(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123996
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】通信端末装置および無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/19 20180101AFI20240905BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20240905BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240905BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W24/04
H04W92/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031863
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 元志
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA28
5K067GG07
(57)【要約】
【課題】無線通信が行えなかった期間の情報を、通信帯域を圧迫することなく基地局装置に送信すること。
【解決手段】通信端末装置は、管理装置と情報通信する第1通信部と、他通信端末装置と情報通信する第2通信部と、第1通信部による情報通信が可能か否かを判定する通信判定部と、自通信端末装置の役割を判定する役割判定部と、第1通信部を制御する第1通信制御部と、第2通信部を制御する第2通信制御部と、を備える。第2通信制御部は、第1通信部による情報通信が不可であり、かつ自通信端末装置が代表端末でない場合、管理装置に送信すべき情報を、他通信端末装置に送信する。第1通信制御部は、第1通信部による情報通信が不可であり、かつ自通信端末装置が代表端末である場合、管理装置に送信すべき情報と、他通信端末装置から受信した情報とを記憶部に記憶し、第1通信部による情報通信が可能になったら、記憶部に記憶した情報を管理装置に送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と第1通信方式で情報通信する第1通信部と、
他通信端末装置と第2通信方式で情報通信する第2通信部と、
前記第1通信部による情報通信が可能か否かを判定する通信判定部と、
自通信端末装置の役割が代表端末であるか否かを判定する役割判定部と、
前記第1通信部による情報通信を制御する第1通信制御部と、
前記第2通信部による情報通信を制御する第2通信制御部と、
を備え、
前記第2通信制御部は、
前記通信判定部が前記第1通信部による情報通信が不可であると判定し、かつ前記役割判定部が前記自通信端末装置は代表端末でないと判定した場合、前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報を、前記第2通信部で前記他通信端末装置に送信し、
前記第1通信制御部は、
前記通信判定部が前記第1通信部による情報通信が不可であると判定し、かつ前記役割判定部が前記自通信端末装置は代表端末であると判定した場合、前記自通信端末装置が前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報と、前記第2通信部で前記他通信端末装置から受信した情報とを記憶部に記憶し、前記通信判定部が前記第1通信部による情報通信が可能になったと判定すると、前記記憶部に記憶した情報を前記第1通信部で前記管理装置に送信する、
通信端末装置。
【請求項2】
前記第1通信部は、報知信号を定期的に受信し、
前記通信判定部は、前記報知信号を受信している場合に情報通信が可能と判定し、前記報知信号を所定の第1期間以上の間受信しない場合に情報通信が不可と判定する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記第1通信制御部は、前記第1通信部を用いて前記管理装置に確認情報を送信し、送信した前記確認情報に対する応答を前記管理装置から受信し、
前記通信判定部は、前記管理装置から前記応答を受信した場合に情報通信が可能と判定し、所定の第2期間以上の間、前記管理装置から前記応答を受信しない場合に情報通信が不可と判定する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記通信判定部は、前記第1通信部が前記管理装置から休止情報を受信した場合に情報通信不可と判定し、前記第1通信部が前記管理装置から休止情報を受信した後、復帰情報を受信した場合に情報通信可能と判定する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項5】
第1通信部により管理装置と第1通信方式で情報通信するステップと、
第2通信部により他通信端末装置と第2通信方式で情報通信するステップと、
前記第1通信部による情報通信が可能か否かを判定するステップと、
自通信端末装置の役割が代表端末であるか否かを判定するステップと、
前記第1通信部による情報通信を制御するステップと、
前記第2通信部による情報通信を制御するステップと、
前記第1通信部による情報通信が不可であると判定され、かつ前記自通信端末装置は代表端末でないと判定された場合、前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報を、前記第2通信部で前記他通信端末装置に送信するステップと、
前記第1通信部による情報通信が不可であると判定され、かつ前記自通信端末装置は代表端末であると判定された場合、前記自通信端末装置が前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報と、前記第2通信部で前記他通信端末装置から受信した情報とを記憶部に記憶し、前記第1通信部による情報通信が可能になったと判定すると、前記記憶部に記憶した情報を前記第1通信部で前記管理装置に送信するステップと、
を含む、無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末が無線基地局と無線通信を行えない場合でも、無線通信端末を所持するユーザの活動情報を管理することのできる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、複数の無線通信端末の各々が活動情報を一時保存し、無線通信が行えると判定された場合に、一時保存されていた活動情報を管理サーバ等に送信する。この場合、複数の無線通信端末の各々が一時保存していた活動情報を一斉に送信するため、通信帯域を圧迫してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、無線通信が行えなかった期間の情報を、通信帯域を圧迫することなく基地局装置に送信することのできる通信端末装置および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信端末装置は、管理装置と第1通信方式で情報通信する第1通信部と、他通信端末装置と第2通信方式で情報通信する第2通信部と、前記第1通信部による情報通信が可能か否かを判定する通信判定部と、自通信端末装置の役割が代表端末であるか否かを判定する役割判定部と、前記第1通信部による情報通信を制御する第1通信制御部と、前記第2通信部による情報通信を制御する第2通信制御部と、を備え、前記第2通信制御部は、前記通信判定部が前記第1通信部による情報通信が不可であると判定し、かつ前記役割判定部が前記自通信端末装置は代表端末でないと判定した場合、前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報を、前記第2通信部で前記他通信端末装置に送信し、前記第1通信制御部は、前記通信判定部が前記第1通信部による情報通信が不可であると判定し、かつ前記役割判定部が前記自通信端末装置は代表端末であると判定した場合、前記自通信端末装置が前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報と、前記第2通信部で前記他通信端末装置から受信した情報とを記憶部に記憶し、前記通信判定部が前記第1通信部による情報通信が可能になったと判定すると、前記記憶部に記憶した情報を前記第1通信部で前記管理装置に送信する。
【0007】
本発明の無線通信方法は、第1通信部により管理装置と第1通信方式で情報通信するステップと、第2通信部により他通信端末装置と第2通信方式で情報通信するステップと、前記第1通信部による情報通信が可能か否かを判定するステップと、自通信端末装置の役割が代表端末であるか否かを判定するステップと、前記第1通信部による情報通信を制御するステップと、前記第2通信部による情報通信を制御するステップと、前記第1通信部による情報通信が不可であると判定され、かつ前記自通信端末装置は代表端末でないと判定された場合、前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報を、前記第2通信部で前記他通信端末装置に送信するステップと、前記第1通信部による情報通信が不可であると判定され、かつ前記自通信端末装置は代表端末であると判定された場合、前記自通信端末装置が前記第1通信部で前記管理装置に送信すべき情報と、前記第2通信部で前記他通信端末装置から受信した情報とを記憶部に記憶し、前記第1通信部による情報通信が可能になったと判定すると、前記記憶部に記憶した情報を前記第1通信部で前記管理装置に送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信が行えなかった期間の情報を適切に基地局装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る通信システムの処理の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る通信端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る通信障害を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る通信障害判定処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る複数の情報を集約したデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る通信障害を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る通信障害判定処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係るショートメッセージの送信判定処理を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第4実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図19】
図19は、第5実施形態に係る通信障害を説明するための図である。
【
図20】
図20は、第5実施形態に係る通信システムの中継器が休止モードの間の通信方法を示すシーケンス図である。
【
図21】
図21は、第5実施形態に係る休止判定処理を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、第5実施形態に係る通信システムの中継器が休止モードから通常モードに移行した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
(通信システム)
図1を用いて、第1実施形態に係る通信システムの構成例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、通信システム1は、複数の通信端末装置10と、中継器12と、基地局装置14と、管理装置16と、を含む。複数の通信端末装置10と、中継器12とは、ネットワークNを介して、通信可能に接続されている。
【0013】
通信端末装置10は、業務用無線機、スマートフォンなどの通信装置である。通信端末装置10は、ネットワークNを介して、中継器12と無線通信を行う。通信端末装置10は、中継器12を介して、基地局装置14と無線通信を行う。
【0014】
中継器12は、通信端末装置10と、基地局装置14との間の無線通信を中継する通信装置である。中継器12は、ネットワークNを介して、通信端末装置10と無線通信を行う。中継器12は、基地局装置14と無線通信を行う。なお、中継器12と基地局装置14はネットワークNを介して接続されていても良い。
【0015】
基地局装置14は、中継器12を介して、通信端末装置10と無線通信を行う通信装置である。
【0016】
管理装置16は、通信システム1の通信を管理する装置である。管理装置16は、例えば、基地局装置14の通信を管理する。
【0017】
(通信システムの処理の概要)
図2を用いて、第1実施形態に係る通信システムの処理の概要について説明する。
図2は、第1実施形態に係る通信システムの処理の概要を説明するための図である。
【0018】
図2は、通信端末装置10と、中継器12との間の通信を模式的に示している。
図2に示すように、通信システム1は、通信端末装置10―1と、通信端末装置10―2と、通信端末装置10―3と、中継器12と、を含むものとする。以下では、通信システム1は、通信端末装置10―1と、通信端末装置10―2と、通信端末装置10―3との3台の通信端末装置10を含むものとして説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
通信端末装置10―1は、上り信号S1を中継器12に送信する。中継器12は、上り信号S1に含まれる各種の情報を基地局装置14に送信する。中継器12は、下り信号S4を通信端末装置10―1に送信する。下り信号S4には、基地局装置14が送信した各種の情報を含む。
【0020】
通信端末装置10―2は、上り信号S2を中継器12に送信する。中継器12は、上り信号S2に含まれる各種の情報を基地局装置14に送信する。中継器12は、下り信号S5を通信端末装置10―2に送信する。下り信号S5には、基地局装置14が送信した各種の情報を含む。
【0021】
通信端末装置10―3は、上り信号S3を中継器12に送信する。中継器12は、上り信号S3に含まれる各種の情報を基地局装置14に送信する。中継器12は、下り信号S6を通信端末装置10―3に送信する。下り信号S6には、基地局装置14が送信した各種の情報を含む。
【0022】
図2に示すように、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3は、中継器12を介して、基地局装置14と無線通信を行うことができる。本実施形態では、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3が中継器12と通信を行うことができなくなった場合に、中継器12に送信すべき情報を通信端末装置10―1から通信端末装置10―3のうちの1台の代表端末に集約する。そして、代表端末は、中継器12と通信を行うことができるようになった際に、集約していた情報を中継器12にまとめて送信する。
【0023】
(通信端末装置)
図3を用いて、第1実施形態に係る通信端末装置の構成例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る通信端末装置の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、通信端末装置10は、第1通信部20と、第2通信部22と、操作部24と、表示部26と、音声出力部28と、記憶部30と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部32と、制御部34と、を備える。
【0025】
第1通信部20は、ネットワークNを介して、中継器12と通信を行う。第1通信部20が行う通信の方式は、第1通信方式と呼ばれる。第1通信方式は、例えば、APCO-P25(Association of Public safety Communications Officials international Project 25)およびNXDN(登録商標)といったデジタル業務無線が挙げられる。第1通信方式は、インターネット網および携帯電話網等による通信であってもよい。
【0026】
第2通信部22は、近距離無線通信方式で他の通信端末装置10と通信を行う。第2通信部22が行う通信の方式は、第2通信方式と呼ばれる。近距離無線通信方式は、例えば、Wi-Fi(登録商標)およびBluetooth(登録商標)による通信が例示されるが、これに限定されない。第2通信部22は、例えば、位置情報およびショートメッセージなどを他の通信端末装置10に送信する。
【0027】
操作部24は、通信端末装置10に対する各種の入力操作を受け付ける。操作部24は、受け付けた入力操作に応じた入力信号を制御部34に出力する。操作部24は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、マイク、PTT(Push to Talk)ボタンなどを含む。
【0028】
表示部26は、各種の映像を表示する。表示部26は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)などを含むディスプレイである。
【0029】
音声出力部28は、各種の音声を出力する。音声出力部28は、例えば、他の通信端末装置10のユーザの音声を出力する。音声出力部28は、スピーカである。
【0030】
記憶部30は、各種の情報を記憶している。記憶部30は、制御部34の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0031】
記憶部30は、例えば、自身が複数の通信端末装置10のうちの代表端末であるか否かを示す情報を記憶している。
【0032】
GNSS受信部32は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機等で構成される。GNSS受信部32は、受信したGNSS信号を位置検出部48へ出力する。
【0033】
制御部34は、通信端末装置10の各部を制御する。制御部34は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAMまたはROMなどの記憶装置とを有する。制御部34は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部34は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0034】
制御部34は、第1通信制御部40と、第2通信制御部42と、通信判定部44と、役割判定部46と、位置検出部48と、を備える。
【0035】
第1通信制御部40は、第1通信部20を制御して、第1通信方式による情報通信を制御する。第1通信制御部40は、第1通信部20を制御して、所定のチャンネルを設定し、中継器12と第1通信方式で通信を行う。
【0036】
第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、第2通信方式による情報通信を制御する。第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、他の通信端末装置10と第2通信方式で通信を行う。第2通信制御部42は、例えば、通信端末装置10が代表端末である場合には、第2通信部22が受信した他の通信端末装置10の位置情報およびショートメッセージなどを受信し、記憶部30に記憶させる。
【0037】
通信判定部44は、第1通信部20による情報通信が可能であるか否かを判定する。通信判定部44の詳細は後述する。
【0038】
役割判定部46は、通信端末装置10が複数の通信端末装置10のうちの、代表端末であるか否かを判定する。役割判定部46は、例えば、記憶部30に代表端末であることを示す情報が記憶されていた場合に、代表端末であると判定する。役割判定部46は、例えば、第2通信部22で通信可能な他の通信端末装置10をそれぞれ探索して、第2通信部22で通信可能な通信端末装置10のグループを作成して、グループの中で通信端末装置10を識別する識別子の番号が最も小さい通信端末装置10を代表端末であると判定してもよい。
【0039】
位置検出部48は、通信端末装置10の位置を検出する。位置検出部48は、GNSS受信部32が受信したGNSS信号に基づいて、通信端末装置の位置を検出する。位置検出部48は、例えば、GNSS信号に基づいて、通信端末装置10のグローバル座標を算出する。
【0040】
(通信障害)
図4を用いて、第1実施形態に係る通信障害について説明する。
図4は、第1実施形態に係る通信障害を説明するための図である。
【0041】
図4に示すように、通信システム1において、下り信号の経路に通信障害が発生したとする。この場合、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3は、それぞれ、中継器12が送信した下り信号S4から下り信号S6を受信することができない。通信端末装置10―1から通信端末装置10―3は、例えば、中継器12が送信するアイドル信号を受信すると、現在の位置を検出し、検出した位置に関する位置情報を中継器12に送信する。すなわち、通信システム1において下り信号の経路に通信障害が発生している間は、中継器12は通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を受信することができない。そのため、管理装置16は、通信システム1において下り信号の経路に通信障害が発生している間は、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を管理することができない。
【0042】
(通信方法)
図5を用いて、第1実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図5は、第1実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【0043】
図5は、通信システム1の下り信号の通信経路に通信障害が発生し、発生した通信障害が解消するまでの処理を示している。以下では、通信端末装置10―1、通信端末装置10―2、および通信端末装置10―3のうち、通信端末装置10―1が予め決められた代表端末であるものとして説明する。また、通信端末装置10―1と、通信端末装置10―2と、通信端末装置10―3とは、それぞれが第2通信部22による第2通信方式で通信可能な距離に位置しているものとする。
【0044】
中継器12は、通信障害が発生する前は、通信端末装置10―1、通信端末装置10―2、通信端末装置10―3、および基地局装置14に対して、アイドル信号(報知信号)を定期的に送信する(ステップS10)。
【0045】
通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信すると、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS11)。中継器12は、通信端末装置10―1から受信した位置情報を基地局装置14に送信する(ステップS12)。
【0046】
通信端末装置10―2の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信すると、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS13)。中継器12は、通信端末装置10―2から受信した位置情報を基地局装置14に送信する(ステップS14)。
【0047】
通信端末装置10―3の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信すると、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS15)。中継器12は、通信端末装置10―3から受信した位置情報を基地局装置14に送信する(ステップS16)。
【0048】
ステップS10からステップS16は、通信システム1が動作している間において、定期的に実行される処理である。
【0049】
ここで、通信システム1の下り信号の通信経路で妨害電波が発生したなどの理由により、通信障害が発生したとする(ステップS17)。
【0050】
通信端末装置10―1の制御部34は、通信障害判定処理を実行する(ステップS18)。
図6は、第1実施形態に係る通信障害判定処理を示すフローチャートである。通信端末装置10―1の通信判定部44は、下り信号の通信経路に通信障害が発生したか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、通信端末装置10―1の通信判定部44は、例えば、通信端末装置10―1の第1通信部20が中継器12からのアイドル信号を所定の時間以上に渡り受信できなくなった場合に、下り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定する。例えば、通信端末装置10―1の通信判定部44は、通信端末装置10―1の第1通信部20が妨害電波を受信した場合に、下り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定してもよい。下り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定された場合(ステップS201;Yes)、ステップS19に進む。下り信号の通信経路に通信障害が発生していないと判定された場合(ステップS201;No)、ステップS202に進む。ステップS201でNoと判定された場合は、通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信すると、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS202)。そして、処理を終了する。
【0051】
通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信できない場合には、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を記憶部30に一時保存する(ステップS19)。
【0052】
通信端末装置10―2の制御部34は、通信障害判定処理を実行する(ステップS20)。通信障害判定処理は、
図6に示す処理と殆ど同じなので、説明を省略するが、下り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定された場合は(ステップS201;Yes)、ステップS21に進む。
【0053】
通信端末装置10―2の第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第2通信方式で通信端末装置10―1に送信する(ステップS21)。通信端末装置10―1の第2通信制御部42は、通信端末装置10―2から第2通信部22で受信した通信端末装置10―2の現在の位置を示す位置情報を記憶部30に一時保存する(ステップS22)。
【0054】
通信端末装置10―3の制御部34は、通信障害判定処理を実行する(ステップS23)。通信障害判定処理は、
図6に示す処理と同じなので、説明を省略するが、下り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定された場合は(ステップS201;Yes)、ステップS24に進む。
【0055】
通信端末装置10―3の第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第2通信方式で通信端末装置10―1に送信する(ステップS24)。通信端末装置10―1の第2通信制御部42は、通信端末装置10―2から第2通信部22で受信した通信端末装置10―3の現在の位置を示す位置情報を記憶部30に一時保存する(ステップS25)。
【0056】
ここで、通信システム1の下り信号の通信経路の通信障害が解消したとする(ステップS26)。そして、
図5の処理を終了する。
【0057】
図7を用いて、第1実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図7は、第1実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【0058】
通信システム1に発生していた通信障害が解消すると、通信端末装置10―1、通信端末装置10―2、通信端末装置10―3、および基地局装置14は、中継器12から再びアイドル信号を定期的に受信する(ステップS27)。
【0059】
通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信すると、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報と、通信障害発生中に記憶部30に保存していた通信端末装置10―1の位置情報と、通信端末装置10―2および通信端末装置10―3から受信した位置情報を集約して第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS28)。なお、ステップS28の後、通信端末装置10―1は、集約した位置情報を中継器12に送信したことを第2通信方式で通信端末装置10―2と通信端末装置10―3に通知してもよい。
【0060】
ここで、
図8と、
図9とを用いて、第1実施形態に係る通信端末装置が中継器に送信する情報のデータ構造について説明する。
図8は、第1実施形態に係る情報のデータ構造の一例を示す図である。
図9は、第1実施形態に係る複数の情報を集約したデータ構造の一例を示す図である。
【0061】
図8に示すように、データ構造D1は、「データフォーマット」、「送信先ID」、「送信元ID」、「メッセージデータ」などの各種の情報を含む。「データフォーマット」は、情報の種別を示す。「データフォーマット」は、位置情報(GNSSデータ、GPSデータなど)や、メッセージデータ等であることを示す。なお、発明において、「データフォーマット」の種別は限定されない。「送信先ID」は、情報の送信先を特定するための識別情報を示す。「送信元ID」は、情報の送信元を特定するための識別情報を示す。「ショートメッセージ」は、送信元がショートメッセージを送信する場合の、メッセージの内容を示す。
【0062】
図9を用いて、第1実施形態に係る情報を集約する方法について説明する。データ構造D11は、「GPS Data Format」、「送信先:基地局装置#1」、「送信元:通信端末装置#2」、および「位置情報#2」などの情報を含む。データ構造D12は、「GPS Data Format」、「送信先:基地局装置#1」、「送信元:通信端末装置#3」、および「位置情報#3」などの情報を含む。例えば、「GPS Data Format」は、データ構造が位置情報であることを示す。例えば、「送信先:基地局装置#1」は、送信先が基地局装置#1であることを示す。例えば、「送信元:通信端末装置#2」は、送信元が通信端末装置#2であることを示す。例えば、「位置情報#2」は、通信端末装置#2が位置している緯度経度情報など示す。緯度経度情報には、タイムスタンプ(時間情報)が含まれ得る。通信端末装置10―1の制御部34は、データ構造D11と、データ構造D12とを集約して、データ構造D13を生成する。
【0063】
データ構造D13は、「GPS Data Format X」、「送信先:基地局装置#1」、「送信元:通信端末装置#2」、「位置情報#2」、「送信元:通信端末装置#3」、および「位置情報#3」などの情報を含む。「GPS Data Format X」は、データ構造が集約された位置情報であることを示す。データ構造D13と、データ構造D11およびデータ構造D12とを比較すると、データ構造D13は、「Data Format」1つと、「送信先:基地局装置#1」1つとが、省略されている。すなわち、データ構造D11と、データ構造D12とを集約することで、データ量を低減することができる。
【0064】
再び
図7を参照する。中継器12は、通信端末装置10―1から受信した通信端末装置10―1の現在の位置を示す位置情報と、通信障害発生中の通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を基地局装置14に送信する(ステップS29)。
【0065】
ステップS30からステップS33の処理は、それぞれ、
図5に示すステップS13からステップS16の処理と同じなので、説明を省略する。
【0066】
通信端末装置10―1の制御部34は、通信障害発生中に記憶部30に保存していた通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を削除する(ステップS34)。そして、通信システム1は、
図5に示す通信障害が発生する前のステップS10からステップS16の処理を繰り返し実行する。
【0067】
上述のとおり、第1実施形態は、下り信号の通信経路に通信障害が発生した場合には、通信障害が発生している間の各通信端末装置の位置情報を代表端末に集約する。そして、第1実施形態は、通信障害が解消した後、通信障害が発生している間の各通信端末装置の位置情報を代表端末がまとめて中継器に送信する。言い換えれば、通信障害が解消した後、代表端末以外の通信端末装置は、通信障害の発生している間に中継装置に送信できなかった位置情報を送信しない。これにより、第1実施形態は、通信端末装置それぞれが通信障害の発生している間に送信できなかった位置情報を中継器に一斉に再送信しようとして送信信号の輻輳の発生など通信回線の圧迫を防止できる。また、下り信号の通信経路に通信障害が発生している間の各通信端末装置の位置情報が欠落してしまうことを防止することができる。
【0068】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る通信システムおよび通信端末装置の構成例は、第1実施形態と同じなので説明を省略する。
【0069】
(通信障害)
図10を用いて、第2実施形態に係る通信障害について説明する。
図10は、第2実施形態に係る通信障害を説明するための図である。
【0070】
図10に示すように、通信システム1において、上り信号の経路に通信障害発生したとする。この場合、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3は、それぞれ、中継器12に上り信号S1から上り信号S3を送信することができない。すなわち、通信システム1において上り信号の経路に通信障害が発生している間は、中継器12は通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を受信することができない。そのため、管理装置16は、通信システム1において上り信号の経路に通信障害が発生している間は、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を管理することができない。
【0071】
(通信方法)
図11を用いて、第2実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図11は、第2実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【0072】
ステップS40からステップS45の処理は、それぞれ、
図5に示すステップS11からステップS16の処理と同じなので、説明を省略する。
【0073】
ステップS40からステップS45は、通信システム1が動作している間において、定期的に実行される処理である。
【0074】
ここで、通信システム1の上り信号の通信経路で妨害電波が発生したなどの理由により、通信障害が発生したとする(ステップS46)。
【0075】
通信端末装置10―1の制御部34は、通信障害判定処理を実行する(ステップS47)。
図12は、第2実施形態に係る通信障害判定処理を示すフローチャートである。通信端末装置10―1の通信判定部44は、上り信号の通信経路に通信障害が発生したか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、通信端末装置10―1の通信判定部44は、例えば、第1通信部20を用いて上り信号の通信経路に妨害電波が発生しているか否かを検出する機能を有していてもよい。この場合、通信端末装置10―1の通信判定部44は、第1通信部20での上り信号の通信経路に妨害電波が発生しているとの検出結果に基づき、上り信号の通信経路に通信障害が発生していると判定する。通信端末装置10―1の通信判定部44は、例えば、第1通信部20が中継器12に通信障害確認信号を送信し、通信障害確認信に対する応答(Ack)を受信できない場合に上り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定する。上り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定された場合(ステップS301;Yes)、ステップS48に進む。上り信号の通信経路に通信障害が発生していないと判定された場合(ステップS301;No)、ステップS302に進む。ステップS301でNoと判定された場合は、通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS302)。そして、処理を終了する。
【0076】
通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、上り信号の通信経路に通信障害が発生している場合には、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を記憶部30に一時保存する(ステップS48)。
【0077】
通信端末装置10―2の制御部34は、通信障害判定処理を実行する(ステップS49)。通信障害判定処理は、
図12に示す処理と同じなので、説明を省略するが、上り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定された場合(ステップS301;Yes)、
図11のステップS50に進む。
【0078】
通信端末装置10―2の第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第2通信方式で通信端末装置10―1に送信する(ステップS50)。通信端末装置10―1の第2通信制御部42は、通信端末装置10―2から第2通信部22で受信した通信端末装置10―2の現在の位置を示す位置情報を記憶部30に一時保存する(ステップS51)。
【0079】
通信端末装置10―3の制御部34は、通信障害判定処理を実行する(ステップS52)。通信障害判定処理は、
図12に示す処理と同じなので、説明を省略するが、上り信号の通信経路に通信障害が発生したと判定された場合(ステップS301;Yes)、
図11のステップS53に進む。
【0080】
通信端末装置10―3の第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第2通信方式で通信端末装置10―1に送信する(ステップS53)。通信端末装置10―1の第2通信制御部42は、通信端末装置10―3から第2通信部22で受信した通信端末装置10―3の現在の位置を示す位置情報を記憶部30に一時保存する(ステップS54)。
【0081】
ここで、通信システム1の上り信号の通信経路の通信障害が解消したとする(ステップS55)。そして、
図11の処理を終了する。
【0082】
図13を用いて、第2実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図13は、第2実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【0083】
ステップS56からステップS62の処理は、それぞれ、
図7に示すステップS28からステップS34の処理と同じなので、説明を省略する。そして、通信システム1は、ステップS62の後、
図11に示す通信障害が発生する前のステップS40からステップS45の処理を繰り返し実行する。
【0084】
上述のとおり、第2実施形態は、上り信号の通信経路に通信障害が発生した場合には、通信障害が発生している間の各通信端末装置の位置情報を代表端末に集約する。そして、第2実施形態は、通信障害が解消した後、通信障害が発生している間の各通信端末装置の位置情報を代表端末がまとめて中継器に送信する。言い換えれば、通信障害が解消した後、代表端末以外の通信端末装置は、通信障害の発生している間に中継装置に送信できなかった位置情報を送信しない。これにより、第2実施形態は、通信端末装置それぞれが通信障害の発生している間に送信できなかった位置情報を中継器に一斉に再送信しようとして送信信号の輻輳の発生など通信回線の圧迫を防止できる。また、上り信号の通信経路に通信障害が発生している間の各通信端末装置の位置情報が欠落してしまうことを防止することができる。
【0085】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る通信システムおよび通信端末装置の構成例は、第1実施形態と同じなので説明を省略する。
【0086】
第3実施形態では、
図4に示すように、下り信号の通信経路に通信障害が発生した場合において、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3が中継器12にショートメッセージを送信する場合に、ショートメッセージを代表端末に集約する処理を実行する。
【0087】
(通信方法)
図14を用いて、第3実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図14は、第3実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【0088】
ステップS70の処理は、
図5に示すステップS10の処理と同じなので、説明を省略する。
【0089】
ここで、通信システム1の下り信号の通信経路で妨害電波が発生したなどの理由により、通信障害が発生したとする(ステップS71)。
【0090】
ステップS72の処理は、
図5に示すステップS20の処理と同じなので、説明を省略する。
【0091】
通信端末装置10―2の第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、操作部24に入力されたショートメッセージを第2通信方式で通信端末装置10―1に送信する(ステップS73)。なお、ショートメッセージは、操作部24で入力された文字列に限らず、事前に用意された定型メッセージを選択するのでもよい。通信端末装置10―1の第2通信制御部42は、通信端末装置10―2から第2通信部22で受信したショートメッセージを記憶部30に一時保存する(ステップS74)。
【0092】
ステップS75の処理は、
図5に示すステップS23の処理と同じなので、説明を省略する。
【0093】
通信端末装置10―3の第2通信制御部42は、第2通信部22を制御して、操作部24に入力されたショートメッセージを第2通信方式で通信端末装置10―1に送信する(ステップS76)。通信端末装置10―1の第2通信制御部42は、通信端末装置10―3から第2通信部22で受信したショートメッセージを記憶部30に一時保存する(ステップS77)。
【0094】
ここで、通信システム1の下り信号の通信経路の通信障害が解消したとする(ステップS78)。そして、
図14の処理を終了する。
【0095】
図15を用いて、第3実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図15は、第3実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【0096】
ステップS79の処理は、
図14に示すステップS70の処理と同じなので説明を省略する。
【0097】
通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、中継器12からアイドル信号を受信すると、第1通信部20を制御して、通信障害発生中に通信端末装置10―2および通信端末装置10―3から受信し、記憶部30に保存していたショートメッセージを集約して第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS80)。中継器12は、通信端末装置10―1から受信したショートメッセージを基地局装置14に送信する(ステップS81)。
【0098】
基地局装置14は、受信したショートメッセージに対するAckを中継器12に送信する(ステップS82)。中継器12は、基地局装置14から受信したAckを通信端末装置10―1に送信する(ステップS83)。
【0099】
通信端末装置10―1の制御部34は、通信障害発生中に記憶部30に保存していたショートメッセージを削除する(ステップS84)。そして、処理を終了する。
【0100】
上述のとおり、第3実施形態は、下り信号の通信経路に通信障害が発生した場合には、通信障害が発生している間に各通信端末装置が送信したショートメッセージを代表端末に集約する。そして、第3実施形態は、通信障害が解消した後、通信障害が発生している間の各通信端末装置から受信したショートメッセージを代表端末がまとめて中継器に送信する。言い換えれば、通信障害が解消した後、代表端末以外の通信端末装置は、通信障害の発生している間に中継装置に送信できなかったショートメッセージを送信しない。これにより、第3実施形態は、通信端末装置それぞれが通信障害の発生している間に送信できなかったショートメッセージを中継器に一斉に再送信しようとして送信信号の輻輳の発生など通信回線の圧迫を防止できる。
【0101】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る通信システムおよび通信端末装置の構成例は、第1実施形態と同じなので説明を省略する。
【0102】
第4実施形態では、
図10に示すように、上り信号の通信経路に通信障害が発生した場合において、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3が中継器12にショートメッセージを送信する場合に、ショートメッセージを代表端末に集約する処理を実行する。
【0103】
(通信方法)
図16を用いて、第4実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図16は、第4実施形態に係る通信システムに通信障害が発生している間の通信方法を示すシーケンス図である。
【0104】
通信システム1の上り信号の通信経路で妨害電波が発生したなどの理由により、通信障害が発生したとする(ステップS90)。
【0105】
ステップS91の処理は、
図11に示すステップS49の処理と同じなので、説明を省略する。
【0106】
ステップS92およびステップS93の処理は、それぞれ、
図14に示すステップS73およびステップS74の処理と同じなので、説明を省略する。
【0107】
ステップS94の処理は、
図11に示すステップS52の処理と同じなので、説明を省略する。
【0108】
ステップS95およびステップS96の処理は、それぞれ、
図14に示すステップS76およびステップS77の処理と同じなので、説明を省略する。
【0109】
通信端末装置10―1の制御部34は、ショートメッセージの送信判定処理を実行する(ステップS97)。
図17は、第4実施形態に係るショートメッセージの送信判定処理を示すフローチャートである。通信端末装置10―1の通信判定部44は、中継器12にショートメッセージを送信可能であるか否かを判定する(ステップS401)。具体的には、通信端末装置10―1の通信判定部44は、上り信号の通信経路に発生していた通信障害が解消された場合に、中継器12にショートメッセージを送信可能であると判定する。ショートメッセージは送信可能であると判定された場合(ステップS401;Yes)、ステップS402に進む。ショートメッセージは送信可能であると判定されない場合(ステップS401;No)、ステップS403に進む。ステップS401でYesと判定された場合、通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、第1通信部20を制御して、中継器12にショートメッセージを送信する(ステップS402)。そして、処理を終了する。ステップS401でNoと判定された場合、通信端末装置10―1の制御部34は、所定時間待機する(ステップS403)。そして、ステップS401に進む。
【0110】
再び16を参照する。ここで、通信システム1の上り信号の通信経路の通信障害が解消したとする(ステップS98)。そして、
図16の処理を終了する。
【0111】
図18を用いて、第4実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図18は、第4実施形態に係る通信システムの通信障害が解消した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【0112】
図16のステップS98で通信障害が解消したことにより、
図17のステップS401で中継器12にショートメッセージを送信可能であると判定(ステップS401;Yes)されるので、ステップS402の処理が実行され、通信障害が発生中に送信できず通信端末装置10-1の記憶部30に一時保存されていたショートメッセージを中継器12に送信する(ステップS99)。ステップS99からステップS103の処理は、それぞれ、
図15に示すステップS80からステップS84の処理と同じなので、説明を省略する。
【0113】
上述のとおり、第4実施形態は、上り信号の通信経路に通信障害が発生した場合には、通信障害が発生している間に各通信端末装置が送信したショートメッセージを代表端末に集約する。そして、第4実施形態は、通信障害が解消した後、通信障害が発生している間の各通信端末装置から受信したショートメッセージを代表端末がまとめて中継器に送信する。言い換えれば、通信障害が解消した後、代表端末以外の通信端末装置は、通信障害の発生している間に中継装置に送信できなかったショートメッセージを送信しない。これにより、第4実施形態は、通信端末装置それぞれが通信障害の発生している間に送信できなかったショートメッセージを中継器に一斉に再送信しようとして送信信号の輻輳の発生など通信回線の圧迫を防止できる。
【0114】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。第5実施形態に係る通信システムおよび通信端末装置の構成例は、第1実施形態と同じなので説明を省略する。
【0115】
(通信障害)
図19を用いて、第5実施形態に係る通信障害について説明する。
図19は、第5実施形態に係る通信障害を説明するための図である。
【0116】
図19に示すように、通信システム1において、中継器12が通信を行う通常モードから通信を行わない休止モードに移行したとする。休止モードは、例えば、通信網を有効活用するため、他システムに通信帯域を利用させるために、自システムの通信を一時的に停止している状態である。この場合、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3と、中継器12との間の通信が停止状態となる。そのため、管理装置16は、通信システム1において中継器12が休止モードの間は、通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を管理することができない。
【0117】
(通信方法)
図20を用いて、第5実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図20は、第5実施形態に係る通信システムの中継器が休止モードの間の通信方法を示すシーケンス図である。
【0118】
ステップS110からステップS115の処理は、それぞれ、
図5に示すステップS11からステップS16の処理と同じなので、説明を省略する。
【0119】
中継器12は、通常モードから休止モードに移行する(ステップS116)。中継器12は、休止モードに移行すると、休止モードに移行したことを示す休止情報を、通信端末装置10―1、通信端末装置10―2、通信端末装置10―3、および基地局装置14に送信する(ステップS117)。
【0120】
通信端末装置10―1の制御部34は、中継器12の休止判定処理を実行する(ステップS118)。
図21は、第5実施形態に係る休止判定処理を示すフローチャートである。通信端末装置10―1の通信判定部44は、中継器12は休止モードであるか否かを判定する(ステップS501)。具体的には、通信端末装置10―1の通信判定部44は、中継器12から休止情報を受信後、復帰情報を受信するまでの間は、中継器12は休止モードであると判定する。中継器12は休止モードであると判定された場合(ステップS501;Yes)、ステップS119に進む。中継器12は休止モードであると判定されない場合(ステップS501;No)、ステップS502に進む。ステップS501でNoと判定された場合、通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報を第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS502)。そして、処理を終了する。
【0121】
ステップS119の処理は、
図5に示すステップS19の処理と同じなので、説明を省略する。
【0122】
ステップS120の処理は、ステップS118の処理と同じなので、説明を省略する。ただし、中継器12は休止モードであると判定された場合(ステップS501;Yes)、ステップS121に進む。ステップS121およびステップS122の処理は、それぞれ、
図5に示すステップS21およびステップS22の処理と同じなので、説明を省略する。
【0123】
ステップS123の処理は、ステップS118の処理と同じなので、説明を省略する。中継器12は休止モードであると判定された場合(ステップS501;Yes)、ステップS124に進む。ステップS124およびステップS125の処理は、それぞれ、
図5に示すステップS24およびステップS25の処理と同じなので、説明を省略する。
【0124】
中継器12は、休止モードを終了し、通常モードに移行する(ステップS126)。そして、
図20の処理を終了する。
【0125】
図22を用いて、第5実施形態に係る通信システムの通信方法について説明する。
図22は、第5実施形態に係る通信システムの中継器が休止モードから通常モードに移行した後の通信方法を示すシーケンス図である。
【0126】
中継器12は、休止モードから通常モードに移行すると、休止モードが終了したことを示す復帰情報を通信端末装置10―1、通信端末装置10―2、通信端末装置10―3、基地局装置14に送信する(ステップS127)。
【0127】
通信端末装置10―1の第1通信制御部40は、中継器12から復帰情報を受信すると、第1通信部20を制御して、位置検出部48が検出した現在の位置を示す位置情報と、中継器12が休止モード中に通信端末装置10―2および通信端末装置10―3から受信し、記憶部30に保存していた位置情報とを集約して第1通信方式で中継器12に送信する(ステップS128)。
【0128】
中継器12は、通信端末装置10―1から受信した通信端末装置10―1の現在の位置を示す位置情報と、中継器12が休止モード中の通信端末装置10―1から通信端末装置10―3の位置情報を基地局装置14に送信する(ステップS129)。
【0129】
ステップS130からステップS134の処理は、それぞれ、
図7に示すステップS30からステップS34の処理と同じなので、説明を省略する。
【0130】
上述のとおり、第5実施形態は、中継器が休止モードに移行した場合には、中継器が休止モード中の各通信端末装置の位置情報を代表端末に集約する。そして、第5実施形態は、中継器12が通常モードに移行した後、中継器が休止モード中の各通信端末装置の位置情報を代表端末がまとめて中継器に送信する。言い換えれば、中継器12が通常モードに移行した後、代表端末以外の通信端末装置は、中継器が休止モード中に中継装置に送信できなかった位置情報を送信しない。これにより、第5実施形態は、通信端末装置それぞれが中継器の休止モード中に送信できなかった位置情報を中継器に一斉に再送信しようとして送信信号の輻輳の発生など通信回線の圧迫を防止できる。また、中継器が休止モード中の各通信端末装置の位置情報が欠落してしまうことを防止することができる。
【0131】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0132】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0133】
1 通信システム
10 通信端末装置
12 中継器
14 基地局装置
16 管理装置
20 第1通信部
22 第2通信部
24 操作部
26 表示部
28 音声出力部
30 記憶部
32 GNSS受信部
34 制御部
40 第1通信制御部
42 第2通信制御部
44 通信判定部
46 役割判定部
48 位置検出部