(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124050
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240905BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L29/78 652F
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652K
H01L29/78 652D
H01L29/78 652H
H01L29/78 652M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031956
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 光亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作の安定性を向上できる炭化珪素半導体装置を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体装置100は、第1主面1に、複数のゲートトレンチ5が設けられている。複数のゲートトレンチ5は、X軸方向に延び、X軸方向に垂直なY軸方向に沿って並ぶ。複数のコンタクト領域18は、Y軸方向に隣り合うゲートトレンチ5の間にある少なくとも1個の第1コンタクト領域18Aを含み、第1半導体領域25は、ゲートトレンチ5の底面4と第2主面2との間に設けられ、第2導電型を有する複数の電界緩和領域16と、第1主面に垂直な平面視で、Y軸方向に沿って隣り合う電界緩和領域16の間にあり、第1主面に垂直な平面視で第1コンタクト領域18Aと重なり、第2導電型を有し、第1コンタクト領域18Aと電界緩和領域と16を電気的に接続する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する炭化珪素基板を備え、
前記炭化珪素基板は、
第1導電型を有するドリフト領域と、
前記ドリフト領域上に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有するボディ領域と、
前記ドリフト領域から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1導電型を有するソース領域と、
前記ボディ領域上に設けられ、前記第2導電型を有する複数のコンタクト領域と、
を有し、
前記第1主面には、前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に至る側面と、前記側面と連なる底面とを備えた複数のゲートトレンチが設けられており、
前記複数のゲートトレンチは、第1仮想直線に沿って延び、前記第1仮想直線に垂直な第2仮想直線に沿って並び、
前記複数のコンタクト領域は、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間にある少なくとも1個の第1コンタクト領域を含み、
前記炭化珪素基板は、
前記底面と前記第2主面との間に設けられ、前記第2導電型を有する複数の電界緩和領域と、
前記第1主面に垂直な平面視で、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記電界緩和領域の間にあり、前記第1主面に垂直な平面視で前記第1コンタクト領域と重なり、前記第2導電型を有する第1半導体領域と、
を有し、
前記第1半導体領域は、前記第1コンタクト領域と前記電界緩和領域とを電気的に接続する、炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体領域は、前記ボディ領域または前記コンタクト領域と前記電界緩和領域とに直接接する、請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記第1コンタクト領域は、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間に局所的に設けられている、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
複数の前記第1コンタクト領域が、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間に局所的に設けられ、
前記第1仮想直線に沿って隣り合う前記第1コンタクト領域の間で、電気的に接続される前記電界緩和領域が異なる、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記複数のゲートトレンチは、前記第1仮想直線に沿っても並び、
前記複数のコンタクト領域は、前記第1仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間にある少なくとも1個の第2コンタクト領域を含み、
前記第1主面において、前記第1コンタクト領域と前記第2コンタクト領域との間に、前記ソース領域がある、請求項3に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第1コンタクト領域は、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間に、前記第1仮想直線に沿う方向の全体に設けられている、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体領域の第1下端面は、前記電界緩和領域の第2下端面と面一である、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記ゲートトレンチの前記側面は、{0-33-8}面を含む、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素半導体装置の一つとして、主面に形成されたゲートトレンチの下方に電界シールド領域が設けられたトレンチ型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、炭化珪素半導体装置に対して動作の安定性の更なる向上が望まれている。
【0005】
本開示は、動作の安定性を向上できる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する炭化珪素基板を備え、前記炭化珪素基板は、第1導電型を有するドリフト領域と、前記ドリフト領域上に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有するボディ領域と、前記ドリフト領域から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1導電型を有するソース領域と、前記ボディ領域上に設けられ、前記第2導電型を有する複数のコンタクト領域と、を有し、前記第1主面には、前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に至る側面と、前記側面と連なる底面とを備えた複数のゲートトレンチが設けられており、前記複数のゲートトレンチは、第1仮想直線に沿って延び、前記第1仮想直線に垂直な第2仮想直線に沿って並び、前記複数のコンタクト領域は、記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間にある少なくとも1個の第1コンタクト領域を含み、前記炭化珪素基板は、前記底面と前記第2主面との間に設けられ、前記第2導電型を有する複数の電界緩和領域と、前記第1主面に垂直な平面視で、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記電界緩和領域の間にあり、前記第1主面に垂直な平面視で前記第1コンタクト領域と重なり、前記第2導電型を有する第1半導体領域と、を有し、前記第1半導体領域は、前記第1コンタクト領域と前記電界緩和領域とを電気的に接続する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、動作の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置における層間絶縁膜および第1主面の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図(その1)である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図(その2)である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図(その3)である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図(その4)である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図(その5)である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置における層間絶縁膜および第1主面の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、"-"(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本開示では数字の前に負の符号を付している。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、炭化珪素半導体装置の姿勢について限定するものではない。また、XY面視を平面視といい、任意の点からみて、+Z方向を上方、上側または上ということがあり、-Z方向を下方、下側または下ということがある。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する炭化珪素基板を備え、前記炭化珪素基板は、第1導電型を有するドリフト領域と、前記ドリフト領域上に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有するボディ領域と、前記ドリフト領域から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1導電型を有するソース領域と、前記ボディ領域上に設けられ、前記第2導電型を有する複数のコンタクト領域と、を有し、前記第1主面には、前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に至る側面と、前記側面と連なる底面とを備えた複数のゲートトレンチが設けられており、前記複数のゲートトレンチは、第1仮想直線に沿って延び、前記第1仮想直線に垂直な第2仮想直線に沿って並び、前記複数のコンタクト領域は、記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間にある少なくとも1個の第1コンタクト領域を含み、前記炭化珪素基板は、前記底面と前記第2主面との間に設けられ、前記第2導電型を有する複数の電界緩和領域と、前記第1主面に垂直な平面視で、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記電界緩和領域の間にあり、前記第1主面に垂直な平面視で前記第1コンタクト領域と重なり、前記第2導電型を有する第1半導体領域と、を有し、前記第1半導体領域は、前記第1コンタクト領域と前記電界緩和領域とを電気的に接続する。
【0012】
第2仮想直線に沿って隣り合うゲートトレンチの間に少なくとも1個の第1コンタクト領域があり、第2仮想直線に沿って隣り合う電界緩和領域の間に、第2導電型を有する第1半導体領域がある。また、第1半導体領域は、第1主面に垂直な平面視で第1コンタクト領域と重なり、第1コンタクト領域と電界緩和領域とを電気的にする。このため、第1コンタクト領域および第1半導体領域を通じて電界緩和領域に電位を付与できる。従って、電界緩和領域の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。特に、オン抵抗の低減等のためにゲートトレンチの第1仮想直線に沿う方向の寸法が大きい場合でも、より多くの第1コンタクト領域および第1半導体領域を設けることで、電界緩和領域の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第1半導体領域は、前記ボディ領域または前記コンタクト領域と前記電界緩和領域とに直接接してもよい。この場合、電界緩和領域にコンタクト領域と同じ電位を付与しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、前記第1コンタクト領域は、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間に局所的に設けられていてもよい。この場合、ソース領域にコンタクト領域と同じ電位を付与しやすい。
【0015】
〔4〕 〔1〕または〔2〕において、複数の前記第1コンタクト領域が、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間に局所的に設けられ、前記第1仮想直線に沿って隣り合う前記第1コンタクト領域の間で、電気的に接続される前記電界緩和領域が異なってもよい。この場合、第1仮想直線に沿って隣り合う第1コンタクト領域の両方が、当該第1コンタクト領域を間に挟む電界緩和領域の両方に接続される場合と比較して、オン抵抗を低減できる。
【0016】
〔5〕 〔3〕または〔4〕において、前記複数のゲートトレンチは、前記第1仮想直線に沿っても並び、前記複数のコンタクト領域は、前記第1仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間にある少なくとも1個の第2コンタクト領域を含み、前記第1主面において、前記第1コンタクト領域と前記第2コンタクト領域との間に、前記ソース領域があってもよい。この場合、ソース領域にコンタクト領域と同じ電位を付与しやすい。
【0017】
〔6〕 〔1〕または〔2〕において、前記第1コンタクト領域は、前記第2仮想直線に沿って隣り合う前記ゲートトレンチの間に、前記第1仮想直線に沿う方向の全体に設けられていてもよい。この場合、ソース領域の抵抗が高くし、短絡電流を抑制し、短絡耐量を向上しやすい。
【0018】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記第1半導体領域の第1下端面は、前記電界緩和領域の第2下端面と面一であってもよい。この場合、第1半導体領域の少なくとも一部を電界緩和領域と同時に形成できる。
【0019】
〔8〕 〔1〕から〔7〕のいずれかにおいて、前記ゲートトレンチの前記側面は、{0-33-8}面を含んでもよい。側面が{0-33-8}面を含むことで、ゲートトレンチの側面において良好な移動度が得られ、チャネル抵抗を低減できる。
【0020】
[本開示の実施形態]
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は、炭化珪素を用いたいわゆる縦型のMOS型電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)に関する。このMOS型FETは炭化珪素半導体装置の一例である。
図1は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置における層間絶縁膜および第1主面の構成を示す図である。
図2は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
図3から
図7は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。
図3は、
図1および
図2中のIII-III線に沿った断面図に相当する。
図4は、
図1および
図2中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。
図5は、
図1および
図2中のV-V線に沿った断面図に相当する。
図6は、
図1および
図2中のVI-VI線に沿った断面図に相当する。
図7は、
図1および
図2中のVII-VII線に沿った断面図に相当する。
【0021】
図1から
図7に示されるように、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置100は、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜81と、ゲート電極82と、層間絶縁膜83と、ソース電極60と、ドレイン電極70と、バリアメタル膜84とを主に有している。
【0022】
炭化珪素基板10は、第1主面1と、第1主面1とは反対の第2主面2とを有する。第1主面1および第2主面2はXY平面に平行であり、第1主面1は第2主面2からみて+Z方向にある。炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板50と、炭化珪素単結晶基板50上にある炭化珪素エピタキシャル層40とを含む。炭化珪素エピタキシャル層40は第1主面1を構成し、炭化珪素単結晶基板50は第2主面2を構成する。炭化珪素単結晶基板50および炭化珪素エピタキシャル層40は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板50は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含み、n型の導電型(第1導電型)を有する。
【0023】
第1主面1は、{0001}面または{0001}面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。好ましくは、第1主面1は、(000-1)面または(000-1)面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ方向は、例えば<11-20>方向であってもよいし、<1-100>方向であってもよい。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0024】
炭化珪素エピタキシャル層40は、ドリフト領域11と、ボディ領域12と、ソース領域13と、電界緩和領域16と、接続領域17と、複数のコンタクト領域18と、第1保護領域21と、第2保護領域22と、第3保護領域23とを主に有する。
【0025】
ドリフト領域11は、窒素またはリン(P)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ドリフト領域11は炭化珪素単結晶基板50の上に設けられている。
【0026】
ボディ領域12は、アルミニウム(Al)等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。ボディ領域12はドリフト領域11の上に設けられている。
【0027】
ソース領域13は、窒素またはリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ソース領域13はボディ領域12の上に設けられている。ソース領域13は、ボディ領域12によってドリフト領域11から隔てられている。ソース領域13は第1主面1を構成する。
【0028】
第1主面1に、側面3と底面4とにより規定される複数のゲートトレンチ5が設けられている。ゲートトレンチ5は、例えばY軸方向に延びる。Y軸方向に複数のゲートトレンチ5が一定の間隔で配置されている。また、X軸方向に複数のゲートトレンチ5が一定の間隔で配置されている。複数のゲートトレンチ5がアレイ状に設けられていてもよい。側面3は、ソース領域13と、ボディ領域12と、ドリフト領域11の一部とを貫通し、ドリフト領域11に至る。底面4は側面3と連なる。底面4はドリフト領域11に位置する。例えば、底面4は第1主面1および第2主面2と平行である。Y軸に垂直な断面視で、底面4を含む仮想平面P1に対する側面3の角度θ1は、例えば45°以上65°以下である。角度θ1は、例えば50°以上であってもよい。角度θ1は、例えば60°以下であってもよい。側面3は、好ましくは{0-33-8}面を有する。{0-33-8}面は、優れた移動度が得られる結晶面である。本開示では、Y軸に平行な第1仮想直線L1およびX軸に平行な第2仮想直線L2を用いて各部位の位置関係を説明することがある。
【0029】
コンタクト領域18は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。コンタクト領域18におけるp型不純物の濃度は、例えば5×1019cm-3以上1×1022cm-3以下である。コンタクト領域18におけるp型不純物の濃度が1×1020cm-3以上5×1021cm-3以下であってもよい。コンタクト領域18は、ソース領域13を貫通し、ボディ領域12に接する。コンタクト領域18は第1主面1を構成する。コンタクト領域18は、第1コンタクト領域18Aと、第2コンタクト領域18Bとを主に有している。
【0030】
第1コンタクト領域18Aは、X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間にある。第1コンタクト領域18AはX軸方向でゲートトレンチ5の両側に設けられている。X軸方向でゲートトレンチ5と第1コンタクト領域18Aとの間にソース領域13の一部がある。第1主面1に垂直な方向から平面視したときに、第1コンタクト領域18Aは、X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間でソース領域13に囲まれている。第1コンタクト領域18Aは、X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間に局所的に設けられている。
【0031】
第2コンタクト領域18Bは、Y軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間にある。第2コンタクト領域18BはY軸方向でゲートトレンチ5の両側に設けられている。第2コンタクト領域18Bは、Y軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間でX軸方向に延びる。
【0032】
例えば、第1コンタクト領域18Aおよび第2コンタクト領域18Bは、Y軸方向で互いに離れている。第1コンタクト領域18Aと第2コンタクト領域18Bとの間にソース領域13がある。
【0033】
電界緩和領域16は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。電界緩和領域16は、ゲートトレンチ5の底面4と第2主面2との間にある。電界緩和領域16の上端面は、例えばゲートトレンチ5の底面4と第2主面2との間にある。電界緩和領域16の上端面の一部は、ボディ領域12の下端面の一部に対向する。電界緩和領域16は、ゲートトレンチ5と同様に、Y軸方向に延びる。第1主面1に垂直な平面視で、電界緩和領域16はゲートトレンチ5と重なる。第1主面1に垂直な平面視で、電界緩和領域16が複数のゲートトレンチ5と重なっていてもよい。また、X軸方向に複数の電界緩和領域16が一定の間隔で配置されている。複数の電界緩和領域16がストライプ状に設けられていてもよい。
【0034】
接続領域17は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。接続領域17におけるp型不純物の濃度は、例えば1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下である。接続領域17におけるp型不純物の濃度が5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下であってもよく、1×1018cm-3以上1×1019cm-3以下であってもよい。接続領域17は、第2コンタクト領域18Bと電界緩和領域16とを電気的に接続する。接続領域17は、第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間にある。接続領域17は、第1主面1に垂直な平面視で、第2コンタクト領域18Bに重なる。接続領域17は電界緩和領域16に接する。接続領域17は少なくともボディ領域12または第2コンタクト領域18Bの一方に接する。接続領域17がボディ領域12および第2コンタクト領域18Bの両方に接してもよい。接続領域17は、第2コンタクト領域18Bと電界緩和領域16との間にある。接続領域17はX軸方向に延びる。
【0035】
第1保護領域21は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。第1保護領域21におけるp型不純物の濃度は、例えば1×10
17cm
-3以上1×10
20cm
-3以下である。第1保護領域21におけるp型不純物の濃度が5×10
17cm
-3以上5×10
19cm
-3以下であってもよく、1×10
18cm
-3以上1×10
19cm
-3以下であってもよい。特に、
図4および
図7に示されるように、第1保護領域21は、第1主面1に垂直な平面視で、X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間にある。第1保護領域21は、第1主面1に垂直な平面視で、第1コンタクト領域18Aに重なる。第1保護領域21は、接続領域17と同じ深さに設けられている。第1保護領域21の深さ方向(Z軸方向)での不純物濃度プロファイルは、例えば接続領域17の深さ方向での不純物濃度プロファイルと等しくてもよい。第1保護領域21は少なくともボディ領域12または第1コンタクト領域18Aの一方に接する。第1保護領域21がボディ領域12および第1コンタクト領域18Aの両方に接してもよい。
【0036】
第2保護領域22は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。第2保護領域22におけるp型不純物の濃度は、例えば1×10
17cm
-3以上1×10
20cm
-3以下である。第2保護領域22におけるp型不純物の濃度が5×10
17cm
-3以上5×10
19cm
-3以下であってもよく、1×10
18cm
-3以上1×10
19cm
-3以下であってもよい。特に、
図4および
図7に示されるように、第2保護領域22は、X軸方向で隣り合う電界緩和領域16の間にある。電界緩和領域16と第2保護領域22とがX軸方向で交互に設けられている。第2保護領域22は、第1主面1に垂直な平面視で、第1コンタクト領域18Aおよび第1保護領域21に重なる。第2保護領域22は、電界緩和領域16と同じ深さに設けられている。第2保護領域22の深さ方向での不純物濃度プロファイルは、例えば電界緩和領域16の深さ方向での不純物濃度プロファイルと等しくてもよい。第2保護領域22は第1保護領域21に接する。
【0037】
また、第2保護領域22のX軸方向の寸法が、第1コンタクト領域18AのX軸方向の寸法よりも大きくてもよく、X軸方向で第2保護領域22が電界緩和領域16に直接接する。従って、第1保護領域21および第2保護領域22を介して、第1コンタクト領域18Aと電界緩和領域16とが電気的に接続されている。
【0038】
第1保護領域21および第2保護領域22から第1半導体領域25が構成される。第1半導体領域25は、第1コンタクト領域18Aと電界緩和領域16とを電気的に接続する。第1半導体領域25の下端面25Xが電界緩和領域16の下端面16Xと面一であってもよい。下端面25Xは第1下端面の一例であり、下端面16Xは第2下端面の一例である。
【0039】
第3保護領域23は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。第3保護領域23におけるp型不純物の濃度は、例えば1×10
17cm
-3以上1×10
20cm
-3以下である。第3保護領域23におけるp型不純物の濃度が5×10
17cm
-3以上5×10
19cm
-3以下であってもよく、1×10
18cm
-3以上1×10
19cm
-3以下であってもよい。特に、
図5および
図7に示されるように、第3保護領域23は、X軸方向で隣り合う電界緩和領域16の間にある。電界緩和領域16と第3保護領域23とがX軸方向で交互に設けられている。第3保護領域23は、第1主面1に垂直な平面視で、第2コンタクト領域18Bおよび接続領域17に重なる。第3保護領域23は、電界緩和領域16と同じ深さに設けられている。第3保護領域23の深さ方向での不純物濃度プロファイルは、例えば電界緩和領域16の深さ方向での不純物濃度プロファイルと等しくてもよい。第3保護領域23は接続領域17に接する。第3保護領域23のX軸方向の寸法も第1コンタクト領域18AのX軸方向の寸法よりも大きく、X軸方向で第3保護領域23が電界緩和領域16に直接接してもよい。
【0040】
コンタクト領域18の各々と第2主面2との間に、少なくとも、接続領域17、第1保護領域21、第2保護領域22または第3保護領域23のいずれかがあってもよい。接続領域17、第1保護領域21、第2保護領域22および第3保護領域23の各々におけるp型不純物の濃度は、コンタクト領域におけるp型不純物の濃度よりも低くてもよい。
【0041】
ゲート絶縁膜81は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜81は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成されている。ゲート絶縁膜81は、側面3および底面4に接する。ゲート絶縁膜81は、底面4においてドリフト領域11に接する。ゲート絶縁膜81は、側面3においてソース領域13、ボディ領域12およびドリフト領域11と接する。ゲート絶縁膜81は、第1主面1においてソース領域13に接していてもよい。
【0042】
ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81の上に設けられている。ゲート電極82は、例えば導電性不純物を含むポリシリコン(ポリSi)から構成されている。ゲート電極82は、ゲートトレンチ5の内部に配置されている。ゲート電極82は、側面3および底面4に対向する。ゲート電極82の一部が第1主面1に対向してもよい。ゲート電極82は、ゲートトレンチ5と同様に、Y軸方向に延びる。第1主面1に垂直な平面視で、ゲート電極82が複数のゲートトレンチ5と重なってもよい。
【0043】
層間絶縁膜83はゲート電極82を覆う。層間絶縁膜83はゲート電極82およびゲート絶縁膜81に接する。層間絶縁膜83は、例えば酸化膜である。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成されている。層間絶縁膜83は、ゲート電極82とソース電極60とを互いに電気的に絶縁している。層間絶縁膜83の一部は、ゲートトレンチ5の内部に設けられていてもよい。層間絶縁膜83の上面は、曲率が連続的に変化する曲面であってもよい。層間絶縁膜83の上面は、ゲートトレンチ5の上方において+Z方向に凸となる曲面であってもよい。
【0044】
層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81には、X軸方向で一定の間隔でコンタクトホール90が形成されている。コンタクトホール90は、X軸方向で隣り合うコンタクトホール90の間にゲートトレンチ5が位置するように配置されている。コンタクトホール90はY軸方向に延びる。コンタクトホール90を通じて、ソース領域13、第1コンタクト領域18Aおよび第2コンタクト領域18Bが層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81から露出している。ソース領域13の一部および第2コンタクト領域18Bの一部が層間絶縁膜83により覆われていてよい。
【0045】
バリアメタル膜84は、層間絶縁膜83の上面と、ゲート絶縁膜81の側面とを覆う。バリアメタル膜84は、層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81の各々と接している。バリアメタル膜84は、例えば窒化チタン(TiN)を含む材料から構成されている。
【0046】
ソース電極60は第1主面1に接する。ソース電極60は、コンタクトホール90内に設けられたコンタクト電極61と、ソース配線62とを有する。コンタクト電極61は、第1主面1において、ソース領域13、第1コンタクト領域18Aおよび第2コンタクト領域18Bに接している。コンタクト電極61は、例えばニッケルシリサイド(NiSi)を含む材料から構成されている。コンタクト電極61が、チタン(Ti)と、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。コンタクト電極61は、ソース領域13、第1コンタクト領域18Aおよび第2コンタクト領域18Bとオーミック接合している。ソース配線62は、バリアメタル膜84の上面および側面と、コンタクト電極61の上面とを覆う。ソース配線62は、バリアメタル膜84およびコンタクト電極61の各々と接している。ソース配線62は、例えばアルミニウムを含む材料から構成されている。
【0047】
ドレイン電極70は第2主面2に接する。ドレイン電極70は、第2主面2において炭化珪素単結晶基板50と接している。ドレイン電極70は、ドリフト領域11と電気的に接続されている。ドレイン電極70は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成されている。ドレイン電極70がチタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。ドレイン電極70は、炭化珪素単結晶基板50とオーミック接合している。
【0048】
炭化珪素単結晶基板50とドリフト領域11との間に、窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有するバッファ層が設けられていてもよい。また、ソース電極60の一部を覆うパッシベーション膜が設けられていてもよい。
【0049】
本開示において、不純物の濃度は、例えば走査型静電容量顕微鏡(scanning capacitance microscope:SCM)を用いて測定できる。
【0050】
第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置100では、第2仮想直線L2に沿って隣り合うゲートトレンチ5の間に少なくとも1個の第1コンタクト領域18Aがある。また、第2仮想直線L2に沿って隣り合う電界緩和領域16の間に、p型を有する第1半導体領域25がある。第1半導体領域25は、第1主面1に垂直な平面視で第1コンタクト領域18Aと重なり、第1コンタクト領域18Aと電界緩和領域16とを電気的にする。このため、第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を通じて電界緩和領域16に電位を付与できる。つまり、第2コンタクト領域18Bおよび接続領域17を通じて電界緩和領域16に電位を付与できるだけでなく、第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を通じて電界緩和領域16に電位を付与できる。従って、電界緩和領域16の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。特に、オン抵抗の低減等のためにゲートトレンチ5のY軸方向の寸法が大きい場合でも、より多くの第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を設けることで、電界緩和領域16の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。
【0051】
第1半導体領域25がボディ領域12またはコンタクト領域18と電界緩和領域16とに直接接することで、電界緩和領域16にコンタクト領域18と同じ電位を付与しやすい。
【0052】
第1コンタクト領域18AがX軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間に局所的に設けられていることで、ソース領域13にコンタクト領域18と同じ電位を付与しやすい。
【0053】
複数の第1コンタクト領域18Aが、第2仮想直線L2に沿って隣り合うゲートトレンチ5の間に局所的に設けられ、第1仮想直線L1に沿って隣り合う第1コンタクト領域18Aの間で、電気的に接続される電界緩和領域16が異なってもよい。この場合、X軸方向で隣り合う第1コンタクト領域18Aの両方が、当該第1コンタクト領域18Aを間に挟む電界緩和領域16の両方に接続される場合と比較して、電流経路を確保しやすく、オン抵抗を低減できる。
【0054】
第1主面1において、第1コンタクト領域18Aと第2コンタクト領域18Bとの間に、ソース領域13があることで、ソース領域13にコンタクト領域18と同じ電位を付与しやすい。
【0055】
第1半導体領域25の下端面25Xが電界緩和領域16の下端面16Xと面一であることで、第1半導体領域25の少なくとも一部、ここでは第2保護領域を電界緩和領域16と同時に形成できる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、接続領域17および第1保護領域21の構成の点で第1実施形態と相違する。
図8は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
図9は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図9は、
図8中のIX-IX線に沿った断面図に相当する。
【0057】
第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置200では、
図8および
図9に示されるように、第1保護領域21のY軸方向の寸法が第1コンタクト領域18AのY軸方向の寸法よりも小さい。第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向において、第1保護領域21の外縁が第1コンタクト領域18Aの外縁の内側にある。また、接続領域17のY軸方向の寸法が第2コンタクト領域18BのY軸方向の寸法よりも小さい。第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向において、接続領域17の外縁が第2コンタクト領域18Bの外縁の内側にある。
【0058】
第2実施形態の他の構成は第1実施形態と同じである。
【0059】
第2実施形態によっても、第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を通じて電界緩和領域16に電位を付与でき、電界緩和領域16の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として、コンタクト領域18、接続領域17および第1保護領域21の構成の点で第1実施形態と相違する。
図10は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置における層間絶縁膜および第1主面の構成を示す図である。
図11は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
図12は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。
図12は、
図10および
図11中のXII-XII線に沿った断面図に相当する。
【0061】
第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置300では、
図10から
図12に示されるように、第1コンタクト領域18Aおよび第1保護領域21のY軸方向の寸法が第2保護領域22のY軸方向の寸法よりも大きい。第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向において、第1コンタクト領域18Aおよび第1保護領域21の各々の外縁が第2保護領域22の外縁の外側にある。また、X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間において、第2コンタクト領域18Bおよび接続領域17のY軸方向の寸法が第3保護領域23のY軸方向の寸法よりも大きい。X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間では、第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向において、第2コンタクト領域18Bおよび接続領域17の各々の外縁が第3保護領域23の外縁の外側にある。
【0062】
第3実施形態の他の構成は第1実施形態と同じである。
【0063】
第3実施形態によっても、第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を通じて電界緩和領域16に電位を付与でき、電界緩和領域16の電位を更に安定させやすく、動作の安定性を更に向上させやすい。
【0064】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、主として、コンタクト領域18の構成の点で第1実施形態と相違する。
図13は、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
図14は、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図14は、
図13中のXIV-XIV線に沿った断面図に相当する。
【0065】
第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置400では、
図13および
図14に示されるように、第1コンタクト領域18AのY軸方向の寸法が第1保護領域21および第2保護領域22の各々のY軸方向の寸法よりも小さい。第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向において、第1コンタクト領域18Aの外縁が第1保護領域21および第2保護領域22の各々の外縁の内側にある。また、第2コンタクト領域18BのY軸方向の寸法が接続領域17および第3保護領域23のY軸方向の寸法がよりも小さい。第1主面1に垂直な平面視で、Y軸方向において、第2コンタクト領域18Bの外縁が接続領域17および第3保護領域23の各々の外縁の内側にある。
【0066】
第4実施形態の他の構成は第1実施形態と同じである。
【0067】
第4実施形態によっても、第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を通じて電界緩和領域16に電位を付与でき、電界緩和領域16の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。
【0068】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、主として、コンタクト領域18の構成の点で第1実施形態と相違する。
図15は、第5実施形態に係る炭化珪素半導体装置における電界緩和領域の上端面を含む面の構成を示す図である。
図16は、第5実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図16は、
図15中のXVI-XVI線に沿った断面図に相当する。
【0069】
第5実施形態に係る炭化珪素半導体装置500では、
図15および
図16に示されるように、第1コンタクト領域18AのY軸方向の両端部の各々が第2コンタクト領域18Bにつながっている。つまり、第1コンタクト領域18Aは、X軸方向で隣り合うゲートトレンチ5の間に、第1仮想直線L1に沿う方向の全体に設けられている。第1主面1に垂直な平面視で、コンタクト領域18は格子状の形状を有する。
【0070】
第5実施形態の他の構成は第1実施形態と同じである。
【0071】
第5実施形態によっても、第1コンタクト領域18Aおよび第1半導体領域25を通じて電界緩和領域16に電位を付与でき、電界緩和領域16の電位を安定させ、動作の安定性を向上できる。また、第5実施形態によれば、コンタクト領域18が広範囲に形成されているため、n型のソース領域13の抵抗が高く、短絡電流を抑制し、短絡耐量を向上できる。
【0072】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 第1主面
2 第2主面
3 側面
4 底面
5 ゲートトレンチ
10 炭化珪素基板
11 ドリフト領域
12 ボディ領域
13 ソース領域
16 電界緩和領域
16X 下端面
17 接続領域
18 コンタクト領域
18A 第1コンタクト領域
18B 第2コンタクト領域
21 第1保護領域
22 第2保護領域
23 第3保護領域
25 第1半導体領域
25X 下端面
40 炭化珪素エピタキシャル層
50 炭化珪素単結晶基板
60 ソース電極
61 コンタクト電極
62 ソース配線
70 ドレイン電極
81 ゲート絶縁膜
82 ゲート電極
83 層間絶縁膜
84 バリアメタル膜
90 コンタクトホール
100、200、300、400、500 炭化珪素半導体装置
L1 第1仮想直線
L2 第2仮想直線