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特開2024-124119光合波器、可視光光源モジュール及び光学エンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124119
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】光合波器、可視光光源モジュール及び光学エンジン
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240905BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20240905BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240905BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240905BHJP
   G02F 1/035 20060101ALN20240905BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
G02B6/12 331
G02B6/125 301
G02B6/122 311
G02B6/12 371
G02B6/12 301
G02B6/12 363
G02B6/42
G02F1/035
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032070
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 靖博
(72)【発明者】
【氏名】原 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】志村 淳
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2H199
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AA04
2H137AA05
2H137AA17
2H137AB11
2H137BA44
2H137BA48
2H137BA54
2H137BB02
2H137BB17
2H137BB21
2H137BC51
2H147AA04
2H147AB02
2H147AB04
2H147AB11
2H147AB17
2H147AC01
2H147BA05
2H147BA11
2H147BB02
2H147BB06
2H147BE01
2H147BE22
2H147CA13
2H147CB03
2H147CD01
2H147CD02
2H147CD09
2H147DA08
2H147EA05A
2H147EA05B
2H147EA13C
2H147EA14C
2H147EA15C
2H147GA10
2H147GA29
2H199CA06
2H199CA29
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA87
2K102AA21
2K102BA01
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD08
2K102CA20
2K102DB04
2K102DC08
2K102DD05
2K102EA03
2K102EA17
2K102EB01
2K102EB20
(57)【要約】
【課題】ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器と接続可能あるいは集積可能であって、従来より小型化が可能な光合波器を提供を提供することである。
【解決手段】本発明の光合波器100は、3個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部50-1と第2MMI型光合波部50-2とが接続された2段MMI型光合波部50を備え、第1MMI型光合波部50-1の幅W1が第2MMI型光合波部50-2の幅W1よりも広い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、
入力側から第1MMI型光合波部と第2MMI型光合波部とが接続されており、
前記第1MMI型光合波部の幅が前記第2MMI型光合波部の幅よりも広い、光合波器。
【請求項2】
前記複数の異なる波長がすべて可視光波長である、請求項1に記載の光合波器。
【請求項3】
前記光合波器は3入力、1出力の光合波器であり、3色のレーザー光を入力し、中央から入力するレーザー光が最も短い波長のレーザー光であるように構成されている、請求項1に記載の光合波器。
【請求項4】
前記3色はそれぞれ、610nm以上750nm以下の赤色波長であり、500nm以上560nm以下の緑色波長であり、435nm以上480nm以下の青色波長である、請求項3に記載の光合波器。
【請求項5】
前記第2MMI型光合波部の、前記第1MMI型光合波部との接続部には前記第1MMI型光合波部に近づくほど幅広のテーパを有する、請求項4に記載の光合波器。
【請求項6】
ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板と、
前記基板の主面に形成された、ニオブ酸リチウム膜からなる光合波機能層と、を備え、
前記光合波器は光合波機能層に形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の光合波器。
【請求項7】
請求項6に記載の光合波器と、前記光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュール。
【請求項8】
請求項6に記載の光合波器と、前記光合波器に接続され、複数の可視光レーザー光源から出射された複数の可視光を前記光合波器に導波するマッハツェンダー型光変調器と、を備える、光変調機能付き光合波器。
【請求項9】
請求項8に記載の光変調機能付き光合波器と、前記光変調機能付き光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュール。
【請求項10】
請求項7に記載の可視光光源モジュールと、
前記可視光光源モジュールから出射された光を、画像表示するように角度を変えて反射する光走査ミラーと、を備える光学エンジン。
【請求項11】
請求項9に記載の可視光光源モジュールと、
前記可視光光源モジュールから出射された光を、画像表示するように角度を変えて反射する光走査ミラーと、を備える光学エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合波器、可視光光源モジュール及び光学エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)等のxR技術において眼鏡型端末が検討されている。特に近年では、二次元的に走査された光をユーザの網膜に結像することで、使用者に画像を視認させる網膜走査ディスプレイが注目されている。網膜走査ディスプレイにおいては、一般的に、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色に対応するLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの光源から出射される3色の可視光が、1つの光軸上に合波される。合波された3色の可視光は画像表示部に伝送される。画像表示部は伝送された光を二次元的に走査して、使用者の瞳孔に入射する。この入射光が使用者の網膜上に結像することで、使用者は画像を視認する。この場合、網膜が画像を表示するスクリーンである。
【0003】
例えば、特許文献1では、マッハツェンダー型光変調器を用いた網膜投影型ディスプレイの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6728596号公報
【特許文献2】特許第6787397号公報
【特許文献3】特許第6572377号公報
【特許文献4】特開2012-48071号公報
【特許文献5】特開2020-27170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている網膜投影型ディスプレイでは、出射部において複数の光導波路が近接されているが、合波はされていないため、波長毎の光軸が異なり、出射光の制御が複雑となる。
【0006】
また、可視光変調器と接続可能あるいは集積可能で、RGBのカラーバランスを調整可能な光合波器が求められているが、現状では全く検討されていない。
【0007】
しかし、特許文献1では、出射部においては近接されているだけで合波はされていない。そのため波長毎の光軸が異なるため出射光の制御が複雑となる。
【0008】
また、特許文献2には、ニオブ酸リチウム膜を用いた可視光の変調器が開示されている。ニオブ酸リチウム膜を用いた可視光変調器と接続可能あるいは集積可能なRGB光合波器が求められているが、未だ検討されていない。
【0009】
可視光の合波については、一般的には方向性結合器が検討されている(例えば、特許文献3参照)。これらはガラス系材料で構成されており安定性に優れているが、Δnの大きなニオブ酸リチウム基板を用いる場合、結合長が長くなり小型化ができない。
【0010】
特許文献4や特許文献5では、MMI(マルチモード干渉計)を用いたRGB合波器の構成が開示されているが、いずれもガラス系の材料であり、ニオブ酸リチウム膜を用いた構成については全く開示されていない。
MMI型光合波器は、光入力側に複数の導波路ポートを用いて複数の入力信号を入力し、光出力側では、出力信号に対して単一の導波路ポートが用いられ、全ての入力信号が合波されて出力信号として出力される。
MMI型光合波器では、各波長ごとに、幅が広い光合波器内で発生する多数のモードが干渉し合い、特定の位置で結像(収束する)するという特性を利用した光合波器である。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器と接続可能あるいは集積可能であって、従来より小型化が可能な光合波器、可視光光源モジュール及び光学エンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
【0013】
本発明の態様1は、複数の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部と第2MMI型光合波部とが接続されており、前記第1MMI型光合波部の幅が前記第2MMI型光合波部の幅よりも広い、光合波器である。
【0014】
本発明の態様2は、態様1の光合波器において、前記複数の異なる波長がすべて可視光波長である。
【0015】
本発明の態様3は、態様1又は2の光合波器において、前記光合波器は3入力、1出力の光合波器であり、3色のレーザー光を入力し、中央から入力するレーザー光が最も短い波長のレーザー光であるように構成されている。
【0016】
本発明の態様4は、態様3の光合波器において、前記3色はそれぞれ、610nm以上750nm以下の赤色波長であり、500nm以上560nm以下の緑色波長であり、435nm以上480nm以下の青色波長である。
【0017】
本発明の態様5は、態様1~4のいずれ一つの光合波器において、前記第2MMI型光合波部の、前記第1MMI型光合波部との接続部には前記第1MMI型光合波部に近づくほど幅広のテーパを有する。
【0018】
本発明の態様6は、態様1~5のいずれ一つの光合波器において、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板と、前記基板の主面に形成された、ニオブ酸リチウム膜からなる光合波機能層と、を備え、前記光合波器は光合波機能層に形成されている。
【0019】
本発明の態様7は、態様6に記載の光合波器と、前記光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュールである。
【0020】
本発明の態様8は、態様6に記載の光合波器と、前記光合波器に接続され、複数の可視光レーザー光源から出射された複数の可視光を前記光合波器に導波するマッハツェンダー型光変調器と、を備える光変調機能付き光合波器である。
【0021】
本発明の態様9は、態様8の光変調機能付き光合波器と、前記光変調機能付き光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュールである。
【0022】
本発明の態様10は、態様7又は態様9のいずれかの可視光光源モジュールと、前記可視光光源モジュールから出射された光を、画像表示するように角度を変えて反射する光走査ミラーと、を備える光学エンジンである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器と接続可能あるいは集積可能であって、従来より小型化が可能な光合波器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る光合波器の一例として3入力型の平面模式図である。
図2】第1実施形態に係る光合波器の他の例として2入力型の平面模式図である。
図3】MMI型光合波器の原理を説明するための図であり、(a)は光合波器の幅W及び実効的な幅Weと、シングルモード及び高次モードの関係、(b)はシングルモード(TM0)、高次モード(TM1)、高次モード(TM2)のそれぞれの導波路断面の電磁界分布のシミュレーション結果を示す図である。
図4】MMI型光合波器の原理を説明するための図であり、(a)赤色(R)光の電磁界分布のシミュレーションを行った結果を示すものであり、(b)は緑色(G)光の電磁界分布のシミュレーションを行った結果を示すものである。
図5】赤色(R)と緑色(G)のレーザー光のそれぞれについて、第1MMI型光合波部、第2MMI型光合波部の長さ及びビート長と、出力強度の関係を示すグラフである。
図6】(a)は従来の1段のMMI型光合波器を概念的に示すものであり、(b)は本実施形態に係る2段構成のMMI型光合波器を概念的に示すものである。
図7】第1実施形態に係る光合波器(3入力型)の他の例の平面模式図である。
図8】第2実施形態に係る光合波器の平面模式図である。
図9】(a)図1に示した構成要素がニオブ酸リチウムからなる光合波機能層に形成されている光合波器の図1のX-X’で切った断面模式図であり、(b)図2に示した構成要素がニオブ酸リチウムからなる光合波機能層に形成されている光合波器の図2のX-X’で切った断面模式図である。
図10】MMI型光合波部の断面が台形形状である場合のYZ面で切った断面模式図である。
図11】MMI型光合波部の基板側にスラブ部を有する場合のYZ面で切った断面模式図である。
図12】MMI型光合波部の断面が台形形状であり、かつ、基板側にスラブ部を有する場合のYZ面で切った断面模式図である。
図13】第4実施形態に係る光合波器の平面模式図である。
図14】第1実施形態に係る可視光光源モジュール(3入力型光合波器備える)の平面模式図である。
図15】第1実施形態に係る可視光光源モジュール(2入力型光合波器備える)の平面模式図である。
図16】第2実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。
図17】本実施形態に係る光学エンジンを説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0026】
〔光合波器(第1実施形態)〕
図1は、第1実施形態に係る光合波器の一例として3入力型を示す平面模式図である。
図1に示す光合波器100は、3個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部50-1と第2MMI型光合波部50-2とが接続された2段MMI型光合波部50を備え、第1MMI型光合波部50-1の幅W1が第2MMI型光合波部50-2の幅W2よりも広い。
図1に示す光合波器100は、3×1のマルチモード干渉(MMI)型光合波器である。光合波器100が合波するレーザー光は例えば、RGBの3個の異なるレーザー光とすることができる。
図1において、X方向は光入射口が配置する側面に対して直交する方向であり、Y方向はX方向に直交する方向であり、Z方向はX方向及びY方向で形成される面に対して直交する方向である。
【0027】
第1MMI型光合波部50-1は光入力側に、第1側面100Aに設けられた3個の光入射口(第1光入射口21-1i、第2光入射口21-2i、第3光入射口21-3i)のそれぞれに接続する第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2、第3光入力側光導波路21-3が接続されている。
一方、第2MMI型光合波部50-2は光出力側に、1個の光出射口22Toに接続する第1光出力側光導波路22Tが接続されている。
図1に示す光合波器100では、入力される3個の異なる波長のレーザー光に対応して3個の入力ポートを有する構成であるが、3個に限定されず、2個又は4個以上の複数の入力ポートを備えた構成とすることができる。
【0028】
3個の波長は互いに異なる可視光波長とすることができる。
【0029】
図2は、第1実施形態に係る光合波器の他の例として2入力型を示す平面模式図である。
図2に示す光合波器110は、2個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部150-1と第2MMI型光合波部150-2とが接続された2段MMI型光合波部150を備え、第1MMI型光合波部150-1の幅W1が第2MMI型光合波部150-2の幅W2よりも広い。
図2に示す光合波器110は、2×1のマルチモード干渉(MMI)型光合波器である。光合波器110が合波するレーザー光は例えば、可視光のうちの2個の異なるレーザー光とすることができる。
【0030】
第1MMI型光合波部150-1は光入力側に、第1側面110Aに設けられた2個の光入射口(第1光入射口121-1i、第2光入射口21-2i)のそれぞれに接続する第1光入力側光導波路121-1、第2光入力側光導波路121-2が接続されている。
一方、第2MMI型光合波部150-2は光出力側に、1個の光出射口122oに接続する第1光出力側光導波路122が接続されている。
【0031】
図3及び図4を用いて、MMI型光合波器の原理を説明する。
図3(a)は、MMI型光合波器の幅WMに発生するシングルモード(v=0)、高次モード(v≧1)を示したものである。Weは実効的なMMI型光合波器の幅であり、0次モード(基本モード)時における、光のモードの滲み出しやグース・ヘンシェンシフトを考慮した実効的なMMI型光合波器の幅で近似されたものである。図3(b)は、シングルモード(TM0)、高次モード(TM1)、高次モード(TM2)のそれぞれの導波路断面の電磁界分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0032】
MMI型光合波器では0次モードから高次モードまでの複数のモードが干渉し合い、MMI型光合波器のある特定の位置(入力端から所定の距離)で結像(収束)するという特性がある。隣接する収束点間の距離あるいは周期(ビート長)Lπはほぼ式(1)に従うことが知られている。式(1)は、0次モードと1次モードの低次2モード間のビート長Lπである。
【0033】
【数1】
・・・(1)
【0034】
式(1)中で、Weは実効的なMMI型光合波器の幅、nはMMI型の実効屈折率、λは入力光の波長である。β、βはそれぞれ、0次モード、1次モードの伝搬定数である。式(1)から、ビート長はMMI型光合波器の幅及び波長に依存することがわかる。
【0035】
電磁界分布がMMI型光合波器内で発生したすべての伝搬モードで2πの位相変化を迎えたとき、光強度分布は入射光強度分布と一致する。この一致(収束)の状態が実現されるまでに要する光伝搬距離を自己投影距離と呼び、一定の伝搬距離3Lπ/4後にLπの周期で収束が繰り返される。
【0036】
図4は、2×1MMI型光合波器(R/Gカプラ)の光の伝搬方向(x方向)に沿った断面の電磁界分布について、シミュレーションソフト(Photon Design社Fimmwave)を用いてシミュレーションを行った結果を示すものである。シミュレーションのモデルは、波長638nmの赤色(R)光が光合波器に入力する入力側導波路のy方向の位置(座標)と光合波器の出力側導波路のy方向の位置(座標)とが同じであり、波長520nmの緑色(G)光が光合波器に入力する入力側導波路のy方向の位置は所定の距離離隔しているものである。明るい色の部分ほど各モードが強く干渉している位置(図中の“strong”)であることを示しており、暗い色の部分ほど各モードが強く干渉していない位置(図中の“weak”)であることを示しており、その中間の色の部分は各モードの干渉の程度がその中間程度である位置(図中の“middle”)であることを示している。
【0037】
図4(a)は、赤色(R)光の電磁界分布のシミュレーションを行った結果を示すものであり、図4(b)は、緑色(G)光の電磁界分布のシミュレーションを行った結果を示すものである。
図4(a)及び図(b)のいずれでも、光合波器の出力ポート近傍に強く干渉している部分を有しており、この位置ができるだけ一致ように(すなわち、できるだけ各入力波長のビート長の整数倍(最小公倍数倍)に近づくように)MMI型光合波器の長さ(X方向の長さ)を設定することが好ましい。ただし、各入力波長の光合波器への入力位置による位相差が影響するため、各入力波長のビート長の整数倍だけでMMI型光合波器の長さを決定できない。
従って、光合波器の長さは各入力波長のビート長の整数倍(最小公倍数倍)にすることを出発的とし、各入力波長の光合波器への入力位置による位相の影響を考慮して調整する必要がある。
【0038】
図5は、赤色(R)と緑色(G)のレーザー光のそれぞれについて、第1MMI型光合波部(1段目)、第2MMI型光合波部(2段目)の長さ及びビート長と、出力強度の関係を示すグラフである。横軸はMMI型光合波部の長さ(L1、L2)であり、縦軸は光強度である。
【0039】
赤色(R)と緑色(G)のビート長は異なる。第1MMI型光合波部及び第2MMI型光合波部の長さを700μm程度とすると、赤色(R)及び緑色(G)ともに出力強度は0.3で合波できる。
【0040】
図6(a)は従来のMMI型光合波器を概念的に示すものであり、図6(b)は本実施形態に係るMMI型光合波器を概念的に示すものである。
図6(a)は、1個のMMI型光合波部A50を備えるMMI型光合波器であり、図6(b)は、入力側から幅広の第1MMI型光合波部50-1と幅狭の第2MMI型光合波部50-2とが接続された2段MMI型光合波部50を備える。
光合波部内の波は干渉の周期(ビート長)を概念的に示すものであり、上式(1)から、干渉の周期(ビート長)は各波長について光合波部の幅の2乗に比例する。従って、図6に示す光合波部内の波は、各波長ごとに、光合波部の幅が広いほどビート長(ビートの周期)が長く、幅が狭いほどビート長(ビートの周期)が短いことを概念的に示すものである。各波長のビート長が短いほど、ビート長の整数倍(最小公倍数倍)となる距離が短くなり、MMI型光合波部の長さを短くすることが可能になる。
【0041】
本実施形態に係る光合波器は図6(b)に示すように、2段のMMI型光合波部のうち、後段のMMI型光合波部の幅(y方向)を前段のMMI型光合波部の幅(y方向)よりも狭くすることによって、後段のMMI型合波部内のビート長が短くなり、光合波器全体として小型化を図ることができる。
【0042】
ここで、後段のMMI型光合波部は出力ポートを1個だけ設ければよいが、前段のMMI型光合波部の幅は複数個の入力ポートを設ける必要があるので、後段のMMI型光合波部ほど幅を狭くすることができない。
例えば、眼鏡型端末に搭載する場合、現状の加工技術等の観点で、前段のMMI型光合波部の幅としては1.9μm以上であることが好ましい。
【0043】
図7は、第1実施形態に係る光合波器の他の例を示す平面模式図である。
図7に示す光合波器101は、3個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部50-1と第2MMI型光合波部50-2とが接続された2段MMI型光合波部50を備えた3×1のマルチモード干渉(MMI)型光合波器であり、第1MMI型光合波部50-1の幅W1が第2MMI型光合波部50-2の幅W2よりも広い点は、図1に示した光合波器100と共通するが、第1側面100Aに設けられた3個の光入射口とこれら3個の光入射口のそれぞれに接続する3個の光入力側光導波路のうち、中央に配置する光入射口及びその光入射口に接続する光入力側光導波路が最も短い波長のレーザー光用として限定されている点が異なる。
【0044】
例えば、3個の異なる波長のレーザー光がそれぞれ、610nm以上750nm以下の赤色波長である赤色レーザー光、500nm以上560nm以下の緑色波長である緑色レーザー光、435nm以上480nm以下の青色波長である青色レーザー光である場合は、第2光入射口21A-2i及び第2光入力側光導波路21A-2が青色レーザー光用であり、第1光入射口21A-1i及び第1光入力側光導波路21A-1、並びに、第3光入射口21A-3i及び第3光入力側光導波路21A-3のいずれか一方が赤色レーザー光用であり、他方が緑色レーザー光用である。
赤色レーザー光と緑色レーザー光の入力位置を、光合波器の、光の伝搬方向に対して直交する方向(y方向)の中心に対して対称な位置として、赤色レーザー光と緑色レーザー光の位相を揃えた状態として赤色レーザー光及び緑色レーザー光のビート長の整数倍を光合波器の長さの調整の出発点として、その後、青色レーザー光のビート長に基づいて、青色レーザー光の出力も大きくできるように光合波器の長さを調整することができる。
RGBの入力ポートの配置としては、赤と緑を左右対称とすると、第2MMI型合波部で赤色と緑色のビート長がそれぞれ短くなり、ビートのピーク位置が重なる干渉位置を第2MMI型光合波部の長さを調整することで選択することができ、中央から青色を入力すると青のビートのピーク位置を赤と緑のビートのピーク位置と重ねることが可能となり、高出力が得られ、結合損失が小さくなるため、この順番の配置が最も結合損失が小さい。
【0045】
〔光合波器(第2実施形態)〕
図8は、第2実施形態に係る光合波器を示す平面模式図である。以下に説明する構成要素について、上記実施形態と同様な機能を有する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図8に示す光合波器102は、3個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部と第2MMI型光合波部とが接続された2段MMI型光合波部を備えた3×1のマルチモード干渉(MMI)型光合波器であり、第1MMI型光合波部の幅が第2MMI型光合波部の幅よりも広い点は図1に示した光合波器100と共通するが、第2MMI型光合波部の、第1MMI型光合波部との接続部には第1MMI型光合波部に近づくほど幅広のテーパを有する点が異なる。
すなわち、図8に示す光合波器102は、3個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器であって、入力側から第1MMI型光合波部51-1と第2MMI型光合波部51-2とが接続された2段MMI型光合波部51を備え、第1MMI型光合波部51-1の幅W1が第2MMI型光合波部51-2の幅W2よりも広く、かつ、第2MMI型光合波部51-2の、第1MMI型光合波部51-1との接続部には第1MMI型光合波部に近づくほど幅広のテーパを有する(テーパ接続部51-2a)。
【0047】
第2MMI型光合波部51-2がテーパ接続部を有する51-2aを有する構成は公知の光合波器の作製方法(半導体プロセスと同様の工程)によって作製することができる。
【0048】
光合波器102においては、第2MMI型光合波部51-2がテーパ接続部51-2aを有することによって、急激なモードの変化が抑制されると共に、加工時に、第1MMI型光合波部51-1と第2MMI型光合波部51-2との間でクラックなどが発生することを防止できる。
【0049】
図8に示した光合波器102は3個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器を例に挙げて説明したが、2個の異なる波長のレーザー光を合波する光合波器がテーパ接続部51-2aに相当するテーパ接続部を備える構成とすることもできる。
【0050】
〔光合波器(第3実施形態)〕
第3実施形態に係る光合波器は、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板と、基板の主面に形成された、ニオブ酸リチウム膜からなる光合波機能層と、を備え、上記実施形態に係る光合波器が光合波機能層に形成されている。以下に説明する構成要素について、上記実施形態と同様な機能を有する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0051】
図9(a)は、図1に示した光合波器100がニオブ酸リチウムからなる光合波機能層に形成されている光合波器200のYZ面(図1のX-X’)で切った断面模式図であり、図9(b)は、図2に示した光合波器110がニオブ酸リチウムからなる光合波機能層に形成されている光合波器210のYZ面(図2のX-X’)で切った断面模式図である。
【0052】
図9(a)に示す光合波器200は、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20と、を備え、上記光入射口、上記光出射口、上記第1MMI型光合波部、上記第2MMI型光合波部、上記第1光入力側光導波路、上記第2光入力側光導波路、上記第3光入力側光導波路、及び、上記第1出力側光導波路が光合波機能層20に形成されている。
同様に、図9(b)に示す光合波器210は、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20と、を備え、上記光入射口、上記光出射口、上記第1MMI型光合波部、上記第2MMI型光合波部、上記第1光入力側光導波路、上記第2光入力側光導波路、及び、上記第1出力側光導波路が光合波機能層20に形成されている。
【0053】
光合波器200及び光合波器210において、導波路コア膜と導波路クラッド膜の屈折率差をΔnとした際に、導波路コア膜をニオブ酸リチウムとするとガラスなどの材料に比べΔnを大きな値に設計でき、光導波路の曲率半径を小さくすることができ、さらにマルチモード干渉型光合波部を用いることで、方向性結合器を用いた場合と比べて結合長の増大を防ぐことにより、設計の自由度の向上と小型化を両立できる。
【0054】
光合波機能層20は、上記光入射口、上記光出射口、上記第1MMI型光合波部、上記第2MMI型光合波部、上記第1光入力側光導波路、上記第2光入力側光導波路、上記第3光入力側光導波路、及び、上記第1出力側光導波路が形成されたニオブ酸リチウム膜からなる導波路コア膜24と、これらを被覆するように導波路コア膜24上に形成される導波路クラッド(バッファ)膜25とからなる。以下、符号24をニオブ酸リチウム膜について用いることもある。
【0055】
基板10としては例えば、サファイア基板、Si基板、熱酸化シリコン基板などを挙げることができる。
光合波機能層20がニオブ酸リチウム(LiNbO)膜からなるので、ニオブ酸リチウム膜より屈折率が低いものであれば特に限定されないが、単結晶ニオブ酸リチウム膜をエピタキシャル膜として形成させることができる基板として、サファイア単結晶基板もしくはシリコン単結晶基板が好ましい。単結晶基板の結晶方位は特に限定されないが、例えば、c軸配向のニオブ酸リチウム膜は3回対称の対称性を有しているので、下地の単結晶基板も同じ対称性を有していることが望ましく、サファイア単結晶基板の場合はc面、シリコン単結晶基板の場合は(111)面の基板が好ましい。
【0056】
ニオブ酸リチウム膜は例えば、c軸配向したニオブ酸リチウム膜である。ニオブ酸リチウム膜は例えば、基板10上にエピタキシャル成長したエピタキシャル膜である。エピタキシャル膜は、下地の基板によって結晶方位が揃えられた単結晶の膜のことである。エピタキシャル膜は、z方向およびxy面内方向に単一の結晶方位をもった膜であり、結晶がx軸、y軸及びz軸方向にともに揃って配向しているものである。基板10上に形成されている膜がエピタキシャル膜かどうかは、例えば、2θ-θX線回折における配向位置でのピーク強度と極点の確認を行うことで証明することができる。
【0057】
具体的には、2θ-θX線回折による測定を行ったとき、目的とする面以外の全てのピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。例えば、ニオブ酸リチウム膜がc軸配向エピタキシャル膜である場合には、(00L)面以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。ここで、(00L)は、(001)や(002)などの等価な面を総称する表示である。
【0058】
また、前述の配向位置でのピーク強度の確認の条件においては、一方向における配向性を示しているのみである。よって、前述の条件を得たとしても、面内において結晶配向がそろっていない場合には、特定角度位置でX線の強度が高まることはなく、極点は見られない。例えば、ニオブ酸リチウム膜がニオブ酸リチウム膜の場合、LiNbOは三方晶系の結晶構造であるため、単結晶におけるLiNbO(014)の極点は3つとなる。ニオブ酸リチウムの場合、c軸を中心に180°回転させた結晶が対称的に結合した、いわゆる双晶の状態にてエピタキシャル成長することが知られている。この場合、3つの極点が対称的に2つ結合した状態になるため、極点は6つとなる。また、(100)面のシリコン単結晶基板上にニオブ酸リチウム膜を形成した場合は、基板が4回対称となっているため、4x3=12個の極点が観測される。なお、本開示では、双晶の状態にてエピタキシャル成長したニオブ酸リチウム膜もエピタキシャル膜に含める。
【0059】
ニオブ酸リチウムの組成は、LiNbAである。Aは、Li、Nb、O以外の元素である。xは、0.5以上1.2以下であり、好ましくは0.9以上1.05以下である。yは、0以上0.5以下である。zは1.5以上4.0以下であり、好ましくは2.5以上3.5以下である。Aの元素は、例えば、K、Na、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Zn、Sc、Ceであり、これらの元素を2種類以上の組み合わせても良い。
さらにニオブ酸リチウム膜としては、基板上に貼り合わせされたニオブ酸リチウム単結晶薄膜であってもよい。
【0060】
ニオブ酸リチウム膜の膜厚は例えば、2μm以下である。ニオブ酸リチウム膜の膜厚とは、リッジ以外の部分の膜厚のことである。ニオブ酸リチウム膜の膜厚は使用する波長やリッジ形状などに応じて適宜最適設計を行えばよい。
【0061】
導波路は、ニオブ酸リチウム膜24の第1面24Aから突出するリッジである。第1面24Aは、ニオブ酸リチウム膜24のリッジ以外の部分(スラブ層)における上面である。
図9(a)及び(b)に示すように、第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2及び第3光入力側光導波路21-3、並びに、第1光入力側光導波路121-1、第2光入力側光導波路121-2の断面形状定形部の断面形状は矩形であるが、光を導波できる形状であればよく、例えば、台形、三角形、半円形等であってもよい。3つのリッジのy方向の幅Waは、0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましく、3つのリッジの高さ(第1面24Aからの突出高さHa)は、例えば、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。その他の光導波路も同様である。
【0062】
第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2及び第3光入力側光導波路21-3、並びに、第1光入力側光導波路121-1、第2光入力側光導波路121-2その他の図1及び図2に示す光導波路のサイズをレーザー光の波長程度とすることによってシングルモードで伝搬することができる。
【0063】
<MMI型光合波部>
(1)台形断面を有するMMI型光合波部(第1MMI型光合波部及び第2MMI型光合波部)
MMI型光合波部(以下、図10図12の説明においては、第1MMI型光合波部及び第2MMI型光合波部に共通する記載として、「MMI型光合波部」と呼称する。)は、図10に示すような、光の進行方向に対して垂直方向に切った断面が台形形状であることが好ましい場合がある。また、この台形形状の傾斜角度θは40°~85°であることが好ましい場合がある。
MMI型光合波部の幅Wの寸法マージンが改善し、最適なMMI型光合波部の幅が大きくなり、加工が容易となるからである。
この結果は、MMI型光合波部の光の進行方向に対して垂直方向に切った断面が台形形状である場合と、矩形形状である場合とで、シミュレーションによってRGB3色の光の伝搬損失を比較して得られたものである。
このシミュレーションで用いたモデルにおいては、MMI型光合波部(リッジ)の高さTを0.7μmとし、また、MMI型光合波部の高さTの1/2での幅をWとし、リッジの中心C-Cを固定して両側にdW/2ずつ(従って、合わせてdW)、下面と傾斜部との間の傾斜角θを固定したまま広げるか、または、縮めて、RGB合波時の伝搬損失のシミュレーションを行った。
θが85°、70°及び40°のとき、マージンはいずれも0.3μmであり、また、最適な第1MMI型光合波部の幅W1は13.2μm、13.2μm、13.5μmであった。
【0064】
(2)スラブ部を有するMMI型光合波部
MMI型光合波部は図11に示すように基板側にスラブ部が設けられてもよい。
図11に示すMMI型光合波部55は、リッジ55-1と、基板側にさらにスラブ部55-2を有する。
スラブ部を有することによって、幅寸法マージンがさらに拡大し、加工がさらに容易になる場合がある。また、最適幅Wがさらに拡大し、加工がさらに容易になる場合がある。MMI型光合波部が図11で示したモデルの構成である場合に、RGB合波時のRGB3色のそれぞれの基本モード(TM0)、高次モード(TM1、TM2)の伝搬損失(dB)のシミュレーションを行った。スラブ部の高さTslabを0.2μmとし、MMI型光合波部の高さTは、リッジ55-1の高さとスラブ部55-2の高さとを足したものとする。第1MMI型光合波部の幅W1は13μmとする。
比較として、スラブ部を有さない場合と、スラブ部を有する場合のそれぞれの光の伝搬損失を比べたところ、スラブ部を有する場合は、スラブ部を有さない場合に比べて、RGBで伝搬損失の差が減少した。また、スラブ部を有する場合からスラブ部を有さない場合の伝搬損失の差から、高次モードの伝搬損失が大きくなり、伝搬が抑制された結果が得られた。従って、スラブ部を設けることがシングルモード化に有効であることがわかった。
【0065】
また、図12に示すように、台形形状の断面を有するMMI型光合波部56がリッジ56-1と、基板側にさらにスラブ部56-2を有してもよい。スラブ部を有することによって、幅寸法マージンがさらに拡大すると共に、最適幅Wがさらに拡大して、加工がさらに容易になる場合がある。
【0066】
〔光合波器(第4実施形態)〕
第4実施形態に係る光合波器は、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板と、基板の主面に形成された、ニオブ酸リチウム膜からなる光合波機能層と、を備え、上記実施形態に係る光合波器と、その光合波器に接続され、複数の可視光レーザー光源から出射された複数の可視光を光合波器に導波するマッハツェンダー型光変調器とが集積して光合波機能層に形成されている。以下に説明する構成要素について、上記実施形態と同様な機能を有する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0067】
図13は、第4実施形態に係る光合波器の平面模式図である。
図13に示す光合波器300は、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10(図9参照)と、基板10の主面に形成された、ニオブ酸リチウム膜からなる光合波機能層20とを備え、光合波機能層20内に、光変調機能付き光合波器300が形成されている。
【0068】
光変調機能付き光合波器300は、上記実施形態に係る3×1型の光合波器50(図1参照)と、マッハツェンダー型光変調器40とを有する。
マッハツェンダー型光変調器40は3個のマッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3を備えているが、第1MMI型光合波部50-1の入力ポートの数に合わせて、2個又は4個以上を備えることができる。
なお、光変調機能付き光合波器300は光合波器としては3×1型の光合波器50を用いる構成であるが、3×1型の光合波器50に替えて、2×1型の光合波器150(図2参照)を用いる構成にすることができる。
【0069】
マッハツェンダー型光変調器40としては公知のマッハツェンダー型光変調器あるいは光導波路を用いることができ、波長と位相のそろった光ビームを2本の対(ペア)となるビームに分割(分波)し、それぞれに異なる位相を与えてから合流(合波)する。位相差の違いによって、合波した光ビームの強度が変わる。
【0070】
図13に示すマッハツェンダー型光導波路40(40-1、40-2、40-3)はそれぞれ、第1光導波路41と第2光導波路42と入力路43と出力路44と分岐部45と結合部46とを有する。
マッハツェンダー型光導波路40-1の第1出力路44は第1MMI型光合波部50-1の第1光入力側光導波路21-1に繋がっている。また、マッハツェンダー型光導波路40-2の第1出力路44は第1MMI型光合波部50-1の第2光入力側光導波路21-2に繋がっている。また、マッハツェンダー型光導波路40-3の第1出力路44は第1MMI型光合波部50-1の第3光入力側光導波路21-3に繋がっている。
図13に示す第1光導波路41及び第2光導波路42は分岐部45の近傍及び結合部46の近傍以外は、x方向に直線状に延びる構成であるが、このような構成に限定されない。図13に示す第1光導波路41と第2光導波路42の長さは、略同一である。分岐部45は、入力路43と第1光導波路41及び第2光導波路42との間にある。入力路43は、分岐部45を介して、第1光導波路41及び第2光導波路42と繋がる。結合部46は、第1光導波路41及び第2光導波路42と出力路44との間にある。第1光導波路41と第2光導波路42とは、結合部46を介して、出力路44と繋がる。
【0071】
電極25,26は、各マッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3(以下、単に「各マッハツェンダー型光導波路40」ということがある。)に変調電圧を印加する電極である。電極25は、第1電極の一例であり、電極26は、第2電極の一例である。電極25の一端は電源131に接続され、他端は終端抵抗132に接続されている。電極26の一端は電源131に接続され、他端は終端抵抗132に接続されている。電源131は、変調電圧を各マッハツェンダー型光導波路40に印加する駆動回路の一部である。電極25,26は図の簡略化のために、マッハツェンダー型光導波路40-3の部分にのみ描いている。
【0072】
電極27、28は、各マッハツェンダー型光導波路40に直流バイアス電圧を印加する電極である。電極27の一端及び電極28の一端は電源133に接続されている。電源133は、直流バイアス電圧を各マッハツェンダー型光導波路40に印加する直流バイアス印加回路の一部である。
電極25,26に直流バイアス電圧を重畳する場合は、電極27、28を設けなくてもよい。また電極25,26、27、28の周囲に接地電極を設けてもよい。
【0073】
〔可視光光源モジュール(第1実施形態)〕
第1実施形態に係る可視光光源モジュールは、本実施形態に係る光合波器と、光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える。
図14は、第1実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。図14では、図9(a)に示す光合波器200(3入力型)を備える可視光光源モジュールの例を示す。また、図15は、図9(b)に示す光合波器210(2入力型)を備える可視光光源モジュールの平面模式図である。
【0074】
図14に示す可視光光源モジュール1000は、第1MMI型光合波部50-1と第2MMI型光合波部50-2とが接続された2段MMI型光合波部50を備える光合波器200と、光合波器200で合波する可視光を出射する3個の可視光レーザー光源30(30-1、30-2、30-3)とを備える。光合波器200はニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10(図9参照)と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20(図9参照)とを備え、側面200Aを有する。図14に示す可視光光源モジュール1000が備える光合波器は光合波器100でもよい。
図14に示した構成要素について、上記と同様な機能を有する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0075】
図15に示す可視光光源モジュール1010は、第1MMI型光合波部150-1と第2MMI型光合波部150-2とが接続された2段MMI型光合波部150を備える光合波器210と、光合波器210で合波する可視光を出射する2個の可視光レーザー光源130(130-1、130-2)とを備える。光合波器210はニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10(図9参照)と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20(図9参照)とを備え、側面210Aを有する。図15に示す可視光光源モジュール1000が備える光合波器は光合波器110でもよい。
図15に示した構成要素について、上記と同様な機能を有する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0076】
可視光レーザー光源30,130としては、各種レーザー素子が使用可能である。例えば、市販の赤色光、緑色光、青色光等のレーザーダイオード(LD)が使用可能である。赤色光は、ピーク波長が610nm以上750nm以下である光が使用可能であり、緑色光は、ピーク波長が500nm以上560nm以下である光が使用可能であり、青色光は、ピーク波長が435nm以上480nm以下である光が使用可能である。
可視光光源モジュール1000において、可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3をそれぞれ、緑色光を発するLD、青色光を発するLD、及び赤色光を発するLDとする。LD30-1、30-2、30-3は、それぞれのLDから発せられる光の出射方向に略直交する方向において互いに間隔をあけて配置され、サブキャリア120の上面に設けられている。
可視光光源モジュール1010において、可視光レーザー光源130-1、130-2をそれぞれ、例えば、緑色光を発するLD及び赤色光を発するLDとすることができる。LD130-1、130-2は、それぞれのLDから発せられる光の出射方向に略直交する方向において互いに間隔をあけて配置され、サブキャリア220の上面に設けられている。
【0077】
可視光光源モジュール1000及び1010では、可視光レーザー光源の個数が2個と3個の場合を例示したが、複数であれば2個又3個に限定されず、4個以上であってよい。複数の可視光レーザー光源は発光する光の波長がすべて異なるものでもよいし、また、発光する光の波長が同じ可視光レーザー光源があっても構わない。また、発光する光は赤(R)、緑(G)、青(B)以外の光も使用可能であり、図面を用いて説明した赤(R)、緑(G)、青(B)の搭載順についても、この順である必要性はなく適宜変更可能である。
【0078】
LD30は、ベアチップでサブキャリア120に実装可能である。同様に、LD130は、ベアチップでサブキャリア220に実装可能である。サブキャリア120、220は、例えば窒化アルミニウム(AlN)や、酸化アルミニウム(Al)、シリコン(Si)等で構成されている。
【0079】
サブキャリア120、220は、金属接合層を介して基板10と直接接合された構成とすることができる。この構成によって、空間結合やファイバ結合をしないことによりさらに小型化が可能となる。
サブキャリア120と基板10とを金属接合層を介して接合する構成とすることにより、製造時にサブキャリア120と基板10との相対位置を調整して、各可視光レーザーの光軸が第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2、第3光入力側光導波路21-3のそれぞれ軸線に合致するように、レーザー光の光軸位置のアライメントを行うことができる(アクティブアライメント)。サブキャリア220と基板10とを金属接合層を介して接合する構成の場合も同様でわる。
【0080】
可視光光源モジュール1000において、第1MMI型光合波部50-1の3個の第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2、第3光入力側光導波路21-3は各LD30(30-1、30-2、30-3)の出射口と対向し、各LD30の出射面から出射された光が第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2、第3光入力側光導波路21-3に入射可能に位置決めされている。第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2、第3光入力側光導波路21-3のそれぞれ軸線は、各LD30の出射口から出射されるレーザー光の光軸と略重なっている。このような構成及び配置によって、LD30-1,30-2,30-3から発せられる青色光、緑色光、赤色光は、第1MMI型光合波部50-1の3個の第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2、第3光入力側光導波路21-3に入射可能である。
可視光光源モジュール1010においても同様であり、第1MMI型光合波部150-1の2個の第1光入力側光導波路121-1、第2光入力側光導波路121-2は各LD130(130-1、130-2)の出射口と対向し、各LD130の出射面から出射された光が第1光入力側光導波路121-1、第2光入力側光導波路121-2に入射可能に位置決めされている。
【0081】
可視光光源モジュール1000において、LD30の光出射面31と光合波器200の光入射面(側面)200Aとは、所定の間隔で配置されている。光入射面200Aは光出射面31と対向しており、x方向において光出射面31と光入射面200Aとの間には隙間Sがある。可視光光源モジュール1000は空気中に露出されているので、隙間Sには空気が満ちている。隙間Sが同じガス(空気)で充填された状態となるため、LD30から出射された各色光を所定の結合効率を満たした状態で入射路に入射させることが容易である。可視光光源モジュール1000がARグラス、VRグラスに用いられる場合、ARグラス、VRグラスで求められる光量等をふまえると、隙間(間隔)Sのx方向の大きさは、例えば0μmより大きく、5μm以下である。
可視光光源モジュール1010においても同様であり、LD130の光出射面131と光合波器210の光入射面(側面)210Aとは、所定の間隔で配置されている。光入射面210Aは光出射面131と対向しており、x方向において光出射面131と光入射面210Aとの間には隙間Sがある。
【0082】
〔可視光光源モジュール(第2実施形態)〕
図16は、第2実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。
図16に示す可視光光源モジュール2000は、図13に示した光変調機能付き光合波器300と、光変調機能付き光合波器300で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源30(30-1、30-2、30-3)とを備える。光合波器300はニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10(図9参照)と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20(図9参照)とを備え、側面300Aを有する。
図16に示した構成要素について、上記と同様な機能を示す構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
なお、可視光光源モジュール2000は光合波器としては3×1型の光合波器50を用いる構成であるが、3×1型の光合波器50に替えて、2×1型の光合波器150(図2参照)を用いる構成にすることができる。
【0083】
可視光光源モジュール2000は、可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3の数と同数の3個のマッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3を有する。可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3とマッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3とは、可視光レーザー光源から出射された光が対応するマッハツェンダー型光導波路に入射するように位置決めされている。
【0084】
可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3が実装されたサブキャリア120と、光変調機能付き光合波器300を有する光合波機能層20が形成された基板10とを金属接合層を介して直接接合された構成とすることができる。この構成によって、空間結合やファイバ結合をしないことによりさらに小型化が可能となる。
また、製造時にサブキャリア120と基板10との相対位置を調整して、各可視光レーザーの光軸がマッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3のそれぞれの入力路43の軸線に合致するように、レーザー光の光軸位置のアライメントを行うことができる(アクティブアライメント)。
【0085】
光合波機能層20のサイズは、例えば、100mm以下である。光合波機能層20のサイズが100mm以下であれば、ARグラスやVRグラス等のxRグラス用として適している。
【0086】
光合波機能層20は、公知の方法で作製できる。例えばエピタキシャル成長、フォトリソグラフィ、エッチング、気相成長及びメタライズなどの半導体プロセスを用いて、光合波機能層20は製造される。
【0087】
ARグラスやVRグラス等のxRグラス用として本発明に係る可視光光源モジュールを適用する場合、光合波器を構成する第1MMI型光合波部及び第2MMI型光合波部の幅は例えば、1~1000μm程度とすることが好ましく、また、その長さは例えば、10~10000μm程度とすることが好ましい。
【0088】
例えば、網膜投影型ディスプレイにおいて、所望の色で画像を表示するためには、可視光を表現するRGBの3色の各々の強度を独立に高速に変調する必要がある。かかる変調を可視光レーザー光源(電流変調)だけ行うと、それらの変調を制御するICの負荷が大きくなってしまうが、マッハツェンダー型光変調器40(光変調機能付き光合波器300)による変調(電圧変調)も併用することが可能となる。この場合は、粗調整を電流(可視光レーザー光源)で行い、微調整を電圧(マッハツェンダー型光変調器40)で行ってもよいし、また、粗調整を電圧(マッハツェンダー型光変調器40)で行い、微調整を電流(可視光レーザー光源)で行ってもよい。微調整を電圧で行う方が応答性がよいので、応答性を重視する場合には前者を採用し、微調整を電流で行う方が低い電流で済むため消費電力を抑制するため、消費電力の抑制を重視する場合には後者を採用することが好ましい。
【0089】
〔光学エンジン〕
本明細書において、光学エンジンとは、複数の光源と、複数の光源から出射された複数の光を1本の光にする合波部を含む光学系と、光学系から出射された光を画像表示するように角度を変えて反射する光走査ミラーと、光走査ミラーを制御する制御素子とを含む装置である。
【0090】
図17に、本実施形態に係る光学エンジン5001を説明するための概念図に示す。図示したのは、光学エンジン5001がメガネ10000のフレーム10010に装備された状態を示すものである。符号Lは画像表示光である。
【0091】
光学エンジン5001は、可視光光源モジュール1001と、光走査ミラー3001とを有する。光学エンジン5001が備える可視光光源モジュール1001としては、上述の実施形態に係る可視光光源モジュールを用いる。
【0092】
メガネフレームに取り付けられた可視光光源モジュール1001から照射されたレーザー光は光走査ミラーで反射、走査されて人の目の中に入り、網膜に直接画像(映像)が投影される。
【0093】
光走査ミラー3001は例えば、MEMSミラーである。2D画像を投影するためには、水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)に角度を変えてレーザー光を反射するように振動する2軸MEMSミラーであることが好ましい。
【0094】
光学エンジン5001は、可視光光源モジュール1001から出射したレーザー光を光学的に処理する光学系として、コリメータレンズ2001aと、スリット2001bと、NDフィルタ2001cとを有する。この光学系は一例であって、他の構成であってもよい。
【0095】
光学エンジン5001は、レーザードライバ1100、光走査ミラードライバ1200、及び、これらのドライバを制御するビデオコントローラ1300を有する。
【実施例0096】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0097】
<3入力1出力型>
図1に示した幅広のMMI型光合波部及び幅狭のMMI型光合波部の2段構成の光合波器のモデルのRGB3色の光の結合損失(入力時の光強度が2段構成のMMI型光合波器を透過した後の出力時の光強度の損失)を、シミュレーションによって1段構成の光合波器のモデルと比較した。シミュレーションソフトはFimmwave(Photon Design社)を用いた。
【0098】
(比較例1)
本発明に係る、MMI型光合波部の2段構成の光合波器に対して、比較例として以下の寸法の1段のMMI型光合波部の光合波器を用いて、シミュレーションを行った。
MMI型光合波部の幅:13μm
MMI型光合波部の長さ:5552μm
また、RGB3色の入力の配置において、中央の入力を青色(B)とした。
結合損失はRGBの順に、6.0dB、6.0dB、6dBであった。
【0099】
(実施例1~実施例9)
実施例1~実施例9は、1段目のMMI型光合波部の長さが325μm程度であり、2段目のMMI型光合波部の長さが670μm程度であり、2段合わせて995μm程度とした場合である。
【0100】
実施例2は以下の寸法とした。
1段目のMMI型光合波部の幅:13μm
2段目のMMI型光合波部の幅:7μm
1段目のMMI型光合波部の長さ:325μm
2段目のMMI型光合波部の長さ:670μm
また、RGB3色の入力の配置において、中央の入力を青色(B)とした。
結合損失はRGBの順に、4.6dB、4.7dB、3.9dBであった。
【0101】
実施例1、3~9は、実施例2の各寸法を±にふったものである。
実施例1、3はそれぞれ、実施例2に対して1段目のMMI型光合波部の長さを10μm短くしたもの、10μm長くしたものである。
実施例4、5はそれぞれ、実施例2に対して2段目のMMI型光合波部の長さを9μm短くしたもの、8μm長くしたものである。
実施例6、7はそれぞれ、実施例2に対して1段目のMMI型光合波部の幅を0.3μm広くしたもの、0.2μm狭くしたものである。
実施例8、9はそれぞれ、実施例2に対して2段目のMMI型光合波部の幅を0.18μm狭くしたもの、0.25μm広くしたものである。
それぞれの実施例の結合損失は表1に示した通りである。
【0102】
(実施例10~実施例18)
実施例10~実施例18は、1段目のMMI型光合波部の長さが345μm程度であり、2段目のMMI型光合波部の長さが680μm程度であり、2段合わせて1025μm程度とした場合である。
【0103】
実施例10は以下の寸法とした。
1段目のMMI型光合波部の幅:13μm
2段目のMMI型光合波部の幅:7μm
1段目のMMI型光合波部の長さ:345μm
2段目のMMI型光合波部の長さ:680μm
また、RGB3色の入力の配置において、中央の入力を青色(B)とした。
結合損失はRGBの順に、5.0dB、5.1dB、3.5dBであった。
【0104】
実施例11~18は、実施例10の各寸法を±にふったものである。
実施例11、12はそれぞれ、実施例10に対して1段目のMMI型光合波部の長さを10μm短くしたもの、13μm長くしたものである。
実施例13,14はそれぞれ、実施例10に対して2段目のMMI型光合波部の長さを10μm短くしたもの、15μm長くしたものである。
実施例15,16はそれぞれ、実施例10に対して1段目のMMI型光合波部の幅を0.5μm広くしたもの、0.5μm狭くしたものである。
実施例17,18はそれぞれ、実施例10に対して2段目のMMI型光合波部の幅を0.3μm狭くしたもの、0.4μm広くしたものである。
それぞれの実施例の結合損失は表1に示した通りである。
【0105】
(実施例19~実施例27)
実施例19~実施例27は、1段目のMMI型光合波部の長さが340μm程度であり、2段目のMMI型光合波部の長さが710μm程度であり、2段合わせて1050μm程度とした場合である。
【0106】
実施例19は以下の寸法とした。
1段目のMMI型光合波部の幅:13μm
2段目のMMI型光合波部の幅:7μm
1段目のMMI型光合波部の長さ:340μm
2段目のMMI型光合波部の長さ:710μm
また、RGB3色の入力の配置において、中央の入力を青色(B)とした。
結合損失はRGBの順に、5.3dB、5.0dB、4.9dBであった。
【0107】
実施例20~27は、実施例19の各寸法を±にふったものである。
実施例20,21はそれぞれ、実施例19に対して1段目のMMI型光合波部の長さを16μm短くしたもの、20μm長くしたものである。
実施例22,23はそれぞれ、実施例19に対して2段目のMMI型光合波部の長さを30μm短くしたもの、40μm長くしたものである。
実施例24,25はそれぞれ、実施例19に対して1段目のMMI型光合波部の幅を0.6μm広くしたもの、0.6μm狭くしたものである。
実施例26,27はそれぞれ、実施例19に対して2段目のMMI型光合波部の幅を0.5μm狭くしたもの、0.5μm広くしたものである。
それぞれの実施例の結合損失は表1に示した通りである。
【0108】
(実施例28~実施例29)
実施例28~実施例29はそれぞれ、RGB3色の入力の配置にについて中央の入力を赤色(R)、緑色(G)としたものであり、それぞれの寸法は以下の通りである。
【0109】
実施例28は以下の寸法とした。
1段目のMMI型光合波部の幅:13μm
2段目のMMI型光合波部の幅:7μm
1段目のMMI型光合波部の長さ:480μm
2段目のMMI型光合波部の長さ:950μm
結合損失はRGBの順に、5.0dB、7.0dB、5.0dBであった。
【0110】
実施例29は以下の寸法とした。
1段目のMMI型光合波部の幅:13μm
2段目のMMI型光合波部の幅:7μm
1段目のMMI型光合波部の長さ:480μm
2段目のMMI型光合波部の長さ:480μm
結合損失はRGBの順に、6.5dB、5.0dB、5.0dBであった。
【0111】
<2入力1出力型>
図2に示した幅広のMMI型光合波部及び幅狭のMMI型光合波部の2段構成の光合波器のモデルのRG2色の光の結合損失(入力時の光強度が2段構成のMMI型光合波器を透過した後の出力時の光強度の損失)を、シミュレーションによって1段構成の光合波器のモデルと比較した。
【0112】
(比較例2)
比較例2は以下の寸法とした。
MMI型光合波部の幅:6.5μm
MMI型光合波部の長さ:850μm
結合損失はRG共に、3.5dBであった。
【0113】
(実施例30)
実施例30は以下の寸法とした。
1段目のMMI型光合波部の幅:6.5μm
2段目のMMI型光合波部の幅:3.5μm
1段目のMMI型光合波部の長さ:160μm
2段目のMMI型光合波部の長さ:390μm
1段目及び2段目のMMI型光合波部の合計長さ:550μm
結合損失はRGの順に、3.0dB、3.5dBであった。
【0114】
【表1】
【0115】
以上のシミュレーションを行うにあたって、光合波器モデルの寸法は以下のルールに基づいて決定した。
RGBの3色のうち、まず2色で、2色とも光強度が0.3以上となるMMIの寸法をビート長Lπの最小公倍数から算出する。算出した寸法でMMIを固定し、残りの1色の光強度を算出し、その強度が最大となる寸法を最適寸法とする。
【0116】
上記ルールに基づいて光合波器モデルの寸法を決定したところ、3×1型の光合波器である実施例1~29のいずれの光合波器についても、1段目及び2段目のMMIの合計長さは1000μm程度であり、比較例1のMMIの長さ(5552μm)の1/5程度であった。
特に、RGBのうち、中央に配置するレーザー光を青色(B)とした実施例1~27については、1段目及び2段目のMMIの合計長さは950μm~1050μmであり、かつ、結合損失についてもRGBいずれも比較例1に比べてよいか、又は同じであった。すなわち、実施例1~27については結合損失を犠牲にせずに、MMIの合計長さを大幅に小さくできた。なお、MMIの幅については、実施例6、15、24でそれぞれ、比較例の幅より0.3μm、0.5μm、0.6μmが大きい場合を確認したところ、RGBの3色のうち、2色で結合損失の大幅な低下を得られており、MMIの幅をわずかに犠牲にしただけで大幅な低下を得られた。
【0117】
2×1型の光合波器である実施例30についても、1段目及び2段目のMMIの合計長さは550μmであり、比較例2のMMIの長さ(850μm)に比べて30%以上短くできた。
【符号の説明】
【0118】
10 基板
20 光合波機能層
30、130 可視光レーザー光源
40 マッハツェンダー型光変調器
50、51、150 2段MMI型光合波部
50-1、51-1、150-1 第1MMI型光合波部
50-2、51-2、150-2 第2MMI型光合波部
100,101、102、200、210 光合波器
300 光変調機能付き光合波器
1000、1010、2000 可視光光源モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17