(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012416
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】被験体におけるSMN2スプライシングのモジュレーションのための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20240123BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240123BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240123BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240123BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K31/7088 ZNA
A61K31/712
A61K31/7125
A61P21/00
A61P25/00
A61P43/00 105
C12N15/113 Z
C12Q1/6827 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185174
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2021180965の分割
【原出願日】2010-06-17
(31)【優先権主張番号】61/218,031
(32)【優先日】2009-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】398050098
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】504278156
【氏名又は名称】コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,シー・フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハング,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】リゴ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】クライナー,エイドリアン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ホワ,イミン
(72)【発明者】
【氏名】パッシニ,マルコ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】シハブッディン,ラムヤ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,セン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】クリンガー,キャスリン・ダブリュー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被験体におけるSMN2 mRNAのスプライシングをモジュレーションするための化合物、組成物および方法を提供する。同様に、脊髄性筋萎縮症を含む疾患および症状の治療のための医薬の製造における、化合物および組成物もまた、提供される。
【解決手段】被験体に対して、ヒトSMN2 pre-mRNAをコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投与することを含む方法を提供し、ここでアンチセンス化合物は、脳脊髄液中に投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体に対して、ヒトSMN2 pre-mRNAをコードする核酸のイントロン7に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投与することを含む、方法であって、アンチセンス化合物が脳脊髄液中に投与される、前記方法。
【請求項2】
投与 が、くも膜下腔中に行われる、請求項1に記載される方法。
【請求項3】
投与が、脳内の脳脊髄液中に行われる、請求項1に記載される方法。
【請求項4】
投与が、ボーラス注入することを含む、請求項1~3のいずれかに記載される方法。
【請求項5】
投与が、送達用ポンプを用いて注入することを含む、請求項1~3のいずれかに記載される方法。
【請求項6】
アンチセンス化合物が、被験体の体重kg当たり0.01~10ミリグラムのアンチセンス化合物の用量で投与される、請求項1~5のいずれかに記載される方法。
【請求項7】
用量が、被験体の体重kg当たり0.01~10ミリグラムのアンチセンス化合物である、請求項6に記載される方法。
【請求項8】
用量が、被験体の体重kg当たり0.01~5ミリグラムのアンチセンス化合物である、請求
項6に記載される方法。
【請求項9】
用量が、被験体の体重kg当たり0.05~1ミリグラムのアンチセンス化合物である、請求
項6に記載される方法。
【請求項10】
用量が、被験体の体重kg当たり0.01~0.5ミリグラムのアンチセンス化合物である、請
求項6に記載される方法。
【請求項11】
用量が、被験体の体重kg当たり0.05~0.5ミリグラムのアンチセンス化合物である、請
求項6に記載される方法。
【請求項12】
用量が、毎日投与される、請求項6~11のいずれかに記載される方法。
【請求項13】
用量が、1週間に1回投与される、請求項6~11のいずれかに記載される方法。
【請求項14】
アンチセンス化合物が継続的に投与され、そして用量が1日当たりに投与される量であ
る、請求項6~11のいずれかに記載される方法。
【請求項15】
誘導相のあいだ少なくとも1回の誘導用量を投与すること、そして維持相のあいだ少な
くとも1回の維持用量を投与すること、を含む、請求項1~13のいずれかに記載される方法。
【請求項16】
誘導相が、被験体の体重kg当たり0.05~5.0ミリグラムのアンチセンス化合物である、
請求項15に記載される方法。
【請求項17】
維持用量が、被験体の体重kgあたり0.01~1.0ミリグラムのアンチセンス化合物である
、請求項15または16に記載される方法。
【請求項18】
誘導相の期間が、少なくとも1週間である、請求項15~17のいずれかに記載される方法
。
【請求項19】
維持相の期間が、少なくとも1週間である、請求項15~18のいずれかに記載される方法
。
【請求項20】
誘導投与のそれぞれおよび維持投与のそれぞれが、1回の注射を含む、請求項15~19の
いずれかに記載される方法。
【請求項21】
誘導投与のそれぞれおよび維持投与のそれぞれが、独立して、2回またはそれ以上の注
射を含む、請求項15~19のいずれかに記載される方法。
【請求項22】
アンチセンス化合物が、少なくとも1週間の治療期間にわたり少なくとも2回投与される、請求項1~21のいずれかに記載される方法。
【請求項23】
治療期間が、少なくとも1ヶ月である、請求項22に記載される方法。
【請求項24】
治療期間が、少なくとも2ヶ月である、請求項22に記載される方法。
【請求項25】
治療期間が、少なくとも4ヶ月である、請求項22に記載される方法。
【請求項26】
誘導相を、1またはそれ以上のボーラス注入により投与し、そして維持投与量を、点滴
ポンプにより投与する、請求項15~25のいずれかに記載される方法。
【請求項27】
アンチセンス化合物の耐容性および/または有効性を評価することを含む、請求項1~26のいずれかに記載される方法。
【請求項28】
アンチセンス化合物の投与量または投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が許容されない適応症に従って、減少する、請求項1~27のいずれかに記載される方法。
【請求項29】
アンチセンス化合物の投与量または投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が有効である適応症に従って、維持するかまたは減少する、請求項1~28のいずれかに記載される方
法。
【請求項30】
アンチセンス化合物の投与量を、アンチセンス化合物の投与が有効ではない適応症に従って増加する、請求項1~29のいずれかに記載される方法。
【請求項31】
アンチセンス化合物の投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が有効な適応症に従って、減少する、請求項1~30のいずれかに記載される方法。
【請求項32】
アンチセンス化合物の投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が有効ではない適応症に従って、増加する、請求項1~31のいずれかに記載される方法。
【請求項33】
アンチセンス化合物と少なくとも1つのその他の治療とを共投与することを含む、請求
項1~32のいずれかに記載される方法。
【請求項34】
アンチセンス化合物と少なくとも1つのその他の治療とを、同時に共投与する、請求項33に記載される方法。
【請求項35】
アンチセンス化合物を、少なくとも1つのその他の治療の投与の前に、投与する、請求
項34に記載される方法。
【請求項36】
アンチセンス化合物を、少なくとも1つのその他の治療の投与の後に投与する、請求項34に記載される方法。
【請求項37】
少なくとも1つのその他の治療が、バルプロ酸、リルゾール、ヒドロキシウレア、およ
びブチレートの1またはそれ以上を投与することを含む、請求項33~36のいずれかに記載
される方法。
【請求項38】
少なくとも1つのその他の治療が、トリコスタチン-Aを投与することを含む、請求項33
~37のいずれかに記載される方法。
【請求項39】
少なくとも1つのその他の治療が、幹細胞を投与することを含む、請求項33~38のいず
れかに記載される方法。
【請求項40】
少なくとも1つのその他の治療が、遺伝子治療である、請求項33~39のいずれかに記載
される方法。
【請求項41】
アンチセンス化合物を、約0.01 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.1 mg/ml、約0.5 mg/ml、約1 mg/ml、約5 mg/ml、約10 mg/ml、約50 mg/ml、または約100 mg/mlの濃度で投与する、
請求項1~40のいずれかに記載される方法。
【請求項42】
被験体の運動ニューロン中の、SMN2 mRNAのエクソン7の含有量を、増加する、請求項1
~41のいずれかに記載される方法。
【請求項43】
被験体の運動ニューロン中の、SMN2ポリペプチドのエクソン7アミノ酸の含有量を、増
加させる、請求項1~42のいずれかに記載される方法。
【請求項44】
被験体に対して、ヒトSMN2をコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投与すること、そしてそれにより、被験体の運動ニューロン中の、SMN2 mRNAのエクソン7の含有量を増加させること、を含む、被験体の運動ニューロン中の、SMN2 mRNAのエクソン7の含有量を増加させる方法。
【請求項45】
被験体に対して、ヒトSMN2をコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投与すること、そしてそれにより被験体の運動ニューロン中の、SMN2ポリペプチド中のエクソン7アミノ酸の含有量を増加さ
せること、を含む、被験体の運動ニューロンにおけるSMN2ポリペプチド中のエクソン7の
アミノ酸の含有量を増加させる方法。
【請求項46】
被験体が、SMAを有する、請求項1~45のいずれかに記載される方法。
【請求項47】
被験体が、I型SMAを有する、請求項1~45のいずれかに記載される方法。
【請求項48】
被験体が、II型SMAを有する、請求項1~45のいずれかに記載される方法。
【請求項49】
被験体が、III型SMAを有する、請求項1~45のいずれかに記載される方法。
【請求項50】
第1の用量を、子宮中に投与する、請求項1~49のいずれかに記載される方法。
【請求項51】
第1の用量を、血液脳関門形成の形成を完了する前に投与する、請求項50に記載される
方法。
【請求項52】
第1の用量を、被験体の生後1週間以内に投与する、請求項1~49のいずれかに記載され
る方法。
【請求項53】
第1の用量を、被験体の生後1ヶ月以内に投与する、請求項1~49のいずれかに記載され
る方法。
【請求項54】
第1の用量を、被験体の生後3ヶ月以内に投与する、請求項1~49のいずれかに記載され
る方法。
【請求項55】
第1の用量を、被験体の生後6ヶ月以内に投与する、請求項1~49のいずれかに記載され
る方法。
【請求項56】
第1の用量を、被験体が1~2歳であるときに投与する、請求項1~49のいずれかに記載される方法。
【請求項57】
第1の用量を、被験体が1~15歳であるときに投与する、請求項1~49のいずれかに記載
される方法。
【請求項58】
第1の用量を、被験体が15歳以上であるときに投与する、請求項1~49のいずれかに記載される方法。
【請求項59】
被験体が哺乳動物である、請求項1~58のいずれかに記載される方法。
【請求項60】
被験体がヒトである、請求項59に記載される方法。
【請求項61】
SMAを有する被験体を特定することを含む、請求項1~60のいずれかに記載される方法。
【請求項62】
被験体を、1またはそれ以上の被験体の筋肉の電気的活性を測定するにより特定する、
請求項61に記載される方法。
【請求項63】
被験体を、遺伝子試験により特定して、被験体が被験体のSMN1遺伝子中に変異を有するかどうかを決定する、請求項61に記載される方法。
【請求項64】
被験体を、筋肉バイオプシーにより特定する、請求項61に記載される方法。
【請求項65】
アンチセンス化合物を投与することにより、少なくとも10%のエクソン7を有するSMN2 mRNAの量の増加を結果として生じる、請求項42に記載される方法。
【請求項66】
エクソン7を有するSMN2 mRNAの量の増加が、少なくとも20%である、請求項65に記載される方法。
【請求項67】
エクソン7を有するSMN2 mRNAの量の増加が、少なくとも50%である、請求項65に記載される方法。
【請求項68】
エクソン7を有するSMN2 mRNAの量の増加が、少なくとも70%である、請求項65に記載される方法。
【請求項69】
アンチセンス化合物の投与により、少なくとも10%のエクソン7のアミノ酸を有するSMN
2ポリペプチドの量の増加を結果として生じる、請求項43に記載される方法。
【請求項70】
エクソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加が、少なくとも20%である
、請求項69に記載される方法。
【請求項71】
エクソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加が、少なくとも50%である、請求項69に記載される方法。
【請求項72】
エクソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加が、少なくとも70%である、請求項69に記載される方法。
【請求項73】
アンチセンス化合物を投与することにより、被験体のSMAの少なくとも1つの兆候を改善する、請求項1~72のいずれかに記載される方法。
【請求項74】
アンチセンス化合物を投与することにより、被験体の運動機能の改善を生じる、請求項73に記載される方法。
【請求項75】
アンチセンス化合物を投与することにより、被験体の運動機能の喪失を遅らせるかまたは減少させることを生じる、請求項73に記載される方法。
【請求項76】
アンチセンス化合物を投与することにより、呼吸器機能の改善を生じる、請求項73に記載される方法。
【請求項77】
アンチセンス化合物を投与することにより、生存の改善を生じる、請求項73に記載される方法。
【請求項78】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾糖成分を含
む、請求項1~77のいずれかに記載される方法。
【請求項79】
少なくとも1つの修飾糖成分が、2'-メトキシエチル糖成分を含む、請求項78に記載される方法。
【請求項80】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの本質的にそれぞれのヌクレオシドが、修飾糖成分を含む、請求項1~79のいずれかに記載される方法。
【請求項81】
修飾糖成分を含むヌクレオシドがすべて、同一の糖修飾を含む、請求項80に記載される方法。
【請求項82】
それぞれの修飾糖成分が、2'-メトキシエチル糖成分を含む、請求項81に記載される方
法。
【請求項83】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれのヌクレオシドが、修飾糖成分を含む、請求項1~79のいずれかに記載される方法。
【請求項84】
ヌクレオシドのすべてが、同一の糖修飾を含む、請求項83に記載される方法。
【請求項85】
それぞれの修飾糖成分が、2'-メトキシエチル糖成分を含む、請求項84に記載される方
法。
【請求項86】
少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であ
る、請求項1~85のいずれかに記載される方法。
【請求項87】
それぞれのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項86に記載される方法。
【請求項88】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、10~25個の結合したヌクレオシドからなる、請求項1~87のいずれかに記載される方法。
【請求項89】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、12~22個の結合したヌクレオシドからなる、請求項1~87のいずれかに記載される方法。
【請求項90】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、15~20個の結合したヌクレオシドからなる、請求項1~87のいずれかに記載される方法。
【請求項91】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、18個の結合したヌクレオシドからなる、請求項1
~87のいずれかに記載される方法。
【請求項92】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトSMN2をコードする核酸に対して少なくとも90%相補的である、請求項1~91のいずれかに記載される方法。
【請求項93】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトSMN2をコードする核酸に対して完全に相補的である、請求項92に記載される方法。
【請求項94】
オリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1の少なくとも10個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、請求項1~93のいずれかに記載される方法。
【請求項95】
オリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1の少なくとも15個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、請求項94に記載される方法。
【請求項96】
オリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1を含む核酸塩基配列を有する、請求項94に記載される方法。
【請求項97】
オリゴヌクレオチドが、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1からなる核酸塩基配列を有する、請求項94に記載される方法。
【請求項98】
アンチセンス化合物が、共役基または末端基を含む、請求項1~97のいずれかに記載さ
れる方法。
【請求項99】
アンチセンス化合物が、アンチセンスオリゴヌクレオチドからなる、請求項1~97のい
ずれかに記載される方法。
【請求項100】
アンチセンス化合物を、全身的にも投与する、請求項1~99のいずれかに記載される方
法。
【請求項101】
全身性投与が、静脈内注射または腹腔内注射によるものである、請求項100に記載の方
法。
【請求項102】
全身性投与および中枢神経系への投与が、同時に行われる、請求項100または101に記載される方法。
【請求項103】
全身性投与および中枢神経系への投与が、異なる時点で行われる、請求項100または101に記載される方法。
【請求項104】
請求項1~103のいずれか1項に記載された方法において使用するための、ヒトSMN2をコ
ードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むア
ンチセンス化合物。
【請求項105】
サバイバル運動ニューロン1(SMN1)と関連する疾患または症状を治療する際に使用す
るための、請求項104に記載のアンチセンス化合物。
【請求項106】
請求項1~105のいずれか1項に記載の方法において使用するための医薬の製造における
、ヒトSMN2をコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレ
オチドを含むアンチセンス化合物の使用。
【請求項107】
医薬が、サバイバル運動ニューロン1(SMN1)と関連する疾患または症状を治療するた
めのものである、請求項106に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
SEQUENCE LISTING
本出願は、電子フォーマットのSequence Listingとともに出願されるものである。このSequence Listingは、2010年6月17日に作成され、サイズが5 Kbの「20100617_CORE0086WOSEQ.txt」というタイトルのファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットでの
この情報は、その全体を参照として本願明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
一次転写物またはpre-mRNAとして知られる新たに合成された真核細胞mRNA分子は、翻訳の前にプロセッシングされる。pre-mRNAのプロセッシングには、5'メチル化キャップの付加、そしておよそ200~250塩基のポリ(A)テールの転写物の3'末端への付加が含まれる
。mRNAのpre-mRNAからのプロセッシングにはまた、しばしば、哺乳動物mRNAの90~95%の成熟に際して生じる、pre-mRNAのスプライシングが関連する。イントロン(または介在性配列)は、成熟mRNAのコーディング配列中には含まれない、pre-mRNA(またはそれをコードするDNA)の領域である。エクソンは、成熟mRNA中に残る一次転写物の領域である。エ
クソンは、一緒にスプライシングされて、成熟mRNA配列を形成する。スプライスジャンクションもまた、“5'スプライシング部位”または“スプライシングドナー部位”としばしば呼ばれるジャンクションの5'側および“3'スプライシング部位”または“スプライシングアクセプター部位”としばしば呼ばれるジャンクションの3'側を有する、スプライシング部位として言及される。スプライシングに際して、上流側エクソンの3'末端が、下流側エクソンの5'末端と結合される。このように、スプライシングされていないpre-mRNAは、イントロンの5'末端にエクソン/イントロンジャンクションを有しそしてイントロンの3'末端にイントロン/エクソンジャンクションを有する。イントロンが除去された後、エクソンは、しばしばエクソン/エクソンジャンクションと呼ばれる部分または成熟mRNA中の境界部に隣接する。曖昧なスプライシング部位は、あまりしばしば使用されないが、通常のスプライシング部位がブロックされているかまたは利用できない場合に使用することができるスプライシング部位である。選択的スプライシングは、エクソンの異なる組み合わせを伴うスプライシングと定義されるが、単一の遺伝子から複数のmRNA転写物をしばしば生じる。
【0003】
点変異から生じるヒト遺伝子疾患の50%までが、異常なpre-mRNAプロセッシングを生じる。そのような点変異は、現行のスプライシング部位を破壊するか、または新しいスプライシング部位を形成しうるものであり、エクソンの異なる組み合わせを含むmRNA転写物を生じるか、またはエクソン中に欠失を含むmRNA転写物を生じる。点変異はまた、亜曖昧なスプライシング部位の活性化を生じることができるか、または制御的cisエレメント(す
なわち、スプライシングエンハンサーまたはサイレンサー)を破壊することができる(Cartegni et al., Nat. Rev. Genet., 2002, 3, 285-298;Drawczak et al., Hum. Genet.,
1992, 90, 41-54)。所望のスプライシング産物を得るようにスプライシングを方向付けるために、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、幾つかの遺伝子疾患における異常なスプライシングを引き起こす変異を標的化した(Kole, Acta Biochimica Polonica, 1997, 44, 231-238)。
【0004】
アンチセンス化合物もまた使用して、Bcl-x pre-mRNAの長い型および短い型などの天然に生じる選択的スプライシング変異体の比率を変化させるか(U.S. Patent 6,172,216;U.S. Patent 6,214,986;Taylor et al., Nat. Biotechnol. 1999, 17, 1097-1100)、ま
たは未成熟終止コドンを含有する特異的なエクソンのスキッピングを強制した(Wilton e
t al., Neuromuscul. Disord., 1999, 9, 330-338)。U.S. Patent 5,627,274およびWO 94/26887は、RNAse Hを活性化しないアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する変異を含有する、変異を含有するpre-mRNA分子における異常なスプライシングに抗するための組成物および方法を開示する。
【0005】
近位性脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄性運動ニューロンの喪失により特徴づけられる
遺伝性の神経変性性疾患である。SMAは、初期発症の常染色体性劣勢疾患であり、現在の
乳児の間の主要な死亡原因である。SMAの重症度は、患者間で異なっており、そしてした
がってこれらの型に分類される。I型SMAは、出生時または6ヶ月以内に発症する最も重症
な型であり、そして2年以内に死に至る。I型SMAの子供は、座ったり歩いたりすることが
できない。II型SMAは、中間型であり、患者は座ることはできるが、立ったり歩いたりす
ることができない。慢性型の疾患であるIII型SMAの患者は、典型的には、18ヶ月齢後にSMAを発症する(Lefebvre et al., Hum. Mol. Genet., 1998, 7, 1531-1536)。
【0006】
SMAの分子的基礎は、サバイバル運動ニューロン遺伝子1(SMN1)の両コピーが喪失することにより生じる。このSMN1は、snRNP生物発生およびリサイクリングに関与すると考え
られているマルチ-タンパク質複合体の部分であるタンパク質であるSMN Telomericとしても知られている。ほぼ同一の遺伝子であるSMN2は、SMN Centromericとしても知られてい
るが、染色体5q13上の複製化された領域に存在し、そして疾患重症度を修飾する。正常SMN1遺伝子の発現は、わずかに、サバイバル運動ニューロン(SMN)タンパク質の発現を生
じる。SMN1およびSMN2は、同一のタンパク質をコードする可能性を有するが、SMN2は、エクソン7の位置+6に翻訳的にはサイレントな変異を含有し、それがSMN2転写物のエクソン7の非効率的な含有を生じる。このように、SMN2の支配的な型は、エクソン7を欠失した短縮型であり、これは不安定で非活性型である(Cartegni and Krainer, Nat. Genet., 2002, 30, 377-384)。SMN2遺伝子の発現は、およそ10~20%のSMNタンパク質および80~90
%の不安定/非-機能性SMNデルタ7タンパク質を生じる。SMNタンパク質は、スプライセオソームの組み立てにおいて十分に確立された機能を果たしており、そしてニューロンの軸索および神経末端におけるmRNAトラフィッキングを媒介する可能性がある。
【0007】
アンチセンス技術は、選択的スプライシング生成物を含む1またはそれ以上の特異的な
遺伝子生成物の発現を調節するための有効な手段であり、そして多数の治療用途、診断用途、および研究用途において特徴的に有用である。アンチセンス技術の背景にある原理は、標的核酸に対してハイブリダイズするアンチセンス化合物が、多数のアンチセンス技術のうちの一つを通じて、転写、スプライシングまたは翻訳などの遺伝子発現活性を修飾するというものである。アンチセンス化合物の配列特異性は、標的の確認および遺伝子機能化のためのツールとして、並びに疾患に関連する遺伝子の発現を選択的に修飾するための治療薬として、それらを極めて魅力的なものとしている。
【0008】
SMN2に対して相補的な特定のアンチセンス化合物は、当該技術分野において知られている。例えば、WO 2007/002390;US 61/168,885;Hua et al., American J. of Human Genetics (April 2008) 82, 1-15;Singh et al., RNA Bio. 6:3, 1-10 (2009) を参照。本明細書中で開示されていてる特定のアンチセンス化合物および方法は、当該技術分野におけるそのような化合物および方法と比較して、所望の特徴を有する。SMN2のスプライシングを修飾するように設計されたキメラペプチド核酸分子が、記載された(WO 02/38738;Cartegni and Krainer, Nat. Struct. Biol., 2003, 10, 120-125)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】U.S. Patent 6,172,216
【特許文献2】U.S. Patent 6,214,986
【特許文献3】U.S. Patent 5,627,274
【特許文献4】WO 94/26887
【特許文献5】WO 2007/002390
【特許文献6】US 61/168,885
【特許文献7】WO 02/38738
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Cartegni et al., Nat. Rev. Genet., 2002, 3, 285-298
【非特許文献2】Drawczak et al., Hum. Genet., 1992, 90, 41-54
【非特許文献3】Kole, Acta Biochimica Polonica, 1997, 44, 231-238
【非特許文献4】Taylor et al., Nat. Biotechnol. 1999, 17, 1097-1100
【非特許文献5】Wilton et al., Neuromuscul. Disord., 1999, 9, 330-338
【非特許文献6】Lefebvre et al., Hum. Mol. Genet., 1998, 7, 1531-1536
【非特許文献7】Cartegni and Krainer, Nat. Genet., 2002, 30, 377-384
【非特許文献8】Hua et al., American J. of Human Genetics (April 2008) 82, 1-15
【非特許文献9】Singh et al., RNA Bio. 6:3, 1-10 (2009)
【非特許文献10】Cartegni and Krainer, Nat. Struct. Biol., 2003, 10, 120-125
【発明の概要】
【0011】
特定の態様において、本発明は、被験体に対して、ヒトSMN2 pre-mRNAをコードする核
酸のイントロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス
化合物を投与することを含む方法を提供し、ここでアンチセンス化合物は、脳脊髄液中に投与される。特定の態様において、投与は、くも膜下腔中に行われる。特定の態様において、投与は、脳内の脳脊髄液中に行われる。特定の態様において、投与は、ボーラス注入することを含む。特定の態様において、投与は、送達用ポンプを用いて注入することを含む。
【0012】
特定の態様において、アンチセンス化合物は、被験体の体重kgあたり0.01~10ミリグラムのアンチセンス化合物の用量で投与される。特定の態様において、用量は、被験体の体重kg当たり0.01~10ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、用量は、被験体の体重kg当たり0.01~5ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様
において、用量は、被験体の体重kg当たり0.05~1ミリグラムのアンチセンス化合物であ
る。特定の態様において、用量は、被験体の体重kg当たり0.01~0.5ミリグラムのアンチ
センス化合物である。特定の態様において、用量は、被験体の体重kg当たり0.05~0.5ミ
リグラムのアンチセンス化合物である。
【0013】
特定の態様において、用量は、毎日投与される。特定の態様において、用量は、1週間
に1回投与される。特定の態様において、アンチセンス化合物は、継続的に投与され、そ
して用量が1日当たりに投与される量である。特定の態様において、この方法は、誘導相
のあいだ少なくとも1回の誘導用量を投与すること、そして維持相のあいだ少なくとも1回の維持用量を投与すること、を含む。特定の態様において、誘導相が、被験体の体重kg当たり0.05~5.0ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、維持用量
が、被験体の体重kgあたり0.01~1.0ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態
様において、誘導相の期間は、少なくとも1週間である。特定の態様において、維持相の
期間は、少なくとも1週間である。特定の態様において、誘導投与のそれぞれおよび維持
投与のそれぞれは、1回の注射を含む。特定の態様において、誘導投与のそれぞれおよび
維持投与のそれぞれが、独立して、2回またはそれ以上の注射を含む。特定の態様におい
て、アンチセンス化合物は、少なくとも1週間の治療期間にわたり少なくとも2回投与され
る。特定の態様において、治療期間は、少なくとも1ヶ月である。特定の態様において、
治療期間は、少なくとも2ヶ月である。特定の態様において、治療期間は、少なくとも4ヶ月である。特定の態様において、誘導相を、1またはそれ以上のボーラス注入により投与
し、そして維持投与量を、点滴ポンプにより投与する。
【0014】
特定の態様において、この方法は、アンチセンス化合物の耐容性および/または有効性を評価することを含む。特定の態様において、アンチセンス化合物の投与量または投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が許容されない適応症に従って、減少する。特定の態様において、アンチセンス化合物の投与量または投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が有効である適応症に従って、維持するかまたは減少する。特定の態様において、アンチセンス化合物の投与量を、アンチセンス化合物の投与が有効ではない適応症に従って増加する。特定の態様において、アンチセンス化合物の投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が有効な適応症に従って、減少する。特定の態様において、アンチセンス化合物の投与頻度を、アンチセンス化合物の投与が有効ではない適応症に従って、増加する。
【0015】
特定の態様において、この方法は、アンチセンス化合物と少なくとも1つのその他の治
療とを共投与することを含む。特定の態様において、アンチセンス化合物と少なくとも1
つのその他の治療とを、同時に共投与する。特定の態様において、アンチセンス化合物を、少なくとも1つのその他の治療の投与の前に、投与する。特定の態様において、アンチ
センス化合物を、少なくとも1つのその他の治療の投与の後に投与する。特定の態様にお
いて、少なくとも1つのその他の治療が、バルプロ酸、リルゾール、ヒドロキシウレア、
およびブチレートの1またはそれ以上を投与することを含む。特定の態様において、少な
くとも1つのその他の治療が、トリコスタチン-Aを投与することを含む。特定の態様にお
いて、少なくとも1つのその他の治療が、幹細胞を投与することを含む。特定の態様にお
いて、少なくとも1つのその他の治療が、遺伝子治療である。特定の態様において、遺伝
子治療をCSFに投与し、そしてアンチセンス化合物を全身的に投与する。特定の態様にお
いて、遺伝子治療をCSFに投与し、そしてアンチセンス化合物を全身的そしてCSFに投与する。特定の態様において、本発明は、最初にアンチセンス化合物をCSFおよび全身的に投
与し、その後遺伝子治療をCSFに投与し、そしてアンチセンス化合物を全身的に投与する
、治療処方を提供する。そのような特定の態様において、被験体は、最初の治療の時点で乳児である。そのような特定の態様において、被験体は2歳未満である。特定の態様にお
いて、アンチセンス化合物を、被験体が遺伝子治療のために十分な年齢になるまで、被験体のCNSに投与する。そのような特定の態様において、アンチセンス化合物を、全身的に
ずっと投与する。
【0016】
特定の態様において、アンチセンス化合物を、約0.01 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.1 mg/ml、約0.5 mg/ml、約1 mg/ml、約5 mg/ml、約10 mg/ml、約50 mg/ml、または約100 mg/mlの濃度で投与する。
【0017】
特定の態様において、被験体の運動ニューロン中の、SMN2 mRNAのエクソン7の含有量を、増加する。特定の態様において、被験体の運動ニューロン中の、SMN2ポリペプチドのエクソン7アミノ酸の含有量を、増加させる。
【0018】
特定の態様において、本発明は、被験体に対して、ヒトSMN2をコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投
与すること、そしてそれにより、被験体の運動ニューロン中の、SMN2 mRNAのエクソン7の含有量を増加させること、を含む、被験体の運動ニューロン中の、SMN2 mRNAのエクソン7の含有量を増加させる方法を提供する。
【0019】
特定の態様において、本発明は、被験体に対して、ヒトSMN2をコードする核酸のイント
ロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投
与すること、そしてそれにより被験体の運動ニューロン中の、SMN2ポリペプチド中のエクソン7アミノ酸の含有量を増加させること、を含む、被験体の運動ニューロンにおけるSMN2ポリペプチド中のエクソン7のアミノ酸の含有量を増加させる方法を提供する。
【0020】
特定の態様において、被験体は、SMAを有する。特定の態様において、被験体は、I型SMAを有する。特定の態様において、被験体は、II型SMAを有する。特定の態様において、被験体は、III型SMAを有する。
【0021】
特定の態様において、第1の用量を、子宮中に投与する。特定の態様において、第1の用量を、血液脳関門形成の形成を完了する前に投与する。特定の態様において、第1の用量
を、被験体の生後1週間以内に投与する。特定の態様において、第1の用量を、被験体の生後1ヶ月以内に投与する。特定の態様において、第1の用量を、被験体の生後3ヶ月以内に
投与する。特定の態様において、第1の用量を、被験体の生後6ヶ月以内に投与する。特定の態様において、第1の用量を、被験体が1~2歳であるときに投与する。特定の態様にお
いて、第1の用量を、被験体が1~15歳であるときに投与する。特定の態様において、第1
の用量を、被験体が15歳以上であるときに投与する。
【0022】
特定の態様において、被験体は哺乳動物である。特定の態様において、被験体はヒトである。
【0023】
特定の態様において、この方法は、SMAを有する被験体を特定することを含む。特定の
態様において、被験体を、1またはそれ以上の被験体の筋肉の電気的活性を測定するによ
り特定する。特定の態様において、被験体を、遺伝子試験により特定して、被験体が被験体のSMN1遺伝子中に変異を有するかどうかを決定する。特定の態様において、被験体を、筋肉バイオプシーにより特定する。
【0024】
特定の態様において、アンチセンス化合物を投与することにより、少なくとも10%のエ
クソン7を有するSMN2 mRNAの量の増加を生じる。特定の態様において、エクソン7を有す
るSMN2 mRNAの量の増加は、少なくとも20%である。特定の態様において、エクソン7を有
するSMN2 mRNAの量の増加は、少なくとも50%である。特定の態様において、エクソン7を
有するSMN2 mRNAの量は、少なくとも70%である。
【0025】
特定の態様において、アンチセンス化合物を投与することにより、少なくとも10%のエ
クソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加を結果として生じる。特定の態
様において、エクソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加が、少なくとも20%である。特定の態様において、エクソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加が、少なくとも50%である。特定の態様において、エクソン7のアミノ酸を有するSMN2ポリペプチドの量の増加が、少なくとも70%である。
【0026】
特定の態様において、アンチセンス化合物を投与することにより、被験体のSMAの少な
くとも1つの兆候を改善する。特定の態様において、アンチセンス化合物を投与すること
により、被験体の運動機能の改善を生じる。特定の態様において、アンチセンス化合物を投与することにより、被験体の運動機能の喪失を遅らせるかまたは減少させることを生じる。特定の態様において、アンチセンス化合物を投与することにより、呼吸器機能の改善を生じる。特定の態様において、アンチセンス化合物を投与することにより、生存の改善を生じる。
【0027】
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシ
ドが、修飾糖成分を含む。特定の態様において、少なくとも1つの修飾糖成分が、2'-メト
キシエチル糖成分を含む。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドの本質的にそれぞれのヌクレオシドが、修飾糖成分を含む。特定の態様において、修飾糖成分を含むヌクレオシドがすべて、同一の糖修飾を含む。特定の態様において、それぞれの修飾糖成分が、2'-メトキシエチル糖成分を含む。特定の態様において、アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドのそれぞれのヌクレオシドが、修飾糖成分を含む。特定の態様において、ヌクレオシドのすべてが、同一の糖修飾を含む。特定の態様において、それぞれの修飾糖成分が、2'-メトキシエチル糖成分を含む。特定の態様において、少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。特定の態様において、それぞれのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0028】
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、10~25個の結合したヌクレオシドからなる。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、12~22個の結合したヌクレオシドからなる。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、15~20個の結合したヌクレオシドからなる。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18個の結合したヌクレオシドからなる。
【0029】
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトSMN2をコードする核酸に対して少なくとも90%相補的なものである。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトSMN2をコードする核酸に対して完全に相補的である。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1の少なくとも10個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1の少なくとも15個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列SEQ ID NO: 1からなる核酸塩基配列を有する。
【0030】
特定の態様において、アンチセンス化合物は、共役基または末端基を含む。
【0031】
特定の態様において、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドからなる。
【0032】
特定の態様において、アンチセンス化合物を、全身的にも投与する。特定の態様において、全身性投与は、静脈内注射または腹腔内注射によるものである。特定の態様において、全身性投与および中枢神経系への投与は、同時に行われる。特定の態様において、全身性投与および中枢神経系への投与が、異なる時点で行われる。
【0033】
特定の態様において、本発明は、アンチセンス化合物の全身性投与を単独で提供するか、またはCSF中への送達とともに提供する。特定の態様において、医薬組成物を、全身的
に投与する。特定の態様において、医薬組成物を、皮下的に投与する。特定の態様において、医薬組成物を、静脈内に投与する。特定の態様において、医薬組成物を、筋肉内注射により投与する。
【0034】
特定の態様において、医薬組成物を、CSFに対して直接的に(例えば、ITおよび/また
はICV注射および/または点滴)そして全身的の両方で投与する。
【0035】
特定の態様において、本発明は、SMAと関連する少なくとも1つの症候を有する被験体に対して、15~20個の結合したヌクレオシドからなりそしてその全長にわたりSEQ ID NO. 7に対して100%相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つの
用量のアンチセンス化合物を投与する方法を提供し、ここでそれぞれのヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドであり;そして少なくとも1つの用量を、CSFに対して投与される0.
1 mg/kg~5 mg/kgの範囲である。そのような特定の態様において、用量は、0.5 mg/kg~2
mg/kgの範囲である。特定の態様において、少なくとも1つの用量を、ボーラス注入によ
り投与する。そのような特定の態様において、用量を、ボーラスくも膜下注入により投与する。特定の態様において、少なくとも1つの第2の用量を投与する。そのような特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の少なくとも2週間後に投与する。特定の態様にお
いて、第2の用量を、第1の用量の少なくとも4週間後に投与する。特定の態様において、
第2の用量を、第1の用量の少なくとも8週間後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の少なくとも12週間後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の少なくとも16週間後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の
用量の少なくとも20週間後に投与する。特定の態様において、被験体は、第1の用量の時
点で2歳以下である。特定の態様において、被験体は2~15歳の範囲である。特定の態様において、被験体は15~30歳の範囲である。特定の態様において、被験体は30歳以上である。特定の態様において、SMAと関連する少なくとも1つの症候を低減するか、またはその進行を遅らせる。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、ISIS396443である。
【0036】
特定の態様において、本発明は、SMAと関連する少なくとも1つの症候を有する被験体に対して、15~20個の結合したヌクレオシドからなりそしてその全長にわたりSEQ ID NO. 7に対して100%相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つの
用量のアンチセンス化合物を投与する方法を提供し、ここでそれぞれのヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドであり;そして少なくとも1つの用量を、全身的に投与する。その
ような特定の態様において、少なくとも1つの用量を、ボーラス注入により投与する。そ
のような特定の態様において、用量を、ボーラス皮下注入により投与する。特定の態様において、投与量は、0.5mg/kg~50mg/kgの範囲である。特定の態様において、用量は、1 mg/kg~10mg/kgの範囲である。特定の態様において、用量は、1 mg/kg~5 mg/kgの範囲で
ある。特定の態様において、用量は、0.5mg/kg~1mg/kgの範囲である。特定の態様において、少なくとも1つの第2の用量を投与する。そのような特定の態様において、第2の用量
を、第1の用量の少なくとも2週間後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の少なくとも4週間の後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用
量の少なくとも8週間の後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の
少なくとも12週間の後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の少なくとも16週間の後に投与する。特定の態様において、第2の用量を、第1の用量の少なくとも20週間の後に投与する。特定の態様において、被験体は、第1の用量の時点で、2歳以下である。特定の態様において、被験体は2~15歳の範囲である。特定の態様において、被
験体は15~30歳の範囲である。特定の態様において、被験体は30歳以上である。特定の態様において、SMAと関連する少なくとも1つの症候を低減するか、またはその進行を遅らせる。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、ISIS396443である。
【0037】
特定の態様において、本発明は、SMAと関連する少なくとも1つの症候を有する被験体に対して、15~20個の結合したヌクレオシドからなりそしてその全長にわたりSEQ ID NO. 7に対して100%相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化
合物の、少なくとも1つの用量をCSFに、そして少なくとも1つの全身性用量を投与するこ
とを含み、ここでそれぞれのヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドである。そのような特定の態様において、CSF用量は、0.1 mg/kg~5 mg/kgの範囲である。特定の態様におい
て、全身性用量は、0.5mg/kg~50mg/kgの範囲である。特定の態様において、少なくとも1つのCSF用量を、ボーラス注入により投与する。そのような特定の態様において、少なく
とも1つのCSF用量を、ボーラスくも膜下注入により投与する。特定の態様において、少なくとも1つの全身性用量を、ボーラス注入により投与する。そのような特定の態様におい
て、少なくとも1つの全身性用量を、皮下注入により投与する。特定の態様において、CSF用量および全身性用量を、同時に投与する。特定の態様において、CSF用量および全身性
用量を、異なる時点に投与する。特定の態様において、被験体は、第1の用量の時点で2歳
以下である。特定の態様において、被験体は、2~15歳の範囲である。特定の態様におい
て、被験体は、15~30歳の範囲である。特定の態様において、被験体は、30歳以上である。特定の態様において、SMAと関連する少なくとも1つの症候を低減するか、またはその進行を遅らせる。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、ISIS396443である。
【0038】
特定の態様において、本発明は、SMAと関連する少なくとも1つの症候を有する被験体に対して、15~20個の結合したヌクレオシドからなりそしてその全長にわたりSEQ ID NO. 7に対して100%相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つの全身性用量のアンチセンス化合物を投与する方法を提供し、ここでそれぞれのヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドであり;そして少なくとも1つの用量の遺伝子治療剤を投与
する。特定の態様において、全身性用量は、0.5 mg/kg~50 mg/kgの範囲である。特定の
態様において、少なくとも1つの全身性用量を、ボーラス注入により投与する。そのよう
な特定の態様において、少なくとも1つの全身性用量を、皮下注入により投与する。特定
の態様において、全身性用量および遺伝子治療剤を、同時に投与する。特定の態様において、全身性用量および遺伝子治療剤を、異なる時点で投与する。特定の態様において、遺伝子治療剤を、CSFに対して投与する。そのような特定の態様において、遺伝子治療剤を
、くも膜下注入および/または点滴により投与する。そのような特定の態様において、遺伝子治療剤を、脳室内注入および/または点滴により投与する。特定の態様において、被験体は、第1の用量の時点で2歳以下である。特定の態様において、被験体 は、2~15歳の範囲である。特定の態様において、被験体は、15~30歳の範囲である。特定の態様において、被験体は、30歳以上である。特定の態様において、SMAと関連する少なくとも1つの症候を低減するか、またはその進行を遅らせる。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、ISIS396443である。
【0039】
特定の態様において、本発明は、SMAと関連する少なくとも1つの症候を有する被験体を選択し、そして上述した方法のいずれかに従うアンチセンス化合物を投与する方法を提供する。そのような特定の態様において、SMAの少なくとも1つの症候を、投与後に評価する。そのような特定の態様において、SMAの少なくとも1つの症候を改善する。そのような特定の態様において、SMAの少なくとも1つの症候は、進行しないか、またはアンチセンス化合物の投与を受けなかった被験体と比較してゆっくりと進行する。
【0040】
特定の態様において、本発明は、上述した方法のいずれかにおいて使用するための、ヒトSMN2をコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドを含むアンチセンス化合物を提供する。特定の態様において、本発明は、サバイバル運動ニューロン1(SMN1)と関連する疾患または症状を治療する際に使用するための、その
ような化合物を提供する。
【0041】
特定の態様において、本発明は、上述した方法のいずれかにおいて使用するための医薬の製造における、ヒトSMN2をコードする核酸のイントロン7に対して相補的なアンチセン
スオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物の使用を提供する。特定の態様において、医薬は、サバイバル運動ニューロン1(SMN1)と関連する疾患または症状を治療するた
めのものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、実施例4において検討した作用期間の研究からの結果を示す。この実施例において、エクソン7を含むSMN2の割合(y-軸)を、7日間の治療の終了後0、2、4、6、および8週間(x-軸)で評価した。“0”週のサンプルは、治療の終了後1日に採取された。対照は、塩類溶液で処置したマウスを示す。0~6ヶ月の異なる時点での対照塩類溶液処置マウス間で、%包含に差異はなかった。
【
図2】
図2は、実施例4において検討した作用期間の研究からの結果を示す。この実施例において、エクソン7を含むSMN2の割合を、7日間の治療の終了後0、0.5、1、2、5、および6ヶ月で評価した。“0”月のサンプルは、治療の終了後1日に採取された。CONは、塩類溶液で処置したマウスを示す。0~6ヶ月の異なる時点での対照塩類溶液処置マウス間で、%包含に差異はなかった。
【
図3】
図3は、SMAマウスの台湾系統において、尾の範囲に対するISIS396443を胚投与したことの効果を測定した、実施例6において検討された実験からの結果を示す。
図3Aは、最初のそのような実験を示し、そして
図3Bは、 示された異なる濃度のアンチセンス化合物を試験した繰り返した実験の結果および比較のための正常マウスについてのデータを含む結果を示す。
【
図4】
図4は、実施例7において検討されたウェスタンブロットからの結果を示す。Y軸は、エクソン7を含む様々なサンプルにおけるSMNの割合である。
【
図5】
図5および
図6は、実施例7において検討された実験に由来する結果を示す。アンチセンス化合物のいずれかまたは対照オリゴヌクレオチドによる処置の後に、SMAマウス(台湾系統)の多数の評価を行った。
【
図6】
図5および
図6は、実施例7において検討された実験に由来する結果を示す。アンチセンス化合物のいずれかまたは対照オリゴヌクレオチドによる処置の後に、SMAマウス(台湾系統)の多数の評価を行った。
【
図7】
図7は、実施例7において検討された実験からの生存曲線を示す。
【
図8】
図8は、実施例7において検討されたように、アンチセンス化合物または 対照オリゴヌクレオチドを用いた処置の後の、脊髄の異なる部位における運動ニューロンの数の評価からの結果を示す。
【
図9】
図9は、実施例7において検討されたように、実施例7において検討されたアンチセンスを用いて処置された動物における、完全なSMN RNA(エクソン7を含む)の評価からの結果を示す。
【
図10】
図10は、実施例7において検討された実験からの生存曲線を示す。この実験において、動物は、(1)非処置;(2)出生時に、アンチセンス化合物を単回投与(Day P0);または(3)P0に最初の投与、そして21日に2回目の投与(P21);を与えたものである。
【
図11】
図11は、2回目の投与を受けた動物を、1回目の投与のみを受けた動物と比較した、実施例7において記載された実験からの生存曲線を示す。
【
図12】
図12は、実施例9において検討された実験からの結果を示す。この実験において、アンチセンス化合物を点滴によりサルに投与し、そして化合物濃度は96時間後に異なる組織において評価した。
【
図13】
図13は、実施例12において検討された実験からの生存曲線を示す。この実験において、異なる用量のアンチセンス化合物を、皮下注入によりSMAマウスに投与した。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の詳細な説明
上述の一般的な記載および以下の詳細な記載は両方共、例示的かつ説明的なものでしかなく、請求項に記載されるような発明の限定を目的とはしていないことを理解すべきである。本明細書中において、単数形を使用する場合には、特に言及していない限り、複数も含まれる。本明細書中で使用される場合、“または”の使用は、 そうではないと記載さ
れていない限り、“および/または”を意味する。さらに、“含む” の用語および“含
まれる”などのその他の形態を使用することは、限定的なことではない。同様に、“要素”または“構成成分”などの用語は、特に言及しない限り、1単位を含む要素および構成
成分、および1より多いサブユニットを含む要素および構成成分の両方を包含する。
【0044】
本明細書中で使用されるセクションの見出しは、系統立てる目的のみのためのものであり、そして記載される主題を限定するものとは解釈されない。特許、特許出願、文献、書
籍、および専門書などを含む(しかし、これらには限定されない)、本件出願において引用されるすべての文書、または文書の部分は、いずれかの目的のためにその全体を参照により明示的に援用される。
【0045】
I. 定義
具体的な定義を提示していない場合、本明細書中で記載される分析化学、合成有機化学、および医学および医薬化学と関連して使用される用語用法、および分析化学、合成有機化学、および医学および医薬化学の手順および技術は、当該技術分野においてよく知られており、そして一般的に使用され。標準的な技術は、化学合成および化学的解析のために使用することができる。特定のそのような技術および手順を、以下の文献中に見出すことができ(例えば、“Carbohydrate Modifications in Antisense Research” Edited by Sangvi and Cook, American Chemical Society , Washington D.C., 1994;“Remington's Pharmaceutical Sciences,” Mack Publishing Co., Easton, Pa., 18th edition, 1990;および“Antisense Drug Technology, Principles, Strategies, and Applications”
Edited by Stanley T. Crooke, CRC Press, Boca Raton, Florida;およびSambrook et al., “Molecular Cloning, A laboratory Manual, ” 2ndEdition, Cold Spring Harbor
Laboratory Press, 1989)、これらをいずれかの目的のために参照により援用される。
認められる場合、すべての特許、出願、公開された出願およびその他の刊行物および本明細書中の開示全体で言及されているその他のデータは、それぞれの全体を参照により援用する。
【0046】
特に指示がない場合、以下の用語葉、以下の意味を有する:
“ヌクレオシド”は、ヘテロ環式塩基成分および糖成分を含む化合物を意味する。ヌクレオシド には、天然に生じるヌクレオシド,修飾ヌクレオシド、および模倣塩基を有するヌクレオシドおよび/または糖基が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。ヌクレオシド は、様々な置換基のいずれかにより修飾されていてもよい。
【0047】
“糖成分”は、 天然の糖、または修飾糖または糖代替物を意味する。
【0048】
“天然の糖”は、DNA(2'-H)またはRNA(2'-OH)のリボフラノース成分を意味する。
【0049】
“修飾糖”は、天然の糖の置換基以外の少なくとも1つの置換基を含むリボフラノース
成分を意味する。
【0050】
“糖代替物”は、 ヌクレオシドの糖を置換することができるリボフラノース環以外の
構造を意味する。糖代替物の例には、開環系、6-員環、酸素が、例えば、硫黄または窒素により置換された糖が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。例えば、糖代替物には、モルホリノおよび4'-チオ-含有糖が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。
【0051】
“核酸塩基”は、ヌクレオシドのヘテロ環式塩基部分を意味する。核酸塩基は、天然に生じるものであるか、または修飾されたものであってもよい。特定の態様において、核酸塩基は、別の核酸の核酸塩基に対して水素結合することができるいずれかの原子または基が含まれていてもよい。
【0052】
“ヌクレオチド”は、 ホスフェート結合基を含むヌクレオシドを意味する。本明細書
中で使用する場合、ヌクレオシドにはヌクレオチドが含まれる。
【0053】
“修飾ヌクレオシド”は、天然に生じるRNAまたはDNAヌクレオシドと比較して、少なくとも1つの修飾を含むヌクレオシドである。そのような修飾は、糖成分および/または核
酸塩基に存在していてもよい。
【0054】
“二環式ヌクレオシド”または“BNA”は、ヌクレオシドの糖成分が、糖環の2つの炭素原子を連結する架橋を含み、それにより二環式糖成分を形成する、ヌクレオシドを意味する。
【0055】
“4'-2'二環式ヌクレオシド”は、フラノース環の2つの炭素原子を連結するブリッジを含むフラノース環を含む二環式ヌクレオシドを意味し、糖環の2'炭素原子と4'炭素原子とを連結する。
【0056】
“2'-修飾”または“2'-置換”は、HまたはOH以外の2'位に置換基を含む糖を含むヌク
レオシドを意味する。
【0057】
“2'-OMe”または“2'-OCH3”または“2'-O-メチル”はそれぞれ、糖環の2'位に-OCH3
基を含む糖を含むヌクレオシドを意味する。
【0058】
“MOE”または“2'-MOE”または“2'-OCH2CH2OCH3”または“2'-O-メトキシエチル”はそれぞれ、糖環の2'位に-OCH2CH2OCH3基を含む糖を含むヌクレオシドを意味する。
【0059】
“オリゴヌクレオチド”は、複数の結合したヌクレオシドを含む化合物を意味する。特定の態様において、1またはそれ以上の複数のヌクレオシドが修飾される。特定の態様に
おいて、オリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上のリボヌクレオシド(RNA)および/またはデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。
【0060】
“オリゴヌクレオシド”は、ヌクレオシド間結合のどこにもリン原子を含有しないオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書中で使用する場合、オリゴヌクレオチドには、オリゴヌクレオシドが含まれる。
【0061】
“修飾オリゴヌクレオチド”は、少なくとも1つの修飾ヌクレオシドおよび/または少
なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0062】
“ヌクレオシド間結合”は、オリゴヌクレオチドの隣接するヌクレオシド間での共有結合を意味する。
【0063】
“天然に生じるヌクレオシド間結合”は、3'-5'ホスホジエステル結合を意味する。
【0064】
“修飾ヌクレオシド間結合”は、天然に生じるヌクレオシド間結合以外のいずれかのヌクレオシド間結合を意味する。
【0065】
“オリゴマー化合物”は、オリゴヌクレオチドを含む化合物を意味する。特定の態様において、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドからなる。特定の態様において、オリゴマー化合物はさらに、1またはそれ以上の複合体および/または末端基を含む。
【0066】
“アンチセンス化合物は、オリゴマー化合物、標的核酸に対して少なくとも部分的に相補的な少なくともその部分を意味し、ここで、そのようなハイブリダイゼーション は、
少なくとも1つのアンチセンス活性を生じる。
【0067】
“アンチセンスオリゴヌクレオチド”は、オリゴマー化合物がオリゴヌクレオチドからなるアンチセンス化合物を意味する。
【0068】
“アンチセンス活性” は、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼー
ションに寄与しうる、いずれかの検出可能なおよび/または測定可能な効果のことをいう。特定の態様において、そのようなアンチセンス活性は、核酸またはタンパク質の量の増加または減少である。特定の態様において、そのようなアンチセンス活性は、核酸またはタンパク質のスプライス変異体の比率の変化である。特定の態様において、そのようなアンチセンス活性は、細胞および/または被験体の表現型変化である。
【0069】
アンチセンス活性の“検出”または“測定”は、直接的なものであってもまたは間接的なものであってもよい。例えば、特定の態様において、アンチセンス活性は、標的核酸またはタンパク質の量または標的核酸またはタンパク質のスプライス変異体の相対量を検出しおよび/または測定することにより評価する。特定の態様において、アンチセンス活性は、細胞または動物における表現型変化を観察する事により検出される。いずれかの活性、反応、または作用と関連して、“検出”および“測定”の用語は、検出のための試験または測定のための試験が行われることを示す。そのような検出および/または測定には、ゼロの値が含まれていてもよい。したがって、検出のための試験または測定のための試験の結果として活性が何も見出されないという結果(活性ゼロ)が生じる場合であっても、活性を検出する工程または測定する工程は、それでもなお行われる。
【0070】
“標的核酸”は、アンチセンス化合物によりその発現、量、または活性をモジュレーションすることができる、いずれかの核酸分子のことをいう。
【0071】
“標的mRNA”は、タンパク質をコードする、事前に選択されたRNA分子を意味する。
【0072】
“標的pre-mRNA”は、完全にはmRNAにプロセッシングされていない、事前に選択されたRNA転写物を意味する。特に、pre-mRNAには、1またはそれ以上のイントロンが含まれる。
【0073】
“標的タンパク質”は、標的核酸によりコードされるタンパク質 を意味する。
【0074】
“モジュレーション”は、機能または活性の変動を意味する。特定の態様において、モジュレーションは、遺伝子発現の増加を意味する。特定の態様において、モジュレーションは、遺伝子発現の減少を意味する。
【0075】
“発現”は、遺伝子にコードされている情報が、細胞中に存在しそして機能している構造へと変換されるいずれかの機能および工程を意味する。
【0076】
“核酸塩基配列”は、いずれかの糖、結合および/または核酸塩基修飾には関係なく、5'から3'への方向での連続する核酸塩基の順番を意味する。
【0077】
“連続する核酸塩基”は、核酸中で互いにすぐとなりに位置する核酸塩基を意味する。
【0078】
“核酸塩基 相補性”は、2つの核酸塩基が、水素結合を介して非-共有結合的に追号す
る能力を意味する。
【0079】
“相補的な”は、第1の核酸が第2の核酸に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下でハイブリダイズすることができることを意味する。例えば、アンチセンス化合物は、そのアンチセンス化合物が標的核酸に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下でハイブリダイズすることができれば、その標的核酸に対して相補的である。
【0080】
“完全に相補的な”は、第1の核酸のそれぞれの核酸塩基が、第2の核酸のそれぞれの対
応する連続する位置での核酸塩基と追号することができることを意味する。
【0081】
アンチセンス化合物の“%相補性”は、標的核酸の均等な長さの部分に対して相補的な、アンチセンス化合物の核酸塩基の%を意味する。%相補性は、標的核酸中の対応する連続する位置での核酸塩基に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の数を、アンチセンス化合物の全長で割る事により算出される。
【0082】
“%同一性”は、第2の核酸の対応する位置での核酸塩基と同一である第1の核酸中の核酸塩基の数を、第1の核酸の核酸塩基の全数で割ったものを意味する。
【0083】
“ハイブリダイズ”は、核酸塩基を通じて相補性を生じる相補的な核酸のアニーリングを意味する。
【0084】
“ミスマッチ”は、第2の核酸の対応する位置で核酸塩基と対合することができない、
第1の核酸の核酸塩基を意味する。
【0085】
“同一の核酸塩基配列”は、ヌクレオシドのいずれかの化学修飾に関わらず、同一の核酸塩基配列を有することを意味する。
【0086】
“異なる修飾”または“異なるように修飾された”は、修飾を含まないなど、互いに異なるヌクレオシド修飾またはヌクレオシド間結合を有するヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合のことをいう。したがって、例えば、MOEヌクレオシドおよび非修飾DNAヌクレオシドは、DNAヌクレオシドが修飾されていないとしても、“異なるように修飾された”も
のである。同様に、DNAおよびRNAは、両方共が天然に存在する非修飾ヌクレオシドであるとしても、“異なるように修飾された”ものである。異なる核酸塩基を含む以外は同一のヌクレオシドは、特に記載しない限り、異なるように修飾されたものではない。例えば、2'-OMe修飾糖を含むヌクレオシドと、アデニン核酸塩基と、2'-OMe修飾糖を含むヌクレオシドと、そしてチミン核酸塩基は、異なるように修飾されたものではない。
【0087】
“同一の修飾”は、互いに同一であるヌクレオシドおよびヌクレオシド間結合(非修飾ヌクレオシドおよびヌクレオシド間結合を含む)を意味する。したがって、例えば、2つ
の非修飾DNAヌクレオシドは、DNAヌクレオシドが非修飾のものであるとしても、“同一の修飾”を有するものである。
【0088】
“修飾の型”またはある“型”のヌクレオシドは、ヌクレオシドの修飾を意味し、そしてそれには修飾ヌクレオシドおよび非修飾ヌクレオシドが含まれる。したがって、特に言及しない場合には、“第1の型の修飾を有するヌクレオシド”は、非修飾ヌクレオシドで
あってもよい。
【0089】
オリゴヌクレオチドの“別個の領域”は、ある領域内のヌクレオシドおよびヌクレオシド間結合がすべて、同一の修飾を含む、オリゴヌクレオチドの部分を意味する;およびいずれかの隣接する部分のヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド間結合 に、少なくと
も1つの異なる修飾が含まれる。
【0090】
“モチーフ”は、オリゴヌクレオチド中の修飾核酸塩基および/または非修飾核酸塩基、糖、および/またはヌクレオシド間結合のパターンを意味する。
【0091】
“完全に修飾されたオリゴヌクレオチド”は、それぞれの核酸塩基、それぞれの糖、および/またはそれぞれのヌクレオシド間結合が修飾されていることを意味する。
【0092】
“均一に修飾されたオリゴヌクレオチド”は、それぞれの核酸塩基、それぞれの糖、および/またはそれぞれのヌクレオシド間結合が、修飾オリゴヌクレオチド全体にわたり同一の修飾を有することを意味する。
【0093】
“交互のモチーフ”は、修飾ヌクレオシドの少なくとも4つの異なる領域を、パターン
(AB)nAmで有するオリゴヌクレオチドまたはその部分を意味し、ここでAは、第1の修飾
型を有するヌクレオシド 領域を示し;Bは、異なる修飾型を有するヌクレオシド 領域を
示し;nは、2~15であり;そしてmは、0または1である。このように、特定の態様におい
て、交互のモチーフには、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20またはそれ以上の交互の領域が含まれる。特定の態様において、それぞれのA
領域およびそれぞれのB領域は、独立して、1~4個のヌクレオシドを含む。
【0094】
“被験体”は、処置または治療のために選択されたヒトまたは非-ヒト動物を意味する
。
【0095】
“それが必要とされている被験体”は、治療または処置が必要とされていると特定された被験体を意味する。そのような態様において、被験体は、SMAを有するかまたは発症す
る1またはそれ以上の適応症を有する。
【0096】
“投与する”は、医薬的薬剤または組成物を被験体に対して提供することを意味し、そしてこの概念には、医学的専門家により投与される場合と、自分で投与する場合が含まれるが、これらには限定されない。
【0097】
“非経口投与”は、注射または点滴を介した投与 を意味する。
【0098】
非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与が含まれるが、これらには限定されない。
【0099】
“全身性投与”は、活性の目的とする場所以外の領域に対する投与を意味する。全身性投与の例は、皮下投与および静脈内投与、および腹腔内投与である。
【0100】
“皮下投与”は、皮下直下への投与 を意味する。
【0101】
“静脈内投与”は、静脈中への投与を意味する。
【0102】
“脳脊髄液”または“CSF”は、脳および脊髄周辺の腔を充填する液体を意味する。
【0103】
“脳脊髄液中への投与”は、物質をCSF中へ直接的に送達するいずれかの投与を意味す
る。
【0104】
“脳室内”または“ICV”は、脳の脳室系への投与を意味する。
【0105】
“くも膜下腔”または“IT”は、脳および脊髄を被覆するくも膜の下のCSF 中へと投与することを意味する。IT注射は、脊髄の外膜を介して、くも膜下腔中へと行われ、この場合、脊髄を囲む鞘中に医薬的薬剤を注入する。
【0106】
“誘導相”は、投与 を開始し、そして活性医薬的薬剤の定常状態濃度が、標的組織内
で達成される場合の投与相を意味する。例えば、誘導相 は、定常状態濃度のアンチセン
スオリゴヌクレオチドが、肝臓中で達成される場合の投与相である。
【0107】
“維持相”は、標的組織の定常状態薬物濃度が得られた後の投与相を意味する。
【0108】
“期間”は、活性または減少が継続するあいだの期間を意味する。例えば、誘導相 の
期間は、誘導投与量を投与するあいだの期間である。
【0109】
“維持投与量”は、維持相のあいだの単回投与の際に投与される用量を意味する。本明細書中で使用する場合、“誘導投与量”は、誘導相のあいだの単回投与の際に投与される用量を意味する。
【0110】
“同時投与”は、 2種またはそれ以上の医薬的薬剤を被験体に対して投与することを意味する。この2種またはそれ以上の医薬的薬剤 は、単一の医薬組成物内のものであっても、または別個の医薬組成物のものであってもよい。2種またはそれ以上の 医薬的薬剤のそれぞれを、同一のまたは別個の投与経路を介して投与することができる。同時投与には、同時並行的にまたは連続的に投与することが含まれる。
【0111】
“治療”は、疾患治療方法を意味する。特定の態様において、治療には、外科的治療、臨床的治療、および身体的介入、例えば補助呼吸、栄養チューブ、および強度を高めることを目的とした理学療法などが含まれるが、これらには限定されない。
【0112】
“処置”は、疾患の治癒または改善のために使用される1またはそれ以上の特異的な 手順を適用することを意味する。特定の態様において、特異的な 手順は、1またはそれ以上の 医薬的薬剤を投与することである。
【0113】
“改善” は、症状または疾患の少なくとも1つの指標ノ重症度を減少させることを意味する。特定の態様において、改善には、症状または疾患の1またはそれ以上の指標の進行
を遅延させまたは遅らせることが含まれる。指標の重症度は、当業者に公知の主観的または客観的測定により決定することができる。
【0114】
“~の発症を抑制する”は、疾患または症状の発生するリスクを有する被験体において、症状または疾患の発生を抑制することを意味する。特定の態様において、疾患または症状を発生するリスクを有する被験体に、疾患または症状をすでに有する被験体に与えられる治療と同様の治療を与える。
【0115】
“~の発症を遅延させる”は、疾患または症状を発生するリスクを有する被験体において、症状または疾患の発生を遅延させることを意味する。
【0116】
“~の進行を遅らせる”は、疾患または症状少なくとも1つの症候の重症度が悪化する
のをよりゆっくりとすることを意味する。
【0117】
“エクソン7のアミノ酸”は、 SMN RNAのエクソン7に対応するSMNタンパク質の部分を
意味する。エクソン7のアミノ酸は、エクソン7がスプライシングのあいだに除去されていないSMN RNAから発現されたSMNタンパク質中に存在する。
【0118】
“SMNタンパク質”は、通常の全長 サバイバル運動ニューロンタンパク質を意味する。SMNは、エクソン7が成熟mRNA中に存在し、そしてエクソン7のアミノ酸がSMNタンパク質中に存在する限り、SMN1遺伝子から発現されるか、またはSMN2遺伝子から発現されるかのいずれであってもよい。
【0119】
“用量”は、単回投与でまたは規定の時間をかけて提供される医薬的薬剤の規定量を意味する。特定の態様において、用量は、2種またはそれ以上のボーラス、錠剤、または注
射において投与することができる。例えば、皮下投与またはくも膜下腔投与またはICV 投与が好ましい特定の態様において、所望の用量は、単回注射により容易に提供することができない用量を必要とする。そのような態様において、2種またはそれ以上の注射を使用
して、所望の用量を達成することができる。連続的点滴の設定において、用量は、単位時間当たりに送達される医薬的薬剤の量として表現することができる。
【0120】
“投与単位”は、医薬的薬剤が提供される形態を意味する。特定の態様において、投与単位 は、凍結乾燥オリゴヌクレオチドを含有するバイアルである。特定の態様において
、投与単位は、再構成オリゴヌクレオチドを含有するバイアルである。
【0121】
“治療的有効量”は、治療的利益を動物に対してもたらす医薬的薬剤の量を意味する。
【0122】
“医薬組成物”は、個体に対して投与するために適した物質の、医薬的薬剤を含む混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、修飾オリゴヌクレオチドおよび滅菌水溶液を含んでいてもよい。
【0123】
“許容可能な安全性プロファイル”は、臨床的に許容可能な限界内の副作用のパターンを意味する。
【0124】
“副作用”は、治療に寄与することができる、所望の作用以外の生理学的反応を意味する。
【0125】
1. 特定の修飾オリゴヌクレオチド
特定の態様において、本発明は、天然に生じるオリゴマー、例えばDNAまたはRNA、のオリゴヌクレオチドと比較して、1またはそれ以上の修飾を含むアンチセンスオリゴヌクレオ
チドに関連する方法および組成物を提供する。そのような修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の所望の特性を有することができる。特定のそのような修飾
は、例えば、その標的核酸へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの親和性を上昇させることにより、1またはそれ以上のヌクレアーゼに対するその耐性を上昇させることにより、
および/またはオリゴヌクレオチドの薬物動態性または組織分布を変化させることにより、アンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を変化させる。特定の態様において、そのような修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の修飾ヌクレ
オシドおよび/または1またはそれ以上の修飾ヌクレオシド結合および/または1またはそれ以上の複合体基を含む。
【0126】
a. 特定の修飾ヌクレオシド
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の修飾ヌク
レオシドを含む。そのような修飾ヌクレオシドには、修飾糖および/または修飾核酸塩基が含まれていもよい。特定の態様において、オリゴヌクレオチド中へのそのような修飾ヌクレオシドの取り込みは、結果として標的核酸に対する親和性の増加および/またはヌクレアーゼ分解への耐性の増加、および/または修飾オリゴヌクレオチドの毒性の改善および/または取り込み特性の改善を含む(しかしこれらには限定されない)安定性の増加を生じる。
【0127】
i. 特定の核酸塩基
天然に生じるヌクレオシドの塩基部分は、ヘテロ環式塩基であり、典型的にはプリンおよびピリミジンである。プリン核酸塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、そしてピリミジン核酸塩基であるチミに(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)、などの
“非修飾”または“天然”核酸塩基に加えて、当業者に知られている多数の修飾核酸塩基または核酸塩基模倣体は、本明細書中で好ましい化合物中への取り込みのために かなう
ものである。特定の態様において、修飾核酸塩基は、例えば7-デアザプリン、5-メチルシトシン、またはG-クランプなどの親核酸塩基と構造的にかなり類似している核酸塩基である。特定の態様において、核酸塩基 模倣体 には、例えば、三環系フェノキサジン核酸塩基 模倣体などの、より複雑な構造物が含まれる。上述した修飾核酸塩基の調製方法もま
た、当業者に知られている。
【0128】
ii. 特定の修飾糖および糖代替物
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、場合により、1またはそれ以上の ヌクレオシドを含有していてもよく、ここで糖成分は、天然の糖と比較して修飾されている。そのような糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ安定性を亢進させ、結合親和性を増加させ、またはいくつかのその他の有益な生物学的特性を増加させた可能性がある。そのような修飾には、置換基の付加、二環系核酸(BNA)を形成するため
のジェミナル(一つの原子に同種原子が二つ結合したもの)ではない環原子の架橋、S、N(R)、またはC(R1)(R)2(R = H、C1-C12アルキルまたは保護基)によるリボシル環
酸素原子の置換、および例えば、2'-F-5'-メチル置換ヌクレオシドなどのこれらの組み合わせ(PCT国際出願2008/101157を参照、その他の開示された5',2'-bis置換ヌクレオシド
については2008年8月21日に公開)、またはさらに2'-位の置換基によるSを有するリボシ
ル環酸素原子の置換(公開U.S.特許出願US2005-0130923、2005年6月16日に公開、を参照
)、またはBNAの選択的な5'-置換(PCT国際出願WO 2007/134181を参照、2007年11月22日
に公開、LNAが、例えば5'-メチルまたは5'-ビニル基により置換されている)が含まれる
が、これらには限定されない。
【0129】
修飾糖成分を有するヌクレオシドの例には、5'-ビニル、5'-メチル(RまたはS)、4'-S、2'-F、2'-OCH3および2'-O(CH2)2OCH3 置換基を含むヌクレオシドが含まれるが、これらには限定されない。2'位での置換基は、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O-C1-C10アルキル、OCF3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2-O-N(Rm)(Rn)、およびO-CH2-C(=O)-N(Rm)(Rn)、から選択することもでき、ここでそれぞれのRmおよびRnは、独立し
て、Hまたは置換または非置換のC1-C10アルキルである。
【0130】
二環式核酸(BNA)の例には、限定するものではないが、4'と2'のリボシル環原子間の
ブリッジを含むヌクレオシド が含まれる。特定の態様において、本明細書中で提供され
るアンチセンス化合物には、1またはそれ以上のBNAヌクレオシドが含まれ、ここでブリッジは、以下の式:4'-β-D-(CH2)-O-2'(β-D-LNA);4'-(CH2)-S-2';4'-α-L-(CH2)-O-2'(α-L-LNA);4'-(CH2)2-O-2'(ENA);4'-C(CH3)2-O-2'(PCT/US2008/068922を参照);4'-CH(CH3)-O-2'および4'-C-H(CH2OCH3)--O-2'(2008年7月15日に発行
されたU.S.特許7,399,845を参照);4'-CH2-N(OCH3)-2'(PCT/US2008/ 064591を参照);4'-CH2-O-N(CH3)-2'(2004 年9月2日に発行された公開U.S.特許出願US2004-0171570
を参照);4'-CH2-N(R)-O-2'(2008年9月23日に発行されたU.S.特許7,427,672);4'-CH2-C(CH3)-2'および4'-CH2-C-(=CH2)-2'(PCT/US2008/ 066154を参照)のうちの一つを含み;そしてRは、独立して、H、C1-C12アルキル、または保護基である。
【0131】
特定の態様において、本発明は、二環式糖成分ではない修飾糖成分を含む修飾ヌクレオシドを含む。特定のそのような修飾ヌクレオシドが知られている。特定の態様において、ヌクレオシドの糖環は、どの一で修飾されていてもよい。本発明において有用な糖修飾の例には、以下のもの:OH、F、O-アルキル、S-アルキル、N-アルキル、またはO-アルキル-O-アルキル、から選択される糖置換基を含む化合物が含まれ、ここでアルキル、アルケニルおよびアルキニルは置換されていても置換されていなくてもよいC1~C10アルキルまた
はC2~C10アルケニルおよびアルキニルであるが、しかしこれらに限定されるわけではな
い。そのような特定の態様において、そのような置換基は、糖の2'位でのものである。
【0132】
特定の態様において、修飾ヌクレオシド は、糖の2'位に置換基を含む。特定の態様に
おいて、そのような置換基は、以下のもの:ハロゲン化物(Fを含むが、これに限定され
ない)、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O-C1-C10アルキル、-OCF3、O-(CH2)2-O-CH3、2'-O(CH2)2SCH3、O-(CH2)2-O-N(Rm)(Rn)、またはO-CH2-C(=O)-N(Rm)(Rn)、から選択され、ここでRmおよびRnのそれぞれは、独立して、Hまたは置換さ
れているかまたは置換されていないC1-C10アルキルである。
【0133】
特定の態様において、本発明において使用するために適切な修飾ヌクレオシドは:2-メトキシエトキシ、2'-O-メチル(2'-O- CH3)、2'-フルオロ(2'-F)である。
【0134】
特定の態様において、修飾ヌクレオシドは、2'-位に以下のもの:O[(CH2)nO]mCH3
、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、OCH2C(=O)N(H)CH3、およびO(CH2
)nON[(CH2)nCH3]2、から選択される置換基を有し、ここでnおよびmは1~約10である。その他の2'-糖置換基には、以下のもの:C1~C10アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロ
アルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、リポーター基、インターカレーター、薬物動態特性を改善するた
めの基、またはオリゴマー化合物の薬力学特性を改善するための基、およびその他の同様の特性を有する置換基、が含まれる。
【0135】
特定の態様において、修飾ヌクレオシドは、2'-MOE側鎖を含む(Baker et al., J. Biol. Chem., 1997, 272, 11944-12000)。そのような2'-MOE置換は、非修飾ヌクレオシドおよびその他の修飾ヌクレオシド、例えば2'- O-メチル、O-プロピル、およびO-アミノプロピル、と比較して、結合親和性を改善させたものとして記載される。2'-MOE 置換基を有
するオリゴヌクレオチドはまた、in vivo用途に関して有望な未来を有する遺伝子発現の
アンチセンス阻害剤であることが示された(Martin, P., Helv. Chim. Acta, 1995,78, 486-504;Altmann et al., Chimia, 1996, 50, 168-176;Altmann et al., Biochem. Soc.
Trans., 1996, 24, 630-637;およびAltmann et al., Nucleosides or Nucleotides, 1997, 16, 917-926)。
【0136】
特定の態様において、2'-糖置換基は、アラビノ(up)位またはリボ(down)位のいず
れかである。そのような特定の態様において、2'-アラビノ修飾は、2'-Fアラビノ(FANA
)である。糖のその他の位置、特に3'末端ヌクレオシドの糖の3'位、または2'-5'結合オ
リゴヌクレオチドおよび5'末端ヌクレオチドの5'位に、同様の修飾を行うこともできる。
【0137】
特定の態様において、本発明において使用するために適したヌクレオシドは、リボフラノシル糖の代わりに、シクロブチルなどの糖代替物を有する。このような修飾糖構造の調製を教示する代表的なU.S.特許には、U.S.:4,981,957;5,118,800;5,319,080;5,359,044;5,393,878;5,446,137;5,466,786;5,514,785;5,519,134;5,567,811;5,576,427
;5,591,722;5,597,909;5,610,300;5,627,053;5,639,873;5,646,265;5,658,873;5,670,633;5,792,747;および5,700,920が含まれ、これらのそれぞれを、本明細書中で全体を参照により援用するが、しかしこれらに限定されるわけではない。
【0138】
特定の態様において、本発明は、糖の2'-位に修飾を含むヌクレオシドを提供する。特
定の態様において、本発明は、糖の5'-位に修飾を含むヌクレオシドを提供する。特定の
態様において、本発明は、糖の2'-位および5'-位に修飾を含むヌクレオシドを提供する。特定の態様において、修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド中への取り込みに有用である可能性がある。特定の態様において、修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの5'-末端にオリゴヌクレオシドを取り込む。
【0139】
b. 特定のヌクレオシド間結合
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、場合により、1またはそれ以上の修飾ヌ
クレオシド間結合を含有してもよい。結合基のこれらの2つの主要なクラスは、リン原子
の有無により規定される。代表的なリン含有結合には、ホスホジエステル(P=O)、ホス
ホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホールアミデート、およびホスホロチオエート(P=S)が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。代表的な非-リン含有結合基には、メチレンメチルアミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル(-O-C(O)-S-)、チオノカルバメート(-O-C(O)(NH)-S-);シロキサン(-O-Si(H)2-O-);およびN,N'-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。非-リン結合基を有するオリゴヌクレオチドは、オリゴ
ヌクレオシドと呼ばれる。天然のホスホジエステル結合と比較して、修飾結合を使用して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を変化させる、典型的には増加させることができる。特定の態様において、キラル原子を有する結合を、ラセミ混合物として、別個のエナントマーとして、調製することができる。代表的なキラル結合には、アルキルホスホネートおよびホスホロチオエートが含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。リン-含有結合および非-リン-含有結合の調製方法は、当業者に周知である。
【0140】
本明細書中で記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の非対
称性中心を含有し、その結果、糖アノマーなどの(R)または(S)、またはアミノ酸などの(D)または(L)として、絶対的な立体化学の意味で規定することができる、エナンチオマー、ジアステレオマー、およびその他のステレオアイソマー構造を生じる。本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、すべてのそのような可能性のある異性体、並びにそれらのラセミ体および場合によりその純粋型が含まれる。
【0141】
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌク
レオシド間結合を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも2個の修飾ヌクレオシド間結合を有する。特定の態様において、アンチセンスオ
リゴヌクレオチドは、少なくとも3個の修飾ヌクレオシド間結合を有する。特定の態様に
おいて、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも10個の修飾ヌクレオシド間結合を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれのヌクレオシド間結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。特定の態様において、そのような修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0142】
c. 長さ
特定の態様において、本発明は、様々な範囲の長さのいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。特定の態様において、本発明は、X-Y結合ヌクレオシドを含むか
またはX-Y結合ヌクレオシドからなるアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌク
レオチドを提供し、ここで、XおよびYはそれぞれ独立して8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50から選択され;ただしX<Yである。例えば、特定の態様において、本発明は: 8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~21、8~22、8~23
、8~24、8~25、8~26、8~27、8~28、8~29、8~30、9~10、9~11、9~12、9~13、9~14、9~15、9~16、9~17、9~18、9~19、9~20、9~21、9~22、9~23、9~24、9~25、9~26、9~27、9~28、9~29、9~30、10~11、10~12、10~13、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~21、10~22、10~23、10~24、10~25、10~26、10~27、10~28、10~29、10~30、11~12、11~13、11~14、11~15、11~16、11~17、11~18、11~19、11~20、11~21、11~22、11~23、11~24、11~25、11~26、11~27、11~28、11~29、11~30、12~13、12~14、12~15、12~16、12~17、12~18、12
~19、12~20、12~21、12~22、12~23、12~24、12~25、12~26、12~27、12~28、12~29、12~30、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~21、13~22、13~23、13~24、13~25、13~26、13~27、13~28、13~29、13~30、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~21、14~22、14~23、14~24、14~25、14~26、14~27、14~28、14~29、14~30、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、16~17、16~18、16~19、16~20、16~21、16~22、16~23、16~24、16~25、16~26、16~27、16~28、16~29、16~30、17~18、17~19、17~20、17~21、17~22、17~23、17~24、17~25、17~26、17~27、17~28、17~29、17~30、18~19、18~20、18~21、18~22、18~23、18~24、18~25、18~26、18~27、18~28、18~29、18~30、19~20、19~21、19~22、19~23、19~24、19~25、19~26、19~29、19~28、19~29、19~30、20~21、20~22、20~23、20~24、20~25、20~26、20~27、20~28、20~29、20~30、21~22、21~23、21~24、21~25、21~26、21~27、21~28、21~29、21~30、22~23、22~24、22~25、22~26、22~27、22~28、22~29、22~30、23~24、23~25、23~26、23~27、23~28、23~29、23~30、24~25、24~26、24~27、24~28、24~29、24~30、25~26、25~27、25~28、25~29、25~30、26~27、26~28、26~29、26~30、27~28、27~29、27~30、28~29、28~30、または29~30の結合したヌクレオシドを含むかまたはそのようなヌクレオシドからなるアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0143】
特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが15ヌクレオシドである。特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが16ヌクレオシドである。特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが17ヌクレオシドである。特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが18ヌクレオシドである。特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが19ヌクレオシドである。特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが20ヌクレオシドである。
【0144】
d. 特定のオリゴヌクレオチドモチーフ
特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その長さ方向に沿って特異的方向に配置される化学的に修飾されたサブユニットを有する。特定の態様において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、完全に修飾される。特定の態様において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、均質に修飾される。特定の態様において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、均質に修飾され、そしてそれぞれのヌクレオシドは2'-MOE 糖成分を含む。特定の態様において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、均質に修飾され、そしてそれぞれのヌクレオシドは2'-OMe 糖成分を含む。特
定の態様において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、均質に修飾され、そしてそれぞれのヌクレオシドはモルホリノ糖成分を含む。
【0145】
特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、交互のモチーフを含む。そのような特定の態様において、交互の修飾型は、2'-MOE、2'-F、二環式糖-修飾ヌクレオシド
、およびDNA(非修飾2'-デオキシ)から選択される。そのような特定の態様において、それぞれの交互の領域は、単一のヌクレオシドを含む。
【0146】
特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、第1のタイプのヌクレオシドの1またはそれ以上のブロックおよび第2のタイプのヌクレオシドの1またはそれ以上のブロックを含む。
【0147】
特定の態様において、交互のモチーフにおける1またはそれ以上の交互の領域には、あ
るタイプの単一のヌクレオシド以上が含まれる。例えば、本発明のオリゴマー化合物には、以下のヌクレオシドモチーフのいずれかの1またはそれ以上の領域が含まれていてもよ
い:
Nu1 Nu1 Nu2 Nu2 Nu1 Nu1;
Nu1 Nu2 Nu2 Nu1 Nu2 Nu2;
Nu1Nu1 Nu2 Nu1 Nu1 Nu2;
Nu1 Nu2 Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu1 Nu2 Nu2;
Nu1 Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu1;
Nu1Nu1 Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu2;
Nu1 Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu1;
Nu1 Nu2 Nu2 Nu1 Nu1 Nu2 Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu1;
Nu2Nu1 Nu2 Nu2 Nu1 Nu1 Nu2Nu2 Nu1 Nu2 Nu1Nu2 Nu1Nu1;または
Nu1 Nu2Nu1 Nu2Nu2 Nu1 Nu1 Nu2 Nu2 Nu1Nu2 Nu1 Nu2 Nu1 Nu1;
ここで、Nu1は、第1のタイプのヌクレオシドであり、そしてNu2は、第2のタイプのヌクレオシドである。特定の態様において、Nu1およびNu2の一方は、2'-MOEヌクレオシドであり、Nu1およひNu2の他方は:2'-OMe修飾ヌクレオシド、BNA、および非修飾DNAまたはRNA
ヌクレオシドから選択される。
【0148】
2. オリゴマー化合物
特定の態様において、本発明は、オリゴマー化合物を提供する。特定の態様において、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドのみからなる。特定の態様において、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドおよび1またはそれ以上の複合体および/または末端基
を含む。そのような複合体および/または末端基を、上述の化学モチーフのいずれかを有するオリゴヌクレオチドに対して添加することができる。このように、例えば、交互のヌクレオシドの領域を有するオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物は、末端基を含んでもよい。
【0149】
a. 特定の複合体グループ
特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の複合体基の
結合により修飾される。一般的には、複合体基は、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸着、細胞分布、細胞取り込み、荷電、およびクリアランスを含む(しかし、これらには限定されない)、結合するオリゴマー化合物の1またはそれ以上の特性を修飾する。複合体
基は、一般的には、化学分野において使用され、そして直接的または選択的な複合体結合成分または複合体結合基を介して、オリゴヌクレオチドなどのオリゴマー化合物などの親化合物に対して結合する。複合体基には、インターカレーター、リポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸成分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が含まれるが、これらには限定されない。特定の複合体基は、以前に記載されたものであり、例えば:コレステロール成分(Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,
Bioorg. Med. Chem. Let., 1994, 4, 1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660, 306-309;Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10, 1111-1118;Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259, 327-330;Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75, 49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート
(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654;Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14, 969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654)、パルミチル成分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229-237)、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール成分(Crooke et al.,
J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923-937)である。
【0150】
特定の態様において、複合体基は、活性薬物物質、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブタン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、葉酸、ベンゾチアジアゾール、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤または抗生剤を含む。オリゴヌクレオチド-薬物複合体およびそれらの調製物は、U.S.
特許出願09/334,130に記載される。
【0151】
オリゴヌクレオチド複合体の調製を記載する代表的な U.S.特許には、U.S.:4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717;5,580,731;5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830
;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241;5,391,723;5,416,203;5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928;および5,688,941が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。
【0152】
複合体基は、オリゴヌクレオチドの末端(末端複合体基)および/またはいずれかの内側部分のいずれかまたは両方に結合することができる。
【0153】
b. 末端基
特定の態様において、オリゴマー化合物は、一方または両方の末端に末端基を含む。特定の態様において、末端基は、以下に記載する複合体基のいずれかを含んでもよい。特定の態様において、末端基は、追加のヌクレオシドおよび/または逆向き脱塩基ヌクレオシドを含んでもよい。特定の態様において、末端基は、安定化基である。
【0154】
特定の態様において、オリゴマー化合物は、例えば、ヌクレアーゼ耐性などの特性を亢進する、1またはそれ以上の末端安定化基を含む。安定化基には、キャップ構造が含まれ
る。用語“キャップ構造”または“末端キャップ成分”は、本明細書中で使用する場合、オリゴマー化合物の末端の一方または両方に結合する化学修飾のことをいう。特定のそのような末端修飾は、末端核酸成分を有するオリゴマー化合物を、エキソヌクレアーゼ分解から保護し、および細胞内への送達および/または局在を補助することができる。キャップは、5'-末端に存在するか(5'-キャップ)または3'-末端に存在するか(3'-キャップ)ものであってもよく、または両方の末端に存在してもよい。(さらなる詳細については、Wincott et al., 国際PCT公開No. WO 97/26270;Beaucage and Tyer, 1993, Tetrahedron
49, 1925;U.S.特許出願公開No. US 2005/0020525;およびWO 03/004602を参照)。
【0155】
特定の態様において、1またはそれ以上の追加のヌクレオシドは、オリゴマー化合物の
オリゴヌクレオチドの一方または両方の末端に追加し、そのような追加の末端ヌクレオシドは、本明細書中で末端基ヌクレオシドと呼ばれる。二本鎖化合物中において、そのよう
な末端基 ヌクレオシド は、末端(3'および/または5')オーバーハングである。二本鎖アンチセンス化合物の設定において、そのような末端基ヌクレオシドは、標的核酸に対して相補的なものであっての、そうではなくてもよい。特定の態様において、末端基は、非-ヌクレオシド末端基である。そのような非-末端基は、ヌクレオシド以外のいずれの末端基であってもよい。
【0156】
c. オリゴマー化合物 モチーフ
特定の態様において、本発明のオリゴマー化合物は、モチーフ:
T1-(Nu1)n1-(Nu2)n2-(Nu1)n3-(Nu2)n4-(Nu1)n5-T2、
を含み、ここで:
Nu1 は、第1のタイプのヌクレオシドであり;
Nu2は、第1のタイプのヌクレオシドであり;
n1およびn5のそれぞれは、独立して0~3であり;
n2+n4の合計は、10~25の範囲であり;
n3は、0~5であり;そして
T1およびT2のそれぞれは、独立して、H、ヒドロキシル保護基、選択的な結合複合体基
またはキャップ基である。
【0157】
そのような特定の態様において、n2+n4の合計は、13または14であり;n1は2であり;n3は2または3であり;およびn5は2である。そのような特定の態様において、本発明のオリゴマー化合物は、表Aから選択されるモチーフを含む。
【0158】
【0159】
表Aは、 本発明を説明することを目的とするが、本発明を限定するものではない。表Aにおいて示されるオリゴマー化合物は、それぞれ20個のヌクレオシドを含む。より多くまたはより少ないヌクレオシドを含むオリゴマー化合物は、n1~n5の1またはそれ以上のに
ついての異なる数のヌクレオシドを選択する事により容易に調製することができる。特定の態様において、Nu1およびNu2は、それぞれ:2'-MOE、2'-OMe、DNA、および二環式ヌク
レオシドから選択される。
【0160】
3. アンチセンス
特定の態様において、本発明のオリゴマー化合物は、アンチセンス化合物である。したがって、そのような態様において、オリゴマー化合物は、標的核酸とハイブリダイズし、結果としてアンチセンス活性を生じる。
【0161】
a. ハイブリダイゼーション
特定の態様において、本発明は、特異的な結合が所望される条件下、すなわち、in vivoアッセイまたは治療的処置の場合の生理学的条件下、およびアッセイがin vitroアッセ
イの場合に行われる条件下、アンチセンス化合物の非-標的核酸配列への非-特異的結合を回避するために十分な程度の相補性が存在する場合に、標的核酸へ特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物を提供する。
【0162】
このように、“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”または“ストリンジェントな条件”は、アンチセンス化合物が標的配列にハイブリダイズするが、最小数のその他の配列にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列-依
存的であり、そして異なる条件下で異なるものであり、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドが標的配列に対してハイブリダイズする“ストリンジェントな条件”は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの性質および組成物およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを研究するアッセイにより、決定される。
【0163】
ヌクレオチドの取り込み、親和性、修飾は、非修飾 化合物と比較してより多くのミス
マッチを同様に許容し、特定の核酸塩基 配列は、ミスマッチに対して、その他の核酸塩
基 配列よりもより耐容性である可能性があることが、当該技術分野において理解される
。当業者は、オリゴヌクレオチド間で、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間で、例えば溶融温度(Tm)を決定することにより、適切な数のミスマッチを決定することができる。TmまたはΔTmは、当業者によく知られている技術により、算出することができる。 例えば、Freier et al.(Nucleic Acids Research, 1997, 25, 22: 4429-4443)において記載された技術により、当業者は、RNA:DNA二重鎖の溶融温度 を増加させ
るヌクレオチド修飾の能力について、ヌクレオチド修飾を評価することができる。
【0164】
b. pre-mRNAプロセッシング
特定の態様において、本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、pre-mRNAに対して相補的なものである。特定の態様において、そのようなアンチセンス化合物は、pre-mRNA のスプライシングを変更される。そのような特定の態様において、標的pre-mRNAに対
応する成熟mRNA の一つの変異体の成熟mRNAの別の変異体に対する比率を、変える。その
ような特定の態様において、標的pre-mRNAから発現されるタンパク質の一つの変異体の、タンパク質のその他の変異体に対する比率を変える。pre-mRNAのスプライシングを変化させるために使用することができる特定のオリゴマー化合物 および核酸塩基 配列は、例えば、以下の文献(US 6,210,892;US 5,627,274;US 5,665,593;5,916,808;US 5,976,879;US2006/0172962;US2007/002390;US2005/0074801;US2007/0105807;US2005/0054836;WO 2007/090073;WO2007/047913;Hua et al., PLoS Biol 5(4):e73;Vickers et al.,
J. Immunol. 2006 Mar 15, 176(6):3652-61;およびHua et al., American J. of Human
Genetics (April 2008) 82, 1-15)において見出すことができ、そのそれぞれをあらゆ
る目的でその全体を参照として援用する。特定の態様において、スプライシングを変えるアンチセンス配列を、本発明のモチーフに従って修飾した。
【0165】
アンチセンスは、1またはそれ以上の特異的な遺伝子産物の発現を修飾するための有効
な手段であり、そして多数の治療用途、診断用途、および研究用途において特有に有用である。標的専有に基づいてアンチセンスメカニズムを含むアンチセンスの作用メカニズムを介して、遺伝子発現を修飾するために有用なアンチセンス化合物が、本明細書中で提供される。一側面において、本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、標的遺伝子のスプライシングを修飾する。そのようなモジュレーションには、エクソン含有物を促進しまたは阻害することが含まれる。エクソンスプライシングエンハンサー、エクソンスプライシングサイレンサー、イントロンスプライシングエンハンサーおよびイントロンスプライシングサイレンサーを含む、pre-mRNA分子中に存在するcisスプライシング制御要素を
標的とするアンチセンス化合物が、本明細書中でさらに提供される。cisスプライシング
制御要素の破壊は、スプライシング部位選択を変化させると考えられており、それによりスプライス産物の組成の変化を生じうる。
【0166】
真核細胞pre-mRNAのプロセッシングは、適切なmRNAスプライシングを達成するために多数のシグナルおよびタンパク質因子を必要とする複雑なプロセスである。スプライセオソ
ーム によるエクソン定義には、イントロン-エクソン境界を規定する基準のスプライシングシグナルよりも多くの物が必要である。1つのそのような追加のシグナルは、cis-作用
性制御エンハンサーおよびサイレンサー 配列により提供される。スプライシングドナー
部位またはスプライシングアクセプター部位の使用を抑制しまたは亢進する、エクソンスプライシングエンハンサー(ESE)、エクソンスプライシングサイレンサー(ESS)、イントロン性スプライシングエンハンサー(ISE)およびイントロンスプライシングサイレン
サー(ISS)が、作用部位および作用様式に依存して、特定された(Yeo et al. 2004, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(44):15700-15705)。特異的なタンパク質(trans因子)のこれらの制御配列に対する結合は、スプライシングプロセスに対するものであり、または特定のスプライシング部位の使用を促進または抑制のいずれかであり、そしてスプライシング産物の比率を修飾する(Scamborova et al. 2004, Mol. Cell. Biol. 24(5):1855-1869;Hovhannisyan and Carstens, 2005, Mol. Cell. Biol. 25(1):250-263;Minovitsky et al. 2005, Nucleic Acids Res. 33(2):714-724)。
【0167】
4. 医薬組成物
特定の態様において、本発明は、1またはそれ以上の アンチセンス化合物を含む医薬組成物を提供する。特定の態様において、そのような医薬組成物は、滅菌生理食塩水溶液および1またはそれ以上の アンチセンス化合物を含む。特定の態様において、そのような医薬組成物は、滅菌生理食塩水溶液および1またはそれ以上の アンチセンス化合物からなる。
【0168】
特定の態様において、アンチセンス化合物は、医薬組成物または製剤の調製のために、医薬的に許容可能な活性物質および/または不活性物質と混合してもよい。医薬組成物の製剤化のための組成物および方法は、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含む(しかしこれらには限定されない)などを含む多数の基準に依存する。
【0169】
特定の態様において、アンチセンス化合物は、そのようなオリゴマー化合物 を、適切
な医薬的に許容可能な希釈剤またはキャリアと組み合わせることにより、医薬組成物において使用することができる。医薬的に許容可能な 希釈剤には、リン酸-緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。PBSは、非経口的に送達する組成物において使用するために適した希釈剤である。したがって、特定の態様において、本明細書中で記載された方法において、アンチセンス化合物および医薬的に許容可能な希釈剤を含む医薬組成物が使用される。特定の態様において、医薬的に許容可能な希釈剤は、PBSである。
【0170】
アンチセンス化合物を含む医薬組成物は、医薬的に許容可能な塩、エステル、またはそのようなエステルの塩のいずれも含む。特定の態様において、アンチセンス化合物を含む医薬組成物は、ヒトを含む動物に対して投与する際、(直接的にまたは間接的に)生物学的に活性な代謝物またはその残留物を提供することができる、1またはそれ以上の オリゴヌクレオチドを含む。したがって、例えば、開示は、アンチセンス化合物の医薬的に許容可能な塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの医薬的に許容可能な塩、およびその他の生物学的同等物質にも関する。適切な医薬的に許容可能な塩には、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。
【0171】
プロドラッグには、体内において内在性のヌクレアーゼにより切断され、活性アンチセンスオリゴマー化合物を形成する、オリゴマー化合物 の一方の末端または両方の末端に
追加のヌクレオシド を取り込んだものが含まれてもよい。
【0172】
脂質-ベースのベクターは、様々な方法において核酸治療において使用された。例えば
、一方法において、核酸は、予め形成されたリポソームまたはカチオン性脂質と中性脂質の混合物からなるリポプレックス中に取り込まれる。別の方法において、モノ-カチオン
性脂質またはポリ-カチオン性脂質を含むDNA複合体を、中性脂質の存在なしに形成する。
【0173】
特定の調製物が、Akinc et al., Nature Biotechnology 26, 561 - 569 (01 May 2008
)中に記載されており、その全体を参照により本明細書中で援用される。
【0174】
5. 被験体への投与
特定の態様において、1またはそれ以上の アンチセンス化合物を含む医薬組成物が、被験体に対して投与される。特定の態様において、そのような医薬組成物は、注射により投与される。特定の態様において、そのような医薬組成物は、点滴により投与される。
【0175】
特定の態様において、医薬組成物は、注射または点滴によりCSF中に投与される。その
ような特定の態様において、医薬組成物は、脊髄中への直接注射または点滴により投与される。特定の態様において、医薬組成物は、脳内への注射または点滴により投与される。特定の態様において、医薬組成物は、脊髄 組織それ自体に対してではなく、くも膜下注
入または点滴により投与される。理論により限定されるわけではないが、特定の態様において、アンチセンス化合物は、周囲CSF中に放出され、そして中に脊髄実質に浸透させる
ことができる。くも膜下腔送達の追加的な利点は、くも膜下腔経路が、ヒトにおいて既に一般的に使用されている腰椎穿刺投与(すなわち、脊椎穿刺)に類似すると言う点である。
【0176】
特定の態様において、医薬組成物は、脳室内(ICV)注射または点滴により投与される
。1またはそれ以上のアンチセンス化合物を含む医薬組成物の脳室内投与、または脳室内
送達は、1またはそれ以上の脳室のいずれかにおいて行うことができ、それらは脳脊髄液
(CSF)で充填される。CSFは、脳室を充填する透明な液体であり、くも膜下腔に存在し、そして脳および脊髄を囲む。CSFは、脈絡叢により作成され、そして脳室中への脳による
組織液の流れまたは輸送を介して作成される。脈絡叢は、側脳室の底部および第3および
第4脳室の天井部を裏打ちする構造である。特定の研究は、これらの構造が、1日あたり400~600 ccsの液体を生成することができ、これは1日4回中枢神経腔を充填するための量と一致している。成人において、この液体の体積は、125~150 ml(4~5 oz)と算出されている。CSFは、継続的に生成され、循環しおよび吸収されている。特定の研究により、お
よそ430~450 ml(ほぼ2カップ)のCSFを毎日生成することができることが示された。特
定の算出から、生成は、成人においては毎分およそ0.35 ml、そしてヒト幼児においては
毎分0.15 mlに想到すると推定される。側脳室の脈絡叢は、CSFの大半を生成する。CSFは
、モンロー孔を通じて第3脳室中へと流れ、そこで第3脳室からの生成物を追加され、そしてシルビウス水道を通じて第4脳室へと下降し続ける。第4脳室は、より多くのCSFを追加
する;ついで、液体は、マジャンディ孔およびルシュカ孔を介して、くも膜下腔中へと移動する。その後、液体は、脳の基底全体に循環し、脊髄周辺へと下降し、そして大脳両半球の上方に向かう。CSFは、くも膜絨毛および頭蓋内血管静脈洞を介して血液中に入る。
【0177】
特定の態様において、そのような医薬組成物は、全身的に投与される。特定の態様において、医薬組成物は、皮下的に投与される。特定の態様において、医薬組成物は、静脈内に投与される。特定の態様において、医薬組成物は、筋肉内注射により投与される。
【0178】
特定の態様において、医薬組成物は、CSFに対して直接的に(例えば、ITおよび/また
はICV注射および/または点滴)そして全身的に、投与される。
【0179】
特定の態様において、全身的に投与されるアンチセンス化合物は、ニューロンに入る。特定の態様において、全身的に投与されるアンチセンス化合物は、特に血液-脳関門が完
全には形成されていない若年被験体(例えば、子宮内の被験体および/または新生仔被験体)において、血液-脳関門を貫通することができる。特定の態様において、幾らかの量
の全身的に投与されるアンチセンス化合物は、血液-脳関門が完全に形成されている被験
体においてさえ、神経細胞により取り込まれる可能性がある。例えば、アンチセンス化合物は、神経筋ジャンクションまたはその付近で、ニューロンに取り込まれる可能性がある(逆行性取り込み)。特定の態様において、そのような逆行性取り込みの結果、運動ニューロンを含む(しかしこれらには限定されない)ニューロン内部でアンチセンス活性を生じ、そしてニューロン内部のアンチセンス活性により治療効果が提供される。
【0180】
特定の態様において、全身性投与は、ニューロン以外の細胞内および/または組織内において生じるアンチセンス活性により治療効果を提供する。証拠から、ニューロン内部の機能的SMNが正常ニューロン機能のために必要とされることが示唆される一方、その他の
細胞および組織における低下した機能的SMNの影響は、十分に特性決定されていない。特
定の態様において、非-ニューロン細胞におけるアンチセンス活性 は、非-ニューロン細
胞におけるSMN機能の回復を生じ、それが続いて治療効果を生じる。
【0181】
特定の態様において、非-ニューロン細胞における改善されたSMN機能は、ニューロン内部のSMN機能が改善されるかどうかにかかわらず、改善されたニューロン細胞機能を提供
する。例えば、特定の態様において、本発明の医薬組成物の全身性投与は、筋肉細胞中でアンチセンス活性を生じる。筋肉細胞中のそのようなアンチセンス活性は、筋肉細胞に関連する運動-ニューロンまたはニューロン一般に対して、利益を提供することができる。
そのような態様において、回復されたSMN機能を有する筋肉細胞は、ニューロンの生存率
および/または機能を改善する因子を提供することができる。特定の態様において、そのようなアンチセンス活性は、ニューロン内部でアンチセンス化合物から生じるアンチセンス活性からの利点とは無関係のものである。特定の態様において、本発明の医薬組成物の全身性投与は、ニューロンとはすぐには関連しない細胞を含むその他の非-ニューロン細
胞において、アンチセンス活性を生じる。非-ニューロン細胞中におけるそのようなアン
チセンス活性は、ニューロンの機能を改善することができる。例えば、非-ニューロン細
胞(例えば、肝臓細胞)におけるアンチセンス活性は、その細胞中でニューロンの機能を改善する因子を生じることができる。注:用語“アンチセンス活性”には、直接的および間接的な活性が含まれるため、アンチセンス化合物がニューロンには入らないとしても、ニューロン機能への利点は、“アンチセンス活性”である。
【0182】
特定の態様において、医薬組成物の全身性投与は、ニューロン内での直接的または間接的アンチセンス活性とは無関係な治療効果を生じる。典型的には、SMAの設定において、
ニューロン機能が低下し、結果として顕著な症候を生じる。追加の症候が、その他の細胞における低下したSMN活性から生じる可能性がある。特定のそのような症候は、低下した
ニューロン機能に由来する症候の相対的な重症度により、マスキングされる可能性がある。特定の態様において、全身性投与は、非-ニューロン細胞において、回復されたSMN機能または改善されたSMN機能を生じる。そのような特定の態様において、非-ニューロン細胞におけるそのような回復されたSMN機能または改善されたSMN機能は、治療効果を有する。例えば、特定の事例において、SMAを有する被験体は、成長が低下した。そのような成長
の低下は、ニューロン細胞の機能の低下を生じない可能性がある。実際、成長の低下は、下垂体などの別の器官における細胞の機能の低下を引き起こす可能性があり、および/または体細胞全体にわたりSMN欠損を生じる可能性がある。そのような態様において、全身
性投与は、下垂体細胞および/またはその他の細胞におけるSMN活性の改善を生じる可能
性があり、成長の改善を生じる。特定の事例において、CSFに対する投与は、十分なニュ
ーロン機能を回復し、被験体がより長く生きる事を可能にするが、しかしながら、被験体がより長く生きるため、そのような症候が生じる前に被験体が一般的には死亡するために以前は知られていなかった1またはそれ以上の症候が生じる。特定のそのような現出する
症候は、致死的である可能性がある。特定の態様において、現出する症候は、全身性投与により治療される。メカニズムにかかわらず、特定の態様において、ニューロン機能の低
下と関連したより重症な症候により以前はマスキングされていた症候を含む(しかしこれらには限定されない)様々なSMAの症候を、全身性投与により処置することができる。
【0183】
特定の態様において、本発明の医薬組成物の全身性投与は、筋肉細胞におけるSMN活性
の増加を生じる。特定の態様において、筋肉細胞におけるそのようなSMN活性の改善は、
治療効果を提供する。筋肉内のみでのSMN活性の改善は、治療効果をもたらすためには不
十分であることが報告されてきた(例えば、Gravrilina, et al., Hum Mol Genet 2008 17(8):1063-1075)。特定の態様において、本発明は、筋肉内でのSMN機能を改善する方法
を生じ、実際に治療効果を提供する。特定の事例において、治療効果は、(単独でまたは筋肉細胞と組み合わせて)その他の細胞におけるSMN機能の改善に帰すことができる。特
定の態様において、筋肉内のSMN機能の改善単独により、利益を提供することができる。
【0184】
特定の態様において、全身性投与 は、生存の改善を生じる。
【0185】
6. 脊髄性筋萎縮(SMA)
SMAは、脊髄性運動ニューロンの破壊により特徴づけられる遺伝子障害である。SMAは、SMN1遺伝子の両方の機能的コピーのホモ接合体性喪失により生じる。しかしながら、SMN2遺伝子は、SMN1と同一のタンパク質をコードする可能性を有し、そしてしたがって、SMA
患者の遺伝子欠失を克服する。SMN2は、エクソン7の位置+6に、翻訳的にはサイレントな変異(C→T)を含有し、これがSMN2転写物中にエクソン7の不十分な含有物を生じる。し
たがって、SMN2の支配的な形態、これはエクソン7を欠失したものであり、不安定で不活
性である。このように、治療用化合物は、エクソン7を含有するSMN2転写物の割合を増加
させるようにSMN2スプライシングを修飾することができ、そしてSMAの処置のために有用
である。
【0186】
特定の態様において、本発明は、SMN2をコードするpre-mRNAに対して相補的なアンチセンス化合物を提供する。そのような特定の態様において、アンチセンス化合物は、SMN2のスプライシングを変化させる。SMN2のスプライシングを変化させるために有用な特定の配列および領域は、PCT/US06/024469に見出すことができ、これはあらゆる目的のためにそ
の全体を参照により本明細書中に援用する。特定の態様において、本明細書中で記載されるいずれかのモチーフを有するオリゴマー化合物は、SMN2のイントロン7に対して相補的
な核酸塩基配列を有する。特定のそのような核酸塩基 配列 は、限定的ではない以下の表に例示される。
【0187】
【0188】
本発明のアンチセンス化合物を使用して、ヒトなどの被験体におけるSMN2 の発現を修
飾することができる。特定の態様において、被験体 は、脊髄性筋萎縮症を有する。その
ような特定の被験体において、SMN1遺伝子は存在しないか、または十分な量の機能的SMN
タンパク質を生成することができない。特定の態様において、本発明のアンチセンス化合物は、SMN2のスプライシングを効果的に修飾し、SMN2 mRNA中のエクソン7含有物の増加を生じ、そして究極的にはエクソン7に対応するアミノ酸が含まれるSMN2タンパク質を生じ
る。そのような代わりのSMN2タンパク質は、野生型SMNタンパク質と似ている。SMN2 mRNAの発現またはタンパク質発現生成物を効果的に修飾する本発明のアンチセンス化合物は、活性アンチセンス化合物と考えられる。
【0189】
SMN2の発現の修飾は、動物の細胞;動物の組織;または動物の器官を含んでいても含んでいなくてもよい体液中で測定することができる。体液(例えば、唾液、血清、CSF)、
組織(例えば、バイオプシー)、または器官などの解析用のサンプルを得る方法、および解析を可能にするサンプルを調製する方法は、当業者にとって周知である。RNAおよびタ
ンパク質レベルの解析のための方法は、上述したとおりであり、そして当業者にとって周知である。処置の作用は、1またはそれ以上の本発明の 化合物と接触させた動物から当該技術分野において知られている一般的な臨床的な方法により回収した、上述した液体、組織または器官内での、標的遺伝子発現と関連したバイオマーカーを測定することにより評価することができる。
【0190】
体液、器官または組織を有効量の1またはそれ以上の本発明のアンチセンス化合物また
は組成物と接触させる方法もまた、企図される。体液、器官または組織を、1またはそれ
以上の本発明の化合物と接触させることができ、結果として体液、器官または組織の細胞中でのSMN2 発現のモジュレーションを生じる。有効量は、アンチセンス化合物または化
合物または組成物の、標的核酸または当業者に対して一般的な方法によるそれらの生成物に対する修飾作用をモニターすることにより、決定することができる。
【0191】
本発明はまた、本明細書中で上述した方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書中に記載されるアンチセンス化合物を提供する。例えば、本発明は、脊髄性筋萎縮症(SMA)などの、サバイバル運動ニューロンタンパク質(SMN)と関連した疾患または症状を治療する際に使用するための、ヒトSMN2をコードする核酸に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を提供する。さらなる例として、本発明は、中枢神経系(CNS)またはCSF中にアンチセンス化合物を直接的に投与することにより、サバイバル運動ニューロンタンパク質(SMN)に関連する疾患または症状を治療する際に
使用するための、ヒトSMN2をコードする核酸に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を提供する。
【0192】
本発明はまた、本明細書中で記載されるような方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書中で記載されるようなアンチセンス化合物の医薬の製造における使用を提供する。例えば、本発明は、筋萎縮症(SMA)などの、サバイバル運動ニューロンタンパク質
(SMN)と関連する疾患または症状を治療するための医薬の製造における、ヒトSMN2をコ
ードする核酸に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物の使用を提供する。さらなる例として、本発明は、サバイバル運動ニューロンタンパク質(SMN)に関連する疾患または症状を、中枢神経系(CNS)またはCSF中への医薬の直接
的な投与により処置するための医薬の製造における、ヒトSMN2をコードする核酸に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物の使用を提供する。
【0193】
特定の態様において、本明細書中で記載するモチーフのいずれかを有するオリゴマー化合物は、SMN2のエクソン7に対して相補的な核酸塩基配列を有する。
【0194】
特定の態様において、本明細書中で記載するモチーフのいずれかを有するオリゴマー化合物は、SMN2のイントロン6に対して相補的な核酸塩基配列を有する。
【0195】
特定の態様において、アンチセンス化合物は、以下の配列:TCACTTTCATAATGCTGG(SEQ ID NO: 1)の少なくとも10個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも11個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも12個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも13個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも14個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも15個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも16個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の少なくとも17個の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのような配列の核酸塩基からなる核酸塩基配列を有する。特定の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、10~18個の結合したヌクレオシドからなり、そして以下の配列:TCACTTTCATAATGCTGG(SEQ ID NO: 1)の同じ長さの部分と100%同一である核酸塩基配列
を有する。
【0196】
7. 特定の被験体
特定の態様において、被験体は、1またはそれ以上のSMAの指標を有する。特定の態様において、被験体は、1またはそれ以上の筋肉の電気的活性を低下させた。特定の態様にお
いて、被験体は、変異SMN1遺伝子を有する。特定の態様において、 被験体のSMN1遺伝子
は存在しないか、または機能的SMNタンパク質を生成することができない。特定の態様に
おいて、被験体は、遺伝子試験により診断される。特定の態様において、被験体は、筋肉バイオプシーにより同定される。特定の態様において、被験体は、 まっすぐに座ること
ができない。特定の態様において、被験体は、座るかおよび/または歩くことができない。特定の態様において、被験体は、呼吸および/または食事に補助を必要とする。 特定
の態様において、 被験体は、筋肉および/または筋肉バイオプシーの電気生理学的測定
により同定される。
【0197】
特定の態様において、被験体は、I型SMAを有する。特定の態様において、被験体は、II型SMAを有する。特定の態様において、被験体は、III型SMAを有する。特定の態様におい
て、被験体は、子宮内にSMAを有すると診断される。特定の態様において、被験体は、生
後1週間以内にSMAを有すると診断される。特定の態様において、被験体は、生後1ヶ月以
内にSMAを有すると診断される。特定の態様において、被験体は、3ヶ月齢までにSMAを有
すると診断される。特定の態様において、被験体は、6ヶ月齢までにSMAを有すると診断される。特定の態様において、被験体は、1歳までにSMAを有すると診断される。特定の態様において、被験体は、1~2歳の範囲でSMAを有すると診断される。特定の態様において、
被験体は、1~15歳の範囲でSMAを有すると診断される。特定の態様において、被験体は、被験体が15歳以上の場合に、SMAを有すると診断される。
【0198】
特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量を、子宮内に投与する。
そのような特定の態様において、第1の投与量は、血液脳関門が完全に発生剃る前に投与
される。特定の態様において、第1の投与量は、被験体に対して全身性で子宮内に投与さ
れる。特定の態様において、第1の投与量は、血液脳関門の形成後に子宮内に投与される
。特定の態様において、第1の投与量は、CSFに対して投与される。
【0199】
特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は、被験体が1週齢未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は、被
験体が1ヶ月齢未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物
の第1の投与量は、被験体が3ヶ月齢未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は、被験体が6ヶ月齢未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は、被験体が1歳未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は、被験体が2歳未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は
、被験体が15歳未満の場合に投与される。特定の態様において、本発明による医薬組成物の第1の投与量は、被験体が 15歳以上の場合に投与される。
【0200】
8. 特定の用量
特定の態様において、本発明は、投与量および投与頻度を提供する。特定の態様において、医薬組成物は、ボーラス注入として投与される。そのような特定の態様において、ボーラス注入の用量は、被験体の体重キログラム当たり0.01~25ミリグラムのアンチセンス化合物である。そのような特定の態様において、ボーラス注入の用量は、被験体の体重キログラム当たり0.01~10ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、用量は、被験体の体重キログラム当たり0.05~5ミリグラムのアンチセンス化合物である
。特定の態様において、用量は、被験体の体重キログラム当たり0.1~2ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、用量は、被験体の体重キログラム当たり0.5~1ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、そのような用量が、月に2回投与される。特定の態様において、そのような用量が毎月投与される。特定の態
様において、そのような用量が、2ヶ月ごとに投与される。特定の態様において、そのよ
うな用量が、6ヶ月ごとに投与される。特定の態様において、そのような用量が、CSF中へのボーラス注入により投与される。特定の態様において、そのような用量が、くも膜下腔ボーラス注入により投与される。特定の態様において、そのような用量が、ボーラス全身性注射(例えば、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射)により投与される。特定の態様において、被験体は、CSF中へのボーラス注入およびボーラス全身性注射を受ける。
そのような態様において、CSFボーラスおよび全身性ボーラスの用量は、互いに同一であ
っても異なっていてもよい。特定の態様において、CSFおよび全身性用量は、異なる頻度
で投与される。特定の態様において、本発明は、少なくとも1つのボーラスくも膜下注入
および少なくとも1つのボーラス皮下注入を含む投薬処方を提供する。
【0201】
特定の態様において、医薬組成物は、連続的点滴により投与される。そのような連続的点滴は、医薬組成物をCSFへと送達する点滴ポンプにより達成することができる。特定の
態様において、そのような点滴ポンプは、医薬組成物をITまたはICVで送達する。そのよ
うな特定の態様において、投与される用量は、1日あたり被験体の体重キログラムあたり
、0.05~25ミリグラムのアンチセンス化合物の範囲である。特定の態様において、投与される用量は、1日あたり被験体の体重キログラムあたり、0.1~10ミリグラムのアンチセンス化合物の範囲である。特定の態様において、投与される用量は、一日当たり被験体の体重キログラム当たり0.5~10ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様におい
て、投与される用量は、一日当たり被験体の体重キログラム当たり0.5~5ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、投与される用量は、一日当たり被験体の体重キログラム当たり1~5ミリグラムのアンチセンス化合物である。特定の態様において、本発明は、CNS中への点滴と少なくとも1つのボーラス全身性注射とを含む投薬処方を提供する。特定の態様において、本発明は、CNS中への点滴と少なくとも1つのボーラス皮下注入とを含む投薬処方を提供する。特定の態様において、用量は、ボーラスかまたは点滴かにかかわらず、CNS組織1グラム当たり0.1~100マイクログラムのアンチセンス化合物の濃度を達成しまたは維持するように調製される。特定の態様において、用量は、ボーラスかまたは点滴かにかかわらず、CNS組織1グラム当たり 1~10マイクログラムのアンチセンス化合物の濃度を達成しまたは維持するように調製される。特定の態様において、用量は、ボーラスかまたは点滴かにかかわらず、CNS組織1グラム当たり 0.1~1マイクログラム
のアンチセンス化合物の濃度を達成しまたは維持するように調製される。
【0202】
特定の態様において、被験体への投与は、誘導相と維持相とに分割される。そのような特定の態様において、誘導相のあいだに投与される用量は、維持相のあいだに投与される用量よりも多い。特定の態様において、誘導相のあいだに投与される用量は、維持相のあいだに投与される用量よりも少ない。特定の態様において、誘導相 はボーラス注入によ
り達成され、そして維持相は連続的点滴により達成される。
【0203】
特定の態様において、本発明は、アンチセンス化合物の全身性投与を、単独で、またはCSF中への送達と組み合わせて、提供する。特定の態様において、全身性投与のための用
量は、0.1 mg/kg~200 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与のための用量は、0.1 mg/kg~100 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与 のための用量は、0.5 mg/kg~100 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与のための用量は、1 mg/kg~100 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与のための用量は、1 mg/kg~50 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与 のための用量は、1 mg/kg~25 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与 のための用量は、0.1 mg/kg~25 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与 のための用量は、0.1 mg/kg~10 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与 のための用量は、1 mg/kg~10 mg/kgである。特定の態様において、全身性投与 のための用量は、1 mg/kg~5 mg/kgである。全身性送達およびCSF送達の両方を含む特定の態様において、それら2つの経路についての用量は、無関係に決定される。
【0204】
a. 適切なヒト用量の算出
特定の態様において、被験体はヒトである。特定の態様において、ヒト用量は、本明細書中に記載されるもののような動物実験からのデータから算出されまたは推定される。特定の態様において、ヒト用量は、本明細書中で記載されるののようなサルおよび/またはマウスの実験からからのデータから算出されまたは推定される。特定の態様において、ヒト用量は、本明細書中で記載されるののようなマウスの実験からからのデータから算出されまたは推定される。特定の態様において、適切なヒト用量は、脳重量および/または脳脊髄液(CSF)ターンオーバー速度の知見と併せて、マウスからの薬物動態データを使用
して算出することができる。例えば、マウスの脳重量はおよそ0.4 gであり、これはその
体重のおよそ2%である。ヒトにおいては、平均脳重量は1.5 kgであり、これはその体重
のおよそ2.5%である。特定の態様において、CSF中への投与は、脳組織への取り込みおよびそれに引き続く代謝を通じて、化合物の一部の排除を生じる。マウス脳重量に対するヒト脳重量の比率を縮尺因子として使用することにより、脳組織を通じた除去およびクリアランスの推定を算出することができる。さらに、CSFのターンオーバー速度を使用して、CSFから血液への化合物の除去を推定することができる。マウスCSFのターンオーバー速度
は、1日あたりおよそ10~12倍である(0.04 mLが0.325μl/分で生成される)。ヒトのCSFターンオーバー速度は、1日あたりおよそ4倍である(100~160 mLが350~400μl/分で生
成される)。クリアランス、そしてしたがって投与要求性、は、脳重量除去scalingおよ
び/またはCSFターンオーバーscalingに基づくことができる。外挿されたヒトCSFクリア
ランスを使用して、マウスにおける用量に近似させたヒトでの等用量を推定することができる。このように、脳重量およびCSFターンオーバー速度に基づいて、組織代謝における
差異の原因となるヒト用量を、推定することができる。算出および推定のこのような方法は、当業者に知られている。
【0205】
限定的ではない例により、特定の態様において、特定の化合物の決定されたクリアランスおよび除去に依存して、mg/kgマウス用量に約0.25~約1.25の係数をかけることにより
、所望のマウス用量からヒト等用量を推定することができる。このように、例えば、特定の態様において、20 gのマウスに対する0.01 mgの用量に等しいヒト用量は、70 kgのヒトに関して、約8.75 mg~約43.75 mgの全用量の範囲である。同様に、特定の態様において
、4 gの新生仔マウスに対する0.01 mgの用量と等しいヒト用量は、3 kgの新生児ヒトに対する約1.9 mg~約9.4 mgの全用量の範囲である。これらの例示的な用量は、当業者がどのようにして適切なヒト用量を決定することができるかを単に説明するためのものであり、そして本発明を限定することを目的としていない。
【0206】
特定の態様において、全身性送達のためのヒト用量(単独で投与されるかまたはCSF送
達と組み合わせて投与されるかにかかわらず)は、本明細書中で説明されるもののような動物実験からのデータから算出されまたは推定される。典型的には、全身性用量のために適切なヒト用量(mg/kg)は、動物の有効容量の0.1~10倍である。このように、例えば、2gの新生仔マウスにおける50μgの皮下投与は、25mg/kgの用量である。ヒトに対応する用量は、2.5mg/kg~250mg/kgであると予想される。3キログラムの新生児については、対応
する用量は、7.5 mg~750 mgである。25 kgの子供については、対応する用量は、62.5 mg~6250 mgである。
【0207】
9. 治療処方
特定の態様において、上述の投与量、投与頻度、投与経路、誘導相および維持相、および第1の投与のタイミングを組み合わせて、SMAを有する被験体についての投与処方を提供する。そのような投与処方を選択しそして調整し、1またはそれ以上の SMAの症候の改善
を提供しおよび/または医薬組成物の投与に寄与しうる毒性または副作用を減少しまたは回避する。特定の態様において、被験体は、子宮内のものであるかまたは新生児である。
そのような態様において、医薬組成物の投与、特に連続的点滴による投与、は、特定のチャレンジを提示する。したがって、特定の態様において、本発明は、被験体が子宮内にいるかまたは非常に若いあいだ、ボーラス投与による医薬組成物の投与を提供し、その後、被験体がより年齢が高く、そしてそのようなポンプの設置がより実際的である場合、埋めこまれた点滴ポンプを介した連続的点滴を行う。さらに、特定の態様において、被験体が成長するにつれて、絶対的な用量が増加され、同一のまたは類似の用量:体重比を達成する。以下の表は、治療処方を例示することを意図しているが、当業者が容易に達成しうる可能性のある組み合わせを限定することを意図していない。
【0208】
【0209】
特定の態様において、用量処方は、全身性投与を単独で、またはCSF中への投与と組み合わせて含む(例えば、処方3、上述)。以下の表はさらにそのような処方を例示する。
【0210】
【0211】
これらの治療処方は、例示することを目的としているが、本発明を限定することを目
的としていない。当業者は、本発明の開示を参照し、症状の重症度および全身性の健康および被験体の年齢などの様々な因子に基づいて、用量と送達との適切な組み合わせを選択することができる。
【0212】
10. 共投与
特定の態様において、本発明の医薬組成物を、SMAを治療するためおよび/または1またはそれ以上のSMAと関連する 症候を治療するため、少なくとも1つのその他の医薬組成物
と共投与する。特定の態様において、そのようなその他の医薬組成物は、トリコスタチン-A、バルプロ酸、リルゾール、ヒドロキシウレア、およびブチレートまたはブチレート誘導体から選択される。特定の態様において、本発明の医薬組成物は、トリコスタチン-Aと共投与する。特定の態様において、本発明の医薬組成物は、例えば、Thurmond, et al., J. Med Chem. 2008, 51, 449-469に記載されるように、キナゾリンの誘導体と共投与する。特定の態様において、本発明の医薬組成物および少なくとも1つのその他の医薬組成物
を、同時に共投与する。特定の態様において、本発明の医薬組成物および少なくとも1つ
のその他の医薬組成物を、異なる時点で共投与する。
【0213】
特定の態様において、本発明の医薬組成物を、遺伝子治療剤とともに共投与する。そのような特定の態様において、遺伝子治療剤は、CSFに投与され、そして本発明の医薬組成
物を全身的に投与する。そのような特定の態様において、遺伝子治療剤をCSFに対して投
与し、そして本発明の医薬組成物をCSFに対してそして全身的に投与する。特定の態様に
おいて、本発明の医薬組成物および遺伝子治療剤を、同時に共投与する。特定の態様において、本発明の医薬組成物および遺伝子治療剤を異なる時点で共投与する。SMA処置に対
する特定の遺伝子治療アプローチが報告されている(例えば、Coady et al., PLoS ONE 2008 3(10): e3468;Passini et al., J Clin Invest 2010 Apr 1, 120(4): 1253-64)。
【0214】
特定の態様において、本発明の医薬組成物を、SMAについての少なくとも1つのその他の治療とともに共投与する。特定の態様において、SMAについてのそのようなその他の治療
は、外科手術である。特定の態様において、そのようなその他の治療は、呼吸に必要な筋肉を強化するようにデザインされた運動、例えば咳療法、を含む(しかしこれらには限定されない)理学療法である。特定の態様において、その他の治療は、栄養供給チューブまたは呼吸補助用デバイスなどの、肉体的介入である。
【0215】
特定の態様において、本発明の医薬組成物を、本発明の医薬組成物の望ましくない副作用を低減する1またはそれ以上の その他の医薬組成物と共投与する。
【0216】
11. 表現型効果
特定の態様において、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与の結果、被験体にお
いて表現型変化が生じる。特定の態様において、そのような表現型変化には:エクソン7
が含まれるSMN mRNAの絶対量の増加;エクソン7が含まれるSMN mRNAのエクソン7を欠失するSMN mRNAに対する比の増加; エクソン7が含まれるSMNタンパク質の絶対量の増加;エ
クソン7が含まれるSMNタンパク質のエクソン7を欠失するSMNタンパク質に対する比の増加;筋力の改善、少なくとも1つの筋肉の電気的活性の改善;呼吸の改善;体重増加;およ
び生存、が含まれるが、しかしこれらに限定されるわけではない。特定の態様において、少なくとも1つの表現型変化は、被験体の運動ニューロン中で検出される。特定の態様に
おいて、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与 の結果、被験体が腹筋運動をすること、立ち上がることおよび/または歩くことができるようになる。特定の態様において、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与の結果、被験体が介助なしに食べ、飲みおよ
び/または呼吸することができる様になる。特定の態様において、治療効果は、筋肉の電気生理学的評価により評価される。特定の態様において、本発明の医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症候を改善し、そして炎症性作用をほとんどまたは何も有さない。そのような特定の態様において、炎症性作用がないことを処置に際してAif1レベルの顕著な増加が存在しないことにより決定する。
【0217】
特定の態様において、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症候の発症を遅らせる。特定の態様において、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症候の進行を遅らせる。特定の態様において、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与は、SMAの少なくとも1つの症候の重症度を低減させる
。
【0218】
特定の態様において、少なくとも1つの本発明の医薬組成物の投与は、結果として望ま
しくない副作用を生じる。特定の態様において、治療処方は、望ましくない副作用を回避しつつ、症候の望ましい軽減を生じることが特定される。
【0219】
12. 投与単位
特定の態様において、本発明の医薬組成物は、投与のための投与単位として調製される。特定のそのような投与単位は、0.01 mg~100mgから選択される濃度でのものである。そのような特定の態様において、本発明の医薬組成物は、0.01 mg、0.1 mg、0.5 mg、1 mg
、5 mg、10 mg、20 mg、25 mg、50 mg、75 mg、100 mg、150 mg、および200 mg から選択されるアンチセンス化合物の用量を含む。特定の態様において、医薬組成物は、0.1 mg、0.5 mg、1 mg、5 mg、10 mg、25 mg、および50 mgから選択されるオリゴヌクレオチドの
用量を含む。
【0220】
13. キット
特定の態様において、本発明は、少なくとも1つの医薬組成物を含むキットを提供する
。特定の態様において、そのようなキットは、送達手段、例えば、シリンジまたは点滴ポンプ、をさらに含む。
【0221】
限定的ではない開示および参照による援用
本明細書中で記載される特定の化合物、組成物および方法が、特定の態様に従って具体的に記載される一方、以下の実施例は、本明細書中で記載される化合物を説明するためにのみ機能し、そして限定することを目的とはしていない。参照文献のそれぞれ、GenBank
アクセッション番号、および本明細書中で記載される同様のものは、その全体を参照として本明細書により援用される。
【0222】
本出願に添付する配列表は、必要であれば“RNA”または“DNA”のいずれかとしてそれ
ぞれの配列を特定するが、実際に、それらの配列 を化学修飾のいずれかの組み合わせに
より修飾することができる。当業者は、修飾オリゴヌクレオチドを記述するための“RNA
”または“DNA”としてのそのような記述が、特定の事例において、任意的なものである
ことを容易に理解する。例えば、2'-OH 糖成分およびチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを、修飾糖(DNAの天然2'-Hに対する2'-OH)を有するDNA としてまたは修飾塩基(RNAの天然のウラシルに対するチミン(メチル化ウラシル))を有するRNAとして、記載することができる。
【0223】
したがって、配列表中のものを含む(しかしこれらには限定されない)本明細書中で提示される核酸配列が、修飾核酸塩基を有する核酸を含む(しかしこれらには限定されない)、天然または修飾RNAおよび/またはDNAのいずれかの組み合わせを含有する核酸を包含することが意図される。さらなる例によりそして限定することなく、核酸塩基配列“ATCGATCG”を有するオリゴマー化合物は、修飾されているかまたは非修飾であるかにかかわらず、RNA塩基を含む化合物を含む(しかしこれらには限定されない)、そのような核酸塩
基配列を有するどのようなオリゴマー化合物であっても包含し、これらは、配列“AUCGAUCG” を有するもの、および“AUCGATCG”などの幾つかのDNA塩基と幾つかのRNA塩基とを
有するもの、そして“ATmeCGAUCG”などのその他の修飾塩基を有するオリゴマー化合物を包含し、ここでmeCは、5-位にメチル基を含むシトシン塩基を意味する。
【実施例0224】
実施例1 - SMN2を標的とするアンチセンス化合物
以下のオリゴヌクレオチドを、以前に報告された標準的な技術を使用して合成した。
【0225】
【0226】
実施例2 - Smn-/- SMNトランスジェニックマウス
上述したアンチセンス化合物の治療上の有効性および安全性を、適切な動物モデルにおいて試験することができる。 例えば、ヒト疾患に最も類似していると思われる動物モデ
ルには、特定の疾患を高い頻度で自然発生的に発生する動物種かまたは発生するように誘導される動物種が含まれる。
【0227】
特に、SMAについての動物モデルが知られている。上述したように、常染色体性 劣勢神経筋障害であるSMAの分子的な基礎は、サバイバル運動ニューロン遺伝子1(SMN1)のホモ接合体性喪失である。SMN2と呼ばれるSMNl遺伝子のほぼ同一なコピーが、ヒトにおいて見出されており、そして疾患の重症度を修飾する。ヒトとは対照的に、マウスはSMN1に対応するものとして単一の遺伝子(Smn)を有する。この遺伝子のホモ接合体性喪失は、胚に
対して致死的であり、そして大規模な細胞死を生じ、このことはSmn遺伝子産物が、細胞
の生存および機能に必要であることを意味している。2コピーのSMN2のSMNを欠損したマウスへの導入は、胚の致死を救済し、結果としてSMA表現型を有するマウスを生じる(Monani et al., Hum. Mol. Genet. (2000) 9:333-339。高コピー数のSMN2は、十分なSMNタンパク質が運動ニューロン中で生成されるため、マウスを救済する。同様に、ヒトSMN2を発言するトランスジェニックマウス系統の作出を報告するHsieh-Li, et al., Nat. Genet. (2000) 24:66-70を参照。特に、SMA患者の脊髄 および骨格筋と同様に、Smn-/-バックグラ
ウンド中にSMN2を有するトランスジェニックマウスは、脊髄 および骨格筋に病理学的変
化を示した。これらのマウスにおける病理学的変化の重症度は、エクソン7によりコード
される領域を含有するSMNタンパク質の量と相関した。Smnの1コピーを欠損するヘテロ接
合マウスは、Smn -/+と示され、そしてSMA、タイプIIIの重症度が低い型のモデルである
。
【0228】
SMA表現型の重症度は、マウスにおけるヒトSMN2 のコピー数の関数である。“台湾”系統は、4コピーのヒトSMN2を有し、結果として、Type IまたはType IIに類似する中程度~重症のSMA表現型を有するマウスを生じる。
【0229】
デルタ-7マウス(Smn-/-、hSMN2+/+、SMNΔ7+/+)もまた、マウスSmnを欠失し、そしてヒトSMN2を発現する。デルタ7マウスは、より重症な表現型を有し、そして生後まもなく
、典型的には生後約15~20日に死亡する。
【0230】
実施例3 - Smn -/- SMN2(台湾系統)における全身性アンチセンス化合物のin vivo投
与
台湾マウスは、生理食塩水、または35 mg/kgの396443またはミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチド対照を1日1回5日間腹腔内注射することにより処置し、そして2日後のday 7に犠死させた。肝臓および腎臓を回収し、そしてRNAを標準的技術を使用して単離した。エクソン7を有するSMN2およびエクソン7を有さないSMN2を、RT-PCRにより可視化した。ISIS396443の投与の結果、生理食塩水処置動物およびミスマッチ対照処置動物と比較して、腎臓および肝臓からのSMN2におけるエクソン7の含有物が実質的に増加した。
【0231】
実施例4 - Smn -/- SMN2(台湾系統)における脳室内(ICV)アンチセンス化合物のin vivo投与
台湾マウスに対して、生理食塩水または150μgのISIS396443のいずれかをを毎日7日間ICV注射した。マウスをday 8に犠死させ、RNAを脳および脊髄 から抽出した。RT-PCR解析
は、ISIS396443により処置した動物から得られた脳および脊髄サンプル中のSMN2において、エクソン7含有物の実質的な増加を示した。これらの結果から、エクソン7の除去がSMA
表現型と関連していることから、SMNを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドによ
るICV処置は、SMA症状を救済することができることが示される。
【0232】
用量-反応
台湾マウスに対して、生理食塩水または10、50、100、または150μgのISIS396443のい
ずれかを毎日7日間ICV注射し(各処置群について5匹のマウス)そしてday 8に犠死させた。RNAを単離し、RT-PCRにより解析した。10μg処置群は、中程度のエクソン7含有物を示
した。50μg、100μg、および150μg群はすべて、実質的なエクソン7含有物を示した。
【0233】
応答期間
作用の期間を決定するため、24匹のマウスに対して、50μgのISIS396443を毎日7日間ICV注射した。4匹のマウスを最終投与(時間0)の時点で犠死させ、そして4匹のマウスを:最終投与の1週間後、2週間後、4週間後および8週間後にそれぞれ犠死させた。すべての処置マウスは、week 8の時点で効果と共に、RT-PCRにより実質的なエクソン7含有物を示し
、
図1に示されるように、他の群と差異を示さなかった:
これらの結果から、ISIS396443を1日あたり50μgで7日間ICV投与すると、処置後少なくとも8週間のあいだ有効であることが示される。
【0234】
この実験を繰り返して、より長期間試験した。Type IIIのマウスに対して、50μg/日で7日間ISIS396443をICV点滴することにより処置した。マウスを、7日間の点滴期間の終了
後0ヶ月、0.5ヶ月、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、および6ヶ月に犠死させた。RNAを脊髄から回
収し、そしてノーザンブロットにより解析した。以下のグラフに示されるように、
図2に
示されるように、ISIS396443点滴の効果は、点滴後6ヶ月間持続された。この長期間の効
果については、幾つかの可能性のある説明ができる。ISIS396443の安定性、修正されたSMNタンパク質の安定性を反映している可能性があり、および/または投与量が非常に高く
、化合物が代謝されて失われた後でも残りの用量が利益を与え続けている可能性がある。したがって、これらのデータは、より低容量の投与や時々の投与をサポートする可能性がある。
【0235】
実施例5 - 継続的脳室内(ICV)点滴によるアンチセンス化合物の投与
マイクロ-浸透性ポンプ(Azlet Osmotic Pumps, Cupertino, CA, USA)を使用して、ISIS396443を、ヒトSMN2トランスジーンを有する成体type-III Smn+/-マウスまたはSmn-/- SMAマウス(台湾系統)に、右側脳室を介して脳脊髄液(CSF)中に送達した。用量-反応
性の研究により、生理食塩水-処置マウスでは約10%であったのと比較して、ISIS396443
の脳室内(ICV)点滴により、脊髄でのSMN2エクソン7の含有物が約90%にまで増加した。
ウェスタンブロッティング解析および免疫組織化学的解析により、脊髄運動ニューロンにおけるヒトトランスジェニックSMNタンパク質レベルの強固な増加が示された。これらの
結果から、エクソン7の除去がSMA表現型と関連していることから、アンチセンスオリゴヌクレオチドISIS396443のCNS点滴により、SMA症状を救済することができることが示される。
【0236】
実施例6 - 胚投与
20μgまたは10μgのいずれかのISIS396443の単回ICV注射を、妊娠day 15(E15)に胚性台湾マウスに投与した。動物を、生後day 7(P7)に犠死させた。RNAを、腰部脊髄から単離し、そしてRT-PCRにより解析した。ISIS 396443の単回胚投与は結果として実質的なエ
クソン7の含有物を生じる。これらの結果から、エクソン7の除去がSMA表現型と関連して
いることから、アンチセンスオリゴヌクレオチドISIS396443での子宮内処置により、SMA
症状を救済することができることが示される。
【0237】
上述の実験を繰り返し、そして動物を11週時に犠死させた。非処置台湾マウスは、壊死尾を発生し、それが時間の経過とともに発生する。20μgのISIS396443の単回胚性注射は
、
図3Aに示されるゆように、尾の分解の開始を顕著に遅らせる。これらの結果から、SMNを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドによる胚処置により、SMAの発症が遅延さ
れることが示される。
【0238】
これらの結果は、試験された用量が20μgおよび10μgのISIS396443であること、そして研究に比較のための正常マウスが含まれたことを除き、同一の条件を使用する別の研究において確認された。その実験カラの結果を、
図3Bに示す。
【0239】
実施例7 - デルタ-7マウスモデルにおけるIn vivo 投与
ヘテロ接合体(SMN+/-、hSMN2+/+、SMNΔ7+/+)交配ペアを交配させ、そして出産のそ
の日(P0)に、新生仔を、ISIS396443(18-mer、SEQ ID NO. 1)、ISIS396449(15-mer、SEQ ID NO. 2)、ISIS387954(20-mer、SEQ ID NO. 7)またはスクランブル化対照ASO(ISIS439273;18-mer)により処置した。マウスに、側脳室中に全用量8μg(各側脳室に対
して4μg)を両側性で注射した。すべての注射を、記載されたように(Passini et al, J. Virol. (2001) 75:12382-12392)、細く引いたガラスピペット針を用いて行った。注射の後、新生仔のつま先を切断し、そして遺伝子型決定を行い(Le et al., Hum. Mol. Genet. (2005) 14:845-857)、SMA(SMN-/-、hSMN2+/+、SMNΔ7+/+)マウス、ヘテロ接合体
マウス、および野生型(SMN+/+、hSMN2+/+、SMNΔ7+/+)マウスを特定した。すべての一
胎仔を取り出し、7匹の新生仔を生存についての胎仔サイズのための対照とした。非処置
対照群を生成するために、胎仔の数匹には注射をしなかった。
【0240】
広く一般的に知られている18-merは、SMAマウスにおいて注射後14日後に、脊髄の胸部
領域、腰部領域、および頸部領域を含む 脊髄において検出された。さらに、ChATとの共
局在化研究により、脊髄中でISIS396443により標的化された大多数の細胞が、運動ニューロンであったことが確認された。対照マウスおよび非処置マウスにおいて、シグナルは検出されなかった。
【0241】
14日でのウェスタンブロッティング解析は、脳および脊髄におけるSMNの量を示したが
、これは非処置SMA対照の場合の10%と比較して、野生型レベルの40~60%であった。バッ
クグラウンド上のシグナルは、スクランブル化版のASOにより処置した対照マウスにおい
て検出されなかった。ウェスタンブロットの結果を、
図4に提示する。
【0242】
非処置SMAマウスまたはスクランブル化ASOにより処置したSMAマウスと比較して、ASOの長さにかかわらず、SMA ASOにより処置したSMAマウスは、体重、歩行機能(立ち直り反射およびグリップ強度)、および協調(後肢開脚)の顕著な増加を示した。非処置SMAマウ
スと比較して、スクランブル化ASOにより処置したSMAマウスにおいて、体重、歩行機能(立ち直り反射およびグリップ強度)、または協調性の顕著な増加は見出されなかった。結果を、
図5および
図6に提供する。
【0243】
重要なことは、
図7に示されるように、ASOの長さにかかわらず、ASOで処置したSMAマウスは、生存中央値の顕著な増加を生じる。生存は出生から算出し、非処置SMA対照の場合
の16.0日と比較して、31.5日(15-mer)、27.0日(18-mer)、および28.0日(20-mer)であった。対照的に、18-merのスクランブル化対照により処置したSMAマウスは、生存を改
善した。これらの結果は、SMN処置を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドによる
処置により、SMAに罹患した被験体の寿命を増加することが示された。
【0244】
SMA ASOはまた、
図8に示されるように、脊髄における運動ニューロン細胞数を増加させる。
【0245】
SMN RNAを、RT-PCRにより測定した。非処置SMAマウスと比較して、SMA ASOにより処置
した動物は、SMN RNAレベルを増加させた。非処置SMAマウスと比較した場合の、20-merのASOにより処置したマウスから得られた結果を、
図9に示す。
【0246】
生存が2回目の用量の投与によりさらに増加するかどうかを調べるため、上述の実験を
、day 21に、20μgの追加の用量により繰り返した。結果を、
図10に示す。上記のグラフ
は、day 0の8μgの第1の投与量の作用を示す。day P21に、処置マウスの半数に対して2回目の処置を行った。
【0247】
1回目の処置しか受けていないマウスと比較して、2回目の処置の作用を、
図11に示す。この結果から、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる2回目のICV処置が生存をさらに増加させることが示唆される。
【0248】
実施例8 - SMA type IIIマウスでの活性
2種のアンチセンス化合物および1種の対照化合物を、SMAのマウスモデルにおいて試験
した。化合物 は、以下の表に記載する。
【0249】
【0250】
SMA type IIIマウスの台湾系統は、The Jackson Laboratory(Bar Harbor, Maine)から入手した。これらのマウスは、マウスSMNを欠損し、そしてヒトSMN2についてホモ接合
体である(mSMN -/-;hSMN2 +/+)。これらのマウスは、以下に記載された;Hsieh-Li HM, et al., Nature Genet. 24, 66-70 2000。
【0251】
1日当たり3、10、30、または100μgのISIS396443またはISIS449220で、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中1日当たり30または100μgの対照化合物ISIS439272で、マウスを処置した。対照マウスを、PBSのみで処置した(0の投与)。すべての処置を、Azlet 1007D
浸透性ポンプを使用して脳室内(ICV)点滴をすることにより投与した。しかしながら、
各用量について5匹の動物が存在し、最高用量のISIS449220から得られたマウスのうちの2匹が、この研究の終了前に死亡した。動物を、day 9(最終投与の2日後)に犠死させ、そして脊髄の脳切片および腰部切片を各動物から採取した。リアルタイムPCRを各サンプル
に対して行い、エクソン7((+)エクソン7)を含むヒトSMN2メッセージの量およびエク
ソン7((-)エクソン7)を含まないヒトSMN2メッセージの量を決定した。リアルタイムPCRを同様に行なって、アログラフト炎症性因子(AIF1)およびグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GADPH)の発現レベルを決定した。
【0252】
(+)エクソン7および(-)エクソン7についての発現レベルを、GADPHレベルに対して
正規化した。正規化したその発現レベルを、PBS処置対照マウスから得られたGADPH-正規
化レベルにより割った。得られた倍率-対照値を、以下の表17に示す。データは、3匹の生存マウスがいることが示されるISIS449220の最高用量以外は、各群におけるすべての5匹
のマウスの対照の平均倍率を示す。
【0253】
ISIS396443の投与は、結果としてエクソン7の包において顕著な増加を生じた。10μg/
日において、ISIS396443は結果としてほぼ2倍の量(1.8倍)のエクソン7が残ったSMN2メ
ッセージを脳内において生じ、そして腰部脊髄においては、非処置対照と比較した場合に2倍以上になった。
【0254】
【0255】
アログラフト炎症性因子(AIF1)の発現を、炎症の測定値として試験した。すべての
サンプルを(GADPH)に対して正規化したのち、各処置群に関するAIF1の比率を、PBS対照についての値により割った。ISIS396443は、結果として高用量であっても、AIF1の増加を生じなかった。ISIS449220は、脳および腰部脊髄の両方において、AIF1の増加を生じた。表18のデータは、3匹の生存マウスが示される、ISIS449220の最高用量であることを除き
、各群におけるすべての5匹のマウスに関して、対照の平均倍率を示す。
【0256】
【0257】
実施例9 - サルへの投与
カニクイザル(Cynomolgus)を使用して、異なる投与量および異なる投与経路の場合の、ISIS395443の分布を評価した。ISIS396443は、2匹のサルに投与した。一頭のサルには
、3 mgをICV点滴により投与し、もう一頭のサルには3 mgをIT点滴により投与した。両方
の点滴とも、24時間の期間にわたり送達した。これらのサルは、点滴期間の終了後96時間後に犠死させ、そして組織を回収した。ISIS396443の濃度は、脊髄の頸部、胸部、および腰部由来のサンプル中で測定した。結果を以下の表にまとめた。
【0258】
【0259】
カニクイザル(cynololgus)はおよそ3 kgであるため、この用量は約1 mg/kgである。
【0260】
ISIS39644の分布をさらに評価するため、26匹のサルを以下の表に示されるように6つの群に分割した。
【0261】
【0262】
点滴速度は、すべての群について100μL/時間であった。グループ1には、生理食塩水
のみを投与した以外は、すべてのサルに生理食塩水中の全3 mgのISIS39644を投与した。
サルを、点滴終了後5日後に、犠死させそして組織を回収した。
【0263】
サル由来の組織サンプル中のISIS39644の濃度は、標準的な技術を使用して評価した。
結果のまとめを、
図12のグラフに提供する。
【0264】
サンプルを、組織学的にも評価した。組織学は、処置の悪影響を何も示さず、そしてISIS396443の存在を確認した。プルキンエ細胞の喪失に関する証拠は何も存在しなかった。
【0265】
急速点滴は、より遅い点滴と比較して、より多くのISIS396443を有するようであった。これらの結果から、より速い点滴速度またはボーラス注入が、特定の態様においては好ましい可能性があることが示唆される。ボーラス投与には、点滴と比べて特定の実務的な利点があるため、特定の態様においては、CSF中への好ましい投与方法である。特定の態様
において、CSF中への好ましい投与方法は、ボーラスIT注射によるものである。
【0266】
実施例10 - 重症SMAおよびICV治療のマウスモデルの作出
重症のSMA表現型を有するマウス(sSMAマウス)を作出した。ホモ接合体sSMAマウスは
、2コピーのヒトSMN2を有し、マウスSMNを有さない。平均寿命は、約10日である。さらに、SMAマウスはより小さくより短い尾を持つ。ヘテロ接合体は、マウスSMNを持ち、そして正常に発生する。
【0267】
これらのsSMAマウスにおけるアンチセンス化合物の作用を研究するため、20μgのISIS396443をday P1にICVに注射した。処置の結果、平均生存が9.9日(生理食塩水処置対照)
から16.7日へと増加した。RT-PCR解析により、処置マウス由来の組織中で完全長SMN RNA
の増加が示された。
【0268】
実施例11 - ISIS 396443の全身性投与
sSMAマウスおよび健康なヘテロ接合体対照マウスをグループ分けし、以下のように、ボーラスICV注射および/またはボーラス皮下注入(SC)により、ISIS396443の作用を研究
した:
グループ1 - ICV+SC
1回のICV注射では、P1またはP2に20μg(生後day 1または2);そして2回の皮下注入では50μg/gをP0とP3とのあいだに送達。
【0269】
グループ2 - SC+SC
2回のSC注射では50μg/gをP0とP3とのあいだに送達;そして1回の皮下注入では、50μg/gをP5とP6とのあいだに送達;そして、皮下注入では50μg/gをP9とP10とのあいだに送達。
【0270】
グループ3 - SC
2回のSC注射では、50μg/gをP0とP3とのあいだに送達。
【0271】
グループ4 - SMA 生理食塩水対照
1回のICV注射では、生理食塩水をP1またはP2に送達;そして2回の皮下注入では、生理
食塩水をP0とP3とのあいだに送達。
【0272】
グループ5 - ヘテロ接合体対照
1回のICV注射では、20μgをP1またはP2に送達;そして2回の皮下注入では、50μg/gを
ヘテロ接合体マウスのP0とP3とのあいだに送達。
【0273】
各群には、14匹~22匹のマウスが含まれた。それぞれの群における個々のマウスについての生存(日数)を、以下の表に提示する。この研究における多数のマウスは、本件特許出願の準備をしている時点では依然として生存している。このように、“>”をつけた値は、マウスがその日数生存しそして依然として今も生存していることを示す。
【0274】
【0275】
実施例12 - SC投与の用量-反応
異なる用量の皮下ISIS396443投与を受けたsSMAマウスの生存を、以下の投与群により評価した。
【0276】
グループ1-SC400(80 mg/kg~180 mg/kgの用量範囲)
2回のSC注射、全量でマウス当たり400μgを、P0~P3に送達し、1回目の用量はP0またはP1に150μg(3μlの体積)および2回目の用量はP2またはP3に送達される250μgであった
(5μlの体積)。
【0277】
グループ2-SC200(40 mg/kg~90 mg/kgの用量範囲)
2回のSC注射、全量でマウス当たり200μgを、P0とP3との間に送達し、1回目の用量はP0~P1に75μg(1.5μlの体積)および2回目の用量はP2またはP3にに送達される125μgであった(2.5μlの体積)。
【0278】
グループ3-SC100(20 mg/kg~45 mg/kgの用量範囲)
2回のSC注射、全量でマウス当たり100μgを、P0とP3との間に送達し、1回目の用量はP0またはP1に40μg(2μlの体積)および2回目の用量はP2またはP3にに送達される60μgで
あった(3μlの体積)。
【0279】
グループ4-SMA 生理食塩水(陰性対照)
P0とP3とのあいだに生理食塩水の2回のSC注射、1回目の注射はP0またはP1に行い(5μlの体積)、そして2回目の注射はP2またはP3に送達した(5μlの体積)。
【0280】
グループ5 - ヘテロ接合体対照(陽性対照)
処置なしのマウス。
【0281】
各群には、14匹~26匹のマウスが含まれた。それぞれの群における個々のマウスについての生存(日数)を、以下の表に提示する。この研究における多数のマウスは、本件特許出願の準備をしている時点では依然として生存している。このように、“>”をつけた値は、マウスがその日数生存しそして依然として今も生存していることを示す。
【0282】
【0283】
実施例13 - ICV点滴vs. ICVボーラス
脳室内ボーラス注入(ICVボーラス)による投与を、連続脳室内点滴(ICV点滴)による
投与と比較した。SMA type IIIトランスジェニックマウスに、ISIS387954を投与した。ICV点滴マウスに対して、全量で0(PBS対照)、87.5μg、175μg、350μg、または700μgを、7日間かけて注入し、そしてその後2日後に犠死させた。ICVボーラスマウスに対して、
同一の全量、0(PBS対照)、87.5μg、175μg、350μg、または700μgを、単回ICV注射にて注入し、そしてその後9日後に犠死させた。各群5匹のマウスが存在した。RNAを腰部脊
髄から回収し、そしてリアルタイムPCRにより解析した。イントロン7含有物を、生理食塩水-処置対照に対して正規化した。結果を、以下の表にまとめた。
【0284】
【0285】
この実験においては、ICVボーラス注入により送達した場合の同一の用量の結果、ICV
点滴により7日間にわたり送達した場合よりも高い活性が得られた。
【0286】
リアルタイムPCRもまた行い、アログラフト炎症性因子(AIF1)の発現レベルを測定し
て、炎症を評価した。処置マウスから得たサンプルで、対照マウスとのあいだで顕著な相違を示したものはなかった。
【0287】
実施例14 - ICVボーラスによる用量-反応
脳室内ボーラスによる投与を、追加の用量にて試験した。トランスジェニックマウスに対して、0、10.9μg、21.9μg、43.4μg、87.5μg、または175μgのISIS387954を、単回
ボーラスICV注射により投与し、そして実施例13に示されるように、9日後に犠死させた。サンプルを脳および腰部脊髄から採取した。RNAを調製し、そしてイントロン7含有物の変化について、そしてAIF1の変化について、RT-PCRにより解析した。サンプルのいずれも、対照と比較して、AIF1の変化を示さなかった。イントロン7含有物からの結果を、以下の
表にまとめる。ED50は、およそ22μgである。
【0288】
被験体に対して、ヒトSMN2 pre-mRNAをコードする核酸のイントロン7に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物を投与することを含む、方法であって、アンチセンス化合物が脳脊髄液中に投与される、前記方法。