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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124127
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電磁接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/42 20060101AFI20240905BHJP
   H01H 50/20 20060101ALI20240905BHJP
   H01F 7/06 20060101ALI20240905BHJP
   H01F 7/122 20060101ALI20240905BHJP
   H01F 7/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01H50/42 A
H01H50/20 B
H01F7/06 C
H01F7/06 E
H01F7/122 C
H01F7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032086
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 裕也
(72)【発明者】
【氏名】堤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】草野 祐馬
(72)【発明者】
【氏名】小西 弘純
【テーマコード(参考)】
5E048
【Fターム(参考)】
5E048AB04
5E048AC05
5E048AD02
5E048CB05
(57)【要約】
【課題】電磁接触器において、非励磁へと切り替える釈放時にリブの撓みを抑制する。
【解決手段】電磁接触器11は、スプール21と、補助ヨーク26と、を備えている。スプール21は、奥行方向に延びる巻き軸31にコイル32が巻かれ、奥行方向の一方に奥行方向と直交した四方を取り囲むリブ35が形成されている。補助ヨーク26は、リブ35における四隅の接合点に接合されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行方向に延びる巻き軸にコイルが巻かれ、奥行方向の一方に奥行方向と直交した四方を取り囲むリブが形成されているスプールと、
前記リブにおける四隅の接合点に接合された補助ヨークと、を備えていることを特徴とする電磁接触器。
【請求項2】
前記リブは、
奥行方向と直交する幅方向の両側に設けられ、奥行方向と直交する縦方向に延び、前記スプールのうち奥行方向における一方のフランジに支持された一対の縦リブと、
縦方向の両側に設けられ、幅方向に延び、前記フランジから奥行方向に離れた状態で両端が前記縦リブの端部同士に支持された一対の幅リブと、を備え、
前記縦リブと前記幅リブとが交わる四隅に前記補助ヨークが接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器。
【請求項3】
前記巻き軸の内側に挿通された進退可能なプランジャと、
前記リブに嵌め込まれた永久磁石と、を備え、
前記補助ヨークは、前記コイルへの通電がない非励磁のときに、前記プランジャを吸着して釈放状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器。
【請求項4】
前記リブの四隅には、奥行方向に凸となる突起部が形成され、
前記補助ヨークの四隅には、奥行方向に貫通した貫通穴が形成され、
前記貫通穴に嵌まり合った前記突起部がかしめられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器。
【請求項5】
奥行方向と直交する板状に形成され、前記フランジと前記幅リブとの間に差し込まれた底面ヨークを備え、
前記幅リブには、縦方向の外側を向いた外周面に、奥行方向に沿った囲み壁が形成され、
前記幅リブ、前記囲み壁、及び前記底面ヨークで囲まれた領域に接着剤が流し込まれていることを特徴とする請求項2に記載の電磁接触器。
【請求項6】
奥行方向と直交する板状に形成され、前記フランジと前記幅リブとの間に差し込まれた底面ヨークと、
前記リブに嵌め込まれた永久磁石と、を備え、
前記永久磁石には、縦方向の外側を向いた外周縁に、内側に凹となる第一の凹部が形成され、
前記補助ヨークには、縦方向の外側を向いた外周縁に、内側に凹となる第二の凹部が形成され、
前記幅リブ、前記第一の凹部、前記第二の凹部、及び前記底面ヨークで囲まれた領域に接着剤が流し込まれていることを特徴とする請求項3に記載の電磁接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された電磁接触器は、電磁石部のスプールに永久磁石及び補助ヨークを設けてあり、コイルへの通電がない非励磁のときに、プランジャを補助ヨークに吸着させることで釈放状態を維持する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-112552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補助ヨークの固定方法として、スプールに永久磁石を取り囲むリブを形成し、対向する二つのリブの中央に補助ヨークを固定することが考えられる。しかしながら、二つのリブの中央だけで補助ヨークを固定する構造では、非励磁へと切り替える釈放時に、プランジャから受ける荷重によってリブが撓み、プランジャがオーバーシュートする可能性があった。
本発明の目的は、電磁接触器において、非励磁へと切り替える釈放時にリブの撓みを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電磁接触器は、スプールと、補助ヨークと、を備えている。スプールは、奥行方向に延びる巻き軸にコイルが巻かれ、奥行方向の一方に奥行方向と直交した四方を取り囲むリブが形成されている。補助ヨークは、リブにおける四隅の接合点に接合されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、リブと補助ヨークとが四隅の接合点で接合されているため、非励磁へと切り替える釈放時にリブの撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電磁接触器を示す図である。
図2】第一実施形態のスプールを示す図である。
図3】底面ヨーク、永久磁石、補助ヨークを示す図である。
図4】第一実施形態の電磁石部を示す図である。
図5】比較例のスプール、補助ヨークを示す図である。
図6】比較例の電磁石部を示す図である。
図7】比較例における幅リブの撓みを示す図である。
図8】第二実施形態のスプールを示す図である。
図9】第二実施形態の電磁石部を示す図である。
図10】幅リブと底面ヨークとを固定した状態を示す図である。
図11】第三実施形態の永久磁石、補助ヨークを示す図である。
図12】第三実施形態の電磁石部を示す図である。
図13】幅リブと底面ヨークとを固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《第一実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。
図1は、電磁接触器11を示す図である。
ここでは、電磁接触器11において、幅方向の中心を通り、縦方向及び奥行方向に沿った断面を、幅方向の一方から見た状態を示している。まず電磁接触器11の基本的な構造について説明する。電磁接触器11は、カプセルケース12と、カプセルカバー13と、一対の固定接触子14と、可動接触子15と、接点支え16と、電磁石部17と、を備えている。
【0010】
カプセルケース12は、絶縁性を有する樹脂製であり、縦方向の両側、幅方向の両側、及び奥行方向の手前が閉塞され、奥行方向の奥が開放された深型の容器状に形成されている。
カプセルカバー13は、絶縁性を有する樹脂製であり、縦方向の両側、幅方向の両側、及び奥行方向の奥が閉塞され、奥行方向の手前が開放された浅型の容器状に形成され、カプセルケース12における奥行方向の奥に嵌め合わされ、密閉されている。
一対の固定接触子14は、導電性を有する金属であり、縦方向に延び、縦方向及び幅方向に沿った平板状に形成され、カプセルケース12における奥行方向の手前に設けられている。一対の固定接触子14は、縦方向に間隔をあけて並び、カプセルケース12の内側から外側へと突き抜けており、インサート成形によってカプセルケース12に一体化されている。固定接触子14は、奥行方向の奥を向いた端面のうち縦方向の内側端部が固定接点となる。
【0011】
可動接触子15は、導電性を有する金属であり、縦方向に延び、縦方向及び幅方向に沿った平板状に形成され、一対の固定接触子14より奥行方向の奥に配置されている。可動接触子15は、奥行方向の手前を向いた端面のうち縦方向の両外側端部が、固定接点に対向する可動接点となり、奥行方向に沿った変位によって接点を開閉させる。
接点支え16は、幅方向の両側、及び奥行方向の両側を閉塞した枠状に形成され、その内側には、可動接触子15及び接触スプリング18が保持されている。接触スプリング18は、奥行方向に伸縮する圧縮コイルばねであり、可動接触子15を奥行方向の手前へと付勢している。
【0012】
電磁石部17は、奥行方向の奥に配置され、スプール21と、プランジャ22と、外ヨーク23と、底面ヨーク24と、永久磁石25と、補助ヨーク26と、バックスプリング27と、を備えている。
スプール21は、絶縁性を有する樹脂製であり、奥行方向に延びる円筒状の巻き軸31にコイル32が巻かれている。巻き軸31の内側には、奥行方向の手前に円筒状のプランジャリング33が嵌め合わされ、奥行方向の奥に円筒状の摺動カラー34が嵌め合わされている。スプール21には、奥行方向の奥に、奥行方向と直交した四方、つまり縦方向の両側、及び幅方向の両側を取り囲むリブ35が形成されている。
プランジャ22は、奥行方向に延びる円柱状の可動鉄心であり、軸方向に進退可能な状態でプランジャリング33及び摺動カラー34に挿入されている。プランジャ22は、巻き軸31よりも長く、奥行方向の手前端部に接点支え16が連結されており、奥行方向の奥端部にアーマチュア36が連結されている。アーマチュア36は、縦方向及び幅方向に沿った円板状の継鉄である。
【0013】
外ヨーク23は、幅方向から見て奥行方向の奥に向かって開いた略コ字状に形成されている継鉄であり、スプール21における縦方向の両側、及び奥行方向の手前を覆うように設けられている。外ヨーク23には、奥行方向に貫通した丸穴にプランジャリング33の手前端部が嵌まり合っている。
底面ヨーク24は、縦方向及び幅方向に沿った板状の継鉄であり、スプール21における巻き軸31よりも奥行方向の奥に配置され、外ヨーク23における両側の奥端部に固定されている。底面ヨーク24は、奥行方向に貫通した丸穴にプランジャ22が通り抜けている。
【0014】
永久磁石25は、縦方向及び幅方向に沿った平板状で、奥行方向に貫通した丸穴が形成されており、リブ35の内側に嵌まり合い、且つ底面ヨーク24の奥面に吸着している。
補助ヨーク26は、縦方向及び幅方向に沿った平板状で、奥行方向に貫通した丸穴が形成されており、リブ35の内側に嵌まり合い、且つ永久磁石25の奥面に吸着されている。プランジャ22のアーマチュア36は、底面ヨーク24と補助ヨーク26との間に配置されている。
バックスプリング27は、奥行方向に伸縮する圧縮コイルばねであり、摺動カラー34とアーマチュア36との間に介在し、アーマチュア36を介してプランジャ22を奥行方向の奥へと付勢している。
【0015】
上記の構成により、コイル32に通電がない非励磁の状態では、図1に示すように、永久磁石25の磁力とバックスプリング27の反発力によって、プランジャ22が奥行方向の奥に変位した配置となる。永久磁石25の磁束は、永久磁石25の手前面から、底面ヨーク24、外ヨーク23、プランジャリング33、プランジャ22、アーマチュア36、及び補助ヨーク26を順に経て、永久磁石25の奥面へと至る。この閉ループとなる磁気回路によって、アーマチュア36が補助ヨーク26の手前面に吸着される。こうして、プランジャ22が奥行方向の奥へと変位しているときに、接点支え16を介して接点が開いて釈放状態となる。このとき、底面ヨーク24の奥面に対してアーマチュア36が離間している。
【0016】
この状態から、コイル32に通電され励磁されると、コイル32の磁力によって、底面ヨーク24の奥面にアーマチュア36が吸着される。これにより、プランジャ22が永久磁石25の磁力とバックスプリング27の反発力に逆らって奥行方向の手前に変位した配置となる。コイル32の磁束は、プランジャリング33の内周面から、プランジャ22、アーマチュア36、底面ヨーク24、外ヨーク23を順に経て、プランジャリング33の外周面へと至る。この閉ループとなる磁気回路によって、底面ヨーク24の奥面にアーマチュア36が吸着される。こうして、プランジャ22が奥行方向の手前へと変位しているときに、接点支え16を介して接点が閉じて投入状態となる。このとき、補助ヨーク26の手前面に対してアーマチュア36が離間している。
【0017】
次に、リブ35と補助ヨーク26との固定について説明する。
図2は、第一実施形態のスプール21を示す図である。
図中の(a)は、スプール21を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。図中の(b)は、スプール21を、奥行方向の奥から見た状態を示している。スプール21は、巻き軸31における奥行方向の手前端部に手前フランジ41が形成され、巻き軸31における奥行方向の奥端部に奥フランジ42(フランジ)が形成されている。手前フランジ41及び奥フランジ42は、縦方向及び幅方向に沿った板状に形成されており、奥行方向から見て略方形である。
【0018】
リブ35は、一対の縦リブ43と、一対の幅リブ44と、を備えている。一対の縦リブ43は、縦方向に延び、縦方向及び奥行方向に沿った板状に形成され、奥フランジ42における幅方向の両外側端部から奥行方向の奥に向かって形成されている。一対の幅リブ44は、幅方向に延び、幅方向及び奥行方向に沿った板状に形成され、縦リブ43同士における縦方向の両外側端部から幅方向の内側に向かって形成されている。一対の幅リブ44は、奥フランジ42から奥行方向の奥に離れた位置にあり、奥フランジ42と幅リブ44との隙間に底面ヨーク24が差し込まれる。幅リブ44は、縦リブ43によって幅方向の両端が支持された両端支持梁となる。リブ35の四隅で、縦リブ43と幅リブ44とが交わる入隅は、奥行方向から見て直角二等辺三角形のガセットによって補強されており、ガセットには、奥行方向の奥に向かって凸となる円柱状の突起部45が形成されている。
【0019】
図3は、底面ヨーク24、永久磁石25、補助ヨーク26を示す図である。
ここでは、奥行方向に分離させた底面ヨーク24、永久磁石25、及び補助ヨーク26を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。
底面ヨーク24は、奥行方向から見て縦方向に長い略長方形であり、中央には奥行方向に貫通した丸穴51が形成されている。丸穴51は、プランジャ22よりも大径で、アーマチュア36よりも小径である。底面ヨーク24の幅寸法は、縦リブ43同士の離隔距離に対応し、底面ヨーク24の厚さは、奥フランジ42と幅リブ44との隙間寸法に対応している。底面ヨーク24における縦方向の両側がカプセルケース12の内側に締結されることで、電磁石部17が固定される。電磁石部17が固定されると、リブ35や補助ヨーク26がカプセルカバー13の手前面から離れた状態となる。
【0020】
永久磁石25は、奥行方向から見て略方形であり、中央には奥行方向に貫通した丸穴52が形成されている。丸穴52は、アーマチュア36よりも大径である。永久磁石25の縦寸法は、幅リブ44同士の離隔距離に対応し、永久磁石25の幅寸法は、縦リブ43同士の離隔距離に対応している。奥行方向から見て、永久磁石25の四隅は、リブ35に嵌め合わせたときに、ガセット部との干渉を避けるために、斜めに切断した形状である。
補助ヨーク26は、奥行方向から見て略方形であり、中央には奥行方向に貫通した丸穴53が形成されている。丸穴53は、アーマチュア36よりも小径である。補助ヨーク26の縦寸法は、永久磁石25の縦寸法に対応し、補助ヨーク26の幅寸法は、永久磁石25の幅寸法に対応している。補助ヨーク26の四隅には、奥行方向に貫通した円形の貫通穴55が形成されている。貫通穴55は、突起部45の径に対応している。
【0021】
図4は、第一実施形態の電磁石部17を示す図である。
ここでは、電磁石部17を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。スプール21における奥フランジ42と幅リブ44との隙間には、底面ヨーク24が縦方向から差し込まれており、この底面ヨーク24に対して外ヨーク23が奥行方向の手前から嵌め合わされ、かしめによって固定されている。スプール21の巻き軸31には、プランジャ22が奥行方向の奥から挿入されている。リブ35の内側には、永久磁石25及び補助ヨーク26が奥行方向の奥から嵌め合わされている。四隅の接合点では、突起部45に貫通穴55が嵌まり合っており、各突起部45に熱かしめを行なうことで補助ヨーク26が固定される。
【0022】
《作用効果》
次に、第一実施形態の主要な作用効果について説明する。
電磁接触器11は、スプール21と、補助ヨーク26と、を備えている。スプール21は、奥行方向に延びる巻き軸31にコイル32が巻かれ、奥行方向の一方に奥行方向と直交した四方を取り囲むリブ35が形成されている。補助ヨーク26は、リブ35における四隅の接合点である突起部45に接合されている。これにより、非励磁へと切り替える釈放時に、補助ヨーク26がプランジャ22から奥行方向の荷重を受けても、その荷重をリブ35の四隅で受けることができる。すなわち、リブ35のうち対向する二辺に曲げモーメントが作用することがないため撓みを抑制することができる。そのため、プランジャ22がオーバーシュートすることを抑制し、安定した動作を実現できる。
【0023】
リブ35は、一対の縦リブ43と、一対の幅リブ44と、を備えている。一対の縦リブ43は、奥行方向と直交する幅方向の両側に設けられ、奥行方向と直交する縦方向に延び、スプール21のうち奥行方向における一方の奥フランジ42に支持されている。一対の幅リブ44は、縦方向の両側に設けられ、幅方向に延び、奥フランジ42から奥行方向に離れた状態で両端が縦リブ43の端部同士に支持されている。縦リブ43と幅リブ44とが交わる四隅に補助ヨーク26が接合されている。これにより、非励磁へと切り替える釈放時に、一対の幅リブ44に曲げモーメントが作用することがないため、幅リブ44の撓みを抑制することができる。
【0024】
電磁接触器11は、プランジャ22と、永久磁石25と、を備えている。プランジャ22は、巻き軸31の内側に挿通された進退可能である。永久磁石25は、リブ35に嵌め込まれている。補助ヨーク26は、コイル32への通電がない非励磁のときに、プランジャ22を吸着して釈放状態を維持する。これにより、プランジャ22の不必要な進退を抑制し、静止した状態を保つことができる。
リブ35の四隅には、奥行方向に凸となる突起部45が形成されている。補助ヨーク26の四隅には、奥行方向に貫通した貫通穴55が形成されている。そして、貫通穴55に嵌まり合った突起部45がかしめられている。これにより、補助ヨーク26をリブ35に容易に且つ確実に固定することができる。
【0025】
次に、比較例について説明する。
比較例は、補助ヨークの固定方法が異なることを除いては、前述した第一実施形態と同様の構成であるため、共通する部分については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5は、比較例のスプール61、補助ヨーク65を示す図である。
ここでは、スプール61、及び補助ヨーク65を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。スプール61の各幅リブ44には、幅方向の中央に、縦方向の外側に向かって突出した固定板62が形成されている。固定板62には、縦方向に並び、奥行方向の奥に向かって凸となる円柱状の二つの突起部63が形成されている。補助ヨーク65には、縦方向の両側で、幅方向の中央に、縦方向の外側に向かって突出した固定板66が形成されている。固定板66には、縦方向に並び、奥行方向に貫通した円形の二つの貫通穴67が形成されている。貫通穴67は、突起部63の径に対応している。
【0026】
図6は、比較例の電磁石部17を示す図である。
ここでは、電磁石部17を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。スプール61のリブ35には、補助ヨーク65が奥行方向の奥から嵌め合わされている。縦方向の両側の接合点では、突起部63に貫通穴67が嵌まり合っており、各突起部63に熱かしめを行なうことで補助ヨーク65が固定される。
図7は、比較例における幅リブ44の撓みを示す図である。
ここでは、スプール61を、縦方向の一方から見た状態を示している。非励磁へと切り替える釈放時に、永久磁石25の磁力とバックスプリング27の反発力によって、アーマチュア36が補助ヨーク26の手前面に吸着される。このとき、補助ヨーク26にはアーマチュア36から奥行方向の奥に向かう荷重が作用する。そのため、幅リブ44の中央だけで補助ヨーク65を固定する構造では、曲げモーメントによって幅リブ44が撓み、プランジャ22がオーバーシュートする可能性があった。
【0027】
《変形例》
第一実施形態では、リブ35と補助ヨーク26とをかしめによって固定する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、補助ヨーク26の四隅をリブ35のガセット部に接着剤で接合したり、接着剤を使用して固定したり、ねじ締結によって固定したりしてもよい。
第一実施形態では、プランジャ22と接点支え16とを直接的に連結する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、プランジャ22と接点支え16とを連結シャフトを介して間接的に連結する構成であってもよい。
【0028】
《第二実施形態》
《構成》
第二実施形態は、底面ヨーク24に幅リブ44を固定する構造を追加したものであり、それ以外の構成については前述した第一実施形態と同様であるため、共通する部分については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8は、第二実施形態のスプール21を示す図である。
図中の(a)は、スプール21を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。図中の(b)は、スプール21を、奥行方向の奥から見た状態を示している。幅リブ44には、縦方向の外側を向いた外周面に、奥行方向に沿った囲み壁71が形成されている。囲み壁71は、縦方向の外側、及び幅方向の両側を閉塞してあり、囲み壁71における縦方向の内側は、幅リブ44によって閉塞されている。囲み壁71における奥行方向の手前端は、幅リブ44における奥行方向の手前端と揃っている。
【0029】
図9は、第二実施形態の電磁石部17を示す図である。
ここでは、電磁石部17を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。スプール21における奥フランジ42と幅リブ44との隙間には、底面ヨーク24が縦方向から差し込まれており、囲み壁71における奥行方向の手前端は、底面ヨーク24に近接している。
図10は、幅リブ44と底面ヨーク24とを固定した状態を示す図である。
図中の(a)は、電磁石部17を、奥行方向の奥から見た状態を示している。図中の(b)は、電磁石部17において、幅方向の中心を通り、縦方向及び奥行方向に沿った断面を、幅方向の一方から見た状態を示している。幅リブ44、囲み壁71、及び底面ヨーク24で囲まれた領域には、網掛けで示すように奥行方向の奥から接着剤75が流し込まれており、幅リブ44と底面ヨーク24とが固定されている。幅リブ44及び囲み壁71において、対向する内壁面には、奥行方向の手前を縦方向及び幅方向に狭くした段差が形成されている。
【0030】
《作用効果》
次に、第二実施形態の主要な作用効果について説明する。
電磁接触器11は、底面ヨーク24を備えている。底面ヨーク24は、奥行方向と直交する板状に形成され、奥フランジ42と幅リブ44との間に差し込まれている。幅リブ44には、縦方向の外側を向いた外周面に、奥行方向に沿った囲み壁71が形成されている。幅リブ44、囲み壁71、及び底面ヨーク24で囲まれた領域に接着剤75が流し込まれている。これにより、底面ヨーク24に対して堅固に幅リブ44を固定することができる。また、幅リブ44の剛性を高めて変形や破損を抑制することができる。さらに、幅リブ44及び囲み壁71において、対向する内壁面には段差が形成されているので、底面ヨーク24に対してより堅固に幅リブ44を固定することができる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第一実施形態と同様である。
【0031】
《第三実施形態》
《構成》
第三実施形態は、底面ヨーク24に幅リブ44を固定する構造を追加したものであり、それ以外の構成については前述した第一実施形態と同様であるため、共通する部分については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図11は、第三実施形態の永久磁石25、補助ヨーク26を示す図である。
ここでは、永久磁石25、及び補助ヨーク26を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。永久磁石25には、縦方向の外側を向いた外周縁に、縦方向の内側に凹となる凹部81(第一の凹部)が形成されている。凹部81は、奥行方向から見て縦方向の内側を上底とし、縦方向の外側を下底とする略台形であり、奥行方向に沿って永久磁石25の厚さ全体に形成されている。補助ヨーク26には、縦方向の外側を向いた外周縁に、縦方向の内側に凹となる凹部82(第二の凹部)が形成されている。凹部82は、奥行方向から見て凹部81と同一形状であり、奥行方向に沿って補助ヨーク26の厚さ全体に形成されている。
【0032】
図12は、第三実施形態の電磁石部17を示す図である。
ここでは、電磁石部17を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。スプール21における奥フランジ42と幅リブ44との隙間には、底面ヨーク24が縦方向から差し込まれており、リブ35の内側には、永久磁石25及び補助ヨーク26が奥行方向の奥から嵌め合わされている。
図13は、幅リブ44と底面ヨーク24とを固定した状態を示す図である。
図中の(a)は、電磁石部17を、奥行方向の奥から見た状態を示している。図中の(b)は、電磁石部17において、幅方向の中心を通り、縦方向及び奥行方向に沿った断面を、幅方向の一方から見た状態を示している。幅リブ44、凹部81、凹部82、及び底面ヨーク24で囲まれた領域には、網掛けで示すように奥行方向の奥から接着剤85が流し込まれており、幅リブ44と底面ヨーク24とが固定されている。
【0033】
《作用効果》
次に、第三実施形態の主要な作用効果について説明する。
電磁接触器11は、底面ヨーク24と、永久磁石25と、を備えている。底面ヨーク24は、奥行方向と直交する板状に形成され、奥フランジ42と幅リブ44との間に差し込まれている。永久磁石25は、リブ35に嵌め込まれている。永久磁石25には、縦方向の外側を向いた外周縁に、内側に凹となる凹部81が形成されている。補助ヨーク26には、縦方向の外側を向いた外周縁に、内側に凹となる凹部82が形成されている。幅リブ44、凹部81、凹部82、及び底面ヨーク24で囲まれた領域に接着剤85が流し込まれている。これにより、底面ヨーク24に対して堅固に幅リブ44を固定することができる。また、幅リブ44の剛性を高めて変形や破損を抑制することができる。また、永久磁石25に凹部81を設け、補助ヨーク26に凹部82を設けたことで、軽量化を図ることができる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第一実施形態と同様である。
【0034】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0035】
11…電磁接触器、12…カプセルケース、13…カプセルカバー、14…固定接触子、15…可動接触子、16…接点支え、17…電磁石部、18…接触スプリング、21…スプール、22…プランジャ、23…外ヨーク、24…底面ヨーク、25…永久磁石、26…補助ヨーク、27…バックスプリング、31…巻き軸、32…コイル、33…プランジャリング、34…摺動カラー、35…リブ、36…アーマチュア、41…手前フランジ、42…奥フランジ、43…縦リブ、44…幅リブ、45…突起部、51…丸穴、52…丸穴、53…丸穴、55…貫通穴、61…スプール、62…固定板、63…突起部、65…補助ヨーク、66…固定板、67…貫通穴、71…囲み壁、75…接着剤、81…凹部、82…凹部、85…接着剤
図1
図2
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図11
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図13