(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012412
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】局所と局部の麻酔と鎮痛
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4164 20060101AFI20240123BHJP
A61P 23/02 20060101ALI20240123BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/245 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K31/4164
A61P23/02
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K9/12
A61K31/245
A61K31/46
A61K31/445
A61K31/381
A61K31/167
A61K31/137
A61K31/485
A61K31/573
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184958
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2021169040の分割
【原出願日】2016-11-07
(31)【優先権主張番号】62/251,162
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518063595
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ルイヴィル リサーチ ファウンデーション,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF LOUISVILLE RESEARCH FOUNDATION, INC.
【住所又は居所原語表記】University of Louisville, Office of Technology Transfer, 300 East Market Street, Suite 300, Louisville, Kentucky 40202-1959, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】ペトリューシカ,ジェフリー,シー.
(72)【発明者】
【氏名】トレント,ジョン,オー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象者の神経組織内の局所あるいは局部の麻酔または鎮痛を生じさせることに役立つ方法を提供する。
【解決手段】式(I)の化合物またはその医薬的に許容な塩の有効量を神経に投与することを含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の:
5-(2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ビニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(プロペ-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-アリル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ブチル-2、3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾ-ル、5-(5-クロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾ-ル、2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノール、2-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)プロパン-2-オール、2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボニトリル、5-(5-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5,6-ジクロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-クロロ-2-エチル-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-エチル-6-フルオロ-2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、5-(2-エチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(メトキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノン、5-(2,3-ジヒドロ-1-メチル-1H-インデン-1-イル)-1H-イミダゾール、5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-1H-イミダゾールおよび5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-イミダゾールからなる群から選択される、化合物またはその医薬的に許容な塩の有効量を神経に投与することを含む、神経の麻酔を生じさせる方法。
【請求項2】
前記神経が対象者の中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物が
【化1】
である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
次の:
5-(2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、 5-(2-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H
-イミダゾール、5-(2-エチル-5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ビニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(プロペ-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-アリル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾ-ル、5-(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、 5-(5-クロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H
-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-(1H-イミダゾ-ル-5-イル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノール、2-(2-(1H-イミダゾ-ル-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)プロパン-2-オール、2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボニトリル、5-(5-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5,6-ジクロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル-1H-イミダゾール、5-(5-クロロ-2-エチル-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-エチル-6-フルオロ-2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、5-(2-エチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(メトキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノン、5-(2,3-ジヒドロ-1-メチル-1H-インデン-1-イル)-1H-イミダゾール、5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-1H-イミダゾールおよび5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-イミダゾールからなる群から選択される、化合物またはその医薬的に許容な塩の有効量を対象者に投与することを含む、対象者の神経組織内で局所と局部の麻酔と鎮痛を生じさせる方法。
【請求項5】
対象者が局所麻酔あるいは鎮痛を必要とすることを特定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
神経障害性、炎症性、手術後の、外傷誘導性、内臓膨張誘導性、神経変性、癌誘導性および組織変性誘導性の、痛みあるいは知覚不全から選択される状態の治療が必要であるとして対象者を特定することをさらに含む、請求項2~5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
対象者がアミノエステルおよび/またはアミノアミド局所麻酔薬への抵抗性あるいはアレルギーを有するとして対象者を特定することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
抵抗性あるいはアレルギーがアミノエステル局所麻酔薬に対してである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
対象者が肝臓病を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抵抗性あるいはアレルギーがアミノアミド局所麻酔薬に対してである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
対象者が非定型の血漿偽性コリンエステラ-ゼを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象者が保持された運動機能のあるレベルを必要とする、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
対象者が歯科の患者である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
化合物が歯科処置に優先して投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象者が産科患者である、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
化合物が陣痛の間に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
対象者が目の痛みを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
対象者が目の外傷、眼科手術、目のびらんまたはドライアイ症に関連する治療を必要とする、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
対象者が開放創を有する、前記請求項4に記載の方法。
【請求項20】
化合物が開放創に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象者が外傷、熱傷、褥瘡-、表皮水疱症(EB)からなる群から選択される状態を有
する、請求項4に記載の方法。
【請求項22】
対象者が手術中の洗浄を受けている、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
化合物が開放創に投与される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
対象者が動物であり、化合物が処置に優先して投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項25】
動物が投与されるための処置が一般的な鎮静剤の処置である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
一般的な鎮静剤がアルファ-2型鎮静剤ではない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第二の麻酔薬を投与することをさらに含む、請求項2または4に記載の方法。
【請求項28】
第二の麻酔薬がアミノエステルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アミノエステルがベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメソカイン/ラロカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン(ノボカイン)、プロパラカインおよびテトラカイン(アメソカイン)からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第二の麻酔薬がアミノアミドである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
さらにアミノアミドを投与することを含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
アミノアミドがアルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン(ジブカイン)、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカインおよびトリメカインからなる群から選択される、前記請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
アミノエステルおよびアミノアミドから選択される第二の麻酔薬と一緒の化合物の投与が相乗効果を生じる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
アルファ2-補助剤ではない補助剤を投与することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項35】
化合物が
【化2】
である、前記請求項4または34に記載の方法。
【請求項36】
補助剤がエピネフリン、エピネフリン、麻薬、ブプレノフィン、筋弛緩剤、非ステロイド性抗炎症剤、ヒアルロニダ-ゼ、重炭酸塩およびデキサメタゾンから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
対象者が傷ついた感覚ニューロンを含む神経組織内の局所麻酔または鎮痛を必要とする、請求項4に記載の方法。
【請求項38】
化合物が注射あるいは局所的に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項39】
局所投与が目の局所投与である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
次の:
5-(2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ビニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(プロペ-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-アリル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-クロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノ-ル、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノール、2-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)プロパン-2-オール、2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボニトリル、5-(5-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5、6-ジクロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-クロロ-2-エチル-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-エチル-6-フルオロ-2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、5-(2-エチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(メトキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノン、5-(2,3-ジヒドロ-1-メチル-1H-インデン-1-イル)-1H-イミダゾール、5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-1H-イミダゾールおよび5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-イミダゾールからなる群から選択される、化合物またはその医薬的に許容な塩ならびに第二の局所麻酔薬を含む、対象者の神経組織内の局所の麻酔または鎮痛を生じさせるためのおよび/または対象者の神経障害の痛みを治療するための医薬組成物。
【請求項41】
第二の局所麻酔薬がアミノエステルである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
第二の局所麻酔薬がアミノアミドである、請求項40に記載の組成物。
【請求項43】
アルファ2-補助剤でない保持助剤をさらに含む、請求項40~42のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項44】
化合物が
【化3】
である、請求項40または43に記載の化合物。
【請求項45】
補助剤が、エピネフリン、麻薬、ブプレノフィン、筋弛緩剤、非ステロイド性抗炎症剤(トラド-ルのような)、ヒアルロニダ-ゼ、重炭酸塩およびデキサメタゾンから選択される、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
次の:
5-(2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ビニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(プロペ-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-アリル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-クロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノール、2-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)プロパン-2-オール、2-(1H-イミダゾ-ル-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボニトリル、5-(5-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5、6-ジクロロ-2-エチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-クロロ-2-エチル-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、 5-(2-エチル-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、2-エチル-6-フルオロ-2-(1H-イミダゾ-ル-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、5-(2-エチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(2-(メトキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-イミダゾール、1-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)エタノン、5-(2,3-ジヒドロ-1-メチル-1H-インデン-1-イル)-1H-イミダゾール、5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-1H-イミダゾール、5-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-イミダゾールからなる群から選択される化合物またはその医薬的に許容な塩、および医薬的に許容な担体を含む医薬組成物。
【請求項47】
医薬的に許容な担体が局所の目の投与用である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
組成物が、神経組織内の局所または局部の麻酔または鎮痛効果を与え、全身への効果ではない、局所投与用として調製される、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
組成物が局所送達用として調製される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
組成物がスプレー剤に製剤化される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
組成物が点眼剤、洗眼剤または眼軟膏剤に製剤化される、請求項46に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2015年11月5日に出願されたアメリカ仮出願シリアル番号62/251、162の優先権を主張し、この文献の全ての開示がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の利益
本発明はアメリカ国立衛生研究所により与えられた補助金ナンバー1U01HL127518下の政府の支援の元で行われた。政府は本発明に対する所定の権利を有する。
【0003】
技術分野
今開示される主題は、対象者の神経組織内で局所(local)または局部(regional)の麻酔と鎮痛を生じさせるための医薬組成物と方法に関連する。特に、今開示される主題は対象者へアチパメゾールの有効量を投与することによる、対象者の神経組織内で局所または局部の麻酔と鎮痛を生じさせることに関連する。
【背景技術】
【0004】
導入部
数百万人の人々が、局所麻酔薬が軽減できる持続性の痛みを経験している。けれども、現在の局所麻酔薬は著しい安全性と毒性の問題がある。例えば、毎年1億6千万人以上の人々が、慢性痛の状態のものも含む数日以上続く穏やかから激しい目の痛みを経験している。これらの多くが、局所/経口NSAIDsおよび麻薬があるにもかかわらず残存する痛みを有する。局所麻酔薬は完全な痛みの軽減を提供するが、しかし、数時間を超えて使用することは傷の回復の遅れや角膜劣化の重大な危険性のために認可されていない。
【0005】
目は、ある程度、外傷や外部作用物質に素早く反応することを可能にする、高度に神経が分布した角膜上皮層によって守られている。けれども、上皮層を分裂する外傷、外科的処置、あるいは病的な状態が起こった際、高水準な神経分布は慢性的および消耗性の痛みを引き起こし得る。
【0006】
目の痛みを管理するための実行可能な長期治療がない場合、患者は非常に低下した生活の質、減少した経済的生産性に苦しみ、そしてさらなる眼病の危険性にさらされる。慢性の目の痛みを効果的にかつ安全に管理することができる薬の開発は、重大かつ有益な健康的、社会的および経済的な影響を与えるであろう。
【0007】
図1を参照すると、現在入手可能な局所麻酔薬は2種類:アミノエステル型(例えばプロパラカイン、アルチカイン、コカイン)とアミノアミド型(例えばリドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン)に分類される(
図1)。局所麻酔剤は、一般的に、特定のタイプのチャネルだけれども膜を通過するイオンの流れを防ぐことによって末梢神経系の神経/軸索への電気信号の伝導を止める薬である。局所麻酔薬を用いる主要な目的は、痛みを生じさせる信号が脊髄および脳に到達するのを防ぐことである。
【0008】
これらの公知の局所麻酔薬は、短期間にとても効果的に働き、例えば目の検査や比較的短時間の目の処置などのためには臨床上役に立つ。残念なことに、これらの薬は神経および/または周辺組織への毒性、患者のアレルギーおよび薬理学的副作用により、あるいは伝導のブロック、最も注目すべきは筋肉への運動信号への到達のブロックの直接的な結果として、これらの筋肉の脱力または麻痺が起こることによって制限される。大部分の目の麻酔薬は、細胞膜の構造的完全性に破壊的な効果を有し、それは細胞毒性およびそれに続く落屑をもたらす(3)。角膜上皮層はびらんを起こしやすく、再生のより遅い速度の影響を受けやすい。結果として、現在認可された薬の目の局所投与は、2時間以上は禁忌である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、現状の薬剤の不都合を避ける、改善された局所と局部の麻酔薬と鎮痛薬および局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を生じさせる改善された方法に対する要求が当該技術分野にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
今開示される主題は、局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を生じさせるための医薬組成物および方法を含み、それらは現在の薬剤や方法に関連する不都合を有さない。
【0011】
これらの組成物と方法は、獣医学での使用がFDAによって認可され、そして他の目的のためのヒトのフェイズI臨床試験で多数の成功を有している化合物であるかまたはその誘導体である化合物を使用する。それらの化合物は局所麻酔薬の「カインファミリー」とは構造的に異なり、一連の特徴的な麻酔剤を表す。
【0012】
これらの組成物と方法は、ヒトの知覚ニューロンに対してを含む効力を有し、そして角膜のような組織へ著しく低い毒性も有する。したがって、今開示される主題の組成物と方法から利益を得ることができる対象者は、例えば、目の外傷(物理的、化学的および熱的損傷のような)、目の外科手術(角膜移植、レーシック術のような)、糖尿病の合併症による角膜のびらん、あるいは特定の抗癌剤の副作用、ドライアイ症を有する者を含む。これらの組成物と方法は、公知の局所麻酔薬がたやすく吸収され、毒性レベルへ到達する、すなわち過吸収の危険性を高めるために使うことができない開放創での使用にもまた、著しく低い毒性を有する。したがって、今開示される主題の組成物と方法から利益を得ることができる対象者は、例えば、外傷、熱傷、褥瘡、あるいは表皮水疱症(EB)の様な病態を有する者、あるいは手術中の洗浄(外科手術あるいは関節鏡視下手術の様な閉じた手術)での使用を目的にした者を含む。
【0013】
利益を得ることができる他の対象者の例は、歯科、産科あるいは外来手術設定における者を含むが、それらに限定されない。
【0014】
今開示される主題は、神経内で麻酔を生じさせる方法を含み、それは本明細書の以下の表Aに記述されている群から選択される化合物、あるいはその医薬的に許容な塩の有効量を神経に投与することを含む。いくつかの実施形態において、神経は対象者の中にある。
【0015】
今開示される主題は、対象者の神経組織内で局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を生じさせる方法をさらに含み、それは表Aに記述されている群から選択される化合物あるいはその医薬的に許容な塩の有効量を対象者へ投与することを含む。本方法のいくつかの実施形態で、化合物は
【化1】
である。
【0016】
いくつかの実施形態において、本方法は局所の麻酔または鎮痛に対する必要性を有するとして対象者を特定することも含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本方法は神経障害性の、炎症性の、術後の、外傷誘導性の、内臓膨張誘導性の、神経変性の、癌誘導性の、そして組織変性誘導性の、痛みあるいは知覚不全からなる群から選択される状態の治療が必要であるとして対象者を特定することも含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本方法はアミノエステルおよび/またはアミノアミドの局所麻酔薬への抵抗性またはアレルギーを有するとして対象者を特定することも含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、本方法は抵抗性またはアレルギーがアミノエステル局所麻酔薬に対してであることを含み、そして対象者は肝臓病を有する。いくつかの実施形態において、本方法は抵抗性またはアレルギーがアミノアミド局所麻酔薬に対してであることを含み、そして対象者は非定型の血漿偽性コリンエステラーゼを有する。
【0020】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者はあるレベルの保持された運動機能を必要とする。
【0021】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は歯科の患者である。本方法のいくつかの実施形態において、化合物は歯の処置より先に投与される。
【0022】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は産科の患者である。本方法のいくつかの実施形態において、化合物は陣痛の間に投与される。
【0023】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は目の痛みを有する。本方法のいくつかの実施形態において、対象者は目の外傷、目の手術、角膜のびらん、あるいはドライアイ症に関連する治療を必要とする。
【0024】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は開放創を有する。本方法のいくつかの実施形態において、化合物は開放創に投与される。
【0025】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は外傷、熱傷、褥瘡および表皮水疱症(EB)からなる群から選択される状態を有する。本方法のいくつかの実施形態において、対象者は手術中の洗浄をうけている。本方法のいくつかの実施形態において、化合物は開放創に投与される。
【0026】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は動物であり、化合物は処置に先じて投与される。本方法のいくつかの実施形態において、動物が投与されるための処置は、一般的な鎮静の処置である。本方法のいくつかの実施形態において、一般的な鎮静はアルファ-2-アドレナリン作動性の鎮静ではない。
【0027】
いくつかの実施形態において、本方法は第二の麻酔薬を投与することも含む。本方法のいくつかの実施形態において、第二の麻酔薬はアミノエステルである。本方法のいくつかの実施形態において、アミノエステルはベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン/ラロカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン(ノボカイン)、プロパラカインおよびテトラカイン(アメソカイン)からなる群から選択される。本方法のいくかの実施形態において、第二の麻酔薬はアミノアミドである。いくつかの実施形態において、本方法はアミノアミドを投与することも含む。本方法のいくつかの実施形態において、アミノアミドはアルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン(ジブカイン)、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカインおよびトリメカインからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、アミノエステルおよびアミノアミドから選択される第二の麻酔薬と一緒の化合物の投与は、相乗効果を生み出す。
【0028】
いくつかの実施形態で、本方法はアルファ-2補助剤ではない補助剤を投与することも含む。いくつかの実施形態において、補助剤はアルファ-2補助剤ではなく、その化合物は
【化2】
である。
本方法のいくつかの実施形態において、補助剤はエピネフリン、麻薬、ブプレノルフィン、筋弛緩薬、非ステロイド性抗炎症薬、ヒアルロニダーゼ、重炭酸塩およびデキサメタゾンから選択される。
【0029】
本方法のいくつかの実施形態において、対象者は損傷した感覚ニューロンを含む神経組織の局所麻酔または鎮痛を必要とする。
【0030】
本方法のいくつかの実施形態において、化合物は注射によるかまたは局所的に投与される。本方法のいくつかの実施形態において、局所投与は目の局所投与である。
【0031】
今開示される主題は、表Aに記載されている化合物から選択される化合物またはその医薬的に許容な塩を含む医薬組成物をさらに含んでいる。
【0032】
いくつかの実施形態において、組成物は、対象者の神経組織の局所麻酔または鎮痛を生じさせるため、および/または対象者の神経障害性の痛みを治療するために提供され、そして化合物、あるいはその医薬的に許容な塩、および第二の局所麻酔薬を含む。いくつかの実施形態において、第二の局所麻酔薬はアミノエステルである。いくつかの実施形態において、第二の局所麻酔薬はアミノアミドである。
【0033】
いくつかの実施形態において、組成物はアルファ-2補助剤でない補助剤も含む。いくつかの実施形態において、その複合物はアルファ-2補助剤でない補助剤を含み、その化合物は
【化3】
である。
いくつかの実施形態において、補助剤は、エピネフリン、麻薬、ブプレノルフィン、筋弛緩薬、非ステロイド性抗炎症薬(トラドールのような)、ヒアルロニダーゼ、重炭酸塩およびデキサメタゾンから選択される。
【0034】
今開示される主題のいくつかの実施形態において、医薬組成物が提供され、それは、表Aに記載されている化合物から選択される化合物またはその医薬的に許容な塩および医薬的に許容な担体を含むことを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、医薬的に許容な担体は、目の局所投与用である。いくつかの実施形態において、組成物は点眼剤、洗眼剤または眼軟膏剤に製剤化される。
【0036】
いくつかの実施形態において、組成物は神経組織での効果で、全身の効果でない局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を与えるために局所投与用に調製される。組成物は局所送達用に調製され得る。いくつかの実施形態において、組成物はスプレー剤に製剤化される。
【0037】
今開示される主題は、この書類の中に提供される情報の研究後に当業者に明らかになるような、上記で確認された要求のいくつかまたは全部に合致する。
【0038】
この概要は今開示される主題のいくつかの実施形態を記載し、そして多くの場合、これらの実施形態の変形と置換を列挙する。この概要は多数の、様々な実施形態の単なる例にすぎない。特定の実施形態の中の1またはそれより多い代表的特徴についての言及は、同様に例である。そのような実施形態は、言及される特徴を有するか有しないで一般的に存在し得る。同様に、これらの特徴はこの概要に列挙されている如何に関わらず、今開示される主題の他の実施形態に適用され得る。過度な繰り返しを避けるために、この概要はそのような特徴の全ての可能な組合せを列挙または提示しない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に明記される。本発明の特徴と利点のよりよい理解は、具体例が明記され、本発明の原則が用いられている以下の詳細な説明および次のような添付の図面を参照することによって得られるだろう。
【0040】
【
図1】
図1は、公知の局所麻酔薬ならびに今開示される主題に従って使用のための一例の化合物の構造を含む。
【0041】
【
図2A】
図2Aは、神経に直接適用された化合物が、神経の電気刺激によって誘発され、感覚軸索(背根)あるいは運動軸索(腹根)によって運ばれる信号の伝導をブロックすることができるか否かを試験するための外科的標本の概略図である。
【0042】
【
図2B】
図2Bは、
図2Aの標本を用いた実験の結果を含み、腰神経叢を通して伝導される複合活動電位(CAPs)(ピークと面積(area))の性質の測定によって伝導ブロックの効力を評価する。
【0043】
【
図3A】
図3Aは、感覚CAP記録への化合物の投与の効果を示している。
【0044】
【
図3B】
図3Bは、皮膚体幹筋(CTM)侵害受容反射を用いた侵害受容体知覚伝導への化合物の効果を示している。
【0045】
【
図4】
図4は、ヒト提供者由来の知覚ニューロンの活性への当該化合物とリドカインの効果を比較している。
【0046】
【
図5A】
図5Aは、24時間で評価された当該化合物とプロプラカインを比較する細胞毒性プロファイルの結果を含んでいる。
【0047】
【
図5B】
図5Bは、48時間で評価された当該化合物とプロプラカインを比較する細胞毒性プロファイルの結果を含んでいる。
【0048】
【
図6】
図6は、脱分極電流により誘導される活動電位への当該化合物の効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
具体的な実施形態の記載
今開示される主題の一つあるいはより多くの実施形態の詳細がこの書類に記載される。この書類に記載された実施形態への修正およびその他の実施形態は、この書類の中で提供される情報の研究後に当業者に明白になるだろう。この書類の中で提供される情報、特に、記載された具体的な実施形態の具体的詳細は、主に理解の明確のために提供され、不必要な限定がそれから理解されるべきでない。係争の際は、定義を含むこの書類の明細書が支配する。
【0050】
今開示される主題は、対象者の神経あるいは神経組織内に局所または局部の麻酔と鎮痛を生じさせるための医薬組成物と方法を含む。神経組織が、細胞体(cell body)(細胞体(soma))、樹状突起および軸索または神経線維を含むニューロンと神経細胞に含まれるこ
とは当業者によって知られているだろう。ニューロンの種類は、接触、音、光、その他の刺激に反応する知覚ニューロンおよび脳および脊髄からの信号を受け取り、筋収縮を引き起こし、腺産出量に影響を及ぼす運動ニューロンを含む。
【0051】
これらの組成物と方法は、局所麻酔薬の「カインファミリー」と構造的に類似せず、独特の一連の麻酔剤を表す化合物を使用する。これらの化合物は表Aに記載のものを含む。
【表1-1】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
表Aに特定されたこれらの化合物の一番目で、
図1にも描写されている化合物は、「アチパメゾール」または「アチップ(Atip.)」として知られている。アチパメゾールは現在、鎮静および動物、特にイヌにおいて、メデトミジンおよびデクスメデトミジンの投与により誘導される全身の鎮痛性の効果の反転の治療に適応される。
【0057】
アチパメゾールはα2アドレナリン受容体拮抗剤として設計され、アンチセダン(ANTISEDAN)(登録商標)という商標名でファイザー(ニューヨーク、NY)から入手できる。その化合物はパーキンソン病、運動障害の進展、勃起不全および性機能障害、年齢に関連した認知障害、てんかん、鬱、寄生虫の感染を治療することにおいての使用、およびアルコール中毒を弱めることにおいての使用もまた提案されている。
【0058】
本明細書で開示されるように、これまで提案または示唆されることがなかった、アチパメゾールが局所および/または局部の麻酔作用を発揮することができるということが、驚くべきことに発見された。アチップの局所麻酔効果はまたα2AR拮抗機能とも独立している。
【0059】
それゆえ、今開示される主題のいくつかの実施形態において、神経に麻酔を生じさせる方法が与えられ、それは、表Aに記載されている化合物あるいはその医薬的に許容な塩の有効量を神経に投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象者の神経組織内で局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を生じさせる方法は、効果的な量のアチップあるいはその医薬的に許容な塩の有効量を対象者へ投与することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、その方法は局所の麻酔または鎮痛に対する必要性を有するとして対象者を特定することも含む。いくつかの実施形態において、その方法は、神経障害性、炎症性、術後、外傷誘導性、内臓膨張誘導性(例えば妊娠における陣痛中、腸の埋没)、神経変性(遺伝、薬、病気誘導性)、癌誘導性および組織変性誘導性の、痛みまたは知覚不全からなるグループから選択される状態の治療が必要であるとして対象者を特定することを含み得る。いくつかの実施形態において、その方法は目の外傷(身体的、化学的、熱的傷害のような)、目の手術(角膜移植やレーシック術のような)、糖尿病の合併症としての角膜びらんまたは特定の抗癌剤の副作用およびドライアイ症の治療が必要であるとして対象者を特定することを含み得る。いくつかの実施形態において、その方法は開放創へ化合物を投与することができる。いくつかの実施形態において、対象者は、外傷、熱傷、褥瘡のような状態、および表皮水疱症(EB)の様な病状から選択される状態を有する。いくつかの実施形態において、対象者は手術中の洗浄を受けている。
【0061】
いくつかの実施形態において、その方法は歯科、産科または外来手術の関連で治療が必要な対象者を特定することを含み得る。いくつかの実施形態において、その対象者は、肋骨の骨折(例えば、化合物を含むパッチ)を有し得る。いくつかの実施形態において、本化合物は、一般的な麻酔薬の補助剤として用いられ得る。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「対象者」という用語は、投与の対象を意味し、そしてヒトと動物の対象者の両方を含む。したがって、獣医学の治療上の使用は、今開示される主題に従って提供される。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「治療」または「治療すること」という用語は、本明細書に開示されるか、または対象者の神経組織内で局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を生じさせるための必要性に関連する状態のあらゆる治療に関連し、それは、次のものに限定されないが、障害の進展を防ぐかまたは重篤度を減じるための予防的治療ならびに治療的治療を含む。これに関して、予防治療は、その状態のあらゆる兆候を完全に防ぐことを意味するものではなく、むしろその状態の進展の危険性の減少および/またはその状態の重篤度を減少することを意味するということが理解される。これに関して、治療的治療は、状態を直すかまたは実質的に直すこと、ならびにその状態の少なくとも一つの症状を改善することおよび/またはその状態および/または症状の重篤度を減少することに関連し得ることも理解される。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「局所麻酔」と「局部麻酔」という用語は、可逆的な局所麻痺および/または鎮痛、あるいは局所的に投与(例えば局部的に、浸潤、注入など)された時に、本明細書で開示された組成物および方法によって生じる可逆的な効果を意味し、それは知覚あるいは痛覚の、局所的または局部的な全体あるいは部分的な抑制を提供する。
【0065】
上述のように、本明細書で開示される化合物が、これまで決して提案も示唆もされていなかった、局所および/または局部の麻酔作用を発揮できることは驚くべき発見であった。実際、これらの化合物が局所麻酔をもたらすことができるという発見は予期されない。
図1を参照すると、本化合物は、エステル結合局所麻酔薬(LAs)(アミノエステルとも呼ばれる)あるいはアミン結合LAs(アミノアミンとも呼ばれる)の一般的にいずれかである既存の局所麻酔薬と構造的に似ていない。構造上、これらの局所麻酔薬は3つの分子成分:脂肪親和性の部分、中間の脂肪族鎖、そして親水性の(アミンの)部分から構成される。脂肪親和性の部分と中間の脂肪族鎖の間の化学結合はアミド型、あるいはエステル型にでき、局所麻酔薬の今の分類の一般的な根拠である。
【0066】
エステル結合LAsあるいはアミノエステルの例は、次のものに限定されないが、ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメソカイン(ラロカイン)、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン(ノボカイン)、プロパラカインおよびテトラカイン(アメソカイン)を含む。エステル結合LAsは血漿中、偽コリンエステラーゼによってエステル結合で加水分解される。エステル結合LAsの加水分解の速度は、芳香環の置換の種類と位置に依存する。例えば2-クロロプロカインは、プロカインよりも約4倍速く加水分解され、プロカインは同様にテトラカインより約4倍速く加水分解される。けれども、全てのエステル結合LAsの加水分解の速度は、非定型の血漿偽性コリンエステラーゼを有する患者において著しく減少し、そして異常な偽コリンエステラーゼを有する患者において長時間の硬膜外ブロックが報告されている。エステル結合LAsの代謝のもう1つの特徴は、それらの加水分解がパラ-アミノ安息香酸(PABA)の形成をもたらすことである。PABAとその誘導体はアレルギー反応の可能性の少しの危険性をもたらす。
【0067】
アミン結合LAsまたはアミノアミンの例は、次のものに限定されないが、アルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン(ジブカイン)、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカインおよびトリメカインを含む。エステル結合薬に反して、アミド結合LAsは、エチル基が第三級アミンから開裂する脱アルカリ化反応によって肝臓で代謝される。肝臓血流量と肝機能は、これら麻酔薬の肝臓クリアランスを決定する。その結果、肝臓血流量あるいは肝臓の薬物抽出を減少させる要因はともに、増加した排出半減期をもたらす。未変化LAsの腎臓クリアランスは、投与された総薬物の3~5%のみを占める、除去の小規模な経路である。
【0068】
エステル結合LAsとアミン結合LAsの記載された特徴のいくつから明白なように、それらはいくつかの欠点を有し得、そしてそれらは特定の対象者に禁忌となり得る。いくつかの実施形態において、今開示される方法は、アミノエステルおよび/またはアミノアミド局所麻酔薬への抵抗性あるいはアレルギーを有するとして対象者を特定することを含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、対象者は、アミノエステル局部麻酔薬に抵抗性あるいはアレルギーを有するとして特定される。いくつかの実施形態において、対象者は、肝臓病を有するとして特定され、その実施形態において、アミノアミドLAsが肝臓で代謝されること、およびオプションとして肝臓病を有する対象者に禁忌となるかもしれないことが注目され、もし対象者がアミノエステルLAsに対してもアレルギー性であったなら、その組織は組み合わされるであろう。
【0070】
いくつかの実施形態において、対象者はアミノアミド局所麻酔薬に抵抗性あるいはアレルギーを有するとして特定される。いくつかの実施形態において、対象者は、非定型の血漿偽性コリンエステラーゼを有するとして特定され、その実施態様において、アミノエステルLAsが、オプションとしてアミノエステルLAsが禁忌となるかもしれないような、非定型の血漿偽性コリンエステラーゼを有する対象者において著しく減少する加水分解の速度でもって偽性コリンエステラーゼによって代謝されることが注目され、もし対象者がアミノアミドLAsに対してアレルギー性であったなら、その組織は組み合されるであろう。
【0071】
本明細書に開示される方法の実施形態において、アチップのような表Aからの化合物に加えて、第二の麻酔薬を投与することが好ましくなり得る。例えば、アレルギーおよび/または禁忌がない場合、表Aの化合物に加えて、アミノエステルとアミノアミドから選択されるLAを投与することができる。いくつかの実施形態において、第二の麻酔薬はアミノエステルである。いくつかの実施形態において、第二の麻酔薬はアミノアミドである。いくつかの実施形態において、表Aからの化合物を加えて、アミノエステルとアミノアミドの両方が投与される。いくつかの実施形態において、1つないしそれより多い追加の麻酔薬との表Aからの化合物の共投与は、相加または相乗効果を生み出す。
【0072】
本明細書に開示される方法の実施形態は、アルファ-2-アゴニストではない添加物または補助剤の共投与も含み得る。クロニジンあるいはデクスメデトミジンのようなアルファ-2-アゴニストは、本発明に従って共投与されないであろう。なぜなら、例えば、アチップは直接の(direct)拮抗薬であるからである。これに関して、本発明に従って使用のための適切な添加剤または補助剤の例は、次のものに限定されないが、エピネフリン、麻薬、ブプレノルフィン、筋弛緩薬、非ステロイド性抗炎症剤(トラドールのような)、ヒアルロニダーゼ、重炭酸塩およびデキサメタゾンを含む。本明細書に開示される方法の実施形態は、局所麻酔補助剤の共投与も含み得る。本明細書に開示される方法の実施形態は、麻薬、ブプレノルフィン(作動薬/拮抗薬)、筋弛緩薬、ノステリオダール(トラドール)、ヒアルロニダーゼ、重炭酸塩および/またはデキサメタゾンの共投与も含み得る。
【0073】
今開示される発明は、対象者の神経組織内に局所麻酔または鎮痛を生じさせるため、および/または対象者の状態(例えば神経障害性、炎症性、術後、外傷誘導性、内臓膨張誘導性(例えば妊婦における陣痛中、腸の埋没)、神経変性(遺伝、薬または病気誘導性の)、癌誘導性、そして組織変性誘導性の、痛みあるいは知覚不全)を治療するための医薬組成物を含み、それは、表Aからの化合物、例えばアチップまたはその医薬的に許容な塩および第二の局所麻酔薬、補助剤および/またはこの書類の研究から当業者に明らかになるであろう、他の既存の作用剤を含む。
【0074】
感覚軸索が阻害されたとき、いくつかの運動軸索はまだ電気信号を伝導することができるように、アチップが運動軸索よりも感覚軸索に優先して働くことは驚くべき発見であった。このように、いくつかの実施形態において、本方法は、運動機能の保持されたあるレベルを必要とする対象者を特定することを含む。当業者に理解されるように、このことは非常に好ましい特徴であり、多くの適用における有用性を伝える。
【0075】
例えば、歯科適用との関連において、使用により現状のLAの方法と比較して、歯科作業後の顔性麻痺および流涎の問題がより少なくすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、本方法は歯科患者である対象者を含む。本方法のいくつかの実施形態において、表Aからの化合物は歯科処置に優先して投与され得る。
【0076】
別の例では、産科適用との関連で、陣痛の痛みのブロックをなお供給しながら運動性の流出への影響を減少して使うことができる。さらに、感覚および運動ニューロンの両方の伝導をブロックする既存の麻酔薬が、呼吸の運動制御を司る脊髄の部分の上に向かって流れ込み、呼吸能力に深刻な問題をもたら可能性のある、「高位脊椎麻酔」と呼ばれる状態に関連する危険性を減少して使うことができる。これに関して、いくつかの実施形態において、本方法は産科の患者である対象者を含む。本方法のいくつかの実施形態において、表Aの化合物は陣痛の間に投与され得る。
【0077】
別の例では、眼科適用との関連で、創傷治癒の遅延および角膜劣化の深刻な危険性を避けながら、痛みの治療に使うことができる。これに関して、いくつかの実施形態において、本方法は目の外傷、眼科手術、角膜びらん、あるいはドライアイ症を有している対象者を含む。本方法のいくつかの実施形態において、表Aの化合物は目の痛みを持つ対象者に投与され得る。
【0078】
さらに別の例では、ある獣医の適用において、処置後麻痺/不全麻痺がおこり得、動物において非常にストレスの多い状態となり、動物はこのときによく自傷を起こす。けれども、本明細書に開示される方法を用いると、痛みの制御が与えられるが、少なくともいくらかの運動性制御が過剰なストレスを緩和するであろう。上述のように、アチップは現在、獣医の処置に続いて投与され、アルファ-2型鎮静剤から動物を回復させる。ここで提案される方法の特徴は、アチップがLA目的のための行為に優先して投与されることである。その投与は、神経のような神経組織に直接され得る。これに関して、アルファ-2型鎮静剤は使われることはないだろう。このように、このことに関連して表Aからの化合物をLAとして使うことは、動物にとってストレスであり、そしてよく彼らに自傷行為を起こさせる処置後の麻痺/不全麻痺の症状を防止および/または緩和する。本化合物はいくつかのLA/痛みの制御を提供するが、しかし少なくともいくらかの運動制御を可能にし、ストレスを緩和する。これに関して、今開示される主題のいくつかの実施形態において、対象者は動物であり、そして化合物は処置に優先して投与される。いくつかの実施形態において、その処置は動物が投与される目的の一般的な鎮静である。いくつかの実施形態において、一般的な鎮静はアルファ-2型鎮静ではない。いくつかの実施形態において、その鎮静はアセプロマジン、ケタミン、キシラジン、バルビツール酸塩あるいは抗コリン作用薬の使用を含む。
【0079】
今開示される主題は、表Aに記載の化合物から選択される化合物またはその医薬的に許容な塩および医薬的に許容な担体を含む医薬組成物を含む。
【0080】
今開示される主題は、表Aに記載の化合物から選択される化合物またはその医薬的に許容な塩および医薬的に許容な担体を含む医薬組成物を含む。いくつかの実施形態において、医薬的に許容な担体は局所眼科投与のためのものである。
【0081】
いくつかの実施形態において、本組成物は局所投与のために調製され、局所または局部の麻酔と鎮痛を、全身の効果ではなく神経組織内効果で供給する。いくつかの実施形態において、本組成物はスプレー剤に製剤化される。いくつかの実施形態において、本組成物は点眼剤、洗眼剤、あるいは眼軟膏剤に製剤化される。
【0082】
「医薬的に許容な担体」は当該技術分野で知られ、組成物の形態、所望の投与経路等のために選択され得る。それゆえ、組成物は希望する特定の投与経路のために、当該技術分野で公知の方法に従って製剤化される。いくつかの実施形態において、好ましくは、組成物は局所的に投与される。いくつかの実施形態において、好ましくは、組成物は目に局所的に投与される。
【0083】
今開示される主題により投与される組成物は、表Aに記述されている化合物の医薬的に有効な量を含む。本明細書で用いられるとき、「医薬的に有効な量」とは、局所麻酔または局部麻酔を生むのに十分な量である。一般的に、組成物中の化合物は、約10~約4000μMの濃度で提供される。当業者により理解されるように、適切な濃度は投与の様式に依存して変化するであろう。例えば、局所製剤に対して、その濃度は注射製剤よりも高くなるだろう。いくつかの実施形態において、組成物は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、375、380、385、390、395、400、405、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、もしくは750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、あるいは1000μMの濃度で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は約1、2、3、4、5、6、7、8、9あるいは10μMの濃度で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、あるいは300μMの濃度であるが、約305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、375、380、385、390、395、あるいは400μM以下の濃度で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、約400、405、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、もしくは750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、あるいは995μMの濃度であるが、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、あるいは10mM以下の濃度で提供される。
【0084】
今開示される主題により投与される組成物は、溶液、懸濁液、そして局所用のその他の剤形として製剤化され得る。目の投与に対して、製剤化の容易さ、ならびに病気に冒された目にその溶液の1~2滴の滴下によってそのような組成物を対象者が容易に投与することできることに基づいて、一般的に水溶液が好ましい。けれども、組成物は、懸濁液、粘性もしくはやや粘性のゲル、または他のタイプの固体もしくは半固体の組成物であってもよい。
【0085】
今開示される主題により投与される組成物はまた、次のものに限定されないが、界面活性剤、等張化剤、緩衝液、防腐剤、共溶媒および増粘剤(viscosity building agents)を含むその他の種々の成分も含み得る。
【0086】
種々の等張化剤は、組成物の張性、好ましくは、眼科組成物に対して自然涙のそれに調整するために用いられ得る。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロースおよび/またはマンニトールが、生理学的張性に近づけるために組成物に加えられ得る。そのような等張化剤の量は、加えられる特定の剤に依存して変わり得る。
【0087】
適切な緩衝剤系(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムあるいはホウ酸)が、保存下での緩やかなpHの変化を防ぐために加えられ得る。特定の濃度は用いられる剤に依存して変わるだろう。けれども、好ましくは、緩衝剤はpH6~7.5の領域内に対象のpHを維持するために選択されるだろう。
【0088】
目の投与の治療のために製剤化された組成物はまた、ドライアイ型の状態の即時で短時間の除去を提供することを目的とした水性の担体も含み得る。そのような担体は、リン脂質担体もしくは人工涙担体、あるいはその両方の混合物として製剤化され得る。本明細書で使われるとき、「リン脂質担体」および「人工涙担体」は、(i)1つあるいはそれ以上のリン脂質(リン脂質担体の場合)あるいは滑らかにし、「湿らせ」、内生的な涙との一致に近づけ、自然の涙の増加に役立つか、あるいはそうでなければ目の投与でドライアイの症状および状態の一時的な除去を提供するその他の化合物を含み、(ii)安全であり、(iii)アシル-CoAシンセターゼの阻害剤の局所投与のための適切な送達ビヒクルを提供する水性組成物を引用する。人工涙担体として役に立つ人工涙組成物の例は、Tears Naturale(登録商標)、Tears Naturalell(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)、そして Bion Tears(登録商標)(アルコン ラボラトリーズ,インク、フォート ウォース、テキサス)のような商品を含むが、それらに限定されない。リン脂質担体製剤の例は、米国特許番号4,804,539(グオら)、 米国特許番号4,883,658(ホリー)、米国特許番号4,914,088(グロネック)、米国特許番号5,075,104(グレッセルら)、米国特許番号5,278,151(コーブら)、米国特許番号5,294,607(グロネックら)、米国特許番号5,371,108(コーブら)、米国特許番号5,578,586(グロネックら)に開示されたものを含み、前述の特許は、それらが本発明のリン脂質担体として役に立つリン脂質組成物を開示している範囲で、参照として本明細書に組み込まれる。
【0089】
滑らかにし、「湿らせ」、内生的な涙との一致に近づけ、自然の涙の増加に役立つか、あるいはそうでなければ目の投与でドライアイの症状および状態の一時的な除去を提供することを目的としたその他の化合物は、当該技術分野で知られている。そのような化合物は組成物の粘度を増加し得るし、そして、次のものに限定されないが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコールの様なポリオール単量体;ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、デキストラン70のようなデキストランのようなポリオール重合体;ゼラチンのような水溶性タンパク質;ならびにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポビドンおよびカルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940、カルボマー974Pのようなカルボマーのようなビニルポリマーを含む。
【0090】
担体の粘度を増加させるために、眼病用組成物に他の化合物を加えることもできる。増粘剤の例は、次のものに限定されないが、ヒアルロン酸とその塩、コンドロイチン硫酸とその塩、デキストラン、セルロース族の様々なポリマーのような多糖類;ビニルポリマー;そしてアクリル酸ポリマーを含む。一般的に、リン脂質担体あるいは人工涙担体組成物は、1~400センチポイズ(「CPS」)の粘度を示すだろう。
【0091】
局所眼科用製品は、複数投与形態で包装され得る。したがって、使用中の間の微生物による汚染を防ぐために防腐剤が必要とされる。適切な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸2ナトリウム、ソルビン酸、ポリクオタニウム-1、あるいは当業者に知られているその他の剤を含む。そのような防腐剤は、0.001~1.0% w/vのレベルで一般的に用いられる。本発明の単位用量組成物は滅菌されているが、一般的に保存されない。それゆえ、そのような組成物は一般的に防腐剤を含まない。
【0092】
当業者によって認められるように、例えば、戦場の麻酔、産科、歯科に関連して、および痛みの治療として持続的運動の制御が高度に望まれる間、神経組織内で局所または局部の麻酔もしくは鎮痛を生じさせるその他の多くの状況がある。
【0093】
アチップが、正常および傷ついた感覚ニューロンの両方の活動電位をブロックすることが驚くべきことに発見された。これに関して、いくつかの実施形態において、その対象者は、傷ついた感覚ニューロンを含む神経組織内の局所麻酔または鎮痛を必要とする。傷ついた感覚ニューロンに関連する例あるいは関連する状態は、次のものに限定されないが、皮膚の切開または擦傷、外傷による神経の損傷、外科手術、あるいは神経の変性、炎症、そして組織の変性あるいは損傷(例えば関節炎、骨折など)を含む。
【0094】
今開示される主題に従って、投与は多くの方法で行われ、その例は、次のものに限定されないが、注射(例えば神経周辺、硬膜外、歯を含む組織への浸潤など;いくつかの実施形態においてIMあるいはIV)、局所の、眼科用の(例えは目の洗浄あるいは目への滴下)およびスプレー(例えは鼻腔内、のど、擦傷の皮膚など)を含む。いくつかの実施形態において、投与は、挿入前に表Aに記載されている化合物あるいはその医薬組成物で覆われる装置、例えば胃内または気管内チューブにより行われ得る。
【0095】
本明細書で使われる用語は、当業者により十分に理解されると信じるが、いくつか定義が、今開示される主題の解釈を容易にするために記載される。
【0096】
特別に定義がされていなければ、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0097】
本明細書で用いられるとき、あらゆる保護基、アミノ酸およびその他の化合物に対する略語は、特別に示されていなければ、一般的使用、広く認められている省略あるいはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem.(1972)11(9):1726-1732参照)に従う。
【0098】
本明細書に記載されるものと同様または等価なあらゆる方法、装置および材料が、今開示される主題の実践または試験に使われることができるが、典型的な方法、装置および材料が本明細書に記述されている。
【0099】
長年に渡る特許法の慣例に従い、請求項を含むこの出願で用いられるとき、「a」、「an」および「the」の用語、「1またはそれより多く」を意味する。したがって、例えば、「単数の細胞(a cell)」についての言及は、多数のそのような細胞を含む等々。
【0100】
特別に示されていなければ、明細書および請求項に使われている成分の量、反応条件のような特性などを表す全ての数字は、全ての場合に「約」の用語によって改められることを理解されるべきである。それゆえに、それとは反対のことが示されていなければ、本明細書および請求項に記載の数値パラメーターは、今開示される主題によって得られようとされている所望の特性に依存して変化することができる近似値である。
【0101】
本明細書で使われるとき、質量、重量、時間、容積、濃度あるいはパーセントの値または量に言及する時、「約」の用語は、そのような変化が開示される方法を行うのに適切なとき、特定の量から、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%の変化を含むことが意図される。
【0102】
本明細書で使われるとき、範囲は、「約」のある特定の値から、および/または「約」のもう1つの値までとして表現され得る。本明細書に開示される多くの数値があり、そして各数値は、それ自身の値に加えて、「約」のその値としても本明細書に開示されていることも理解される。例えば、もし「10」という値が開示されていれば、そのときは「約10」もまた開示されている。2つの特定の単位の間の個々の単位もまた開示されていると理解される。たとえば、もし10と15が開示されていれば、そのときは11、12、13および14もまた開示されている。
【0103】
今開示される主題は、具体的であるが非限定の次の例によってさらに説明される。次の実施例は、本発明に関連した開発と実験の過程の間の様々な時間で集められたデータの代表であるデータの編集を含み得る。
【実施例0104】
実施例1
アチップが感覚あるいは運動ニューロンに異なる働きをするかどうかを測定するために、外科的動物標本が用いられた。その手順はPetruskaら1998(Experimental Brain Research 121:379-390)に記載されたのと同様であった。簡潔に言うと、成熟したラットは、ケタミン/キシラジンで一般的な麻酔薬を受けた。頸静脈、頸動脈、そして気管は、補足の麻酔薬を投与、血圧の測定、終末呼気のCO2の測定のためにそれぞれ挿管された。通常の体温は、水ベースの熱毛布(water-based thermal blanket)により1℃以内に維持された。椎弓切除(T13~L2)はL4-L6の背根と腹根を曝すために行われ、脊髄から切開された。
【0105】
感覚および運動軸索の活性の単独および同時記録が、2極電極の別個のセットを使って成された。座骨神経(尾部の皮膚のふくらはぎの(CCS)、脛骨の、そして腓骨の神経)の左側枝が、A-ベータ、A-デルタおよびC-ファイバー領域に四角波刺激を伝達する遠位の2極電極の設置のために足首に近い膝窩でむき出しにされた。10-12mmの左の腰の網状構造の区分が仙骨の側面にむき出しにされた。この曝露は、その曝露間の液体のあらゆる交換を防ぐのに十分な間の組織で、座骨神経枝のその使用から分離された。薬物は腰の網状構造の曝露部分に適用された。
図2Aは外科的動物標本の図解であり、青いフックは2極電極を表す。
【0106】
化合物活動電位(CAPs)は座骨神経枝を刺激することによって生じた。CAPsは、腰の網状構造を通って、感覚と運動CAPs(sCAPsとmCAPs)が記録電極で検出される、背根と腹根に中枢的に伝播した。伝導ブロックの有効性は、腰の網状構造の曝露を通して伝導され、コントロール条件(腰の網状構造におけるビヒクルまたは生理食塩水)でのCAPsと比較された薬物で処理されたCAPsの特性(ピークと面積(area))を測定することによって評価された。
【0107】
図2Bを参照すると、腓骨神経の電気刺激による反応の活性は、感覚および運動小束(時間点ごとに20-30平均掃引)から記録された。100μlのアチップ未希釈臨床用量(5mg/ml)を、座骨神経上につくった小さなプール(pool)に局所的に適用した。Y軸の上の矢印はアチップの洗浄を示す。それぞれの時間のCAPピークの大きさと面積は、基準線(事前適用)に対して標準化された。伝導の遅れは、実際の伝導ブロックと同様にCAPピークに影響を及ぼし得るので、コントロールとしてCAP面積が測定される。両方を一緒に測定することは偽陽性を避ける。そのようなピークの大きさと面積の同じような推移は、誘導の遅れではなく、誘導ブロックを強く示している。
【0108】
これらのデータが明らかにするように、化合物は素早く作用することができ、可逆であり(それは伝導を永久ブロックしない)、そして運動ニューロンよりも感覚ニューロンにより長く(優先的に)効果的である。また、測定値(CAPピークと面積)は、その作用が、検出システムがそれを認識できないぐらいに単純に伝導を減速するのではなく、伝導のブロックであることを示している(ブロック対遅れ)。
【0109】
図2AとBに記録されているのは、大きな直径の線維に注目したもので、アチップが、末梢の痛みの信号の大部分に反応する小さな直径の線維における誘導をブロックするかどうかに対処していない。これに対処するために、以前に開発され、麻酔学と痛みの実験においての使用が正当であると確認されている、異なるモデルシステムの皮膚体幹筋肉反射(CTMR)(4、5)を用いた。
【0110】
図3Aを参照すると、感覚CAPの記録は、IV投与されたアチップが、デックス(Dex)によって誘導された小さな伝導ブロックを逆転するが、それ自体は伝導をブロックしないことを明らかにしている。これらのデータは、アチップをα-2ARアンタゴニストとして使うために指示される用量で用いたとき、アチップは局所麻酔薬としては働かないことを立証している。
【0111】
図3Bを参照すると、アチップの侵害受容体感覚誘導への効果が、読み出しとして侵害受容性のCTM反射を使うことによって評価される。アチップ(20μl、200μl)で処理された感覚神経の電気刺激により誘導されるCTMRのEMGは、アチップが小さな感覚軸索の活性をブロックし、そして神経にとって毒でもない(EMG回帰)ことを明らかにする。
【0112】
ラットのCTMRは、ラットの背中の皮膚にしわが寄るかまたは素早く動かすこととして現れ、有毒な自然刺激あるいはA-デルタとC-ファイバーを採用する十分な強さの電気刺激によってのみ引き起こされる(4、6、7)。これらの感覚軸索の非常にわずかでもの活性化は、CTMRを引き起こすのに十分であり、それは、そのシステムを小さな直径の求心性の入力に対する「自然増幅器」とし、EGMおよび行動レベルで検出可能な反射出力をもたらす(4、8)。
【0113】
これらのデータから明らかなように、薬物は、大きなニューロンに作用するのと全く同じように小さな痛みを感知するニューロンに作用した。これらのデータはまた、薬物が洗浄されないときでさえ、ニューロンは薬物によって死滅されない-2、3時間で伝導が回復することも立証して。
図2A~3Bは合わせて、アチップが大小両方の感覚軸索での伝導を強くブロックするが、しかし運動軸索での伝導は比較的ゆるやかであることを支持する。
【0114】
実施例2
生細胞のカルシウムを画像化する研究が、死後の提供者から分離されたヒトDRGニューロンで行われた。細胞は0.1%プルロニックF-127(シグマ P2443)を含む3μM フルオ 8-AM(AAT Bioquest 21081)で20分間負荷された。細胞外の溶液はmM単位で(シグマ):145 塩化ナトリウム(S3014)、3 塩化カリウム(P3911)、2 塩化カルシウム(C3881)、1塩化マグネシウム(M9272)、10 ヘペス(H3375)、10 グルコース(G5767)を含み、水酸化ナトリウム(72068)によってPH7.4に調整した。フルオ-8-負荷細胞は480nmで励起され、倒立顕微鏡(オリンパスIX71)に取り付けられたpcoEDGE sCMOS カメラ(PCO)を用いて520nmの発光が集められた。
【0115】
電界刺激(EFs)に対して、一連の10パルス(5Hz、10ms)を同時に適用する2.5秒間の100Hzで画像が得られた。低電圧(1.5V~2.0V)と高電圧(2.5V~3.0V)で測定された基準線を記録した後、阻害剤の5分のプレインキュベーションをウェルに適用した後、EFsの手順を繰り返す(アチップ 100μM、アチップ300μM、リドカイン200μM(シグマ L7757))。基準線の状態に対して50%未満のパルス反応を有した細胞が抑制されたと見なされた。最後のEFsを行った後、10分間灌流で洗浄が行われた。
【0116】
最初に、リドカインがエタノール(シグマ 459844)を用いて保存溶液に調製され、アチップがDMSO(シグマ D8418)を用いて保存溶液に調製された。画像の取得とデータの分析はMetaMorph ソフトウェア(モルキュラーデバイス)を使って行われた。
【0117】
図4を参照すると、活動電位の光学上の記録が得られ、そしてアチップがヒトのニューロンに対しても効果的な局所麻酔剤であることを明らにした。電界刺激への基準線の50%未満の反応を有するニューロンが抑制されたと見なされた。300μMのアチップは100%で細胞の活動をブロックし、100μMのアチップは62%のブロックをもたらした。
【0118】
これらのデータは、アチップの効果がリドカインに匹敵することを明らかにしている。リドカインの治療上の濃度(200μM)は、最も高い濃度で試験されたアチップよりも効果が低く、そして最も低い濃度で試験されたアチップに似ていた。
【0119】
実施例3
細胞毒性に関する研究は、ヒトテロメラーゼ不死化ヒト角膜上皮細胞(hTCEpi細胞:細胞はゲノンコーポレーション、メンローパーク、カリフォルニア、アメリカを通して得られた)を使って行われた。細胞を、成長培地(成長補助剤を有する規定のケラチン生成細胞培地、インビトロジェン、グランドアイランド、ニューヨーク、アメリカ)を入れた96ウェル皿の1ウェルあたり30、000細胞の密度で培養した。24時間のリカバリー(recovery)後、成長培地単独または0.5%のDMSO(ビヒクル)、指示された濃度のアチップもしくは0.5%のプロパラカイン(アコーン、フォレストレイク、イェール)が補充された成長培地のいずれかで細胞を処理した。細胞を24あるいは48時間、37℃、5%二酸化炭素でインキュベートした。細胞の生存能力をAlamar Blue Assay(サーモフィッシャー、ウォルサム、マサチューセッツ、アメリカ)を使って評価した。
【0120】
図5Aと
図5Bを参照すると、データは生長培地単独と比較された生存細胞の割合として表されている(プラス/マイナス 標準誤差(n=3))。これらのデータは、アチップが減少した毒性を有し、したがって、現在臨床での標準治療(プロパラカイン)と比較してより安全であることを明らかにしている。
【0121】
実施例4
研究は、脱分極電流によって誘導された活動電位へのアチップ投与の効果を調べるために行われた。外傷感受性解離ラット感覚ニューロンにおける電気生理学現象を、以前に記載されたパッチ-クランプ法(5)を用いて記録した。
【0122】
図6を参照すると、脱分極電流によって誘導された活動電位(左の線)は、急速にブロックされた(中央、右の線)が、しかし、いくらかの脱分極活性化反応はまだ残っており(右の線)、このことはアチップが全ての活動電流をブロックしているのではないことを示唆している。アチップは静止膜電位を変化しない。
【0123】
これらのデータは、アチップが病的ニューロンにおいてさえも活動電流の生成を急速に阻害し、そして過分極を誘導しないこと立証している。アチップは大小両方の軸索の伝導をブロックするが、小さい軸索だけが活動電位と一緒にCa2+電流を有する。これは、アチップがNa+チャンネルをブロックすることによって伝導をブロックすることを支持する。
【0124】
実施例5
アチップの効果を試験する研究も、α2受容体サブユニットノックアウトマウスで行われた。本研究ではα2A ARノックアウトとα2C ARノックアウトマウスを用いた。動物は、5mMのアチップを右足底の皮下に、そしてビヒクルを左足底の皮下に注射された。次いで、それぞれの足の皮膚と足の肉趾を強くつねった。右および左の足のつねりに対するひっこみ反応が評価された。
【0125】
野生種、ならびにα2A ARノックアウトおよびα2C ARノックアウトマウスそれぞれにおいて、左の足(ビヒクルのみ受けた)の引っ込みと、右の足(アチップを受けた)の引っ込み消失があった。これらのデータは、アチップが伝導ブロック効果に対してα2受容体を必要としないことを支持する。
【0126】
この明細書内で言及される全ての刊行物、特許、そして特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、あるいは特許出願が、参照として組み込まれるために、明確かつ個別に示されるような同じ範囲で本明細書に参照として組み込まれ、それは次の一覧表に記載された参考文献を含む。
【0127】
参考文献
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2. Rush, J. S., Boeving, M. A., Berry, W. L., and Ceresa, B. P. (2014). Antagonizing c-Cbl enhances EGFR-dependent corneal epithelial homeostasis. Invest Ophthalmol Vis Sci 55, 4691-4699
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今開示された様々な主題の詳細は、本明細書に示された主題の範囲から外れることなしに変化できる。さらに、先の記述は説明することだけの目的のためであり、限定の目的のためではない。