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特開2024-124156無線アクセスポイント、無線アクセスコントローラ、無線アクセスポイントシステム、無線アクセスポイントシステムの制御方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124156
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】無線アクセスポイント、無線アクセスコントローラ、無線アクセスポイントシステム、無線アクセスポイントシステムの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20240905BHJP
   H04W 28/086 20230101ALI20240905BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20240905BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W28/086
H04W24/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032136
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA12
5K067AA28
5K067DD57
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE55
(57)【要約】
【課題】無線環境の変化による無線スループットの低下の抑制。
【解決手段】複数の無線アクセスポイントと、無線アクセスコントローラを備える無線アクセスポイントシステム。無線アクセスポイントは自身の無線環境に関するデータを取得するデータ取得部と、自身の位置を制御する位置制御部を備える。無線アクセスコントローラは無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(「無線環境データ」)を無線アクセスポイントから収集するデータ収集部と、無線環境データに基づいて、無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を取得するデータ取得部と、
自身の位置を制御する位置制御部と、
を備える、無線アクセスポイント。
【請求項2】
前記位置制御部は、
前記無線アクセスポイントが設置される構造体に配設されたレールシステムにおいて、
その無線アクセスポイントの位置を制御する、
請求項1に記載の無線アクセスポイント。
【請求項3】
無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を前記無線アクセスポイントから収集するデータ収集部と、
前記無線環境データに基づいて、前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部と、
を備える、無線アクセスコントローラ。
【請求項4】
複数の請求項1に記載の無線アクセスポイントと、
請求項3に記載の無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステム。
【請求項5】
前記判定部は、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)の前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
請求項4に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項6】
前記判定部は、
前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ、前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させるために、前記環境悪化無線アクセスポイントの前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
請求項5に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項7】
前記無線アクセスポイントは、更に、ロードバランス機能動作部を備え、
前記判定部は、前記環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部に対し、ロードバランス機能を動作させる指令信号を送信する、
請求項5に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項8】
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントに接続している無線端末の個数(以下「接続数」という。)であり、
前記所定の閾値は、前記無線アクセスポイントへの接続上限であり、
前記判定部は、前記接続数が前記接続上限を上回る場合、前記無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定する、
請求項5から7の何れか1項に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項9】
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは、
前記複数の無線アクセスポイントが取得した、それぞれの無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を収集し、
前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定し、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステムの制御方法。
【請求項10】
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおける前記無線アクセスコントローラに、請求項9に記載の無線アクセスポイントシステムの制御方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線アクセスポイント、無線アクセスコントローラ、無線アクセスポイントシステム、無線アクセスポイントシステムの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設等に設置される従来の無線アクセスポイントは、商業施設等の天井等に固定的に設置されており、無線環境が変化した場合、当該変化に応じて電波出力やチャネル、帯域幅をソフトウェア的に自動で変更する機能を有する。
【0003】
そのような機能としては、例えば、無線アクセスポイントに無線端末が多数接続した場合、新規の端末の接続を拒否することによって他のアクセスポイントへの接続を促すロードバランス機能がある。そして、このロードバランス機能によって、無線アクセスポイントに接続する端末数を均一化することは可能である(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“安心して使える無線LAN構築法--(1) 第2回”,[online],株式会社 日経BP,[令和5年1月24日検索],インターネット,<URL:https://xtech.nikkei.com/it/members/NCC/NETPOINT/20021015/2/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は本発明者によってなされたものである。
【0006】
上記先行技術文献は、引用により本書に繰り込み記載されているものとする。
【0007】
しかしながら、局所的に無線端末接続数が急増した際に、ロードバランス機能による接続均一化が行われても、接続数自体が過大であれば、無線スループットの低下が発生する。
【0008】
本開示の課題は、とりわけ、無線環境の変化による無線スループットの低下の抑制に貢献する、無線アクセスポイント、無線アクセスコントローラ、無線アクセスポイントシステム、無線アクセスポイントシステムの制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示の第1の視点により、自身の無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を取得するデータ取得部と、
自身の位置を制御する位置制御部と、
を備える、無線アクセスポイントが提供される(形態1)。
(2)本開示の第2の視点により、無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を前記無線アクセスポイントから収集するデータ収集部と、
前記無線環境データに基づいて、前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部と、
を備える、無線アクセスコントローラが提供される(形態3)。
(3)本開示の第3の視点により、複数の本開示の無線アクセスポイントと、
本開示の無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムが提供される(形態4)。
(4)本開示の第4の視点により、
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは、
前記複数の無線アクセスポイントが取得した、それぞれの無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を収集し、
前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定し、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステムの制御方法が提供される(形態9)。
(5)本開示の第5の視点により、
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおける前記無線アクセスコントローラに、本開示の無線アクセスポイントシステムの制御方法を実行させるプログラムが提供される(形態10)。
【0010】
(形態1)上掲本開示の第1の視点参照。
(形態2)上記形態1の無線アクセスポイントにおいて、
前記位置制御部は、前記無線アクセスポイントが設置される構造体に配設されたレールシステムにおいて、その無線アクセスポイントの位置を制御することが好ましい。
(形態3)上掲本開示の第2の視点参照。
(形態4)上掲本開示の第3の視点参照。
(形態5)上記形態4の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)の前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信することが好ましい。
(形態6)上記形態5の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、
前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ、前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させるために、前記環境悪化無線アクセスポイントの前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信することが好ましい。
(形態7)上記形態5の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントは、更に、ロードバランス機能動作部を備え、
前記判定部は、前記環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部に対し、ロードバランス機能を動作させる指令信号を送信することが好ましい。
(形態8)上記形態5から7の何れかの無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントに接続している無線端末の個数(以下「接続数」という。)であり、
前記所定の閾値は、前記無線アクセスポイントへの接続上限であり、
前記判定部は、前記接続数が前記接続上限を上回る場合、前記無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定することが好ましい。
(形態9)上掲本開示の第4の視点参照。
(形態10)上掲本開示の第5の視点参照。
【0011】
なお、上記のプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジエントな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本開示は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示ないしその各視点は、とりわけ、無線環境の変化による無線スループットの低下の抑制に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態のブロック図。
図2】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理例のフローチャート。
図3】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の更なる処理例のフローチャート。
図4】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の無線アクセスポイントの一例のブロック図。
図5】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の無線アクセスコントローラの一例のブロック図。
図6】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例における無線環境状況の一例。
図7図6における無線環境状況が記録された無線環境状況テーブルの一例。
図8】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例において、局所的に混雑が生じた無線環境状況の一例。
図9図8における無線環境状況が記録された無線環境状況テーブルの一例。
図10】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例において、本開示により局所的混雑が解消された無線環境状況の一例。
図11図10における無線環境状況が記録された無線環境状況テーブルの一例。
図12-1】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例のフローチャート。
図12-2】本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例のフローチャート。
図13】本開示に応じた無線アクセスポイントの最小構成のブロック図。
図14】本開示に応じた無線アクセスコントローラの最小構成のブロック図。
図15】ハードウェア資源の構成の一例。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、専ら本開示の理解を助けるためのものであり、本開示を図示の態様に限定することは意図していない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印は、信号、情報、データ等の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。更に、各図におけるブロック間の接続は有線又は無線方式の何れでも可能である。更に、プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェイスを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0015】
更に、以下の説明及び図面において、同一の又は共通の機能を有する要素には同一の図面参照符号が付記されている。
【0016】
(実施形態)
図1は本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態を示す。無線アクセスポイントシステムは、夫々少なくとも1つの無線端末がアクセス可能な複数の無線アクセスポイント10a~10cと、無線アクセスコントローラ20を含む。なお、図示の無線アクセスポイントシステムは3つの無線アクセスポイント10a~10cを含んでいるが、本開示の無線アクセスポイントシステムを構成する無線アクセスポイントの個数は2つ又は4つ以上であり得る。また、本開示において、無線端末とは、スマートフォン、タブレット端末等のような、無線アクセスポイントにアクセス可能な任意の端末をいう。
【0017】
複数の無線アクセスポイント10a~10cは、夫々、位置変更(ないし移動)可能に構成されている。この位置変更は、例えば、商業施設等の建造物の壁面又は天井下面等に、例えば格子状に、配設されたレールシステムに沿った各無線アクセスポイント10a~10cの移動、商業施設等の建造物の床面又は天井上面における、例えば車輪を備えた走行体としての各無線アクセスポイント10a~10cの移動、ドローン等の飛行体として構成された各無線アクセスポイント10a~10cの移動等によって実現される。なお、図1に示した双方向矢印は、単に、各無線アクセスポイント10a~10cが位置変更可能であることを象徴的に示したに過ぎず、各無線アクセスポイント10a~10cは、それらの位置変更手段の態様に応じて、任意の方向に移動可能である。また、本開示の無線アクセスポイントシステムには、位置固定式の無線アクセスポイントも含まれてもよい。この場合、位置固定式の無線アクセスポイントは、部分的に、「環境悪化無線アクセスポイント」として機能する。
【0018】
複数の無線アクセスポイント10a~10cは、夫々、無線アクセスコントローラ20に接続されており、それ自身について取得した無線環境に関するデータ即ち「無線環境データ」を取得し、該データを無線アクセスコントローラ20へ送信するよう構成されている。無線環境データとしては、例えば、無線端末の接続数、チャネル使用率、帯域幅、電波強度、電波干渉等が使用可能である。
【0019】
更に、複数の無線アクセスポイント10a~10cは、夫々、それ自身に接続する少なくとも1つの無線端末に対し接続を拒否し、該無線端末に対し他の無線アクセスポイントへ接続を促す(ないしは、関連する無線アクセスポイント間で負荷を均等に振り分けようとする)ロードバランス機能を有し得る。
【0020】
無線アクセスコントローラ20は、複数の無線アクセスポイント10a~10cから受信した無線環境データに基づき、対応する無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定するよう構成されている。とりわけ、無線アクセスコントローラ20は、ある無線アクセスポイントの無線環境データが所定の閾値を超えた場合(例えば無線アクセスポイントへの無線端末の接続数がその無線アクセスポイントの接続上限を上回った場合)、その無線アクセスポイントについて無線環境が悪化したと判定し、これを「環境悪化無線アクセスポイント」とする。なお、「所定の閾値を超える」とは、検出される無線環境の性質に応じ、その無線環境データの所定の上限値を上回ること又は所定の下限値を下回ることを意味する。
【0021】
更に、無線アクセスコントローラ20は、ある無線アクセスポイントについて、余裕分を有すると判定した場合、これを「特定無線アクセスポイント」とする。なお、「余裕分」とは、検出された無線環境データの実際値とその無線環境データの所定の閾値との間の差であって、無線環境データの少なくとも一単位(即ち環境悪化無線アクセスポイントから振り分けられる負荷の一単位)に相当する差を意味する。例えば、ある無線アクセスポイントについて、無線環境が無線端末の接続数であり(従って「一単位」は「1」)、その所定の閾値が「5」、その無線環境データの実際値即ち無線環境データ取得時の無線端末の接続数が「3」の場合、「余裕分」は「2」となる。
【0022】
無線アクセスコントローラ20は、更に、環境悪化無線アクセスポイントを発見した場合、特定無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントに所定距離だけ接近させることができる。例えば、図1において、無線アクセスポイント10aが環境悪化無線アクセスポイントである場合において、無線アクセスポイント10bは余裕分を有する即ち特定無線アクセスポイントであり、無線アクセスポイント10cは余裕分を有しない場合、無線アクセスコントローラ20は、特定無線アクセスポイントである無線アクセスポイント10bを所定距離だけ環境悪化無線アクセスポイントである無線アクセスポイント10aへ接近させることができる。ここで、「所定距離」の大きさや、移動方向、移動回数は、とりわけ無線アクセスポイントの位置変更手段の態様に応じて、任意に設定可能であり、また、任意に調整可能である。なお、図示の白抜き矢印は、特定無線アクセスポイントが移動することを象徴的に示したものに過ぎず、移動距離や移動方向を図示の態様に限定することは意図していない。
【0023】
また、特定無線アクセスポイントが複数存在する場合、無線アクセスコントローラ20は、移動させる特定無線アクセスポイントを任意に決定することができる。例えば、図1において、無線アクセスポイント10aが環境悪化無線アクセスポイント、無線アクセスポイント10b及び10cが特定無線アクセスポイントとした場合であって、無線環境が無線端末の接続数、その所定の閾値即ち接続上限が「5」である場合において、無線アクセスポイント10aのより近くにある無線アクセスポイント10bの実際の接続数が「4」(従って「余裕分」は「1」)、無線アクセスポイント10aからより遠くにある無線アクセスポイント10cの実際の接続数が「1」(従って「余裕分」は「4」)であるとすると、無線アクセスコントローラ20は、環境悪化無線アクセスポイントに対する距離を優先して、無線アクセスポイント10aのより近くにある無線アクセスポイント10bを最初に移動させることも可能であり、又は、余裕分を優先して余裕分がより大きい無線アクセスポイント10cを最初に移動させることも可能であり、場合によっては、両方同時に移動させることも可能である。
【0024】
また、無線環境データとしてとりわけ電波強度を使用する場合、移動距離(及び必要に応じ移動方向)ないし移動すべき位置を直接特定して移動の指示をする代わりに、他の無線アクセスポイントの電波強度等の無線環境に基づいて移動の指示をすることも可能である。例えば、電波強度が所定の値(単位はdBm等)となる位置へ移動するよう指示することも可能である。
【0025】
他方、特定無線アクセスポイントが存在しない場合、無線アクセスコントローラ20は、環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又はとりわけ無線アクセスポイントの位置変更手段の態様に応じて取り得る該中間位置に最も近い位置へ当該環境悪化無線アクセスポイントを移動させるよう、構成されることができる。
【0026】
(一実施形態の処理例)
図2は、上記一実施形態の処理例のフローチャートである。なお、以下において、「ステップ」は「S」で表す。
【0027】
まず、無線アクセスポイント10a~10cは夫々の無線環境データを取得し、無線アクセスコントローラ20は無線アクセスポイント10a~10cからこれらの無線環境データを受信して収集する(S1)。
【0028】
次に、無線アクセスコントローラ20は、受信した無線環境データに基づいて、対応する無線アクセスポイント10a~10cの無線環境の状況を判定する(S2)。ここでは、無線アクセスコントローラ20は、無線環境データが所定の閾値を超えた無線アクセスポイント即ち環境悪化無線アクセスポイントの有無を判定する。環境悪化無線アクセスポイントが存在しない場合(NO)はS1へ戻る。
【0029】
S2において環境悪化無線アクセスポイント10aが存在すると判定した場合(YES)、無線アクセスコントローラ20は、更に、余裕分を有する無線アクセスポイント即ち特定無線アクセスポイントの有無を判定する(S3)。
【0030】
S3において特定無線アクセスポイントが存在しないと判定した場合(NO)、無線アクセスコントローラ20は環境悪化無線アクセスポイント10aを移動させる(S4)。具体的には、無線アクセスコントローラ20は、とりわけ、環境悪化無線アクセスポイント10aに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又はとりわけ無線アクセスポイントの位置変更手段の態様に応じて取り得る該中間位置に最も近い位置へ当該環境悪化無線アクセスポイント10aを移動させる。なお、この場合、その後、S1へ戻ることも可能である。
【0031】
S3において特定無線アクセスポイント10bが存在すると判定した場合(YES)、無線アクセスコントローラ20は、その特定無線アクセスポイント10bを環境悪化無線アクセスポイント10aへ所定距離だけ接近させ(S5)、その状態において夫々取得した各自の無線環境データを各無線アクセスポイント10a~10cから受信して収集する(S6)。その際、無線アクセスコントローラ20は環境悪化無線アクセスポイント10aに対しロードバランス機能を実行させる。なお、複数の特定無線アクセスポイントが存在する場合、無線アクセスコントローラ20は、移動させるべき特定無線アクセスポイントを任意に決定することができる。
【0032】
次に、無線アクセスコントローラ20は、環境悪化無線アクセスポイント10aについて、新たに収集した無線環境データ即ち無線環境データの実際値が所定の閾値を超えているか否かを判断する(S7)。無線環境データの実際値が所定の閾値を超えていない場合(NO)は処理を終了する。なお、この場合、その後、後述する更なる処理(S8以降)を実行することも可能である。
【0033】
他方、無線環境データの実際値が所定の閾値を超えている場合(YES)はS3へ戻る。なお、無線アクセスコントローラ20は、既に移動させた特定無線アクセスポイント10bがまだ余裕分を有する場合、S5において、この特定無線アクセスポイント10bを再度移動させるが、その際、当該特定無線アクセスポイント10b以外にも特定無線アクセスポイント10cが存在する場合、その特定無線アクセスポイント10cを、場合によっては両者を、環境悪化無線アクセスポイント10aへ接近させてもよい。また、特定無線アクセスポイントが3つ以上ある場合は、それらの任意の組み合わせを環境悪化無線アクセスポイント10aへ接近させることも可能である。
【0034】
(一実施形態の更なる処理例)
本開示に応じた無線アクセスポイントシステムは、上記一実施形態の処理例のS7においてNOの場合、更に、図3に示すように、以下の更なる処理を行うことも可能である。
【0035】
無線アクセスコントローラ20は、特定無線アクセスポイント10bの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイント10aの無線環境データの閾値と実際値の差分以下であるか否かを判断する(S8)。
【0036】
S8において特定無線アクセスポイント10bの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイント10aの無線環境データの閾値と実際値の差分以下である場合(YES)、無線アクセスコントローラ20は特定無線アクセスポイント10bに対し当初の位置へ戻るよう指示し、無線アクセスコントローラ20は当該特定無線アクセスポイント10bに対しロードバランス機能を実行させて(S9)、終了する(或いはS1に戻る)。
【0037】
S8において特定無線アクセスポイント10bの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイント10aの無線環境データの閾値と実際値の差分以下でない場合(NO)、無線アクセスコントローラ20は特定無線アクセスポイント10bに対し位置変更しないよう(その位置に留まるよう)指示する(S10)と共に、その状態において夫々取得した各自の無線環境データを各無線アクセスポイント10a~10cから受信して収集し(S11)、S8へ戻り、特定無線アクセスポイント10bの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイント10aの無線環境データの閾値と実際値の差分以下となるまで同様の処理を繰り返す。
【0038】
(無線アクセスポイント)
図4は本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の無線アクセスポイント10の一例のブロック図を示す。
【0039】
無線アクセスポイント10は、該無線アクセスポイント10の位置を制御する即ち該無線アクセスポイント10を移動可能にする位置制御部(ないし移動手段)11と、メイン動作部12を含む。
【0040】
メイン動作部12は、その無線アクセスポイントについての無線環境データを取得するデータ取得部13と、ロードバランス機能を実行するロードバランス機能動作部14を含む。
【0041】
(無線アクセスコントローラ)
図5は本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の無線アクセスコントローラ20のブロック図を示す。
【0042】
無線アクセスコントローラ20は、複数の無線アクセスポイント10のデータ取得部13が取得した無線環境データをデータ取得部13から受信して収集するデータ収集部21と、データ収集部21が収集した無線環境データに基づいて、夫々の無線環境データに対応する無線アクセスポイント10の無線環境の状況を判定する判定部23を含む。
【0043】
判定部23は、余裕分を有すると判定された無線アクセスポイント即ち特定無線アクセスポイントが無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント即ち環境悪化無線アクセスポイントに対し所定距離だけ接近するよう、特定無線アクセスポイントの位置制御部11に対し、特定無線アクセスポイントが移動するべき新たな位置についての位置情報を送信する機能を有する。
【0044】
判定部23は、更に、環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部14に対しロードバランス機能を動作させる指令信号を送信する機能を有する。
【0045】
無線アクセスコントローラ20は、更に、少なくとも、各無線アクセスポイントについての位置情報(初期位置、実際位置(移動後の位置)等)、各無線アクセスポイントについての接続数、及び、各無線アクセスポイントについての無線環境データの閾値を記憶する記憶部22を含む。これらの情報ないしデータは、とりわけ、図7図9及び図11に示したようなテーブルの形で記憶される。
【0046】
(処理の具体例)
以下に、本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例について図6図12-2を用いて、更には図4及び図5も参酌して、より詳細に説明する。なお、この具体例は飽くまで一例であり、本開示を限定するものではない。
【0047】
この具体例においては、各無線アクセスポイント10a~10cは、図6図8及び図10に示されているように、建造物の天井下面に配設された格子状に配置された複数のレールを含むレールシステムに沿って位置変更ないし移動可能に構成されている。この例では、レールシステムを構成するレール間の間隔は、図示x方向においては8m、x方向と直交するy方向においては15mであるものとし、無線アクセスコントローラ20はこのレール間隔に基づいてレールシステム上における位置を計算によって把握できるものとする。また、図7図9及び図11に示した無線環境状況テーブル100、200、300においては、レールシステムにおける各無線アクセスポイント10a~10cの位置は上記レールの交点の位置を基準として表されている。なお、各無線アクセスポイントは、実用面を考慮して、即ち、無線アクセスポイントを一度に大きく移動させると既存の無線環境に対して大きな影響を与えることが実用上あり得るため、レール上を1mずつ移動するものとする。
【0048】
更に、具体例においては、各無線アクセスポイント10a~10cについての無線環境は、各無線アクセスポイント10a~10cに接続される無線端末の接続数であるものとし、その閾値即ち接続数の上限は5とする。この接続数は、各無線アクセスポイント10a~10cのデータ取得部13がSSID(service set identifier)を送出し、無線端末がSSIDに接続することによりカウントされる。更に、これらの接続数は無線アクセスコントローラ20のデータ収集部21へ送信されて収集された後、記憶部22へ送信されて格納される。
【0049】
図6は、本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例における無線環境状況の一例を示す。
【0050】
この状況では、3台の無線アクセスポイント10a~10cが図示の位置に配置されている。即ち、無線アクセスポイント10aはレールRBとレールR1の交点の位置B1に、無線アクセスポイント10bはレールRBとレールR3の交点の位置B3に、無線アクセスポイント10cはレールRAとレールR2の交点の位置A2に配置されている。
【0051】
これらの無線アクセスポイント10a~10cは無線アクセスコントローラ20によって管理されており、無線アクセスコントローラ20には各無線アクセスポイント10a~10cの位置情報が格納されている(図7参照)。各無線アクセスポイント10a~10cはレール上を移動する機構を有する。
【0052】
無線アクセスポイント10a及び無線アクセスポイント10bに対する無線端末の接続数は夫々2であり、無線アクセスポイント10cに対する無線端末の接続数は0である。
【0053】
図7は、図6における無線環境状況が記録された無線環境状況テーブル100の一例を示す。テーブル100には、無線アクセスコントローラ20が各無線アクセスポイント10a~10cから受信した夫々についての位置情報(初期位置及び移動後位置)、実際に接続している無線端末の端末数及び接続可能な端末数の閾値(上限値)が図示のようにマッピングされている。なお、この状況においては、移動後位置情報の欄には、便宜上、初期位置情報と同一のデータが記録されている。
【0054】
図6に示した状況においては、無線アクセスコントローラ20は、テーブル100の情報に基づき、閾値である5を超えており過密している無線アクセスポイント即ち「環境悪化無線アクセスポイント」が存在しないと判定し、何れの無線アクセスポイント10a~10cに対しても移動指示を送信しない。
【0055】
図8は、本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例において、局所的に混雑が生じた無線環境状況の一例を示す。
【0056】
この状況においても、図6の場合と同様に、無線アクセスポイント10aはレールRBとレールR1の交点の位置B1に、無線アクセスポイント10bはレールRBとレールR3の交点の位置B3に、無線アクセスポイント10cはレールRAとレールR2の交点の位置A2に配置されている。
【0057】
他方、この状況では、無線アクセスポイント10aに対する無線端末の接続数は6であり、無線アクセスポイント10bに対する無線端末の接続数は5であるが、無線アクセスポイント10cに対する無線端末の接続数は0である。
【0058】
図9は、図8における無線環境状況が記録された無線環境状況テーブル200の一例を示す。テーブル200にも、無線アクセスコントローラ20が各無線アクセスポイント10a~10cから受信した夫々についての位置情報(初期位置及び移動後位置)、実際に接続している無線端末の端末数及び接続可能な端末数の閾値(上限値)が図示のようにマッピングされている。なお、テーブル100と同様に、移動後位置情報の欄には、便宜上、初期位置情報と同一のデータが記録されている。
【0059】
図8に示した状況においては、無線アクセスコントローラ20は、テーブル200の情報に基づき、無線アクセスポイント10aの接続数が閾値である5を超えているため環境悪化無線アクセスポイントが存在すると判定する(この場合、無線アクセスポイント10aの設置場所は過密状態であるとして把握することも可能である)。
【0060】
次に、この例では、無線アクセスコントローラ20は、閾値を超えている無線アクセスポイント10aの最も近くに位置する無線アクセスポイント10bに接続している無線端末の接続数を確認し、ロードバランス機能により負荷分散可能か否かを判断する。
【0061】
図8の状況の場合、無線アクセスポイント10bはその無線端末の接続数が閾値である5に達している即ち過密状態にある無線アクセスポイント10aから負荷としての無線端末の接続を受け入れる「余裕分」を有しないため、無線アクセスコントローラ20は、無線アクセスポイント10bを「余裕分」を有する「特定無線アクセスポイント」としては判定できない。
【0062】
そこで、無線アクセスコントローラ20は、無線アクセスポイント10bの次に無線アクセスポイント10aの最も近くに位置しかつ「余裕分」を有する「特定無線アクセスポイント」としての無線アクセスポイント10cに対して、レールR2に沿ってレールRBの方向へ1mだけ移動するよう指示を出す。無線アクセスポイント10cは、この指示に応答して、無線アクセスポイント10aへ近づく方向に、レールR2に沿ってレールRBの方向へ1mだけ移動する。その後、無線アクセスコントローラ20は、無線アクセスポイント10aに対しロードバランス機能を実行するよう指示を出す。
【0063】
図10は本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例において、本開示により局所的混雑が解消された無線環境状況の一例を示す。
【0064】
具体的には、図8の状態において、無線アクセスコントローラ20からの指示に応答して、無線アクセスポイント10cがレールR2に沿ってレールRBの方向へ1mだけ移動し、その後、無線アクセスポイント10aがロードバランス機能を実行した状態が示されている。無線アクセスポイント10aは、ロードバランス機能の実行によって、接続している無線端末の何れかに対して接続拒否パケットを送信し、接近してきた無線アクセスポイント20cへの接続を促す。これに応じて、この無線端末の接続先は無線アクセスポイント20aから無線アクセスポイント20cへ変更される。
【0065】
無線アクセスコントローラ20は、無線アクセスポイント10cの移動後の位置情報と、ロードバランス機能の実行後の無線アクセスポイント10a及び無線アクセスポイント10cの無線端末の接続数を記憶部22に記録する。なお、記憶部22は移動した無線アクセスポイント10cの移動前の位置情報も保持する(図11のテーブル300の初期位置情報の欄参照)。
【0066】
図11は、図10における無線環境状況が記録された無線環境状況テーブル300の一例を示す。無線アクセスコントローラ20は、テーブル300の情報に基づき、無線アクセスポイント10aの設置場所における過密状態は解消し、環境悪化無線アクセスポイントが存在しないと判定する。
【0067】
図12-1、図12-2は、本開示に応じた無線アクセスポイントシステムの一実施形態の処理の具体例のフローチャートを示す。なお、同図において、「アクセスポイント」は「AP」(access point)、「アクセスコントローラ」は「AC」(access controller)で表記した。
【0068】
まず、各無線アクセスポイント10a~10cのメイン動作部12のデータ取得部13は、SSIDに接続した無線端末の接続数を取得(カウント)し、無線アクセスコントローラ20のデータ収集部21へ情報(実際の接続数等)を送信する(S700)。
【0069】
次に、データ収集部21は、当該無線アクセスコントローラ20が管理している無線アクセスポイント10a~10cに接続した無線端末の情報(実際の接続数等)を収集し、記憶部22へ送信する(S701)。
【0070】
次に、記憶部22は、各無線アクセスポイント10a~10cについて、夫々の位置及び夫々に接続した無線端末の情報(実際の接続数等)を無線環境状況テーブルの夫々対応する位置にマッピングないし記録する(S702)。
【0071】
次に、判定部23は、記憶部22においてマッピングされた情報に基づいて、接続数が閾値を超えた無線アクセスポイントの有無を判定する(S703)。
【0072】
接続数が閾値を超えた無線アクセスポイントが存在しない場合(NO)、S700へ戻る。他方、接続数が閾値を超えた無線アクセスポイント(以下「過密アクセスポイント」という。)が存在する場合(YES)、判定部23は、過密アクセスポイントの最も近くに位置する無線アクセスポイントの接続数が閾値以上であるか否かを判定する(S705)。
【0073】
接続数が閾値以上でない(閾値未満である)場合(NO)、判定部23は、過密アクセスポイントに対してロードバランス機能を動作させるように指示を出し(S716)、S700に戻る。接続数が閾値以上である場合(YES)、判定部23は、閾値以上である無線アクセスポイントの近隣に接続数が0の無線アクセスポイントが存在するか否かを確認する(S706)。
【0074】
接続数が0である無線アクセスポイントが存在しない場合(NO)、判定部23は、過密アクセスポイントに対して、それ自身に接続している無線端末の位置の中間地点まで移動するよう移動指示を出す(S715)。この場合、その際に接続している無線端末の位置の中間位置に移動するため、この無線アクセスポイントの移動によって切断されてしまう無線端末は発生しない。
【0075】
接続数が0の無線アクセスポイント(以下「余裕アクセスポイント」という。)が存在する場合(YES)、判定部23は、過密アクセスポイントへ1mだけ接近するよう余裕アクセスポイントに移動指示を出す(S707)。
【0076】
余裕アクセスポイントが移動した後、判定部23は、移動した先の位置情報を記憶部22へ送信する(S708)。記憶部22は、移動した余裕アクセスポイントの移動前と移動後の位置情報を保有する。
【0077】
次に、判定部23は、過密アクセスポイントのロードバランス機能動作部14に対し実行指示を出す(S709)。
【0078】
次に、判定部23は、過密アクセスポイントに接続する無線端末の接続数が閾値以下になったか否かを判定する(S710)。
【0079】
接続数が閾値以下でない場合(NO)、判定部23は、過密アクセスポイントに対し更に1mだけ接近するよう、余裕アクセスポイントへ指示を出す(S714)。そして、過密アクセスポイントの接続数を収集した後、S708へ戻る。
【0080】
S710において、過密アクセスポイントに接続した無線端末の接続数が閾値以下である場合(YES)、判定部23は、移動した余裕アクセスポイントに接続した無線端末の接続数の合計が、過密アクセスポイントの接続数の閾値と実際の接続数の差分以下になったか否かについて確認する(S711)。
【0081】
差分以下ではない場合(NO)、判定部23は、移動した余裕アクセスポイントに対してその場に止まるよう指示を出し、過密アクセスポイントにロードバランス機能を実行させ、各無線アクセスポイントの実際の接続数を取得・収集し(S713)、S711に戻る。
【0082】
差分以下になった場合(YES)、判定部23は、移動した余裕アクセスポイントに対し、ロードバランス機能を実行させる動作指示および初期位置に戻るよう指示を出し(S712)、終了するか、或いはS700に戻る。
【0083】
この具体例の場合、各無線アクセスポイント10a~10cの閾値は5であり、処理の結果、過密アクセスポイント10aの接続数は6から5となり、余裕アクセスポイント10cの接続数は0から1となっているため(図9図11参照)、上記「差分」は5-5=0であるから、余裕アクセスポイント10cの実際の接続数は「差分」以下ではないことになる。なお、その際、余裕アクセスポイント10cには過密アクセスポイント10aから移動してくる無線端末の他にも新規に1つ以上の無線端末が接続する場合もあるが、この場合も、余裕アクセスポイント10cの実際の接続数は「差分」以下ではないことになる。他方、例えば、S709において、過密アクセスポイント10aがロードバランス機能を動作させた際に、過密アクセスポイント10aに接続していた6台の無線端末のうち1台が上記のように余裕アクセスポイント10cへ移動すると共に、更に2台が接続を終了した場合、即ち、過密アクセスポイント10aの実際の接続数が3になった場合には、「差分」は5-3=2となり、余裕アクセスポイント10cの実際の接続数(即ち1)は「差分」以下となる。
【0084】
なお、S712において、移動した余裕アクセスポイントを最初の位置へ戻す代わりに、別の無線アクセスポイントを移動させる、とりわけ当該「最初の位置」へ移動させることも可能である。
【0085】
また、上記の具体例においては、レール間隔を8m及び15mとし、無線アクセスポイントの各回の移動距離を1mとしたが、これらの数値は無線アクセスポイントが設置される環境に応じて任意に変更可能である。
【0086】
更に、上記の具体例では、無線アクセスポイント10cの接続数が0という状況が想定されているが、本発明はそのような状況に限定されない。従って、上記の具体例では、S706における判断基準即ち判定部23が確認する無線アクセスポイントの接続数は0であるが、これに限定されず、判断基準としての接続数は閾値(上記の具体例では5)未満であればよい(即ち接続数に余裕があればよい:上記の具体例では1~4)。従って、この場合、接続数に余裕がある無線アクセスポイントとしての「余裕アクセスポイント」の接続数も閾値未満となる(上記の具体例では1~4)。
【0087】
図13に、本開示に応じた無線アクセスポイント1000の最小構成のブロック図を示す。この最小構成の無線アクセスポイント1000は、自身の無線環境に関するデータを取得するデータ取得部1001と、自身の位置を制御する位置制御部1002とを備える。これらのデータ取得部1001及び位置制御部1002は、上記実施形態におけるデータ取得部13及び位置制御部11と実質的に同様に動作する。
【0088】
図14に、本開示に応じた無線アクセスコントローラ2000の最小構成のブロック図を示す。この最小構成の無線アクセスコントローラ2000は、無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(「無線環境データ」)を無線アクセスポイントから収集するデータ収集部2001と、無線環境データに基づいて、無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部2002とを備える。これらのデータ収集部2001及び判定部2002は、上記実施形態におけるデータ収集部21及び判定部23と実質的に同様に動作する。
【0089】
なお、上記実施形態及び上記最小構成に係る無線アクセスポイント及び無線アクセスコントローラは、夫々の各部を制御するための制御回路(不図示)を含み得るが、制御回路は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)により構成することができ、図15に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源3000は、内部バス3004により相互に接続される、プロセッサ3001、メモリ3002、ネットワークインタフェイス3003等を備えることができる。
【0090】
但し、図15に示す構成は、ハードウェア資源3000のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源3000は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。プロセッサ3001には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0091】
また、メモリ3002には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。ここで、メモリ3002には、上記の所定の物理量に関する所定の閾値が格納されることができ、また、上記の制御を行うための制御プログラムも格納されることができる。
【0092】
更に、ネットワークインタフェイス3003には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0093】
更に、ハードウェア資源3000の機能は、処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ3002に格納されたプログラムをプロセッサ3001が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0094】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]自身の無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を取得するデータ取得部と、自身の位置を制御する位置制御部と、
を備える、無線アクセスポイント。
[付記2]上記の無線アクセスポイントにおいて、
前記位置制御部は、
前記無線アクセスポイントが設置される構造体に配設されたレールシステムにおいて、
その無線アクセスポイントの位置を制御する。
[付記3]無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を前記無線アクセスポイントから収集するデータ収集部と、
前記無線環境データに基づいて、前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部と、
を備える、無線アクセスコントローラ。
[付記4]複数の上記の無線アクセスポイントと、上記の無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステム。
[付記5]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)の前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する。
[付記6]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、
前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ、前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させるために、前記環境悪化無線アクセスポイントの前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する。
[付記7]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントは、更に、ロードバランス機能動作部を備え、
前記判定部は、前記環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部に対し、ロードバランス機能を動作させる指令信号を送信する。
[付記8]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントに接続している無線端末の個数(以下「接続数」という。)であり、
前記所定の閾値は、前記無線アクセスポイントへの接続上限であり、
前記判定部は、前記接続数が前記接続上限を上回る場合、前記無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定する。
[付記9]複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは、
前記複数の無線アクセスポイントが取得した、それぞれの無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を収集し、
前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定し、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステムの制御方法。
[付記10]複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおける前記無線アクセスコントローラに、上記の無線アクセスポイントシステムの制御方法を実行させるプログラム。
[付記11]複数の無線アクセスポイントと、無線アクセスコントローラを含む、無線アクセスポイントシステム。
前記無線アクセスポイントは、
前記無線アクセスポイントの位置を制御する位置制御部、及び、
メイン動作部
を含む。
前記メイン動作部は、前記無線アクセスポイントについての無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を取得するデータ取得部を含む。
前記無線アクセスコントローラは、
前記複数の無線アクセスポイントのデータ取得部が取得した無線環境データを前記データ取得部から収集するデータ収集部、及び、
前記データ収集部が収集した無線環境データに基づいて、対応する無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部
を含む。
前記判定部は、余裕分を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)が無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に対し所定距離だけ接近するよう、前記特定無線アクセスポイントの位置制御部に対し、前記特定無線アクセスポイントが移動するべき新たな位置についての位置情報を送信する。
[付記12]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記位置制御部は、前記無線アクセスポイントシステムが設置される構造体に配設されたレールシステムにおいて、その無線アクセスポイントの位置を制御する。
[付記13]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントシステムは前記レールシステムを含む。
[付記14]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントは飛行体として構成され、前記位置制御部は3次元空間内において前記飛行体の位置を制御すること。
[付記15]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントは、その車輪によって平面上を走行する走行体として構成され、前記位置制御部は前記走行体が配置される構造体の床面又は天井裏面上における前記走行体の位置を制御する。
[付記16]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記メイン動作部は、更に、ロードバランス機能動作部を含む。
前記判定部は、前記環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部に対しロードバランス機能を動作させる指令信号を送信する。
[付記17]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ前記環境悪化無線アクセスポイントが移動するよう、前記環境悪化無線アクセスポイントの位置制御部に対し、前記環境悪化無線アクセスポイントが移動するべき新たな位置についての位置情報を送信する。
[付記18]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントに接続している無線端末の個数(以下「接続数」という。)である。
前記所定の閾値は、前記無線アクセスポイントへの接続上限である。
前記判定部は、接続数が前記接続上限を上回る場合、その無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定する。
[付記19]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントについてのチャネル使用率、帯域幅、電波強度又は電波干渉である。
[付記20]上記の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは記憶部を含む。前記記憶部は、少なくとも、各無線アクセスポイントについての位置情報、各無線アクセスポイントについての接続数、及び、各各無線アクセスポイントについての無線環境データの閾値を含む。
[付記21]複数の無線アクセスポイントと、無線アクセスコントローラを含む無線アクセスポイントシステムの制御方法。
前記制御方法は、
前記複数の無線アクセスポイントが、夫々の無線環境データを取得するステップ、
前記無線アクセスコントローラが、前記複数の無線アクセスポイントから前記無線環境データを受信するステップ、
前記無線アクセスコントローラが、受信した前記無線環境データに基づいて、対応する無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定するステップ、
前記無線アクセスコントローラが、特定無線アクセスポイントが環境悪化無線アクセスポイントに対し所定距離だけ接近するよう、前記特定無線アクセスポイントを移動させるステップ
を含む。
[付記22]上記の制御方法において、
前記特定無線アクセスポイントは、前記無線アクセスポイントシステムが設置される構造体に配設されたレールシステムにおいて、位置変更される。
[付記23]上記の制御方法において、
前記複数の無線アクセスポイントは夫々飛行体として構成され、前記特定無線アクセスポイントは3次元空間内において、位置変更される。
[付記24]上記の制御方法において、
前記複数の無線アクセスポイントは夫々その車輪によって平面上を走行する走行体として構成され、前記特定無線アクセスポイントは前記走行体が配置される構造体の床面又は天井裏面上において、位置変更される。
[付記25]上記の制御方法において、
前記制御方法は、更に、
前記無線アクセスコントローラが、前記環境悪化無線アクセスポイントにロードバランス機能を動作させるステップ
を含む。
[付記26]上記の制御方法において、
前記制御方法は、更に、前記無線アクセスコントローラが、前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させるステップを含む。
[付記27]上記の制御方法において、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントについての接続数である。
前記無線アクセスコントローラは、接続数が前記無線アクセスポイントへの接続上限を上回る場合、その無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定する。
[付記28]上記の制御方法において、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントについてのチャネル使用率、帯域幅、電波強度又は電波干渉である。
[付記29]上記の制御方法において、
前記無線アクセスコントローラは、少なくとも、各無線アクセスポイントについての位置情報、各無線アクセスポイントについての接続数、及び、各各無線アクセスポイントについての無線環境データの閾値を格納する。
[付記30]上記の制御方法において、
前記制御方法は、更に、
特定無線アクセスポイントの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイントの無線環境データの実際値と閾値の差分以下であるか否かを判断するステップ;
特定無線アクセスポイントの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイントの無線環境データの実際値と閾値の差分以下である場合、特定無線アクセスポイントに対し当初の位置へ戻るよう指示する(その際、当該特定無線アクセスポイントに対しロードバランス機能を実行させる)ステップ;
特定無線アクセスポイントの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイントの無線環境データの実際値と閾値の差分以下でない場合、特定無線アクセスポイントに対し位置変更しないよう指示すると共に、その状態において夫々取得した各自の無線環境データを各無線アクセスポイントから受信して収集するステップ
を含む。
[付記31]複数の無線アクセスポイントと、無線アクセスコントローラを含む無線アクセスポイントシステムの制御プログラム。
前記制御プログラムは、コンピュータに、
前記複数の無線アクセスポイントが、夫々の無線環境データを取得する処理、
前記無線アクセスコントローラが、前記複数の無線アクセスポイントから前記無線環境データを受信する処理、
前記無線アクセスコントローラが、受信した前記無線環境データに基づいて、対応する無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する処理、
前記無線アクセスコントローラが、特定無線アクセスポイントが環境悪化無線アクセスポイントに対し所定距離だけ接近するよう、前記特定無線アクセスポイントを移動させる処理
を実行させる。
[付記32]上記の制御プログラムにおいて、
前記特定無線アクセスポイントは、前記無線アクセスポイントシステムが設置される構造体に配設されたレールシステムにおいて、位置変更される。
[付記33]上記の制御プログラムにおいて、
前記複数の無線アクセスポイントは夫々飛行体として構成され、前記特定無線アクセスポイントは3次元空間内において、位置変更される。
[付記34]上記の制御プログラムにおいて、
前記複数の無線アクセスポイントは夫々その車輪によって平面上を走行する走行体として構成され、前記特定無線アクセスポイントは前記走行体が配置される構造体の床面又は天井裏面上において、位置変更される。
[付記35]上記の制御プログラムにおいて、
前記制御プログラムは、更に、
前記無線アクセスコントローラが、前記環境悪化無線アクセスポイントにロードバランス機能を動作させる処理
をコンピュータに実行させる。
[付記36]上記の制御プログラムにおいて、
前記制御プログラムは、更に、前記無線アクセスコントローラが、前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させる処理をコンピュータに実行させる。
[付記37]上記の制御プログラムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントについての接続数である。
前記無線アクセスコントローラは、接続数が前記無線アクセスポイントへの接続上限を上回る場合、その無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定する。
[付記38]上記の制御プログラムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントについてのチャネル使用率、帯域幅、電波強度又は電波干渉である。
[付記39]上記の制御プログラムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは、少なくとも、各無線アクセスポイントについての位置情報、各無線アクセスポイントについての接続数、及び、各各無線アクセスポイントについての無線環境データの閾値を格納する。
[付記40]上記の制御プログラムにおいて、
前記制御プログラムは、更に、
特定無線アクセスポイントの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイントの無線環境データの実際値と閾値の差分以下であるか否かを判断する処理;
特定無線アクセスポイントの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイントの無線環境データの実際値と閾値の差分以下である場合、特定無線アクセスポイントに対し当初の位置へ戻るよう指示する(その際、当該特定無線アクセスポイントに対しロードバランス機能を実行させる)処理;
特定無線アクセスポイントの無線環境データの実際値が環境悪化無線アクセスポイントの無線環境データの実際値と閾値の差分以下でない場合、特定無線アクセスポイントに対し位置変更しないよう指示すると共に、その状態において夫々取得した各自の無線環境データを各無線アクセスポイントから受信して収集する処理
をコンピュータに実行させる。
【0095】
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示は、とりわけ、中大規模の商業施設、中大規模のオフィス等のような比較的多数の人が集まり、その人数も位置的及び時間的に変動する、とりわけ急変する空間に複数設置される複数の無線アクセスポイントを含む無線アクセスポイントシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 無線アクセスポイント
10a~10c 無線アクセスポイント
11 位置制御部(ないし移動手段)
12 メイン動作部
13 データ取得部
14 ロードバランス機能動作部

20 無線アクセスコントローラ
21 データ収集部
22 記憶部
23 判定部

100 無線環境状況テーブル
200 無線環境状況テーブル
300 無線環境状況テーブル

1000 無線アクセスポイント
1001 データ取得部
1002 位置制御部

2000 無線アクセスコントローラ
2001 データ収集部
2002 判定部

3000 ハードウェア資源
3001 プロセッサ
3002 メモリ
3003 ネットワークインタフェイス
3004 内部バス
R1~R3 レール(x方向)
RA、RB レール(y方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を取得するデータ取得部と、
自身の位置を制御する位置制御部と、
を備える、複数の無線アクセスポイントと、
前記無線環境データを前記無線アクセスポイントから収集するデータ収集部と、
前記無線環境データに基づいて、前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部と、
を備える、無線アクセスコントローラと、
を含む、無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)の前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステム
【請求項2】
前記位置制御部は、
前記無線アクセスポイントが位置変更ないし移動可能に構成されているレールシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントのレール上の位置を制御する、
請求項1に記載の無線アクセスポイントシステム
【請求項3】
前記判定部は、
前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ、前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させるために、前記環境悪化無線アクセスポイントの前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
請求項に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項4】
前記無線アクセスポイントは、更に、ロードバランス機能動作部を備え、
前記判定部は、前記環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部に対し、ロードバランス機能を動作させる指令信号を送信する、
請求項に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項5】
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントに接続している無線端末の個数(以下「接続数」という。)であり、
前記所定の閾値は、前記無線アクセスポイントへの接続上限であり、
前記判定部は、前記接続数が前記接続上限を上回る場合、前記無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定する、
請求項からの何れか1項に記載の無線アクセスポイントシステム。
【請求項6】
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは、
前記複数の無線アクセスポイントが取得した、それぞれの無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を収集し、
前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定し、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステムの制御方法。
【請求項7】
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおける前記無線アクセスコントローラに、請求項に記載の無線アクセスポイントシステムの制御方法を実行させるプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(1)本開示の第1の視点により、
自身の無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を取得するデータ取得部と、
自身の位置を制御する位置制御部と、
を備える、複数の無線アクセスポイントと、
前記無線環境データを前記無線アクセスポイントから収集するデータ収集部と、
前記無線環境データに基づいて、前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定する判定部と、
を備える、無線アクセスコントローラと、
を含む、無線アクセスポイントシステムにおいて

前記判定部は、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)の前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステムが提供される(形態1)
(2)本開示の第の視点により、
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスコントローラは、
前記複数の無線アクセスポイントが取得した、それぞれの無線アクセスポイントの無線環境に関するデータ(以下「無線環境データ」という。)を収集し、
前記無線アクセスポイントの無線環境の状況を判定し、
前記無線環境データが所定の閾値を超えたと判定された無線アクセスポイント(以下「環境悪化無線アクセスポイント」という。)に、所定距離だけ接近するよう、前記無線環境データが前記所定の閾値に対し余裕を有すると判定された無線アクセスポイント(以下「特定無線アクセスポイント」という。)に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信する、
無線アクセスポイントシステムの制御方法が提供される(形態)。
)本開示の第の視点により、
複数の無線アクセスポイントと、
無線アクセスコントローラと、
を備える、無線アクセスポイントシステムにおける前記無線アクセスコントローラに、本開示の無線アクセスポイントシステムの制御方法を実行させるプログラムが提供される(形態)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(形態1)上掲本開示の第1の視点参照。
(形態2)上記形態1の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記位置制御部は、前記無線アクセスポイントが位置変更ないし移動可能に構成されているレールシステムにおいて、前記無線アクセスポイントのレール上の位置を制御することが好ましい。
(形態3)上記形態の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記判定部は、
前記特定無線アクセスポイントが存在しない場合、前記環境悪化無線アクセスポイントに接続している複数の無線端末の位置の中間位置又は前記中間位置に最も近い位置へ、前記環境悪化無線アクセスポイントを移動させるために、前記環境悪化無線アクセスポイントの前記位置制御部に対し、移動すべき新たな位置についての位置情報を送信することが好ましい。
(形態)上記形態の無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線アクセスポイントは、更に、ロードバランス機能動作部を備え、
前記判定部は、前記環境悪化無線アクセスポイントのロードバランス機能動作部に対し、ロードバランス機能を動作させる指令信号を送信することが好ましい。
(形態)上記形態からの何れかの無線アクセスポイントシステムにおいて、
前記無線環境データは、前記無線アクセスポイントに接続している無線端末の個数(以下「接続数」という。)であり、
前記所定の閾値は、前記無線アクセスポイントへの接続上限であり、
前記判定部は、前記接続数が前記接続上限を上回る場合、前記無線アクセスポイントを環境悪化無線アクセスポイントとして判定することが好ましい。
(形態)上掲本開示の第の視点参照。
(形態)上掲本開示の第の視点参照。