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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124027
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】雄ねじ、締結構造及び締結方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20240905BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240905BHJP
   F16B 39/22 20060101ALI20240905BHJP
   F16B 35/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16B35/00 K
F16B35/00 X
F16B35/00 Q
F16B5/02 E
F16B39/22 B
F16B35/04 D
F16B35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031909
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】湯井 達也
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA03
3J001JD12
3J001KA21
(57)【要約】
【課題】雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装する場合に、接着剤が周囲のものに付着することを抑止可能とする。
【解決手段】雄ねじであって、周面にねじ溝が形成された軸部と、軸部の後端に接続されると共に、軸部を囲う座面を有する頭部とを有し、頭部は、座面に設けられて軸部を囲う溝部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にねじ溝が形成された軸部と、
前記軸部の後端に接続されると共に、前記軸部を囲う座面を有する頭部と
を有し、
前記頭部は、前記座面に設けられて前記軸部を囲う溝部を有する
雄ねじ。
【請求項2】
前記軸部は、
前記軸部の先端面から前記頭部に向けて穿設された凹部と、
前記軸部の周面から前記凹部に接続される導通路と
を有する
請求項1記載の雄ねじ。
【請求項3】
前記導通路は、前記軸部の前記先端面に接続されて形成された切欠部である
請求項2記載の雄ねじ。
【請求項4】
前記導通路は、前記軸部の先端面から離れて形成された貫通孔である
請求項2記載の雄ねじ。
【請求項5】
前記凹部の底面は、前記導通路よりも前記頭部側に位置する
請求項2~4のいずれか一項に記載の雄ねじ。
【請求項6】
前記溝部は、前記軸部を中心とする円環状に形成されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の雄ねじ。
【請求項7】
内壁面にねじ溝が形成された雌ねじと、
前記雌ねじに螺合される請求項1~4のいずれか一項に記載の雄ねじと
を有する
締結構造。
【請求項8】
前記雌ねじの底面から突出する突起部を備え、
前記軸部が、
先端面から前記頭部に向けて穿設された凹部と、
前記軸部の周面から前記凹部に接続される導通路と
を有し、
前記突起部は、前記雄ねじが前記雌ねじに螺合されることで前記凹部に挿入される
請求項7記載の締結構造。
【請求項9】
前記凹部の底面は、前記導通路よりも前記頭部側に位置し、
前記雄ねじが前記雌ねじに螺合された状態で、前記突起部の先端は、前記導通路よりも前記頭部側に位置する
請求項8記載の締結構造。
【請求項10】
頭部の座面に溝部が設けられた雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装して、前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合する
締結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄ねじ、締結構造及び締結方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、緩み防止付き締結部材を開示する。特許文献1に開示された緩み防止付き締結部材は、ボルトと袋ナットとを備え、ボルトと袋ナットとで被締結部材を挟み込むことで、被締結部材を締結する。また、特許文献1に開示された緩み防止付き締結部材は、ボルトと袋ナットの内壁面との間に接着剤を配置し、袋ナットとボルトとが相対的に回転することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-53704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ボルト等の雄ねじとナット等の雌ねじとの間に接着剤を介装することで、雄ねじと雌ねじとの相対的な回転を抑止し、雄ねじと雌ねじとの緩みを抑制することができる。例えば、雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装する場合には、雄ねじと雌ねじとを螺合する前に、雌ねじの内部や雄ねじの周面に接着剤を塗布しておき、その後に雄ねじと雌ねじとを螺合する。ところが、雄ねじと雌ねじとを螺合するときに、雄ねじと雌ねじとの隙間の空間が減少して硬化前の接着剤が溢れ出し、工具や他の部材等の周囲のものに付着する場合がある。このため、接着剤の塗布量に注意を払ったり、締結箇所の下方に接着剤を受け止めるシートを配置したりする必要があり、作業負担が増加する。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装する場合に、接着剤が周囲のものに付着することを抑止可能な雄ねじ、締結構造及び締結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、雄ねじであって、周面にねじ溝が形成された軸部と、前記軸部の後端に接続されると共に、前記軸部を囲う座面を有する頭部とを有し、前記頭部が、前記座面に設けられて前記軸部を囲う溝部を有するという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、締結構造であって、内壁面にねじ溝が形成された雌ねじと、前記雌ねじに螺合される本発明の第1の態様である雄ねじとを有するという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、締結方法であって、頭部の座面に溝部が設けられた雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装して、前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装する場合に、接着剤が周囲のものに付着することを抑止可能な雄ねじ、締結構造及び締結方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態における締結構造の概略構成を示す模式的な断面図である。
図2】本発明の第1実施形態における締結構造が備える雄ねじの斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態における締結構造が備える雌ねじの斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態における締結構造にて雄ねじと雌ねじとを螺合するときの雄ねじの模式的な断面図である。
図5】本発明の第2実施形態における締結構造の概略構成を示す模式的な断面図である。
図6】本発明の第2実施形態における締結構造が備える雄ねじの斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態における締結構造が備える雄ねじの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る雄ねじ、締結構造及び締結方法の一実施形態について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の締結構造1の概略構成を示す模式的な断面図である。また、図2は、本実施形態の締結構造1が備える雄ねじ2の斜視図である。また、図3は、本実施形態の締結構造1が備える雌ねじ3の斜視図である。本実施形態の締結構造1は、図1に示す被締結部材10を、雌ねじ3が設けられた相手部材11に対して締結するための構造である。
【0014】
なお、本実施形態においては、雌ねじ3が相手部材11に設けられた構成について説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、雌ねじ3が袋ナット等に設けられ、2つの被締結部材を雄ねじと袋ナット等で締結するような締結構造に適用することも可能である。
【0015】
また、本実施形態においては、上方に位置する雌ねじ3に対して雄ねじ2を下方から取り付ける例について説明する。しかしながら、雄ねじ2及び雌ねじ3との姿勢は、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、雌ねじ3に対して雄ねじ2を水平方向から取り付ける締結構造や、雌ねじ3に対して雄ねじ2を上方から取り付ける締結構造に適法することも可能である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の締結構造1は、雄ねじ2と、雌ねじ3と、突起部4とを有する。雄ねじ2は、軸部2aと、頭部2bとを備える。軸部2aは、周面2a1にねじ溝2cが設けられた棒状の部位であり、頭部2bよりも直径が小さな円柱形状に形成されている。軸部2aの一端には頭部2bが接続されている。なお、軸部2aの2つの端部のうち、頭部2bが接続された端部を後端と称し、後端と反対側の端部を先端と称する。
【0017】
軸部2aは、先端側の面(先端面2a2)から頭部2bに向かって穿設された凹部2dを有する。凹部2dは、軸部2aと同心状の円柱状に形成されており、先端面2a2から頭部2bに向けて窪むように形成されている。
【0018】
凹部2dは、図1に示すように、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された場合に、雌ねじ3の内部に形成された突起部4が挿入される部位である。凹部2dの先端面2a2からの深さ寸法は、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された場合に、突起部4の先端が凹部2dの底面2d1に接触しない大きさに設定されている。つまり、本実施形態において、凹部2dの底面2d1は、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された場合に、下方に向けられた突起部4の先端4aよりも下方に位置する。
【0019】
このような凹部2dは、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合するときに、接着剤の収容空間として用いられる。つまり、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合するときには、凹部2dに硬化前の接着剤を配置し、その後に雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合する。
【0020】
また、軸部2aは、周面2a1から凹部2dに接続される導通路2eを有する。導通路2eは、例えば図1に示すように、周面2a1から凹部2dまで貫通するように形成されている。この導通路2eは、接着剤の流路として用いられる部位である。
【0021】
導通路2eは、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合するときに、凹部2dに収容された接着剤を、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの境界空間(隙間)に流れ込み易くするための流路である。
【0022】
本実施形態においては、導通路2eは、軸部2aの先端面2a2に接続された形成された切欠部から成る。なお、本実施形態において導通路2eは、軸部2aに対して1箇所のみ設けられている。しかしながら、導通路2eは、軸部2aに対して複数設けることができる。
【0023】
また、導通路2eは、凹部2dの底面2d1よりも上方に位置する。つまり、凹部2dの底面2d1は、導通路2eよりも頭部2b側に位置する。凹部2dの底面2d1が、導通路2eよりも頭部2b側に位置することで、図1に示すように、底面2d1から導通路2eまでの間に、導通路2eが形成されていない空間が形成される。このため、凹部2dに収容した接着剤が、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合する前に凹部2dから流れ出すことを抑止できる。
【0024】
頭部2bは、軸部2aの後端に接続されており、軸部2aよりも大径に形成されている。頭部2bの軸部2a側の露出面は、被締結部材10と当接する座面2b1である。このような頭部2bの座面2b1は、軸部2aを径方向外側から囲うように設けられた円環状の面である。
【0025】
頭部2bは、図2に示すように、座面2b1に設けられた溝部2b2を有する。本実施形態において、溝部2b2は、軸部2aを中心とする円環状に形成されている。また、溝部2b2は、全周に亘って、軸部2aから径方向に一定距離、離れて形成されている。このような溝部2b2は、座面2b1から軸部2aが延びる方向と反対方向に向けて窪むように形成されている。
【0026】
このような溝部2b2は、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合するときに、雄ねじ2と雌ねじ3との隙間から溢れた接着剤を収容する部位である。雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合するときに、凹部2dの外部に流出した接着剤は、雄ねじ2の周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間に充填される。
【0027】
例えば、凹部2dから流出した接着剤の量が、雄ねじ2と雌ねじ3と隙間の容積を超えた場合には、接着剤の一部が雄ねじ2の頭部2b側に漏出する。このとき、漏出した接着剤は、溝部2b2に流れ込み、締結構造1の周囲の部材に付着することが抑止される。
【0028】
図1に示すように、溝部2b2の内径は、被締結部材10に設けられたねじ挿通孔10aの内径よりも大きく、ねじ挿通孔10aの外径よりも小さいことが好ましい。これにて、溝部2b2がねじ挿通孔10aの内部にて広く開口され、接着剤が溝部2b2に流れ込み易くなる。
【0029】
なお、本実施形態においては、溝部2b2は、軸部2aを中心とする周方向に連続的に形成されている。しかしながら、溝部2b2は、軸部2aを中心とする周方向に離散的に複数設けられてもよい。また、本実施形態においては、溝部2b2は、円環状に形成されているが、円形以外の環状に形成されてもよい。
【0030】
雌ねじ3は、内壁面3aにねじ溝3bが設けられている。本実施形態において雌ねじ3は、相手部材11の一部に下面から上方に窪むように形成されている。雌ねじ3の内壁面3aに形成されたねじ溝3bと、雄ねじ2の軸部2aの周面2a1に形成されたねじ溝2cとが噛み合うことで、雄ねじ2と雌ねじ3とが接続される。
【0031】
被締結部材10と、相手部材11とは、これらの雄ねじ2と雌ねじ3とで締結される。より具体的には、雄ねじ2の頭部2bの座面2b1と、相手部材11の下面との間で被締結部材10が挟持されることで、被締結部材10と相手部材11とは、締結される。
【0032】
突起部4は、相手部材11の下面から上方に向けて窪むように形成された雌ねじ3の底面3cから突出して設けられている。なお、本実施形態では、雌ねじ3は、相手部材11の下面から上方に向けて窪むように形成されている。このため、雌ねじ3の底面3cは、例えば、図1に示すように、雌ねじ3の最も上部に位置する。
【0033】
突起部4は、底面3cから下方に延びる棒状に形成されており、先端4aが下方に向かるように突出している。この突起部4は、円柱形状の雌ねじ3の中心軸と同心状に配置されており、雄ねじ2の凹部2dよりも小径に形成されている。
【0034】
このような突起部4は、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された場合に、雄ねじ2の凹部2dに内部に挿入される。このように突起部4が凹部2dに挿入されることで、凹部2dに収容された接着剤が、雄ねじ2の軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの隙間に押し出される。
【0035】
突起部4の底面3cからの長さ寸法は、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された場合に、雄ねじ2の凹部2dの内部に突起部4が挿入され、先端4aが凹部2dの底面2d1に当接しないように設定されている。
【0036】
さらに、本実施形態においては、突起部4の底面3cからの長さ寸法は、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された場合に、先端4aが雄ねじ2の導通路2eよりも下方に位置するように設定されている。つまり、雄ねじ2と雌ねじ3とが螺合された状態で、突起部4の先端4aは、導通路2eよりも頭部2b側に位置する。
【0037】
このような本実施形態の締結構造1を用いた被締結部材10と相手部材11との締結方法では、まず、図4に示すように、雄ねじ2に凹部2dに接着剤12を配置する。このとき、例えば、接着剤12は、上面が導通路2eの下方に位置するように、凹部2dに対して収容される。これにて、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合する前に、導通路2eから接着剤12が流れ出ることを防止できる。
【0038】
続いて、雄ねじ2の頭部2bと相手部材11の下面との間に被締結部材10を配置した状態で、雄ねじ2の先端部を雌ねじ3に差し込む。さらに、ドライバ等の工具を用いて雄ねじ2を回転させることで、雄ねじ2の軸部2aを相手部材11側に進行させる。このとき、突起部4が雄ねじ2の軸部2aに設けられた凹部2dの内部に進入し、凹部2dに内部に収容された接着剤12が凹部2dから押し出される。凹部2dから押し出された接着剤12は、例えば図1の矢印で示すように導通路2eを介して、軸部2aと雌ねじ3との間に介装される。
【0039】
ここで、軸部2aと雌ねじ3との間に介装された接着剤12が軸部2aと雌ねじ3の内壁面3aとの間から流出したとしても、流出した接着剤12は、雄ねじ2の頭部2bに形成された溝部2b2に流れ込み、ドライバ等の工具や他の部材に付着することがない。
【0040】
軸部2aを相手部材11側に進行させることで、雄ねじ2の頭部2bと相手部材11とに被締結部材10が挟持され、被締結部材10と相手部材11とが締結される。その後、接着剤12を硬化させることで、雄ねじ2と雌ねじ3との相対的な回転が規制される。この結果、雄ねじ2と雌ねじ3とが緩むことが抑制され、被締結部材10と相手部材11とが長期に亘って、良好に締結された状態が維持される。
【0041】
以上のような本実施形態の締結構造1が備える雄ねじ2は、軸部2aと、頭部2bとを有する。軸部2aは、周面2a1にねじ溝2cが形成されている。頭部2bは、軸部2aの後端に接続されると共に、軸部2aを囲う座面2b1を有する。また、頭部2bは、座面2b1に設けられて軸部2aを囲う溝部2b2を有する。
【0042】
このような本実施形態の雄ねじ2は、雄ねじ2と雌ねじ3との間から接着剤12が流出した場合であっても、流出した接着剤12を溝部2b2で収容することが可能である。したがって、本実施形態の雄ねじ2は、雄ねじ2と雌ねじ3との間に接着剤12を介装する場合に、接着剤12が周囲のものに付着することを抑止することが可能である。
【0043】
また、本実施形態の雄ねじ2において、軸部2aは、凹部2dと、導通路2eとを有する。凹部2dは、軸部2aの先端面2a2から頭部2bに向けて穿設されている。導通路2eは、軸部2aの周面2a1から凹部2dに接続されている。
【0044】
このような本実施形態の雄ねじ2は、凹部2dに収容した接着剤12を、導通路2eを介して、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間に流れ込ませることができる。したがって、本実施形態の雄ねじ2は、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間により確実に接着剤12を介装させることができる。
【0045】
また、本実施形態の雄ねじ2において、導通路2eは、軸部2aの先端面2a2に接続されて形成された切欠部である。このような本実施形態の雄ねじ2は、導通路2eを軸部2aの先端面2a2に到達するまで大型化することができる。したがって、凹部2dに収容した接着剤12を、導通路2eを介して、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間により確実に流れ込ませることができる。
【0046】
また、本実施形態の雄ねじ2において、凹部2dの底面2d1は、導通路2eよりも頭部2b側に位置する。このような本実施形態の雄ねじ2は、底面2d1から導通路2eまでの間に、導通路2eが形成されていない空間が形成される。このため、本実施形態の雄ねじ2は、凹部2dに収容した接着剤が、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合する前に凹部2dから流れ出すことを抑止できる。
【0047】
また、本実施形態の雄ねじ2において、溝部2b2は、軸部2aを中心とする円環状に形成されている。このような本実施形態の雄ねじ2は、軸部2aの周方向の全周で、溝部2b2を用いて接着剤12を捕捉することができる。したがって、本実施形態の雄ねじ2は、より確実に接着剤12が周囲のものに付着することを抑止することが可能である。
【0048】
また、本実施形態の雄ねじ2において、溝部2b2は、軸部2aから離れて形成されている。このような本実施形態の雄ねじ2は、軸部2aと頭部2bとの境界が溝部2b2で薄肉化されることがない。このため本実施形態の雄ねじ2は、軸部2aと頭部2bとの強度低下が生じない。
【0049】
また、本実施形態の締結構造1は、内壁面3aにねじ溝3bが形成された雌ねじ3と、雌ねじ3に螺合される雄ねじ2とを有する。本実施形態の雄ねじ2は、雄ねじ2と雌ねじ3との間に接着剤12を介装する場合に、接着剤12が周囲のものに付着することを抑止できる。したがって、本実施形態の締結構造1も、接着剤12が周囲のものに付着することを抑止できる。
【0050】
また、本実施形態の締結構造1は、雌ねじ3の底面から突出する突起部4を備える。また、軸部2aは、先端面2a2から頭部2bに向けて穿設された凹部2dと、軸部2aの周面2a1から凹部2dに接続される導通路2eとを有する。さらに、突起部4は、雄ねじ2が雌ねじ3に螺合されることで凹部2dに挿入される。
【0051】
このような本実施形態の締結構造1は、突起部4が凹部2dに挿入されることで、凹部2dの内部に収容した接着剤12を、導通路2eを介して、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間に流れ込ませることができる。
【0052】
したがって、本実施形態の締結構造1は、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合する作業にて、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間により確実に接着剤12を介装させることができる。
【0053】
また、本実施形態の締結構造1において、凹部2dの底面は、導通路2eよりも頭部2b側に位置する。また、雄ねじ2が雌ねじ3に螺合された状態で、突起部4の先端4aは、導通路2eよりも頭部2b側に位置する。
【0054】
このような本実施形態の締結構造1は、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合することで、突起部4の先端4aが導通路2eの下側まで挿入される。このため、本実施形態の締結構造1は、凹部2dに収容された接着剤12をより確実に導通路2eに流入させることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態の締結方法は、頭部2bの座面2b1に溝部2b2が設けられた雄ねじ2と雌ねじ3との間に接着剤12を介装して、雄ねじ2と雌ねじ3とを螺合する。このような本実施形態の締結方法は、接着剤12を雄ねじ2と雌ねじ3との間から接着剤12が流出した場合であっても、流出した接着剤12を溝部2b2で収容することが可能である。したがって、本実施形態の締結方法は、雄ねじ2と雌ねじ3との間に接着剤12を介装する場合に、接着剤12が周囲のものに付着することを抑止することが可能である。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の説明については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0057】
図5は、本実施形態の締結構造1Aの概略構成を示す模式的な断面図である。また、図6は、本実施形態の締結構造1Aが備える雄ねじ2の斜視図である。これらの図に示すように、本実施形態の締結構造1Aにおいて、雄ねじ2は、上記第1実施形態の導通路2eに換えて、導通路2fを有する。
【0058】
導通路2fは、軸部2aの先端面2a2から離れて形成された貫通孔である。つまり、上記第1実施形態の導通路2eは、先端面2a2に接続された切欠部であったが、本実施形態の導通路2eは、先端面2a2に到達しない貫通孔である。
本実施形態の雄ねじ2においても、凹部2dに収容した接着剤12を、導通路2fを介して、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間に流れ込ませることができる。したがって、本実施形態の雄ねじ2は、軸部2aの周面2a1と雌ねじ3の内壁面3aとの間により確実に接着剤12を介装させることができる。
【0059】
また、本実施形態の雄ねじ2は、導通路2fが軸部2aの先端面2a2から離れて形成された貫通孔から成る。このため、軸部2aの先端面が導通路2fで切り欠かれることがなく、軸部2aの強度を向上させることができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0061】
図7は、本実施形態の雄ねじ100の斜視図である。図7に示すように、雄ねじ100は、軸部200と、頭部300とを有する。軸部200は、周面201にねじ溝202が形成されている。頭部300は、軸部200の後端に接続されると共に、軸部200を囲う座面301を有する。また、頭部300は、座面301に設けられて軸部200を囲う溝部302を有する。
【0062】
このような本実施形態の雄ねじ100は、雄ねじ100と雌ねじとの間から接着剤が流出した場合であっても、流出した接着剤を溝部302で収容することが可能である。したがって、本実施形態の雄ねじ100は、雄ねじ100と雌ねじとの間に接着剤を介装する場合に、接着剤が周囲のものに付着することを抑止することが可能である。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0064】
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態においては、雄ねじ2の軸部2aが凹部2dを備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凹部2dを備えない雄ねじ2を採用することも可能である。
【0065】
また、上記第1実施形態においては、雄ねじ2の軸部2aが導通路2eを備える構成について説明した。また、上記第2実施形態において、雄ねじ2の軸部2aが導通路2fを備える構成について説明した。しかしながら、上述のように軸部2aが凹部2dを備えない場合には、導通路2eや導通路2fも設けられない。
【0066】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
周面にねじ溝が形成された軸部と、
前記軸部の後端に接続されると共に、前記軸部を囲う座面を有する頭部と
を有し、
前記頭部は、前記座面に設けられて前記軸部を囲う溝部を有する
雄ねじ。
【0068】
(付記2)
前記軸部は、
前記軸部の先端面から前記頭部に向けて穿設された凹部と、
前記軸部の周面から前記凹部に接続される導通路と
を有する
付記1記載の雄ねじ。
【0069】
(付記3)
前記導通路は、前記軸部の前記先端面に接続されて形成された切欠部である
付記2記載の雄ねじ。
【0070】
(付記4)
前記導通路は、前記軸部の先端面から離れて形成された貫通孔である
付記2記載の雄ねじ。
【0071】
(付記5)
前記凹部の底面は、前記導通路よりも前記頭部側に位置する
付記2~4のいずれか一つに記載の雄ねじ。
【0072】
(付記6)
前記溝部は、前記軸部を中心とする円環状に形成されている
付記1~5のいずれか一つに記載の雄ねじ。
【0073】
(付記7)
前記溝部は、前記軸部から離れて形成されている
付記1~6のいずれか一つに記載の雄ねじ。
【0074】
(付記8)
内壁面にねじ溝が形成された雌ねじと、
前記雌ねじに螺合される付記1~7のいずれか一つに記載の雄ねじと
を有する
締結構造。
【0075】
(付記9)
前記雌ねじの底面から突出する突起部を備え、
前記軸部が、
先端面から前記頭部に向けて穿設された凹部と、
前記軸部の周面から前記凹部に接続される導通路と
を有し、
前記突起部は、前記雄ねじが前記雌ねじに螺合されることで前記凹部に挿入される
付記8記載の締結構造。
【0076】
(付記10)
前記凹部の底面は、前記導通路よりも前記頭部側に位置し、
前記雄ねじが前記雌ねじに螺合された状態で、前記突起部の先端は、前記導通路よりも前記頭部側に位置する
付記9記載の締結構造。
【0077】
(付記11)
頭部の座面に溝部が設けられた雄ねじと雌ねじとの間に接着剤を介装して、前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合する
締結方法。
【符号の説明】
【0078】
1 締結構造
1A 締結構造
2 雄ねじ
2a 軸部
2a1 周面
2a2 先端面
2b 頭部
2b1 座面
2b2 溝部
2c ねじ溝
2d 凹部
2d1 底面
2e 導通路
2f 導通路
3 雌ねじ
3a 内壁面
3b ねじ溝
3c 底面
4 突起部
4a 先端
10 被締結部材
10a ねじ挿通孔
11 相手部材
12 接着剤
100 雄ねじ
200 軸部
201 周面
202 ねじ溝
300 頭部
301 座面
302 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7