の突出部材62が下側クリップ部材63の内側から取り外され、棚48は、上方に回転される(図5(c)参照)。図6は、図4Aから棚48を上方に回転させた状態を示す図である。図6に示すように、突出部材62を上側クリップ部材65に開口65aを介して挿入することで、突出部材62が上側クリップ部材65によって保持され、棚48は、上方に回転した状態で保持される。
【0048】
次に、図5(d)に示すように、ペール缶92が取り出される。取り出されたペール缶92は、図5(e)に示すように、第1ステップ面31a上に載置することができる。カバー40が上面45、傾斜面46、および第1側面41にまたがって形成されているため、図5(d)に示すように、カバー40を開けたときの開口が大きく、ペール缶92を取り出し易い。
【0049】
図7(a)に示すように、作業者Hは、収納箱17から取り出したペール缶92を、作業スペースSの第1ステップ面31a上に載置することができる。本実施形態では、第1ステップ面31aの面積を広くすることができるため、作業者Pとともにペール缶92を作業スペースSの底面である第1ステップ面31aに置くことができる。また、図7(a)では、ツールバッグ91は、第2ステップ面31bに載置されているが、図7(b)に示すように、第2ステップ面31bに配置してもよい。
【0050】
(還元剤タンク18)
還元剤タンク18は、第2ステップ面31bの下側に配置されている。還元剤タンク18は、第1ステップ面31aの隣に配置されている。図2Cに示すように、還元剤タンク18の上側には、カバー70が配置されている。カバー70は、第2ステップ面31bと第1段差面31dにまたがって形成されている。カバー70は、図2Cに示すように、後方向Xb側の端を中心として前側が上下方向に回転可能である。図8(a)は、カバー70を開けた状態を示す斜視図である。
【0051】
図8(a)では、作業者が還元剤タンク18に還元剤を補充している状態を上方から視た斜視図である。図8(a)に示すように、還元剤タンク18の補給口18aは、作業スペースS(第1ステップ面31a)側を向いている。作業者Hは、補給用タンク93を抱えて作業スペースSから補給口18aに還元剤を補充する。この際、前方向Xf側から視た図8(b)に示すように、収納箱17の第1側面41から上面45の間に傾斜面46が設けられているため、作業者Hの膝H1が収納箱17に干渉せず、補給作業を行いやすくなる。
【0052】
<特徴>
(1)
本実施形態の油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、を備える。旋回体3は、旋回フレーム11と、第1ステップ面31aと、収納箱17と、を有する。旋回フレーム11は、走行体2の上側に旋回可能に配置されている。第1ステップ面31aは、旋回フレーム11上に配置されている。収納箱17は、第1ステップ面31aの隣に配置されている。収納箱17は、可動式の棚48を有する。
【0053】
このように収納箱17に可動式の棚48を配置することによって、上下方向に収納物を配置することができるため、収納箱17の面積を小さくできる。そのため、収納箱17の隣に第1ステップ面31aを広く配置でき、図8(a)および図8(b)に示すように、第1ステップ面31aに収納物(例えば、ツールバッグ91またはペール缶92)の置き場所を確保することができる。
【0054】
(2)
本実施形態の油圧ショベル1では、収納箱17は、上面45と、上面45の第1ステップ面31a側に配置された傾斜面46を有する。傾斜面46は、第1ステップ面31a側に近づくに従って下方に向かうように傾斜している。
【0055】
このように収納箱17に傾斜面46を設けることにより、第1ステップ面31a側に角が設けられていないため、図8(b)に示すように、作業者Hの膝H1が収納箱17に干渉せず、還元剤の補給作業を行いやすくなる。
【0056】
(3)
本実施形態の油圧ショベル1では、収納箱17は、第1側面41を更に有する。第1側面41は、第1ステップ面31aに面する。傾斜面46は、第1側面41と上面45との間に配置されている。収納箱17は、第1側面41、傾斜面46、および上面45にまたがって形成された開閉可能なカバー40を有する。
【0057】
このように、カバー40が上面45、傾斜面46、および第1側面41にまたがって形成されているため、図5(d)に示すように、カバー40を開けたときの開口が大きく、ペール缶92を取り出し易くなる。
【0058】
(4)
本実施形態の油圧ショベル1では、収納箱17は、第1側面41と、第2側面42と、を有する。第1側面41は、第1ステップ面31aに面する。第2側面42は、第1側面41に対向し、第1側面41を基準に第1ステップ面31aの反対側に配置されている。棚48は、第2側面42にヒンジ49を介して回転可能に取り付けられている。
【0059】
これによって、棚48は、物体を載置できる水平状態から、棚48の下側の物体を取り出すことができる鉛直状態に回転することができる。
【0060】
(5)
本実施形態の油圧ショベル1では、収納箱17は、作業スペースSの第1ステップ面31aよりも下側に配置された底面47を有する。
【0061】
このように収納箱17の一部を旋回フレーム11に埋設して配置することができるため、収納箱17の上下方向を長くすることが可能となり、ペール缶92等の上下方向に長い物体を収納することができる。
【0062】
(6)
本実施形態の油圧ショベル1は、第1ステップ面31aをステップとし、第1ステップ面31aを含む通路15を更に備える。収納箱17は、通路15の隣に配置されている。
【0063】
このように通路15上に収納箱が設置されていないため、収納箱17のカバー40を開けた状態でも、作業者は通路15を通ることができる。
【0064】
(7)
本実施形態の油圧ショベル1では、第1ステップ面31aへの入口15aは、旋回体3の右側面3a側に配置されている。収納箱17は、第1ステップ面31aを挟んで入口15aに対向して配置されている。通路15は、第1ステップ面31aから旋回体3の後方に向かって配置されている。
【0065】
これにより、収納箱17のカバー40が開けられた状態でも、作業者は、通路15を通って旋回体3の後方に移動することができる。
【0066】
(8)
本実施形態の油圧ショベル1は、還元剤タンク18と、カバー70と、を備える。還元剤タンク18は、第1ステップ面31aの隣に配置されている。カバー70は、還元剤タンク18を覆い、開閉可能である。還元剤タンク18は、第1ステップ面31a側に向いた還元剤の補給口18aを有する。
【0067】
これにより、図8(b)に示すように、還元剤を補給するときに、作業者Hの膝H1が収納箱17に干渉せず、補充作業を行いやすくなる。
【0068】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0069】
(A)
上記実施形態では、収納箱17に収納する物体として、ツールバッグ91とペール缶92を例に挙げて説明したが、これらに限らなくてもよい。
【0070】
(B)
上記実施形態では、収納箱17に棚48が1つのみ設けられているが、棚48が2つ以上設けられていてもよい。
【0071】
(C)
上記実施形態では、通路15への入口15aが作業スペースSに面しており、入口15aの直後に作業スペースSが設けられているが、直後ではなくても、例えば、第2ステップ面31bに作業スペースSが設けられ、その隣に収納箱17が配置されていてもよい。
【0072】
(D)
上記実施形態では、通路15への入口15aは、旋回体3の右側面3a側に配置されているが、これに限らなくてもよく、作業スペースSの前側に設けられていてもよい。
【0073】
(E)
上記実施形態では、走行体2は履帯2c、2dで走行しているが、車輪を有し、車輪で走行してもよい。
【0074】
(F)
上記実施形態では、第1ステップ面31aは、第1段差面31d、第2ステップ面31b、第2段差面31e、および第3ステップ面31cとともに階段の一部を構成しているが、階段の一部でなくてもよく、作業スペースSの底面を構成するフラットな面であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示によれば、収納箱から取り出した収納物を置くことができる作業スペースを確保可能な効果を有し、作業機械等に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 :油圧ショベル
2 :走行体
3 :旋回体
17 :収納箱
48 :棚
S :作業スペース
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8