(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124096
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】飛行体を用いたエレベーターの点検方法および点検システム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032033
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】長徳 典宏
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA02
3F304BA17
3F304EB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高度な操縦技術を必要とせずに飛行体を用いるエレベーターの点検方法および点検システムを提供する。
【解決手段】点検システム11において、走行指令部18は、飛行体12を載せたかご6を第1位置まで走行させる。飛行指令部20は、かご6の第1位置への停止の情報を走行状態取得部17が取得した後に、飛行体12をかご6の上方でホバリング飛行させる。走行指令部18は、かご6の上方におけるホバリング飛行の開始の情報を飛行状態取得部19が取得した後に、飛行指令部20が飛行体12に昇降路2内の高度を維持して飛行させている間に、第1位置およびその下方の第2位置の間を往復するようにかご6を走行させる。この間に、飛行体12は、撮影装置15で点検対象機器を撮影する。飛行指令部20は、かご6の第1位置への再度の停止の情報を走行状態取得部17が取得した後に、飛行体12をかご6の上に着陸させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごが走行する昇降路においてホバリング飛行が可能で撮影装置を有する飛行体を用いた点検対象機器の点検方法であり、
前記飛行体を載せた前記かごを第1位置まで走行させることと、
前記かごが前記第1位置に停止した後に、前記飛行体を前記かごの上方でホバリング飛行させることと、
前記飛行体が前記昇降路内の高度を維持して飛行しながら前記撮影装置で前記点検対象機器を撮影している間に、前記第1位置および前記第1位置より下方の第2位置の間を往復するように前記かごを走行させることと、
前記かごが前記第1位置に再び停止した後に、前記飛行体を前記かごの上に着陸させることと、
を備える、点検方法。
【請求項2】
前記第1位置は最上階の位置であり、
前記第2位置は最下階の位置である、
請求項1に記載の点検方法。
【請求項3】
前記点検対象機器は、前記かごの走行に伴って移動する前記エレベーターのロープのうち、前記第1位置および前記第2位置を含む範囲において水平方向に異なる位置に配置される第1部分および第2部分であり、
前記第1位置および前記第2位置の間を前記かごが往復するときに、前記飛行体に、
前記かごが前記第1位置から前記第2位置まで走行する間、前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行しながら前記撮影装置で前記ロープの前記第1部分を撮影させ、
前記かごが前記第2位置に停止している間に、前記昇降路内の高度を維持しながら前記第1部分の側から前記第2部分の側に移動させ、
前記かごが前記第2位置から前記第1位置まで走行する間、前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行しながら前記撮影装置で前記ロープの前記第2部分を撮影させる、
請求項1または請求項2に記載の点検方法。
【請求項4】
前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行させるときに、前記撮影装置が撮影する前記点検対象機器の撮影画像を基準とする、
請求項1または請求項2に記載の点検方法。
【請求項5】
前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行させるときに、前記撮影装置が撮影する前記昇降路内に設けられたマーカーの撮影画像を基準とする、
請求項1または請求項2に記載の点検方法。
【請求項6】
エレベーターの昇降路におけるかごの走行状態を取得する走行状態取得部と、
前記かごを走行させる指令信号を出力する走行指令部と、
前記エレベーターの点検対象機器を撮影する撮影装置を有し前記昇降路においてホバリング飛行が可能な飛行体の飛行状態を取得する飛行状態取得部と、
前記飛行体を飛行させる指令信号を出力する飛行指令部と、
を備え、
前記走行指令部は、前記飛行体を載せた前記かごを第1位置まで走行させ、
前記飛行指令部は、前記かごの前記第1位置への停止の情報を前記走行状態取得部が取得した後に、前記飛行体を前記かごの上方でホバリング飛行させ、
前記走行指令部は、前記かごの上方におけるホバリング飛行の開始の情報を前記飛行状態取得部が取得した後に、前記撮影装置で前記点検対象機器を撮影しうるように前記飛行指令部が前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持して飛行させている間に、前記第1位置および前記第1位置より下方の第2位置の間を往復するように前記かごを走行させ、
前記飛行指令部は、前記かごの前記第1位置への再度の停止の情報を前記走行状態取得部が取得した後に、前記飛行体を前記かごの上に着陸させる、
エレベーターの点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体を用いたエレベーターの点検方法および点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの監視システムの例を開示する。監視システムにおいて、昇降路内を飛行するドローンによって、昇降路内におけるかごの状況が撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーターの昇降路内における梁、または昇降路内を走行するかごおよび釣合い錘は、特許文献1のようにエレベーターの昇降路を飛行するドローンなどの飛行体の飛行の際の障害物となりうる。このため、飛行体をエレベーターの点検に用いる場合に、昇降路内の障害物を回避して飛行させるように、自動または手動による高度な飛行体の操縦技術が必要になる。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、高度な操縦技術を必要とせずに飛行体を用いるエレベーターの点検方法および点検システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る点検方法は、エレベーターのかごが走行する昇降路においてホバリング飛行が可能で撮影装置を有する飛行体を用いた点検対象機器の点検方法であり、前記飛行体を載せた前記かごを第1位置まで走行させることと、前記かごが前記第1位置に停止した後に、前記飛行体を前記かごの上方でホバリング飛行させることと、前記飛行体が前記昇降路内の高度を維持して飛行しながら前記撮影装置で前記点検対象機器を撮影している間に、前記第1位置および前記第1位置より下方の第2位置の間を往復するように前記かごを走行させることと、前記かごが前記第1位置に再び停止した後に、前記飛行体を前記かごの上に着陸させることと、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターの点検システムは、エレベーターの昇降路におけるかごの走行状態を取得する走行状態取得部と、前記かごを走行させる指令信号を出力する走行指令部と、前記エレベーターの点検対象機器を撮影する撮影装置を有し前記昇降路においてホバリング飛行が可能な飛行体の飛行状態を取得する飛行状態取得部と、前記飛行体を飛行させる指令信号を出力する飛行指令部と、を備え、前記走行指令部は、前記飛行体を載せた前記かごを第1位置まで走行させ、前記飛行指令部は、前記かごの前記第1位置への停止の情報を前記走行状態取得部が取得した後に、前記飛行体を前記かごの上方でホバリング飛行させ、前記走行指令部は、前記かごの上方におけるホバリング飛行の開始の情報を前記飛行状態取得部が取得した後に、前記撮影装置で前記点検対象機器を撮影しうるように前記飛行指令部が前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持して飛行させている間に、前記第1位置および前記第1位置より下方の第2位置の間を往復するように前記かごを走行させ、前記飛行指令部は、前記かごの前記第1位置への再度の停止の情報を前記走行状態取得部が取得した後に、前記飛行体を前記かごの上に着陸させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る点検方法または点検システムによれば、高度な操縦技術を必要とせずに飛行体を用いてエレベーターの点検を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベーターの点検方法の例を説明する図である。
【
図3】実施の形態1に係るエレベーターの点検方法の例を説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係るエレベーターの点検方法の例を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係るエレベーターの点検方法の例を説明する図である。
【
図6】実施の形態1に係るエレベーターの点検方法の例を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係るエレベーターの点検方法の例を説明する図である。
【
図8】実施の形態1に係る点検システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態1に係る点検システムの主要部のハードウェア構成図である。
【
図10】実施の形態1の変形例に係るエレベーターの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0012】
エレベーター1は、複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。建物の各々の階床において、昇降路2に隣接する乗場3が設けられる。
【0013】
エレベーター1は、巻上機4と、主ロープ5と、かご6と、釣合い錘7と、制御盤8と、を備える。
【0014】
巻上機4は、駆動シーブ9を備える。駆動シーブ9は、エレベーター1のシーブの例である。巻上機4は、図示されないモーターによって駆動シーブ9を回転させる駆動力を発生させる。巻上機4は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、エレベーター1において例えば昇降路2の上方などに機械室が設けられる場合に、巻上機4は機械室に配置されてもよい。
【0015】
主ロープ5は、昇降路2においてかご6および釣合い錘7の荷重を支持する機器である。主ロープ5は、エレベーター1のロープの例である。主ロープ5は、巻上機4の駆動シーブ9に巻きかけられる。この例において、主ロープ5は、駆動シーブ9の近傍に設けられた反らせ車10に巻き掛けられる。反らせ車10は、エレベーター1のシーブの例である。主ロープ5は、駆動シーブ9の一方側においてかご6の荷重を支持する。主ロープ5は、駆動シーブ9の他方側において釣合い錘7の荷重を支持する。主ロープ5のうち、かご6の荷重を支持する部分および釣合い錘7の荷重を支持する部分の一方は、第1部分の例である。主ロープ5のうち、かご6の荷重を支持する部分および釣合い錘7の荷重を支持する部分の他方は、第2部分の例である。主ロープ5は、駆動シーブ9の回転によって、第1部分または第2部分の一方が巻き上げられるように移動する。
【0016】
かご6は、昇降路2を上下方向に走行することで、建物の複数の階床の間で利用者などを輸送する機器である。釣合い錘7は、駆動シーブ9の両側にかかる荷重の釣合いをかご6との間でとる機器である。かご6および釣合い錘7は、巻上機4の駆動シーブ9によって移動する主ロープ5に連動して、上下方向において昇降路2を互いに反対側に走行する。
【0017】
制御盤8は、エレベーター1の動作を制御する機器である。制御盤8によるエレベーター1の動作の制御は、例えばかご6の走行などを含む。制御盤8は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、機械室が設けられる場合に、制御盤8は機械室に配置されてもよい。
【0018】
エレベーター1において、点検システム11が適用される。点検システム11は、エレベーター1に含まれる内部システムであってもよいし、エレベーター1に適用される外部システムであってもよい。点検システム11は、エレベーター1の昇降路2における点検を行うシステムである。点検システム11は、飛行体12と、点検装置13と、データサーバ14と、を備える。
【0019】
飛行体12は、例えば遠隔操作または自動操縦で無人飛行可能なドローンなどである。飛行体12は、例えば、クアッドコプターまたは他のマルチコプターなどの機構によって飛行する。飛行体12は、ホバリング飛行が可能なように構成される。ホバリング飛行は、空中の一定の位置を維持する飛行である。飛行体12は、昇降路2内を飛行可能に構成される。飛行体12は、昇降路2内においてホバリング飛行するときに、昇降路2内における高度を維持しながら空中の一定の位置を維持する。飛行体12は、撮影装置15を備える。撮影装置15は、静止画像または動画像を撮影する装置である。撮影装置15は、例えばカメラなどである。飛行体12は、複数の撮影装置15を備えてもよい。飛行体12は、撮影装置15の向きを変える機構などを備えてもよい。この例において、飛行体12は、エレベーター1の点検の際に、点検作業を行う保守員などによってエレベーター1が適用される建物に持ち込まれる。
【0020】
飛行体12は、例えば、着陸の際にマーカー16などを基準としてもよい。マーカー16は、例えば、かご6の上面などに予め設置される。マーカー16は、撮影装置15の撮影画像によって認識可能な画像を表示するものなどであってもよいし、飛行体12に無線信号などを発信することによって基準となる位置を通知するものであってもよい。マーカー16は、複数設けられていてもよい。
【0021】
点検装置13は、飛行体12を用いたエレベーター1の点検において情報処理などの機能を担う装置である。点検装置13は、例えば、保守員が所持する可搬な情報処理装置などである。点検装置13は、例えばモバイルPC(PC:Personal Computer)またはスマートフォンなどの汎用の情報処理装置であってもよいし、専用の情報処理装置であってもよい。点検装置13は、有線または無線によって制御信号などを通信しうるように、エレベーター1の制御盤8に接続される。点検装置13は、無線によって制御信号などを通信しうるように、飛行体12に接続される。
【0022】
点検装置13は、走行状態取得部17と、走行指令部18と、飛行状態取得部19と、飛行指令部20と、を備える。
【0023】
走行状態取得部17は、かご6の走行状態の情報を取得する機能を搭載する。かご6の走行状態の情報は、例えば、かご6が停止しているか否か、およびかご6の現在位置などの情報を含む。走行指令部18は、かご6を走行させる指令信号を出力する機能を搭載する。走行指令部18は、例えば、走行状態取得部17などが取得した情報に基づいて制御盤8に指令信号を出力する。制御盤8は、走行指令部18から指令信号が入力されるときに、当該指令信号に従ってかご6を走行させる。
【0024】
飛行状態取得部19は、飛行体12の飛行状態の情報を取得する機能を搭載する。飛行体12の飛行状態の情報は、例えば、飛行体12が飛行しているか否か、および飛行体12の現在位置などの情報を含む。飛行状態取得部19は、飛行体12の撮影装置15が撮影する画像の情報を取得してもよい。飛行指令部20は、飛行体12を飛行させる指令信号を出力する機能を搭載する。飛行指令部20は、例えば、飛行状態取得部19などが取得した情報に基づいて飛行体12に指令信号を出力する。飛行体12は、飛行指令部20から指令信号が入力されるときに、当該指令信号に従って昇降路2内を飛行する。
【0025】
データサーバ14は、エレベーター1の点検などの情報を管理する装置である。データサーバ14は、例えば情報センターなどのエレベーター1の情報を管理する拠点に設けられる。データサーバ14は、例えば、1または複数のサーバ装置によって構成される。データサーバ14は、例えば、インターネットなどの情報通信網を通じて点検装置13に接続される。データサーバ14は、データ蓄積部21を備える。データ蓄積部21は、エレベーター1の点検において取得されたデータを蓄積して記憶する機能を搭載する。エレベーター1の点検において取得されたデータは、例えば点検装置13から情報通信網を通じて点検装置13に送信される。データ蓄積部21において、例えば、飛行体12の撮影装置15によって撮影された撮影画像、および当該撮影画像に基づいて判定された点検結果などが記憶される。点検結果の判定は、点検を行う保守員が撮影画像に基づいて判断したものであってもよいし、点検装置13などが撮影画像に基づいて画像処理技術を用いて自動的に判断したものであってもよい。
【0026】
続いて、
図2から
図7を用いて、飛行体12を用いたエレベーター1の点検方法の例を説明する。
図2から
図7は、実施の形態1に係るエレベーター1の点検方法の例を説明する図である。
図2から
図7において、制御盤8、点検装置13、およびデータサーバ14などの図示は省略されている。
【0027】
この例において、エレベーター1の点検対象機器の点検が行われる。点検対象機器は、昇降路2内に配置される機器である。点検対象機器は、例えば、昇降路2の最上部に配置される機器などであってもよい。点検対象機器は、昇降路2内に配置されたエレベーター1のシーブなどであってもよい。点検対象機器は、昇降路2内に配置されたエレベーター1のロープなどであってもよい。点検対象機器は、例えば、図示されない調速機ロープなどを含むエレベーター1のロープであってもよい。この例において、点検対象機器は、主ロープ5である。この例において、主ロープ5のうち、かご6の荷重を支持するかご6側の部分、および釣合い錘7の荷重を支持する釣合い錘7側の部分が点検対象機器として点検される。
【0028】
まず、保守員は、飛行体12をかご6の上面に配置する。保守員は、例えば、飛行体12をかご6の上面のマーカー16の上に配置する。点検装置13が保守員によって持ち込まれる可搬な情報処理装置である場合に、保守員は、点検装置13を制御盤8に接続する。
【0029】
飛行状態取得部19は、飛行体12が飛行していないことを表す飛行状態の情報を取得する。飛行状態取得部19は、かご6の上面のマーカー16の検知などによって、飛行体12がかご6の上面にいることを検知してもよい。
【0030】
その後、
図2に示されるように、走行指令部18は、飛行体12を上面に載せたかご6を第1位置まで走行させる。この例において、第1位置は、最上階の位置である。かご6が第1位置まで走行する間、飛行体12はかご6の上に飛行せずに配置されている。その後、走行状態取得部17は、かご6の第1位置への停止の情報を取得する。
【0031】
その後、
図3に示されるように、飛行指令部20は、飛行体12をかご6の上から離陸させる。飛行指令部20は、飛行体12の撮影装置15を、主ロープ5のかご6側の部分のうち駆動シーブ9または反らせ車10などのシーブから巻き出される部分に向ける。その後、飛行指令部20は、かご6の上方で空中の一定の位置を維持するように、飛行体12をホバリング飛行させる。飛行体12は、撮影装置15による撮影を開始する。この例において、飛行体12は、撮影装置15が撮影する点検対象機器である主ロープ5の撮影画像を基準に、空中の一定の位置を維持する。飛行体12は、撮影画像における主ロープ5の水平方向の位置を基準として空中の一定の位置を維持してもよい。飛行体12は、撮影画像における主ロープ5の周囲に設けられた昇降路2内の機器の画像を基準として空中の一定の位置を維持してもよい。飛行状態取得部19は、ホバリング飛行の開始の情報を取得する。
【0032】
その後、
図4に示されるように、走行指令部18は、かご6を第2位置まで走行させる。第2位置は、第1位置より下方の位置である。この例において、第2位置は、最下階の位置である。走行指令部18は、例えば、第1位置から第2位置までかご6を停止させずに走行させる。かご6が第1位置から第2位置まで走行している間、飛行体12は、昇降路2内の高度を維持して飛行しながら、撮影装置15によって主ロープ5のかご6側の部分のうちシーブから巻き出される部分の撮影を継続する。これにより、かご6が第1位置から第2位置まで走行する間にシーブから巻き出される主ロープ5のかご6側の部分の画像が順次撮影される。撮影装置15の撮影画像は、例えば点検装置13などにおいてリアルタイムで保守員が確認できるように構成されていてもよい。このとき、保守員は、主ロープ5の撮影画像に基づいて、主ロープ5のかご6側に異常がないかの点検を行う。あるいは、例えば点検装置13などにおいて、主ロープ5の撮影画像に基づいて、主ロープ5のかご6側に異常がないかの点検が画像処理技術などよって自動的に行われてもよい。その後、走行状態取得部17は、かご6の第2位置への停止の情報を取得する。
【0033】
その後、
図5に示されるように、飛行指令部20は、飛行体12の撮影装置15を、主ロープ5の釣合い錘7側の部分のうち駆動シーブ9または反らせ車10などのシーブから巻き出される部分に向ける。このとき、飛行指令部20は、昇降路2内の高度を位置しながら水平方向に移動して飛行する。この間、かご6は、第2位置に停止している。その後、飛行指令部20は、かご6の上方で空中の一定の位置を維持するように、飛行体12をホバリング飛行させる。この間、飛行体12は、例えば、撮影装置15による撮影を継続していてもよい。飛行状態取得部19は、ホバリング飛行の再開の情報を取得する。
【0034】
その後、
図6に示されるように、走行指令部18は、かご6を第1位置まで走行させる。走行指令部18は、例えば、第2位置から第1位置までかご6を停止させずに走行させる。かご6が第2位置から第1位置まで走行している間、飛行体12は、昇降路2内の高度を維持して飛行しながら、撮影装置15によって主ロープ5の釣合い錘7側の部分のうちシーブから巻き出される部分の撮影を継続する。これにより、かご6が第2位置から第1位置まで走行する間にシーブから巻き出される主ロープ5の釣合い錘7側の部分の画像が順次撮影される。保守員は、主ロープ5の撮影画像に基づいて、主ロープ5の釣合い錘7側に異常がないかの点検を行う。あるいは、例えば点検装置13などにおいて、主ロープ5の撮影画像に基づいて、主ロープ5の釣合い錘7側に異常がないかの点検が画像処理技術などよって自動的に行われてもよい。その後、走行状態取得部17は、かご6の第1位置への再度の停止の情報を取得する。
【0035】
その後、
図7に示されるように、飛行指令部20は、飛行体12をかご6の上に着陸させる。飛行指令部20は、例えば、かご6の上面に設置されたマーカー16を基準として飛行体12を着陸させてもよい。その後、飛行状態取得部19は、飛行体12の着陸完了の情報を取得する。
【0036】
その後、走行指令部18は、床あわせ運転を行うようにかご6を走行させる。床あわせ運転において、各々の階床の停止位置で乗場3の床面およびかご6の床面の高さが合うように設定される。
【0037】
なお、この例において、点検システム11は、かご6が下方に走行するときに主ロープ5のかご6側の点検を行い、かご6が上方に走行するときに主ロープ5の釣合い錘7側の点検を行っているが、点検の順序はこれに限定されない。例えば、点検システム11は、かご6が下方に走行するときに主ロープ5の釣合い錘7側の点検を行い、かご6が上方に走行するときに主ロープ5のかご6側の点検を行ってもよい。走行指令部18は、かご6を第1位置および第2位置の間で2往復以上走行させてもよい。この場合に、例えば、点検システム11は、1往復目に主ロープ5の釣合い錘7側の点検を行い、2往復目に主ロープ5のかご6側の点検を行ってもよい。例えば、主ロープ5が複数ある場合に、点検システム11は、1往復目においてかご6が下方に走行するときにいずれかの主ロープ5のかご6側の部分の点検を行い、かご6が上方に走行するときに他の主ロープ5のかご6側の部分の点検を行ってもよい。撮影装置15が同時に複数の主ロープ5を撮影できる場合に、点検システム11は、複数の主ロープ5の点検を同時に行ってもよい。また、点検システム11は、主ロープ5の他のロープの点検をあわせて行ってもよい。例えば、点検システム11は、かご6が下方に走行するときに主ロープ5のかご6側および釣合い錘7側の両方の部分の点検を同時に行い、かご6が上方に走行するときに調速機ロープの点検を行ってもよい。
【0038】
続いて、
図8を用いて、点検システム11の動作の例を説明する。
図8は、実施の形態1に係る点検システム11の動作の例を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS1において、走行指令部18は、飛行体12を上面に載せたかご6を最上階まで走行させる指令信号を制御盤8に出力する。その後、走行状態取得部17は、かご6の最上階への停止の情報を取得する。その後、点検システム11の処理は、ステップS2に進む。
【0040】
ステップS2において、飛行指令部20は、かご6上から離陸させる指令信号を飛行体12に出力する。その後、飛行指令部20は、点検対象機器である主ロープ5のかご6側の部分を撮影しうる位置にホバリング飛行させる指令信号を、飛行体12に出力する。その後、点検システム11の処理は、ステップS3に進む。
【0041】
ステップS3において、点検装置13は、ホバリング飛行の開始の情報を飛行状態取得部19が取得したかを判定する。ホバリング飛行の開始の情報が取得されない場合に、点検システム11の処理は、ふたたびステップS3に進む。一方、ホバリング飛行の開始の情報が取得された場合に、点検システム11の処理は、ステップS4に進む。
【0042】
ステップS4において、走行指令部18は、飛行体12が昇降路2内の高度を維持してホバリング飛行している間に、かご6を最下階まで走行させる指令信号を制御盤8に出力する。その後、走行状態取得部17は、かご6の最下階への停止の情報を取得する。その後、点検システム11の処理は、ステップS5に進む。
【0043】
ステップS5において、飛行指令部20は、点検対象の次の位置である主ロープ5の釣合い錘7側の部分を撮影しうる位置まで水平方向に飛行させる指令信号を、飛行体12に出力する。その後、飛行指令部20は、当該位置にホバリング飛行させる指令信号を、飛行体12に出力する。その後、点検システム11の処理は、ステップS6に進む。
【0044】
ステップS6において、走行指令部18は、飛行体12が昇降路2内の高度を維持してホバリング飛行している間に、かご6を最上階まで走行させる指令信号を制御盤8に出力する。その後、走行状態取得部17は、かご6の最上階への再度の停止の情報を取得する。その後、点検システム11の処理は、ステップS7に進む。
【0045】
ステップS7において、飛行指令部20は、かご6上に着陸させる指令信号を飛行体12に出力する。その後、点検システム11の処理は、ステップS8に進む。
【0046】
ステップS8において、点検装置13は、着陸完了の情報を飛行状態取得部19が取得したかを判定する。着陸完了の情報が取得されない場合に、点検システム11の処理は、ふたたびステップS8に進む。一方、着陸完了の情報が取得された場合に、点検システム11の処理は、ステップS9に進む。
【0047】
ステップS9において、走行指令部18は、床あわせ運転の走行を行う指令信号を制御盤8に出力する。その後、点検システム11の処理は、終了する。
【0048】
以上に説明したように、実施の形態1に係る点検システム11は、走行状態取得部17と、走行指令部18と、飛行状態取得部19と、飛行指令部20と、を備える。走行状態取得部17は、昇降路2におけるかご6の走行状態を取得する。走行指令部18は、かご6を走行させる指令信号を出力する。飛行状態取得部19は、飛行体12の飛行状態を取得する。飛行指令部20は、飛行体12を飛行させる指令信号を出力する。走行指令部18は、飛行体12を載せたかご6を第1位置まで走行させる。飛行指令部20は、かご6の第1位置への停止の情報を走行状態取得部17が取得した後に、飛行体12をかご6の上方でホバリング飛行させる。走行指令部18は、かご6の上方におけるホバリング飛行の開始の情報を飛行状態取得部19が取得した後に、飛行指令部20が飛行体12に昇降路2内の高度を維持して飛行させている間に、第1位置およびその下方の第2位置の間を往復するようにかご6を走行させる。この間に、飛行体12は、撮影装置15で点検対象機器を撮影する。飛行指令部20は、かご6の第1位置への再度の停止の情報を走行状態取得部17が取得した後に、飛行体12をかご6の上に着陸させる。
【0049】
このような構成により、点検対象機器を撮影するときに飛行体12はかご6の上方でホバリング飛行を行っているので、障害物を回避して飛行させるような高度な操縦技術が要求されない。このため、高度な操縦技術を必要とせずに飛行体12を用いてエレベーター1の点検を行うことができるようになる。また、点検システム11は、飛行体12への指令信号の出力を自動的に行ってもよい。これにより、エレベーター1の点検の手順を自動化でき、保守員による点検作業の作業負担が軽減され、また点検作業の作業効率が高められる。
【0050】
また、第1位置は最上階の位置であり、第2位置は最下階の位置である。これにより、かご6が昇降路2の全長にわたって走行する間の点検対象機器の状態を撮影できるようになる。これにより、点検対象機器の点検がより確実に行われるようになる。特に、点検対象機器が主ロープ5などのエレベーター1のロープである場合に、当該ロープのより広い範囲の点検が行われるようになる。
【0051】
また、点検対象機器は、主ロープ5のうちの第1部分および第2部分である。ここで、第1部分および第2部分は、昇降路2の第1位置および第2位置を含む範囲において水平方向に異なる位置に配置される部分である。第1部分および第2部分は、例えば主ロープ5のかご6側の部分および釣合い錘7側の部分である。第1位置および第2位置の間をかご6が往復するときに、飛行体12は、かご6が第1位置から第2位置まで走行する間、昇降路2内の高度を維持してホバリング飛行しながら撮影装置15で主ロープ5の第1部分を撮影する。また、飛行体12は、かご6が第2位置に停止している間に、昇降路2内の高度を維持しながら第1部分の側から第2部分の側に飛行して移動する。また、飛行体12は、かご6が第2位置から第1位置まで走行する間、昇降路2内の高度を維持してホバリング飛行しながら撮影装置15で主ロープ5の第2部分を撮影する。撮影装置15によって主ロープ5の第1部分および第2部分が同時に撮影できない場合であっても、往路および復路で異なる部分を撮影することで、点検作業の作業効率がより高められるようになる。
【0052】
また、飛行体12は、昇降路2内の高度を維持してホバリング飛行するときに、撮影装置15が撮影する点検対象機器の撮影画像を基準とする。これにより、飛行体12は、撮影装置15と点検対象機器との相対位置を維持できるようになるので、より安定に点検対象機器の撮影を行うことができるようになる。
【0053】
なお、飛行体12は、昇降路2内の高度を維持してホバリング飛行するときに、撮影装置15が撮影する昇降路2内に設けられたマーカーの撮影画像を基準としてもよい。当該マーカーは、点検対象機器の近傍に予め配置される。これにより、点検対象機器が振動するような場合においても、飛行体12は安定してホバリング飛行できるようになる。ここで、飛行体12がホバリング飛行の基準とするマーカーは、点検対象機器が複数ある場合に、点検対象機器ごとに設けられていてもよい。
【0054】
また、飛行体12は、マーカーおよび点検対象機器の両方の撮影画像を基準としてホバリング飛行を行ってもよい。飛行体12は、ホバリング飛行の際に、例えば加速度センサーなどで計測する加速度に基づいて、空中の一定の位置を維持してもよい。飛行体12は、ホバリング飛行の際に、例えば距離センサーなどで計測する昇降路2内の構造物との間の距離に基づいて、空中の一定の位置を維持してもよい。
【0055】
また、飛行体12は、エレベーター1のかご6の上部に常設されるものであってもよい。このとき、飛行体12は、かご6の上部に設置されているときに、かご6から電力の供給を受けていてもよい。
【0056】
また、点検装置13の機能の一部または全部は、エレベーター1の状態を監視する遠隔監視装置などに搭載されていてもよい。点検装置13の機能の一部または全部は、エレベーター1の状態をデータサーバ14などに出力するゲートウェイ装置などに搭載されていてもよい。点検装置13の機能の一部または全部は、制御盤8またはデータサーバ14などに搭載されていてもよい。エレベーター1が複数のかご6を含む場合に、点検装置13の機能の一部または全部は、複数のかご6への呼びの割当てを行う群管理盤などに搭載されていてもよい。
【0057】
また、飛行体12の操縦の一部または全部は、例えば点検装置13などへの保守員による入力操作を通じた、手動の操縦であってもよい。点検のために必要な飛行体12の操作は、かご6上からの離陸、ホバリング飛行、水平方向の短距離の移動、およびかご6上への着陸などのみであり、昇降路2内の障害物を3次元的に回避しながら飛行するなどの高度な操作は要求されない。このため、高度な手動による操縦技術を必要とせずに飛行体12を用いてエレベーター1の点検を行うことができる。
【0058】
続いて、
図9を用いて、点検システム11のハードウェア構成の例について説明する。
図9は、実施の形態1に係る点検システム11の主要部のハードウェア構成図である。
【0059】
点検システム11の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0060】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、点検システム11の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、点検システム11の各機能を実現する。
【0061】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0062】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0063】
点検システム11の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、点検システム11の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。点検システム11の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで点検システム11の各機能を実現する。
【0064】
続いて、
図10を用いて、実施の形態1の変形例の構成を説明する。
図10は、実施の形態1の変形例に係るエレベーター1の構成図である。
【0065】
かご6は、かごシーブ22を備える。釣合い錘7は、釣合い錘シーブ23を備える。昇降路2の上端部において、2つの返し車24が設けられる。かごシーブ22、釣合い錘シーブ23、および返し車24は、エレベーター1のシーブの例である。巻上機4は、昇降路2の下端部に設けられる。
【0066】
主ロープ5の両端は、昇降路2の上端部において固定される。主ロープ5は、一端から他端にわたって、かごシーブ22、一方の返し車24、駆動シーブ9、他方の返し車24、および釣合い錘シーブ23の順に巻き掛けられる。
【0067】
この例において、点検対象機器は、例えば、各々の返し車24である。飛行体12は、かご6が第1位置および第2位置の間を走行しているとき、撮影装置15をいずれかの返し車24に向けてホバリング飛行する。保守員は、返し車24の撮影画像に基づいて、かご6が走行している間の異常振動などが返し車24にないかの点検を行う。あるいは、例えば点検装置13などにおいて、返し車24の撮影画像に基づいて、当該返し車24に異常がないかの点検が画像処理技術などよって自動的に行われてもよい。点検システム11は、例えば、かご6が下方に走行するときに一方の返し車24の点検を行い、かご6が上方に走行するときに他方の返し車24の点検を行う。
【0068】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
エレベーターのかごが走行する昇降路においてホバリング飛行が可能で撮影装置を有する飛行体を用いた点検対象機器の点検方法であり、
前記飛行体を載せた前記かごを第1位置まで走行させることと、
前記かごが前記第1位置に停止した後に、前記飛行体を前記かごの上方でホバリング飛行させることと、
前記飛行体が前記昇降路内の高度を維持して飛行しながら前記撮影装置で前記点検対象機器を撮影している間に、前記第1位置および前記第1位置より下方の第2位置の間を往復するように前記かごを走行させることと、
前記かごが前記第1位置に再び停止した後に、前記飛行体を前記かごの上に着陸させることと、
を備える、点検方法。
(付記2)
前記第1位置は最上階の位置であり、
前記第2位置は最下階の位置である、
付記1に記載の点検方法。
(付記3)
前記点検対象機器は、前記かごの走行に伴って移動する前記エレベーターのロープのうち、前記第1位置および前記第2位置を含む範囲において水平方向に異なる位置に配置される第1部分および第2部分であり、
前記第1位置および前記第2位置の間を前記かごが往復するときに、前記飛行体に、
前記かごが前記第1位置から前記第2位置まで走行する間、前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行しながら前記撮影装置で前記ロープの前記第1部分を撮影させ、
前記かごが前記第2位置に停止している間に、前記昇降路内の高度を維持しながら前記第1部分の側から前記第2部分の側に移動させ、
前記かごが前記第2位置から前記第1位置まで走行する間、前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行しながら前記撮影装置で前記ロープの前記第2部分を撮影させる、
付記1または付記2に記載の点検方法。
(付記4)
前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行させるときに、前記撮影装置が撮影する前記点検対象機器の撮影画像を基準とする、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の点検方法。
(付記5)
前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持してホバリング飛行させるときに、前記撮影装置が撮影する前記昇降路内に設けられたマーカーの撮影画像を基準とする、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の点検方法。
(付記6)
エレベーターの昇降路におけるかごの走行状態を取得する走行状態取得部と、
前記かごを走行させる指令信号を出力する走行指令部と、
前記エレベーターの点検対象機器を撮影する撮影装置を有し前記昇降路においてホバリング飛行が可能な飛行体の飛行状態を取得する飛行状態取得部と、
前記飛行体を飛行させる指令信号を出力する飛行指令部と、
を備え、
前記走行指令部は、前記飛行体を載せた前記かごを第1位置まで走行させ、
前記飛行指令部は、前記かごの前記第1位置への停止の情報を前記走行状態取得部が取得した後に、前記飛行体を前記かごの上方でホバリング飛行させ、
前記走行指令部は、前記かごの上方におけるホバリング飛行の開始の情報を前記飛行状態取得部が取得した後に、前記撮影装置で前記点検対象機器を撮影しうるように前記飛行指令部が前記飛行体に前記昇降路内の高度を維持して飛行させている間に、前記第1位置および前記第1位置より下方の第2位置の間を往復するように前記かごを走行させ、
前記飛行指令部は、前記かごの前記第1位置への再度の停止の情報を前記走行状態取得部が取得した後に、前記飛行体を前記かごの上に着陸させる、
エレベーターの点検システム。
【符号の説明】
【0069】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 巻上機、 5 主ロープ、 6 かご、 7 釣合い錘、 8 制御盤、 9 駆動シーブ、 10 反らせ車、 11 点検システム、 12 飛行体、 13 点検装置、 14 データサーバ、 15 撮影装置、 16 マーカー、 17 走行状態取得部、 18 走行指令部、 19 飛行状態取得部、 20 飛行指令部、 21 データ蓄積部、 22 かごシーブ、 23 釣合い錘シーブ、 24 返し車、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア