(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124155
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】衝撃検出装置
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01H1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032134
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】村尾 英俊
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA01
2G064AA11
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】電力を使わずに、安価な構成により、衝撃を容易且つ確実に検出することができる衝撃検出装置を提供すること。
【解決手段】衝撃検出装置は、質量のある移動体と、支持部と、保持手段と、を有する。支持部は、検出対象物に固定する固定端を有し、固定端から離間した長手方向の途中に移動体を取り付ける取付部を有し、検出対象物に与えられた衝撃により移動体に一定のしきい値を超える加速度が生じた際に固定端と取付部の間で変形する。保持手段は、支持部の変形により移動した移動体を移動先で保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量のある移動体と、
検出対象物に固定する固定端を有し、前記移動体を前記固定端から離間した位置に取り付ける取付部を有し、前記検出対象物に与えられた衝撃により前記移動体に一定のしきい値を超える加速度が生じた場合に前記固定端と前記取付部の間で変形する支持部と、
前記支持部の変形により移動した前記移動体を移動した状態のまま保持する保持手段と、
を有する衝撃検出装置。
【請求項2】
前記移動体は、磁性体であり、
前記保持手段は、磁力により前記移動体を保持する、
請求項1に記載の衝撃検出装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記固定端を固定した磁性体により形成した台座を有し、
前記移動体は、磁石であり、
前記保持手段は、磁力により前記移動体を前記台座に磁気吸着する、
請求項1に記載の衝撃検出装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記固定端を中心に全方位に変形可能な弾性体であり、
前記移動体は、移動した状態で前記台座に接触する辺を1辺とする多角形状に形成されている、
請求項3に記載の衝撃検出装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記固定端から異なる距離に設けた複数の前記取付部を有し、
前記移動体を取り付ける前記取付部を変えることにより、前記支持部を変形させる加速度の前記しきい値を変えることができる、
請求項1に記載の衝撃検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、複写機やプリンタなどの画像形成装置の輸送時に画像形成装置に加えられた衝撃を検出する衝撃検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークプレイスに設置する複写機やプリンタなどの画像形成装置は、用紙に転写したトナー像を加熱して用紙に定着させる定着装置を備える。例えば、地震発生時における定着装置からの出火を防止するため、画像形成装置に加えられた振動を検出して、定着装置への通電を遮断するようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置は、製造工場から出荷した後の輸送時に、外部から衝撃を受けて、重大な破損を生じることがある。この場合、破損の原因がどのような衝撃によるものであるのかは、梱包材の外観や、破損個所の状態などに基づいて推測することしかできない。
【0005】
このため、加速度計を画像形成装置に取り付けて衝撃の強さを計測する方法が考えられるが、全ての画像形成装置に加速度計を取り付けるためには多大な手間と費用がかかり、現実的ではない。また、輸送時には、画像形成装置が通電状態にないため、電力を利用して衝撃の有無を検出することも難しい。
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、電力を使わずに、安価な構成により、衝撃を容易且つ確実に検出することができる衝撃検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の衝撃検出装置は、質量のある移動体と、支持部と、保持手段と、を有する。支持部は、検出対象物に固定する固定端を有し、固定端から離間した長手方向の途中に移動体を取り付ける取付部を有し、検出対象物に与えられた衝撃により移動体に一定のしきい値を超える加速度が生じた際に固定端と取付部の間で変形する。保持手段は、支持部の変形により移動した移動体を移動した状態のまま保持する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る衝撃検出装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の衝撃検出装置から移動体を取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の衝撃検出装置の移動体を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の衝撃検出装置の移動体に第1のしきい値を超える加速度が生じた後の状態を示す正面図である。
【
図6】
図6は、
図1の衝撃検出装置の移動体を第2の取付部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の衝撃検出装置の移動体に第2のしきい値を超える加速度が生じた後の状態を示す正面図である。
【
図9】
図9は、
図1の衝撃検出装置の移動体を第3の取付部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10の衝撃検出装置の移動体に第3のしきい値を超える加速度が生じた後の状態を示す正面図である。
【
図12】
図12は、
図1の衝撃検出装置の取り付け例について説明するための図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態の変形例の台座と支持部を示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係る衝撃検出装置を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、
図15の衝撃検出装置の収容部の第1部分を支持部の先端に固定した構造物を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、
図1の衝撃検出装置の他の応用例としての装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面は、説明を分かり易くするため、構成を簡略化もしくは省略して示す場合がある。
【0010】
図1~
図3に示すように、第1の実施形態に係る衝撃検出装置100は、台座10と、支持部20と、移動体30と、を有する。衝撃検出装置100は、検出対象物の平らな被取付面1に固定して使用する。例えば、検出対象物が複写機やプリンタなどの画像形成装置である場合、画像形成装置の輸送時に破損を生じる程度に大きな衝撃を受けたか否かを衝撃検出装置100によって検出することができる。この場合、画像形成装置を梱包してトラックなどにより輸送する際に衝撃検出装置100を予め画像形成装置の所定部位に取り付けておけばよい。
【0011】
例えば、衝撃検出装置100を
図12に示す複写機200に取り付ける場合、排紙トレイ201に固定したり、スキャナガラス202に固定したりすることができる。
図12の複写機200は、胴内排紙タイプの複写機であるため、排紙トレイ201の上面(被取付面1に相当)あたりが複写機200の重心に近い。このため、衝撃検出装置100を排紙トレイ201に固定すると、複写機200に対してどの方向から衝撃が加えられたのかを検出しやすい。また、胴内排紙タイプの複写機200は、スキャナユニット210を片持ち梁状態で備えているため、スキャナユニット210が上下に振動しやすい。このため、衝撃を受けた際に最も影響を受けやすいスキャナユニット210に衝撃検出装置100を取り付けることが有効である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、衝撃検出装置100の台座10は、略円板状の磁性体により形成されている。衝撃検出装置100を検出対象物に取り付ける場合、検出対象物の被取付面1に台座10を固定する。台座10の被取付面1に対する固定には、例えば両面テープなどを用いることができる。或いは、後述する移動体30との間で斥力を生じない向きに磁化された磁性体により台座10を形成してもよい。台座10をこのような磁石により形成することにより、検出対象物が磁性体であれば、衝撃検出装置100を被取付面1に磁気吸着させて固定することができる。台座10の形状は円形に限らない。台座10の被取付面1に対する固定手段は、上記以外のいかなるものであってもよい。
【0013】
支持部20は、例えば、弾性変形可能な金属線21を形状加工したものである。支持部20は、台座10の中心に固定する固定端22を有する。固定端22は、金属線21の一端である。支持部20は、例えば、固定端22を台座10の表面12に設けた固定孔に圧入することで固定することができる。
【0014】
支持部20は、固定端22から台座10の表面12と直交する方向に延びた直線部分23を有する。支持部20は、直線部分23の固定端22と反対の端部に連続したコイル部分24を有する。支持部20は、コイル部分24の直線部分23とは反対側に連続した波状部分25を有する。支持部20は、コイル部分24の先端240に溶接により固定したもう1つの波状部分26を有する。支持部20は、1本の金属線21を形状加工して形成した直線部分23、コイル部分24、及び波状部分25とは別体の波状部分26をコイル部分24の先端240に固定した構造を有する。
【0015】
波状部分26は、コイル部分24の中心を通る架空の線に対して波状部分25と線対称に取り付ける。波状部分25、26は2つに限らずコイル部分24の先端240の周方向に等間隔で3つ以上設けてもよい。2つの波状部分25、26は、コイル部分24の先端240から、支持部20の長手方向に離れるにつれて拡開している。
【0016】
波状部分25、26は、互いに近付く方向に屈曲した複数の谷部分251、252、253、261、262、263と、互いに離れる方向に屈曲した複数の山部分255、265を交互に有する。本実施形態では、波状部分25、26は、それぞれ3つの谷部分と4つの山部分を交互に備える。波状部分25の3つの谷部分251、252、253は、波状部分26の3つの谷部分261、262、263にそれぞれ対向する位置にある。これら3対の谷部分251、261、252、262、253、263は、本願の特許請求の範囲に記載した「取付部」の一例である。つまり、本実施形態の衝撃検出装置100は、支持部20の長手方向に沿って固定端22から異なる距離で3つの取付部を有する。
【0017】
図3に示すように、移動体30は、例えば、外周部に12個の矩形の平らな面32を備える12角柱形状である。移動体30は、例えば磁性体を磁気吸着することが可能な一定の質量を持った磁石により形成する。移動体30の外周部にある複数の矩形の平らな面32は、支持部20が
図5に示す状態に変形した場合に、台座10の平らな表面12に接触する真っ直ぐな辺を含む面であればよい。移動体30は、多角形状であればよく、外周部に備える平らな面32は12個に限らない。また、移動体30は、多角錐形状などであってもよく、
図5に示すように台座10の表面12に磁気吸着した状態で台座10の表面12を転がることのない形状であればよい。
【0018】
或いは、移動体30を平らな面を持たない例えば円板状に形成して、台座10の表面12に移動体30を転動不能に保持する複数の凹所を設けてもよい。この場合、凹所は、台座10の表面12の周方向に並んで複数設ければよい。凹所は、移動体30が台座10に磁気吸着した後、台座10の表面12を転動することなく凹所に嵌る形状を有していればよい。凹所は、例えば、円板状の移動体30と同じ曲率の円弧状の底面を有するものであればよい。
【0019】
移動体30は、その中央に、移動体30を貫通した矩形の固定孔34を有する。移動体30の軸方向と直交する固定孔34の断面は、1方向に長い長方形である。移動体30を支持部20に取り付ける場合、支持部20の2つの波状部分25、26を互いに近付く方向にわずかに弾性変形させて、2つの波状部分25、26の自由端側を移動体30の固定孔43に挿通し、2つの波状部分25、26の弾性変形を元に戻す。これにより、移動体30の固定孔34の長手方向の両端を、波状部分25、26の谷部分251、252、253、261、262、263のいずれかに嵌合することができる。支持部20による移動体30の保持力は、2本の波状部分25、26の復元力である。例えば、移動体30を支持部20に取り付ける前の状態を
図2に示し、移動体30を支持部20に取り付けた状態の一例を
図1に示す。移動体30は、断面長方形の固定孔34を有するため、支持部20に取り付けた状態で、支持部20に対して回動することはない。
【0020】
支持部20は、上述したように3つの取付部を有する。
図1、
図4、及び
図5は、支持部20の長手方向に沿って固定端22から最も遠い位置に設けた一対の谷部分251、261(以下、第1の取付部251、261と称する)に移動体30を取り付けた状態を示す。
図6~
図8は、第1の取付部251、261より固定端22に近い一対の谷部分252、262(以下、第2の取付部252、262と称する)に移動体30を取り付けた状態を示す。
図9~
図11は、固定端22に最も近い一対の谷部分253、263(以下、第3の取付部253、263と称する)に移動体30を取り付けた状態を示す。つまり、移動体30は、支持部20の固定端22から異なる距離に設けた複数の取付部のいずれか1つに取り付け可能である。
【0021】
例えば、移動体30を第1の取付部251、261に取り付けた
図4に示す状態で、検出対象物に衝撃が加わると、この衝撃に基づく方向及び大きさの加速度が移動体30に生じる。移動体30に一定方向の強い加速度が生じると、移動体30を取り付けた支持部20が、固定端22と第1の取付部251、261の間で湾曲して変形する。支持部20の変形は、概ね直線部分23で起こるが、コイル部分24もわずかに湾曲する。支持部20は、1本の金属線21の端部である固定端22を台座10に垂直に固定しているため、固定端22を中心とした全方位に変形可能である。
【0022】
移動体30に生じる加速度がある一定のしきい値を超えると、支持部20が
図5に示す状態まで大きく変形し、移動体30が台座10の表面12に接触する。このとき移動体30を台座10の表面12に接触させる加速度のしきい値を第1のしきい値とする。
図5に示すように台座10の表面12に接触した移動体30は、支持部20の復元力より強い力で台座10の表面12に磁気吸着する。このため、台座10の表面12に磁気吸着した状態の移動体30は、移動体30に生じていた加速度が消失した後、台座10の表面12に磁気吸着した状態を維持する。つまり、この場合、台座10は、本願の特許請求の範囲に記載した「保持手段」として機能し、支持部20の変形により移動した移動体30を移動した状態のまま保持する。なお、移動体30は、その外周部に上述した複数の平らな面32を有するため、台座10の表面12に磁気吸着した状態で表面12に沿って転がることがない。
【0023】
また、
図6及び
図7に示すように、移動体30を第2の取付部252、262に取り付けた状態で、検出対象物に衝撃が加わると、ある一定のしきい値を超える大きさの加速度が移動体30に生じた場合に、
図8に示す状態まで支持部20が変形して移動体30が台座10の表面12に磁気吸着する。このときの加速度のしきい値は、上述した第1のしきい値より大きい値であり、このしきい値を第2のしきい値とする。
【0024】
同様に、
図9及び
図10に示すように、移動体30を第3の取付部253、263に取り付けた状態で、検出対象物に衝撃が加わると、ある一定のしきい値を超える大きさの加速度が移動体30に生じた場合に、
図11に示す状態まで支持部20が変形して移動体30が台座10の表面12に磁気吸着する。このときの加速度のしきい値は、上述した第2のしきい値よりさらに大きい値であり、このしきい値を第3のしきい値とする。
【0025】
つまり、本実施形態によると、移動体30の支持部20に対する取付位置を変えることで、衝撃検出装置100によって検出可能な衝撃の大きさを変えることができる。第1の取付部251、261に取り付けた移動体30が台座10に磁気吸着した場合、第1のしきい値を超える加速度が移動体30に生じる程度の衝撃が検出対象物に与えられたことを検出することができる。第2の取付部252、262に取り付けた移動体30が台座10に磁気吸着した場合、第2のしきい値を超える加速度が移動体30に生じる程度の衝撃が検出対象物に与えられたことを検出することができる。第3の取付部253、263に取り付けた移動体30が台座10に磁気吸着した場合、第3のしきい値を超える加速度が移動体30に生じる程度の衝撃が検出対象物に与えられたことを検出することができる。例えば、比較的強い衝撃が検出対象物に与えられたか否かを検出したい場合には、移動体30を第3の取付部253、263に取り付け、比較的弱い衝撃が検出対象物に与えられたか否かを検出したい場合には、移動体30を第1の取付部251、261に取り付ければよい。
【0026】
以上のように、第1の実施形態に係る衝撃検出装置100によると、電力を使わずに、比較的安価な構成により、検出対象物に与えられた衝撃の有無を容易且つ確実に検出することができる。つまり、本実施形態によると、利用者は、移動体30が台座10に磁気吸着しているか否かを確認するだけで、検出対象物に大きな衝撃が与えられたか否かを判断することができる。また、移動体30がその外周部に複数の平らな面32を有するため、台座10に磁気吸着した状態で転がることがなく、移動体30が台座10に磁気吸着した位置から、検出対象物に衝撃が加えられた方向を知ることができる。
【0027】
また、本実施形態によると、移動体30を支持部20に取り付ける位置(第1の取付部251、261、第2の取付部252、262、又は第3の取付部253、263)を変えることができるため、検出対象物に加わる衝撃の有無を検出する際の、検出可能な衝撃の大きさを段階的に変えることができ、用途に応じた運用が可能である。また、質量の異なる数種類の移動体30を予め容易しておけば、検出する衝撃の大きさを微調整することもできる。
【0028】
また、本実施形態によると、台座10に磁気吸着した状態の移動体30を台座10から引き離して元の状態に戻すことができるため、検出対象物に取り付けて1度使用した衝撃検出装置100を再利用することができる。台座10を磁性体により形成された検出対象物に磁気吸着させるように台座10を磁石により形成しておけば、同じ衝撃検出装置100を何度でも再利用することができる。なお、再利用の必要が無い場合には、支持部20を弾性変形する素材ではなく、塑性変形する素材により形成してもよい。
【0029】
本実施形態では、台座10に磁気吸着した状態の移動体30をその状態のまま保持する保持手段として、移動体30との間で磁気吸引力を生じる台座10を用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば、移動体30を面ファスナーなどの他の手段を用いて台座10に保持させてもよい。また、検出対象物が磁性体であり、且つ移動体30が磁石である場合には、台座10を省略して、移動体30を検出対象物の被取付面1に直接吸着させるようにしてもよい。この場合、検出対象物が保持手段として機能することになる。なお、この場合、支持部20の固定端22を被取付面1に固定するため、吸盤などの固定部材を固定端22に設ければよい。
【0030】
また、
図13に示す変形例のように、支持部20の固定端22に固定コイル28を設けて支持部20の固定端22を台座10に固定するようにしてもよい。この場合、支持部20の直線部分23を間に挟んでコイル部分24の反対側に固定コイル28を設ける。固定コイル28は、直線部分23、コイル部分24、及び波状部分25とともに1本の金属線21により形成することができる。台座10には、固定コイル28を嵌合するスタッド14を設ける。スタッド14は、例えば、台座10の中心に設けた取付孔101に挿し込んで台座10の裏面側でかしめることにより台座10に固定する。固定コイル28の内径は、スタッド14の外径よりわずかに小さく、スタッド14を固定コイル28に圧入して固定する。
【0031】
上記の変形例に係る支持部20は、コイル部分24とは別に固定コイル28を設けたが、例えば、
図14に示すように、直線部分23を無くして、2つのコイル部分を一体にしたコイル部分29を設けてもよい。この場合、例えば、コイル部分29の内径を、スタッド14の外径よりわずかに小さくして、スタッド14をコイル部分29の固定端22に圧入して、支持部20を台座10に固定すればよい。
【0032】
次に、
図15~
図18を参照して、第2の実施形態に係る衝撃検出装置300について説明する。
図15に示すように、衝撃検出装置300は、台座310と、支持部320と、収容部330と、を有する。台座310は、
図13のスタッド14を備えた台座10と同じ構造を有する。支持部320は、その基端部に台座310のスタッド14に固定する固定端322を有する。
図16に示すように、支持部320の固定端322は、スタッド14を圧入する有底穴321を備える。支持部320は、弾性変形可能な棒状部材である。支持部320は、台座310の表面312と略垂直に固定する。収容部330は、支持部320の固定端322から離間した先端に固定する。収容部330は、略8角柱形状の外形を有する。収容部330は、8角柱形状に限らず、多角柱形状にすればよい。
【0033】
図16~
図18に示すように、収容部330は、その内部に、移動体340を収容するための2つの収容室331、332を有する。2つの収容室331、332は、支持部320の固定端322から異なる距離で離間した位置にある。収容室の個数は2つに限らず3つ以上設けてもよい。移動体340は、例えば、所定の質量を有する球状の磁石である。移動体340は、複数の収容室の1つに収容配置する。収容室331、332は、移動体340よりわずかに大径の球状の空間である。収容室331、332の形状、及び移動体340の形状は、球状に限らず、両者が緩く嵌合することができる相似形であればいかなる形状であってもよい。
【0034】
収容部330は、支持部320の先端に固定した第1部分333と、第1部分333に合体する第2部分334を有する。第1部分333と第2部分334は例えば樹脂により形成する。第1部分333の第2部分334に対向する接合面3330には、2つの半球状の凹所3311、3321がある。第2部分334の第1部分333に対向する接合面3340には、第1部分333の2つの凹所3311、3321に対向する2つの半球状の凹所3312、3322がある。第1部分333の接合面3330と第2部分334の接合面3340を接触させて第1部分333と第2部分334を合体させると、収容部330の内部に2つの球状の収容室331、332を設けることができる。
【0035】
第1部分333の接合面3330には、4つの固定穴3331がある。第2部分334の接合面3340には、第1部分333の4つの固定穴3331にそれぞれ対向する4つの圧入ピン3341がある。2つの収容室331、332のいずれか一方に移動体340を収容して、第2部分334の4つの圧入ピン3341を第1部分333の4つの固定穴3331にそれぞれ圧入し、第1部分333の接合面3330と第2部分334の接合面3340を接合すると、第1部分333と第2部分334を合体させて収容部330を組み立てることができる。
【0036】
上記構造の衝撃検出装置300を検出対象物の被取付面1に固定した状態で検出対象物に衝撃が与えられると、移動体340を収容した収容部330に加速度が生じる。収容部330に生じる加速度が一定のしきい値を超えると、収容部330が台座310の表面312に接触するまで支持部320が湾曲変形する。収容部330が台座310に接触すると、移動体340が台座310に磁気吸着して、収容部330が台座310に接触した状態で保持される。
【0037】
本実施形態の衝撃検出装置300によると、質量を持った移動体340を支持部320の固定端322から異なる距離にある2つの収容室331、332のいずれか一方に収容配置することができる。このため、本実施形態においても、上述した第1の実施形態の衝撃検出装置100と同様に、検出対象物に衝撃が与えられたか否かを容易且つ確実に検出することができ、検出する加速度の大きさも2段階で変えることができる。
【0038】
第1の実施形態の衝撃検出装置100は、例えば、検出対象物に与えられた振動を検出するための振動検出装置として応用することができる。この場合、例えば、
図12の複写機200に衝撃検出装置100を応用した
図19に示す装置400を取り付けて、地震発生時などに複写機200の表示パネルに警告を表示するようにしてもよい。
【0039】
図19の装置400は、支持部20の変形方向を1方向に規制するための規制部材410を備える。規制部材410は、
図20に示すように、台座10の表面12に固定する円形の固定板411を有する。固定板411は、支持部20を挿通配置するための1方向に延びた切り欠き部412を有する。規制部材410は、固定板411の表面4111に立設した2つの規制板413、414を備える。2つの規制板413、414は、切り欠き部412を間に挟んだ両側にある。2つの規制板413、414は、間に支持部20を配置可能な距離で互いに離間して且つ互いに平行である。2つの規制板413、414は、支持部20の変形方向を規制板413、414と平行な方向に規制する。
【0040】
例えば、装置400を複写機200に取り付けて使用する場合、
図21及び
図22に示すように、支持部20が変形した際にセンサの光線Lを移動体30が遮る位置に装置400を取り付ける。支持部20の変形方向は、規制部材410の向きにより調整する。センサは、例えば、用紙搬送検知センサなどであり、発光部と受光部を有するものであればよい。
【0041】
装置400を取り付けた複写機200に振動が与えられて、移動体30に加速度が生じると、規制部材410によって変形方向が規制された支持部20が
図21の状態から
図22の状態に変形し、移動体30がセンサの光線Lを遮る。これにより、センサ出力が暗となり、複写機200に振動が与えられたことを検出することができる。
【0042】
なお、振動検出装置への応用例として、例えば、
図23に示す装置500を用いてもよい。この装置500は、台座10に2つの波状部分25、26の一端を互いに離間させて固定したものであり、波状部分25、26の途中に移動体30を取り付けて使用する。第1の実施形態と同様に、波状部分25、26の途中に移動体30を取り付けると、振動により移動体30に加速度が生じた際に波状部分25、26が変形する方向が一定方向に規制される。つまり、波状部分25、26は、その並び方向には変形することができず、並び方向と直交する方向へ変形する。よって、この方向に波状部分25、26が湾曲して変形した場合に、移動体30がセンサの光線Lを遮る位置に装置500を取り付ければよい。
【0043】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…被取付面、10…台座、12…表面、20…支持部、22…固定端、25、26…波状部分、30…移動体、32…面、34…固定孔、100…衝撃検出装置、200…複写機、251、261…第1の取付部、252、262…第2の取付部、253、263…第3の取付部。