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特開2024-124060通知指示装置、通知システム、通知指示方法および通知指示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124060
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】通知指示装置、通知システム、通知指示方法および通知指示プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/02 20180101AFI20240905BHJP
【FI】
H04W4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031970
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 和子
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA35
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】群衆の混雑による事故を低減するための情報を、より容易に通知することを可能にする。
【解決手段】
通知指示装置が、セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象のセルとして設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得し、前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知し、混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG(No Good)数を、混雑の検知対象として設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得する取得部と、
前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知する検知部と、
混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する指示部と、
を備える通知指示装置。
【請求項2】
前記取得部は、RRC (Radio Resource Control) connection failureに関する情報を、前記在圏NG数として取得する、
請求項1に記載の通知指示装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記検知対象セルについての前記在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する、
請求項1または請求項2に記載の通知指示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の通知指示装置と、
前記検知対象運用基地局と、
前記通知対象運用基地局と
を備える通知システム。
【請求項5】
セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象として設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得し、
前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知し、
混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する、
通知指示方法。
【請求項6】
RRC connection failureに関する情報を、前記在圏NG数として取得する、
請求項5に記載の通知指示方法。
【請求項7】
前記検知対象セルについての前記在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する、
請求項5または請求項6に記載の通知指示方法。
【請求項8】
コンピュータに、
セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象として設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得する取得機能と、
前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知する検知機能と、
混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する指示機能と、
を実現させる通知指示プログラム。
【請求項9】
前記取得機能は、RRC connection failureに関する情報を、前記在圏NG数として取得する、
請求項8に記載の通知指示プログラム。
【請求項10】
前記検知機能は、前記検知対象セルについての前記在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する、
請求項8または請求項9に記載の通知指示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知指示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人で混雑している場所では、将棋倒しなど、混雑に起因する事故が発生する危険性がある。混雑に起因する事故は、群衆事故や雑踏事故と呼ばれることもある。ソウル梨泰院雑踏事故や明石花火大会歩道橋事故のような事故も発生している。しかし、混雑の中にいる人は、混雑によって、周りを視認しづらい。また、群衆の声や、周辺の音楽等により、拡声器を使ったアナウンスも聞こえにくい。そのため、混雑の中にいる人は、周りの状況を把握しにくいので、危険が迫っていることを知らずに行動してしまい、その結果、事故が発生してしまう危険性がある。
【0003】
これに関連して、問題事象による事故を低減するための方法として、特許文献1に記載の方法がある。特許文献1には、問題事象が発生したエリアに在圏している通信端末に対して、誘導情報を通知する方法について記載されている。
【0004】
また、本発明の関連技術としては、特許文献2及び非特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-128787号公報
【特許文献2】特開2016-220164号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 32.425 V10.5.0 (2011-06), "3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Telecommunication management; Performance Management (PM); Performance measurements Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN)(Release 10)"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、問題事象を検知したいエリアの周辺に設置されたカメラによって撮影された画像に基づいて、問題事象が検知されている。この方法では、問題事象の検知のためにカメラを設置する必要があるので、設置の手間がかかる。また、夜間や暗い場所では、問題事象の検知の精度が低下する可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、群衆の混雑による事故を低減するための情報を、より容易な方法で通知することを可能にする通知指示装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、通知指示装置は、セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象のセルとして設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得する取得部と、前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知する検知部と、混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する指示部と、を備える。
【0010】
また、本発明の他の態様において、通知指示方法は、セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象のセルとして設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得し、前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知し、混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する。
【0011】
また、本発明の他の態様において、通知指示プログラムは、コンピュータに、セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象のセルとして設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得する取得機能と、前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知する検知機能と、混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する指示機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、群衆の混雑による事故を低減するための情報を、より容易な方法で通知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の実施形態の通知指示装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第一の実施形態の通知指示装置の動作フローの例を示す図である。
図3】本発明の第二の実施形態の通知指示装置を含む通知システムの構成例を示す図である。
図4】本発明の第二の実施形態の通知指示装置の構成例を示す図である。
図5】本発明の第二の実施形態におけるセルの配置例を示す図である。
図6】本発明の第二の実施形態における混雑検知条件の例を示す図である。
図7】本発明の第二の実施形態における通知対象セルおよび推奨情報の例を示す図である。
図8】本発明の第二の実施形態の通知指示装置、基地局および無線通信端末の動作フローの例を示す図である。
図9】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。第一の実施形態における通知指示装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施形態における通知指示装置20である。
【0015】
図1に、本実施形態の通知指示装置10の構成例を示す。通知指示装置10は、取得部11、検知部12および指示部13を含む。取得部11は、検知部12に接続する。検知部12は、指示部13に接続する。
【0016】
取得部11は、検知対象運用基地局から、検知対象セルについての在圏NG(No Good)数を取得する。検知対象セルは、混雑の検知対象として設定されたセルである。在圏NG数は、セルに接続できなかった無線通信端末の数である。検知対象運用基地局は、検知対象セルを運用する基地局である。
【0017】
検知部12は、在圏NG数に基づいて、検知対象セルにおける混雑の発生を検知する。
【0018】
指示部13は、混雑の発生が検知された場合に、通知対象運用基地局に対して、通知対象セルに在圏している無線通信端末へ推奨情報を通知するように指示する。推奨情報は、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、利用者に推奨する事項を示す情報である。通知対象セルは、推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである。通知対象運用基地局は、通知対象セルを運用する基地局である。
【0019】
次に、図2に、本実施形態の通知指示装置10の動作フローの例を示す。
【0020】
取得部11は、検知対象運用基地局から、検知対象セルについての在圏NG数を取得する(ステップS101)。
【0021】
検知部12は、在圏NG数に基づいて、検知対象セルにおける混雑の発生を検知する(ステップS102)。
【0022】
指示部13は、混雑の発生が検知された場合に、通知対象運用基地局に対して、通知対象セルに在圏している無線通信端末へ推奨情報を通知するように指示する(ステップS103)。
【0023】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、通知指示装置10は、取得部11、検知部12および指示部13を含む。取得部11は、検知対象運用基地局から、検知対象セルについての在圏NG数を取得する。検知対象セルは、混雑の検知対象として設定されたセルである。在圏NG数は、セルに接続できなかった無線通信端末の数である。検知対象運用基地局は、検知対象セルを運用する基地局である。検知部12は、在圏NG数に基づいて、検知対象セルにおける混雑の発生を検知する。指示部13は、混雑の発生が検知された場合に、通知対象運用基地局に対して、通知対象セルに在圏している無線通信端末へ推奨情報を通知するように指示する。推奨情報は、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、利用者に推奨する事項を示す情報である。通知対象セルは、推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである。通知対象運用基地局は、通知対象セルを運用する基地局である。
【0024】
これにより、通知指示装置10は、在圏NG数に基づいて混雑を検知するので、より容易な方法で混雑を検知して推奨情報を通知することができる。そのため、群衆の混雑による事故を低減するための情報を、より容易な方法で通知することが可能になる。
【0025】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態における通知指示装置10の具体的な一例が、第二の実施形態における通知指示装置20である。
【0026】
図3に、本実施形態の通知指示装置20を含む通知システム60の構成例を示す。通知システム60は、通知指示装置20と基地局40Aと基地局40Bとを含む。通知指示装置20は、基地局40Aおよび基地局40Bの各々と互いに接続される。なお、図3の構成例では、通知システム60に二つの基地局が含まれているが、通知システム60に含まれる基地局の数は、二に限られず、一または二以上の複数であってもよい。
【0027】
基地局40Aおよび基地局40Bは、無線通信端末50に対する無線通信サービスを提供する。基地局40Aおよび基地局40Bは、たとえば、フェムトセルや、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントなどである。なお、本実施形態では、一つの基地局が、一または二以上の複数のセルを運用できるとする。また、以降、基地局40Aおよび基地局40Bをまとめて基地局40と呼ぶことがある。
【0028】
通知指示装置20は、有線または無線で基地局40に接続する。通知指示装置20は、基地局40の少なくともいずれかに対して、無線通信端末50へ推奨情報を通知するように指示する。推奨情報について、また、通知については、後述する。
【0029】
無線通信端末50-i(iは、1からNの整数)は、基地局40が提供する無線通信サービスを利用可能な端末である。以降、無線通信端末50-1~50-Nをまとめて、無線通信端末50と呼ぶことがある。無線通信端末50は、たとえば、携帯電話やスマートフォンなどである。また、無線通信端末50は、たとえば、電車やバスなどの公共交通機関や警察に備えられた端末であってもよい。
【0030】
次に、図4に、本実施形態の通知指示装置20の構成例を示す。通知指示装置20は、取得部21、検知部22および指示部23を含む。検知部22は、取得部21に接続する。指示部23は、検知部22に接続する。
【0031】
なお、本実施形態では、セルが図5のように配置されていることを前提とする。図5は、セルの配置例を示す図である。図5の例では、基地局40Aによって運用されるセルが3つ、また、基地局40Bによって運用されるセルが2つある。
【0032】
取得部21は、検知対象セルを運用する基地局から、検知対象セルについての在圏NG数を取得する。検知対象セルは、混雑の検知対象のセルである。在圏NG数は、セルに接続できなかった無線通信端末の数である。より具体的には、取得部21は、たとえば、非特許文献1に記載のRRC (Radio Resource Control) connection failureに関する情報を、在圏NG数として取得してもよい。なお、検知対象セルを運用する基地局のことを、以降、検知対象運用基地局と呼ぶことがある。
【0033】
検知対象セルの数は、一または二以上の複数であってもよい。検知対象セルは、あらかじめ通知指示装置20に対して設定されている。本実施形態では、検知対象セルは、基地局40Aによって運用されるセルa1~a3であるとする。また、このとき、検知対象運用基地局は、基地局40Aである。そのため、取得部21は、基地局40Aから、セルa1~a3についての在圏NG数を取得する。
【0034】
検知部22は、取得部21によって取得された在圏NG数に基づいて、検知対象セルにおける混雑の発生を検知する。具体的には、検知部22は、検知対象セルについての在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する。混雑検知条件は、在圏NG数に関し、混雑が発生したと検知する条件である。混雑検知条件は、検知対象セルの各々について、あらかじめ通知指示装置20に対して設定され、通知指示装置20の内部または外部の記憶手段(不図示)に記憶されている。
【0035】
図6に、混雑検知条件の例を示す。図6の例の場合、基地局40Aのセルa1~a3のいずれについても、「5分間の在圏NG数が100を超過した場合」という混雑検知条件が設定されている。
【0036】
指示部23は、混雑の発生が検知された場合に、通知対象セルを運用する基地局に対して、通知対象セルに在圏している無線通信端末へ推奨情報を通知するように指示する。推奨情報は、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、利用者に推奨する事項を示す情報である。通知対象セルは、推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである。なお、通知対象セルを運用する基地局のことを、通知対象運用基地局と呼ぶことがある。
【0037】
推奨情報は、検知対象セルの各々について、あらかじめ通知指示装置20に対して設定され、通知指示装置20の内部または外部の記憶手段に記憶されている。
【0038】
図7に、推奨情報の例を示す。図7の例は、検知対象セルの一つである、基地局40Aのセルa1についての、推奨情報の例である。この例の場合、基地局40Aのセルa1が混雑発生セルである場合、推奨情報の通知対象セルは、基地局40Aのセルa1~a3、および、基地局40Bのセルb1~b2である。また、通知対象セルの各々について、推奨情報が設定されている。このとき、通知対象運用基地局は、基地局40Aおよび基地局40Bである。
【0039】
より具体的には、たとえば、指示部23は、検知部22によって混雑の発生が検知されると、記憶手段に記憶されている推奨情報を参照して、混雑が発生したセルについての通知対象セルの情報と当該通知対象セルに対応付けられている推奨情報とを取得する。また、指示部23は、通知対象セルの情報と、当該通知対象セルに対応付けられている推奨情報とを、当該通知対象セルを運用する基地局へ送信する。そして、基地局は、通知対象セルに在圏している無線通信端末50へ、推奨情報を通知する。
【0040】
または、指示部23は、通知対象セルの情報と、当該通知対象セルに対応付けられている推奨情報とを、基地局40Aおよび基地局40Bに送信し、通知対象セルを運用する基地局が、通知対象セルに在圏している無線通信端末50へ、推奨情報を通知してもよい。
【0041】
なお、図7の例では、推奨情報の例として、普段から空いている場所や、混雑しているエリアから遠ざかる方向への移動を推奨する情報が挙げられているが、推奨情報は、混雑による事故を低減するように無線通信端末50の利用者を移動させるための情報であれば、これらに限られない。たとえば、推奨情報は、スタジアムや広域避難場所への移動を推奨する情報であってもよい。また、推奨情報は、文字情報や、音声情報や、画像情報、移動先への経路情報などを含んでいてもよい。
【0042】
また、基地局から無線通信端末50に通知される情報には、混雑発生セルの情報が含まれていてもよい。この場合、指示部23は、基地局へ、混雑発生セルの情報を送信する。
【0043】
次に、図8を用いて、通知指示装置20、基地局40および無線通信端末50の動作フローの例について説明する。
【0044】
取得部21は、検知対象セルを運用する基地局から、検知対象セルについての在圏NG数を取得する(ステップS201)。
【0045】
検知部22は、取得部21によって取得された在圏NG数に基づいて、検知対象セルにおける混雑の発生を検知する(ステップS202)。
【0046】
そして、指示部23は、混雑が検知された場合に、混雑が発生したセルについての通知対象セルの情報と、当該通知対象セルに対応付けられている推奨情報とを、通知対象セルを運用する基地局へ送信する(ステップS203)。そして、基地局は、通知対象セルに在圏している無線通信端末50へ、推奨情報を通知する(ステップS204)。
【0047】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、通知指示装置20は、取得部21、検知部22および指示部23を含む。取得部21は、検知対象運用基地局から、検知対象セルについての在圏NG数を取得する。検知対象セルは、混雑の検知対象として設定されたセルである。在圏NG数は、セルに接続できなかった無線通信端末の数である。検知対象運用基地局は、検知対象セルを運用する基地局である。検知部22は、在圏NG数に基づいて、検知対象セルにおける混雑の発生を検知する。指示部23は、混雑の発生が検知された場合に、通知対象運用基地局に対して、通知対象セルに在圏している無線通信端末へ推奨情報を通知するように指示する。推奨情報は、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、利用者に推奨する事項を示す情報である。通知対象セルは、推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである。通知対象運用基地局は、通知対象セルを運用する基地局である。
【0048】
これにより、通知指示装置20は、在圏NG数に基づいて混雑を検知するので、より容易な方法で混雑を検知して推奨情報を通知することができる。そのため、群衆の混雑による事故を低減するための情報を、より容易な方法で通知することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態の通知指示装置20の取得部21は、RRC connection failureに関する情報を、在圏NG数として取得する。これにより、取得部21は、在圏NG数の取得を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態の通知指示装置20の検知部22は、検知対象セルについての在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する。これにより、混雑発生の検知を実現することができる。
【0051】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における通知指示装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、通知指示装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、通知指示装置は、専用の装置として実現してもよい。また、通知指示装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0052】
図9は、本発明の各実施形態の通知指示装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0053】
たとえば、図1の取得部11および指示部13は、通信インタフェース91および演算装置93で実現することが可能である。検知部12は、演算装置93で実現することが可能である。
【0054】
通信インタフェース91は、各実施形態の通知指示装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、通知指示装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0055】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0056】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0057】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0058】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0059】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0060】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0061】
本発明の各実施形態は、たとえば、図9に例示した情報処理装置90により通知指示装置を構成し、この通知指示装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0062】
この場合、通知指示装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、通知指示装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0063】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、通知指示装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう通知指示装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して通知指示装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0064】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0065】
(付記1)
セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象として設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得する取得部と、
前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知する検知部と、
混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する指示部と、
を備える通知指示装置。
【0066】
(付記2)
前記取得部は、RRC (Radio Resource Control) connection failureに関する情報を、前記在圏NG数として取得する、
付記1に記載の通知指示装置。
【0067】
(付記3)
前記検知部は、前記検知対象セルについての前記在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する、
付記1または付記2に記載の通知指示装置。
【0068】
(付記4)
付記1から付記3のいずれかに記載の通知指示装置と、
前記検知対象運用基地局と、
前記通知対象運用基地局と
を備える通知システム。
【0069】
(付記5)
セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象として設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得し、
前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知し、
混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する、
通知指示方法。
【0070】
(付記6)
RRC connection failureに関する情報を、前記在圏NG数として取得する、
付記5に記載の通知指示方法。
【0071】
(付記7)
前記検知対象セルについての前記在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する、
付記5または付記6に記載の通知指示方法。
【0072】
(付記8)
コンピュータに、
セルに接続できなかった無線通信端末の数である在圏NG数を、混雑の検知対象として設定された検知対象セルを含む1以上のセルを運用する検知対象運用基地局から、前記検知対象セルについて取得する取得機能と、
前記在圏NG数に基づいて、前記検知対象セルにおける混雑の発生を検知する検知機能と、
混雑の発生が検知された場合に、無線通信端末の利用者の移動に関する情報であり、かつ、前記利用者に推奨する事項を示す情報である推奨情報を、前記推奨情報の通知対象として混雑が発生したセルに対応付けられているセルである通知対象セルに在圏している無線通信端末へ通知するように、前記通知対象セルを運用する通知対象運用基地局に対して指示する指示機能と、
を実現させる通知指示プログラム。
【0073】
(付記9)
前記取得機能は、RRC connection failureに関する情報を、前記在圏NG数として取得する、
付記8に記載の通知指示プログラム。
【0074】
(付記10)
前記検知機能は、前記検知対象セルについての前記在圏NG数が、あらかじめ設定されている混雑検知条件を満たした場合に、当該検知対象セルの地域にて混雑が発生したと検知する、
付記8または付記9に記載の通知指示プログラム。
【0075】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0076】
10、20 通知指示装置
11、21 取得部
12、22 検知部
13、23 指示部
40A、40B 基地局
50-i、50 無線通信端末
60 通知システム
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体
図1
図2
図3
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図9