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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124079
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】産業車両とパレットとの固定構造
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/12 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B66F9/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032000
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 勇
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333AF02
3F333FA15
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で産業車両とパレットとを固定できる産業車両とパレットとの固定構造を提供する。
【解決手段】産業車両のフォーク16には、固定凸部32が設けられている。パレット20には、一対の保持部材42が設けられている。パレット20がフォーク16によって支持された状態において、固定凸部32は、一対の保持部材42の間に位置している。一対の保持部材42は、弾性力によって固定凸部32を保持している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両と前記産業車両のフォークによって支持されたパレットとを固定する産業車両とパレットとの固定構造であって、
前記産業車両及び前記パレットの一方に設けられた固定凸部と、
前記産業車両及び前記パレットの他方に設けられた一対の保持部材と、
を備え、
前記パレットが前記フォークによって支持された状態において、前記固定凸部は、前記一対の保持部材の間に位置し、前記一対の保持部材は、弾性力によって前記固定凸部を保持することを特徴とする産業車両とパレットとの固定構造。
【請求項2】
前記固定凸部は、前記産業車両に設けられ、前記一対の保持部材は、前記パレットに設けられている請求項1に記載の産業車両とパレットとの固定構造。
【請求項3】
前記パレットは、前記フォークが挿入されるフォーク挿入孔が開口する側面から凹む収容凹部を有し、
前記一対の保持部材は、前記収容凹部内に収容されている請求項2に記載の産業車両とパレットとの固定構造。
【請求項4】
前記収容凹部は、前記フォーク挿入孔の上側に配置されており、
前記一対の保持部材の間の空間は、前記フォーク挿入孔と連通している請求項3に記載の産業車両とパレットとの固定構造。
【請求項5】
前記保持部材における前記固定凸部に当接する部分は、ボールである請求項4に記載の産業車両とパレットとの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両とパレットとの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトやピッキングリフトなどの産業車両は、フォークを備えている。フォークは、パレットのフォーク挿入孔に挿入される。フォークをフォーク挿入孔に挿入しやすくするため、フォーク挿入孔の大きさは、フォークよりも一回り大きく設定されている。このため、パレットがフォークに支持されている状態において、フォークとフォーク挿入孔を区画する内面との間には隙間が生じている。したがって、例えば、パレットが空荷の場合やパレットに載置されている荷物が軽い場合、産業車両が凸凹のある道を走行すると、パレットがフォークに対してずれたり、パレットに載置された荷物がパレットから落下したりすることがある。この問題の解決策の1つとして、産業車両と産業車両のフォークに支持されたパレットとを固定することが考えられる。例えば、特許文献1に記載のフォークリフトのパレット固定構造では、フォークとともにフォーク挿入孔に挿入される一対の圧接部材がフォークリフトに設けられている。一対の圧接部材は、上下方向に動作することによって、フォーク挿入孔を区画する上面及び下面に圧接する。これにより、フォークリフトとパレットとが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3729711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフォークリフトのパレット固定構造よりも簡素な構成で産業車両とパレットとを固定することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための産業車両とパレットとの固定構造は、産業車両と前記産業車両のフォークによって支持されたパレットとを固定する産業車両とパレットとの固定構造であって、前記産業車両及び前記パレットの一方に設けられた固定凸部と、前記産業車両及び前記パレットの他方に設けられた一対の保持部材と、を備え、前記パレットが前記フォークによって支持された状態において、前記固定凸部は、前記一対の保持部材の間に位置し、前記一対の保持部材は、弾性力によって前記固定凸部を保持することを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、パレットがフォークによって支持された状態において、産業車両及びパレットの一方に設けられた固定凸部が、産業車両及びパレットの他方に設けられた一対の保持部材によって保持されることにより、産業車両とパレットとが固定される。したがって、簡素な構成で産業車両とパレットとを固定できる。
【0007】
上記産業車両とパレットとの固定構造において、前記固定凸部は、前記産業車両に設けられ、前記一対の保持部材は、前記パレットに設けられていてもよい。
上記産業車両とパレットとの固定構造において、前記パレットは、前記フォークが挿入されるフォーク挿入孔が開口する側面から凹む収容凹部を有し、前記一対の保持部材は、前記収容凹部内に収容されていてもよい。
【0008】
上記構成によれば、一対の保持部材は、パレットの側面に設けられた収容凹部内に収容されている。このため、固定凸部を収容凹部の開口から一対の保持部材の間に挿入することができる。したがって、フォークをフォーク挿入孔に挿入するのと同時に固定凸部を一対の保持部材の間に挿入することができる。また、産業車両の運転者は、パレットにおける一対の保持部材の位置を把握しやすい。したがって、一対の保持部材に対する固定凸部の位置合わせが容易になる。さらに、パレットの側面から一対の保持部材が飛び出していないため、フォークを根元までフォーク挿入孔に挿入することができる。したがって、フォークは、パレットを安定的に支持することができる。
【0009】
上記産業車両とパレットとの固定構造において、前記収容凹部は、前記フォーク挿入孔の上側に配置されており、前記一対の保持部材の間の空間は、前記フォーク挿入孔と連通していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、一対の保持部材の間の空間は、フォーク挿入孔と連通している。このため、産業車両とパレットとを固定する場合には、フォークとともに固定凸部をフォーク挿入孔に挿入した後、フォークを上昇させることによって、固定凸部を一対の保持部材の間に挿入することができる。この場合、フォークをフォーク挿入孔に挿入するのと同時に固定凸部を一対の保持部材の間に挿入する場合のようにフォークの高さを細かく調整しなくても済むため、作業性が良好になる。
【0011】
産業車両とパレットとの固定を解除する場合には、フォークを下降させることによって、固定凸部を一対の保持部材の間から引き抜いた後、フォーク挿入孔内に移動させることができる。この場合、フォークをフォーク挿入孔から引き抜くのと同時に固定凸部を一対の保持部材の間から引き抜く場合よりも、フォークに対してパレットがずれにくい。
【0012】
上記産業車両とパレットとの固定構造において、前記保持部材における前記固定凸部に当接する部分は、ボールであってもよい。
上記構成によれば、固定凸部を収容凹部の開口から一対の保持部材の間に挿入する場合、及び固定凸部をフォーク挿入孔から一対の保持部材の間に挿入する場合の双方の場合において、固定凸部を一対の保持部材の間にスムーズに挿入することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡素な構成で産業車両とパレットとを固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フォークリフトを示す斜視図である。
図2】パレットの一部を示す斜視図である。
図3】フォークに取り付けられた凸側固定部材を示す斜視図である。
図4】パレット及び凹側固定部材を示す斜視図である。
図5】凹側固定部材を示す断面図である。
図6】パレットの収容凹部に収容された凹側固定部材を示す背面図である。
図7】フォークリフトとパレットとの固定構造を示す断面図である。
図8】フォークリフトとパレットとの固定構造を示す断面図である。
図9】フォークリフトとパレットとの固定方法の説明図である。
図10】フォークリフトとパレットとの固定方法の説明図である。
図11】サヤフォークが取り付けられたフォークリフトを示す側面図である。
図12】凸側固定部材が取り付けられたサヤフォークを示す斜視図である。
図13】凸側固定部材が取り付けられたピッキングリフトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、産業車両とパレットとの固定構造を具体化した一実施形態を図1図10にしたがって説明する。本実施形態の産業車両はフォークリフトである。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、フォークリフトの運転者が車両前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」である。
【0016】
<フォークリフトの基本構成>
図1に示すように、フォークリフト10は、車体11と、車体11の前部に設けられた荷役装置12とを備えている。荷役装置12は、アウタマスト13と、インナマスト14と、リフトブラケット15と、一対のフォーク16とを有している。インナマスト14は、アウタマスト13に対して昇降可能に設けられている。リフトブラケット15は、インナマスト14に対して昇降可能に設けられている。一対のフォーク16は、リフトブラケット15に取り付けられている。一対のフォーク16は、左右方向において間隔を空けて並んでいる。フォークリフト10を左右方向から見たとき、フォーク16はL字状をなしている。フォーク16は、上下方向に延びる第1フォーク構成部17と、第1フォーク構成部17の下端部から前方に向けて延びる第2フォーク構成部18とを有している。
【0017】
<パレットの基本構成>
図2に示すように、パレット20は、平板状である。パレット20には、一対のフォーク挿入孔21が形成されている。一対のフォーク挿入孔21は、パレット20の板厚方向と直交する第1方向Xにおいて間隔を空けて並んでいる。各フォーク挿入孔21は、パレット20の板厚方向及び第1方向Xの両方と直交する第2方向Yに延びている。
【0018】
一対のフォーク挿入孔21には、一対のフォーク16の第2フォーク構成部18が挿入される。このとき、フォーク16の第1フォーク構成部17の下端部の前面17aと、パレット20のフォーク挿入孔21が開口する側面20aとは、前後方向に対向する。また、フォーク16の第2フォーク構成部18の上面18aと、フォーク挿入孔21を区画する上面21aとは、上下方向に対向する。そして、一対のフォーク挿入孔21に挿入された一対のフォーク16が上昇すると、パレット20は、一対のフォーク16によって支持されることによって持ち上げられる。
【0019】
第2フォーク構成部18をフォーク挿入孔21に挿入しやすくするため、フォーク挿入孔21の大きさは、第2フォーク構成部18よりも一回り大きく設定されている。詳しくは、第1方向Xにおけるフォーク挿入孔21の寸法は、第2フォーク構成部18の幅よりも大きく設定されている。パレット20の板厚方向におけるフォーク挿入孔21の寸法は、第2フォーク構成部18の厚さよりも大きく設定されている。
【0020】
<フォークリフトとパレットとの固定構造>
図1に示すように、フォークリフト10には、凸側固定部材30が取り付けられている。本実施形態では、凸側固定部材30は、一対のフォーク16のそれぞれに取り付けられている。凸側固定部材30は、第1フォーク構成部17の下端部の前面17aに取り付けられている。
【0021】
図3に示すように、凸側固定部材30は、板状の取付部31と、取付部31から突出する固定凸部32とを有している。取付部31は、図示しないボルトによって、第1フォーク構成部17の前面17aに固定されている。これにより、固定凸部32は、フォークリフト10に設けられている。固定凸部32は、第1フォーク構成部17から前方に向けて突出している。固定凸部32の一対の側面32aはそれぞれ、後述するボール42bの形状に沿うように湾曲する湾曲面である。
【0022】
図2に示すように、パレット20には、収容凹部22が設けられている。本実施形態では、収容凹部22は、パレット20の第1方向Xにおいて、一対のフォーク挿入孔21のそれぞれと対応する位置に設けられている。収容凹部22は、パレット20のフォーク挿入孔21が開口する側面20aから凹んでいる。収容凹部22は、フォーク挿入孔21の上側に位置している。各収容凹部22内には、凹側固定部材40が収容されている。なお、図2では、収容凹部22に収容された状態の凹側固定部材40と収容凹部22に収容される前の凹側固定部材40とを1つずつ図示している。
【0023】
図4に示すように、パレット20は、フォーク挿入孔21と収容凹部22との間に位置する介在壁23を有している。介在壁23には、介在壁23をパレット20の板厚方向に貫通する連通部23aが設けられている。フォーク挿入孔21と収容凹部22とは、連通部23aを介して連通している。
【0024】
図4及び図5に示すように、凹側固定部材40は、ボールキャッチである。凹側固定部材40は、ハウジング41と、一対の保持部材42とを有している。
ハウジング41は、中空直方体状である。ハウジング41は、第1方向Xに対をなす一対の第1壁部51と、第2方向Yに対をなす一対の第2壁部52と、パレット20の板厚方向に対をなす一対の第3壁部53とを有している。
【0025】
図6に示すように、一対の第1壁部51の外面及び一対の第3壁部53の外面は、収容凹部22を区画する内側面と対向している。
図7及び図8に示すように、一対の第2壁部52のうち、一方の第2壁部52の外面は、収容凹部22を区画する内底面と対向するとともに、他方の第2壁部52の外面は、パレット20の側面20aと同一平面上に位置している。
【0026】
ハウジング41は、パレット20の側面20aと同一平面上に位置する第2壁部52から凹む固定凹部41aを有している。固定凹部41aは、ハウジング41の上方及び下方にも開放されている。ハウジング41は、固定凹部41aを区画するとともに第1方向Xに対向する一対の区画壁54を有している。各区画壁54には、貫通孔54aが形成されている。
【0027】
各保持部材42は、弾性部42aとボール42bとを有している。本実施形態の弾性部42aは、スプリングである。弾性部42aは、ハウジング41内に配置されている。一方の保持部材42の弾性部42aの第1端部は、一方の第1壁部51の内面51aに連結されている。他方の保持部材42の弾性部42aの第1端部は、他方の第1壁部51の内面51aに連結されている。ボール42bは、弾性部42aの第2端部に連結されている。ボール42bの一部は、貫通孔54aから固定凹部41a内に露出している。
【0028】
図5及び図6に示すように、一対の保持部材42は、第1方向Xにおいて離れた状態で対向している。各弾性部42aが自然長であるときの一対の保持部材42の間隔は、固定凸部32の幅よりも小さい。一対の保持部材42の間の空間Sは、固定凹部41a内に位置している。
【0029】
図6に示すように、凹側固定部材40がパレット20の収容凹部22に収容された状態において、凹側固定部材40は、介在壁23によって支持されている。固定凹部41aは、パレット20の側面20aにおいて開口している。したがって、固定凹部41a内に位置する一対の保持部材42の間の空間Sは、パレット20の側面20aの側方の空間と連通している。また、本実施形態では、固定凹部41aは、連通部23aを介してフォーク挿入孔21と連通している。したがって、固定凹部41a内に位置する一対の保持部材42の間の空間Sも、連通部23aを介してフォーク挿入孔21と連通している。
【0030】
図7及び図8に示すように、パレット20がフォーク16によって支持されている状態において、固定凸部32は、一対の保持部材42の間に位置している。このとき、一対の保持部材42は、固定凸部32によって互いに離れる方向に押し広げられているため、各弾性部42aは自然長よりも縮んだ状態になっている。したがって、一方の保持部材42は、弾性部42aの弾性力によって、固定凸部32を他方の保持部材42に向けて押圧している。また、他方の保持部材42は、弾性部42aの弾性力によって、固定凸部32を一方の保持部材42に向けて押圧している。これにより、固定凸部32は、一対の保持部材42の間に保持されている。つまり、一対の保持部材42は、弾性部42aの弾性力によって固定凸部32を保持している。
【0031】
このようにパレット20がフォーク16によって支持された状態において、フォークリフト10に設けられた固定凸部32が、パレット20に設けられた一対の保持部材42によって保持されることにより、フォークリフト10とパレット20とは固定されている。
【0032】
本実施形態では、一対の保持部材42が固定凸部32を保持している状態において、固定凸部32にはボール42bが当接している。つまり、保持部材42における固定凸部32に当接する部分は、ボール42bである。また、一対の保持部材42のボール42bと固定凸部32の一対の側面32aとは面接触している。
【0033】
<フォークリフトとパレットとの固定方法及び固定解除方法>
まず、フォークリフト10とパレット20との固定方法について説明する。
図9及び図10に示すように、フォークリフト10の運転者は、まず、フォーク16の第2フォーク構成部18をパレット20のフォーク挿入孔21に挿入する。第2フォーク構成部18がフォーク挿入孔21内において下面寄りに位置している場合、第2フォーク構成部18が根元までフォーク挿入孔21に挿入されると、固定凸部32もフォーク挿入孔21に挿入される。固定凸部32は、フォーク挿入孔21内において連通部23aの下方に位置している。
【0034】
フォークリフト10の運転者は、次に、フォーク16によってパレット20を支持するため、フォーク16を上昇させる。フォーク16が上昇すると、フォーク16に取り付けられた固定凸部32も上昇する。上述したように、一対の保持部材42の間の空間Sは、連通部23aを介してフォーク挿入孔21と連通している。このため、固定凸部32は、フォーク16とともに上昇することによって、連通部23aを通過した後、一対の弾性部42aを縮めながら一対の保持部材42の間に挿入される。これにより、固定凸部32は、一対の保持部材42によって保持される。その結果、フォークリフト10とフォーク16によって支持されたパレット20とが固定される。
【0035】
フォークリフト10とパレット20との固定方法は、上記方法に限定されない。フォークリフト10の運転者は、フォーク16をフォーク挿入孔21に挿入する前に、第2フォーク構成部18の上面18aがフォーク挿入孔21を区画する上面21aよりも僅かに下側に位置するようにフォーク16の高さを調整してもよい。この場合、固定凸部32は、一対の保持部材42の間の空間Sの後方に位置している。そして、フォークリフト10の運転者は、フォーク16をフォーク挿入孔21に挿入するため、フォークリフト10を前進させる。すると、フォーク16がフォーク挿入孔21に挿入されるのと同時に、固定凸部32が収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入されることによって、フォークリフト10とパレット20とが固定される。
【0036】
次に、フォークリフト10とパレット20との固定解除方法について説明する。
フォークリフト10の運転者は、フォーク16を下降させる。フォーク16が下降すると、フォーク16に取り付けられた固定凸部32も下降する。これにより、固定凸部32は、一対の保持部材42の間から引き抜かれるため、一対の保持部材42によって保持されなくなる。したがって、フォークリフト10とパレット20との固定が解除される。そして、固定凸部32は、連通部23aを通過した後、フォーク挿入孔21内に移動する。その後、フォークリフト10の運転者は、フォーク挿入孔21からフォーク16を引き抜く。このとき、固定凸部32もフォーク挿入孔21から引き抜かれる。
【0037】
フォークリフト10とパレット20との固定解除方法は、上記方法に限定されない。フォークリフト10の運転者は、フォーク16がフォーク挿入孔21に挿入されており、かつ固定凸部32が一対の保持部材42によって保持されている状態で、フォークリフト10を後進させてもよい。この場合、フォーク16がフォーク挿入孔21から引き抜かれるのと同時に、固定凸部32も一対の保持部材42の間から引き抜かれることによって、フォークリフト10とパレット20との固定が解除される。
【0038】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)フォークリフト10には、固定凸部32が設けられている。パレット20には、一対の保持部材42が設けられている。パレット20がフォーク16によって支持された状態において、固定凸部32は、一対の保持部材42の間に位置している。一対の保持部材42は、弾性力によって固定凸部32を保持している。
【0039】
この構成によれば、パレット20がフォーク16によって支持された状態において、フォークリフト10に設けられた固定凸部32が、パレット20に設けられた一対の保持部材42によって保持されることにより、フォークリフト10とパレット20とは固定される。したがって、簡素な構成でフォークリフト10とパレット20とを固定できる。
【0040】
(2)パレット20は、フォーク挿入孔21が開口する側面20aから凹む収容凹部22を有している。一対の保持部材42は、収容凹部22内に収容されている。このため、固定凸部32を収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入することができる。したがって、フォーク16をフォーク挿入孔21に挿入するのと同時に固定凸部32を一対の保持部材42の間に挿入することができる。また、フォークリフト10の運転者は、パレット20における一対の保持部材42の位置を把握しやすい。したがって、一対の保持部材42に対する固定凸部32の位置合わせが容易になる。さらに、パレット20の側面20aから一対の保持部材42が飛び出していないため、フォーク16を根元までフォーク挿入孔21に挿入することができる。したがって、フォーク16は、パレット20を安定的に支持することができる。
【0041】
(3)収容凹部22は、フォーク挿入孔21の上側に配置されている。一対の保持部材42の間の空間Sは、フォーク挿入孔21と収容凹部22との間に位置する介在壁23の連通部23aを介してフォーク挿入孔21と連通している。このため、フォークリフト10とパレット20とを固定する場合には、フォーク16とともに固定凸部32をフォーク挿入孔21に挿入した後、フォーク16を上昇させることによって、固定凸部32を一対の保持部材42の間に挿入することができる。この場合、固定凸部32を収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入する場合のようにフォーク16の高さを細かく調整しなくても済むため、作業性が良好になる。
【0042】
フォークリフト10とパレット20との固定を解除する場合には、フォーク16を下降させることによって、固定凸部32を一対の保持部材42の間から引き抜いた後、フォーク挿入孔21内に移動させることができる。この場合、フォーク16をフォーク挿入孔21から引き抜くのと同時に固定凸部32を一対の保持部材42の間から引き抜く場合よりも、フォーク16に対してパレット20がずれにくい。
【0043】
(4)保持部材42における固定凸部32に当接する部分は、ボール42bである。このため、固定凸部32を収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入する場合、及び固定凸部32をフォーク挿入孔21から一対の保持部材42の間に挿入する場合の双方の場合において、固定凸部32を一対の保持部材42の間にスムーズに挿入することができる。
【0044】
(5)従来技術のようにフォーク挿入孔21を区画する内面に圧接部材を圧接させることによってパレット20を固定する場合、産業車両には、圧接部材及び圧接部材の駆動手段を取り付けるためのスペースが必要になる。このため、取り付けスペースを確保しにくいフォークリフト10への適用は難しい。これに対し、本実施形態のフォークリフト10とパレット20との固定構造は、大きな取り付けスペースを必要としないため、取り付けスペースを確保しにくいフォークリフト10にも適用することができる。
【0045】
(6)凸側固定部材30及び凹側固定部材40は市販品を用いることができる。したがって、フォークリフト10とパレット20との固定構造を安価に実現することができる。
(7)例えば、固定凸部32の一対の側面32aが平坦面である場合、固定凸部32が一対の保持部材42によって保持された状態において、固定凸部32とボール42bとは点接触する。これに対し、本実施形態の固定凸部32の一対の側面32aは、ボール42bに沿う形状の湾曲面である。このため、固定凸部32が一対の保持部材42によって保持された状態において、固定凸部32とボール42bとは面接触している。したがって、固定凸部32は、一対の保持部材42によって、より強固に保持される。その結果、フォークリフト10とパレット20とをより強固に固定できる。
【0046】
(8)パレット20は、フォーク挿入孔21と収容凹部22との間に位置する介在壁23を有している。凹側固定部材40は、収容凹部22内に収容された状態において、介在壁23によって支持されている。このため、フォーク16とともに固定凸部32を下降させることによって一対の保持部材42の間から固定凸部32を引く抜く際、凹側固定部材40が収容凹部22内から外れにくくなる。
【0047】
(9)固定凸部32は、一対のフォーク16のそれぞれに設けられている。また、一対の保持部材42は、一対のフォーク挿入孔21のそれぞれに対応する位置に設けられている。したがって、固定凸部32が一方のフォーク16に設けられるとともに、一対の保持部材42が一方のフォーク挿入孔21に対応する位置に設けられている場合と比較して、フォークリフト10とパレット20とをより強固に固定できる。
【0048】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0049】
○ 上記実施形態では、フォークリフト10に固定凸部32が設けられるとともにパレット20に一対の保持部材42が設けられていたが、フォークリフト10に一対の保持部材42が設けられるとともにパレット20に固定凸部32が設けられてもよい。つまり、フォークリフト10及びパレット20の一方に固定凸部32が設けられるとともに、フォークリフト10及びパレット20の他方に一対の保持部材42が設けられていればよい。
【0050】
○ 上記実施形態では、凸側固定部材30をフォークリフト10に取り付けることにより、固定凸部32をフォークリフト10に設けていたが、固定凸部32は、フォーク16と一体形成されていてもよい。この場合、取付部31は不要になる。
【0051】
フォークリフト10に一対の保持部材42を設ける場合、凹側固定部材40をフォークリフト10に取り付けてもよいし、一対の保持部材42をフォークリフト10に直接取り付けてもよい。
【0052】
○ 上記実施形態では、凹側固定部材40をパレット20に取り付けることにより、一対の保持部材42をパレット20に設けていたが、一対の保持部材42をパレット20に直接取り付けてもよい。例えば、一対の保持部材42は、収容凹部22を区画するとともに第1方向Xに対向する内側面に取り付けられる。
【0053】
パレット20に固定凸部32を設ける場合、凸側固定部材30をパレット20に取り付けてもよいし、固定凸部32をパレット20と一体形成してもよい。固定凸部32は、収容凹部22内に位置しているのが好ましい。この場合、上記実施形態の効果(2)と同様の効果が得られる。
【0054】
○ 一対の保持部材42は、パレット20の側面20aとは反対側に位置する側面にも設けられていてもよい。
○ パレット20は、上記実施形態の一対のフォーク挿入孔21に加えて、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並ぶ一対のフォーク挿入孔をさらに有していてもよい。この場合、一対の保持部材42は、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並ぶ一対のフォーク挿入孔に対応する位置にも設けられているのが好ましい。
【0055】
○ パレット20には、収容凹部22が設けられていなくてもよい。この場合、凹側固定部材40は、パレット20の側面20aに取り付けられる。
○ 固定凸部32は、一対のフォーク16のうち、一方のみに設けられるとともに、一対の保持部材42は、一対のフォーク挿入孔21のうち、固定凸部32が設けられたフォーク16が挿入される一方のフォーク挿入孔21と対応する位置のみに設けられてもよい。
【0056】
○ パレット20がフォーク16によって支持された状態において、固定凸部32が一対の保持部材42の間に位置するのであれば、フォークリフト10及びパレット20に対して固定凸部32及び一対の保持部材42を設ける位置は適宜変更されてもよい。
【0057】
例えば、フォーク16の第2フォーク構成部18の上面18aに、固定凸部32及び一対の保持部材42の一方が設けられるとともに、パレット20のフォーク挿入孔21を区画する上面21aに、固定凸部32及び一対の保持部材42の他方が設けられてもよい。
【0058】
例えば、フォークリフト10のバックレストの前面に、固定凸部32及び一対の保持部材42の一方が設けられるとともに、パレット20の側面20aに、固定凸部32及び一対の保持部材42の他方が設けられてもよい。
【0059】
○ 固定凸部32の一対の側面32aは、ボール42bに沿う形状の湾曲面でなくてもよい。固定凸部32の一対の側面32aは、例えば、平坦面でもよい。この場合、固定凸部32の各側面32aと各保持部材42のボール42bとは点接触する。
【0060】
○ 保持部材42は、ボール42bを有していなくてもよい。
○ 各保持部材42が弾性部42aを有していなくてもよい。一対の保持部材42が弾性力によって固定凸部32を保持可能であれば、一対の保持部材42は1つの弾性部材を共有していてもよい。
【0061】
○ 弾性部42aは、スプリングに限定されない。一対の保持部材42が弾性力によって固定凸部32を保持可能であれば、弾性部42aは板ばねやゴム部材であってもよい。
○ 凹側固定部材40は、ボールキャッチでなくてもよい。凹側固定部材40は、例えば、保持部材42における固定凸部32に当接する部分がローラであるローラキャッチでもよい。
【0062】
例えば、固定凸部32を収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入する場合、凹側固定部材40は、ローラの軸方向が上下方向に延びるように、フォークリフト10又はパレット20に設けられるのが好ましい。この場合、固定凸部32を一対の保持部材42の間にスムーズに挿入することができる。
【0063】
例えば、固定凸部32をフォーク挿入孔21から一対の保持部材42の間に挿入する場合、凹側固定部材40は、ローラの軸方向が前後方向に延びるように、フォークリフト10又はパレット20に設けられるのが好ましい。この場合、固定凸部32を一対の保持部材42の間にスムーズに挿入することができる。
【0064】
保持部材42における固定凸部32に当接する部分は、ボール42bやローラでなくてもよい。保持部材42における固定凸部32に当接する部分は、例えば、直方体状のブロックでもよい。
【0065】
例えば、固定凸部32を収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入する場合、固定凸部32は、軸方向が上下方向に延びる円柱状であるのが好ましい。この場合、固定凸部32を一対の保持部材42の間にスムーズに挿入することができる。
【0066】
例えば、固定凸部32をフォーク挿入孔21から一対の保持部材42の間に挿入する場合、固定凸部32は、軸方向が前後方向に延びる円柱状であるのが好ましい。この場合、固定凸部32を一対の保持部材42の間にスムーズに挿入することができる。
【0067】
○ パレット20は、フォーク挿入孔21と収容凹部22との間に位置する介在壁23を有していなくてもよい。収容凹部22は、フォーク挿入孔21を区画する上面21aにおいて開口することにより、フォーク挿入孔21と直接連通していてもよい。この場合、一対の保持部材42の間の空間Sは、フォーク挿入孔21と直接連通する。したがって、上記実施形態の効果(3)と同様の効果が得られる。
【0068】
○ 固定凸部32を収容凹部22の開口から一対の保持部材42の間に挿入する場合、介在壁23には連通部23aが形成されていなくてもよい。
図11及び図12に示すように、フォークリフト10は、フォーク16に取り付けられるサヤフォーク19を有していてもよい。サヤフォーク19は、第2フォーク構成部18が挿入される挿入口19aを有している。この場合、凸側固定部材30は、サヤフォーク19の上面19bにおける挿入口19aに近い部分に取り付けられる。
【0069】
○ 産業車両は、フォークリフト10に限定されない。
図13に示すように、産業車両は、ピッキングリフト60であってもよい。ピッキングリフト60は、車体61と、昇降部62と、マスト装置63とを備えている。
【0070】
車体61は、本体部64と一対の脚部65とを有している。本体部64は、ピッキングリフト60の前部に位置している。一対の脚部65は、本体部64から後方に向けて延びている。昇降部62は、ピッキングリフト60の後部に位置している。昇降部62は、運転台66と、一対のフォーク67と、壁部68とを有している。運転台66は、ピッキングリフト60の搭乗者が搭乗する部位である。運転台66は、一対の脚部65の間に設けられている。一対のフォーク67は、運転台66から後方に向けて延びている。一対のフォーク67は、左右方向において間隔を空けて並んでいる。壁部68は、運転台66の前部から上方に立設されている。マスト装置63は、車体61の本体部64と昇降部62の壁部68との間に位置している。昇降部62は、マスト装置63によって昇降される。
【0071】
この場合、凸側固定部材30は、運転台66の後端面66aに取り付けられる。固定凸部32は、運転台66の後端面66aから後方に突出する。
【符号の説明】
【0072】
10…産業車両としてのフォークリフト、16…フォーク、20…パレット、20a…側面、21…フォーク挿入孔、22…収容凹部、32…固定凸部、42…保持部材、42b…ボール、S…空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13