IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケア・インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-12400より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション
<>
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図1
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図2A
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図2B
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図3
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図4
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図5
  • 特開-より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012400
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】より高い酸素流量能力を可能にする着用可能な酸素生成機およびドッキング・ステーション
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
A61M16/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023184565
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2021113686の分割
【原出願日】2016-06-22
(31)【優先権主張番号】62/182,845
(32)【優先日】2015-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516290450
【氏名又は名称】ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Caire Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エドワーズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者に呼吸可能な酸素を供するように使用するために適合される着用可能かつポータブルな酸素システムを提供する。
【解決手段】着用可能な酸素濃縮機は、歩行モードおよび静止モードの両方で使用することができる。着用可能な酸素濃縮機は、ドッキング・ステーション310から電力を取り出し、両方のモードでエネルギー効率を維持することができるように、静止モードにおいてドッキング・ステーションに物理的に接続される。酸素生成システムは、より低い流れの歩行モードおよびより高い流れの静止モードで使用するための圧縮機構成によって効率的なガス流れを組み込んでいる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮システムであって、
患者ポータブル・ユニットおよびドッキング・ステーションを有して成り、
患者ポータブル・ユニットは、
気体酸素を患者に送るように構成される酸素濃縮機を有し、
患者によって持ち運びができ、また9ポンド未満の重さであり、
スタンドアローン・モードにある場合、2リットル/分以下の割合で気体酸素を患者に送るように構成され、ドッキング・ステーションに取り付けられておらず、
充電式バッテリーを含み、
ドッキング・ステーションは、
患者ポータブル・ユニットに物理的に取り付けられることができ、
患者ポータブル・ユニットが、静止モードにある場合、5リットル/分以下の割合で気体酸素を患者に送るように構成され、ドッキング・ステーションに取り付けられており、ならびに
患者ポータブル・ユニットが、ドッキング・ステーションに取り付けられている場合、ドッキング・ステーションからパワーを取り出す、
酸素濃縮システム。
【請求項2】
前記酸素濃縮機が、空気供給部および排気部に流体連通される、請求項1に記載の酸素濃縮システム。
【請求項3】
前記酸素濃縮機の圧縮機部分が、前記ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプに物理的に接続され、該酸素濃縮機の真空部分が、静止モードにある場合に該ドッキング・ステーションの真空ポンプに接続される、請求項1に記載の酸素濃縮システム。
【請求項4】
前記ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプおよび真空ポンプが、単一の回転可能なシャフトに一体化される、請求項3に記載の酸素濃縮システム。
【請求項5】
前記酸素濃縮機の圧縮機部分が、前記ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプに物理的に接続され、該酸素濃縮機の真空部分もまた、静止モードにある場合に該ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプに接続される、請求項1に記載の酸素濃縮システム。
【請求項6】
前記ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプおよび真空ポンプが、単一の回転可能なシャフトに一体化される、請求項5に記載の酸素濃縮システム。
【請求項7】
前記酸素濃縮機の真空部分が、前記圧縮機ポンプに接続された流出導管を介して周囲の空気に排気される、請求項5に記載の酸素濃縮システム。
【請求項8】
前記酸素濃縮機の圧縮機側が、流入導管を介して周囲の空気を引く、請求項7に記載の酸素濃縮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年6月22日に提出された同時係属中の米国仮特許出願第62/182,845号の優先権を主張する。その出願日につき優先権が主張され、仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、患者に呼吸可能な酸素を供するように使用するために適合される着用可能な圧力/真空スイング吸着酸素システムのような着用可能かつポータブルな(または持ち運びできる、portable)酸素システムに関する。開示されるデバイスおよび方法は、例えば、歩行性/着用性、移動性/携帯性および静止状態での用途における使用に適している。
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者は、患者に酸素含有量が豊富な空気を供する酸素増強(oxygen augmentation)によって、しばしば治療される。静止しているか歩行不能な患者の治療は、典型的に、窒素に対して酸素を優先的に患者に送る圧力スイング吸収システム(pressure-swing absorber system)から患者が呼吸することを伴う。これらのシステムは、最も一般的な形態では、コスト駆動の、エネルギーが非効率な、また重い電動デバイスである。
【0004】
移動可能な(すなわち、歩行可能な)患者にとって、バッテリーによって駆動されるポータブルな、または着用可能な濃縮機が開発され、バッテリー寿命を延ばすための電力消費を最小限に抑えるために、よりエネルギー効率の高い真空圧力スイング・サイクル(vacuum-pressure-swing cycles)およびパルス流送出(pulsed-flow delivery)を使用することが多い。しかし、バッテリーは重く、ポータブル濃縮機は、AC電源などの主電源に再充電または接続することなく、典型的にはわずか数時間しか使用できない。このことは、ほとんどの患者にとって、適切な酸素増強のために少なくとも2つのデバイスが必要であることを意味し、1つは静止状態での使用であり、もう1つは移動状態での使用である。そのようなデバイスは高価で煩わしいため、多くの患者がポータブル・デバイスの利便性なしに行わなければならない。
【発明の概要】
【0005】
歩行モード(ambulatory mode)および静止モード(stationary mode)の両方で使用することができ、両方のモードでエネルギー効率を維持できる、着用可能な酸素濃縮機(oxygen concentrator)が開示される。以下詳細に説明するように、開示される酸素生成システムは、より低い流量の歩行モードからより高い流量の静止アプリケーションまで使用するための改良された新規の圧縮機構成により効率的なガス流れを組み込む。
【0006】
コンパクトで効率的で着用可能なコンパクト酸素濃縮機ユニットが、患者にとって望ましい。例えば、歩行可能な患者には以下の非限定的な仕様を有する着用可能なコンパクト酸素濃縮機が望ましく、また開示されるシステムを以下の仕様に適合させることを、出願人は見出した。その仕様は、連続的で清浄な(または精製された、purified)酸素の流れを2.0リットル/分(lpm)で生成して送り、重さが9ポンド未満(または7ポンド未満)であり、また1回のバッテリー充電で約2時間持続することである。非限定的な例であるこれらの仕様は、困難であり、また現在製造中の最も進んだ酸素濃縮機と比較して重さを2倍減少させることを必要とする。
【0007】
開示される着用可能なデバイスは、患者が日常生活を送るときに、歩行可能な患者によって運ばれてもよい。このデバイスは、例えば、医療機関によって運ばれたり、避難用プラットフォームに組み込まれたり、患者によって運ばれたり、兵士によって運ばれたり、または高所/低酸素環境の人よって運ばれてもよい。このようなデバイスは、歩行可能な患者に十分に適しており、また静止状態での使用のための適応が要求される。患者は、主として静止しているか、または眠っている場合、2リットル/分(lpm)よりも多い割合で酸素を処方される。静止状態での使用(ドッキング・ステーション(または結合ステーション、docking station)に取り付けられている場合)のための流量要求は、例えば5lpmまでであり得る。このようなデバイス/システムは、使用時にバッテリー電源の代わりに壁面に取り付けられたAC電源と接続される(draw)。本開示は、着用可能なデバイスが5lpmの静止ユニットに変換できるように、2lpmの着用可能なデバイスがドッキング・ステーションのような追加のデバイスと組合せて機械的に結合される構成に関する。
【0008】
開示されるデバイスおよび方法は、必要に応じて、また主電力(またはパワー、power)が利用可能であるときに、より高い流量の静止状態での使用のための着用可能な酸素濃縮機の使用を可能にする。これにより、患者の酸素流量要求の全範囲に対して、着用可能な1つのみのデバイスである、酸素濃縮デバイスの使用が可能になる。
【0009】
酸素濃縮機は、空気から酸素を抽出するデバイスである。これらのデバイスは、圧力下で酸素を貯蔵する危険性を回避する。それらは、バッテリー、発電機または他の電源からエネルギーが得られる限り、連続的に酸素を供給することができる。負傷した兵士を生存させるために、またCOPDおよび/または気腫を煩う他の患者に供するためなどの、野外または極度の状態の患者には、しばしば酸素が必要とされる。人が運ぶことができる範囲を超えて、電気が無く、物資が無い遠隔地において、それは必要とされ得る。毎日の生活において、また飛行機での旅行などの小さな空間での長い時間、患者にとって必要となり得る。
【0010】
望ましい酸素供給源は、内蔵の充電式バッテリーで動作し、一度に2時間にわたって連続的に酸素を供給することができる、軽量で効率的で着用可能なデバイスである。現在の技術は、技術的なハードルのためにこれらの要件を真に満たしていない。
【0011】
開示されるデバイスは、主供給の(家庭用の)電気などの電力源によって動力が供給されるブースター・ベース(booster base)と結合する、歩行可能な、またはポータブルな(すなわち着用可能な)酸素濃縮機を含む。ポータブル濃縮機は、ポータブル使用のために、より低い流速でバッテリー・パワーから軽量で効率的な濃縮を供する、吸着床(adsorbent beds)の小容量アレイ(array)における急速なVPSAサイクルを可能にする回転構造吸着システム(rotary structured adsorbent system)を含んでもよい。ブースター・ベースは、吸着床において、より速い急速なサイクルの圧力スイング吸着(pressure swing adsorption、PSA)または真空-圧力スイング吸着(VPSA)サイクリングと組合せて使用される、より大きな空気流を可能にする補助設備(すなわち、より能力のある圧縮機ポンプおよび/または真空ポンプ)を含み得、それらは集まって典型的な静的濃縮機のより高い流量を供する。ブースター・ベースは、家庭内での使用に適した加湿および消音のような他の適切な補助装置も含んでもよい。
【0012】
1またはそれよりも多い態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。さらなる特徴、態様、および利点は、記載、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、着用可能な酸素濃縮機の第1態様の模式図を示す。
図2A図2Aは、例示的な濃縮機の切り取り図および分解図である。
図2B図2Bは、例示的な濃縮機の切り取り図および分解図である。
図3図3は、圧縮および真空の両方の流れでドッキング・ステーションに接続された第1態様の模式図を示す。
図4図4は、圧縮された圧縮流れでドッキング・ステーションに接続された第2態様の模式図を示す。
図5図5は、圧縮された真空流れでドッキング・ステーションに接続された第3態様の模式図を示す。
図6図6は、流体連通されていない第4態様の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の保護対象がさらに記載される前に、本明細書に記載される保護対象は、記載された特定の態様に限定されず、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、保護対象が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0015】
ドッキング・ステーションに物理的に接続される場合に静止モードに移行することができる、着用可能な酸素濃縮機の形態で、患者に酸素増強を供するためのシステムおよび方法が開示される。このデバイスは、通常、歩行モードで使用されてもよく、また静止(または歩行不可)モードでより高い酸素流量を患者に送り得る。開示されるシステムおよび方法は、歩行時のより低い流動から静止アプリケーションによるより高い流動までの使用のための改良された新規な圧縮機流れ構成によって、効率的なガス流れを組み込む多能の酸素生成システム(または多用途の酸素生成システム、versatile oxygen generation system)を供する。
【0016】
非限定的な態様では、ポータブルで着用可能な濃縮機は、連続的で清浄な酸素流れを2.0lpmまでで酸素を生成し、供給し、9ポンド未満(または7ポンド未満)の重さであり、また1回のバッテリー充電で約2時間持続する。着用可能な濃縮機は、構造化(structured)吸着床および回転弁(またはロータリー・バルブ、rotary valve)を含む回転吸着モジュール(rotary adsorbent module)、圧縮セクションおよび真空セクションを有する圧縮機、再充電可能なバッテリー、配管(すなわち流れライン)、電気、ファン、モーター、フレーム、カバー、器機(instrumentation)、制御系(controls)を含む。これにより、患者は容易かつ快適にデバイスに持ち運ぶことができる。
【0017】
着用可能な酸素濃縮機システムの単純流れ模式図を図1に示す。着用可能な酸素濃縮機システムは、空気供給部(air feed)288および排気部(または排出部、exhaust)290に流体連通された濃縮機214を含む。空気は、空気供給部288を介してシステムへと流入または供給され、排気部290を介してシステムから出るか、または排気される。濃縮機は、外部ハウジングおよび物理的ボタン、スイッチなどの1またはそれよりも多いユーザーが作動可能な制御要素および/またはタッチ・スクリーンを含む。
【0018】
一態様では、システムは、着用可能な酸素濃縮機214に物理的にドッキングされることができるドッキング・ステーション(図3に模式的に示される)を含み、それによって着用可能な濃縮機が、着用可能なモードまたは歩行モードに対して、より高い酸素流量を供する静止モードを達成することを可能にする。ドッキングされる場合、ドッキング・ステーションおよび着用可能なシステムは電気的に接続され、2つのデバイス間での電力の伝達を可能とする。システムはまた、デバイス間の流体移送を可能にするように流体連通される。静止モードにおいて、ドッキング・ステーション・デバイスは、壁コンセントまたは電気グリッドのような電源から電力を取り出し、その電力を着用可能な濃縮機システムに送る。例示的な態様では、より高い酸素流量は、静止モードで、10lpmほど高く、別の態様では5lpmまで高くすることができる。ドッキング・ステーションは、空気流入導管(air input conduit)(空気供給部)、排気導管(exhaust conduit)、圧縮機、真空ポンプ、壁/グリッド接続、ヒートシンク/熱交換器、消音機(sound abatement)、配管および器機および制御系を含んでもよい。
【0019】
着用可能な酸素濃縮機に使用される圧縮機は、コンパクト、効率的および軽量であり、また別個の圧縮セクションおよび真空セクションを有する。吸着セクションは、より低い圧力降下、より速い動態(kinetics)、より良好な均一性および熱管理のための構造化吸着床を含むことができる。圧縮機は、スイング(または振る、swing)・タイプまたはスクロール(または巻く、scroll)・タイプの機械的構成であってもよい。代替的に、圧縮機は、大流量の立上げ(または増量、ramp up)を可能にするために、リニア(または線形、linear)・タイプまたはレシプロ(または往復、reciprocating)・タイプの構成とすることができる。
【0020】
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、図1および他の態様に示す酸素生成機として使用し得る例示的な濃縮機214の切り取り図および分解図である。図示するように、濃縮機214は、流体(液体もしくは気体)または汚染物質の特定の分子種に対して選択的な吸着材の床を各々含む吸着床300と、吸着床300を介して流体を選択的に移す回転弁アセンブリ310と、一体化されたチューブ・アセンブリ(integrated tube-assembly)およびマニホールド320と、生成物タンク・カバー330と、弁アセンブリ・エンクロージャー(valve assembly enclosure)340とを含む。いくらかの態様では、吸着床300は、金属容器(例えば、アルミニウム)であってもよい生成物タンク・カバー330によって囲まれた成形プラスチック容器である。別の態様では、濃縮機は、2014年10月9日に出願された「スパン-エピサイクリック幾何学を用いるスピン・ポンプ(Spin Pump With Spun-Epicyclic Geometry)」と題する米国特許出願第14/510,904号(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている酸素濃縮機およびスピン・ポンプ(spin pump)に従って構成される。
【0021】
各々の吸着床300は、生成物端部(product end)350および供給端部(feed end)360を含む。床300の生成物端部350は、回転弁アセンブリ310との連通のために生成物ライン380を通ってマニホールド320の流入生成物通路(incoming product passage)と連通する。マニホールド320はまた、回転弁アセンブリ310と生成物タンク330の内部とを連通する流出生成物通路(outgoing product passage)と、回転弁アセンブリ310と供給圧力ライン322とを連通する流入供給通路と、回転弁アセンブリ310と真空圧力ラインとを連通する真空チャンバーとを含む。生成物送出ライン(product delivery line)324は、生成物タンク330の内部と連通する。真空圧力ラインは、濃縮機から排気ガスを引き出すための真空発生機と直接的にまたは間接的に連通してもよい。
【0022】
動作中、空気は、圧縮機からマニホールド320の流入供給通路を通って供給圧力ライン322に流れる。そこから、空気は、回転弁アセンブリ310に流れ、マニホールド320の流出供給通路を逆流して分配される。そこから、供給空気は、吸着床300の供給端部360に流れる。吸着床300は、吸着される種に適した吸着媒体を含む。酸素濃縮に関して、非吸着生成ガスとして酸素が生成されるように、供給空気中の酸素に対して窒素を吸着する充填された粒状吸着材を使用してもよい。高度にリチウム交換されたX型ゼオライトなどの吸着剤を使用してもよい。2またはそれよりも多い別個の吸着材を含む層状吸着床も使用してもよい。一例として、酸素濃縮に関して、窒素を吸着するために、水吸着に使用される活性アルミナまたはシリカゲルの層を、生成物端部350に向かって床の大部分として用いられるリチウム交換X型ゼオライトを有する吸着床300の供給端部360の近くに位置付けてもよい。
【0023】
得られた生成物酸素ガスは、吸着床300の生成物端部350に向かって、生成物ライン380を通り、マニホールド320の流入生成物通路を通り、また回転弁アセンブリ310に流れ、酸素ガスは、流出生成物通路を介してマニホールド320を逆流して分配され、生成物タンク330に入る。生成物タンク330から、酸素ガスが生成物送出ライン324および/または供給ライン221を介してユーザーに供給される。
【0024】
濃縮機214は、ユーザー208への最終的な送出のために酸素ガスを空気から分離する。濃縮機214は、例えば、圧力センサー、温度センサー、ポンプ、低圧リザーバー、供給弁、流量センサーおよび純度センサー、ならびに保存デバイス290の1またはそれよりも多くを含んでもよい供給ラインを介してユーザーに接続する。供給ライン221を構成するこれらの様々な構成要素は、チューブ、コネクタなどを用いて結合されてもよい。ポンプは、モーターによって駆動されてもよい。酸素は、低圧リザーバーに貯蔵され得、ユーザーに供給されてもよい。供給弁は、大気圧で、低圧リザーバーからユーザーへの酸素ガスの送出を制御するために使用されてもよい。
【0025】
いくらかの態様では、濃縮機はまた、排気ガスを排気するように構成されてもよい。いくらかの態様では、モーターによって駆動され、圧縮機と一体化された真空発生機が、濃縮機からの排気ガスを吸引して、濃縮機の回収率および生産性を向上させる。排気ガスは、排気マフラーを通ってデバイスから出すことができる。濃縮機からの排気流れの圧力を読み取るために、圧力トランスデューサーは、濃縮機と真空発生機との間に配置されてもよい。
【0026】
いくらかの態様では、濃縮機214は、医療用途および産業用途に使用され得る先端技術分別機(Advanced Technology Fractionator、ATF)であってもよい。ATFは、圧力スイング吸着(PSA)プロセス、真空圧力スイング吸着(VPSA)プロセス、急速PSAプロセス、非常に急速なPSAプロセス、またはいくらかの他のプロセスを実施し得る。PSAまたはVPSAプロセスが実施される場合、濃縮機は、複数のシーブ(またはふるい、sieve)床を通る空気流れを制御するために、回転弁機構または非回転弁機構を含んでもよい。シーブ床は、ガス流れが床に入る大きな直径、およびガス流れが床を出る小さな直径を有するように、テーパーを付けてもよい。ATF濃縮機214で使用し得る、適切なシーブ材には、リチウムイオンの高交換を可能にするリチウムXゼオライトが含まれる。膜分離タイプおよび電気化学セル(高温または低温)を含む、他のタイプの濃縮機または空気分離デバイスも使用してもよい。
【0027】
図3に示される態様では、着用可能な濃縮機システム305は、圧縮流れラインまたは圧縮流れ導管および真空流れラインまたは真空流れ導管の両方でドッキング・ステーションに機械的および流体的に連通される。着用可能な濃縮機の圧縮機部分(compressor portion)または側面335は、ドッキング・ステーション310の圧縮機ポンプ(compressor pump)315に物理的に接続される。着用可能な濃縮機の真空部分または側面340は、ドッキング・ステーションの真空ポンプ(vacuum pump)345に接続される。ドッキング・ステーションにおける圧縮機ポンプおよび真空ポンプは、例えば、2014年10月9日に出願された「スパン-エピサイクリック幾何学を用いるスピン・ポンプ」と題する米国特許出願第14/510,904号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、単一の回転可能なシャフトに一体化することができる。構造化吸着剤を含む着用可能な濃縮機回転モジュールは、例えば5lpmの酸素流れを送るように、~3倍などの所定値まで増速される。組合されたデバイスは、静止モードでは、システムの充電式バッテリーからではなく、壁コンセントまたは電気グリッド(主電源)などの電源から電力を取り出す(または引き出す、draw)。着用可能な酸素濃縮機システムがドッキング・ステーションに取り付けられているとき、システムは静止モードである。
【0028】
図4に示す別の態様では、着用可能な濃縮機システム305は、空気供給導管405を介してのみ、圧縮流れでドッキング・ステーション310に流体連通される。着用可能な濃縮機における圧縮機セクションへの流れおよび圧縮機セクションからの流れは、着用可能な濃縮機の圧縮機がより大きな容量の真空ポンプになるように切り替えられる。着用可能な濃縮機の圧縮機側は、ドッキング・ステーションの圧縮機410に接続される。着用可能な濃縮機の真空側は、流出導管(または出力導管、outlet conduit)415を介して周囲に排気される。構造化吸着剤を含む着用可能な濃縮機回転モジュールは、5lpmの酸素流れを送るように~3倍に増速される。組合されたデバイスは充電式バッテリーからではなく、壁/グリッドから電力を取り出す。
【0029】
図5に示す別の態様では、着用可能な濃縮機システム305は、真空流れが導管505を介してドッキング・ステーションの圧縮機に結合される排気導管に向かって排気されるようにのみ、真空流れでドッキング・ステーション310に流体連通される。着用可能な濃縮機における真空セクションへの流れおよび真空セクションからの流れは、着用可能な濃縮機の圧縮機がより大きな容量の圧縮機ポンプになるように切り替えられる。着用可能な濃縮機の真空側は、ドッキング・ステーションの真空ポンプ510に接続される。着用可能な濃縮機の圧縮機側515は、酸素圧縮機に接続される流入導管を介して周囲の空気を吸入する。構造化吸着剤を含む着用可能な濃縮機回転モジュールは、5lpmの酸素流れを送るように~3倍に増速される。組合されたデバイスは充電式バッテリーからではなく、壁/グリッドから電力を取り出す。
【0030】
図6に示す本開示による別の態様では、着用可能な濃縮機システム305は、圧縮または真空のいずれかの流れで、ドッキング・ステーションに流体連通されていない。圧縮および真空の流れは~3倍まで増加する。着用可能な濃縮機デバイスに使用される圧縮機は、このような大きな流れの増加が可能である。このような流れの増加を可能にするために、圧縮機はリニア・タイプまたはレシプロ・タイプとすることができる。構造化吸着剤を含む着用可能な濃縮機回転モジュールは、5lpmの酸素流れを送るために~3倍に増速される。組合されたデバイスは充電式バッテリーからではなく、壁/グリッドから電力を取り出す。
【0031】
様々な方法およびデバイスの態様が、特定のバージョンを参照して本明細書で詳細に記載されているが、他のバージョン、態様、使用方法、およびそれらの組合せも可能であることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の主旨および範囲は、本明細書に含まれる態様の記載に限定されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮デバイスであって、
患者ポータブル・ユニットおよびドッキング・ステーションを有して成り、
患者ポータブル・ユニットは、
一定のレベルの気体酸素の流れを生成し、前記気体酸素を患者に送るように構成される酸素濃縮機を有し、
患者によって持ち運びができ
スタンドアローン・モードにある場合、第1の最大流量までその中で単独で生成した気体酸素を患者に送るように構成され、前記第1の最大流量は、1.5lpmより大きく、
その作動にパワーを供給する充電式バッテリーを含み、
ドッキング・ステーションは、
酸素濃縮機を含まず、
患者ポータブル・ユニットに少なくとも電気的に接続されかつ流体連通されるように構成され、
患者ポータブル・ユニットが、静止モードにある場合、前記第1の最大流量より大きな第2の最大流量まで連続的な気体酸素を患者に送るように構成され、
前記第2の最大流量は、前記第1の最大流量より少なくとも2倍大きく、前記第2の最大流量は、追加の酸素濃縮機を使用することなく生成され、
患者ポータブル・ユニットが、静止モードにある場合、その酸素濃縮機を作動させるためにドッキング・ステーションからパワーを取り出し、その取り出されたパワーが、前記充電式バッテリーから取り出されたパワーより大きく、
前記気体酸素が、エネルギーがバッテリー、発電機または他の電源から得られる限り、前記デバイスは、連続的に酸素を供給することができ、
前記デバイスは着用可能であり、前記患者が容易かつ快適に前記デバイスを持ち運ぶことができる、
酸素濃縮デバイス
【請求項2】
前記酸素濃縮機が、空気供給部および排気部に流体連通される、請求項1に記載の酸素濃縮デバイス
【請求項3】
前記酸素濃縮機の圧縮機部分が、前記ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプに物理的に接続され、該酸素濃縮機の真空部分が、静止モードにある場合に該ドッキング・ステーションの真空ポンプに接続される、請求項1に記載の酸素濃縮デバイス
【請求項4】
前記ドッキング・ステーションの圧縮機ポンプおよび真空ポンプが、単一の回転可能なシャフトに一体化される、請求項3に記載の酸素濃縮デバイス
【外国語明細書】