(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123993
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】レキュペレータ
(51)【国際特許分類】
F23C 9/08 20060101AFI20240905BHJP
F23C 3/00 20060101ALI20240905BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F23C9/08 402
F23C3/00 301
F23L15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031860
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】川端 健介
(72)【発明者】
【氏名】朝山 雄介
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 貴哉
【テーマコード(参考)】
3K023
3K065
3K091
【Fターム(参考)】
3K023QA16
3K023QB09
3K023QB19
3K023QC04
3K065TA01
3K065TB15
3K065TD05
3K065TD10
3K065TE04
3K065TL02
3K065TL06
3K065TM03
3K065TP03
3K091AA01
3K091BB08
3K091BB25
3K091CC06
3K091CC07
3K091CC17
3K091EA04
3K091EA14
3K091EA16
3K091EA22
3K091EA28
(57)【要約】
【課題】燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させ、NOxの発生を低減することができる、レキュペレータを提供する。
【解決手段】ラジアントチューブ1内を流れる燃焼排ガスとラジアントチューブ1を加熱するために用いられる燃焼用空気との間で熱交換を行うレキュペレータ3であって、レキュペレータ3の先端部32には、先端に位置する半球部33と半球部33に接続される円筒部34と、が設けられており、円筒部34には、レキュペレータ3内に燃焼排ガスを受け入れる開口部35が形成されており、開口部35は、レキュペレータ3の軸方向Xに垂直な方向Yに対して角度θを有するように、レキュペレータ3の内方に向かって延びている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアントチューブ内を流れる燃焼排ガスと前記ラジアントチューブを加熱するために用いられる燃焼用空気との間で熱交換を行うレキュペレータであって、
前記レキュペレータの先端部には、先端に位置する半球部と前記半球部に接続される円筒部と、が設けられており、
前記円筒部には、前記レキュペレータ内に前記燃焼排ガスを受け入れる開口部が形成されており、
前記開口部は、前記レキュペレータの軸方向に垂直な方向に対して角度を有するように、前記レキュペレータの内方に向かって延びている、レキュペレータ。
【請求項2】
前記レキュペレータは、外管と内管との二重管構造となっており、
前記円筒部は、前記レキュペレータの本体部に接続されており、
前記本体部の内管は、前記円筒部の内管に対して摺動可能に取り付けられるようになっている、請求項1記載のレキュペレータ。
【請求項3】
前記本体部の外管の外面には熱交換部材が設けられており、
前記本体部の外管の外面において、前記熱交換部材が設けられている部分より前記円筒部側には、前記本体部の径方向内方に向けて縮径する縮径部が形成されている、請求項2記載のレキュペレータ。
【請求項4】
前記円筒部の内管には、前記内管内への流体の吸引力を向上させるよう、前記内管の内表面から内側に向けて突出する突出部を有するインジェクタが形成されている、請求項2記載のレキュペレータ。
【請求項5】
前記インジェクタの前記本体部側の突出部の側面は、前記円筒部の内管の内面に開口する前記開口部の開口面と対向する位置に位置している、請求項4記載のレキュペレータ。
【請求項6】
前記レキュペレータの内管内には、前記内管内への流体の吸引力を向上させるエダクタが設けられている、請求項2~5のいずれか1つに記載のレキュペレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアントチューブ内を流れる燃焼排ガスとラジアントチューブを加熱するために用いられる燃焼用空気との間で熱交換を行うレキュペレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアントチューブ式加熱装置において、排気のNOxを低減させる技術として、例えば特許文献1~3に示されるように、燃焼用空気をレキュペレータで予熱し、さらに、レキュペレータ内に燃焼排ガスの一部を受け入れ、燃焼用空気と混合させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-199610号公報
【特許文献2】特開2000-146118号公報
【特許文献3】特開2019-196855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記に示される構成では、いずれも燃焼排ガスの流れと直交する方向から燃焼排ガスを燃焼用空気に混合させるようになっており、燃焼排ガスを円滑にレキュペレータ内に受け入れることが困難となっていた。その結果、燃焼用空気に十分な量の燃焼排ガスを混合させ、NOxを低減させることができなかった。
【0005】
そこで、本発明では、燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させ、NOxの発生を低減することができる、レキュペレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ラジアントチューブ内を流れる燃焼排ガスと前記ラジアントチューブを加熱するために用いられる燃焼用空気との間で熱交換を行うレキュペレータであって、
前記レキュペレータの先端部には、先端に位置する半球部と前記半球部に接続される円筒部と、が設けられており、
前記円筒部には、前記レキュペレータ内に前記燃焼排ガスを受け入れる開口部が形成されており、
前記開口部は、前記レキュペレータの軸方向に垂直な方向に対して角度を有するように、前記レキュペレータの内方に向かって延びている。
【0007】
前記構成によれば、レキュペレータの円筒部に、レキュペレータの軸方向に垂直な方向に対して角度を有するように、レキュペレータの内方に向かって斜めに延びる、燃焼排ガスを受け入れる開口部が形成されているので、燃焼排ガスが円滑に燃焼用空気の流路に導入され、燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させることができる。その結果、燃焼時において燃焼温度が高くなりすぎるのが抑制され、燃焼時に発生するNOxの量を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させ、NOxの発生を低減することができる、レキュペレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るレキュペレータを備えるラジアントチューブ式加熱装置の概略図である。
【
図5】本発明に係る別の実施形態である、レキュペレータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るレキュペレータを備えるラジアントチューブ式加熱装置10の概略図である。
図1に示されるように、ラジアントチューブ式加熱装置10は、筒状のラジアントチューブ1を備え、ラジアントチューブ1を内部から加熱し、ラジアントチューブ1の外周面からの放射熱によって炉内に配置された処理材を加熱するものである。
【0011】
本実施形態のラジアントチューブ式加熱装置10では、ラジアントチューブ1としてU字型に形成されたものが用いられ、U字型のラジアントチューブの本体部11は炉の内部に配置される。ラジアントチューブ1の両端部は、炉壁を通して炉の外部に延出している。なお、ラジアントチューブ1は、U字型に限定されず、W字型やI字型等の形状を有してもよい。
【0012】
ラジアントチューブ1の一方の端部には、炭化水素ガス等の燃料ガスを燃焼用空気で燃焼させるバーナ2が挿入されている。バーナ2は、燃焼用空気を利用して燃料ガスを燃焼させることによって燃焼排ガスを生成し、ラジアントチューブ1内を流通する燃焼排ガスを利用してラジアントチューブ1を内部から加熱する。
【0013】
ラジアントチューブ1の他方の端部には、レキュペレータ3が挿入されている。レキュペレータ3は、ラジアントチューブ1を加熱した燃焼排ガスと、燃焼用空気導入管4からレキュペレータ3に導入された燃焼用空気との間で熱交換を行うことによって、外部から供給される燃焼用空気を加熱するようになっている。また、レキュペレータ3の先端は、後述する
図2及び
図3で示されるような構造を有しており、燃焼排ガスの一部は、後述する開口部35からレキュペレータ3内に導かれ、燃焼排ガスと熱交換した燃焼用空気と混合される。レキュペレータ3で加熱された燃焼用空気及びレキュペレータ3内に導かれた燃焼排ガスの一部は、燃焼用空気供給管5を通してバーナ2が設けられたラジアントチューブ1の一方の端部に供給される。ラジアントチューブ1の一方の端部に供給された燃焼排ガスの一部は、バーナ2の燃焼に利用され、高温の燃焼排ガスとなって、ラジアントチューブ1の本体部11内を流れ、レキュペレータ3に向かうようになっている。
【0014】
レキュペレータ3において燃焼用空気と熱交換を行った燃焼排ガスは、排気口6から排出されるようになっている。
【0015】
図2は、
図1のA-A断面矢視図であり、
図3は、
図2のB-B断面矢視図であり、
図4は、
図3のC-C矢視図である。
図2~
図4に示されるように、レキュペレータ3は本体部31と本体部31に接続される先端部32とを備えている。本体部31は、外管311と内管312とを備える二重管構造を有している。
【0016】
先端部32は、先端に位置する半球部33と半球部33に接続される円筒部34とを備えている。円筒部34は、外管341と内管342とを備える二重管構造を有している。
【0017】
本体部31の外管311と円筒部34の外管341とは溶接で連結されており、また、本体部31の内管312は、円筒部34の内管342の外面に対して摺動可能に、例えば差し込み式で取り付けられるようになっている。具体的には、内管342は複数のリブ36によって外管341に保持されており、リブ36同士の間には空間37が形成され、燃焼用空気が流れるようになっている。また、リブ36には、燃焼排ガスを燃焼用空気と混合させるための流路として、後述する開口部35が形成されている。
【0018】
円筒部34には、レキュペレータ3内に燃焼排ガスの一部を受け入れる流路を形成する開口部35が形成されている。開口部35は、円筒部34の円周方向に均等な距離をおいて複数設けられており、本実施形態では、円周方向に90度間隔で4つ設けられている。各開口部35の円筒部外面における形状は、円筒部34の軸方向Xに長い楕円形状となっている。また、開口部35は、円筒部34の軸方向Xに垂直な方向Yに角度θを有するように、レキュペレータ3の内方(本体部31側)に向かって延びており(開口部35の軸方向P1と方向Yとは角度θを形成しており)、好ましくは垂直な方向Yに対して45~60度の角度を有するよう延びている。すなわち、開口部35は、好ましくは円筒部34の軸方向Xに対して30~45度の角度を有するよう延びている。
【0019】
開口部35が形成される領域では、円筒部34の外管341と内管342とが連結されるよう鋳物で製造されており、開口部35は、円筒部34の外管341の外面から円筒部34の内管342の内面まで鋳物内を貫通する流路となっている。開口部35に進入した燃焼排ガスは、円筒部34の内管342の内面から円筒部34の内管342内に進入し、燃焼用空気と混合するようになっている。
【0020】
本体部31の外管311の外面には、高温の燃焼排ガスとの接触面積を増加させるためフィンや突出部のような熱交換部材313が設けられており、本体部31の外管311の外面において、熱交換部材313が設けられている部分より円筒部34側には、本体部31の径方向内方に向けて縮径する縮径部314が形成されている。
【0021】
(ラジアントチューブ式加熱装置における燃焼用空気及び燃焼排ガスの流れ)
燃焼用空気導入管4から導入された燃焼用空気は、レキュペレータ3の本体部31の内管312と外管311との間からレキュペレータ3内に導かれる。レキュペレータ3の本体部31の内管312と外管311との間を流れる燃焼用空気は、バーナ2の燃焼によって発生して、レキュペレータ3の外管311とラジアントチューブ1との間を流れる燃焼排ガスとの間で熱交換することによって、加熱される。
【0022】
レキュペレータ3の本体部31の内管312と外管311との間を流れる燃焼用空気の流れ方向と、レキュペレータ3の外管311とラジアントチューブ1との間を流れる燃焼排ガスの流れ方向とは、互いに逆方向(対向流)になっている。その結果、熱交換が促進されるようになっている。
【0023】
レキュペレータ3において燃焼用空気を加熱した燃焼排ガスは、排気口6から排出される。
【0024】
燃焼排ガスによって加熱された燃焼用空気は、レキュペレータ3の先端部32において、円筒部34の外管341と内管342の間から、空間37を通って半球部33内で折り返し、円筒部34の内管342内の中心流路38に進入する。円筒部34の内管342内に進入した燃焼用空気は、円筒部34の開口部35から受け入れられた燃焼排ガスの一部と混合して、本体部31の内管312内に進入する。
【0025】
レキュペレータ3の本体部31の外管311と内管312との間を流れる燃焼用空気の流れ方向と、レキュペレータ3の本体部31の内管312内を流れる燃焼用空気及び燃焼排ガスの一部の流れ方向とは、互いに逆方向(対向流)になっている。その結果、熱交換が促進されるようになっている。
【0026】
本体部31の内管312内を流れる燃焼用空気と燃焼排ガスの一部とは、燃焼用空気供給管5を通して、バーナ2が設けられたラジアントチューブ1の一方の端部に供給される。バーナ2は、燃料ガスを燃焼用空気供給管5から供給された燃焼用空気及び燃焼排ガスの一部で燃焼させ、新たに燃焼排ガスを発生させる。
【0027】
ここで、レキュペレータ3において、燃焼用空気が燃焼排ガスの熱によって高温に加熱(予熱)された状態で、燃焼用空気供給管5からバーナ2に導かれ燃料ガスを燃焼させた場合、省エネの効果は向上するが、燃焼時に燃焼温度が高くなりすぎて、燃焼時に発生するNOxの量が増加し、NOxを多く含む燃焼排ガスがラジアントチューブ1の他端側における排気口6から排気されるようになる。
【0028】
これに対して、燃焼排ガスを加熱された燃焼用空気と一緒にして燃焼用空気供給管5からバーナ2に導いて燃料ガスを燃焼させた場合、燃焼用空気の酸素濃度が低下し、バーナ2での燃焼速度が遅くなる。その結果、燃焼時における燃焼温度が高くなりすぎるのが防止されるようになり、燃焼時に発生するNOxの量を低減することができる。なお、燃焼排ガスによって加熱された燃焼用空気の温度が高くなるほど、加熱された燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を多くすることが好ましい。
【0029】
燃焼排ガスは、ラジアントチューブ1を内部から加熱し、ラジアントチューブ1の外周面からの放射熱によって、ラジアントチューブ式加熱装置10が設けられた炉内に配置された処理材が加熱される。
【0030】
前記構成のラジアントチューブ式加熱装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0031】
(1)レキュペレータ3の円筒部34に、レキュペレータ3の軸方向に垂直な方向に対して角度を有するように、レキュペレータ3の内方に向かって斜めに延びる、燃焼排ガスを受け入れる開口部35が形成されているので、燃焼排ガスが円滑に燃焼用空気の流路に導入され、燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させることができる。その結果、燃焼時において燃焼温度が高くなりすぎるのが抑制され、燃焼時に発生するNOxの量を抑制することができる。
【0032】
(2)本体部31の内管312を円筒部34に内管342の外面に対して摺動可能なように差し込み式で取り付けるようになっているので、本体部31の内管312が熱によって延びた場合でも、本体部31と円筒部34との間で変形が生じることを抑制できる。
【0033】
(3)本体部31の外管311の外面において、熱交換部材313が設けられている部分より円筒部34側に縮径部314を形成することによって、本体部31の外管311の外側の流路断面積を小さくして、通過する燃焼排ガスの流速を増加させることができ、熱交換部材313が設けられている部分において、本体部31の外管311の外側を流れる燃焼排ガスと本体部31の外管311の内側を流れる燃料用空気との熱交換の効率を向上させることができる。
【0034】
(別の実施形態)
上記実施形態に加え、レキュペレータ3の内管内において、燃焼排ガスの吸引性を向上させるエダクタ39が設けられても良い。
【0035】
図5は、本発明に係る別の実施形態である、レキュペレータ3の概略図である。別の実施形態は、レキュペレータ3の内管内である円筒部34の内管342及び本体部31の内管312内において、エダクタ39が設けられている点で上記実施形態と異なっており、その他の構成は上記実施形態と同じである。このため、別の実施形態の説明においては、上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
【0036】
図5に示されるように、円筒部34の内管342には、半球部33から円筒部34の内管342内への燃焼用空気の吸引性を向上させるようインジェクタ343が形成されている。インジェクタ343は、内管342の内空間を本体部31へ向けて中心流路38が縮径するよう、内管342の内表面から内側に向けて突出している。
【0037】
インジェクタ343の本体部31側の突出部344の側面344aは、円筒部34の軸方向Xに垂直な方向Yにおいて、円筒部34の内管342の内面に開口する開口部35の開口面35aと対向する位置に位置している。さらに、インジェクタ343の本体部31側の突出部344の端部344bは、開口部35の軸中心線P2の延長線上に位置していることが好ましい。
【0038】
また、本体部31の内管312内において、円筒部34近傍には、周方向全体に亘って内側に向けて湾曲する縮径部315aを有する筒部315が設けられている。なお、エダクタ39は、円筒部34の内管342に形成されたインジェクタ343と本体部31の内管312内に設けられた縮径部315aを有する筒部315を含む。
【0039】
上記構成によれば、内管342の内表面にインジェクタ343を設けることによって、内管342内に進入する燃焼用空気の流速を増加させて負圧を発生させるようになっている。その結果、燃焼排ガスの内管342内への吸引を促進させることができる。また、本体部31の内管312内には縮径部315aを有する筒部315を設けることによって、内管312内への燃焼用空気及び燃焼排ガスの吸引を促進させ、内管312内から燃焼用空気供給管へ向けて流速を増加させ、熱交換の効率を向上させることができる。すなわち、円筒部34の内管342及び本体部31の内管312内においてエダクタ39を設けることによって、燃焼排ガスの内管342内への吸引を促進させ、熱交換の効率を向上させることができる。
【0040】
また、インジェクタ343の本体部31側の突出部344の側面344aが、開口部35の開口面35aと対向する位置に位置しているので、インジェクタ343で流速が増加された燃焼用空気によって、燃焼排ガスの内管312内への吸引を促進させることができる。
【0041】
上記実施形態及び別の実施形態では、本体部31の外管311の外面に受熱面として熱交換部材313が設けられているが、外管311の内面にも、外面に設けられた熱交換部材と対向する位置に放熱面として熱交換部材が設けられてもよい。
【0042】
また、上記実施形態及び別の実施形態では、本体部31の内管312は、円筒部34の内管342の外面に対して摺動可能に取り付けられるようになっているが、円筒部34の内管342の内面に対して摺動可能に取り付けられるようになっていてもよい。
【0043】
本発明及び実施形態をまとめると、以下のとおりである。
【0044】
(1)本発明の一実施形態は、ラジアントチューブ内を流れる燃焼排ガスと前記ラジアントチューブを加熱するために用いられる燃焼用空気との間で熱交換を行うレキュペレータであって、
前記レキュペレータの先端部には、先端に位置する半球部と前記半球部に接続される円筒部と、が設けられており、
前記円筒部には、前記レキュペレータ内に前記燃焼排ガスを受け入れる開口部が形成されており、
前記開口部は、前記レキュペレータの軸方向に垂直な方向に対して角度を有するように、前記レキュペレータの内方に向かって延びている。
【0045】
前記構成(1)によれば、レキュペレータの円筒部に、レキュペレータの軸方向に垂直な方向に対して角度を有するように、レキュペレータの内方に向かって斜めに延びる、燃焼排ガスを受け入れる開口部が形成されているので、燃焼排ガスが円滑に燃焼用空気の流路に導入され、燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させることができる。その結果、燃焼時において燃焼温度が高くなりすぎるのが抑制され、燃焼時に発生するNOxの量を抑制することができる。
【0046】
(2)前記構成(1)において、前記レキュペレータは、外管と内管との二重管構造となっており、
前記円筒部は、前記レキュペレータの本体部に接続されており、
前記本体部の内管は、前記円筒部の内管に対して摺動可能に取り付けられるようになっている。
【0047】
前記構成(2)によれば、本体部の内管を円筒部の内管に対して摺動可能に取り付けるようになっているので、本体部の内管が熱によって延びた場合でも、本体部と円筒部との間で変形が生じることを抑制できる。
【0048】
(3)前記構成(2)において、前記本体部の外管の外面には熱交換部材が設けられており、
前記本体部の外管の外面において、前記熱交換部材が設けられている部分より前記円筒部側には、前記本体部の径方向内方に向けて縮径する縮径部が形成されている。
【0049】
前記構成(3)によれば、本体部の外管の外面において、熱交換部材が設けられている部分より円筒部側に縮径部を形成することによって、熱交換部材が設けられている部分において、本体部の外管の外側を通過する燃焼排ガスの流速を増加させることができ、本体部の外管の外側を流れる燃焼排ガスと本体部の外管の内側を流れる燃料用空気との熱交換の効率を向上させることができる。
【0050】
(4)前記構成(2)又は(3)において、前記円筒部の内管には、前記内管内への流体の吸引性を向上させるよう、前記内管の内表面から内側に向けて突出する突出部を有するインジェクタが形成されている。
【0051】
前記構成(4)によれば、円筒部の内管にインジェクタを形成することによって、内管内に進入する燃焼用空気の流速を増加させることができ、その結果、燃焼排ガスの内管内への吸引を促進させることができる。
【0052】
(5)前記構成(4)において、前記インジェクタの前記本体部側の突出部側面は、前記円筒部の内管の内面に開口する前記開口部の開口面と対向する位置に位置している。
【0053】
前記構成(5)によれば、インジェクタの本体部の突出部側面が、開口部の開口面と対向する位置に位置しているので、インジェクタで流速が増加された燃焼用空気によって、燃焼排ガスの内管内への吸引を促進させることができる。
【0054】
(6)前記構成(2)~(5)のいずれか1つにおいて、前記レキュペレータの内管内には、前記内管内への流体の吸引力を向上させるエダクタが設けられている。
【0055】
前記構成(6)によれば、本体部の内管内にエダクタを設けることによって、内管内への燃焼用空気に対する燃焼排ガスの吸引を促進させ、バーナによる燃焼後の燃焼排ガスのNOx発生を低減させることができる。
【0056】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明では、燃焼用空気に混合させる燃焼排ガスの量を増加させ、NOxの発生を低減することができる、レキュペレータを提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0058】
1 ラジアントチューブ
11 本体部
2 バーナ
3 レキュペレータ
31 本体部
311 外管 312 内管
313 熱交換部材 314 縮径部
315 筒部 315a 縮径部
32 先端部
33 半球部
34 円筒部
341 外管 342 内管
343 インジェクタ
344 突出部
344a 側面 344b 端部
35 開口部
36 リブ 37 空間 38 中心流路
39 エダクタ
4 燃焼用空気導入管
5 燃焼用空気供給管
6 排気口
10 ラジアントチューブ式加熱装置