(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124088
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/84 20230101AFI20240905BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240905BHJP
H10K 59/129 20230101ALI20240905BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240905BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20240905BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240905BHJP
H10K 50/824 20230101ALI20240905BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240905BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H10K50/84
H10K50/844
H10K59/129
H10K59/40
H10K59/131
H10K59/122
H10K50/824
G09F9/30 309
G09F9/30 349Z
G09F9/00 366A
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032017
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英幸
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107DD37
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD58
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD92
3K107DD93
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107EE57
3K107EE66
3K107HH05
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA07
5C094DA13
5C094DB02
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB01
5C094FB15
5G435AA13
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE49
5G435HH14
(57)【要約】
【課題】水分に対する耐性を高めた表示装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る表示装置は、基板と、絶縁層と、下電極と、リブと、隔壁と、上電極と、有機層と、ダム構造と、導電層と、を備える。下電極は、画素を含む表示領域において絶縁層の上方に配置される。上電極は、下電極に対向し、隔壁に接続される。有機層は、下電極と上電極の間に配置され、下電極と上電極の電位差に応じて発光する。ダム構造は、基板の端部と表示領域の間の周辺領域に配置された少なくとも1つの凸部を含む。導電層は、周辺領域に配置され、隔壁に接続される。上電極および有機層は、周辺領域にも配置される。上電極および有機層の端部は、平面視においてダム構造と表示領域の間に位置する。導電層の端部は、平面視において、上電極および有機層の端部と、表示領域の間に位置し、上電極および有機層によって覆われている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に配置された絶縁層と、
画素を含む表示領域において前記絶縁層の上方に配置された下電極と、
前記下電極と重なる開口を有するリブと、
前記表示領域において前記リブの上方に配置された隔壁と、
前記下電極に対向し、前記隔壁に接続された上電極と、
前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層と、
前記基板の端部と前記表示領域の間の周辺領域に配置された少なくとも1つの凸部を含むダム構造と、
前記周辺領域に配置され、前記隔壁に接続された導電層と、
を備え、
前記上電極および前記有機層は、前記周辺領域にも配置され、
前記上電極および前記有機層の端部は、平面視において前記ダム構造と前記表示領域の間に位置し、
前記導電層の端部は、平面視において、前記上電極および前記有機層の端部と、前記表示領域の間に位置し、前記上電極および前記有機層によって覆われている、
表示装置。
【請求項2】
前記ダム構造は、前記表示領域を囲う第1凸部と、前記第1凸部を囲う第2凸部と、を含み、
前記上電極、前記有機層および前記導電層の端部はそれぞれ、平面視において前記第1凸部と前記表示領域の間に位置している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記上電極および前記有機層を覆う第1封止層をさらに備え、
前記第1封止層の端部は、平面視において前記第1凸部と前記導電層の端部の間に位置している、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記上電極、前記有機層および前記第1封止層を覆うとともに、前記ダム構造の少なくとも一部を覆う第1樹脂層と、
前記第1樹脂層を覆うとともに、前記ダム構造のうち前記第1樹脂層の外側に位置する部分を覆う第2封止層と、
前記第2封止層を覆う第2樹脂層と、をさらに備える、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示領域に配置され、前記下電極に電圧を供給する画素回路と、
前記周辺領域に配置され、前記画素回路に信号を供給する駆動回路と、をさらに備え、
前記導電層の端部は、平面視において、前記ダム構造と前記駆動回路の間に位置している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記周辺領域に配置された第1給電線と、
前記周辺領域に位置する第1コンタクト部において前記第1給電線に接続され、かつ、前記周辺領域に位置する第2コンタクト部において前記導電層に接続された中継配線と、をさらに備え、
前記リブは、前記周辺領域において前記第1凸部の側面に接触し、前記中継配線を覆っている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記上電極および前記有機層の端部は、平面視において前記リブの端部と前記導電層の端部の間に位置している、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記ダム構造は、前記絶縁層と同じ材料で形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2封止層、前記第2樹脂層および前記基板の端部は、平面視において重なる、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示領域に配置されたタッチパネル電極と、
前記周辺領域において前記第2封止層の上に配置され、前記タッチパネル電極に接続された配線と、
前記周辺領域に配置された第2給電線と、をさらに備え、
前記配線は、前記周辺領域に位置する第3コンタクト部において、前記第2給電線に接続され、かつ、前記第2樹脂層によって覆われている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第3コンタクト部は、平面視において、前記ダム構造のうちの少なくとも一部と重なる、
請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
一般に、有機層は水分への耐性が低い。何らかの原因で有機層に水分が到達すると、発光時における表示素子の輝度低下など、表示品位の低下を招く一因となり得る。また、表示領域の周囲の周辺領域に配置された駆動回路に水分が侵入すると、駆動回路を構成する要素が劣化し、表示装置の動作に不具合が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水分に対する耐性を高めた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、基板と、絶縁層と、下電極と、リブと、隔壁と、上電極と、有機層と、ダム構造と、導電層と、を備える。前記絶縁層は、前記基板の上方に配置される。前記下電極は、画素を含む表示領域において前記絶縁層の上方に配置される。前記リブは、前記下電極と重なる開口を有する。前記隔壁は、前記表示領域において前記リブの上方に配置される。前記上電極は、前記下電極に対向し、前記隔壁に接続される。前記有機層は、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する。前記ダム構造は、前記基板の端部と前記表示領域の間の周辺領域に配置された少なくとも1つの凸部を含む。前記導電層は、前記周辺領域に配置され、前記隔壁に接続される。前記上電極および前記有機層は、前記周辺領域にも配置される。前記上電極および前記有機層の端部は、平面視において前記ダム構造と前記表示領域の間に位置する。前記導電層の端部は、平面視において、前記上電極および前記有機層の端部と、前記表示領域の間に位置し、前記上電極および前記有機層によって覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、表示装置が備えるいくつかの要素の概略的な平面図である。
【
図5】
図5は、表示装置が備える他の要素の概略的な平面図である。
【
図6】
図6は、
図4において鎖線枠で囲った領域の拡大図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるVII-VII線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図8】
図8は、比較例に係る表示装置の概略的な断面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態の変形例に係る表示装置の概略的な断面図である。
【
図10】
図10は、同実施形態の変形例に係る表示装置の概略的な断面図である。
【
図11】
図11は、同実施形態の変形例に係る表示装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。但し、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2および青色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20とを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20に接続されている。
【0016】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤色の波長域の光を放つ表示素子20を備え、副画素SP2は緑色の波長域の光を放つ表示素子20を備え、副画素SP3は青色の波長域の光を放つ表示素子20を備えている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP1と副画素SP2が第2方向Yに並んでいる。さらに、副画素SP1,SP2がそれぞれ副画素SP3と第1方向Xに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP1,SP2が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP3が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0020】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0021】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
図2の例においては、画素開口AP2が画素開口AP1よりも大きく、画素開口AP3が画素開口AP2よりも大きい。
【0022】
隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP1,AP2の間、および、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP3の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP3の間、および、第1方向Xに隣り合う画素開口AP2,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0023】
図2の例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0024】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3を備えている。
図2の例においては、上電極UE1および有機層OR1の外形が一致し、上電極UE2および有機層OR2の外形が一致し、上電極UE3および有機層OR3の外形が一致している。
【0025】
下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1は、副画素SP1の表示素子20を構成する。下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2は、副画素SP2の表示素子20を構成する。下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3は、副画素SP3の表示素子20を構成する。
【0026】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0027】
図2の例において、コンタクトホールCH1,CH2は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP1,AP2の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH3は、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0028】
図3は、
図2中のIII線-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3は有機絶縁層12に設けられている。
【0029】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0030】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、
図3においては上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。
【0031】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と対向している。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と対向している。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と対向している。
【0032】
図3の例においては、有機層OR1の上にキャップ層CP1が配置され、有機層OR2の上にキャップ層CP2が配置され、有機層OR3の上にキャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0033】
有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1の一部は、上部62の上に位置している。上述の一部は、有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1の他の部分と離間している。同様に、有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2の他の部分と離間している。さらに、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3の他の部分と離間している。
【0034】
副画素SP1,SP2,SP3には、封止層SE1,SE2,SE3がそれぞれ配置されている。封止層SE1は、キャップ層CP1や隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE2は、キャップ層CP2や隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE3は、キャップ層CP3や隔壁6を連続的に覆っている。
【0035】
図3の例においては、副画素SP1,SP3の間の隔壁6上の有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1および封止層SE1と、当該隔壁6上の有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3および封止層SE3とが離間している。また、副画素SP2,SP3の間の隔壁6上の有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2および封止層SE2と、当該隔壁6上の有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3および封止層SE3とが離間している。
【0036】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13により覆われている。樹脂層13は、封止層14により覆われている。さらに、封止層14は、樹脂層15により覆われている。
【0037】
有機絶縁層12および樹脂層13,15は、有機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、例えばシリコン窒化物(SiNx)などの無機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層および酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組み合わせによる積層体として形成されてもよい。
【0038】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。下電極LE1,LE2,LE3の電位が上電極UE1,UE2,UE3の電位よりも相対的に高い場合、下電極LE1,LE2,LE3がアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3がカソードに相当する。また、上電極UE1,UE2,UE3の電位が下電極LE1,LE2,LE3の電位よりも相対的に高い場合、上電極UE1,UE2,UE3がアノードに相当し、下電極LE1,LE2,LE3がカソードに相当する。
【0039】
有機層OR1,OR2,OR3は、一対の機能層と、これら機能層の間に配置された発光層とを含む。一例として、有機層OR1,OR2,OR3は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層を順に積層した構造を有している。
【0040】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これら複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2.CP3は省略されてもよい。
【0041】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0042】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が赤色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が青色の波長域の光を放つ。
【0043】
続いて、周辺領域SAに適用し得る構造について説明する。
図4は、表示装置DSPの概略的な平面図である。表示装置DSPは、周辺領域SAに配置される要素として、第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2、セレクタ回路STおよび端子部Tを備えている。第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STは、それぞれ画素回路1に信号を供給する駆動回路の一例であり、
図3に示した回路層11に含まれる。
【0044】
第1ゲート駆動回路GD1および第2ゲート駆動回路GD2は、
図1に示した走査線GLに走査信号を供給する。端子部Tには、例えばフレキシブル回路基板が接続される。セレクタ回路STは、このフレキシブル回路基板から入力される映像信号を
図1に示した信号線SLに供給する。
【0045】
基板10は、第1端部E1、第2端部E2、第3端部E3および第4端部E4を有している。第1端部E1および第2端部E2は、第2方向Yと平行に延びている。第3端部E3および第4端部E4は、第1方向Xと平行に延びている。
【0046】
図4の例においては、第1ゲート駆動回路GD1が表示領域DAと第1端部E1の間に配置され、第2ゲート駆動回路GD2が表示領域DAと第2端部E2の間に配置され、セレクタ回路STおよび端子部Tが表示領域DAと第3端部E3の間に配置されている。
【0047】
さらに、表示装置DSPは、周辺領域SAに配置された導電層CL(ドット模様を付した部分)およびダム構造DS(斜線模様を付した部分)を備えている。
図4の例においては、導電層CLが表示領域DAを囲っている。また、ダム構造DSが導電層CLを囲っている。ダム構造DSは、例えば、
図3に示した樹脂層13を堰き止める役割を担う。
【0048】
導電層CLは、表示領域DAに配置された隔壁6と接続されている。導電層CLは、第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STと平面視において重なっている。
【0049】
なお、導電層CLは、必ずしも表示領域DAを囲う形状を有する必要はない。例えば、表示領域DAと第3端部E3の間や、表示領域DAと第4端部E4の間に導電層CLが配置されていなくてもよい。
【0050】
図5は、周辺領域SAに配置される他の要素を示す概略的な平面図である。周辺領域SAには、給電線PW(斜線模様を付した部分)および中継配線RL(ドット模様を付した部分)が配置されている。
【0051】
図5においては給電線PWおよび中継配線RLが表示領域DAを囲っているが、この例に限られない。給電線PWおよび中継配線RLは、部分的に重なっている。
【0052】
給電線PWは、第3端部E3の近傍に位置する一対のパッドPDを有している。これらパッドPDは、端子部Tと電気的に接続されている。給電線PWには、端子部Tおよび各パッドPDを通じて共通電圧が供給される。さらに、給電線PWの共通電圧は、中継配線RLに供給される。
【0053】
図6は、
図4において鎖線枠VIで囲った領域の拡大図である。
図7は、
図6におけるVII-VII線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図6においてドット模様を付した領域が導電層CLおよび隔壁6(第1隔壁6xおよび第2隔壁6y)に相当する。導電層CLおよび隔壁6は、同じ材料で同じ製造プロセスにより一体的に形成されている。
【0054】
図6および
図7に示すように、ダム構造DSは、第1凸部R1、第2凸部R2、第3凸部R3および第4凸部R4を有している。第1凸部R1は表示領域DAを囲い、第2凸部R2は第1凸部R1を囲い、第3凸部R3は第2凸部R2を囲い、第4凸部R4は第3凸部R3を囲う。なお、ダム構造DSが有する凸部の数は4つに限定されず、3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0055】
図7に示すように、凸部R1,R2,R3,R4は、有機絶縁層12の端部12aと基板10の第1端部E1の間に位置している。凸部R1,R2,R3,R4は、端部12aと第2端部E2の間、端部12aと第3端部E3の間、端部12aと第4端部E4の間にも位置している。凸部R1,R2,R3,R4は、例えば有機絶縁層12と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0056】
凸部R1,R2,R3,R4のうち隣り合う2つの間隔は、凸部R1,R2,R3,R4のそれぞれの幅よりも大きい。一例として、凸部R1,R2,R3,R4のそれぞれの幅は15~25μmであり、凸部R1,R2,R3,R4のうち隣り合う2つの間隔は25~35μmである。また、凸部R1,R2,R3,R4のそれぞれの高さは3~4μmである。
【0057】
図7の例において、回路層11は、絶縁層31,32,33および金属層41,42,43を備えている。絶縁層31は、基板10を覆っている。金属層41は、絶縁層31の上に配置され、絶縁層32により覆われている。金属層42は、絶縁層32の上に配置され、絶縁層33により覆われている。金属層43は、絶縁層33の上に配置され、有機絶縁層12により覆われている。
【0058】
絶縁層31,32,33は、例えばシリコン窒化物およびシリコン酸化物などの無機材料で形成されている。金属層41,42,43は、例えばモリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン合金(MoW)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)などの金属材料の単層構造または積層構造を有している。
【0059】
第1ゲート駆動回路GD1は、金属層41,42,43や半導体層によって形成されている。
図4に示した第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STや、
図1に示した画素回路1も同様に、金属層41,42,43や半導体層によって形成されている。また、
図1に示した走査線GL、信号線SLおよび電源線PLは、金属層41,42,43のいずれかによって形成されている。
【0060】
凸部R1,R2,R3,R4は、絶縁層33の上に配置されている。リブ5は、周辺領域SAにも配置されている。
図7に示すように、リブ5は、第1凸部R1の側面に接触し、中継配線RLを覆っている。これによれば、導電層CLおよび隔壁6が形成される過程において、中継配線RLおよび給電線PWが損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0061】
導電層CLは、
図3に示した隔壁6と同じく下部61および上部62を含む。導電層CLにおいても、上部62の端部が下部61の側面よりも突出している。
【0062】
図7に示すように、導電層CLの端部CLaは、有機絶縁層12の端部12aと、第1凸部R1との間に位置している。別の表現によれば、
図6に示すように、導電層CLの端部CLaは、表示領域DAと、第1凸部R1との間に位置している。
【0063】
導電層CLの端部CLaは、全周にわたり有機絶縁層12の端部12aと、第1凸部R1との間に位置している。別の表現によれば、
図4に示すように、端部CLaは、全周にわたりダム構造DSの内側に位置している。
図4に示すように、端部CLaは、第1ゲート駆動回路GD1とダム構造DSの間、第2ゲート駆動回路GD2とダム構造DSの間、セレクタ回路STとダム構造DSの間に位置している。
【0064】
図7の例において、給電線PW(第1給電線)は、金属層42によって形成された第1部分P1と、金属層43によって形成された第2部分P2とを有している。第2部分P2は、第1部分P1に接触している。例えば、
図5に示した給電線PWのうち、パッドPDは第1部分P1によって形成され、表示領域DAを囲う部分は少なくとも第2部分P2によって形成されている。
【0065】
中継配線RLは、大部分が有機絶縁層12の上に配置され、リブ5によって覆われている。中継配線RLは、下電極LE1,LE2,LE3と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0066】
中継配線RLは、第1コンタクト部CN1において給電線PWに接続され、第2コンタクト部CN2において導電層CLに接続されている。これにより、導電層CLには、中継配線RLを介して給電線PWの共通電圧が供給される。さらに、導電層CLの共通電圧は、表示領域DAの隔壁6および上電極UE1,UE2,UE3に供給される。
【0067】
第1コンタクト部CN1は、有機絶縁層12の端部12aと、第1凸部R1との間に位置している。第1コンタクト部CN1においては、中継配線RLの下面が給電線PWの第2部分P2に接触し、中継配線RLの上面はリブ5によって覆われている。
【0068】
第1コンタクト部CN1は、例えば
図5において給電線PWと中継配線RLが重なった領域に相当し、表示領域DAを囲っている。但し、第1コンタクト部CN1は、表示領域DAの周囲の少なくとも1か所において途切れていてもよい。
【0069】
図6および
図7に示すように、第2コンタクト部CN2は、リブ5に設けられた複数のコンタクトホールCHaを有している。導電層CLの下部61は、これらコンタクトホールCHaを通じて中継配線RLの上面に接触している。
【0070】
図6の例においては、複数のコンタクトホールCHaがいずれも第1方向Xに長尺に延びるとともに第2方向Yに並んでいる。コンタクトホールCHaの形状および配置はこの例に限られず、種々の態様に変形し得る。
【0071】
図6に示すように、第2コンタクト部CN2は、平面視において第1コンタクト部CN1と表示領域DAの間に位置している。導電層CLの端部CLaは、平面視において第1コンタクト部CN1と重なり、第1凸部R1と離間している。導電層CLの端部CLaは、全周にわたり、平面視において第1コンタクト部CN1と重なり、第1凸部R1と離間している。
【0072】
導電層CLは、第1方向Xおよび第2方向Yに一定の間隔を空けて並んだ複数の開口APaを有している。
図6の例においては、これら開口APaの一部が第2方向Yに隣り合うコンタクトホールCHaの間に位置している。開口APaは、例えば平面視においてコンタクトホールCHaよりも小さい。
【0073】
導電層CLおよび隔壁6の形成に際しては、先ず下部61および上部62の基となる層が表示領域DAおよび周辺領域SAの全体に形成され、これらの層がエッチングにより導電層CLおよび隔壁6の形状にパターニングされる。表示領域DAにおいては各副画素SP1,SP2,SP3に対応する開口(第1隔壁6xと第2隔壁6yで囲われる領域)が多く存在する。表示領域DAと周辺領域SAとでこのような開口の密度が異なると、均一なエッチングの進行を実現できない可能性がある。これに対し、導電層CLに複数の開口APaを設けることにより、表示領域DAと周辺領域SAとでエッチングの進行を均一化することができる。
【0074】
図7に示すように、周辺領域SAには、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEs(第1封止層)が配置されている。
図7の例においては有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsを一つの層として示しているが、実際には上電極UEsが有機層ORsを覆い、キャップ層CPsが上電極UEsを覆っている。有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsは、導電層CLを覆っている。封止層SEsは、有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsを覆っている。封止層SEsの端部は、平面視において、有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsの端部を覆っている。
図7に示すように、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsは、導電層CLの端部CLaの上部62により分断されるため、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsは導電層CLの端部CLaまで配置され一旦途切れる。導電層CLの下部61の側面には少なくとも有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsは配置されておらず、上部62の下側(下部61と接続される側)と下部61の側面の少なくとも一部は封止層SEsと接触している。導電層CLの端部CLaより外側にある有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsはリブ5上で封止層SEsに覆われ、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの端部は導電層CLの端部CLaと第1凸部R1との間に位置している。別の表現によれば、導電層CLの上部62にある有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsとリブ5上にある有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsは導電層CLの端部CLaの上部62の下側及び下部61の領域で分断され、それぞれが独立し封止層SEsによって電気的にも物理的にも絶縁した状態になっている。したがって、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの最外周の端部は、表示領域DAと、第1凸部R1との間に位置している。有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの端部は、全周にわたり導電層CLの端部CLaと、第1凸部R1との間に位置している。
【0075】
有機層ORsは、有機層OR1,OR2,OR3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。上電極UEsは、上電極UE1,UE2,UE3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。キャップ層CPsは、キャップ層CP1,CP2,CP3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。封止層SEsは、封止層SE1,SE2,SE3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。一例では、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsは、それぞれ有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3および封止層SE3と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0076】
樹脂層13(第1樹脂層)は、例えばインクジェット方式により形成される。凸部R1,R2,R3,R4により生じる封止層SEsの凹凸によって、硬化前の樹脂層13の拡がりが抑制される。
図7においては樹脂層13の端部が第2凸部R2の近傍に位置しているが、この例に限られない。樹脂層13は、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsを覆っている。封止層14(第2封止層)は、樹脂層13を覆っている。封止層14は、樹脂層13の端部の外側においては絶縁層33およびダム構造DSと接触している。樹脂層15(第2樹脂層)は、封止層14を全体的に覆っている。封止層14の端部と樹脂層15の端部は、平面視において重なっている。
【0077】
なお、
図6および
図7においては表示領域DAと第1端部E1の間の構造に着目したが、表示領域DAと第2端部E2の間、表示領域DAと第3端部E3の間、および、表示領域DAと第4端部E4の間にも同様の構造を適用できる。
【0078】
以上の本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、表示領域DAに配置された隔壁6が周辺領域SAに配置された導電層CLと接続されている。さらに、隔壁6が副画素SP1,SP2,SP3の上電極UE1,UE2,UE3に接続され、導電層CLが給電線PWに接続されている。このような構造においては、給電線PWの共通電圧を、導電層CLおよび隔壁6を介して上電極UE1,UE2,UE3に供給することができる。
【0079】
以下では、比較例を用いて、本実施形態に係る表示装置DSPの効果についてさらに説明する。なお、比較例は、本実施形態に係る表示装置DSPが奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、本実施形態と比較例とで共通する構成や効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0080】
図8は、比較例に係る表示装置DSP1の概略的な断面図である。なお、
図8においては、表示領域DAと第1端部E1の間の構造のみを示しているが、表示装置DSP1は、表示領域DAと第2端部E2の間、表示領域DAと第3端部E3の間、および、表示領域DAと第4端部E4の間においても同様の構造を有する。
【0081】
比較例に係る表示装置DSP1は、主に、(1)有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsがダム構造DSを覆うように配置され、外部に露出している点と、(2)導電層CLの端部CLaがダム構造DSの第1凸部R1と基板10の端部E1,E2,E3,E4の間に位置している点とで、本実施形態に係る表示装置DSPと相違している。
【0082】
比較例に係る表示装置DSP1のように、周辺領域SAにおいて、有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsがダム構造DSを覆うように配置され、外部に露出している場合、これらの層を通じて表示装置DSP1内部に水分が侵入する可能性がある。この水分がゲート駆動回路GD1,GD2、セレクタ回路ST、給電線PW、画素回路1および表示素子20などに到達すると、表示装置DSP1の動作不良が生じ得る。
【0083】
このため、比較例に係る表示装置DSP1においては、
図8に示すように、導電層CLの端部CLaを、ダム構造DSの第1凸部R1と基板10の端部E1,E2,E3,E4の間に位置させることにより、端部CLaで有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsを分断し、表示装置DSP1内部への水分侵入を抑制している。
【0084】
しかしながら、比較例に係る表示装置DSP1においては、例えば
図8の鎖線枠VIIIで囲まれた領域において封止層SEsに欠陥(例えばクラックなど)が生じると、外部から有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsを通じて導電層CLの端部CLaまで侵入してきた水分が、封止層SEsに生じた欠陥から表示装置DSP1内部に侵入してしまう可能性がある(
図8の矢印AR参照)。
【0085】
これに対し、本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、導電層CLの端部CLaと、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの端部とが、平面視において、有機絶縁層12の端部12aと第1凸部R1の間に位置している。別の表現によれば、導電層CLの端部CLaと、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの端部とが、平面視において、表示領域DAと第1凸部R1の間に位置している。また、導電層CLは有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsによって覆われ、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsは樹脂層13によって覆われている。
【0086】
これによれば、水分の侵入経路になり得る有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsが外部に露出しないため、これらの層を通じた表示装置DSP内部への水分侵入を抑制することができる。また、有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsは導電層CLの端部CLaで分離されているため、これらの層を通じた表示装置DSP内部への水分侵入を更に抑制することができる。結果として、表示装置DSPの水分への耐性が向上する。また、本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、封止層SEsの一部に欠陥が生じたとしても、外部から表示装置DSP内部に水分が侵入し得る経路がないため、封止層SEsの欠陥に伴い表示装置DSP内部に水分が侵入することもない。
【0087】
なお、本実施形態においては、
図7に示したように、基板10の端部E1と、封止層14および樹脂層15の端部とが平面視において重なっていない構造を示したが、表示装置DSPは、
図9に示すように、基板10の端部E1と、封止層14および樹脂層15の端部とが平面視において重なる構造を有していてもよい。つまり、表示装置DSPは、周辺領域SAにおいて、封止層14と絶縁層33が接触している部分であれば、任意の位置(例えば、
図7の第2凸部R2と第3凸部R3の間、
図7の第3凸部R3と第4凸部R4の間等)でカットされて構わない。これによれば、表示装置DSPの狭額縁化を実現させることが可能である。また、この場合であっても、水分の侵入経路になり得る有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsが外部に露出しないため、上述の効果と同様な効果を得ることができる。
【0088】
また、導電層CLの端部CLaと、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの端部とを、有機絶縁層12の端部12aと第1凸部R1の間に位置させる構造は、表示装置DSPがいわゆるタッチパネルの機能を備える場合にも適用できる。
【0089】
図10は、表示装置DSPがタッチパネルの機能を備える場合の構造であって、表示領域DAに配置される要素を示す概略的な断面図である。
図10に示す表示装置DSPは、封止層14の上に、タッチパネル電極TPが配置されている点で、
図3に示した構造と相違している。
【0090】
図10に示すように、タッチパネル電極TPは、隔壁6の上方に位置し、隔壁6に沿って延在する。タッチパネル電極TPは、樹脂層15によって覆われている。タッチパネル電極TPは、例えば、金属材料で形成されている。一例では、タッチパネル電極TPは、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)の積層構造を有している。但し、タッチパネル電極TPは、他の金属材料の積層構造を有してもよいし、単層構造を有してもよい。あるいは、タッチパネル電極TPは、透明導電材料、具体的には、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などで形成されてもよい。
【0091】
図11は、表示装置DSPがタッチパネルの機能を備える場合の構造であって、周辺領域SAに配置される要素を示す概略的な断面図である。
図11に示す表示装置DSPは、封止層14の上にタッチパネル電極TPに接続される配線TLが配置されている点と、配線TLと端子部T(
図11では図示せず)を電気的に接続する給電線PWTが配置されている点とで、
図7に示した構造と相違している。
【0092】
図11に示すように、封止層14の上には、タッチパネル電極TPに接続される配線TLが配置される。配線TLは、樹脂層15によって覆われている。配線TLは、タッチパネル電極TPと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0093】
給電線PWT(第2給電線)は、絶縁層33の上に配置され、第3凸部R3によって覆われている。給電線PWTは、金属層43および給電線PWを構成する第2部分P2と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。給電線PWTは、第3コンタクト部CN3において、配線TLに接続されている。第3コンタクト部CN3は、封止層14および第3凸部R3に設けられたコンタクトホールCHbを有している。配線TLは、コンタクトホールCHbを通じて給電線PWTの上面に接触している。
【0094】
導電層CLの端部CLaと、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsの端部とを、有機絶縁層12の端部12aと第1凸部R1の間に位置させる構造を、タッチパネルの機能を備える表示装置DSPに適用することによれば、ダム構造DSの上に、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび封止層SEsが配置されないため、第3コンタクト部CN3を、ダム構造DSと重なる位置に設けることが可能である。これによれば、第3コンタクト部CN3において、配線TLを樹脂層15で覆って、保護することができる。なお、この場合であっても、水分の侵入経路になり得る有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsが外部に露出しないことに変わりはないため、水分耐性については、上述の効果と同様な効果を得ることができる。
【0095】
以上説明した一実施形態によれば、水分に対する耐性を高めた表示装置DSPを提供することが可能である。
【0096】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、LE1,LE2,LE3…下電極、UE1,UE2,UE3,UEs…上電極、OR1,OR2,OR3,ORs…有機層、SE1,SE2,SE3,SEs…封止層、CL…導電層、PW…給電線、RL…中継配線、DS…ダム構造、R1,R2,R3,R4…凸部、CN1…第1コンタクト部、CN2…第2コンタクト部、CN3…第3コンタクト部、GD1…第1ゲート駆動回路、GD2…第2ゲート駆動回路、ST…セレクタ回路、1…画素回路、5…リブ、6…隔壁、10…基板、12…有機絶縁層、13…樹脂層、14…封止層、15…樹脂層。