(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123991
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】炉熱予測用データ作成装置および該方法ならびに炉熱予測装置および該方法
(51)【国際特許分類】
C21B 5/00 20060101AFI20240905BHJP
F27D 19/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C21B5/00 323
F27D19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031856
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】加茂 和史
(72)【発明者】
【氏名】楢崎 博司
(72)【発明者】
【氏名】大谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】迫田 尚和
(72)【発明者】
【氏名】桑名 孝汰
(72)【発明者】
【氏名】笠井 昭人
【テーマコード(参考)】
4K056
【Fターム(参考)】
4K056AA01
4K056CA02
4K056FA02
4K056FA11
4K056FA12
(57)【要約】
【課題】本発明は、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる炉熱予測用データ作成装置および該方法、ならびに、これらをそれぞれ備えた炉熱予測装置および該方法を提供する。
【解決手段】本発明の炉熱予測用データ作成装置は、高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する第1温度測定部1と、前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する第2温度測定部2と、前記第1温度測定部1によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定部2によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを炉熱予測用データとして作成するデータ作成部32とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉の炉熱を予測するために用いられる炉熱予測用データを作成する炉熱予測用データ作成装置であって、
前記高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する第1温度測定部と、
前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する第2温度測定部と、
前記第1温度測定部によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定部によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するデータ作成部とを備える、
炉熱予測用データ作成装置。
【請求項2】
前記データ作成部は、前記第2温度データを前記炉熱予測用データとする第1作成方法、前記第1温度データと前記第2温度データとを合成した合成結果を前記炉熱予測用データする第2作成方法、および、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとする第3作成方法のうちのいずれかによって前記炉熱予測用データを作成する、
請求項1に記載の炉熱予測用データ作成装置。
【請求項3】
前記データ作成部は、
前記第2温度データの信頼性の程度を表す信頼度を求める信頼度演算部と、
前記信頼度演算部で求めた信頼度が所定の閾値に対して低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度演算部で求めた信頼度が前記閾値に対して高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成する作成部とを備える、
請求項2に記載の炉熱予測用データ作成装置。
【請求項4】
前記データ作成部は、前記第1温度と前記第2温度との一次多項式で前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する、
請求項2に記載の炉熱予測用データ作成装置。
【請求項5】
前記データ作成部は、前記第1温度に一致するように前記第2温度データをシフトすることによって前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する、
請求項2に記載の炉熱予測用データ作成装置。
【請求項6】
前記データ作成部は、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれかによって作成した前記炉熱予測用データを第1候補の炉熱予測用データとし、さらに、前記第1および第2温度データに基づいて第2候補の炉熱予測用データを作成する、
請求項2に記載の炉熱予測用データ作成装置。
【請求項7】
高炉の炉熱を予測するために用いられる炉熱予測用データを作成する炉熱予測用データ作成方法であって、
前記高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する第1温度測定工程と、
前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する第2温度測定工程と、
前記第1温度測定工程によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定工程によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するデータ作成工程とを備える、
炉熱予測用データ作成方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の炉熱予測用データ作成装置と、
前記炉熱予測用データ作成装置で作成された炉熱予測用データを用いて前記高炉の炉熱を予測する予測部とを備える、
炉熱予測装置。
【請求項9】
請求項7に記載の炉熱予測用データ作成方法と、
前記炉熱予測用データ作成方法で作成された炉熱予測用データを用いて前記高炉の炉熱を予測する炉熱予測工程とを備える、
炉熱予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉の炉熱を予測するために用いられる炉熱予測用データを作成する炉熱予測用データ作成装置および炉熱予測用データ作成方法、ならびに、これらをそれぞれ備えた炉熱予測装置および炉熱予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の炉熱として代表される高炉の溶銑温度は、溶銑の品質を維持する上で重要であり、一般に、送風温度、送風湿度、送風量、微粉炭吹込み量およびコークス比等の操業条件を操作(変更、調整、制御)することで、予め設定された所定の規定範囲内になるように制御される。しかしながら、大きなプラントの高炉では、操業条件を操作しても、直ちに溶銑温度が変更されるわけではなく、溶銑温度の変化は、数時間(例えば2時間等)以上経過した後に現れる。このため、いわゆるフィードバック制御が難しく、溶銑温度を安定化させるために、数時間先の溶銑温度の予測が要望されており、例えば、特許文献1に提案されている。
【0003】
前記特許文献1に開示された炉熱予測装置は、炉熱を予測する装置であって、所定時点から所定過去時間までにおける過去実績データに基づいて、炉熱の変化量を求める炉熱モデルを逐次生成する炉熱モデル生成部と、前記炉熱モデル生成部で生成した炉熱モデルを用いて前記所定時点から所定時間経過後における炉熱の変化量を求める炉熱変化量処理部とを備え、前記炉熱モデルは、時間遅れおよび定数倍ゲインの2個のパラメータを用いて表される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された炉熱予測装置は、前記特許文献1の従来技術より炉熱をより精度良く予測することが可能であるが、そのためには、所定時点から所定過去時間までにおける過去実績データが必要となる。前記高炉の炉熱として代表される高炉の溶銑温度は、一般に、接触型の熱電対によって測定されるが、この測定では、熱電対の特性等から十数分間隔や数十分間隔等の間欠的な測定となるため、比較的急激な温度変化を捉えることが難しいことから、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる炉熱予測用データ作成装置および炉熱予測用データ作成方法、ならびに、これらをそれぞれ備えた炉熱予測装置および炉熱予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる炉熱予測用データ作成装置は、高炉の炉熱を予測するために用いられる炉熱予測用データを作成する装置であって、前記高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する第1温度測定部と、前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する第2温度測定部と、前記第1温度測定部によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定部によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するデータ作成部とを備える。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記第1温度測定部は、浸漬型熱電対温度計である。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記第2温度測定部は、放射温度計である。
【0008】
このような炉熱予測用データ作成装置は、第1時間間隔で測定する第1温度測定部に加えて前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で測定する第2温度測定部を備え、前記第1温度測定部による前記第1温度データおよび前記第2温度測定部による前記第2温度データに基づいて前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するので、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。例えば、撮像素子で溶銑の放射輝度を測って前記放射輝度を温度に変換する放射温度計等の非接触型の温度計は、例えば浸漬型熱電対温度計等の接触型の温度計に較べて短い時間間隔で温度を測定することが可能であるが、高炉という非接触型の温度計にとって好ましくない測定環境では、大きな測定誤差で測定される虞があるため、前記第2温度測定部による前記第2温度データを前記炉熱予測用データとすると、精度よく炉熱を予測できない虞がある。上記炉熱予測用データ作成装置は、前記第2温度測定部による前記第2温度データだけでなく前記第1温度測定部による前記第1温度データにも基づいて前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するので、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。
【0009】
他の一態様では、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第2温度データを前記炉熱予測用データとする第1作成方法、前記第1温度データと前記第2温度データとを合成した合成結果を前記炉熱予測用データする第2作成方法、および、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとする第3作成方法のうちのいずれかによって前記炉熱予測用データを作成する。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第1温度データに対する前記第2温度データの乖離の程度を表す乖離度を求め、前記求めた乖離度に基づいて前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選択することによって前記炉熱予測用データを作成する。
【0010】
これによれば、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれかによって前記炉熱予測用データを作成する炉熱予測用データ作成装置が提供できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第2温度データの信頼性の程度を表す信頼度を求める信頼度演算部と、前記信頼度演算部で求めた信頼度が所定の閾値に対して低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度演算部で求めた信頼度が前記閾値に対して高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成する作成部とを備える。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記信頼度演算部は、前記第2温度測定部で測定した第2温度の有効性の程度を表す有効度を前記信頼度として求める。
【0012】
上述したように、高炉という非接触型の温度計にとって好ましくない測定環境では、大きな測定誤差で測定される虞がある。上記炉熱予測用データ作成装置は、前記信頼度が低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度が高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成するので、信頼性の高い炉熱予測用データを作成できる。
【0013】
他の一態様では、これら上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第1温度と前記第2温度との一次多項式で前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する。
【0014】
これによれば、前記第1温度と前記第2温度との一次多項式で前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する炉熱予測用データ作成装置が提供できる。
【0015】
他の一態様では、これら上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第1温度に一致するように前記第2温度データをシフトすることによって前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する。
【0016】
これによれば、前記第1温度に一致するように前記第2温度データをシフトすることによって前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する炉熱予測用データ作成装置が提供できる。
【0017】
他の一態様では、これら上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれかによって作成した前記炉熱予測用データを第1候補の炉熱予測用データとし、さらに、前記第1および第2温度データに基づいて第2候補の炉熱予測用データを作成する。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第1作成方法によって前記第1候補の炉熱予測用データを作成した場合、前記第2作成方法によって前記第2候補の炉熱予測用データを作成する。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第2作成方法によって前記第1候補の炉熱予測用データを作成した場合、前記第1作成方法によって前記第2候補の炉熱予測用データを作成する。好ましくは、上述の炉熱予測用データ作成装置において、前記データ作成部は、前記第3作成方法によって前記第1候補の炉熱予測用データを作成する場合、前記出銑の開始後、所定の時間経過後における前記第1温度データを前記第1候補の炉熱予測用データとし、前記第1温度データのうち最終の第1温度を前記第2候補の炉熱予測用データとする。
【0018】
高炉の炉熱を予測した場合、第1候補の炉熱予測用データでの第1予測結果と第2候補の炉熱予測用データでの第2予測結果とは、略一致あるいは同様の傾向(起点時点(例えば現時点)に対して予測時点で炉熱が上昇する上昇傾向や炉熱が降下する下降傾向)を示すはずである。上記炉熱予測用データ作成装置は、第1および第2候補の炉熱予測用データを作成するので、高炉の炉熱を予測した場合、第1および第2予測結果を比較することで、予測結果の信頼性を検討できる。
【0019】
本発明の他の一態様にかかる炉熱予測用データ作成方法は、高炉の炉熱を予測するために用いられる炉熱予測用データを作成する方法であって、前記高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する第1温度測定工程と、前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する第2温度測定工程と、前記第1温度測定工程によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定工程によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するデータ作成工程とを備える。
【0020】
このような炉熱予測用データ作成方法は、炉熱予測用データ作成装置と同様な作用効果を奏する。
【0021】
本発明の他の一態様にかかる炉熱予測装置は、これら上述のいずれかの炉熱予測用データ作成装置と、前記炉熱予測用データ作成装置で作成された炉熱予測用データを用いて前記高炉の炉熱を予測する炉熱予測部とを備える。
【0022】
本発明の他の一態様にかかる炉熱予測方法は、上述の炉熱予測用データ作成方法と、前記炉熱予測用データ作成方法で作成された炉熱予測用データを用いて前記高炉の炉熱を予測する炉熱予測工程とを備える。
【0023】
これらによれば、前記炉熱予測用データ作成装置および前記炉熱予測用データ作成方法をそれぞれ備えた炉熱予測装置および炉熱予測方法が提供できる。これら炉熱予測装置および炉熱予測方法は、それぞれ、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できるので、より精度よく炉熱を予測できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる炉熱予測用データ作成装置および前記炉熱予測用データ作成方法は、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。本発明によれば、これら前記炉熱予測用データ作成装置および前記炉熱予測用データ作成方法をそれぞれ備えた炉熱予測装置および炉熱予測方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態における炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1および第2温度測定部によって溶銑の温度を測定する様子を説明するための概略図である。
【
図4】前記炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0027】
実施形態における炉熱予測装置は、高炉の炉熱を予測するために用いられる炉熱予測用データを作成する炉熱予測用データ作成装置と、前記炉熱予測用データ作成装置で作成された炉熱予測用データを用いて前記高炉の炉熱を予測する予測部とを備える。この炉熱予測用データ作成装置は、前記高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する第1温度測定部と、前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する第2温度測定部と、前記第1温度測定部によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定部によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するデータ作成部とを備える。以下、このような炉熱予測装置および炉熱予測用データ作成装置ならびにこれらそれぞれに実装された炉熱予測方法および炉熱予測用データ作成方法について、一例として、炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置を用いて、より具体的に説明する。
【0028】
図1は、実施形態における炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置の構成を示すブロック図である。
図2は、第1および第2温度測定部によって溶銑の温度を測定する様子を説明するための概略図である。
図3は、第2合成方法を説明するための図である。
図3Aは、合成前を示し、
図3Bは、合成後を示す。
図3Aおよび
図3Bの各横軸は、時刻であり、これらの各縦軸は、温度である。
【0029】
実施形態における炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sは、例えば、
図1および
図2に示すように、第1温度測定部1と、第2温度測定部2と、制御処理部3と、入力部4と、表示部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7とを備える。
【0030】
第1温度測定部1は、有線または無線によって制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、高炉の出銑口から出銑された溶銑の温度を前記溶銑に接触させて第1時間間隔で測定する装置である。第1温度測定部1は、定期的なまたは不定期的な前記第1時間間隔で測定した温度(第1温度)を制御処理部3に出力し、制御処理部3は、例えば制御処理部3に機能的に構成された時計部(不図示)で計時した時刻を測定時点の時刻として前記測定時点と対応付けて記憶部7に記憶する。これによって記憶部7には、第1温度測定部1によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データが記憶される。例えば、第1温度測定部1は、
図2に示すように、高炉SFに形成された出銑口PHから、出銑樋SGへ流出する出銑滓流PSにおける溶銑の温度を、出銑樋SGで前記溶銑に接触、より具体的には浸漬させて測定する浸漬型熱電対温度計等である。前記浸漬型熱電対温度計は、一般に、必要に応じて人手によってその熱電対プローブを溶銑に浸漬して測定するため、比較的正確な溶銑の温度を測定できるが、熱電対プローブの耐久性が乏しく、連続的な測定が困難であるため、十数分間隔や数十分間隔等の間欠的な測定となる。
【0031】
第2温度測定部2は、有線または無線によって制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で前記溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定する装置である。第2温度測定部2は、前記第2時間間隔で測定した温度(第2温度)を制御処理部3に出力し、制御処理部3は、例えば前記時計部(不図示)で計時した時刻を測定時点の時刻として前記測定時点と対応付けて記憶部7に記憶する。これによって記憶部7には、第2温度測定部2によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データが記憶される。例えば、第2温度測定部2は、
図2に示すように、高炉SFの出銑口PHから出銑樋SGへ流出する出銑滓流PSにおける溶銑の温度を前記溶銑に非接触で測定できるように適宜に配設される放射温度計等である。前記放射温度計は、撮像素子で溶銑を撮像することによって前記溶銑の放射輝度を測って前記放射輝度を温度に変換する装置である。このような放射温度計は、例えば数秒間隔で溶銑を撮像できるので、連続的な測定が可能である。出銑滓流PSにおける溶銑の温度を非接触で測定する装置は、公知であり、例えば、特許6776180号公報、特許第7189844号公報および特開2020-204475号公報等に開示されている。なお、このような連続的な測定の時間間隔が既知である場合、必ずしも測定ごとに測定時点を対応付ける必要は無く、測定開始時刻(または測定終了時刻)を第2測定データに対応付ければ、よい。本実施形態では、第2温度測定部2は、所定のフレームレート[x回/分]で溶銑を撮像して溶銑の温度を求め、例えば移動平均や中央値や最頻値等の代表値を1分ごとに求め、前記第2時間間隔として1分間隔で溶銑の温度を異常フラグとともに制御処理部3に出力する。前記異常フラグは、前記1分間隔で求めた溶銑の温度が正常か異常かを表すフラグである。例えば、第2温度測定部2と溶銑との間に湯気等が入り込んだりすると、単位時間当たりの輝度変動が大きくなるために、予め設定された閾値(判定閾値)より溶銑の単位時間当たりの輝度分散値が大きく求められた場合には、第2温度測定部2は、前記求めた溶銑の温度を異常と判定し、異常を表す異常フラグ;「-1」を出力する。一方、前記輝度分散値が前記判定閾値以上である場合には、第2温度測定部2は、前記求めた溶銑の温度を正常と判定し、正常を表す異常フラグ;「+1」を出力する。なお、正常を表す異常フラグの出力は、省略されてもよい(すなわち、測定温度のみが出力される)。
【0032】
入力部4は、制御処理部3に接続され、例えば、炉熱予測用データの作成開始を指示するコマンドや所定時間の経過後の炉熱の予測を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば炉熱予測用データを作成するための過去実績データの範囲や炉熱を予測する予測時点の前記所定時間等の、炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sを動作させる上で必要な各種データを炉熱予測装置Sに入力する機器であり、例えば、やキーボードや、マウスや、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。表示部5は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、入力部4から入力されたコマンドや、作成した炉熱予測用データや、炉熱の予測結果等を表示する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置等である。
【0033】
なお、入力部4および表示部5からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部4は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置である。このタッチパネルでは、前記表示装置の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、前記表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として炉熱予測装置Sに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い炉熱予測装置Sが提供される。
【0034】
IF部6は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部6は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0035】
記憶部7は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、制御プログラム、データ作成プログラムおよび予測プログラム等が含まれ、前記データ作成プログラムには、前処理プログラム、信頼度演算プログラムおよび作成プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、炉熱予測装置Sの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記データ作成プログラムは、前記第1温度測定部1によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび前記第2温度測定部2によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するプログラムである。前記予測プログラムは、前記炉熱予測用データ作成装置の前記データ作成プログラムで作成された炉熱予測用データを用いて前記高炉の炉熱を予測するプログラムである。前記前処理プログラムは、例えば欠損データの補完や第1温度データと第2温度データとのデータ間隔を揃える(合わせる)等の所定の前処理を実施するプログラムである。前記信頼度演算プログラムは、前記第2温度データの信頼性の程度を表す信頼度を求めるプログラムである。前記作成プログラムは、前記信頼度演算部で求めた信頼度が所定の閾値に対して低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度演算部で求めた信頼度が前記閾値に対して高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成するプログラムである。前記各種の所定のデータには、過去実績における前記第1および第2温度データ等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部7は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部7は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部3のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部7は、大容量を記憶可能なハードディスク装置を備えてもよい。
【0036】
制御処理部3は、炉熱予測装置Sの各部1、2、3~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、炉熱予測用データを作成し、前記作成した炉熱予測用データを用いることによって高炉の炉熱を予測するための回路である。制御処理部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、データ作成部32および予測部33が機能的に構成され、データ作成部32には、前処理部321、信頼度演算部322および作成部323が機能的に構成される。
【0037】
制御部31は、炉熱予測装置Sの各部1、2、3~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、炉熱予測装置S全体の制御を司るものである。
【0038】
データ作成部32は、第1温度測定部1によって前記第1時間間隔で測定した時系列な複数の第1温度から成る第1温度データおよび第2温度測定部2によって前記第2時間間隔で測定した時系列な複数の第2温度から成る第2温度データに基づいて、溶銑の温度データを炉熱予測用データとして作成するものである。
【0039】
より具体的には、データ作成部32は、前記第2温度データを前記炉熱予測用データとする第1作成方法、前記第1温度データと前記第2温度データとを合成した合成結果を前記炉熱予測用データする第2作成方法、および、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとする第3作成方法のうちのいずれかによって前記炉熱予測用データを作成する。好ましくは、データ作成部32は、例えば、前記第1温度データに対する前記第2温度データの乖離の程度を表す乖離度を求め、前記求めた乖離度に基づいて前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選択することによって前記炉熱予測用データを作成する。データ作成部32は、前記第2温度データの信頼性の程度を表す信頼度を求め、前記求めた信頼度が所定の閾値に対して低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度演算部で求めた信頼度が前記閾値に対して高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成する作成部とを備える。好ましくは、データ作成部32は、前記第2温度測定部2で測定した第2温度の有効性の程度を表す有効度を前記信頼度として求める。好ましくは、例えば、データ作成部32は、前記第1温度と前記第2温度との一次多項式で前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する。あるいは、好ましくは、例えば、データ作成部32は、前記第1温度に一致するように前記第2温度データをシフトすることによって前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する。データ作成部32は、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれかによって作成した前記炉熱予測用データを第1候補の炉熱予測用データとし、さらに、前記第1および第2温度データに基づいて第2候補の炉熱予測用データを作成する。好ましくは、例えば、データ作成部32は、前記第1作成方法によって前記第1候補の炉熱予測用データを作成した場合、前記第2作成方法によって前記第2候補の炉熱予測用データを作成する。好ましくは、例えば、データ作成部32は、前記第2作成方法によって前記第1候補の炉熱予測用データを作成した場合、前記第1作成方法によって前記第2候補の炉熱予測用データを作成する。好ましくは、例えば、データ作成部32は、前記第3作成方法によって前記第1候補の炉熱予測用データを作成する場合、前記出銑の開始後、所定の時間経過後における前記第1温度データを前記第1候補の炉熱予測用データとし、前記第1温度データのうち最終の第1温度を前記第2候補の炉熱予測用データとする。
【0040】
より詳しくは、データ作成部32は、前処理部321、信頼度演算部322および作成部323によって、次のように、炉熱予測用データを作成する。
【0041】
前処理部321は、例えば欠損データの補完や第1温度データと第2温度データとのデータ間隔を揃える(合わせる)等の所定の前処理を実施するものである。
【0042】
より具体的には、まず、前記第1温度データは、定期的なまたは不定期的な第1時間間隔で測定された複数の第1温度から成るデータであるので、一定の第3時間間隔のデータとするために、前処理部321は、横軸を測定時刻(測定時点)とし、縦軸を温度とする座標空間に、前記複数の第1温度をプロットすることによって、測定時点に対する温度のグラフ(第1グラフ)を作成し、前記作成した第1グラフから、予測を行う時点(起点時点、例えば現時点(現在時刻)や所望時点等)から過去へ第3時間間隔で温度を抽出することによって、第3時間間隔の複数の温度(第3温度)から成る第3温度データを生成する。なお、出銑前の出銑樋SGは、低温であるので、出銑直後に出銑樋SGを流れる溶銑の温度は、出銑口PHから出た時点の温度より低くなるので、前記第3温度データは、出銑開始時刻から所定の時間(例えば1時間や2時間等)TSの経過後における複数の第3温度で構成されることが好ましい。そして、前記第2温度データは、前記第2時間間隔で測定された複数の第2温度から成るデータであるので、前記第3時間間隔のデータとするために、前処理部321は、前記起点時点から過去へ前記第3時間間隔の温度のデータとなるように、例えば移動平均や中央値や最頻値等の代表値を抽出することによって、第3時間間隔の複数の温度(第4温度)から成る第4温度データを生成する。なお、前記第3時間間隔は、前記第2時間間隔より長い。
【0043】
ここで、前記第2温度データには、異常フラグ;「-1」の異常な温度が含まれるので、この異常フラグ;「-1」の異常な第2温度は、除去され、補完によって新たに生成され、前記第2温度データにおける第2温度とされる。前記補完には、例えば、異常フラグ;「-1」の異常な第2温度を含む所定の時間範囲において、複数の正常な第2温度を用いた直線補間が用いられる。あるいは、例えば、前記補完には、異常フラグ;「-1」の異常な第2温度を含む所定の時間範囲において、前記異常な第2温度の測定時点に対応する第1温度から、複数の第1温度の平均値を減算し、複数の正常な第2温度の平均値を加算することによって前記異常な第2温度に対する代替温度を求め、さらに、前記複数の正常な第2温度と前記代替温度とを平滑化する方法が用いられる。前記平滑化後の前記異常な第2温度の測定時点に対応する温度が補完によって求められた第2温度とされる。あるいは、例えば、前記補完には、横軸を測定時点(測定時刻)とし、縦軸を温度とする座標空間に、前記第2温度データにおける複数の正常な第2温度をプロットすることによって、測定時点に対する温度のグラフ(第2グラフ)を作成する方法が用いられる。前記第4温度データは、前記作成した第2グラフから、前記起点時点から過去へ第3時間間隔で温度を抽出することによって生成される。
【0044】
このように前処理部321によって、前記第1温度データに基づく第3温度データが生成され、前記第2温度データに基づく第4温度データが生成され、これら第3および第4温度データは、前記起点時点から過去へ、互いに第3時間間隔で同期したデータとなる。
【0045】
信頼度演算部322は、前記第2温度データの信頼性の程度を表す信頼度を求めるものである。より具体的には、信頼度演算部322は、前記第2温度測定部で測定した第2温度の有効性の程度を表す有効度を前記信頼度として求める。より詳しくは、信頼度演算部322は、第2温度データのデータ数に対する正常な第2温度のデータ数の比率を前記有効度として求める((有効度)=(正常な第2温度のデータ数)/(第2温度データのデータ数)、0≦(有効度)≦1)。前記有効度は、第2温度データのデータ数に対する異常な第2温度のデータ数の比率を1から減算することによって求められてもよい((有効度)=1-(異常な第2温度のデータ数)/(第2温度データのデータ数))。
【0046】
なお、上述では、前記有効度は、第2温度データのデータ数に対する正常な温度のデータ数の比率であるが、前記第2温度データにおいて、所定の個数(第1個数、例えば全体の1/6や1/5等の個数)、連続して異常フラグ;「-1」の第2温度があるか否かによって求められ、前記連続した異常フラグ;「-1」の第2温度がある場合には、前記有効度は、なし(=0)とされ、前記連続した異常フラグ;「-1」の第2温度がない場合には、前記有効度は、あり(=1)とされてもよい。あるいは、前記第2温度データにおいて、前記起点時点から過去に所定の個数(第2個数、例えば全体の1/12や1/10等の個数)、連続して異常フラグ;「-1」の第2温度があるか否かによって求められ、前記連続した異常フラグ;「-1」の第2温度がある場合には、前記有効度は、なし(=0)とされ、前記連続した異常フラグ;「-1」の第2温度がない場合には、前記有効度は、あり(=1)とされてもよい。
【0047】
作成部323は、前記信頼度演算部322で求めた信頼度、本実施形態では有効度が所定の閾値(有効性判定閾値)に対して低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度演算部322で求めた信頼度(有効度)が前記閾値(前記有効性判定閾値)に対して高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成する。本実施形態では、上述のように、前記第1温度データに基づく第3温度データが生成され、前記第2温度データに基づく第4温度データが生成され、さらに、本実施形態では、第1および第2候補の炉熱予測用データが作成されるので、より具体的には、次のように、炉熱予測用データが作成される。
【0048】
作成部323は、まず、信頼度演算部322で求めた有効度が前記有効性判定閾値以上であるか否かを判定する。前記有効性判定閾値は、予め適宜に設定される。
【0049】
前記判定の結果、信頼度演算部322で求めた有効度が前記有効性判定閾値以上ではない場合(すなわち、信頼度演算部322で求めた有効度が前記有効性判定閾値未満である場合)、作成部323は、前記第1温度データに基づく第3温度データを前記炉熱予測用データとする。より詳しくは、作成部323は、前記出銑開始時刻から所定の時間TSの経過後における複数の第3温度で構成される第3温度データ(所定時間経過後の第3温度データ)を第1候補の炉熱予測用データとし、前記第1温度データのうち最終の第1温度、本実施形態では第3温度データのうちの最終の第3温度を第2候補の炉熱予測用データとする。すなわち、この場合、前記第2候補の炉熱予測用温度データは、複数の前記最終の第3温度から成るデータ(最終温度の第3温度データ)である。
【0050】
前記判定の結果、信頼度演算部322で求めた有効度が前記有効性判定閾値以上である場合、作成部323は、前記第2温度データを前記炉熱予測用データとする第1作成方法、前記第1温度データと前記第2温度データとを合成した合成結果を前記炉熱予測用データする第2作成方法、および、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとする第3作成方法のうちのいずれかによって前記炉熱予測用データを作成する。本実施形態では、作成部323は、前記第1温度データに対する前記第2温度データの乖離の程度を表す乖離度を求め、前記求めた乖離度に基づいて前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選択することによって前記炉熱予測用データを作成する。
【0051】
より詳しくは、前記乖離度が第1条件(第1乖離条件)を満たす場合(すなわち、前記第1温度データに基づく第3温度データと前記第2温度データに基づく第4温度データとが略同等であると判定される場合(第1ケース))、作成部323は、前記第1作成方法を選択し、前記第2温度データに基づく第4温度データを第1候補の炉熱予測用データとする。そして、この場合、作成部323は、前記第2作成方法によって第2候補の炉熱予測用データを作成する。すなわち、作成部323は、前記第3温度データと前記第4温度データとを合成した合成結果を前記第2候補の炉熱予測用データする。
【0052】
前記乖離度が第2条件(第2乖離条件)を満たす場合(すなわち、前記第1温度データに基づく第3温度データと前記第2温度データに基づく第4温度データとは、温度変化の傾向が略同等である一方、温度変動の幅が大きいと判定される場合(第2ケース))、作成部323は、前記第2作成方法を選択し、前記第1温度データに基づく前記第3温度データと前記第2温度データに基づく前記第4温度データとを合成した合成結果を前記第1候補の炉熱予測用データする。そして、この場合、作成部323は、前記第1作成方法によって第2候補の炉熱予測用データを作成する。すなわち、作成部323は、前記第2温度データに基づく前記第4温度データを前記第2候補の炉熱予測用データとする。
【0053】
前記乖離度が第3条件(第3乖離条件)を満たす場合(すなわち、前記第1温度データに基づく第3温度データと前記第2温度データに基づく第4温度データとが乖離しているお判定される場合(第3ケース))、作成部323は、前記第3作成方法を選択し、前記第1温度データに基づく前記第3温度データ、より具体的には前記所定時間経過後の第3温度データを前記第1候補の炉熱予測用データする。そして、この場合、作成部323は、前記最終温度の第3温度データを第2候補の炉熱予測用データとする。
【0054】
前記乖離度Dは、例えば、前記第3温度データと前記第4温度データとの差を、所定の期間、各サンプリングタイミングで求め、それら各値に対して予測時刻に近いほど大きくなる重みを付けた絶対和である。2個の閾値Th1、Th2(Th1<Th2)に対し、D<Th1の場合は、第1乖離条件を満たす第1ケースであり、Th1<D<Th2の場合は、第2乖離条件を満たす第2ケースであり、D>Th2の場合は、第3乖離条件を満たす第3ケースである。前記閾値Th1、Th2は、例えば複数のサンプルに基づき適宜に設定される。
【0055】
前記合成では、例えば、作成部323は、前記第1温度と前記第2温度との一次多項式で前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する(第2合成方法)。より具体的には、例えば、前記第1温度データに基づく前記第3温度データと前記第2温度データに基づく前記第4温度データとの各測定時点それぞれについて、当該測定時点kにおける第3温度TP3(k)と第4温度TP4(k)とをw×TP3(k)+(1-w)×TP4(k)によって合成することで、合成した温度(合成温度)TP5(k)が求められる(TP5(k)=w×TP3(k)+(1-w)×TP4(k))。合成比(重み)wは、予め適宜に設定される(0<w<1)。あるいは、例えば、前記第1温度データに基づく前記第3温度データと前記第2温度データに基づく前記第4温度データとの各測定時点それぞれについて、当該測定時点kにおける第3温度TP3(k)と第4温度TP4(k)とをw×TP3(k)+(1-w)×TP4(k)+w×((第3温度データの全平均値TPave3)-(第4温度データの全平均値TPave4))によって合成することで、合成温度TP5(k)が求められる(TP5(k)=w×TP3(k)+(1-w)×TP4(k)+w×(TPave3-TPave4))。
【0056】
あるいは、例えば、作成部323は、前記第1温度に一致するように前記第2温度データをシフトすることによって前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する(第2合成方法)。より具体的には、
図3Aにおいて、第3温度データの第3温度が符号;「×」で表され、第4温度データのグラフが実線で表されている。そして、第3温度データにおいて選定された3個の測定時点をT1、T2、T3とし、これら3個の測定時点T1、T2、T3それぞれにおける前記第1温度データに基づく前記第3温度データの第3温度TP3に対する、前記第2温度データに基づく前記第4温度データの第4温度TP4の各差それぞれをδ1、δ2、δ3(
図3Aの例ではδ1>0、δ2>0、δ3<0)とした場合、T1≦t≦T2では、TP5(t)=TP4(t)+δ1+(δ2-δ1)×((t-T1)/(T2-T1))、TP5(T1)=TP4(T1)+δ1、TP5(T2)=TP4(T1)+δ2で求められ、T2≦t≦T3では、TP5(t)=TP4(t)+δ2+(δ3-δ2)×((t-T2)/(T3-T2))、TP5(T3)=TP4(T1)+δ3で求められ、T3<tでは、TP5(t)=TP4(t)+δ3で求められ、T1>tでは、TP5(t)=TP4(t)+δ1で求められる。これによって、3個の第3温度に一致するように前記第2温度データを略平行にシフトしたような、
図3Bに実線で示す合成温度データTP5(t)のグラフが求められる。なお、
図3Bでは、第4温度データのグラフは、破線で表されている。
【0057】
ここで、炉熱予測用データ作成装置は、一例として、本実施形態では、第1温度測定部1、第2温度測定部2およびデータ作成部32を備えて構成される。
【0058】
予測部33は、前記炉熱予測用データ作成装置におけるデータ作成部32で作成された炉熱予測用データを用いて高炉の炉熱を予測するものである。炉熱の予測には、例えば、炉熱予測モデルが用いられ、前記炉熱予測モデルには、予め用意された公知のモデルが用いられる。このような予測モデルは、例えば、特開2021-130860号公報や特開2018-145520号公報等に開示されている。前記特開2021-130860号公報に開示された炉熱モデルは、所定時点から所定過去時間までにおける過去実績データに基づいて、炉熱の変化量を求めるモデルであって、時間遅れおよび定数倍ゲインの2個のパラメータを用いて表されるモデルである。この炉熱モデルは、例えば、過去実績データによる炉熱の変化量と、過去実績データに基づき炉熱モデルで求めた炉熱の変化量との差分を用いて表される目的関数が最小となるように、前記パラメータを求めることによって、生成される。前記特開2018-145520号公報に開示された予測式は、高炉の操業条件の時間変化量と溶銑温度の時間変化量との関係を表す溶銑温度の時間変化量の回帰式である。この予測式は、時間変化量データセット内の複数の操業条件の実績値の時間変化量について、溶銑温度の予測時点における高炉の操業条件の時間変化量に対する類似度を算出し、時間変化量データセット内の操業条件の実績値の時間変化量と前記算出した類似度とを用いて、作成される。
【0059】
本実施形態では、上述のように、データ作成部32は、作成部323によって、第1および第2候補の炉熱予測用データを作成するので、予測部33は、前記第1候補の炉熱予測用データを炉熱モデルに用いて高炉の炉熱を予測し、前記第2候補の炉熱予測用データを炉熱モデルに用いて高炉の炉熱を予測する。
【0060】
そして、本実施形態では、制御処理部3は、前記第1候補の炉熱予測用データで予測した第1予測結果と、前記第2候補の炉熱予測用データで予測した第2予測結果とを比較し、比較結果が予め設定した所定の条件(注意喚起条件)を満たす場合に、注意を促すメッセージ(注意喚起メッセージ)を表示部5に表示する。前記注意喚起条件は、例えば、現在の炉熱に対する、予測した炉熱の変化の方向が第1予測結果と第2予測結果とで異なることである。例えば、前記注意喚起条件は、第1予測結果では、前記起点時点の炉熱に対し炉熱が上昇する変化である一方、第2予測結果では、前記起点時点の炉熱に対し炉熱が降下する変化である場合や、逆に、第1予測結果では、前記炉熱が降下する変化である一方、第2予測結果では、前記炉熱が上昇する変化である場合である。あるいは、例えば、前記注意喚起条件は、前記起点時点の炉熱に対する、予測した炉熱の変化量が第1予測結果と第2予測結果とで所定の閾値(温度差閾値)以上で異なることである。
【0061】
なお、炉熱予測装置Sは、例えばスピーカやブザー等の音を出力する音出力部をさらに備え、前記注意喚起メッセージに代え、注意を促すための音声やブザー音を前記音出力部から出力してもよい。
【0062】
これら制御処理部3、入力部4、表示部5、IF部6および記憶部7は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部3~7を構成するコンピュータは、例えば、高炉SFのオペレーションルームに配置され、高炉SFのコンソールに組み込まれてよく(コンソールと兼用されてよく)、あるいは、コンソールと別体であってもよい。
【0063】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図4は、前記炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置の動作を示すフローチャートである。
【0064】
このような構成の、炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部3には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部31、データ作成部32および予測部33が機能的に構成され、データ作成部32には、前処理部321、信頼度演算部322および作成部323が機能的に構成される。
【0065】
図4において、第1温度測定部1は、溶銑の温度を第1時間間隔で測定し、炉熱予測装置Sは、制御処理部3によって、この測定した溶銑の温度(第1温度)を第1温度測定部1から取得し、第2温度測定部2は、溶銑の温度を第2時間間隔で測定し、炉熱予測装置Sは、制御処理部3によって、この測定した溶銑の温度(第2温度)を第2温度測定部2から取得する(S1)。これによって記憶部7には、第1温度データが記憶され、第2温度データが記憶される。
【0066】
続いて、炉熱予測装置Sは、ユーザ(オペレータ)による起点時点の入力を入力部4で受け付け、制御処理部3におけるデータ作成部32の前処理部321によって、第1温度データに基づいて第3温度データを生成し、第2温度データに基づいて第4温度データを生成する(S2)。
【0067】
続いて、炉熱予測装置Sは、制御処理部3におけるデータ作成部32の信頼度演算部322によって、信頼度、本実施形態では有効度を求める(S3)。
【0068】
続いて、炉熱予測装置Sは、制御処理部3におけるデータ作成部32の作成部323によって、第2温度データに基づいて第4温度データの信頼性(有効性)が処理S3で求めた有効度と前記有効性判定閾値とを比較することによって判定される(S4)。この判定の結果、前記有効度が前記有効性判定閾値未満であるため、有効性がない場合(No)には、炉熱予測装置Sは、次に、処理S5を実行し、一方、前記有効度が前記有効性判定閾値以上であるため、有効性がある場合(Yes)には、炉熱予測装置Sは、次に、処理S6を実行する。
【0069】
この処理S5では、炉熱予測装置Sは、作成部323によって、前記所定時間経過後の第3温度データを第1候補の炉熱予測用データとし、前記最終温度の第3温度データを第2候補の炉熱予測用データとすることによって、第1および第2候補の炉熱予測用データを作成する。炉熱予測装置Sは、この処理S5の実行の次に、処理S8を実行する。
【0070】
前記処理S6では、炉熱予測装置Sは、作成部323によって、前記乖離度を求め、前記求めた乖離度に基づいて前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選択することによって第1候補の炉熱予測用データを作成する。炉熱予測装置Sは、この処理S6の実行の次に、処理S7を実行する。
【0071】
この処理S7では、炉熱予測装置Sは、作成部323によって、前記処理S6で選択した作成方法に応じた第2候補の炉熱予測用データを作成する。炉熱予測装置Sは、この処理S7の実行の次に、処理S8を実行する。
【0072】
前記処理S8では、炉熱予測装置Sは、制御処理部3の予測部33によって、前記第1候補の炉熱予測用データを炉熱モデルに用いて高炉の炉熱を予測し、前記第2候補の炉熱予測用データを炉熱モデルに用いて高炉の炉熱を予測する。
【0073】
続いて、炉熱予測装置Sは、制御処理部3によって、前記第1候補の炉熱予測用データで予測した第1予測結果と、前記第2候補の炉熱予測用データで予測した第2予測結果とを比較した比較結果と前記注意喚起条件とに基づいて、注意喚起の必要性を判定する(S9)。この判定の結果、前記比較結果が前記注意喚起条件を満たさない場合(No)には、炉熱予測装置Sは、制御処理部3の制御部31によって、前記第1および第2予測結果を表示部5に表示して出力し(S10)、本処理を終了する。一方、前記判定の結果、前記比較結果が前記注意喚起条件を満たす場合(Yes)には、炉熱予測装置Sは、制御部31によって、前記注意喚起メッセージを表示部5に表示して出力し、前記第1および第2予測結果を表示部5に表示して出力し(S11)、本処理を終了する。なお、前記第1および第2予測結果は、必要に応じて、IF部6を介して外部の機器へ出力されてもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態における、炉熱予測装置Sに備えられた炉熱予測用データ作成装置は、第1時間間隔で測定する第1温度測定部1に加えて前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で測定する第2温度測定部2を備え、前記第1温度測定部1による前記第1温度データおよび前記第2温度測定部2による前記第2温度データに基づいて前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するので、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。例えば放射温度計等の非接触型の温度計は、例えば浸漬型熱電対温度計等の接触型の温度計に較べて短い時間間隔で温度を測定することが可能であるが、高炉という非接触型の温度計にとって好ましくない測定環境では、大きな測定誤差で測定される虞があるため、前記第2温度測定部2による前記第2温度データを前記炉熱予測用データとすると、精度よく炉熱を予測できない虞がある。上記炉熱予測用データ作成装置は、前記第2温度測定部2による前記第2温度データだけでなく前記第1温度測定部1による前記第1温度データにも基づいて前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するので、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。
【0075】
上記炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sに実装される炉熱予測用データ作成方法は、第1時間間隔で測定する第1温度測定工程に加えて前記第1時間間隔より短い第2時間間隔で測定する第2温度測定工程を備え、前記第1温度測定工程による前記第1温度データおよび前記第2温度測定工程による前記第2温度データに基づいて前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するので、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。上記炉熱予測用データ作成方法は、前記第2温度測定工程による前記第2温度データだけでなく前記第1温度測定工程による前記第1温度データにも基づいて前記溶銑の温度データを前記炉熱予測用データとして作成するので、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できる。
【0076】
本実施形態によれば、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれかによって前記炉熱予測用データを作成する上記炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sおよび炉熱予測用データ作成方法が提供できる。
【0077】
上述したように、高炉という非接触型の温度計にとって好ましくない測定環境では、大きな測定誤差で測定される虞がある。上記炉熱予測用データ作成装置および炉熱予測用データ作成方法は、前記信頼度が低い場合、前記第1温度データを前記炉熱予測用データとし、前記信頼度が高い場合、前記第1ないし第3作成方法のうちのいずれか1つを選定することによって前記炉熱予測用データを作成するので、信頼性の高い炉熱予測用データを作成できる。
【0078】
本実施形態によれば、前記第1温度と前記第2温度との一次多項式で前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する上記炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sおよび炉熱予測用データ作成方法が提供できる。
【0079】
本実施形態によれば、前記第1温度に一致するように前記第2温度データをシフトすることによって前記第1温度データと前記第2温度データとを合成する上記炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置Sおよび炉熱予測用データ作成方法が提供できる。
【0080】
高炉の炉熱を予測した場合、第1候補の炉熱予測用データでの第1予測結果と第2候補の炉熱予測用データでの第2予測結果とは、略一致あるいは同様の傾向(起点時点(例えば現時点)に対して予測時点で炉熱が上昇する上昇傾向や炉熱が降下する下降傾向)を示すはずである。上記炉熱予測用データ作成装置および炉熱予測用データ作成方法は、第1および第2候補の炉熱予測用データを作成するので、高炉の炉熱を予測した場合、第1および第2予測結果を比較することで、予測結果の信頼性を検討できる。
【0081】
本実施形態によれば、前記炉熱予測用データ作成装置および前記炉熱予測用データ作成方法をそれぞれ備えた炉熱予測装置Sおよび炉熱予測方法が提供できる。上記炉熱予測装置および炉熱予測方法は、より精度よく炉熱を予測するための炉熱予測用データを作成できるので、より精度よく炉熱を予測できる。炉熱の予測結果を参照することで、必要に応じて、例えば、送風温度、送風湿度、送風量、微粉炭吹込み量およびコークス比等の操業条件を操作(変更、調整、制御)することで、高炉の溶銑温度を、予め設定された所定の規定範囲内になるように制御でき、溶銑の品質の維持が可能となる。
【0082】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0083】
S 炉熱予測用データ作成装置を備えた炉熱予測装置
1 第1温度測定部
2 第2温度測定部
3 制御処理部
4 入力部
5 表示部
7 記憶部
31 制御部
32 データ作成部
33 予測部
321 前処理部
322 信頼度演算部
323 作成部