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特開2024-124029収納システム、内装部品及び内装部品の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124029
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】収納システム、内装部品及び内装部品の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20240905BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240905BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60J5/04 A
B60R16/02 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031916
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】縣 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】脇田 太介
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CA16
3D022CC08
3D022CC19
3D022CD04
3D022CD28
3D022CD29
(57)【要約】
【課題】車両の走行中に乗員の所持物を安定して保持できる収納システム、内装部品及び内装部品の制御方法を提供する。
【解決手段】収納システム100は、車両1に設けられ、車両1の乗員の所持物Aを収納するものであって、所持物Aを収納所可能な収納スペースSを画定する収納部11を有する内装部品10と、所持物Aの情報を取得する撮像装置31及び重量センサ34と、撮像装置31及び重量センサ34が検出した所持物Aの情報に基づいて、収納部11の形状を制御することにより、内装部品10の収納スペースSの開口径W及び深さDのいずれか一方又は両方を調整する制御装置20とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、前記車両の乗員の所持物を収納する収納システムであって、
前記所持物を収納所可能な収納スペースを画定する収納部を有する内装部品と、
前記所持物の情報を取得する所持物検出部と、
前記所持物検出部が検出した前記所持物の情報に基づいて、前記収納部の形状を制御することにより、前記内装部品の前記収納スペースの開口径及び深さのいずれか一方又は両方を調整する制御装置とを備える、収納システム。
【請求項2】
前記内装部品は、
開口部が設けられた内装部品本体と、
前記開口部を被覆するように前記内装部品本体に取り付けられた、伸縮性を有するシートとを備え、
前記収納部は、前記シートに被覆された前記開口部の内側に設けられる、請求項1に記載の収納システム。
【請求項3】
前記シートは光透過材料により形成される、請求項2に記載の収納システム。
【請求項4】
前記乗員の着座位置を検出する着座位置検出部と、
前記収納スペースの位置情報を出力する位置情報出力部とをさらに有し、
前記制御装置は、
前記着座位置検出部の検出結果に基づいて、前記着座位置に対応する前記収納スペースの位置情報を出力する制御指令を前記位置情報出力部に出力する、請求項1に記載の収納システム。
【請求項5】
前記収納スペースの位置情報を出力する位置情報出力部をさらに有し、
前記制御装置は、
前記所持物が前記収納スペースから取り出されたときは、前記収納スペースの前記位置情報の出力を終了する制御指令を前記位置情報出力部に出力する、請求項1に記載の収納システム。
【請求項6】
前記位置情報出力部は、前記内装部品に設けられ、発光することにより前記収納スペースの位置を示す発光部である、請求項4又は5に記載の収納システム。
【請求項7】
前記所持物検出部が取得する前記所持物の情報は、前記所持物の大きさ、形状、重量、及び、重心点の位置の少なくもいずれか1つを含む、請求項1に記載の収納システム。
【請求項8】
前記所持物検出部は、撮像装置及び重量センサのいずれか一方又は両方である、請求項7に記載の収納システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記所持物の大きさ及び形状のいずれか一方又は両方に基づいて前記収納スペースの開口径を調整する、請求項7に記載の収納システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記所持物の重量及び重心点の位置のいずれか一方又は両方に基づいて前記収納スペースの深さを調整する、請求項7に記載の収納システム。
【請求項11】
前記乗員の動作を検出する動作検出部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記収納スペースに前記所持物が収納されているときに、前記動作検出部の検出結果に基づいて、前記乗員が前記所持物を取るための動作を行ったか否かを判定し、
前記乗員が前記所持物を取るための動作を行った場合は、前記収納スペースの開口径を広げるように前記収納部の形状を制御する、請求項1に記載の収納システム。
【請求項12】
前記乗員の音声を検出する音声検出部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記収納スペースに前記所持物が収納されているときに、前記音声検出部の検出結果に基づいて、前記乗員が前記所持物を取ることを示す音声を発したか否かを判定し、
前記乗員が前記所持物を取ることを示す音声を発した場合は、前記収納スペースの開口径を広げるように前記収納部の形状を制御する、請求項1に記載の収納システム。
【請求項13】
前記乗員の乗降を検出する乗降検出部と、
前記収納スペースにおける前記所持物の有無を検出する収納検出部と、
前記乗員に対して情報を出力する情報出力部とをさらに備え、
前記制御装置は、
前記乗降検出部の検出結果に基づいて、前記乗員が前記車両から降車したか否かを判定し、
前記乗員が前記車両から降車した場合は、前記収納検出部の検出結果に基づいて、前記所持物が前記収納スペースに収納されているか否かを判定し、
前記所持物が前記収納スペースに収納されている場合は、前記所持物が前記収納スペースに残っていることを示す情報を出力する制御指令を前記情報出力部に出力する、請求項1に記載の収納システム。
【請求項14】
前記内装部品は、センターコンソール、ドアトリム、シートアームレスト、又は、ダッシュボードである、請求項1に記載の収納システム。
【請求項15】
車両に設けられ、前記車両の乗員の所持物を収納する内装部品であって、
前記所持物を収納可能な収納スペースを画定する収納部と、
前記所持物の情報を取得する所持物検出部と、
前記所持物検出部が検出した前記所持物の情報に基づいて、前記収納部の形状を制御することにより、前記収納スペースの開口径及び深さのいずれか一方又は両方を調整する制御装置とを備える、内装部品。
【請求項16】
車両の乗員の所持物を収納可能な収納スペースを画定する収納部を有する内装部品を、制御装置を用いて制御する、内装部品の制御方法であって、
前記制御装置は、
前記車両の乗員の所持物の情報を取得し、
前記所持物の情報に基づいて、前記収納部の形状を制御することにより、前記内装部品の前記収納スペースの開口径及び深さのいずれか一方又は両方を調整する、内装部品の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納システム、内装部品及び内装部品の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の容器収容構造は、車両の内装部品に形成され、所定の方向に変位可能な壁部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/058541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の内装部品の容器収容構造は、収容する物体(容器)に応じて収容スペースの大きさを調整できず、物体の大きさ、形状、重量等によっては、車両の走行中に物体を安定して保持できない可能性がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両の走行中に乗員の所持物を安定して保持できる収納システム、内装部品及び内装部品の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所持物検出部が検出した所持物の情報に基づいて、収納部の形状を制御することにより、内装部品の収納スペースの開口径及び深さのいずれか一方又は両方を調整することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所持物の情報に基づいて収納スペースの大きさを調整するので、車両の走行中に乗員の所持物を安定して保持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る収納システム及び内装部品の構成を示すブロック図である。
図2】車両の模式的な断面図において、図1に示す収納システム及び内装部品の構成及び配置の例を示した図である。
図3】車両の模式的な平面図において、図1に示す内装部品の配置の例を示した図である。
図4図1に示す内装部品の外観を示す斜視図であり、乗員の所持物を収納する前の内装部品の外観を示している。
図5図1に示す内装部品の外観を示す斜視図であり、乗員の所持物が収納された状態の内装部品の外観を示している。
図6図1の示す内装部品の収納部の構造を示す平面図及び当該平面図を切断線X-Xで切断した断面図である。
図7図6に示す収納部の形状の制御の例を示す平面図及び当該平面図を切断線X-Xで切断した断面図である。
図8図6に示す収納部の形状の制御の例を示す平面図及び当該平面図を切断線X-Xで切断した断面図である。
図9】乗員が車両1に乗車するときにおいて、図1に示す収納システムが実行する制御方法を示すフローチャートである。
図10】乗員が収納スペースから所持物を取り出すときにおいて、図1に示す収納システムが実行する制御方法を示すフローチャートである。
図11】乗員が車両1から降車するときにおいて、図1に示す収納システムが実行する制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両1は、乗員の所持物を収納するための収納システム100を有する。収納システム100は、内装部品10、制御装置20、撮像装置31、音声センサ32、着座センサ33、及び、重量センサ34を有する。内装部品10には、収納部11及び発光部12が設けられる。収納部11は、乗員の所持物Aを収納可能な収納スペースSを画定する(図2参照)。また、発光部12は、発光することにより収納スペースSの位置を乗員に通知する位置情報出力部として機能する。また、重量センサ34は内装部品10に設けられている。制御装置20は、撮像装置31、音声センサ32、着座センサ33及び重量センサ34の検出結果に基づいて、収納部11の形状を制御し、収納スペースSの大きさを調整する。また、制御装置20は、撮像装置31、音声センサ32、着座センサ33及び重量センサ34の検出結果に基づいて、発光部12を制御する。各構成の具体的な構造及び制御装置20による制御方法は、以下に説明する。
【0010】
図2~5を用いて、内装部品10の概略的な構造について説明する。
図2に示すように、内装部品10は、車両1の内部に設けられたセンターコンソールである。図2及び図3に示すように、内装部品10は、左列の座席(左側前方座席P11、左側後方座席P21)と右列の座席(右側前方座席P12、右側後方座席P22)との間に設けられる。内装部品10は、内装部品本体14と、内装部品本体14を被覆するシート15とを有する。シート15は、伸縮性及び光透過性を有する材料により形成される。具体的には、シート15は、ポリエステル(PET)、アクリル(PMMA)、ポリカ(PC)などからなるフィルム、ポリ塩化ビニール(PVC),ポリウレタン(PU)、熱可塑性オレフィン(TPO)などからなる表皮、又は、ポリエステル(PET)、アクリル(PMMA)、ナイロン(PA)、ポリウレタン(PU)などからなるファブリックによって形成される。また、シート15の目付は150g/mであり、伸縮率は120%である。
なお、内装部品10は、センターコンソールに限定されず、例えば、ドアトリム、シートアームレスト、又は、ダッシュボードであってもよい。また、シート15は、所定以上の伸縮性及び光透過性を有すればよく、上述の材料、目付及び伸縮率には限定されない。
【0011】
また、図2に示すように、内装部品本体14には、前後方向に並んだ2つの開口部16が形成される。各々の開口部16は、シート15に被覆されている。また、シート15に被覆された開口部16の内側には収納部11(前側収納部111及び後側収納部112)が設けられる。すなわち、収納部11は、シート15と開口部16との間に画定された空間に設けられる。また、収納部11は、乗員の所持物Aを収納可能な収納スペースSを画定する。収納スペースSの開口径W及び深さDは可変である。なお、収納スペースの開口径W及び深さDを可変するための収納部11の具体的な機構については後述する。また、収納部11には、シート15の裏側表面に対向する位置に、発光部12が設けられている。シート15は光透過性を有するため、発光部12が発光したときは、図4に示すように、乗員は、シート15を介して発光部12の光を視認することが可能である。なお、図4に示すように、収納スペースSに何も収納されていないときは、シート15の表面はほぼ平坦な状態(シームレスな状態)となっている。そして、乗員が、発光部12の光で囲まれた領域にペットボトル等の所持物Aを載置することにより、図5に示すように、シート15が収納スペースSに向かって沈みこみ、所持物Aは収納スペースSに収納される。
【0012】
また、図3に示すように、前側収納部111は、左側前方座席P11又は右側前方座席P12に着座した乗員が所持物Aを収納したり取り出したりすることが可能な位置に設けられる。すなわち、前側収納部111は、左側前方座席P11及び右側前方座席P12の各々に対応する位置に設けられている。また、後側収納部112は、左側後方座席P21又は右側後方座席P22に着座した乗員が所持物Aを収納したり取り出したりすることが可能な位置に設けられる。すなわち、後側収納部112は、左側後方座席P21及び右側後方座席P22の各々に対応する位置に設けられている。
【0013】
次に、図1~3を用いて、撮像装置31、音声センサ32、着座センサ33、及び、重量センサ34について説明する。
撮像装置31は、赤外線カメラである。撮像装置31は、車両1のルームミラー(図示せず)又はステアリングホイール(図示せず)に設置される。撮像装置31は車両1の内部に複数設けられてもよい。撮像装置31は、乗員の所持物Aの大きさ、形状及び重心の位置のうち少なくともいずれか1つを検出する。すなわち、撮像装置31は、所持物Aの情報を取得する所持物検出部として機能する。また、撮像装置31は、乗員の動作を検出する動作検出部、収納スペースSにおける所持物Aの有無を検出する収納検出部、又は、乗員の乗降を検出する乗降検出部としても機能する。なお、本実施形態では、撮像装置31は赤外線カメラに限定されず、画像が取得できる光学センサであればよい。
また、音声センサ32は、乗員の音声を検出する音声検出部として機能する。音声センサ32は車両1の内部に複数設けられてもよい。
【0014】
また、着座センサ33は、図2及び図3に示すように、左側前方座席P11、右側前方座席P12、左側後方座席P21及び右側後方座席P22の各々に設置される。着座センサ33は、乗員の着座位置を検出する着座位置検出部として機能する。また、着座センサ33は、乗員の乗降を検出する乗降検出部としても機能する。
【0015】
重量センサ34は、図2に示すように、収納部11に設けられている。乗員が所持物Aを重量センサ34の上に載置することにより、重量センサ34は、所持物Aの重量を取得する。すなわち、重量センサ34は、所持物Aの情報を取得する所持物検出部として機能する。また、重量センサ34は、収納スペースSにおける所持物Aの有無を検出する収納検出部としても機能する。収納部11における重量センサの具体的な位置については、後述する。
【0016】
次に、図6~8を用いて、収納部11の詳細な構造について説明する。
図6~8に示すように、収納部11は、略円筒形状に配置された4つの側方部材11aと、側方部材11aの内側を上下方向に移動可能に設けられた、略円盤形状の底板部材11bとを有する。側方部材11aは、各々、略円弧形状の断面を有する。4つの側方部材11aは、略円筒形状をなすように配置される。底板部材11bは、略円筒形状に配置された4つの側方部材11aの内側を上下方向に移動可能に設けられる。図7及び図8に示すように、4つの側方部材11aと底板部材11bとの間には、略円柱形状の収納スペースSが画定される。なお、以下の説明において、収納スペースSの延長方向(収納スペースSの中心軸の延長方向)を「上下方向」といい、収納スペースSの延長方向に垂直な方向を「径方向」という。
【0017】
内装部品本体14の開口部16の四方の内壁には、各々、押しピン17が径方向に移動可能に支持されている。押しピン17の各々は、側方部材11aの各々の外周面に接続される。側方部材11aの各々の径方向の位置は、押しピン17の移動により調整される。さらに、側方部材11aの径方向の位置の調整により、収納スペースSの開口径Wが調整される。また、底板部材11bの下面には、底板支持部材18が接続されている。さらに、側方部材11aの下方には、板状部材19が設けられる。底板支持部材18が上下方向に移動することにより、底板部材11bの上下方向の位置が調整される。さらに、底板部材11bの上下方向の位置の調整により、収納スペースSの深さDが調整される。また、底板部材11bが板状部材19に当接する位置は、底板部材11bの下限位置(最も低い位置)である。
【0018】
各々の側方部材11aの上端には、発光部12が設けられる。発光部12は、側方部材11aの上端面と同様の形状の円弧形状をなしている。なお、発光部12は、LEDライトであるが、発光するものであれば、これに限定されない。また、発光部12は、開口部16の外縁部に設けられていてもよい。また、重量センサ34は、底板部材11bに設けられる。
【0019】
図6は、収納部11の初期状態を示す。初期状態において、側方部材11aの各々は、最も外側の位置に配置されている。また、底板部材11bは最も高い位置に配置されている。なお、底板部材11bが最も高い位置に配置されているときは、底板部材11bの上面と発光部12の上端面と内装部品本体14の表面とは同じ高さとなる。すなわち、初期状態では、乗員の所持物Aを収納するための収納スペースSが無い状態となっている。
【0020】
図7は、乗員の所持物Aを収納するための収納スペースSを設けるために、底板部材11bを下降させた状態を示す。図7に示すように底板部材11bが下降した状態で、発光部12に囲まれた領域に乗員が所持物Aを載置することにより、シート15が収納スペースS側に沈み込んで、所持物Aは収納スペースSに収納される。
【0021】
図8は、収納スペースの開口径Wを狭めるために側方部材11aの各々を径方向内側に移動させた状態を示す。すなわち、図8では、所持物Aの幅に合わせて収納スペースの開口径Wが調整されている。なお、図8では、4つの側方部材11aの全てが径方向内側に移動しているが、側方部材11a同士が干渉しあうのを防止するため、互いに対向する2つの側方部材11aのみが径方向内側に移動してもよい。
【0022】
次に、図9~11を参照して、制御装置20による収納部11及び発光部12の制御方法について説明する。
図9は、乗員が車両1に乗車するときにおける制御装置20による収納部11及び発光部12の制御方法を示す。
まず、ステップS1において、着座センサ33が乗員の着座を検出する。また、着座センサ33は、乗員が左側前方座席P11、右側前方座席P12、左側後方座席P21及び右側後方座席P22のいずれに座ったのかを検出する。すなわち、着座センサ33は、乗員の着座位置を検出する着座位置検出部として機能する。
【0023】
次に、ステップS2において、制御装置20は、乗員の着座位置に応じて発光部12が点灯するように発光部12に制御指令を出力する。発光部12は、発光することにより収納スペースSの位置情報を示す位置情報出力部として機能する。具体的には、図3に示す例においては、乗員が左側前方座席P11又は右側前方座席P12に着座したときは、前側収納部111に設けられた発光部12が点灯する。また、乗員が左側後方座席P21又は右側後方座席P22に着座したときは、後側収納部112に設けられた発光部12が点灯する。すなわち、制御装置20は、着座センサ33の検出結果に基づいて、乗員の着座位置に対応する収納スペースSの位置情報を出力する制御指令を発光部12に出力する。
【0024】
次に、ステップS3において、制御装置20は、収納部11の上に乗員の所持物Aが置かれたか否かを判定する。収納部11の上に乗員の所持物Aが置かれなかった場合は、処理は終了する。
また、ステップS3において、制御装置20が「収納部11の上に所持物Aが置かれた」と判定した場合は、ステップS4において、撮像装置31及び重量センサ34が、所持物検出部として、所持物Aの情報を取得する。具体的には、撮像装置31は、所持物Aの大きさ及び形状を検出する。また、撮像装置31は、所持物Aの重心の位置を取得する。また、重量センサ34は、所持物Aの重量を取得する。なお、所持物検出部は、撮像装置31又は重量センサ34のいずれか一方のみであってもよい。
【0025】
次に、ステップS5において、制御装置20は、撮像装置31及び重量センサ34が検出した所持物Aの情報に基づいて、収納スペースSの深さD及び開口径Wを設定する。具体的には、制御装置20は、所持物Aの大きさ及び形状のいずれか一方又は両方に基づいて収納スペースSの開口径Wを設定する。または、制御装置20は、所持物Aの重量及び重心点の位置のいずれか一方又は両方に基づいて収納スペースSの深さDを設定する。すなわち、制御装置20は、所持物Aの重量が大きい程、収納スペースSの深さDを深くする。また、制御装置20は、所持物Aを収納スペースSに収納したときに、所持物Aの重心の位置が収納スペースS内に位置するように収納スペースSの深さDを設定する。
【0026】
次に、ステップS6において、制御装置20は、ステップS5で設定された収納スペースSの深さD及び開口径Wに基づいて、収納部11の形状を制御する。具体的には、図7及び図8に示すように、制御装置20は、収納部11の側方部材11aの径方向の位置を制御することにより、収納スペースSの開口径Wを調整する。また、制御装置20は、収納部11の底板部材11bの上下方向の位置を制御することにより、収納スペースSの深さDを調整する。
【0027】
さらに次に、ステップS7において、制御装置20は、撮像装置31又は重量センサ34の検出結果に基づいて、収納スペースSに所持物Aが収納されたことを確認する。
そして、ステップS8において、制御装置20は、発光部12が消灯するように、制御指令を発光部12に出力する。
【0028】
次に、図10を用いて、乗員が収納スペースSから所持物Aを取り出すときにおける制御装置20による収納部11及び発光部12の制御方法を示す。
まず、ステップS11において、制御装置20は、撮像装置31又は音声センサ32の検出結果に基づいて、乗員が所持物Aを取り出すと予測されるか否かを判定する。具体的には、制御装置20は、撮像装置31の検出結果に基づいて、乗員が所持物Aを取るための動作を行ったか否かを判定する。「乗員が所持物Aを取るための動作」とは、例えば、乗員が所持物Aに向かって手を伸ばす動作である。また、「乗員が所持物Aを取るための動作」は、乗員が所持物Aを取ることを示す特定のジェスチャであってもよい。制御装置20は、乗員が所持物Aを取るための動作を行った場合に「乗員が所持物Aを取りだすと予測される」と判定する。この場合は、撮像装置31は、乗員の動作を検出する動作検出部として機能する。また、制御装置20は、音声センサ32の検出結果に基づいて、乗員が所持物Aを取ることを示す音声を発したか否かを判定してもよい。制御装置20は、乗員が所持物Aを取ることを示す音声を発した場合に「乗員が所持物Aを取りだすと予測される」と判定する。音声センサ32は、乗員の音声を検出する音声検出部として機能する。
【0029】
ステップS11において、乗員が所持物Aを取り出すと予測されなかった場合は、処理は終了する。一方、ステップS11において、乗員が所持物Aを取り出すと予測された場合は、ステップS12において、制御装置20は、発光部12が点灯するように発光部12に制御指令を出力する。
そしてさらに、ステップ13において、制御装置20は、収納スペースSの開口径Wを広げるように、収納部11の側方部材11aの位置を径方向外側に移動させる。
【0030】
次に、ステップS14において、制御装置20は、撮像装置31又は重量センサ34の検出結果に基づいて、乗員が所持物Aを取り出したか否かを判定する。乗員が所持物Aを取り出していない場合は、制御装置20は、ステップS14の判定を繰り返す。
一方、乗員が所持物Aを取り出した場合は、ステップS15において、制御装置20は、発光部12が消灯するように発光部12に制御指令を出力する。すなわち、制御装置20は、位置情報出力部としての発光部12が収納スペースSの位置情報の出力を終了するように、発光部12に制御指令を出力する。
【0031】
次に、図11を用いて、乗員が車両1から降車するときにおける制御装置20による収納部11及び発光部12の制御方法を示す。
まず、ステップS21において、制御装置20は、車両1が停止し、ドアロックが解除されたことを確認する。
次に、ステップ22において、制御装置20は、発光部12が点灯するように発光部12に制御指令を出力する。
【0032】
さらに次に、ステップ23において、制御装置20は、撮像装置31又は着座センサ33の検出結果に基づいて、乗員が車両1から降車したか否かを判定する。すなわち、撮像装置31又は着座センサ33は、乗員の乗降を検出する乗降検出部として機能する。乗員が車両1から降車していないときは、制御装置20は、ステップS23の判定を繰り返す。
一方、乗員が車両1から降車したときは、ステップ24において、制御装置20は、撮像装置31又は重量センサ34の検出結果に基づいて、所持物Aが収納スペースSに収納されているか否かを判定する。すなわち、撮像装置31又は重量センサ34は、収納スペースSにおける所持物Aの有無を検出する収納検出部として機能する。所持物Aが収納スペースSに収納されていない場合は、処理は終了する。
【0033】
一方、所持物Aが収納スペースSに収納されている場合、すなわち、乗員が所持物Aを収納スペースSに置き忘れている場合は、制御装置20は、発光部12が赤色に発光し、かつ、点滅するように発光部12に制御指令を出力する。すなわち、発光部12は、所持物Aが収納スペースSに残っていることを示す情報を乗員に対して出力する情報出力部として機能する。
【0034】
以上より、本実施形態に係る収納システム100は、車両1の乗員の所持物Aを収納可能な収納スペースSを画定する収納部11を有する内装部品10と、所持物Aの情報を取得する撮像装置31及び重量センサ34と、所持物Aの情報に基づいて、収納部11の形状を制御することにより、収納スペースSの開口径及び深さを調整する制御装置20とを備える。これにより、収納システム100は、所持物Aの大きさに合わせて収納スペースSの大きさを調整できるため、所持物Aを収納スペースSに隙間なく収納することができ、車両1の走行中に乗員の所持物を安定して保持できる。そのため、収納システム100は、車両1の走行時のガタツキ音を低減することができ、移動時の車室内の居心地が向上する。なお、制御装置20は、収納スペースSの開口径及び深さのいずれか一方のみを調整してもよい。
【0035】
また、収納システム100の内装部品10は、開口部16が設けられた内装部品本体14と、開口部16を被覆するように内装部品本体14に取り付けられた、伸縮性を有するシート15とを備える。収納部11は、シート15に被覆された開口部16の内側に設けられる。これにより、収納スペースSに所持物Aが収納されていないときは、内装部品10の表面は平坦な状態(シームレスな状態)となり、インテリアとしての内装部品10のデザイン性が向上する。また、収納スペースSに所持物Aが収納されていないときは、内装部品10の表面において収納スペースSの位置に凹凸が無いため、掃除がしやすくなるという利点がある。
【0036】
また、シート15は光透過材料により形成される。これにより、シート15の下に配置された発光部12の光がシート15を透過するため、乗員が発光部12の光を視認して収納スペースSの位置を確認することができる。
【0037】
また、収納システム100の制御装置20は、着座センサ33の検出結果に基づいて、乗員の着座位置に対応する収納スペースSの位置情報を出力する制御指令を位置情報出力部としての発光部12に出力する。これにより、乗員は着座位置に応じて所持物Aを収納すべき位置を明確に確認することができる。なお、位置情報出力部は、発光部12に限定されず、音声により収納スペースSの位置情報を出力する音声出力装置であってもよい。また、位置情報出力部は、天井に設けられたプロジェクタであってもよく、内装部品10の表面に収納スペースSの位置を示す光や模様を投影してもよい。また、制御装置20は、収納スペースSの位置で内装部品10の表面を凹ませることにより、収納スペースSの位置情報を示してもよい。
【0038】
また、収納システム100の制御装置20は、所持物Aが収納スペースSから取り出されたときは、収納スペースSの位置情報の出力を終了する制御指令を位置情報出力部としての発光部12に出力する。すなわち、制御装置20は、所持物Aが収納スペースSから取り出されたときは、発光部12を消灯させる。これにより、所持物Aが収納スペースSから取り出された後は、内装部品10の表面から位置情報の表示が消えるため、内装部品10の外観がシンプルなものとなり、インテリアとしての内装部品10のデザイン性が向上する。
【0039】
本実施形態における位置情報出力部は、内装部品10に設けられ、発光することにより収納スペースSの位置を示す発光部12である。これにより、乗員は収納スペースSの位置を明確に視認できる。また、夜間であっても、乗員は、発光部12の光を目印にしてストレスなく所持物Aを収納スペースSに収納できる。
【0040】
また、所持物検出部としての撮像装置31及び重量センサ34が取得する所持物Aの情報は、所持物Aの大きさ、形状、重量、及び、重心点の位置の少なくもいずれか1つを含む。これにより、収納システム100は、所持物Aの大きさ、形状、重量、及び、重心点の位置に応じて、収納スペースSの開口径W及び/又は深さDを最適な寸法に設定できる。
【0041】
また、収納システム100の所持物検出部は、撮像装置31及び重量センサ34のいずれか一方又は両方である。これにより、収納システム100は、所持物Aの情報として、所持物Aの大きさ、形状、重量、及び、重心点の位置の少なくもいずれか1つを取得することができる。また、乗員が所持物Aの情報を手動で入力する必要が無いため、乗員はストレスなく所持物Aを収納スペースSに収納することができる。
【0042】
また、収納システム100の制御装置20は、所持物Aの大きさ及び形状のいずれか一方又は両方に基づいて収納スペースSの開口径Wを調整する。これにより、収納システム100は、所持物Aの大きさ及び形状のいずれか一方又は両方に応じて、所持物Aを収納スペースSに隙間なく収納でき、車両1の走行時のガタツキ音を低減できる。
【0043】
また、収納システム100の制御装置20は、所持物Aの重量及び重心点の位置のいずれか一方又は両方に基づいて収納スペースSの深さDを調整する。これにより、収納システム100は、所持物Aの重量及び重心点の位置のいずれか一方又は両方に応じて、所持物Aを収納スペースSに安定して収納できる。
【0044】
また、収納システム100の制御装置20は、収納スペースSに所持物Aが収納されているときに、動作検出部としての撮像装置31の検出結果に基づいて、乗員が所持物Aを取るための動作を行ったか否かを判定する。そして、乗員が所持物Aを取るための動作を行った場合は、収納スペースSの開口径Wを広げるように収納部11の形状を制御する。これにより、収納システム100は、自動で収納スペースSの開口径Wを広げて、乗員がストレスなく所持物Aを取り出しやすくすることができる。
【0045】
また、収納システム100の制御装置20は、収納スペースSに所持物Aが収納されているときに、音声センサ32の検出結果に基づいて、乗員が所持物Aを取ることを示す音声を発したか否かを判定する。そして、制御装置20は、乗員が所持物Aを取ることを示す音声を発した場合は、収納スペースSの開口径Wを広げるように収納部11の形状を制御する。これにより、収納システム100は、自動で収納スペースSの開口径Wを広げて、乗員がストレスなく所持物Aを取り出しやすくすることができる。
【0046】
また、収納システム100の制御装置20は、乗員が車両1から降車し、かつ、所持物Aが収納スペースSに収納されている場合は、所持物Aが収納スペースSに残っていることを示す情報を出力する制御指令を情報出力部としての発光部12に出力する。これにより、収納システム100は、乗員が所持物Aを車内に置き忘れてしまうことを防止することができる。なお、情報出力部は発光部12に限定されず、乗員に対して音声で情報を出力する音声出力部であってもよい。
【0047】
また、内装部品10は、センターコンソール、ドアトリム、シートアームレスト、又は、ダッシュボードである。これにより、乗員は、着座位置に応じて最適な場所に設けられた収納スペースSに所持物Aを収納することができる。
【0048】
また、本実施形態に限定されず、内装部品10が、所持物Aを収納可能な収納スペースSを画定する収納部11と、所持物Aの情報を取得する所持物検出部(撮像装置31,重量センサ34)と、所持物検出部が検出した所持物の情報に基づいて、収納部11の形状を制御することにより、収納スペースSの開口径及び深さのいずれか一方又は両方を調整する制御装置20とを備えていてもよい。これにより、内装部品10自体に備わった機能によって、内装部品10は、車両1の走行中に乗員の所持物を安定して保持できる。
【0049】
本実施形態において、撮像装置31及び重量センサ34は本発明に係る所持物検出部及び収納検出部に相当する。着座センサ33は、着座位置検出部に相当する。発光部12は、位置情報出力部及び情報出力部に相当する。撮像装置31は、動作検出部に相当する。音声センサ32は、音声検出部に相当する。撮像装置31及び着座センサ33は、乗降検出部に相当する。
【符号の説明】
【0050】
100…収納システム
1…車両
10…内装部品
11…収納部
12…発光部(位置情報出力部、情報出力部)
14…内装部品本体
15…シート
16…開口部
31…撮像装置(所持物検出部、収納検出部、動作検出部、乗降検出部)
32…音声センサ(音声検出部)
33…着座センサ(着座位置検出部、乗降検出部)
34…重量センサ(所持物検出部、収納検出部)
A…所持物
S…収納スペース
図1
図2
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図11