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  • 特開-除染装置 図1
  • 特開-除染装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123992
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】除染装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/06 20060101AFI20240905BHJP
   B29C 31/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C08J11/06 ZAB
B29C31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031859
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 伴成
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 優
(72)【発明者】
【氏名】畠山 博樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 友
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利一
(72)【発明者】
【氏名】小宮 温
【テーマコード(参考)】
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA50
4F201AJ08
4F201AK03
4F201AL01
4F201AL06
4F201AL07
4F201AL20
4F201AR06
4F201AR09
4F201BA06
4F201BC02
4F201BD04
4F201BQ02
4F201BQ44
4F201BQ45
4F201BQ53
4F401AA22
4F401AC11
4F401CA89
4F401CA91
4F401CB02
4F401CB35
4F401DC06
4F401FA01Y
(57)【要約】
【課題】優れた除染装置を提供する
【解決手段】除染装置1は、熱可塑性樹脂のフレークが投入されるように構成されており、内部を減圧して前記フレークにエネルギーを与えることで、前記フレークから汚染物質を除去するように構成された第1除染タンク10と、第1除染タンク10で処理された前記フレークが投入されるように構成されており、内部を減圧して前記フレークにエネルギーを与えることで、前記フレークから汚染物質を除去するように構成された第2除染タンク30と、スクリュウ61を有しており、第2除染タンク30で処理された前記フレークをスクリュウ61によって送り出す送り出し部60とを備え、送り出し部60の入口におけるフレークの最高温度が当該フレークの溶融温度を下回るように制御されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂のフレークが投入されるように構成されており、内部を減圧して前記フレークにエネルギーを与えることで、前記フレークから汚染物質を除去するように構成された第1除染タンクと、
前記第1除染タンクで処理された前記フレークが投入されるように構成されており、内部を減圧して前記フレークにエネルギーを与えることで、前記フレークから汚染物質を除去するように構成された第2除染タンクと、
スクリュウを有しており、前記第2除染タンクで処理された前記フレークを前記スクリュウによって送り出す送り出し部と
を備え、
前記送り出し部の入口における前記フレークの最高温度が当該フレークの溶融温度を下回るように制御されている、
除染装置。
【請求項2】
前記第2除染タンクの内部における前記フレークへのエネルギー供給は、前記第2除染タンクの下方よりも前記第2除染タンクの上方の方が大きくなるように構成されている、請求項1に記載の除染装置。
【請求項3】
前記第2除染タンクは、前記第2除染タンクの内部の上方と下方とにそれぞれ少なくとも1つずつ、中心軸周りに回転可能であり前記フレークを攪拌するように構成された羽根を備え、
前記第2除染タンクの内部における前記フレークへのエネルギー供給は、前記第2除染タンクの下方よりも前記第2除染タンクの上方の方が大きくなるように、前記上方の羽根は前記下方の羽根よりも前記フレークとの抵抗が大きい形状を有する、又は、前記上方の羽根は前記下方の羽根よりも速く回転する、
請求項2に記載の除染装置。
【請求項4】
前記第1除染タンク内の前記フレークの量は、前記第2除染タンク内の前記フレークの量よりも多くなるように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の除染装置。
【請求項5】
前記第1除染タンク内の前記フレークの量は前記第2除染タンク内の前記フレークの量よりも多くなるように、前記第1除染タンクから前記第2除染タンクへと導入される前記フレークの量を調整する調整機構を備える、請求項4に記載の除染装置。
【請求項6】
前記第1除染タンク内の前記フレークの量は前記第2除染タンク内の前記フレークの量よりも多くなるように、前記第1除染タンクの容量は、前記第2除染タンクの容量よりも大きい、請求項4に記載の除染装置。
【請求項7】
前記第1除染タンクの内部における前記フレークへのエネルギー供給量は、前記第2除染タンクの内部における前記フレークへのエネルギー供給量よりも大きい、請求項1に記載の除染装置。
【請求項8】
前記第1除染タンクは、中心軸周りに回転可能であり前記フレークを攪拌するように構成された羽根とヒーターとの少なくとも一方を備え、
前記第2除染タンクは、前記第2除染タンクを保温するためのヒーターを備える、
請求項7に記載の除染装置。
【請求項9】
前記第2除染タンクは、
前記第2除染タンク内の温度を測定するように構成された温度センサと、
中心軸周りに回転可能であり前記フレークを攪拌するように構成された羽根と、
前記送り出し部の入口における前記フレークの最高温度が当該フレークの溶融温度を下回るように、前記温度センサによる測定値に基づいて前記羽根の回転速度を制御するように構成された制御装置と
を備える、請求項1乃至3の何れかに記載の除染装置。
【請求項10】
前記第2除染タンク及び前記送り出し部は、前記第2除染タンクから前記送り出し部へと前記フレークが送られるときに前記フレークの温度が上昇しない形状を有する、請求項1乃至3の何れかに記載の除染装置。
【請求項11】
前記送り出し部は、当該送り出し部の入口の部分を冷却する冷却機構を備える、請求項1乃至3の何れかに記載の除染装置。
【請求項12】
前記第2除染タンクと前記送り出し部との間に設けられた、前記フレークを一時的にためるための中間タンクをさらに備える、請求項1に記載の除染装置。
【請求項13】
前記スクリュウの表面には、前記フレークが付着しにくいように表面処理が施されている、請求項1乃至3の何れかに記載の除染装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂の除染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にPETボトルなどと呼ばれる、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂を用いた合成樹脂製の容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容物とする容器として広く利用されている。使用済みのPETボトルを回収し、これをリサイクル材として再利用し、再びPETボトルを製造することが行われている。例えば、特許文献1には、回収したPETボトルをフレーク状に粉砕し、除染装置を用いてこのフレークから汚染物質を除去し、除染したフレークを用いてプリフォームを作製することが開示されている。上述のような除染装置については、長時間連続運転時の処理能力の維持など、更なる高性能化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-514728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた除染装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、除染装置は、熱可塑性樹脂のフレークが投入されるように構成されており、内部を減圧して前記フレークにエネルギーを与えることで、前記フレークから汚染物質を除去するように構成された第1除染タンクと、前記第1除染タンクで処理された前記フレークが投入されるように構成されており、内部を減圧して前記フレークにエネルギーを与えることで、前記フレークから汚染物質を除去するように構成された第2除染タンクと、スクリュウを有しており、前記第2除染タンクで処理された前記フレークを前記スクリュウによって送り出す送り出し部とを備え、前記送り出し部の入口における前記フレークの最高温度が当該フレークの溶融温度を下回るように制御されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れた除染装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る除染装置の構成例の概略を模式的に示す図である。
図2図2は、変形例に係る除染装置の構成例の概略を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る除染装置1の構成例の概略を模式的に示す図である。除染装置1は、プラスチックのリサイクル材の除染を行うための装置である。リサイクル材は、使用済みプラスチックボトルを粉砕して洗浄することによって生成された熱可塑性樹脂のフレークである。
【0009】
このフレークは、例えば、PETボトルなどと呼ばれるポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂を用いた合成樹脂製の使用済み容器が回収され、粉砕、洗浄、乾燥等の処理を経て準備されたPETフレークである。PETフレークは、例えば約8mm角の小片である。本実施形態の除染装置1は、長時間連続運転しても、処理能力が低下しないように工夫されている。
【0010】
図1に示すように、除染装置1は、第1除染タンク10と、第2除染タンク30と、送り出し部60とを備える。第1除染タンク10と第2除染タンク30とは類似の構成を有する。第1除染タンク10と第2除染タンク30において、フレークから汚染物質が除去される。除染されたフレークは、送り出し部60から下流の工程へと供給される。送り出し部60の下流には、例えば、射出成形機が設けられていてもよい。
【0011】
第1除染タンク10は、その内部でフレークの除染を行う第1タンク本体11を有する。第1タンク本体11には、第1真空ポンプ16に接続された第1減圧管15が設けられている。第1タンク本体11内は、フレークの除染のため、第1真空ポンプ16によって減圧される。
【0012】
第1タンク本体11の上部には、フレークが投入される第1投入部12が設けられている。また、第1投入部12には、2つの第1シャッター13が設けられている。2つの第1シャッター13が順に開閉することで、第1タンク本体11内の真空を維持したまま、フレークは、第1タンク本体11内に投入される。第1タンク本体11内の所定高さまで堆積するように、フレークは、第1タンク本体11内に投入される。
【0013】
第1除染タンク10内には、垂直に伸びる第1回転軸21が設けられている。第1回転軸21には、複数の羽根を含む第1羽根群23が設けられている。第1回転軸21は、例えばモータを含む第1駆動部22によって軸周りに回転する。第1回転軸21の回転によって、第1羽根群23が回転することで、第1タンク本体11内に堆積しているフレークは水平方向に攪拌される。このとき生じる摩擦熱によって、フレークは加熱され、フレークの温度は上昇する。すなわち、この例では第1羽根群23を介して行われるように、フレークにエネルギーが与えられることで、フレークが加熱される。第1タンク本体11内において、真空下でフレークが加熱されることで、フレークに含まれる汚染物質は揮発し、フレークは除染される。
【0014】
第1タンク本体11内は、例えば1000Pa以下に減圧される。また、フレークは、溶融することがないように、例えば160~220℃程度に加熱される。真空下でフレークが加熱されることで、水分が除去され、また、フレークに含まれる、例えば、アセトアルデヒド(AA)、ビスヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)、モノヒドロキシエチルテレフタレート(MHET)、サイクリックトリマー(CT)等のオリゴマー、内容物由来のリモネンなどの低分子量の不純物成分が除去される。また、加熱によりフレークを形成するポリエステル系樹脂の固相重合反応が進行し、樹脂の固有粘度が回復する。
【0015】
第1除染タンク10の下部には、フレークを第1除染タンク10から第2除染タンク30へと搬送する転送装置28が設けられている。第1除染タンク10で除染されたフレークは、第1タンク本体11に設けられた排出口から転送装置28に入る。転送装置28には、転送部スクリュウ29が設けられている。転送部スクリュウ29は、図示しないモータ等を含む駆動部によって軸周りに回転する。この転送部スクリュウ29の回転によって、フレークは、第1タンク本体11から第2除染タンク30へと搬送される。
【0016】
第2除染タンク30は、上述の通り第1除染タンク10と類似の構成を有する。すなわち、第2除染タンク30は、その内部でフレークの除染を行う第2タンク本体31と、2つの第2シャッター33が設けられた第2投入部32とを有する。また、第2除染タンク30は、第2タンク本体31内を減圧するために、第2タンク本体31と第2真空ポンプ36とを接続する第2減圧管35を有する。転送装置28によって搬送されたフレークは、第2タンク本体31内の真空を維持したまま、第2タンク本体31内に投入される。フレークは、第2タンク本体31内の所定高さまで堆積するように、第2タンク本体31内に投入される。
【0017】
第2除染タンク30内には、垂直に伸びる第2回転軸41が設けられている。第2回転軸41には、複数の羽根を含む第2羽根群43が設けられている。第2羽根群43に含まれる羽根の数はいくつであってもよい。図1に示す例では、第2羽根群43は、第1羽根44と、第2羽根45と、第3羽根46と、第4羽根47との4つの羽根を有する。第2回転軸41は、例えばモータを含む第2駆動部42によって軸周りに回転する。第2回転軸41の回転によって、第2羽根群43が回転することで、第2タンク本体31内に堆積したフレークは水平方向に攪拌され、摩擦熱が生じる。すなわち、この例では第2羽根群43を介して行われるように、フレークにエネルギーが与えられることで、フレークが加熱される。このようにして、フレークは、第2除染タンク30内でも汚染物質が除去される。
【0018】
第2除染タンク30の下部には、フレークを第2除染タンク30から送り出す送り出し部60が設けられている。第2除染タンク30で除染されたフレークは、第2タンク本体31に設けられた排出口から送り出し部60に入る。例えば、第2除染タンク30の最下部に設けられた第4羽根47の回転により、フレークが送り出し部60の入口へと送り込まれてもよい。送り出し部60には、スクリュウ61が設けられている。スクリュウ61は、図示しないモータ等を含む駆動部によって軸周りに回転する。このスクリュウ61の回転によって、フレークは、第2除染タンク30から搬出される。
【0019】
送り出し部60の下流には、例えば射出成形機が設けられていてもよい。この場合、除染された熱可塑性樹脂のフレークは溶融させられ、溶融樹脂は射出成形機に供給される。
【0020】
第2除染タンク30の詳細についてさらに説明する。本実施形態に係る除染装置1では、送り出し部60の入口におけるフレークの最高温度が、当該フレークの溶融温度を下回るように制御されている。ここで、フレークの最高温度がその溶融温度を下回るとは、温度が不均一である場合も、部分的にもフレークが溶融温度以上となっていないことを意図している。PETフレークの場合、最高温度が例えば240℃未満となるように制御される。
【0021】
仮に、部分的であっても送り出し部60の入口においてフレークが溶融温度以上となってしまうと、溶融した樹脂がスクリュウ61に溶着して蓄積し、動作時間の経過とともに送り出し部60のフレークの送り出し能力が低下するなど、除染装置1の性能が低下するおそれがある。本実施形態では、このような性能低下が抑止されている。その具体的な方法は複数あり得るが、例えば、除染装置1は、以下のように構成されていてもよい。
【0022】
例えば、第2除染タンク30の内部におけるフレークへのエネルギー供給は、第2除染タンク30の下方よりも第2除染タンク30の上方の方が大きくなるように、第2除染タンク30は構成されていてもよい。
【0023】
例えば、第2羽根群43の羽根は、第2回転軸41と垂直な平面(本実施形態では水平面)に対する角度が大きい方が、角度が小さい場合よりも、フレークとの抵抗が大きくなり、フレークに与えるエネルギーが大きくなる。そこで、例えば、第2除染タンク30の上方に配置された第1羽根44及び第2羽根45は、第2除染タンク30の下方に配置された第3羽根46及び第4羽根47よりも、水平面に対して大きな角度を有するなど、フレークとの抵抗が大きい形状を有していてもよい。このように、第2除染タンク30の上方と下方で羽根の形状を異なるものとすることで、フレークへのエネルギー供給を、第2除染タンク30の下方よりも上方の方が大きくなるようにすることができる。
【0024】
また、例えば、第2羽根群43の羽根の回転速度が大きい方が、回転速度が小さい場合よりも、フレークに与えるエネルギーが大きくなる。そこで、例えば、第2回転軸41の構成を、外管とその内部を通る内軸とを有する構成といったように、場所に応じて異なる回転速度で回転し得る構成とし、内軸に第1羽根44及び第2羽根45を固定し、外管に第3羽根46及び第4羽根47を固定する。第1羽根44及び第2羽根45を、第3羽根46及び第4羽根47よりも速く回転させることで、フレークへのエネルギー供給を、第2除染タンク30の下方よりも上方の方が大きくなるようにすることができる。
【0025】
あるいは、第2除染タンク30は、例えば、第2除染タンク30内の温度を測定するように構成された温度センサ51と、第2羽根群43の何れかの羽根の回転速度を制御するように構成された制御装置52とをさらに備えていてもよい。制御装置52は、送り出し部60の入口におけるフレークの温度が当該フレークの溶融温度を下回るように、温度センサ51による測定値に基づいて第2回転軸41の回転速度を制御するように構成されていてもよい。例えば、制御装置52は、温度センサ51で計測されるフレークの温度が高くなった場合には、第2回転軸41の回転速度を低下させるように構成されていてもよい。
【0026】
あるいは、除染装置1は、第2除染タンク30から送り出し部60へとフレークが送られるときに、当該フレークの温度が上昇しないように構成されていてもよい。例えば、第2タンク本体31の排出口と送り出し部60の入口との間に段差があるなど抵抗があると、例えば第4羽根47がフレークを第2タンク本体31から送り出し部60へと強く押し込む必要があり、そのときにフレークの温度が上昇する可能性がある。そこで、例えば、第2タンク本体31の排出口と送り出し部60の入口との間に段差がないようにしたり、送り出し部60を第2タンク本体31よりも低くしたりして、フレークが滑らかに第2除染タンク30から送り出し部60に入るように除染装置1は構成されていてもよい。
【0027】
あるいは、送り出し部60のスクリュウ61への樹脂の溶着が生じにくいように、送り出し部60に工夫が施されてもよい。例えば、スクリュウ61の表面には、フレークが付着しにくいように表面処理が施されていてもよい。
【0028】
あるいは、送り出し部60は、例えば、送り出し部60の入口の部分を冷却する冷却機構65を備えていてもよい。冷却機構65は、送り出し部60の入口近傍のスクリュウ61を冷却するために、入口近傍のスクリュウ61の周囲に設けられた、冷却水が流れる冷却部66を有していてもよい。冷却機構65は、冷却水循環機構67によって冷却部66等に対して冷却水を循環させる。
【0029】
あるいは、例えば、除染装置1は、フレークの除染を主に第1除染タンク10で行うように構成されていてもよい。この場合、第2除染タンク30は、フレークの除染については補助的に貢献し、送り出し部60へのフレークの送り出し量の調整やフレークの温度の調整に貢献してもよい。
【0030】
この場合、例えば、除染装置1は、第1除染タンク10内のフレークの量が、第2除染タンク30内のフレークの量よりも多くなるように構成されていてもよい。例えば、第1除染タンク10内のフレークの量が第2除染タンク30内のフレークの量よりも多くなるように、転送装置28又は第2投入部32は、第1除染タンク10から第2除染タンク30へと導入されるフレークの量を調整するように構成されており、転送装置28又は第2投入部32は、フレークの量を調整する調整機構として機能してもよい。
【0031】
また、例えば、第1除染タンク10内のフレークの量が第2除染タンク30内のフレークの量よりも多くなるように、第1除染タンク10の容量が第2除染タンク30の容量よりも大きくてもよい。
【0032】
あるいは、例えば、第1除染タンク10の内部におけるフレークへのエネルギー供給量が、第2除染タンク30の内部におけるフレークへのエネルギー供給よりも大きくてもよい。このため、上述の第1羽根群23及び第2羽根群43によるエネルギー供給量が調整されてもよい。エネルギー供給量の調整は、上述の通り例えば、羽根の形状の調整や、羽根の回転速度の調整で行われ得る。また、上述のとおり、第1除染タンク10では、第1羽根群23を用いてフレークにエネルギーが供給され、一方で、第2除染タンク30にはヒーターが設けられてこのヒーターによってフレークにエネルギーが供給されてもよい。ヒーターによるフレークへのエネルギー供給は、フレークを保温する程度であってもよい。この場合、第2羽根群43は、発熱のためではなく、例えば送り出し部60へとフレークを送り込むために用いられてもよい。
【0033】
なお、フレークへのエネルギー供給は、第1羽根群23又は第2羽根群43によらず、ヒーターによって行われてもよい。すなわち、第1除染タンク10の内部におけるフレークへのエネルギー供給は、第1羽根群23によって行われてもよいし、ヒーターによって行われてもよいし、第1羽根群23とヒーターとの両方によって行われてもよい。同様に、第2除染タンク30の内部におけるフレークへのエネルギー供給は、第2羽根群43によって行われてもよいし、ヒーターによって行われてもよいし、第2羽根群43とヒーターとの両方によって行われてもよい。ここで、上述のとおり、第2除染タンク30の内部におけるフレークへのエネルギー供給は、フレークを保温する程度であってもよく、このため、エネルギー供給がヒーターによって行われてもよい。
【0034】
あるいは、図2に示すように、除染装置1は、第2除染タンク30と送り出し部60との間に、中間タンク70がさらに設けられてもよい。中間タンク70は、フレークを一時的にためるように構成されている。中間タンク70によって、送り出し部60へのフレークの送り出し量が調整されたり、フレークの温度が調整されたりしてもよい。このため、中間タンク70は、ヒーター71と、温度センサ72と、温度センサ72が検出した温度に基づいてヒーター71の動作を制御する制御装置73とを有していてもよい。中間タンク70は、送り出し部60へフレークを導入する導入部74を有していてもよい。中間タンク70が真空に維持されるように、中間タンク70にも真空ポンプと減圧管が設けられてもよい。また、第2タンク本体31から中間タンク70への経路にも、シャッターが設けられてもよい。
【0035】
送り出し部60の入口におけるフレークの最高温度が当該フレークの溶融温度を下回るように制御するいくつかの手段の例を示した。これらの手段は、適宜に組み合わせて用いられ得る。
【0036】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1:除染装置
10:第1除染タンク、11:第1タンク本体、12:第1投入部、13:第1シャッター、15:第1減圧管、16:第1真空ポンプ、21:第1回転軸、22:第1駆動部、23:第1羽根群
28:転送装置、29:転送部スクリュウ
30:第2除染タンク、31:第2タンク本体、32:第2投入部、33:第2シャッター、35:第2減圧管、36:第2真空ポンプ、41:第2回転軸、42:第2駆動部、43:第2羽根群、44:第1羽根、45:第2羽根、46:第3羽根、47:第4羽根
51:温度センサ、52:制御装置
60:送り出し部、61:スクリュウ、65:冷却機構、66:冷却部、67:冷却水循環機構
70:中間タンク、71:ヒーター、72:温度センサ、73:制御装置、74:導入部

図1
図2