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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124067
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】並列供給システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 31/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B29C31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031981
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 和典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】山崎 晃史
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AC01
4F201AC04
4F201AJ08
4F201BA06
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC06
4F201BD05
4F201BQ02
4F201BQ08
4F201BQ14
4F201BQ22
4F201BQ29
4F201BQ32
4F201BQ35
4F201BQ54
4F201BQ57
(57)【要約】
【課題】並列供給システムにおいて、供給機へ原料を充填したときの供給機からの切出量の非定常時でもスクリューコンベアへ安定した量の原料を供給できるようにする。
【解決手段】原料SをスクリューコンベアCの原料投入口C1に第1原料供給ラインL1を介して供給する第1供給機Aと、原料Sを原料投入口C1に第2原料供給ラインL2を介して供給する第2供給機Bとを並列に設け、内部の原料Sが減った供給機に補充ラインL3を介して原料Sを補充する補充機Rとを設ける。補充ラインL3に第1及び第2供給機のうち一方に原料Sを送り出す補充先切換弁V1を設け、第1原料供給ラインL1に第1供給機Aからの原料Sを原料投入口C1に送り出すか、補充機Rに戻すかを切り換える第1供給先切換弁V2を設け、第2原料供給ラインL2に第2供給機Bからの原料Sを原料投入口C1に送り出すか、補充機Rに戻すかを切り換える第2供給先切換弁V3を設ける。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を被供給装置の原料投入口に第1原料供給ラインを介して供給する第1供給機と、
前記第1供給機と並列に設けられ、原料を前記被供給装置の原料投入口に第2原料供給ラインを介して供給する第2供給機と、
前記第1供給機及び前記第2供給機のうち、内部の原料が減った供給機に補充ラインを介して原料を補充する補充機と、
前記補充ラインに設けられ、切り換えられることで、前記第1供給機及び前記第2供給機のうち一方に原料を送り出す補充先切換弁と、
前記第1原料供給ラインに設けられ、前記第1供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第1供給先切換弁と、
前記第2原料供給ラインに設けられ、前記第2供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第2供給先切換弁と、
前記補充先切換弁、前記第1供給先切換弁及び前記第2供給先切換弁を切り換える制御装置とを備える
ことを特徴とする並列供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記補充機から原料を補充中の前記第1供給機及び前記第2供給機の一方からは被供給装置に原料を供給させず、
切出量が安定している、前記第1供給機及び前記第2供給機の他方から被供給装置へ原料を供給するように、
前記補充先切換弁、前記第1供給先切換弁及び前記第2供給先切換弁を切り換えるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の並列供給システム。
【請求項3】
前記補充機は、前記第1供給機及び前記第2供給機の供給量よりも供給量が大きい粉粒体排出機であり、
前記第1供給機及び前記第2供給機は、ホッパ内の原料質量を計測可能な計量器付フィーダであり、計量器からの信号が制御装置に送られるように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の並列供給システム。
【請求項4】
被供給装置は、下流側の混練機に原料を供給するスクリューコンベアである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の並列供給システム。
【請求項5】
原料を被供給装置の原料投入口に第1原料供給ラインを介して供給する第1供給機と、
前記第1供給機と並列に設けられ、原料を前記被供給装置の原料投入口に第2原料供給ラインを介して供給する第2供給機と、
前記第1供給機及び前記第2供給機のうち、内部の原料が減った供給機に補充ラインを介して原料を補充する補充機と、
前記補充ラインに設けられ、切り換えられることで、前記第1供給機及び前記第2供給機のうち一方に原料を送り出す補充先切換弁と、
前記第1原料供給ラインに設けられ、前記第1供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第1供給先切換弁と、
前記第2原料供給ラインに設けられ、前記第2供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第2供給先切換弁とを備えた並列供給システムを準備して、前記補充機、前記第1供給機及び前記第2供給機に原料を補充しておき、
前記並列供給システムの駆動を開始し、
前記第1供給機から原料を前記被供給装置の原料投入口に第1原料供給ラインを介して供給し、
前記第1供給機の原料残量が第1閾値よりも減ると、前記第1供給先切換弁を前記補充機に戻す側に切り換え、前記第2供給先切換弁を、原料を前記原料投入口に送り出す側に切り換え、前記第2供給機から原料を前記原料投入口に供給し、
前記補充先切換弁を前記第1供給機に原料を送り出す側に切り換えて原料を前記第1供給機に補充し、
第1所定時間経過後、前記補充先切換弁を切り換えて前記第1供給機に原料を送り出すのを停止し、
さらに第2所定時間の間、前記第1供給機からの原料を前記補充機に戻すと共に前記第2供給機から原料を前記原料投入口に供給する動作を継続すると、第1供給機からの原料を前記補充機に戻す原料の量が安定し、
さらに前記動作を継続して前記第2供給機の原料残量が第2閾値よりも減ると、前記第2供給先切換弁を前記補充機に戻す側に切り換え、前記第1供給先切換弁を、原料を前記原料投入口に送り出す側に切り換え、前記第1供給機から原料を前記原料投入口に供給し、
前記補充先切換弁を前記第2供給機に原料を送り出す側に切り換えて原料を前記第2供給機に補充し、
第3所定時間経過後、前記補充先切換弁を切り換えて前記第2供給機に原料を送り出すのを停止し、
さらに第4所定時間の間、前記第2供給機からの原料を前記補充機に戻すと共に前記第1供給機から原料を前記原料投入口に供給する動作を継続すると、第2供給機からの原料を前記補充機に戻す原料の量が安定する、
一連の作業を繰り返す
ことを特徴とする並列供給システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の供給機が並列に並べられた、並列供給システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ホッパから混練機へ活物質粉末を供給するための活物質粉末の供給装置が開示されており、この供給装置は、ホッパと接続され、互いに並列な複数本の副供給ラインと、複数本の副供給ラインと接続された円筒容器と、円筒容器の内部に配置され、円筒容器の長さ方向の中心軸と同軸上を回転して活物質粉末を送り出す螺旋型スクリュー部材と、円筒容器と混練機とを接続した主供給ラインと、複数本の副供給ラインにそれぞれ設けられたフィルタと、活物質粉末を通す副供給ラインを選択する選択手段とを備えている。
【0003】
また、ホッパの質量を計測する計測器を有し、ホッパ内の原料が減ると補充機から原料を補充する、いわゆるロスイン制御式の原料供給システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-67398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロスイン制御式の原料供給システムでは、ホッパ内の原料が減ったときに補充機から原料をホッパに充填すると、急激にホッパ内の原料の量が増えてしばらくの間、ホッパからの切出量が一時的に不安定になるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、供給機へ原料を充填したときの供給機からの切出量の非定常時においても、被供給装置へ安定した量の原料を供給できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、少なくとも一方の供給機に原料を補充しているときの非定常な間は、他方の原料を充填していない定常状態の供給機から原料を供給するようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、原料を被供給装置の原料投入口に第1原料供給ラインを介して供給する第1供給機と、
前記第1供給機と並列に設けられ、原料を前記被供給装置の原料投入口に第2原料供給ラインを介して供給する第2供給機と、
前記第1供給機及び前記第2供給機のうち、内部の原料が減った供給機に補充ラインを介して原料を補充する補充機と、
前記補充ラインに設けられ、切り換えられることで、前記第1供給機及び前記第2供給機のうち一方に原料を送り出す補充先切換弁と、
前記第1原料供給ラインに設けられ、前記第1供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第1供給先切換弁と、
前記第2原料供給ラインに設けられ、前記第2供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第2供給先切換弁と、
前記補充先切換弁、前記第1供給先切換弁及び前記第2供給先切換弁を切り換える制御装置とを備える。
【0009】
上記の構成によると、制御装置によって切換弁を適宜切り換えることにより、補充機から一方の供給機へ原料を補充したことによる、切出量が不安定になる間は、他方の供給機から被供給装置に原料を供給することで、継続して安定した量の原料を被供給装置に供給することができる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
前記制御装置は、
前記補充機から原料を補充中の前記第1供給機及び前記第2供給機の一方からは被供給装置に原料を供給させず、
切出量Y1が安定している、前記第1供給機及び前記第2供給機の他方から被供給装置へ原料を供給するように、
前記補充先切換弁、前記第1供給先切換弁及び前記第2供給先切換弁を切り換えるように構成されている。
【0011】
上記の構成によると、各切換弁を適宜切り換える簡単な制御により、継続して被供給装置に安定した量の原料を供給することができる。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
前記補充機は、前記第1供給機及び前記第2供給機の供給量よりも供給量が大きい粉粒体排出機であり、
前記第1供給機及び前記第2供給機は、ホッパ内の原料質量を計測可能な計量器付フィーダであり、計量器からの信号が制御装置に送られるように構成されている。
【0013】
上記の構成によると、供給量の大きな補充機を用いることで、補充時間を短くでき、非定常な時間帯をできるだけ短くすることができる。また、計量器を各供給機が有することで、ホッパ内の原料質量が随時制御装置に伝えられるので、計測値に合わせて正確な制御を行える。
【0014】
第4の発明では、第1又は第2の発明において、
被供給装置は、下流側の混練機に原料を供給するスクリューコンベアである。
【0015】
上記の構成によると、安定した量の原料がスクリューコンベアに提供されるので、その下流側の混練機に供給される原料の供給量が安定し、混練機において安定した品質の高い混練を行える。
【0016】
第5の発明では、原料を被供給装置の原料投入口に第1原料供給ラインを介して供給する第1供給機と、
前記第1供給機と並列に設けられ、原料を前記被供給装置の原料投入口に第2原料供給ラインを介して供給する第2供給機と、
前記第1供給機及び前記第2供給機のうち、内部の原料が減った供給機に補充ラインを介して原料を補充する補充機と、
前記補充ラインに設けられ、切り換えられることで、前記第1供給機及び前記第2供給機のうち一方に原料を送り出す補充先切換弁と、
前記第1原料供給ラインに設けられ、前記第1供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第1供給先切換弁と、
前記第2原料供給ラインに設けられ、前記第2供給機からの原料を前記原料投入口に送り出すか、前記補充機に戻すかを切り換える第2供給先切換弁とを備えた並列供給システムの制御方法を対象とする。
【0017】
そして、前記制御方法では、
前記並列供給システムを準備して、前記補充機、前記第1供給機及び前記第2供給機に原料を補充しておき、
前記並列供給システムの駆動を開始し、
前記第1供給機から原料を前記被供給装置の原料投入口に第1原料供給ラインを介して供給し、
前記第1供給機の原料残量が第1閾値よりも減ると、前記第1供給先切換弁を前記補充機に戻す側に切り換え、前記第2供給先切換弁を、原料を前記原料投入口に送り出す側に切り換え、前記第2供給機から原料を前記原料投入口に供給し、
前記補充先切換弁を前記第1供給機に原料を送り出す側に切り換えて原料を前記第1供給機に補充し、
第1所定時間経過後、前記補充先切換弁を切り換えて前記第1供給機に原料を送り出すのを停止し、
さらに第2所定時間の間、前記第1供給機からの原料を前記補充機に戻すと共に前記第2供給機から原料を前記原料投入口に供給する動作を継続すると、第1供給機からの原料を前記補充機に戻す原料の量が安定し、
さらに前記動作を継続して前記第2供給機の原料残量が第2閾値よりも減ると、前記第2供給先切換弁を前記補充機に戻す側に切り換え、前記第1供給先切換弁を、原料を前記原料投入口に送り出す側に切り換え、前記第1供給機から原料を前記原料投入口に供給し、
前記補充先切換弁を前記第2供給機に原料を送り出す側に切り換えて原料を前記第2供給機に補充し、
第3所定時間経過後、前記補充先切換弁を切り換えて前記第2供給機に原料を送り出すのを停止し、
さらに第4所定時間の間、前記第2供給機からの原料を前記補充機に戻すと共に前記第1供給機から原料を前記原料投入口に供給する動作を継続すると、第2供給機からの原料を前記補充機に戻す原料の量が安定する、
一連の作業を繰り返す。
【0018】
上記の構成によると、制御装置によって切換弁を適宜切り換えることにより、補充機から一方の供給機へ原料を補充したことによる、切出量が不安定になる間は、他方の供給機から被供給装置に原料を供給することで、継続して安定した量の原料を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、供給機へ原料を充填したときの、その供給機からの切出量の非定常時においても、切出量が定常の他方の供給機から原料を供給することにより、継続して被供給装置へ安定した量の原料を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】並列供給システムの第1工程を示す図である。
図1B】並列供給システムの第2工程を示す図である。
図1C】並列供給システムの第3工程を示す図である。
図1D】並列供給システムの第4工程を示す図である。
図1E】並列供給システムの第5工程を示す図である。
図1F】並列供給システムの第6工程を示す図である。
図1G】並列供給システムの第7工程を示す図である。
図1H】並列供給システムの第8工程を示す図である。
図1I】並列供給システムの第9工程を示す図である。
図1J】並列供給システムの第10工程を示す図である。
図1K】並列供給システムの第11工程を示す図である。
図2】第1供給機、第2供給機及び補充機の切出量を示すタイムチャートである。
図3】並列供給システムの制御構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1A図1Kに本発明の実施形態にかかる並列供給システム1の工程1~工程11を示す。本実施形態の並列供給システム1は、第1供給機Aと第2供給機Bとを並列に備えている。
【0023】
第1供給機Aは、原料Sを被供給装置としてのスクリューコンベアCの原料投入口C1に中空配管等よりなる第1原料供給ラインL1を介して供給する役割をする。なお、被供給装置は、スクリューコンベアに限定されない。
【0024】
第2供給機Bは、第1供給機Aと並列に設けられ、原料SをスクリューコンベアCの原料投入口C1に中空配管等よりなる第2原料供給ラインL2を介して供給する役割をする。図3にも示すように、第1供給機A及び第2供給機Bは、それぞれの内部ホッパ内の原料質量を計測可能な計量器としての第1及び第2ロードセルWA,WBをそれぞれ有する計量器付フィーダであり、第1及び第2ロードセルWA,WBの計測値は、第1及び第2フィーダコントローラ4A,4Bを介して後述する制御装置としてのPLC2に常時又は所定の間隔で送信されるようになっている。第1供給機A及び第2供給機Bは、原料Sの残量を検出するレベル計を有しており、それぞれ下限値としての第1閾値TH1及び第2閾値TH2をそれぞれ検出可能になっており、その検出信号がPLC2に送信されるようになっている。PLC2は、第1及び第2フィーダコントローラ4A,4Bにそれぞれ信号を送り、第1供給機A及び第2供給機Bから原料Sを切り出すように、第1及び第2切出モータMA,MBを回転させるように構成されている。第1供給機A及び第2供給機Bは、並列に設けられているが、本実施形態では、同時に両方の供給機から原料を供給することはない。原料投入口C1に送り込む供給量を安定させるために、第1供給機A及び第2供給機Bの定常時の切出量Y1は等しくなるように設定されている。
【0025】
スクリューコンベアCは、例えば、下流側の二軸連続式混練機に原料Sを供給するスクリューコンベアである。供給される原料に合わせ、スクリューコンベアCの下流側にどのような装置が設けられていてもよい。
【0026】
並列供給システム1には、第1供給機A及び第2供給機Bの上流側に補充機Rを備えている。この補充機Rは、内部の原料Sが減った方の第1供給機A又は第2供給機Bに、中空配管等よりなる補充ラインL3を介して原料Sを補充する役割を有する。補充機Rは、第1供給機A及び第2供給機Bの供給量よりも供給量が大きい粉粒体排出機であり、例えば10倍程度の原料を補充できるように構成されている。
【0027】
この補充ラインL3には、切り換えられることで、第1供給機A及び第2供給機Bのうち一方に原料Sを送り出す補充先切換弁V1が設けられている。補充先切換弁V1は、詳しくは図示しないが、例えば、T字型などの分岐管と、その内部に配置される弁体と、弁体を開閉するアクチュエータと、アクチュエータに高圧エア又は高圧油を送り込む電磁弁とを備えている。このアクチュエータは、例えば、エアモータ、エアシリンダ、油圧モータ、油圧シリンダ等で構成される。
【0028】
第1原料供給ラインL1には、第1供給機Aからの原料Sを原料投入口C1に送り出すか、第1戻しラインR1を介して補充機Rに戻すかを切り換える第1供給先切換弁V2が設けられている。
【0029】
同様に第2原料供給ラインL2には、第2供給機Bからの原料Sを原料投入口C1に送り出すか、第2戻しラインR2を介して補充機Rに戻すかを切り換える第2供給先切換弁V3が設けられている。
【0030】
第1供給先切換弁V2及び第2供給先切換弁V3も、それぞれ、例えば、分岐管、その内部に配置される弁体と、弁体を開閉するアクチュエータと、アクチュエータに高圧エア又は高圧油を送り込む電磁弁とを備えている。このアクチュエータも、例えば、エアモータ、エアシリンダ、油圧モータ、油圧シリンダ等で構成される。第1供給先切換弁V2及び第2供給先切換弁V3は、補充先切換弁V1よりも供給量が少ないので、弁のサイズもアクチュエータのサイズも、補充先切換弁V1に比べると小さくてよい。
【0031】
補充先切換弁V1、第1供給先切換弁V2及び第2供給先切換弁V3の電磁切換弁は、制御装置としてのプログラマブルロジックコントローラ(PLC2)によって適宜切り換えられることで、補充先切換弁V1、第1供給先切換弁V2及び第2供給先切換弁V3が開閉制御されるようになっている。
【0032】
図3に示すように、このPLC2は、後述するように、補充機Rから原料Sを補充中の第1供給機A及び第2供給機Bの一方からはスクリューコンベアCに原料Sを供給させず、切出量Y1が安定している、第1供給機A及び第2供給機Bの他方からスクリューコンベアCへ原料Sを供給するように、補充先切換弁V1、第1供給先切換弁V2及び第2供給先切換弁V3を適宜切り換えるように構成されている。なお、PLC2、第1及び第2モータコントローラ3A,3B、第1及び第2フィーダコントローラ4A,4Bへは、電源Pから電源が供給されるようになっている。
【0033】
次いで、本発明の実施形態にかかる並列供給システム1の制御方法について説明する。細かい説明は省略するが、各制御は、PLC2、第1及び第2モータコントローラ3A,3B、第1及び第2フィーダコントローラ4A,4B等によって行われる。
【0034】
まず、上述した並列供給システム1を準備する。
【0035】
そして、補充機R、第1供給機A及び第2供給機Bに適量の原料Sを補充する。原料Sは特に限定されない。例えば、各種用途によって異なり、エンジニアリングプラスチックの重合・反応ではポリアセタール、ポリアミド、ポリウレタン等、プラスチックの混練ではエポキシ、ポリアミド、ポリエステル等、化学工業製品の混練では、シーリング材、粉体塗料等、食品工業の混ぜ・練り・すりつぶしでは、チョコレート、キャンディ等、電子部品の混練では電池原料、セラミックス系、カーボン系、EMC等である。
【0036】
並列供給システム1の駆動を開始すると、図1A及び図2に示すように、第1工程では、第1供給先切換弁V2を送出側に切り換えて第1供給機Aから原料SをスクリューコンベアCの原料投入口C1に第1原料供給ラインL1を介して供給する。図2(a)に示すように、供給量(切出量)は、1時間当たり所定のY1 kg/hrとする。このとき、第2供給先切換弁V3は、戻し側に切り換えられており、原料が第2戻りラインR2を介して切出量Y1で補充機Rに戻されている。補充先切換弁V1は閉じられている。図2(c)に示すように、スクリューコンベアCに送り出される供給量もY1で一定である。
【0037】
この状態を継続すると、図1Bに第2工程を示すように、第1供給機Aのホッパ内の原料Sが減ると共に、第2供給機Bのホッパ内の原料Sも徐々に減る。図2(a)に示すように、スクリューコンベアCに送り出される供給量は、依然としてY1で一定が保たれている。
【0038】
図1Cに第3工程を示すように、第1供給機Aの原料Sの残量が第1閾値TH1よりも減ると、第1供給先切換弁V2を第1戻しラインR1を介して補充機Rに戻す側に切り換え、第2供給先切換弁V3を、原料Sを原料投入口C1に送り出す側に切り換え、第2供給機Bから原料Sを原料投入口C1に供給する。図2(b)に示すように、供給量(切出量)は、1時間当たり所定のY1 kg/hrとする。図2(c)に示すように、スクリューコンベアCに送り出される供給量もY1で一定である。
【0039】
図1Dに第4工程を示すように、補充先切換弁V1を第1供給機Aに原料Sを送り出す側に切り換えて原料Sを第1供給機Aに補充する。このときの切出量Y2 kg/hrは、例えばY1の10倍程度である。このとき、第1供給機Aのホッパ内には大量の原料Sが一気に投入されるので、第1供給先切換弁V2から切り出される原料Sの量Y3は不安定となり、Y1よりも多くなったり少なくなったりする。
【0040】
図1Eに第5工程を示すように、第1所定時間経過後、第1供給機Aのホッパ内に原料Sが十分に充填されており、補充先切換弁V1を切り換えて第1供給機Aに原料Sを送り出すのを停止する。停止後もしばらくの間、第1供給先切換弁V2から切り出される原料Sの量Y3は不安定である。第1所定時間は、補充機Rの切出量Y2と第1供給機Aのホッパへの補充量によって決まる。
【0041】
さらに第2所定時間の間、図1Fに第6工程を示すように、第1供給機Aからの原料Sを切出量Y1で第1戻しラインR1を介して補充機Rに戻すと共に第2供給機Bから原料Sを原料投入口C1に切出量Y1で供給する動作を継続する。しばらくすると、第1供給機Aからの原料Sを補充機Rに戻す切出量がY1となって安定する。図2(c)に示すように、スクリューコンベアCに送り出される供給量もY1で一定である。第2所定時間は、第1供給先切換弁V2から第1戻しラインR1に向かって切り出される原料Sの量Y3が非定常から定常に戻る時間で決まる。
【0042】
図1Gに第7工程を示すように、この定常動作をさらに所定時間継続して行うと、第2供給機Bの原料Sの残量が第2閾値TH2よりも減る。
【0043】
すると、図1Hに第8工程を示すように、第2供給先切換弁V3を第2戻しラインR2を介して補充機Rに戻す側に切り換え、第1供給先切換弁V2を、原料Sを原料投入口C1に送り出す側に切り換え、第1供給機Aから原料Sを切出量Y1だけ原料投入口C1に供給する。
【0044】
そして、図1Iに第9工程を示すように、補充先切換弁V1を第2供給機Bに原料Sを送り出す側に切り換えて原料Sを切出量Y2で第2供給機Bに補充する。この間、第2供給機Bのホッパ内には原料が急激に増えて第2戻しラインR2を介して補充機Rに戻す切出量Y3がY1よりも減ったり増えたりして非定常となる。それでも、第1供給機Aからは、原料Sを切出量Y1だけ原料投入口C1に供給される。
【0045】
図1Jに第10工程を示すように、第3所定時間経過後、補充先切換弁V1を切り換えて第2供給機Bに原料Sを送り出すのを停止する。第3所定時間は、第1所定時間と同様に補充機Rの切出量Y2と第1供給機Aのホッパへの補充量によって決まる。
【0046】
図1Kに第11工程を示すように、さらに第4所定時間経過すれば、第2供給機Bから第2戻しラインR2を介して補充機Rに戻す切出量Y3が定常の切出量Y1と等しくなる。第4所定時間は、第2供給先切換弁V3から第2戻しラインR2に向かって切り出される原料Sの量Y3が非定常から定常に戻る時間で決まる。
【0047】
そして、第11工程から第1工程に戻る。これら第1工程から第11工程の一連の作業が繰り返される。その間、図2(a)及び図2(b)に示すように、第1供給機A又は第2供給機Bの切出量Y3が非定常になるときがあるが、それは第1戻しラインR1又は第2戻しラインR2を介して補充機Rに戻される原料であるので、スクリューコンベアCから切り出される切出量には影響はなく、図2(c)に示すように、切出量は、常に定常値のY1に保たれる。
【0048】
このように、本実施形態では、PLC2によって切換弁V1,V2,V3を適宜切り換えることにより、補充機Rから一方の供給機へ原料を補充したことによる、切出量が不安定になる間でも、他方の供給機からスクリューコンベアCに安定した切出量Y1の原料を継続して供給することができる。
【0049】
安定した量の原料がスクリューコンベアに提供されるので、例えば、その下流側の混練機に供給される原料の供給量が安定し、混練機において安定した品質の高い混練を行える。
【0050】
また、供給量の大きな補充機Rを用いることで、補充時間を短くでき、非定常な時間帯を短くすることができる。
【0051】
さらに、第1及び第2ロードセルWA,WBを各供給機A,Bがそれぞれ有することで、ホッパ内の原料質量が随時PLC2に伝えられるので、正確かつ迅速な制御を行える。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、第1供給機A及び第2供給機Bの一方への原料Sの充填時における、第1供給機A及び第2供給機Bの一方からの切出量の非定常時においても、切出量が定常の第1供給機A及び第2供給機Bの他方から継続してスクリューコンベアCへ安定した量の原料Sを供給できる。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0054】
すなわち、上記実施形態では、制御装置の一例として、PLCを説明した。ただし、制御装置は、「並列供給システム1」を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。例えば、制御装置は、マイクロコンピュータ等のように、ソフトウェア(プログラム)を利用するものであってもよい。あるいは、制御装置は、ハードウェア(回路部品)を組み合わせて実現してもよい。
【0055】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 並列供給システム
2 PLC(制御装置)
3A 第1モータコントローラ
3B 第2モータコントローラ
4A 第1フィーダコントローラ
4B 第1フィーダコントローラ
A 第1供給機
B 第2供給機
C スクリューコンベア
C1 原料投入口
R 補充機
R1 第1戻しライン
R2 第2戻しライン
V1 補充先切換弁
V2 第1供給先切換弁
V3 第2供給先切換弁
L1 第1原料供給ライン
L2 第2原料供給ライン
L3 補充ライン
MA 第1切出モータ
MB 第2切出モータ
WA 第1ロードセル(計量器)
WB 第2ロードセル(計量器)
Y1 切出量
Y2 切出量
Y3 切出量
TH1 第1閾値
TH2 第2閾値
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2
図3