(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124028
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】スタッドの仕上り高さ測定治具
(51)【国際特許分類】
G01B 5/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031913
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000228981
【氏名又は名称】日本スタッドウェルディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】尾籠 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 斉
(72)【発明者】
【氏名】河村 雄太
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA02
2F062AA41
2F062BB01
2F062EE04
2F062EE62
2F062FF03
2F062GG02
2F062GG07
2F062GG11
2F062GG15
2F062LL07
(57)【要約】
【課題】スタッドの仕上り高さの測定を、作業者の負担を軽減しながら、作業者一人で容易かつ正確に行うことができるスタッドの仕上り高さ測定治具を提供する。
【解決手段】母材Mに溶接したスタッドSの高さL1を測定するスタッドの仕上り高さ測定治具1であって、母材Mに先端を当接するようにする第一フレーム10と、第一フレーム10の長手方向に沿って摺動可能に配置し、溶接したスタッドSの頭部に先端を当接するようにする第二フレーム20と、第一フレーム10に配置した変位計30と、変位計30の測定子31が当接するように、第二フレーム20の長手方向の任意の位置に設置される当接板40と、変位計30の出力値に基づいて溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を演算する演算手段50と、演算手段50によって算出した溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を表示する表示手段60と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材に溶接したスタッドの高さを測定するスタッドの仕上り高さ測定治具であって、
前記母材に先端を当接するようにする第一フレームと、
前記第一フレームの長手方向に沿って摺動可能に配置し、前記溶接したスタッドの頭部に先端を当接するようにする第二フレームと、
前記第一フレームに配置した変位計と、
前記変位計の測定子が当接するように、前記第二フレームの長手方向の任意の位置に設置される当接板と、
前記変位計の出力値に基づいて前記溶接したスタッドの母材からの高さを演算する演算手段と、
前記演算手段によって算出した前記溶接したスタッドの母材からの高さを表示する表示手段と、
を備えるスタッドの仕上り高さ測定治具。
【請求項2】
前記第二フレームの先端を前記第一フレームの先端から所定の基準距離だけ後退させた位置で、前記当接板に前記変位計の測定子が当接して押し込まれるようにした状態で前記当接板を前記第二フレームに設置するようにした請求項1に記載のスタッドの仕上り高さ測定治具。
【請求項3】
前記演算手段によって算出した前記溶接したスタッドの母材からの高さを記録する記録手段を備える請求項1又は2に記載のスタッドの仕上り高さ測定治具。
【請求項4】
前記表示手段が、作業者が立った状態で視認できる高さ位置に設置される請求項1又は2に記載のスタッドの仕上り高さ測定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母材に溶接したスタッドの高さを測定するスタッドの仕上り高さ測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッド溶接後の外観検査として、表1に示す検査が行われている。
【0003】
【0004】
このスタッド溶接後の外観検査のうち、スタッドの仕上り高さは、通常、定規、コンベックス、ノギス等により測定するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノギス等を使用する測定方法で、正確にスタッドの仕上り高さを確認するためには、目視で目盛を正確に読む必要があるが、例えば、鋼板とコンクリートを一体化して合成床版を構築する場合や床版取替工事において、古い床版を取り除き、新しい床版を桁に載置して更新する場合のスタッド溶接作業は、人の足元付近に位置する鋼板等の母材に対して実施することが多いため、作業者が膝をついたり、屈みこんだりして目盛を読まなければならず、作業者の負担が大きいという問題があった。また、例えば、深い孔の中の場所にスタッドを溶接する場合には、目盛を目視で確認することが難しく、精度よく測定することができない。
さらに、測定したスタッドの仕上り高さを記録する場合、作業者はペンに持ち替えて用紙に記録するため手間がかかる。この場合、二人一組で測定と記録の役割を分担して作業を行うことが考えられるが、そのための人員が必要となる。
【0006】
本発明は、上記従来のスタッドの仕上り高さの測定作業の問題点に鑑みてなされたもので、スタッドの仕上り高さの測定、さらには、記録を、作業者の負担を軽減しながら、作業者一人で容易かつ正確に行うことができるスタッドの仕上り高さ測定治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係るスタッドの仕上り高さ測定治具の特徴構成は、
母材に溶接したスタッドの高さを測定するスタッドの仕上り高さ測定治具であって、
前記母材に先端を当接するようにする第一フレームと、
前記第一フレームの長手方向に沿って摺動可能に配置し、前記溶接したスタッドの頭部に先端を当接するようにする第二フレームと、
前記第一フレームに配置した変位計と、
前記変位計の測定子が当接するように、前記第二フレームの長手方向の任意の位置に設置される当接板と、
前記変位計の出力値に基づいて前記溶接したスタッドの母材からの高さを演算する演算手段と、
前記演算手段によって算出した前記溶接したスタッドの母材からの高さを表示する表示手段と、
を備えることにある。
【0008】
本構成のスタッドの仕上り高さ測定治具によれば、スタッドの母材からの高さを表示する表示手段を備えるため、作業者が膝をついたり屈みこんだりして目盛を読む必要がなくなり、作業者の負担を軽減することができる。
【0009】
本発明に係るスタッドの仕上り高さ測定治具において、
前記第二フレームの先端を前記第一フレームの先端から所定の基準距離だけ後退させた位置で、前記当接板に前記変位計の測定子が当接して押し込まれるようにした状態で前記当接板を前記第二フレームに設置するようにしたことが好ましい。
【0010】
本構成のスタッドの仕上り高さ測定治具によれば、第二フレームの先端を第一フレームの先端から所定の基準距離だけ後退させた位置で、変位計の測定子が当接して押し込まれるようにした状態で当接板を第二フレームに設置するようにしているため、変位計は、基準距離だけ後退させた第二フレームの位置から、第二フレームを溶接したスタッドの頭部に先端を当接させた位置までの変位量を出力することができ、基準距離から変位量を増減させることで、溶接したスタッドの母材からの高さを算出することができる。
【0011】
本発明に係るスタッドの仕上り高さ測定治具において、
前記演算手段によって算出した前記溶接したスタッドの母材からの高さを記録する記録手段を備えることが好ましい。
【0012】
本構成のスタッドの仕上り高さ測定治具によれば、演算手段によって算出した溶接したスタッドの母材からの高さを記録する記録手段を備えるため、測定したスタッドの仕上り高さを記録する場合において、作業者はペンに持ち替えて用紙に記録する必要がなくなり、測定及び記録が作業者一人でも容易に行うことができる。
【0013】
本発明に係るスタッドの仕上り高さ測定治具において、
前記表示手段が、作業者が立った状態で視認できる高さ位置に設置されることが好ましい。
【0014】
本構成のスタッドの仕上り高さ測定治具によれば、表示手段が、作業者が立った状態で視認できる高さ位置に設置されるため、作業者が立った状態のまま、測定作業を行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るスタッドの仕上り高さ測定治具1を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るスタッドの仕上り高さ測定治具1の測定手順の説明図であり、(a)第二フレーム20の先端を第一フレーム10の先端から所定の基準距離L0だけ後退させた状態、(b)当接板40に変位計30の測定子31が当接して押し込まれるようにした状態、(c)第二フレーム20を溶接したスタッドSの頭部に先端を当接させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のスタッドの仕上り高さ測定治具に関する実施形態を
図1及び
図2を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0017】
〔全体構成〕
図1に示すスタッドの仕上り高さ測定治具1は、母材Mに溶接したスタッドSの高さL1を測定するために使用されるものである。スタッドSとしては、例えば、頭付きスタッド、異形鉄筋スタッド、ねじスタッド等が挙げられる。本発明のスタッドの仕上り高さ測定治具1は、特に、頭付きスタッドの測定において好適に利用することができる。スタッドの仕上り高さ測定治具1は、
図1に示すように、第一フレーム10と、第二フレーム20と、変位計30と、当接板40と、演算手段50と、表示手段60とを備えている。また、任意の構成として記録手段を備えている。以下スタッドの仕上り高さ測定治具1が備える構成について、詳しく説明する。
【0018】
<第一フレーム>
第一フレーム10は、
図1(b)に示すように、母材Mに先端(下端)を当接するようにする。本実施形態では、第一フレーム10は、
図1(a)及び(b)に示すように、全長800~2000mm、好ましくは、1000~1800mm、より好ましくは、1200~1600mm程度で(この長さは、作業者が、作業時に膝をついたり屈みこんだりする必要がなく、作業者の負担を軽減することができる長さに設定するようにする。)、断面が四角形の細長い形状であり、表面に溝11が形成されている。ただし、第一フレーム10の形状等は特に限定されず、測定するスタッドSの溶接位置及び測定する作業者の身長等に応じて適宜設定すればよい。また、例えば、測定するスタッドSの溶接位置が、深い孔の中である場合、第一フレーム10をより長い形状にすることで、ノギス等では測定できない場所においても測定することができる。
【0019】
第一フレーム10を構成する素材としては、測定時において、撓み等に起因した測定精度の低下を防止するため、ステンレス、鉄、アルミニウム(合金)等の金属のほか、エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂で構成されることが好ましい。
【0020】
<第二フレーム>
第二フレーム20は、
図1(b)に示すように、第一フレーム10の長手方向に沿って摺動可能に配置し、溶接したスタッドSの頭部に先端を当接するようにする。本実施形態において、第二フレーム20は、第一フレーム10と同じ形状(全長)及び素材で形成されている。第一フレーム10及び第二フレーム20は第一フレームガイド15及び第二フレームガイド25により、並設するように連結されている。
【0021】
第一フレームガイド15及び第二フレームガイド25は、第一フレーム10及び第二フレーム20を摺動可能に連結するための部材であり、その形状は特に限定されないが、例えば、
図1(a)に示すように、第一フレーム10と第二フレーム20とを挿入可能な形状に構成される。本実施形態では、第一フレームガイド15及び第二フレームガイド25は、
図1(b)に示すように、第一フレーム10及び第二フレーム20の両端にそれぞれ配置されており、第一フレームガイド15は、第一フレーム10に固定され、第二フレーム20に固定されず、第二フレームガイド25は、第一フレーム10に固定されず、第二フレーム20に固定されている。これにより、測定可能な範囲(寸法)を大きくできる。
【0022】
<変位計>
変位計30は、
図1(b)に示すように、第一フレーム10に配置されている。変位計30は測定子31及びケーブル32を備える。変位計30は、測定子31の変位量dを電圧変化等の電気信号としてケーブル32を介して出力する電気機械方式の従来汎用されている変位計を好適に用いることができる(本実施形態では、東京測器研究所社製の「小径高感度変位計 CDP-25M(型名)(測定容量:25mm)」を用いるようにしている。)。このスタッドの仕上り高さ測定治具1は、従来、測定に使用されているノギス等と同様、母材MからスタッドSの頭部までの全長を測定するようにすることもできるが、ここでは、変位計30により、基準距離(設計値)L0だけ後退させた第二フレーム20の位置から、第二フレーム20を溶接したスタッドSの頭部に先端を当接させた位置までの変位量dを測定するようにしている。これにより、スタッドSの高さL1よりも測定容量の小さな廉価な変位計を用いることができる。ちなみに、このスタッドの仕上り高さ測定治具1においては、スタッドの仕上り高さに関する検査の判定基準は「設計値±2mmを超えてはならない」とされていることから、変位計30は、4mm以上の範囲を測定できる変位計を採用するようにする。
【0023】
<当接板>
当接板40は、変位計30の測定子31が当接するように、第二フレーム20の長手方向の任意の位置に設置することができるようにする。当接板40を第二フレーム20に設置する方法については特に限定されず、任意の固着手段を適宜採用することができる。当接板40は第二フレーム20の動きと連動するため、例えば、母材Mに溶接したスタッドSの高さL1が基準距離L0よりも高い(長い)場合、第二フレーム20はスタッドSの頭部に先端を当接させたときに押し上げられ、それに伴い、当接板40は測定子31を押し込む方向に動く。これによって、当接板40は、第二フレーム20の動きを変位計30に伝えることができる。
【0024】
当接板40は、第二フレーム20の先端を第一フレーム10の先端から所定の基準距離L0だけ後退させた位置において、測定子31が当接して押し込まれるようにした状態で第二フレーム20に設置することが好ましい。また、当接板40は、測定子31のストローク長aが、半分の長さになるまで押し込まれるようにした状態で第二フレーム20に設置することがより好ましい。測定子31を半分程度押し込むことで、第二フレーム20が、母材Mに対し近づく方向に動いた場合でも、変位量dを測定すること、すなわち、母材Mに溶接したスタッドSの高さL1が基準距離L0よりも低い(短い)場合のスタッドSの仕上り高さを測定することができる。
【0025】
<演算手段>
演算手段50は、変位計30の出力値に基づいて溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を演算する。演算手段50としては、CPU、RAM、ROM等を備えたマイコン等の演算器を用いることができる(本実施形態では、演算手段50にマイコン51、具体的には、後述の表示手段60等を備えたM5Stac Technology社製の「M5Stac TOUGH」をカスタマイズして用いるようにしている。)。マイコン51は、変位計30からケーブル32を介して、測定子31の変位量dに応じた電圧変化等の電気信号を受け取り、入力された電気信号を数値に変換し、基準距離L0から変位量dを増減することで、溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を算出する。
【0026】
<表示手段>
表示手段60は、演算手段50によって算出した溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を表示する。本実施形態では、表示手段60として、マイコン51に備えられたディスプレイ61を用いている。溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を表示手段60に表示させることにより、作業者が膝をついたり屈みこんだりして目盛を読む必要がなくなり、作業者の負担を軽減することができる。
【0027】
表示手段60は、作業者が立った状態で視認できる高さ位置、具体的には、位置が変動しない第一フレーム10に設置されることが好ましい。作業者が立った状態のまま、測定作業を行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0028】
図1(b)の要部拡大図に示すように、表示手段60には、本実施形態では、ディスプレイ61が入力手段を兼ねたタッチパネルディスプレイを用いることにより、溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1の測定値60aのほか、溶接したスタッドSの通し番号60b、電池残量60c、スタッド長の設定部60d、リセットボタン60e、戻りボタン60f、保存ボタン60g等を表示するようにしている。ここで、スタッド長の設定部60dは、第二フレーム20の先端を第一フレーム10の先端から所定の基準距離L0だけ後退させた状態における当該基準距離L0を設定(オフセット)するためのものである。また、スタッドの仕上り高さに関する検査の判定基準は「設計値±2mm以内を超えてはならない」であることから、変位量が±2mm以上である場合、エラー表示を表示手段60に表示させる判定手段を設けてもよい。この場合、表示手段60には、溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1と共に、判定手段による判定結果が同時に表示されるため、溶接したスタッドSの検査結果をその場で容易に知ることができる。
【0029】
<記録手段>
スタッドの仕上り高さ測定治具1は記録手段を備えることが好ましい。記録手段は、演算手段50によって算出した溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を記録する。記録手段としては、演算手段50に備えた内部記憶装置のほか、SDカード、USBメモリ等の取り出し可能なポータブルメモリが挙げられる。また、演算手段50に無線通信機能を備えたり、ケーブルを使用したりすることで、スマートホンやタブレット等の外部記憶装置に記録することもできる。溶接したスタッドSの母材Mからの高さL1を記録する場合において、作業者はペンに持ち替えて用紙に記録する必要がなくなるため、測定及び記録を作業者一人でも容易に行うことができる。記録するデータは、表計算ソフト等により編集可能なファイル形式で記録装置に保存されることが好ましい。
【0030】
<測定方法>
次に、このスタッドの仕上り高さ測定治具1を使用した測定方法等について説明する。〔初期設定操作〕
まず、
図2(a)に示すように、第一フレーム10の先端を母材Mに当接させた状態で、第二フレーム20の先端を第一フレーム10の先端から所定の基準距離L0だけ後退させる。ここで、本実施形態では、所定の基準距離L0だけ後退させるため、基準距離L0の高さのゲージGを使用している。基準距離L0の定め方はこれに限られず、第一フレーム10にあらかじめ目盛等を付しておくことにより、ゲージGを使用しない場合でも所定の基準距離L0だけ後退させることができる。
〔オフセット操作〕
次に、
図2(a)に示す第二フレーム20の先端を第一フレーム10の先端から所定の基準距離L0だけ後退させた状態のまま、
図2(b)に示すように、当接板40に変位計30の測定子31が当接して押し込まれるようにした状態で、当接板40を設置する。
図2(a)のA部分拡大図及び
図2(b)のB部分拡大図に示すように、当接板40は、測定子31のストローク長aが、半分の長さになるまで押し込まれるようにした状態で第二フレーム20に設置することが好ましい。以上のように、第二フレーム20を後退させ、当接板40を所定の位置に設置した状態で、スタッド長の設定部60dを操作して当該基準距離L0を設定(オフセット)する。
〔測定操作〕
その後、
図2(c)に示すように、第二フレーム20を溶接したスタッドSの頭部に先端を当接させる。例えば、母材Mに溶接したスタッドSの高さL1が基準距離L0よりも高い(長い)場合は、第二フレーム20は押し上げられ、それに伴い、当接板40は測定子31を押し込む方向に動くため、
図2(c)のC部分拡大図に示すように、測定子31は変位量dだけ押し込まれる。母材Mに溶接したスタッドSの高さL1が基準距離L0よりも低い(短い)場合は、第二フレーム20は押し下げられ、それに伴い、当接板40は測定子31が伸長する方向に動くため、測定子31は変位量dだけ伸長する。演算手段50は、基準距離L0から変位量dを増減させることで、母材Mに溶接したスタッドSの高さL1を算出することができる。
【0031】
以上、本発明のスタッドの仕上り高さ測定治具1について、その一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、鉛直面からなる母材に水平方向に溶接したスタッドの仕上り高さを測定する場合にも使用できる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のスタッドの仕上り高さ測定治具は、スタッドの仕上り高さの測定、さらには、記録を、作業者の負担を軽減しながら、作業者一人で容易かつ正確に行うことができることから、合成床版の構築工事や床版取替工事におけるスタッドの仕上り高さを測定する用途に好適に用いることができるほか、その他の種々の形態のスタッドの仕上り高さを測定する用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 スタッドの仕上り高さ測定治具
10 第一フレーム
20 第二フレーム
30 変位計
31 測定子
40 当接板
50 演算手段
60 表示手段
S スタッド
M 母材