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特開2024-124034全固体電池、及び、全固体電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124034
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】全固体電池、及び、全固体電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20240905BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240905BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/586
H01M50/591 101
H01M50/54
H01M50/548
H01M50/534
H01M10/0562
H01M10/0565
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031924
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 達▲朗▼
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AL06
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ12
5H029BJ17
5H043AA05
5H043CA13
5H043EA02
5H043GA22
5H043LA21E
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部空間における空間効率を向上できる全固体電池セルを提供することである。
【解決手段】全固体電池セル1は、第1~第3単位積層体20a~20cを含む電極積層体10を備える。第1~第3単位積層体20a~20cは、正極活物質層32が形成された正極集電体31を含む第1~第3正極30a~30cと、負極活物質層63が形成された負極集電体61を含む第1~第3負極60a~60cと、正負極間に設けられる第1~第3バイポーラ電極50a~50cと、を含む。第1~第3単位積層体は、正極同士と負極同士とが重なるようにそれぞれ積層され、全ての正極は、正極集電体を介して電気的に接続されており、全ての負極は、負極集電体を介して電気的に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極積層体を備える全固体電池セルであって、
前記電極積層体は、3以上の奇数個の単位積層体を含み、
前記単位積層体は、
少なくとも一方の主面に正極活物質層が形成された正極集電体を含む正極と、
少なくとも一方の主面に負極活物質層が形成された負極集電体を含む負極と、
一方の主面に正極活物質層が形成されていると共に他方の主面に負極活物質層が形成されているバイポーラ集電体を含み、前記正極と前記負極との間に設けられるバイポーラ電極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる固体電解質層と、を含み、
前記3以上の奇数個の単位積層体は、前記正極同士と前記負極同士とが重なるようにそれぞれ積層され、
全ての前記正極は、前記正極集電体を介して電気的に接続されており、
全ての前記負極は、前記負極集電体を介して電気的に接続されている全固体電池セル。
【請求項2】
請求項1に記載の全固体電池セルにおいて、
前記単位積層体は、
前記正極と、前記負極と、前記バイポーラ電極と、前記固体電解質層と、が積層された積層部と、
前記積層部から前記正極集電体が延出し、他の前記単位積層体の前記正極集電体に接続している正極接続部と、
前記積層部から前記負極集電体が延出し、他の前記単位積層体の前記負極集電体に接続している負極接続部と、
前記積層部と前記正極接続部との間に設けられた第1絶縁層と、
前記積層部と前記負極接続部との間に設けられた第2絶縁層と、をさらに備える全固体電池セル。
【請求項3】
請求項1に記載の全固体電池セルにおいて、
前記全固体電池セルは、
前記電極積層体の積層方向における一端面に接合された第1タブリードと、
前記電極積層体の積層方向における他端面に接合された第2タブリードと、をさらに備える全固体電池セル。
【請求項4】
請求項2に記載の全固体電池セルにおいて、
前記正極接続部は、撓んでいるか、又は、折り畳まれており、
前記負極接続部は、撓んでいるか、又は、折り畳まれている全固体電池セル。
【請求項5】
請求項1に記載の全固体電池セルにおいて、
前記バイポーラ集電体は、弾性を有する全固体電池セル。
【請求項6】
請求項1に記載の全固体電池セルにおいて、
前記電極積層体は、前記単位積層体同士の間に設けられ、導電性を有する弾性部材をさらに含む全固体電池セル。
【請求項7】
請求項1に記載の全固体電池セルにおいて、
前記全固体電池セルは、前記電極積層体を収容する外装体をさらに備え、
前記電極積層体の積層方向における一端に位置する前記正極の前記正極集電体は、前記外装体の内部から前記外装体の外部まで延出しており、
前記電極積層体の積層方向における他端に位置する前記負極の前記負極集電体は、前記外装体の内部から前記外装体の外部まで延出している全固体電池セル。
【請求項8】
請求項2に記載の全固体電池セルにおいて、
前記積層部の平面形状は、長方形であり、
前記正極接続部は、前記長方形の第1長辺側に設けられており、
前記負極接続部は、前記第1長辺と反対側に位置する第2長辺側に設けられている全固体電池セル。
【請求項9】
請求項1に記載の全固体電池セルにおいて、
相互に重ねられた一対の前記負極における一対の前記負極集電体は、折り返された一枚の金属箔から構成されており、
相互に重ねられた一対の前記正極における一対の前記正極集電体は、互いに別体の金属箔から構成されている全固体電池セル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の全固体電池セルを複数備える全固体電池モジュールであって、
複数の前記全固体電池セルは、前記単位積層体の積層方向に沿って相互に積層されていると共に、直列接続されている全固体電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池、及び、全固体電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、両面に正極が形成された正極通常電極と、両面に負極が形成された負極通常電極と、これらの間に設けられ、一方の面に正極が形成されていると共に、他方の面に負極が形成されているバイポーラ電極と、を含んでいる(特許文献1参照)。
【0003】
このような二次電池では、正極通常電極と負極通常電極から電極積層体の積層方向と直交する方向に向かって配線が引き出され、引き出された配線が正極タブ及び負極タブに溶着されている(特許文献1の第12図参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-150191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような二次電池では、複数の正極通常電極と複数の負極通常電極から電極積層体の積層方向と直交する方向に向かって複数の集電用の配線が引き出されているので、二次電池の内部に配線を引き出すための空間が必要となってしまい、二次電池の内部空間を効率的に利用できない、という問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、内部空間における空間効率を向上できる全固体電池、及び、全固体電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、正負極と、正負極間に設けられたバイポーラ電極を含む3以上の奇数個の単位積層体を正極同士と負極同士とが重なるように積層した電極積層体において、全ての正極を正極集電体を介して電気的に接続に接続すると共に、全ての負極を負極集電体を介して電気的に接続することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、全ての正極が正極集電体を介して電気的に接続されていると共に、全ての負極が負極集電体を介して電気的に接続されていることで、電極積層体の積層方向の両端面に集電することができるので、空間効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態における全固体電池セルの一例を示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態における全固体電池セルの電極積層体の分解断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態における全固体電池セルの電極積層体の一例を示す平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態における正負極集電体の変形例を示す断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態における全固体電池モジュールの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る全固体電池セル1について図面に基づいて説明する。図1は本実施形態における全固体電池セル1の一例を示す断面図、図2は本実施形態における全固体電池セル1の電極積層体10の分解断面図、図3は本実施形態における全固体電池セル1の電極積層体10の一例を示す平面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態における全固体電池セル1は、電極積層体10と、正極タブ35と、負極タブ65と、外装体70と、を備えている。本実施形態における正極タブ35が本発明における「第1タブリード」の一例に相当し、本実施形態における負極タブ65が本発明における「第2タブリード」の一例に相当する。
【0012】
電極積層体10は、発電要素であり、相互に積層された3以上の奇数個(本例では3個)の第1~第3単位積層体20a~20cを含んでいる。この電極積層体10において、第1~第3単位積層体20a~20cは2直列3並列で接続されている。なお、本実施形態では、電極積層体10が第1~第3単位積層体20a~20cを含む場合を例示するが、これに限定されず、電極積層体10に含まれる単位積層体の個数は5以上の奇数個(5個、7個、9個、・・・)であってもよい。また、単位積層体の個数に応じて、後述する正極接続部31b及び負極接続部61bの個数も変化する。
【0013】
詳細な構造は後述するが、本実施形態における3個の単位積層体20a~20cは、隣接する単位積層体の正極同士が重なると共に、隣接する単位積層体の負極同士とが重なるように積層されている。このため、電極積層体10の積層方向(図中のZ方向)における上端に正極を配置でき、下端に負極を配置できる。
【0014】
図2に示すように、第1単位積層体20aは、電極積層体10の最上部に設けられている。この第1単位積層体20aは、第1正極30aと、2枚の固体電解質層40と、第1バイポーラ電極50aと、第1負極60aと、を含んでいる。
【0015】
第1単位積層体20aは、積層部LPを含んでいる。積層部LPとは、第1単位積層体20aにおいて第1正極30a、固体電解質層40,40、第1バイポーラ電極50a、第1負極60aと、が積層されている(直接接触するように重ねられている)部分である。本実施形態における積層部LPの平面形状は、特に限定されないが、長方形である。
【0016】
本実施形態における第1正極30aは、モノポーラ正極であり、正極集電体31と、正極活物質層32と、を含んでいる。正極集電体31は、金属箔である。第1正極30aの正極集電体31は、第1単位積層体20aの積層方向(Z方向)における最上端部を構成していると共に、電極積層体10の積層方向(Z方向)における最上端部を構成している。図1に示すように、この正極集電体31の上面は、正極タブ35と溶接等により接合される。
【0017】
図2に示すように、第1正極30aの正極集電体31は、正極形成部31aと、正極接続部31bと、第1絶縁層31cと、を含んでいる。正極形成部31aは、積層方向と直交する方向(図中のXY方向)に沿って延在する部分であり、この正極形成部31aの下面に正極活物質層32が形成されている。
【0018】
一方で、正極接続部31bは、正極形成部31aの右端に接続するコの字(U字)状の部分であり、この正極接続部31bは、第2正極30b(後述)の正極集電体31(後述)にも接続している。本実施形態における正極接続部31bは、第1負極60aの負極集電体61と第2負極60bの負極集電体61との接触部を跨ぐように積層方向に延在している。
【0019】
正極接続部31bは、第1正極30aの正極集電体31と第2正極30bの正極集電体31を接続しており、これにより、第1正極30aと第2正極30bとが各々の正極集電体31,31を介して電気的に接続されている。
【0020】
図3に示すように、正極接続部31bは、平面視において、積層部LPの第1長辺LS側に設けられており、この第1長辺LSから延出している。本実施形態のように、正極接続部31bが積層部LPの第1長辺LS側に設けられていることで、正極接続部31bの幅を大きく設定することができるので、正極接続部31bの断面積を大きくすることができる。このため、正極接続部31bにおける電気抵抗を低減することができる。
【0021】
図2に示すように、本実施形態において、第1正極30aの正極集電体31と第2正極30bの正極集電体31とは一体的に形成されている。より具体的には、第1正極30aの正極集電体31と第2正極30bの正極集電体31とは、一枚の金属箔をコの字状(U字状)に折り曲げて形成している。
【0022】
正極接続部31bの積層部LPに対向する内側面に第1絶縁層31cが形成されている。第1絶縁層31cとしては、特に限定されないが、絶縁性を有する樹脂などを使用できる。この第1絶縁層31cにより、正極接続部31bと、第1バイポーラ電極50a及び第1負極60aと、の短絡を防止することができる。なお、この第1絶縁層31cは、正極接続部31bと積層部LPとの間に設けられていれば正極接続部31bに設けられている必要はなく、積層部LPの正極接続部31bと対向する側面(本例では、第1長辺LSを構成する側面)に設けられていてもよい。
【0023】
正極活物質層32は、正極集電体31の下面に形成されている。この正極活物質層32は、リチウムイオンなどを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含むペーストを正極集電体31に塗布することで形成することができる。
【0024】
正極活物質層32の下面に固体電解質層40が積層されている。この固体電解質層40としては、例えば、硫化物固体電解質又は酸化物固体電解質などを使用できる。
【0025】
固体電解質層40の下面に第1バイポーラ電極50aが積層されている。この第1バイポーラ電極50aは、バイポーラ集電体51と、正極活物質層52と、負極活物質層53と、を含んでいる。
【0026】
本実施形態における第1バイポーラ電極50aでは、バイポーラ集電体51の上面に負極活物質層53が形成されており、バイポーラ集電体51の下面に正極活物質層52が形成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、第1単位積層体20aは、1枚の第1バイポーラ電極50aを含んでいるが、これに限定されず、複数枚の第1バイポーラ電極50aを含んでいてもよい。
【0028】
正極活物質層52の下面に固体電解質層40が積層されており、この固体電解質層40の下面に第1負極60aが積層されている。第1負極60aは、モノポーラ負極であり、負極集電体61と、負極活物質層63と、を含んでいる。
【0029】
負極集電体61は、金属箔である。本実施形態における第1負極60aの負極集電体61は、積層方向と直交する方向(図中のXY方向)に沿って延在している。
【0030】
負極集電体61の上面に負極活物質層63が形成されている。この負極活物質層63は、固体電解質層40と接触している。この負極活物質層63は、負極活物質を含んでおり、この負極活物質としては、炭素系活物質、シリコン系活物質、又は、金属系活物質を例示することができる。炭素系活物質又はシリコン系活物質を負極活物質として使用する場合、負極活物質層63は、負極活物質を含むペーストを負極集電体61に塗布・乾燥することで形成することができる。また、金属系活物質を負極活物質として使用する場合、負極活物質層63は、電池の組立前に、予め蒸着等によって負極集電体61に金属膜を成膜しておくことで形成することができる。或いは、金属系活物質から成る負極活物質層63は、電池を組み立てた後に充電によって形成されてもよい。つまり、電池の完成時には負極活物質層63は存在していないが、電池の充電により負極集電体61の表面に金属が析出することで負極活物質層63が形成されてもよい。金属活物質としては、アルカリ金属又はアルカリ金属系化合物等を例示できるが、より具体的には、Li金属等を例示できる。
【0031】
以上のような第1単位積層体20aの下端に、第2単位積層体20bが積層されている。この第2単位積層体20bは、第2負極60bと、2枚の固体電解質層40,40と、第2バイポーラ電極と、第2正極30bと、を含んでいる。
【0032】
第2負極60bは、モノポーラ負極であり、負極集電体61と、負極活物質層63と、を含んでいる。この負極集電体61は、第1単位積層体20aの第1負極60aの負極集電体61と直接接触することで電気的に接続されている。
【0033】
第2負極60bの負極集電体61は、負極形成部61aと、負極接続部61bと、第2絶縁層61cと、を含んでいる。負極形成部61aは、積層方向と直交する方向(図中のXY方向)に沿って延在する部分であり、この負極形成部61aの下面に正極活物質層62が形成されている。
【0034】
一方で、負極接続部61bは、負極形成部61aの左端に接続するコの字(U字)状の部分であり、この負極接続部61bは、第3負極60c(後述)の負極集電体61(後述)にも接続している。本実施形態における負極接続部61bは、第2正極30bの正極集電体31と第3正極30cの正極集電体31との接触部を跨ぐように積層方向に延在している。
【0035】
負極接続部61bは、第2負極60bの負極集電体61と第3負極60cの負極集電体61を接続しており、これにより、第2負極60bと第3負極60cとが各々の負極集電体61,61を介して電気的に接続されている。
【0036】
図3に示すように、負極接続部61bは、平面視において、積層部LPの第1長辺LSと反対側に位置する第2長辺LS側に設けられており、この第2長辺LSから延出している。本実施形態のように、負極接続部61bが積層部LPの第2長辺LS側に設けられていることで、負極接続部61bの幅を大きく設定することができるので、負極接続部61bの断面積を大きくすることができる。このため、負極接続部61bにおける電気抵抗を低減することができる。
【0037】
本実施形態において、第2負極60bの負極集電体61と第3負極60cの負極集電体61とは一体的に形成されている。より具体的には、第2負極60bの負極集電体61と第3負極60cの負極集電体61は、一枚の金属箔をコの字状(U字状)に折り曲げて形成している。
【0038】
負極接続部61bの積層部LPに対向する内側面に第2絶縁層61cが形成されている。第2絶縁層61cとしては、特に限定されないが、絶縁性を有する樹脂などを使用できる。この第2絶縁層61cにより、負極接続部61bと、第2バイポーラ電極5b及び第2正極30bと、の短絡を防止することができる。なお、この第2絶縁層61cは、負極接続部61bと積層部LPとの間に設けられていれば負極接続部61bに設けられている必要はなく、積層部LPの負極接続部61bと対向する側面(本例では、第2長辺LSを構成する側面)に設けられていてもよい。
【0039】
負極活物質層63は、負極集電体61の下面に形成されている。この負極活物質層63は、上述の負極活物質層63と同様の構成とすることができる。
【0040】
負極活物質層63の下面に固体電解質層40が積層されている。また、この固体電解質層40の下面に第2バイポーラ電極50bが積層されている。この第2バイポーラ電極50bは、第1バイポーラ電極50aを上下反転させたものと同一の構成を有しており、バイポーラ集電体51と、正極活物質層52と、負極活物質層53と、を含んでいる。
【0041】
この第2バイポーラ電極50bでは、バイポーラ集電体51の上面に正極活物質層52が形成されており、バイポーラ集電体51の下面に負極活物質層53が形成されている。
【0042】
なお、本実施形態では、第2単位積層体20bは、1枚の第2バイポーラ電極50bを含んでいるが、これに限定されず、複数枚の第2バイポーラ電極50bを含んでいてもよい。
【0043】
負極活物質層53の下面に固体電解質層40が積層されており、この固体電解質層40の下面に第2正極30bが積層されている。第2正極30bは、モノポーラ正極であり、正極集電体31と、正極活物質層32と、を含んでいる。
【0044】
第2正極30bの正極集電体31は、第2単位積層体20bの正極活物質層32が形成された正極形成部31aを含んでいる。また、第2正極30bの正極集電体31は、第1正極30aの正極集電体31と一体的に形成されており、正極接続部31bを第1正極30aの正極集電体31と共有している。また、第2正極30bは、第1絶縁層31cも第1正極30aと共有している。
【0045】
以上のような第2単位積層体20bの下端に、第3単位積層体20cが積層されている。この第3単位積層体20cは、第3正極30cと、2枚の固体電解質層40と、第3バイポーラ電極50cと、第3負極60cと、を含んでいる。
【0046】
第3正極30cは、モノポーラ正極であり、正極集電体31と、正極活物質層32と、を含んでいる。この正極集電体31は、第2単位積層体20bの第2正極30bの正極集電体31と直接接触することで電気的に接続されている。
【0047】
正極活物質層32の下面に固体電解質層40が積層されており、この固体電解質層40の下面に第3バイポーラ電極50cが積層されている。この第3バイポーラ電極50cは、上述の第1バイポーラ電極50aと同様の構成を有している。本実施形態では、第3単位積層体20cは、1枚の第3バイポーラ電極50cを含んでいるが、これに限定されず、複数枚の第3バイポーラ電極50cを含んでいてもよい。
【0048】
この第3バイポーラ電極50cの正極活物質層52の下面に固体電解質層40が積層されており、この固体電解質層40の下面に第3負極60cが積層されている。第3負極60cは、モノポーラ負極であり、負極集電体61と、負極活物質層63と、を含んでいる。
【0049】
第3負極60cの負極集電体61は、第3単位積層体20cの負極活物質層63が形成された負極形成部61aを含んでいる。また、第3負極60cの負極集電体61は、第2負極60bの負極集電体61と一体的に形成されており、負極接続部61bを第2負極60bの負極集電体61と共有している。また、第3負極60cは、第2絶縁層61cも第2負極60bと共有している。
【0050】
以上のような電極積層体10において、図1に示すように、第1正極30aの正極集電体31は、正極接続部31bを介して、第2正極30bの正極集電体31と電気的に接続されている。また、第2正極30bの正極集電体31は、第3正極30cの正極集電体31に直接的に接触することで電気的に接続されている。結果的に、この電極積層体10に含まれる全ての正極が正極集電体31を介して電気的に接続される。
【0051】
同様に、第1負極60aの負極集電体61は、第2負極60bの負極集電体61と直接的に接触することで電気的に接続されている。また、第2負極60bの負極集電体61は、負極接続部61bを介して、第3負極60cの負極集電体61と電気的に接続されている。結果的に、この電極積層体10に含まれる全ての負極が負極集電体61を介して電気的に接続される。
【0052】
図1に示す破線矢印は、この全固体電池セル1における電子伝達経路Eを示している。この全固体電池セル1では、全ての正極(第1~第3正極30a~30c)と全ての負極(第1~第3負極60a~60c)は正負極集電体31,61を介して電子伝導するので、単位積層体20a~20cの並列接続が成立し、電極積層体10の上下端面において面集電することが可能となっている。
【0053】
よって、本実施形態における全固体電池セル1であれば、空間効率を向上することができる。そのうえ、全固体電池セル1は、モノポーラ正極とモノポーラ負極との間にバイポーラ電極を介在させる構造であるので、全固体電池セル1内でバイポーラ電極の枚数や単位積層体の個数を調整することで、セル電圧を限られた容積内で容易に調節することができる。
【0054】
また、本実施形態では、電極積層体10の上端面の正極集電体31に正極タブ35を接合でき、電極積層体10の下端面の負極集電体61に負極タブ65を接合できる。つまり、電極積層体10と正負極タブ35,65の接合面積を大きくすることができるため、全固体電池セル1の抵抗を低減できる。
【0055】
また、上記実施形態において、バイポーラ集電体51は、金属箔であってもよいが、導電性を有する弾性体であることが好ましい。この導電性を有する弾性体としては、導電性樹脂、表面を金属により被覆されたゴム部材などであってもよい。バイポーラ集電体51が弾性を有することで、全固体電池セル1の充放電時に正負極活物質層が膨張したとしても、バイポーラ集電体51が圧縮されて厚み変形を吸収できる。よって、電極積層体10の厚み変化に起因する正極接続部31b及び負極接続部61bの破断の発生を抑制することができる。
【0056】
図4は、本実施形態における正負極集電体31,61の変形例を示す断面図である。電極積層体10の膨張に起因する正極接続部31b及び負極接続部61bの破断の発生を抑制するという観点から、正極集電体31及び負極集電体61は、図4(a)及び図4(b)の変形例に示すような形状を有していてもよい。
【0057】
図4(a)に示すように、正極接続部31b及び負極接続部61bは撓んでいてもよい。或いは、図4(a)に示すように、正極接続部31b及び負極接続部61bは折り畳まれた部分を含んでいてもよい。このような形状の正極接続部31b及び負極接続部61bであれば、電極積層体10の厚み変化に追従できるので、正極接続部31b及び負極接続部61bの破断の発生を抑制できる。
【0058】
また、全固体電池セル1における抵抗をより低減するという観点から、正極集電体31及び負極集電体61は、図4(c)、図4(d)、及び図4(e)の変形例に示すような形態であってもよい。
【0059】
図4(c)において、正極集電体31,31の間(本実施形態では、第2単位積層体20bと第3単位積層体20cの間)に導電性を有する弾性部材39を設けてもよい。この弾性部材39としては、特に限定されないが、導電性の樹脂や、表面に金属を被覆されたゴム部材であってもよい。同様に、負極集電体61,61の間(本実施形態では、第1単位積層体20aと第2単位積層体20bの間)に導電性を有する弾性部材69を設けてもよい。
【0060】
このような弾性部材39,69を設けることで、金属箔である集電体同士が直接接触する場合よりも、接触を改善できるので、電子伝導性を向上させることができる。よって、全固体電池セル1の抵抗を低減できる。
【0061】
また、図4(d)において、正極集電体31を外装体70の外部まで延在させて正極タブとして使用してもよい。同様に、負極集電体61を外装体70の外部まで延在させて負極タブとして使用してもよい。
【0062】
このような正極集電体31及び負極集電体61であれば、正極集電体31と正極タブの接合及び負極集電体61と負極タブの接合が不要となるので、接合部における抵抗の上昇が発生しない。よって、全固体電池セル1の抵抗を低減できる。
【0063】
また、図4(d)において、全ての負極集電体61が一枚の金属箔を折り畳んで形成されたものであってもよい。特に、上記実施例において直接的に面接触していた第1単位積層体20aの下端の負極集電体61と第2単位積層体20bの上端の負極集電体61とが折り返し部61dにおいて連結していると共に、面接触している。
【0064】
このように、全ての負極集電体61が一枚の金属箔を折り畳んで形成されていることで、負極集電体61における電子抵抗が低減されるので、全固体電池セル1の抵抗を低減できる。
【0065】
なお、この変形例において、第2単位積層体20bの下端の負極集電体61と第3単位積層体20cの上端の負極集電体61とは別体としている。これは、正極は一般的に製造時に正極活物質層が最も厚い状態で積層されるので折り返し部を形成すると、応力で正極活物質層が脱落する可能性があるためである。一方で、負極は一般的にリチウムイオンを持たない薄い状態で積層されることが多いので、上記のような折り返し部61dを形成しても、負極活物質層の脱落が生じ難い。
【0066】
図5は、本実施形態における全固体電池モジュール100の一例を示す側面図である。図5に示すように、全固体電池モジュール100は、複数の全固体電池セル1を備えている。
【0067】
複数の全固体電池セル1は、単位積層体20a~20cの積層方向(図中のZ方向)に沿って相互に積層されていると共に、正負極タブ35,65を介して直列接続されている。
【0068】
本実施形態における全固体電池モジュール100では、全固体電池セル1同士をバスバを介在させることなく、直接的に接合することができる。よって、バスバと正負極タブの間の接合部における抵抗が発生しないので、全固体電池モジュール100の抵抗を低減することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…全固体電池セル
10…電極積層体
LP…積層部
LS,LS…長辺
20a~20c…第1~第3単位積層体
30a~30c…第1~第3正極
31…正極集電体
31a…正極形成部
31b…正極接続部
31c…第1絶縁層
32…正極活物質層
35…正極タブ
39…弾性部材
40…固体電解質層
50a~50c…第1~第3バイポーラ電極
51…バイポーラ集電体
52…正極活物質層
53…負極活物質層
60a~60c…第1~第3負極
61…負極集電体
61a…負極形成部
61b…負極接続部
61c…第2絶縁層
63…負極活物質層
65…負極タブ
70…外装体
100…全固体電池モジュール
図1
図2
図3
図4
図5