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特開2024-124072半導体装置の製造方法、および基板の分離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124072
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、および基板の分離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240905BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240905BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240905BHJP
   H10B 41/50 20230101ALI20240905BHJP
   H10B 43/50 20230101ALI20240905BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 C
H10B43/27
H10B41/27
H10B41/50
H10B43/50
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031991
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】住谷 まり子
(72)【発明者】
【氏名】大久保 拓郎
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA25
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR05
5F083PR40
5F083ZA01
5F101BA02
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】貼合後の基板同士を好適に分離することが可能な半導体装置の製造方法、および基板の分離方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、第1基板上に第1絶縁膜または第1導体層を形成し、前記第1絶縁膜または前記第1導体層上にポーラス層を形成し、前記ポーラス層上に、第1デバイスを含む第1膜を形成し、第2基板上に、第2デバイスを含む第2膜を形成することを含む。前記方法はさらに、前記第1基板と前記第2基板とを、前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層と、前記第1膜と、前記第2膜とを挟むように貼り合わせることを含む。前記方法はさらに、前記第1基板の上方に前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層の第1部分とが残存し、前記第2基板の上方に前記ポーラス層の第2部分が残存するように、前記第1基板と前記第2基板とを分離することを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板上に第1絶縁膜または第1導体層を形成し、
前記第1絶縁膜または前記第1導体層上にポーラス層を形成し、
前記ポーラス層上に、第1デバイスを含む第1膜を形成し、
第2基板上に、第2デバイスを含む第2膜を形成し、
前記第1基板と前記第2基板とを、前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層と、前記第1膜と、前記第2膜とを挟むように貼り合わせ、
前記第1基板の上方に前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層の第1部分とが残存し、前記第2基板の上方に前記ポーラス層の第2部分が残存するように、前記第1基板と前記第2基板とを分離する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1基板と前記第2基板とを分離した後に、前記第1基板から前記第1部分を除去することをさらに含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第1基板からCMP(Chemical Mechanical Polishing)またはウェットエッチングにより除去される、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1絶縁膜または前記第1導体層と前記第1基板とのエッチング選択比は、前記ポーラス層と前記第1基板とのエッチング選択比よりも大きい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ポーラス層は、半導体層である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体層は、p型不純物原子またはn型不純物原子を含む、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記半導体層内の前記p型不純物原子または前記n型不純物原子の濃度は、2.5×1020atoms/cm以上である、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ポーラス層は、陽極化成法により形成される、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ポーラス層の空隙率は、40%以上である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記ポーラス層の厚さは、100~20000nmである、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記ポーラス層の抵抗率は、前記第1基板の抵抗率の2000分の1以下である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1基板の抵抗率は、20~30Ω・cmである、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1絶縁膜は、シリコンを含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1絶縁膜の厚さは、20nm以下である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1導体層は、金属層またはグラファイト層である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1導体層の厚さは、10~100nmである、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1導体層の抵抗率は、0.05Ω・cm以下である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1デバイスは、メモリセルアレイを含み、
前記第2デバイスは、前記メモリセルアレイを制御する回路を含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
第1基板上に第1絶縁膜または第1導体層を形成し、
前記第1絶縁膜または前記第1導体層上にポーラス層を形成し、
前記第1基板と第2基板とを、前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層とを挟むように貼り合わせ、
前記第1基板の上方に前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層の第1部分とが残存し、前記第2基板の上方に前記ポーラス層の第2部分が残存するように、前記第1基板と前記第2基板とを分離する、
ことを含む基板の分離方法。
【請求項20】
前記第1基板と前記第2基板とを分離した後に、前記第1基板から前記第1部分を除去して前記第1基板を再利用することをさらに含む、請求項19に記載の基板の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法、および基板の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある基板を別の基板と貼り合わせて半導体装置を製造する場合、これらの基板を貼合後に分離する場合がある。この場合、これらの基板を好適に分離できる方法を採用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-112880号公報
【特許文献2】特開2022-034881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貼合後の基板同士を好適に分離することが可能な半導体装置の製造方法、および基板の分離方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、第1基板上に第1絶縁膜または第1導体層を形成し、前記第1絶縁膜または前記第1導体層上にポーラス層を形成し、前記ポーラス層上に、第1デバイスを含む第1膜を形成し、第2基板上に、第2デバイスを含む第2膜を形成することを含む。前記方法はさらに、前記第1基板と前記第2基板とを、前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層と、前記第1膜と、前記第2膜とを挟むように貼り合わせることを含む。前記方法はさらに、前記第1基板の上方に前記第1絶縁膜または前記第1導体層と、前記ポーラス層の第1部分とが残存し、前記第2基板の上方に前記ポーラス層の第2部分が残存するように、前記第1基板と前記第2基板とを分離することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体製造装置の構造を示す断面図(1/3)である。
図2】第1実施形態の半導体製造装置の構造を示す断面図(2/3)である。
図3】第1実施形態の半導体製造装置の構造を示す断面図(3/3)である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
図8】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/2)である。
図9】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/2)である。
図10】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図11】第1実施形態の柱状部の構造を示す断面図である。
図12】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図13】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
図14】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
図15】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
図16】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
図17】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
図18】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図18において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1図3は、第1実施形態の半導体製造装置101の構造を示す断面図である。
【0009】
半導体製造装置101は例えば、陽極化成法により基板の表面にポーラス層を形成する陽極化成装置である。図1および図2は、半導体製造装置101の異なる縦断面を示している。図3は、半導体製造装置101の一部分を詳細に示している。
【0010】
図1図3は、互いに垂直なX方向、Y方向、およびZ方向を示している。この明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。さらに、Z方向に平行な方向を上下方向として取り扱い、Z方向に垂直な方向を水平方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0011】
半導体製造装置101は、外容器111と、内容器112と、隔壁113と、下部ホルダ121と、搬送ロボット122と、複数の加圧アーム123と、電極131と、電極132と、電気回路133と、切替回路134とを備えている。搬送ロボット122は、上部ホルダ122a、吊り下げユニット122b、および移動機構122cを備え、上部ホルダ122aは、上側ホルダ141、左側ホルダ142、右側ホルダ143、複数の懸垂アーム144、および係止バー145を備えている。下部ホルダ121、上側ホルダ141、左側ホルダ142、右側ホルダ143はそれぞれ、弾性部材121a、141a、142a、143aを備えている。
【0012】
図1および図2に示すように、外容器111内には内容器112が配置されており、内容器112内には隔壁113が配置されている。その結果、内容器112は、隔壁113内の内槽T1と、隔壁113と内容器112との間の外槽T2と、を含む貯留槽Tを形成している。貯留槽Tは、電解質溶液を貯留している。電解質溶液は、不図示の秤量槽から内槽T1に供給され、隔壁113の上方を通って内槽T1から溢れた電解質溶液は、外槽T2で回収される。内槽T1は、複数の基板Wを収容可能である。これらの基板Wの平面形状は、例えば円形または四角形である。図1に例示する基板Wの平面形状は、四角形となっている。
【0013】
下部ホルダ121は、内槽T1内に配置されている。下部ホルダ121は、搬送ロボット122の上部ホルダ122aと共に、内槽T1内で複数の基板Wを保持する。上部ホルダ122aは、図3に示すように、上側ホルダ141と、左側ホルダ142と、右側ホルダ143とを備えている。各基板Wは、下部ホルダ121、上側ホルダ141、左側ホルダ142、および右側ホルダ143により挟まれて保持される。各基板Wは、弾性部材121a、141a、142a、143aと接するようにして、下部ホルダ121、上側ホルダ141、左側ホルダ142、および右側ホルダ143により保持される。
【0014】
搬送ロボット122は、上部ホルダ122aと、上部ホルダ122aを吊り下げる吊り下げユニット122bと、吊り下げユニット122bを移動させる移動機構122cとを備えている。搬送ロボット122は、吊り下げユニット122bおよび移動機構122cにより、上部ホルダ122aを上下方向および水平方向に移動させることができる。吊り下げユニット122bは、懸垂アーム144および係止バー145を用いて、上側ホルダ141、左側ホルダ142、および右側ホルダ143を移動させることができる。
【0015】
加圧アーム123は、上側ホルダ141を下向きに押圧する。これにより、下部ホルダ121は、左側ホルダ142および右側ホルダ143を介して、上側ホルダ141により押圧される。
【0016】
電極131、132は、内槽T1内に配置されており、下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより保持されている各基板Wを電気的に処理するために使用される。電極131、132は、下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより保持されている複数の基板Wを同時に処理することができる(バッチ処理)。例えば、電極131が陽極で、電極132が陰極の場合には、各基板Wの電極132側の面にポーラス層を形成することができる。
【0017】
電気回路133は、電極131と電極132とに電圧を印加する。電気回路133は例えば、電極131と電極132とに直流(DC)電圧を印加する直流電源を備えている。
【0018】
切替回路134は、電気回路133と電極131、132との間に配置されている。切替回路134は例えば、電気回路133から印加された直流電圧の極性を所定の周期で切り替えることができる。
【0019】
図4図7は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態では、後述するウェハ1とウェハ2とを貼り合わせることで半導体装置を製造する。
【0020】
まず、ウェハ1用の基板11を用意する(図4(a))。基板11は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。基板11の抵抗率は、例えば20~30Ω・cmである。基板11は、第1基板の例である。
【0021】
次に、基板11上に絶縁膜12を形成する(図4(b))。絶縁膜12は、例えばSiO膜(シリコン酸化膜)、SiN膜(シリコン窒化膜)、またはSiCN膜(シリコン炭窒化膜)である。絶縁膜12の厚さは、例えば20nm以下であり、好ましくは5~10nmである。絶縁膜12は、第1絶縁膜の例である。
【0022】
次に、絶縁膜12上にポーラス層(多孔質層)13を形成する(図4(c))。ポーラス層13は例えば、ポーラスポリシリコン層などのポーラス半導体層である。ポーラス層13は例えば、ポーラス層13を形成するための材料層を絶縁膜12上に形成し、材料層に空孔を形成することで形成される。すなわち、ポーラス層13は、材料層をポーラス化(多孔質化)することで形成される。材料層がポリシリコン層(半導体層)の場合には、ポーラス層13はポーラスポリシリコン層(ポーラス半導体層)となる。材料層のポーラス化は例えば、上述の半導体製造装置101内に、絶縁膜12および材料層が形成された基板11をセットし、材料層に陽極化成法を適用することで行われる。これにより、材料層が陽極化成法によりポーラス層13に変化する。
【0023】
ポーラス層13がポーラス半導体層の場合には、ポーラス層13は、p型不純物原子またはn型不純物原子を含んでいてもよい。ポーラス層13内の不純物原子の例は、B(ボロン)原子、P(リン)原子、As(ヒ素)原子、In(インジウム)原子、Ga(ガリウム)原子などである。この場合、ポーラス層13内のp型不純物原子またはn型不純物原子の濃度は、例えば2.5×1020atoms/cm以上である。ポーラス層13は例えば、上述の材料層が不純物原子を含むことで、不純物原子を含み得る。一般に、材料層の抵抗率が低いほど、陽極化成法により材料層をポーラス化しやすい。本実施形態によれば、材料層内の不純物原子の濃度を高く設定することで、材料層の抵抗率を低くすることが可能となり、陽極化成法により材料層をポーラス化しやすくすることが可能となる。
【0024】
ポーラス層13の抵抗率は例えば、基板11の抵抗率の2000分の1以下である。具体的には、ポーラス層13の抵抗率は例えば、0.01Ω・cm程度である。このような低い抵抗率は例えば、ポーラス層13内の不純物原子の濃度を調整することで実現可能である。ポーラス層13の厚さは、例えば100~20000nmである。ポーラス層13の空隙率(porosity)は、例えば40%以上であり、好ましくは50%以上である。ポーラス層13の空隙率は、例えば、ポーラス層13における単位面積あたりの空孔の割合を表したものである。ポーラス層13の空隙率は、例えば分光エリプソメトリまたはガス吸着法により測定可能である。ガス吸着法で使用するガスは、例えばKr(クリプトン)ガスまたはN(窒素)ガスである。
【0025】
なお、陽極化成法を行う際には、基板11、絶縁膜12、および上述の材料層内を電荷が移動する。よって、絶縁膜12が電荷の移動を阻害しないように、絶縁膜12の厚さを薄くすることが望ましい。そのため、絶縁膜12の厚さは、例えば20nm以下に設定され、好ましくは5~10nmに設定される。
【0026】
また、本実施形態の陽極化成法は、例えば次のような条件下で行われる。電流密度は、例えば132mA/cmである。使用される電解質溶液は、例えばHF(フッ化水素)およびHO(水)を1:3.8で含む液体である。なお、電解質溶液は、HF、HO、およびCOH(エタノール)を含む液体でもよい。処理時間は、例えば20秒である。本実施形態によれば、基板11ではなく上述の材料層をポーラス化することで、高い抵抗率を有する基板11を使用する場合でも、陽極化成法によるポーラス化を容易に行うことが可能となる。
【0027】
次に、ポーラス層13上に拡散防止層14を形成する(図5(a))。拡散防止層14は、ポーラス層13から、のちに拡散防止層14上に形成される層への、不純物原子の拡散を防止するために形成される。拡散防止層14は、例えばSiO膜、SiN膜、またはAlOx膜(アルミニウム酸化膜)である。拡散防止層14の厚さは、例えば10~100nmである。
【0028】
次に、拡散防止層14上にデバイス層15を形成する(図5(b))。デバイス層15は、本実施形態の半導体装置の構成要素であるデバイスを含む層である。デバイス層15は、このようなデバイスとして、例えば3次元メモリのメモリセルアレイを含んでいる。デバイス層15は第1膜の例であり、上記デバイスは第1デバイスの例である。
【0029】
次に、ウェハ2用の基板16を用意し、基板16上にデバイス層17を形成する(図5(c))。基板16は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。基板16は、第2基板の例である。デバイス層17は、本実施形態の半導体装置の構成要素であるデバイスを含む層である。デバイス層17は、このようなデバイスとして、例えば上記メモリセルアレイの動作を制御する回路を含んでいる。デバイス層17は第2膜の例であり、上記デバイスは第2デバイスの例である。
【0030】
次に、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせる(図6(a))。具体的には、基板11と基板16とを、絶縁膜12、ポーラス層13、拡散防止層14、デバイス層15、およびデバイス層17を挟むように貼り合わせる。これにより、デバイス層15とデバイス層17とが互いに接するように、基板11と基板16とが貼り合わされる。なお、デバイス層15とデバイス層17は、互いに接するように対向する代わりに、別の層を介して対向していてもよい。図6(a)では、ウェハ1の上下の向きを反転させて、ウェハ1をウェハ2に貼り合わせている。
【0031】
図6(a)は、ウェハ1とウェハ2とを含む積層構造を示している。この積層構造は、のちのダイシング工程により複数のチップに分割される。各チップは、例えば3次元メモリである。この積層構造、およびダイシング後の各チップは、半導体装置の例である。
【0032】
次に、貼り合わせたウェハ1とウェハ2とを分離する(図6(b))。ただし、本実施形態のウェハ1とウェハ2は、デバイス層15とデバイス層17との界面ではなく、ポーラス層13内の面を境に分離される。図6(b)は、ポーラス層13の一部であるポーラス層13aと、ポーラス層13の残りの一部であるポーラス層13bとを示している。本実施形態のウェハ1とウェハ2は、ポーラス層13がポーラス層13aとポーラス層13bとに分割されるように分離される。ポーラス層13aは第1部分の例であり、ポーラス層13bは第2部分の例である。
【0033】
本実施形態では、図6(a)の工程で貼り合わされた基板11と基板16が、図6(b)の工程で分離される。この際、ポーラス層13は、上述のようにポーラス層13aとポーラス層13bとに分割される。その結果、基板11上に絶縁膜12とポーラス層13aとが残存し、基板16上にデバイス層17、デバイス層15、拡散防止層14、およびポーラス層13bが残存する。
【0034】
別言すると、図6(b)の工程では、基板11が、絶縁膜12およびポーラス層13aと共に、基板16から剥離される。この際の剥離面は、ポーラス層13内の面、すなわち、ポーラス層13aとポーラス層13bとの間の面である。
【0035】
ポーラス層13は、ポーラス化される前の材料層に比べて、物理的な硬さが低下している。よって、本実施形態によれば、図6(b)の工程で、ウェハ1とウェハ2とを、ポーラス層13内の面を境に容易に分離することが可能となる。この面は、ポーラス層13内のどの箇所に位置していてもよい。
【0036】
次に、ウェハ2からポーラス層13bを除去する(図6(c))。その後、ウェハ2は、ダイシング工程により複数のチップに分割される。本実施形態の各チップは例えば、デバイス層15内の上記メモリセルアレイと、デバイス層17内の上記回路とを含む3次元メモリである。
【0037】
図7(a)は、ウェハ2と分離されたウェハ1を示している。本実施形態の方法では次に、ウェハ1からポーラス層13aを除去する(図7(b))。ポーラス層13aは、例えばウェットエッチングにより除去される。このウェットエッチングで用いられる薬液は、例えばHF(フッ酸)、HNO(硝酸)、およびCHCOOH(酢酸)を含む混合水溶液である。ポーラス層13aは、ウェットエッチングの代わりにCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去されてもよい。
【0038】
ポーラス層13aをウェットエッチングにより除去する際に、絶縁膜12は、ウェットエッチングのエッチングストッパとして使用される。これにより、基板11がウェットエッチングにより薄化されないように、ポーラス層13aを除去することが可能となる。一般に、ポーラス層13aが半導体層の場合には、ポーラス層13aと絶縁膜12とのエッチング選択比は大きい。また、一般に、基板11が半導体基板であり、ポーラス層13aが半導体層の場合には、基板11とポーラス層13aとのエッチング選択比は小さい。すなわち、基板11と絶縁膜12とのエッチング選択比は、基板11とポーラス層13aとのエッチング選択比よりも大きい。よって、本実施形態によれば、絶縁膜12をエッチングストッパとして使用することで、好適なウェットエッチングを行うことが可能となる。同様に、ポーラス層13aをCMPにより除去する際には、絶縁膜12は、CMPの研磨ストッパとして使用される。
【0039】
次に、基板11上に残存した絶縁膜12上に、ポーラス層13と同様のポーラス層13’を形成する(図7(c))。その後、ポーラス層13’を含むウェハ1を用いて、図4(c)~図7(b)の工程を再び実施する。これにより、ウェハ1用の基板11を、半導体装置の製造に再利用することが可能となる。例えば、1枚の基板11とN枚の基板16とを用いて本実施形態の方法を繰り返し行うことで、N枚の基板16の各々から複数のチップ(3次元メモリ)を製造することが可能となる(Nは2以上の整数)。
【0040】
図8および図9は、第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0041】
図8(a)は、図6(a)に対応する断面図である。図8(a)では、ウェハ1とウェハ2とが貼り合わされている。本比較例のウェハ1は、絶縁膜12を含んでいないことに留意されたい。
【0042】
次に、ウェハ1とウェハ2とを分離する(図8(b))。本比較例のウェハ1とウェハ2も、ポーラス層13内の面を境に分離される。そのため、ポーラス層13は、ポーラス層13aとポーラス層13bとに分割される。その結果、基板11上にポーラス層13aが残存し、基板16上にデバイス層17、デバイス層15、拡散防止層14、およびポーラス層13bが残存する。
【0043】
次に、ウェハ2からポーラス層13bを除去する(図8(c))。その後、ウェハ2は、ダイシング工程により複数のチップに分割される。
【0044】
図9(a)は、ウェハ2と分離されたウェハ1を示している。本比較例の方法では次に、ウェハ1からポーラス層13aを除去する(図9(b))。ポーラス層13aは、例えばウェットエッチング(またはCMP)により除去される。
【0045】
本比較例において、例えば基板11が半導体基板であり、ポーラス層13が半導体層の場合、基板11とポーラス層13aとのエッチング選択比は小さい。その結果、ウェットエッチングにより基板11が薄化される可能性がある。また、ウェットエッチングにより基板11の表面が露出されることから、基板11の表面が、ウェットエッチングにより傷付けられるなど、何らかの悪影響を受ける可能性がある。図9(b)は、基板11の厚さが、薄化により厚さDだけ減少した様子を示している。このような現象は、ポーラス層13aをCMPにより除去する場合にも生じ得る。
【0046】
次に、基板11上に、ポーラス層13と同様のポーラス層13’を形成する(図9(c))。その後、ポーラス層13’を含むウェハ1を用いて、図8(a)~図9(b)の工程を再び実施する。この場合、ウェットエッチングやCMPにより基板11の表面が傷付けられたり、基板11が薄化されたりすると、基板11の再利用に支障が生じるおそれがある。一方、本実施形態では、基板11上に絶縁膜12を介してポーラス層13aが設けられている。これにより、ウェットエッチングやCMPにより基板11の表面が傷付けられたり、基板11が薄化されたりすることを抑制することが可能となる。よって、基板11の再利用がしやすいように、基板11からポーラス層13aを除去することが可能となる。
【0047】
以下、図10図12を参照し、第1実施形態の半導体装置の一例について説明する。
【0048】
図10は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。図10の半導体装置は、ウェハ1に由来するアレイ領域1’と、ウェハ2に由来する回路領域2’が貼り合わされた3次元メモリである。
【0049】
アレイ領域1’は、デバイス層15を備えている。図10のデバイス層15は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ15aと、メモリセルアレイ15a上の絶縁膜15bと、メモリセルアレイ15a下の層間絶縁膜15cとを備えている。絶縁膜15bは例えば、SiO膜またはSiN膜である。層間絶縁膜15cは例えば、SiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0050】
回路領域2’は、アレイ領域1’下に設けられている。符号Sは、アレイ領域1’と回路領域2’との貼合面を示す。回路領域2’は、デバイス層17と、デバイス層17下の基板16とを備えている。図10のデバイス層17は、層間絶縁膜15cと基板16との間に層間絶縁膜17aを備えている。層間絶縁膜17aは例えば、SiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0051】
アレイ領域1’は、メモリセルアレイ15a内の複数の電極層として、複数のワード線WLと、ソース線SLとを備えている。図10は、メモリセルアレイ15aの階段構造部21を示している。各ワード線WLは、コンタクトプラグ22を介してワード配線層23と電気的に接続されている。複数のワード線WLを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ24を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつソース線SLと電気的に接続されている。ソース線SLは、半導体層である第1層SL1と、金属層である第2層SL2とを含んでいる。
【0052】
回路領域2’は、複数のトランジスタ31を備えている。各トランジスタ31は、基板16上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極32と、基板16内に設けられた不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。また、回路領域2’は、複数のコンタクトプラグ33と、配線層34と、配線層35とを備えている。複数のコンタクトプラグ33は、複数のトランジスタ31のそれぞれのゲート電極32、ソース拡散層、またはドレイン拡散層上に設けられている。配線層34は、複数のコンタクトプラグ33上に設けられ、複数の配線を含む。配線層35は、配線層34上に設けられ、複数の配線を含む。
【0053】
回路領域2’はさらに、配線層35上に設けられ、複数の配線を含む配線層36と、配線層36上に設けられた複数のビアプラグ37と、これらのビアプラグ37上に設けられた複数の金属パッド38とを備えている。金属パッド38は例えば、Cu(銅)層またはAl(アルミニウム)層を含んでいる。回路領域2’は、アレイ領域1’の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。この制御回路は、トランジスタ31などにより構成されており、金属パッド38に電気的に接続されている。
【0054】
アレイ領域1’は、金属パッド38上に設けられた複数の金属パッド41と、金属パッド41上に設けられた複数のビアプラグ42とを備えている。また、アレイ領域1’は、これらのビアプラグ42上に設けられ、複数の配線を含む配線層43と、配線層43上に設けられ、複数の配線を含む配線層44とを備えている。金属パッド41は例えば、Cu層またはAl層を含んでいる。上述のビット線BLは、配線層44に含まれている。また、上述の制御回路は、金属パッド41、38等を介してメモリセルアレイ15aに電気的に接続されており、金属パッド41、38等を介してメモリセルアレイ15aの動作を制御する。
【0055】
アレイ領域1’はさらに、配線層44上に設けられた複数のビアプラグ45と、これらのビアプラグ45上や絶縁膜15b上に設けられた金属パッド46と、金属パッド46上や絶縁膜15b上に設けられたパッシベーション膜47とを備えている。金属パッド46は例えば、Cu層またはAl層を含んでおり、図10の半導体装置の外部接続パッド(ボンディングパッド)として機能する。パッシベーション膜47は例えば、SiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜であり、金属パッド46の上面を露出させる開口部Pを有している。金属パッド46は、この開口部Pを介してボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプなどにより実装基板や他の装置に接続可能である。
【0056】
図11は、第1実施形態の柱状部CLの構造を示す断面図である。
【0057】
図11に示すように、メモリセルアレイ15aは、層間絶縁膜15c(図10)の上方に交互に積層された複数のワード線WLおよび複数の絶縁膜51を備えている。ワード線WLは、例えばW(タングステン)層である。絶縁膜51は、例えばSiO膜である。
【0058】
柱状部CLは、ブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を順に含んでいる。電荷蓄積層53は、例えばSiN膜であり、ワード線WLおよび絶縁膜51の側面にブロック絶縁膜52を介して形成されている。電荷蓄積層53は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。チャネル半導体層55は、例えばポリシリコン層であり、電荷蓄積層53の側面にトンネル絶縁膜54を介して形成されている。ブロック絶縁膜52、トンネル絶縁膜54、およびコア絶縁膜56は、例えばSiO膜である。
【0059】
図12は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0060】
図12は、複数のアレイ領域1’を含むウェハ1と、複数の回路領域2’を含むウェハ2とを示している。図12のウェハ1の向きは、図10のアレイ領域1’の向きとは逆となっている。本実施形態では、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせることで半導体装置を製造する。図12は、貼合のために向きを反転される前のウェハ1を示しており、図10は、貼合のために向きを反転されて貼合およびダイシングされた後のアレイ領域1’を示している。
【0061】
図12において、符号S1はウェハ1の上面を示し、符号S2はウェハ2の上面を示している。ウェハ1は、絶縁膜15b下に拡散防止層14、ポーラス層13、および絶縁膜12を介して設けられた基板11を備えている。
【0062】
本実施形態ではまず、図12に示すように、ウェハ1の基板11上に絶縁膜12、ポーラス層13、拡散防止層14、絶縁膜15b、メモリセルアレイ15a、層間絶縁膜15c、金属パッド41などを形成する。例えば、基板11の上方にビアプラグ45、配線層44、配線層43、ビアプラグ42、および金属パッド41が順に形成される。また、ウェハ2の基板16上に層間絶縁膜17a、トランジスタ31、金属パッド38などを形成する。例えば、基板16の上方にコンタクトプラグ33、配線層34、配線層35、配線層36、ビアプラグ37、および金属パッド38が順に形成される。
【0063】
次に、図10に示すように、ウェハ1とウェハ2とを機械的圧力により貼り合わせる。これにより、層間絶縁膜15cと層間絶縁膜17aとが接着される。次に、ウェハ1およびウェハ2を400℃でアニールする。これにより、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。
【0064】
その後、基板11と基板16とをポーラス層13内の面を境に分離し、基板16や基板16上の種々の層を複数のチップに切断する。このようにして、図10の半導体装置が製造される。なお、金属パッド46とパッシベーション膜47は例えば、基板11と基板16とを分離し、基板16上のポーラス層13bや拡散防止層14を除去した後に、絶縁膜15b上に形成される。
【0065】
以上のように、本実施形態では、基板11上に絶縁膜12を介してポーラス層13を形成し、基板11と基板16とを貼り合わせる。さらには、基板11と基板16とを貼り合わせた後に、基板11と基板16とを分離する。よって、本実施形態によれば、これらの基板11、16を、貼合後に好適に分離することが可能となる。例えば、基板11と基板16とをポーラス層13内の面を境に容易に分離することや、基板11の再利用に適した形で基板11からポーラス層13aを除去することが可能となる。また、基板11からポーラス層13aを除去する際のストッパとして絶縁膜12を使用することで、ポーラス層13aとストッパとの選択比を大きくすることが可能となる。
【0066】
(第2実施形態)
図13図16は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0067】
本実施形態の方法は、絶縁膜12の代わりに導体層18を用いて行われる。導体層18は、第1導体層の例である。第2実施形態の説明では、第1実施形態と第2実施形態との共通事項の説明を適宜省略する。
【0068】
まず、ウェハ1用の基板11を用意する(図13(a))。基板11は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。
【0069】
次に、基板11上に導体層18を形成する(図13(b))。半導体層が、半導体で形成された層であるのに対し、導体層18は、導体で形成された層である。導体層18は、例えば金属層またはグラファイト層である。導体層18の厚さは、例えば10~100nmである。導体層18の抵抗率は、例えば0.05Ω・cm以下である。
【0070】
次に、導体層18上にポーラス層13を形成する(図13(c))。ポーラス層13は例えば、ポーラスポリシリコン層などのポーラス半導体層である。ポーラス層13は例えば、ポーラス層13を形成するための材料層を導体層18上に形成し、材料層に空孔を形成することで形成される。すなわち、ポーラス層13は、材料層をポーラス化することで形成される。材料層のポーラス化は例えば、上述の半導体製造装置101内に基板11をセットし、材料層に陽極化成法を適用することで行われる。
【0071】
次に、ポーラス層13上に拡散防止層14を形成する(図14(a))。次に、拡散防止層14上にデバイス層15を形成する(図14(b))。次に、ウェハ2用の基板16を用意し、基板16上にデバイス層17を形成する(図14(c))。
【0072】
次に、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせる(図15(a))。具体的には、基板11と基板16とを、導体層18、ポーラス層13、拡散防止層14、デバイス層15、およびデバイス層17を挟むように貼り合わせる。
【0073】
次に、貼り合わせたウェハ1とウェハ2とを分離する(図15(b))。本実施形態のウェハ1とウェハ2は、ポーラス層13がポーラス層13aとポーラス層13bとに分割されるように分離される。
【0074】
本実施形態では、図15(a)の工程で貼り合わされた基板11と基板16が、図15(b)の工程で分離される。この際、ポーラス層13は、上述のようにポーラス層13aとポーラス層13bとに分割される。その結果、基板11上に導体層18とポーラス層13aとが残存し、基板16上にデバイス層17、デバイス層15、拡散防止層14、およびポーラス層13bが残存する。
【0075】
次に、ウェハ2からポーラス層13bを除去する(図15(c))。その後、ウェハ2は、ダイシング工程により複数のチップに分割される。
【0076】
図16(a)は、ウェハ2と分離されたウェハ1を示している。本方法では次に、ウェハ1からポーラス層13aを除去する(図16(b))。ポーラス層13aは、例えばウェットエッチングにより除去される。このウェットエッチングで用いられる薬液は、例えばHF、HNO、およびCHCOOHを含む混合水溶液である。ポーラス層13aは、ウェットエッチングの代わりにCMPにより除去されてもよい。
【0077】
ポーラス層13aをウェットエッチングにより除去する際に、導体層18は、ウェットエッチングのエッチングストッパとして使用される。これにより、基板11がウェットエッチングにより薄化されないように、ポーラス層13aを除去することが可能となる。一般に、ポーラス層13aが半導体層の場合には、ポーラス層13aと導体層18とのエッチング選択比は大きい。また、一般に、基板11が半導体基板であり、ポーラス層13aが半導体層の場合には、基板11とポーラス層13aとのエッチング選択比は小さい。すなわち、基板11と導体層18とのエッチング選択比は、基板11とポーラス層13aとのエッチング選択比よりも大きい。よって、本実施形態によれば、導体層18をエッチングストッパとして使用することで、好適なウェットエッチングを行うことが可能となる。同様に、ポーラス層13aをCMPにより除去する際には、導体層18は、CMPの研磨ストッパとして使用される。
【0078】
次に、基板11上に残存した導体層18上に、ポーラス層13と同様のポーラス層13’を形成する(図16(c))。その後、ポーラス層13’を含むウェハ1を用いて、図13(c)~図16(b)の工程を再び実施する。これにより、ウェハ1用の基板11を、半導体装置の製造に再利用することが可能となる。
【0079】
図17は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【0080】
図17は、陽極化成法を実施中の基板11、導体層18、およびポーラス層13を示している。図17はさらに、陽極化成法で用いられる電荷を示している。陽極化成を行う際には、基板11、導体層18、および上述の材料層内を電荷が移動する。第1実施形態で陽極化成法を行う際には、絶縁膜12が電荷の移動を阻害するおそれがある。よって、第1実施形態では、絶縁膜12が電荷の移動を阻害しないように、絶縁膜12の厚さを薄くすることが望ましい。一方、本実施形態によれば、絶縁膜12の代わりに導体層18を使用することで、このような電荷移動の阻害を抑制することが可能となる。そのため、導体層18の抵抗率は、低い方が好ましく、例えば、0.05Ω・cm以下とすることが好ましい。好ましい導体層18の例は、金属層やグラファイト層である。
【0081】
図18は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【0082】
図18(a)および図18(b)はそれぞれ、図16(a)および図16(b)のウェハ1、すなわち、ポーラス層13aの除去前および除去後のウェハ1を示している。ただし、図18(a)は、ポーラス層13aの最大厚さTmax、最小厚さTmin、および平均厚さTを示している。なお、図18(a)では、ポーラス層13aが、傾斜のある上面を有する形状を有しているが、その他の形状を有していてもよい。例えば、ポーラス層13aは、凹凸のある上面を有する形状を有していてもよい。この場合、例えば、ポーラス層13aの上面の凸部の最高点におけるポーラス層13aの厚さが、最大厚さTmaxとなり、ポーラス層13aの上面の凹部の最低点におけるポーラス層13aの厚さが、最小厚さTminとなる。
【0083】
ポーラス層13aをウェットエッチングにより除去する際には、ポーラス層13aをエッチングする厚さを、平均厚さTよりも厚くすることが望ましく、例えば、平均厚さTの1.3倍程度に設定することが望ましい。これにより、多くの場合にポーラス層13aを完全に除去することが可能となる。例えば、最大厚さTmaxを有する部分のポーラス層13aが、エッチング後に残存することを抑制することが可能となる。これは、ポーラス層13aをCMPにより除去する場合にも同様である。ポーラス層13aの表面は粗いことが多いため、このような方法でウェットエッチングやCMPを行うことが好ましい。なお、本実施形態においてポーラス層13aの表面が粗いとは、ポーラス層13aの厚さがX方向またはY方向の位置によって異なることを示す。さらに、本実施形態の方法によれば、ウェットエッチングでポーラス層13aを除去する際に導体層18を過剰に除去することを抑制できる。したがって、基板11の再利用がしやすいように、基板11上に導体層18を残存させておくことが可能である。
【0084】
なお、エッチングする厚さを平均厚さTの1.3倍程度に設定するとしたが、これに限定されない。例えば、図18(a)に示すポーラス層13aの最大厚さTmaxと最小厚さTminとの差に応じて、エッチングする厚さを設定しても良い。別言すると、貼り合わせたウェハ1とウェハ2とを分離した後のポーラス層13aの膜厚のばらつきに応じて、エッチングする厚さを設定しても良い。
【0085】
以上のように、本実施形態では、基板11上に導体層18を介してポーラス層13を形成し、基板11と基板16とを貼り合わせる。さらには、基板11と基板16とを貼り合わせた後に、基板11と基板16とを分離する。よって、本実施形態によれば、これらの基板11、16を、貼合後に好適に分離することが可能となる。例えば、基板11と基板16とをポーラス層13内の面を境に容易に分離することや、基板11の再利用に適した形で基板11からポーラス層13aを除去することが可能となる。また、基板11からポーラス層13aを除去する際のストッパとして導体層18を使用することで、ポーラス層13aとストッパとの選択比を大きくすることが可能となる。
【0086】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0087】
1:ウェハ、1’:アレイ領域、2:ウェハ、2’:回路領域、
11:基板、12:絶縁膜、13:ポーラス層、13a:ポーラス層、
13b:ポーラス層、13’:ポーラス層、14:拡散防止層、15:デバイス層、
15a:メモリセルアレイ、15b:絶縁膜、15c:層間絶縁膜、
16:基板、17:デバイス層、17a:層間絶縁膜、18:導体層、
21:階段構造部、22:コンタクトプラグ、
23:ワード配線層、24:ビアプラグ、
31:トランジスタ、32:ゲート電極、33:コンタクトプラグ、34:配線層、
35:配線層、36:配線層、37:ビアプラグ、38:金属パッド、
41:金属パッド、42:ビアプラグ、43:配線層、44:配線層、
45:ビアプラグ、46:金属パッド、47:パッシベーション膜、
51:絶縁膜、52:ブロック絶縁膜、53:電荷蓄積層、
54:トンネル絶縁膜、55:チャネル半導体層、56:コア絶縁膜、
101:半導体製造装置、111:外容器、112:内容器、113:隔壁、
121:下部ホルダ、121a:弾性部材、122:搬送ロボット、
122a:上部ホルダ、122b:吊り下げユニット、
122c:移動機構、123:加圧アーム、
131:電極、132:電極、133:電気回路、134:切替回路、
141:上側ホルダ、141a:弾性部材、142:左側ホルダ、
142a:弾性部材、143:右側ホルダ、143a:弾性部材、
144:懸垂アーム、145:係止バー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18