(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012417
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0216 20140101AFI20240123BHJP
【FI】
H01L31/04 240
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023185209
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】202321618728.1
(32)【優先日】2023-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェンファ リュウ
(72)【発明者】
【氏名】シュアイ ツァン
(72)【発明者】
【氏名】ホン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ユーガン ルゥ
(72)【発明者】
【氏名】ワンリ リ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ゾウ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システムに関する。
【解決手段】太陽電池は、厚さ方向に沿って対向して設けられた第1面及び第2面を有する基板と、前記基板の第1面側に設けられた第1パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層の前記基板から離れた側に設けられた第2パッシベーション層と、を含み、前記第1パッシベーション層及び前記第2パッシベーション層の材料は同じであり、前記第1パッシベーション層の緻密度は前記第2パッシベーション層の緻密度よりも高く、且つ前記第1パッシベーション層の平均厚さは前記第2パッシベーション層の平均厚さよりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に沿って対向して設けられた第1面及び第2面を有する基板と、
前記基板の第1面側に設けられた第1パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層の前記基板から離れた側に設けられた第2パッシベーション層と、を含み、
前記第1パッシベーション層及び前記第2パッシベーション層の材料は同じであり、
前記第1パッシベーション層の緻密度は前記第2パッシベーション層の緻密度よりも高く、且つ前記第1パッシベーション層の平均厚さは前記第2パッシベーション層の平均厚さよりも小さい、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1パッシベーション層の平均厚さは0.1~6nmであり、前記第2パッシベーション層の平均厚さは1~30nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1パッシベーション層の厚さの均一性は前記第2パッシベーション層の厚さの均一性よりも優れる、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1パッシベーション層の異なる領域の厚さの差は0.5nmよりも小さく、前記第2パッシベーション層の異なる領域の厚さの差は0.5nmよりも大きい、ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1パッシベーション層及び前記第2パッシベーション層は、前記基板の側面までも被覆し、且つ前記基板の側面における前記第1パッシベーション層の被覆面積は、前記基板の側面における前記第2パッシベーション層の被覆面積以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記基板は、前記第1パッシベーション層から徐々に離れる方向に沿って順次設けられた第1厚さ部分及び第2厚さ部分を含み、
前記第1パッシベーション層は、前記第1厚さ部分に対応する側面を被覆し、前記第2パッシベーション層は、前記第1厚さ部分及び前記第2厚さ部分に対応する側面を被覆する、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1厚さ部分の厚さは、前記基板の厚さの1/2以上前記基板の厚さ以下であり、前記第1厚さ部分の厚さと前記第2厚さ部分の厚さとの和は、前記基板の厚さの2/3以上前記基板の厚さ以下である、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1厚さ部分の厚さは10~200μmであり、前記第1厚さ部分の厚さと前記第2厚さ部分の厚さとの和は50~200μmである、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
直列及び/又は並列に接続された複数の太陽電池を含み、
少なくとも1つの前記太陽電池は、請求項1~8のいずれか一項に記載の太陽電池である、太陽光発電モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の太陽光発電モジュールを含む、太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽光発電技術分野に関し、特に太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の発展に伴い、人々は半導体デバイスの性能に対する要求も絶えず向上している。ここで、パッシベーションは、デバイスの性能を著しく向上させることができる技術である。
【0003】
例えば、太陽電池において、パッシベーション層を形成することにより太陽電池の光電変換効率を大幅に向上させることができる。しかし、パッシベーション層のパッシベーション効果を如何に向上させるかは、現在のところ、解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づき、上記の技術的課題に対して、パッシベーション層のパッシベーション効果を向上させて、太陽電池の光電変換効率を向上させる太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様にて提供される太陽電池は、厚さ方向に沿って対向して設けられた第1面及び第2面を有する基板と、前記基板の第1面側に設けられた第1パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層の前記基板から離れた側に設けられた第2パッシベーション層と、を含み、前記第1パッシベーション層及び前記第2パッシベーション層の材料は同じであり、前記第1パッシベーション層の緻密度は前記第2パッシベーション層の緻密度よりも高く、且つ前記第1パッシベーション層の平均厚さは前記第2パッシベーション層の平均厚さよりも小さい。
【0006】
選択的に、前記第1パッシベーション層の平均厚さは0.1~6nmであり、前記第2パッシベーション層の平均厚さは1~30nmである。
【0007】
選択的に、前記第1パッシベーション層の厚さの均一性は前記第2パッシベーション層の厚さの均一性よりも優れる。
【0008】
選択的に、前記第1パッシベーション層の異なる領域の厚さの差は0.5nmよりも小さく、前記第2パッシベーション層の異なる領域の厚さの差は0.5nmよりも大きい。
【0009】
選択的に、前記第1パッシベーション層及び前記第2パッシベーション層は、前記基板の側面までも被覆し、且つ前記基板の側面における前記第1パッシベーション層の被覆面積は、前記基板の側面における前記第2パッシベーション層の被覆面積以下である。
【0010】
選択的に、前記基板は、前記第1パッシベーション層から徐々に離れる方向に沿って順次設けられた第1厚さ部分及び第2厚さ部分を含み、前記第1パッシベーション層は前記第1厚さ部分に対応する側面を被覆し、前記第2パッシベーション層は前記第1厚さ部分及び前記第2厚さ部分に対応する側面を被覆する。
【0011】
選択的に、前記第1厚さ部分の厚さ(T1)は前記基板の厚さ(T)の1/2以上前記基板の厚さ以下であり、前記第1厚さ部分の厚さと前記第2厚さ部分の厚さ(T2)との和は前記基板の厚さの2/3以上前記基板の厚さ以下である。すなわち、1/2*T≦T1≦Tとなり、2/3*T≦T1+T2≦Tとなる。
【0012】
選択的に、前記第1厚さ部分の厚さは10~200μmであり、前記第1厚さ部分の厚さと前記第2厚さ部分の厚さとの和は50~200μmである。
【0013】
第2態様にて提供される太陽光発電モジュールは、直列及び/又は並列に接続された複数の太陽電池を含み、少なくとも1つの前記太陽電池は第1態様に記載の太陽電池である。
【0014】
第3態様にて提供される太陽光発電システムは、第2態様に記載の太陽光発電モジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の実施例にて提供される太陽電池の概略構造図である。
【
図2】本願の別の実施例にて提供される太陽電池の概略構造図である。
【
図3】本願の実施例にて提供されるALD時間法を採用して第1パッシベーション層を製造する概略フローチャートである。
【
図4】本願の実施例にて提供されるALD空間法を採用して第1パッシベーション層を製造する概略フローチャートである。
【
図5】本願の実施例にて提供される
図4に基づく噴流ヘッドの概略配列図である。
【
図6】本願の別の実施例にて提供される
図4に基づく噴流ヘッドの概略配列図である。
【
図7】本願の別の実施例にて提供されるALD空間法を採用して第1パッシベーション層を製造する概略フローチャートである。
【
図8】本願の実施例にて提供される
図7に基づく噴流ヘッドの概略配列図である。
【
図9】本願の別の実施例にて提供されるALD空間法を採用して第1パッシベーション層を製造する概略フローチャートである。
【
図10】本願の実施例にて提供される
図9に基づく噴流ヘッドの概略配列図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本願の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本願は、ここで説明したものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができるため、以下に開示する具体的な実施例によって本願が限定されるものではない。
【0017】
文脈上別段の要求がない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む」という用語は、オープンで包括的な意味、即ち「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例示的には」、又は「いくつかの例」などの用語は、現在説明された特徴、例えば構造、材料又は特性などが本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを示すことを意図している。上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すわけではない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例に任意の適切な方法で含まれてもよい。
【0018】
例示的な実施形態は、理想化された例示的な図である断面図及び/又は平面図を参照して本明細書で説明される。図面では、明確にするために、層及び領域の厚さが拡大されている。したがって、例えば製造技術及び/又は公差による、図面の形状からの変動が考えられる。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に示される領域の形状に限定されるものとして解釈されるべきではなく、例えば製造に起因する形状の偏差を含むものとする。例えば、矩形として示されているエッチング領域には、通常、湾曲した特徴がある。したがって、図に示す領域は本質的に概略的なものであり、それらの形状は機器の領域の実際の形状を示すことを意図したものではなく、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図したものではない。
【0019】
「A及び/又はB」には、Aのみ、Bのみ、及びAとBとの組合せが含まれる。
【0020】
本明細書において、「例えば」、「など」、「例示的」、「例を挙げる」などは、説明のためのものであり、前後の異なる技術案が、その包含範囲において関連付けされていることを意味するが、前者の技術案の限定として理解されるべきではなく、また、本明細書の保護範囲の限定として理解されるべきではない。本明細書において、他に示されない限り、A(Bなど)は、BがAの非限定的な例であることを意味し、AがBに限定されないことが理解される。
【0021】
本明細書において、「選択的に」、「選択的な」、「選択的」は、存在しても、存在しなくてもよいこと、つまり「存在する」又は「存在しない」2つの並列案から選択されるいずれかを指す。1つの技術案において、特に明記しない限り、かつ、矛盾や相互の制約関係がない限り、「選択的」が複数存在する場合、各「選択的」は、それぞれ独立している。
【0022】
本明細書において、「選択的に含有する」、「選択的に含む」などの記述は、「含有するか又は含有しない」を意味する。「選択的な成分X」は、成分Xが存在するか又は存在しないこと、あるいは当該成分Xを含有するか又は含有しないことを意味する。
【0023】
本明細書において、「第1態様」、「第2態様」などにおいて、「第1」、「第2」などの用語は説明のためのものだけであり、相対的な重要性や数を示したり暗示したりするものとして理解されるべきではなく、示された技術的特徴の重要性や数を暗黙的に示すものとして理解されるべきではない。
【0024】
なお、素子が別の素子に「固定される」又は「設けられる」と称される場合、別の素子の上に直接あってもよく、又は中間素子が存在してもよい。ある素子が別の素子に「接続される」と見なされる場合、別の素子に直接接続されてもよく、又は中間素子が同時に存在する可能性がある。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は、単に説明のためのものであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0025】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本願の説明において本明細書で用いられる用語は、具体的な実施例を説明するためのものだけであり、本願を限定することを意図したものではない。
【0026】
本明細書において、オープン形式で記載された技術的特徴には、リストされた特徴からなるクローズド型技術案もリストされた特徴を含むオープン型技術案も含まれる。
【0027】
本明細書において、特に明記しない限り、数値区間(つまり数値範囲)に関して、当該数値区間内の選択的な数値の分布は、連続的であり、かつ、当該数値区間の2つの数値端点(即ち最小値及び最大値)、並びにこの2つの数値端点間の各数値を含むと見なされる。特に明記しない限り、数値区間が当該数値区間内の整数のみを指す場合、当該数値範囲の2つの端点の整数、及び2つの端点の間の各整数を含み、各整数を直接列挙することに相当する。特徴又は特性を説明するために複数の数値範囲が提供される場合、それらの数値範囲は組み合わされ得る。換言すれば、特に明記しない限り、本明細書に開示された数値範囲は、その中に含まれる任意の及び全てのサブ範囲を含むものと理解されるべきである。当該数値区間における「数値」は、任意の定量値、例えば数字、割合などとすることができる。「数値区間」は、割合区間、比区間などの数値区間タイプを広く含むことを許容する。
【0028】
太陽電池は、光電効果を利用して光を電気エネルギーに変換する半導体デバイスである。太陽電池技術は従来のアルミニウム裏面電界(Aluminium Back Surface Field、BSF)電池からエミッタ及び裏面パッシベーション(Passivated Emitter and Rear Cell、PERC)電池へ、さらに選択的エミッタ(Passivated Emitter and Rear Cell+Selective Emiter、PERC+SE)電池への変換を経験した。PERC+SE電池技術は、従来のBSF電池に比べて、従来の拡散工程の後にレーザーSE二次拡散工程及び裏面パッシベーション工程を追加する。当該裏面パッシベーション工程により生成した裏面パッシベーション層薄膜は、PERC太陽電池の従来の電池に比べた主要な改善構造であり、その原理は、基板の裏面をパッシベーション層薄膜で被覆し、表面をパッシベーションし、長波応答を向上させ、表面再結合速度を減少させ、それによって太陽電池の光電変換効率を向上させることにある。
【0029】
もちろん、上記に挙げられたこれらの電池以外にも、現在光電変換性能の高い電池にもパッシベーション層が設けられる。これにより、基板と金属接触領域との間の界面準位密度を低下させ、金属接触領域への少数キャリアの遷移を阻止し、それによって電子正孔の再結合確率を低下させ、パッシベーション効果を向上させる。
【0030】
ここで、当該光電変換性能の高い太陽電池は、例示的にはN型Topcon(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)電池又はP型IBC(Interdigitated Back Contact、インターデジタルバックコンタクト)電池であってもよい。
【0031】
N型Topcon電池とは、基板がN型シリコンのTopcon太陽電池であり、P型IBC電池とは、基板がP型シリコンのIBC太陽電池である。
【0032】
太陽電池がN型TOPCON電池であることを例とし、当該N型TOPCON電池の基板の2つの表面がいずれも入射光線を受光することができる。当該基板内にはN型イオンがドープされてもよく、N型イオンはリン、ヒ素又はアンチモンイオンのいずれかであってもよい。基板の裏面にはトンネル層とドープトポリシリコン層が形成され、トンネル層は、ドープトポリシリコン層と共にパッシベーション接触層を構成することができ、トンネル層は、基板の裏面の界面パッシベーションを実現するために用いられ、基板とドープトポリシリコン層との間の界面準位密度を低下させるために用いられ、このように、多数キャリアの濃度は少数キャリアよりも遥かに高く、電子正孔の再結合確率を低下させ、同時に抵抗率が増加して多数キャリアの選択的な接触を形成する。
【0033】
ここで、トンネル層の材料は、誘電体材料であってもよく、例えば酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ポリシリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム又は酸化チタンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。トンネル層は、基板の裏面のダングリングボンドと結合でき、それによって太陽電池の表面のキャリア再結合を抑制し、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0034】
ここで、トンネル層は、上記パッシベーション層と同様の作用を有するので、当該トンネル層は、上記パッシベーション層を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施例において、当該N型TOPCON電池のドープトポリシリコン層のトンネル層から離れた側に裏面パッシベーション層がさらに設けられ、当該裏面パッシベーション層は基板の裏面の少数キャリアの濃度を低下させ、それによって表面の再結合速度を低下させ、光電変換効率を向上させることができる。
【0036】
いくつかの実施例において、当該裏面パッシベーション層の材料は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は酸炭窒化ケイ素のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0037】
ここで、当該裏面パッシベーション層は、上記パッシベーション層と同様の作用を有するので、当該裏面パッシベーション層は、上記パッシベーション層を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施例において、当該N型TOPCON電池の基板の正面はエミッタを有し、当該エミッタはP型ドープ層であってもよく、つまり基板にP型イオンをドープして得られ、エミッタと基板とがPN接合を形成する。当該エミッタの基板から離れた側に正面パッシベーション層が設けられてもよい。当該正面パッシベーション層の材料は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は酸炭窒化ケイ素のうちの1つ以上を含んでもよい。当該正面パッシベーション層は、上記裏面パッシベーション層と同様に、基板の正面の少数キャリアの濃度を低下させ、それによって表面の再結合速度を低下させ、光電変換効率を向上させることができる。
【0039】
ここで、当該正面パッシベーション層は、上記パッシベーション層と同様の作用を有するので、当該正面パッシベーション層は、上記パッシベーション層を含んでもよい。
【0040】
上記パッシベーション層は太陽電池の光電変換効率を効果的に向上させることができるが、パッシベーション層のパッシベーション効果は、パッシベーション層の材料、製造プロセスなどに関連し、如何に製造プロセスを制御することによりパッシベーション層のパッシベーション効果を向上させ、且つ製造効率を向上させかは、現在のところ、解決すべき課題である。
【0041】
以上の技術的課題に基づいて、第1態様において、本願のいくつかの実施例は、太陽電池10を提供し、
図1に示すように、当該太陽電池10は、基板1と、基板1に設けられたパッシベーション層2と、を含む。ここで、当該基板1は、その厚さ方向に沿って対向して設けられた第1面11及び第2面12を有し、パッシベーション層2は、基板1の第1面11側に設けられた第1パッシベーション層21と、第1パッシベーション層21の基板1から離れた側に設けられた第2パッシベーション層22と、を含む。
【0042】
ここで、上記第1面11及び第2面12は、それぞれ、基板1の正面及び裏面であってもよく、第1面11が基板1の正面である場合、上記第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は、基板1の正面に設けられ、第1面11が基板の裏面である場合、上記第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は、基板1の裏面に設けられる。
【0043】
もちろん、以上は例示に過ぎず、上記パッシベーション層2は、基板1の正面及び裏面に設けられてもよく、このとき、正面パッシベーション層及び裏面パッシベーション層はいずれも上記第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22を含む。
【0044】
ここで、上記パッシベーション層2が基板1の正面に設けられる場合を例として説明し、つまり、上記第1面11は基板1の正面である。
【0045】
いくつかの実施例において、基板1は、シリコン基板であってもよく、シリコン基板の材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、上記第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材料は同じである。例示的には、当該第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材料はいずれも酸化アルミニウムを含む。酸化アルミニウムは、電子と正孔との不要な時期尚早な再結合を防止するだけでなく、太陽電池の活性部分に再入射して電気エネルギーに変換するために太陽光を反射する鏡面としても機能し、それによって太陽電池の光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0047】
もちろん、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材料は、上記で列挙した正面パッシベーション層に含まれる他の材料、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素及び酸炭窒化ケイ素などのうちの1つ以上を含むこともできる。
【0048】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の緻密度は第2パッシベーション層22の緻密度よりも高く、且つ第1パッシベーション層21の平均厚さは第2パッシベーション層22の平均厚さよりも小さい。
【0049】
ここで、なお、パッシベーションを実現するために、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は非連続的な構造ではなく、いずれも連続的な薄膜であってもよいことが当業者に理解される。一方、関連技術に開示された種々の製造プロセスを用いて製造された薄膜は、いずれも異なる位置で厚さが一致しない場合があるので、第1パッシベーション層21と第2パッシベーション層22との間の厚さの違いを説明するために、ここでは平均厚さで薄膜全体の厚さを表す。平均厚さはここでは同一薄膜の異なる位置における厚さの平均値と理解することができる。
【0050】
緻密度は原子充填率又は空間充填率とも呼ばれ、単位格子あたりの原子自身が占める体積の百分率、即ち単位格子あたりの原子の体積と単位格子の体積との比である。
【0051】
上記第1パッシベーション層21の緻密度が第2パッシベーション層22の緻密度よりも高いということは、第1パッシベーション層に含まれる材料の原子充填率が第2パッシベーション層22に含まれる材料の原子充填率よりも高いということである。
【0052】
例示的には、第1パッシベーション層21に含まれる材料の原子充填率は、第2パッシベーション層22に含まれる材料の原子充填率よりも大きい。
【0053】
例示的には、第1パッシベーション層21に含まれる材料及び第2パッシベーション層22に含まれる材料がいずれも酸化アルミニウムであることを例とすると、第1パッシベーション層21における酸化アルミニウムの原子充填率は、第2パッシベーション層22における酸化アルミニウムの原子充填率よりも大きい。
【0054】
薄膜の緻密度の高低は、薄膜の製造工程によって制御することができ、例示的には、第1パッシベーション層21は、原子層堆積によって製造することができ、第2パッシベーション層22は、プラズマ強化化学気相堆積によって製造することができる。あるいは、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は、いずれも原子層堆積又はプラズマ強化化学気相堆積を採用して製造してもよく、このとき、第1パッシベーション層21の堆積速度は、第2パッシベーション層22の堆積速度よりも小さい。
【0055】
原子層堆積(Atomic Layer Deposition、ALD)は、物質を単原子膜の形で1層ずつ基板の表面にめっきすることができる方法である。めっき過程では、2種以上の化学気相前駆体が基板の表面に順次化学反応を起こして固体状の薄膜を生成する。
【0056】
プラズマ強化化学気相堆積(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、PECVD)は、放電現象を利用して対象物質に対応する原子をイオン化した後、基板1上に化学反応堆積を形成する堆積法である。
【0057】
原子層堆積が一度に1層の原子しか形成できない反応機構に制限されているため、原子層堆積の速度が小さく、原子層堆積の生産能力が低くなり、基板の表面への被覆性が向上することが理解できる。プラズマ強化化学気相堆積は前駆体を順次堆積する必要がなく、製造効率を大幅に向上させることができるが、プラズマ強化化学気相堆積による成膜の均一性が悪く、平坦な表面を厚く被覆し、粗面を薄く被覆する。また、プラズマ強化化学気相堆積を採用する方の緻密度が低く、且つイオン化過程がパッシベーション表面に衝撃損傷を与える。
【0058】
したがって、本願の実施例において、原子層堆積及びプラズマ強化化学気相堆積を採用して第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22をそれぞれ形成することができ、あるいは、同じ方法で第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22を製造し、且つ第1パッシベーション層21の製造速度を第2パッシベーション層22の製造速度よりも小さく制御することにより、上記緻密度の高い第1パッシベーション層21及び緻密度の低い第2パッシベーション層22を形成することができる。このように、一方では、第1パッシベーション層21の製造プロセス及び製造速度を調整することにより、例えば原子層堆積を採用することができ、原子層堆積は揮発性前駆体分子とマトリックスとの自己停止表面制限反応に基づいて、膜層の厚さのナノメートルオーダーの精密な制御を実現することができるので、膜厚が均一かつ緻密で、クラックがなく、保形効果が良好な第1パッシベーション層21を生成することができ、それによって第1パッシベーション層21の成膜品質を確保し、且つ第1パッシベーション層21の基板1の表面に対するパッシベーション効果を確保することができる。他方では、第1パッシベーション層21の厚さを小さくし、第2パッシベーション層22の厚さを大きく制御し、且つ製造速度が速い製造方法を採用して第2パッシベーション層22を製造し、例えばプラズマ強化化学気相堆積を採用して第2パッシベーション層22を迅速に形成することができ、パッシベーション層2の厚さが一定である場合、パッシベーション層2の製造効率をできる限り向上させることができる。このように、パッシベーション層2のパッシベーション効果を効果的に向上させるとともに、製造効率を向上させることができ、それによってパッシベーション効果と製造効率との関係を効果的にバランスさせ、パッシベーション効果を向上させることができる。
【0059】
また、第2パッシベーション層22は、第1パッシベーション層21を保護することもでき、それによって第1パッシベーション層21の薄すぎることによる強度不足、損傷しやすいなどの問題を効果的に減らすことができ、パッシベーション層2に十分な信頼性を有させる。
【0060】
これに加えて、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材料が同じであるように制御することにより、太陽電池における他の膜層を製造するとき、当該第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材料特性のみを考慮すればよく、他の膜層の異なる位置の製造プロセスの影響を考慮する必要がない。
【0061】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材料がいずれも酸化アルミニウムを含むことを例とすると、第1パッシベーション層21における酸化アルミニウムは、AIOxで表され、xの値が1.45~1.55であり、第2パッシベーション層22の酸化アルミニウムは、AIOxで表され、xの値が0.5~2であり、且つ第2パッシベーション層22の異なる領域で、xの値が異なる。
【0062】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21の材料の均一性は良好であるが、第2パッシベーション層22の材料の均一性は悪い。これは、さらに製造工程及び製造速度を制御することにより、材料の均一性を調整することができることが証明された。これにより、第1パッシベーション層21は、良好なパッシベーション効果を有することができるが、第2パッシベーション層22のパッシベーション効果は悪いが、パッシベーション層2の製造効率を効果的に向上させることができる。
【0063】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21における酸化アルミニウムの3価のアルミニウムイオンの物質量の割合は、比較的高く、85%よりも大きい。
【0064】
いくつかの実施例において、上記第1パッシベーション層21の平均厚さは0.1~6nmであり、第2パッシベーション層22の平均厚さは1~30nmである。
【0065】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の平均厚さを上記範囲内に制御することにより、パッシベーション効果を最大限に向上させるとともに、製造効率を両立させることができ、それによって光電変換効率を最大限に向上させることができる。
【0066】
ここで、なお、第1パッシベーション層21の平均厚さが0.1~6nmであるとは、第1パッシベーション層21の平均厚さが0.1~6nmのいずれかの値であることを意味し、例示的には、第1パッシベーション層21の平均厚さは0.1nm、0.2nm、0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm又は6nmである。
【0067】
第2パッシベーション層22の平均厚さが1~30nmであるとは、第2パッシベーション層22の平均厚さが1~30nmのいずれかの値であることを意味し、例示的には、第2パッシベーション層22の平均厚さは1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm又は30nmである。
【0068】
ここで、なお、第1パッシベーション層21の平均厚さが第2パッシベーション層22の平均厚さよりも小さいので、第2パッシベーション層22の平均厚さが1nmである場合、第1パッシベーション層21の平均厚さが0.1nm以上1nm未満の間のいずれかの値であり、第1パッシベーション層21の平均厚さが6nmである場合、第2パッシベーション層22の平均厚さが6nmよりも大きく30nm以下のいずれかの値であることが理解される。
【0069】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は、太陽電池の光電変換効率を向上させるために適切な厚さを有する。このとき、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の合計厚さが25nmであることを例とすると、第1パッシベーション層21の厚さは0.1~6nmのいずれかの値であってもよく、第2パッシベーション層22の厚さは19~24.9nmのいずれかの値であってもよく、且つ第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の厚さの和は25nmである。
【0070】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の厚さの均一性は、第2パッシベーション層22の厚さの均一性よりも優れる。
【0071】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21の均一性は、第2パッシベーション層22の均一性よりも優れるため、第1パッシベーション層21の表面はより平坦で、基板1の表面に対する被覆性が良好であり、第2パッシベーション層22の表面の起伏は比較的大きく、基板1の表面に対する被覆性が悪いので、第1パッシベーション層21は第2パッシベーション層22に対してより優れたパッシベーション効果を有する。
【0072】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の異なる領域の厚さの差は0.5nm未満であり、第2パッシベーション層22の異なる領域の厚さの差は0.5nmよりも大きい。
【0073】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21の均一性は第2パッシベーション層22の均一性よりも優れる。また、上記第1パッシベーション層21の平均厚さが第2パッシベーション層22の平均厚さよりも小さいが、第1パッシベーション層21の厚さ均一性が良好であり、第2パッシベーション層22の厚さ均一性が悪いため、第1パッシベーション層21のある位置の厚さが第2パッシベーション層22のある位置の厚さよりも大きくなる場合がある。
【0074】
いくつかの実施例において、
図2に示すように、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は、基板1の側面までも被覆し、且つ第1パッシベーション層21の基板1の側面における被覆面積は、第2パッシベーション層22の基板1の側面における被覆面積以下である。
【0075】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21の基板1の側面における被覆面積を第2パッシベーション層22の基板1の側面における被覆面積以下に制御することによって、第1パッシベーション層21の周囲めっきを減少させることができ、このように、後続にパッシベーション層2の基板1の第2面への周囲めっきを回避し、それによって後続の第2面の周囲めっきの除去が容易になり、金属電極と基板1との接触不良を減少させることができる。
【0076】
いくつかの実施例において、基板1は、第1パッシベーション層21から徐々に離れる方向に沿って順次設けられた第1厚さ部分1a及び第2厚さ部分1bを含み、第1パッシベーション層21は、第1厚さ部分1aに対応する側面を被覆し、第2パッシベーション層22は、第1厚さ部分1a及び第2厚さ部分1bに対応する側面を被覆する。いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21は、第1厚さ部分1aに対応する側面のみを被覆し、第2厚さ部分1bに対応する側面を被覆しない。
【0077】
これらの実施例において、基板1の側面に第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22を形成することによって、太陽電池の側面のキャリア再結合速度をさらに減少させることができ、それによって太陽電池の光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0078】
いくつかの実施例において、第1厚さ部分1aの厚さは基板1の厚さの1/2以上基板1の厚さ以下であり、第1厚さ部分1a及び第2厚さ部分1bの厚さの和は基板1の厚さの2/3以上基板1の厚さ以下である。
【0079】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21は、エッジの周囲めっきが小さく、側面の被覆面積が小さく、第2パッシベーション層22は、エッジの周囲めっきが大きく、側面の被覆面積が大きい。
【0080】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の周囲めっきを制御することにより、側面の一部又は全部の領域が第2パッシベーション層22のみで被覆される場合もある。
【0081】
いくつかの実施例において、第2パッシベーション層22は、基板1の第2面12の周囲にもめっきされる。
【0082】
いくつかの実施例において、基板1の厚さが80~200μmであるので、第1厚さ部分1aの厚さは10~200μmであり、第1厚さ部分1a及び第2厚さ部分1bの厚さの和は50~200μmであってもよい。
【0083】
これらの実施例において、第2パッシベーション層22の被覆面積は第1パッシベーション層21の被覆面積以上であるので、第2パッシベーション層22で被覆された側面の面積(第1厚さ部分1a及び第2厚さ部分1bの厚さの和に対応)は第1パッシベーション層21で被覆された側面の面積(第1厚さ部分1aの厚さに対応)以上であり、このとき、第1パッシベーション層21で被覆された側面が対応する第1厚さ部分1aの厚さが200μmであるとき、第2パッシベーション層22で被覆された側面が対応する第1厚さ部分1aが対応する第1厚さ部分1aの厚さの和も200μmであり、且つ基板1の第2面の周囲にめっきされることができる。
【0084】
ここで、製造工程を制御することにより第1パッシベーション層21の基板1の側面における被覆面積を制御することができ、それによって第1パッシベーション層21の周囲めっきを低減することができる。
【0085】
ここで、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の製造方法は異なってもよく、例示的には、第1パッシベーション層21は原子層堆積法を採用して製造され、第2パッシベーション層22は、プラズマ強化化学気相堆積法を採用して製造されてもよい。あるいは、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の製造方法は同じであってもよく、例えば第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22は、いずれも原子層堆積を採用して製造されてもよく、このとき、第1パッシベーション層21の製造速度は第2パッシベーション層22の製造速度よりも小さい。
【0086】
ここで、第1パッシベーション層21及び/又は第2パッシベーション層22の側面の被覆面積を制御し、周囲めっきを減らすために、ALD時間法又はALD空間法を採用して製造することができる。
【0087】
例示的には、第1パッシベーション層21がALD時間法又はALD空間法を採用して製造されることを例とすると、原子層堆積の反応チャンバ内に複数の噴流ヘッドが設けられてもよく、異なる噴流ヘッドが異なるガス状物質を反応チャンバに搬送するために用いられる。反応チャンバは対応的に複数の噴流領域を有し、複数の噴流領域には複数の噴流ヘッドがそれぞれ1対1で対応して配置されている。
【0088】
例示的には、搬送可能なガス状物質は、各前駆体源(例えば第1前駆体源及び第2前駆体源)及び不活性ガスなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0089】
いくつかの実施例において、噴流ヘッドは反応チャンバの上壁に接続されてもよく、基板1は、反応チャンバの底壁に置かれてもよく、これによりガス状物質が基板1の第1面に対して垂直に噴出され、第1前駆体源及び第2前駆体源が基板1の第1面側に均一に吸着し、且つ反応を起こすことができる。例示的には、第1パッシベーション層21の材料は、酸化アルミニウムであり、このとき、第1前駆体源はアルミニウム源であってもよく、例えば当該アルミニウム源は、トリメチルアルミニウム(Trimethyl-Aluminu、TMA)であり、第2前駆体源は酸素源であってもよく、例えば、当該酸素源は水及びオゾンのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0090】
ここで、
図3に示すように、ALD時間法の製造方法は、基板1が位置する反応チャンバ内に第1前駆体源を導入するステップ101と、第1所定時間が経過した後、反応チャンバ内の第1前駆体源を排出し、且つ第2前駆体源を導入するステップ102と、第2所定時間が経過した後、反応チャンバ内の第2前駆体源を排出するステップ103と、第1パッシベーション層21の厚さが目標厚さに達するまで、上記ステップ101~ステップ103を繰り返し実行するステップ104と、を含んでもよい。
【0091】
ここで、ステップ101において、第1前駆体源を導入した後、第1前駆体源が不活性ガスの保護下で基板1に吸着され、且つ基板1上にアルミニウム膜を形成し、第1所定時間後に反応チャンバ内の第1前駆体源を排出し、第1所定時間とは噴流ヘッドが第1前駆体源を噴出した時刻からアルミニウム膜が基板1の第1面全面を覆った時刻までの時間であり、このとき、第2前駆体源を導入すると、残った第1前駆体源と導入された第2前駆体との反応を効果的に抑制することができ、それによって不要な反応生成物が基板1の第2面に付着して、基板1の第1面の反応に影響を与えたり、基板1の第1面の成膜が不均一になったりすることを効果的に抑制することができる。第1所定時間は、アルミニウム膜の堆積時間を制御するために、基板1の第1面の面積、反応チャンバの体積、第1前駆体源の噴出流量及び/又は噴出圧力、及び噴流ヘッドと基板1との間の距離などのうちの少なくとも1つに関連付けられてもよい。
【0092】
ステップ102及びステップ103において、第2前駆体源を反応チャンバに導入すると、第2前駆体源は基板1の第1面側に吸着されたアルミニウム膜と反応して対応する生成物を生成し、反応チャンバ内の第1前駆体源が完全に消費されると、第1パッシベーション層21を形成する。第2所定時間とは、噴流ヘッドが第2前駆体源を噴出した時刻から第2前駆体源中の酸素原子が基板1に到達して基板1の第1面全面を覆った時刻までの時間である。第2前駆体源を導入する前に反応していない第1前駆体源を既に排出したので、第2前駆体源を導入した後、基板1の第1面以外の残りの領域に原子層が堆積することを低減することができ、第1前駆体源と第2前駆体源との「時間」的な分離を実現し、大きな割合の第1前駆体源及び第2前駆体源が基板1の第1面側で反応することができ、それによって周囲めっきを減らすことができる。
【0093】
第2所定時間は、酸素原子の堆積時間を制御するために、基板1の第1面の面積、反応チャンバの体積、第1前駆体源の噴出流量及び/又は噴出圧力、及び噴流ヘッドと基板1との間の距離などのうちの少なくとも1つに関連付けられてもよい。
【0094】
いくつかの実施例において、
図4に示すように、ALD空間法の製造方法は、第1前駆体源が導入された第1噴流領域、隔離ガスが導入された第2噴流領域及び第2前駆体源が導入された第3噴流領域を順次通過するように基板1を移動させるように制御するステップ201と、第1パッシベーション層21の厚さが目標厚さに達するまで、ステップ201を繰り返し実行するステップ202と、を含んでもよい。
【0095】
ここで、
図5に示すように、基板1はホットプレート上に置かれ、ホットプレートを移動させることにより基板1を反応チャンバ内で移動させ、第1前駆体源は第1噴流ヘッドで噴出され、第2前駆体源は第3噴流ヘッドで噴出され、隔離ガスは第2噴流ヘッドで噴出される。
【0096】
隔離ガスは、第1前駆体源と第2前駆体源のいずれとも反応しないガスであり、
図5に示すように、第1噴流ヘッド、第2噴流ヘッド及び第3噴流ヘッドを基板1の移動方向に沿って順次設け、反応チャンバの上壁に直線状に配列し、且つ基板1をホットプレート上に置き、ホットプレートの移動を制御して基板1各噴流領域を順次通過させることにより、第1噴流ヘッド、第2噴流ヘッド及び第3噴流ヘッドがそれぞれ基板1の第1面に対応するガス状物質を噴出することを容易にする。一方、隔離ガスで第1前駆体源及び第2前駆体源を隔離することにより、第1前駆体源及び第2前駆体源が基板に到達する前に反応することを抑制し、且つ第1前駆体源及び第2前駆体源が基板の第1面以外の他の領域に到達することを抑制することができ、それによって周囲めっきを減らすことができる。
【0097】
いくつかの実施例において、隔離ガスは例示的には窒素(N2)又は他の不活性ガスであってもよい。
【0098】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の堆積効果を確保するために、上記各噴流ヘッドの噴出流量及び/又は噴出圧力は、基板1の移動速度に応じて決定することができる。
【0099】
理解されるように、原子層の堆積効果は、第1前駆体源の吸着効果、第2前駆体源の吸着及び反応効果及び隔離ガスの隔離効果などと関連していることが理解できる。したがって、原子層の堆積効果の要求に応じて、基板1の移動速度、各噴流ヘッドの噴出流量及び/又は噴出圧力及び各噴流ヘッドの制御ロジックを適切に調整することができる。
【0100】
いくつかの例において、各噴流ヘッドは、反応チャンバ内に対応するガス状物質を継続的に導入することができ、噴流ヘッドの制御ロジックを簡略化し、且つ第1前駆体の吸着効果、第2前駆体の反応効果及び隔離ガスの隔離効果の最適化を実現する。
【0101】
別の例において、各噴流ヘッドは、各材料の使用量を低減するために、基板1が対応する噴流領域に入る直前にのみ、対応するガス状物質の反応チャンバ内への搬送を開始してもよい。
【0102】
さらに別の例において、基板1が対応する噴流領域に入る直前にのみ、各前駆体源に対応する噴流ヘッドが対応する前駆体源の反応チャンバ内への導入を開始するように制御し、且つ隔離ガスの噴流ヘッドが反応チャンバ内へ隔離ガスを継続的に搬送するように制御することにより、隔離効果と反応効果を確保しつつ前駆体源の使用量を低減することができる。
【0103】
上記では反応チャンバ内に1組の噴流ヘッドのみを設ける場合について説明したが、別のいくつかの実施例において、反応チャンバ内に複数組の噴流ヘッドが設けられてもよく、各組の噴流ヘッドは、基板の移動方向に沿って順次設けられた第1噴流ヘッド、第2噴流ヘッド及び第3噴流ヘッドを含む。
【0104】
例示的には、
図6に示すように、反応チャンバ内に2組の噴流ヘッドが設けられ、各組の噴流ヘッドは、基板の移動方向に沿って順次設けられた第1噴流ヘッド、第2噴流ヘッド及び第3噴流ヘッドを含む。基板1の直線移動を制御することにより基板1が各噴流領域を順次通過することができるので、連続した複数回の原子層堆積が可能となり、第1パッシベーション層21の製造効率をさらに向上させることができる。
【0105】
なお、
図5に示すように、反応チャンバ内に1組の噴流ヘッドが設けられる場合、1サイクルの反応終了後に、反応チャンバ内の全ガスを排出し、且つ基板1を第1噴流領域に再移動させ、上記ステップを繰り返し実行する。この実施例で要求される反応チャンバの体積が小さく、小ない生産量の製造シーンに適しているが、
図6に示すように複数組の噴流ヘッドを含む場合、体積が大きい反応チャンバが要求され、より大きな生産量の製造シーンに適する。
【0106】
ALD時間法を採用して第1パッシベーション層21を製造する場合と比べると、ALD空間法を採用して第1パッシベーション層21を製造する場合、第1噴流領域、第2噴流領域及び第3噴流領域を順次通過するように基板1を移動させるように制御することにより、「空間」的な隔離を実現し、反応チャンバを排気するプロセスを省略することができ、第1パッシベーション層21を製造するのに必要な時間を大幅に短縮することができる。
【0107】
この過程において、第2噴流領域を設けて第1前駆体源及び第2前駆体源を「空間」的に隔離し、且つ第2噴流領域の幅及び隔離ガスの噴出流量及び/又は噴出圧力を合理的に設定することにより、第1前駆体源及び第2前駆体源を効果的に隔離することができ、大きな割合の第1前駆体源及び第2前駆体源がいずれも基板1の第1面側で原子層堆積を起こすことができ、それにより周囲めっきを減らすことができる。
【0108】
別のいくつかの実施例において、
図7に示すように、ALD空間法の製造方法は、第1前駆体源が導入された第1噴流領域、排気領域のガス状物質を反応チャンバから排出するための排気領域、及び第2前駆体源が導入された第3噴流領域を順次通過するように基板1を移動させるように制御するステップ301と、第1パッシベーション層21の厚さが目標厚さに達するまで、ステップ301を繰り返し実行するステップ302と、を含んでもよい。
【0109】
図8に示すように、基板1はホットプレート上に置かれ、ホットプレートを移動させることにより基板1を反応チャンバ内で移動させ、第1前駆体源は第1噴流ヘッドで噴出され、第2前駆体源は第3噴流ヘッドで噴出され、排気領域は、排気領域のガス状物質を反応チャンバから排出するために、第1噴流ヘッドと第2噴流ヘッドとの間に設けられる。
【0110】
排気領域を設けることにより、第1前駆体源及び第2前駆体源が排気領域に拡散すると、いずれも反応チャンバから適時に排出することができ、それによって第1前駆体源と第2前駆体源との反応を抑制し、周囲めっきを減らすことができる。上記隔離ガスを設けることにより、隔離ガスによって第1前駆体源及び第2前駆体源を隔離することと同様に、排気領域を設けることにより、排気領域によって外部に排気し、余分な第1前駆体源及び第2前駆体源を反応チャンバから適時に排出することは、同様に第1前駆体源及び第2前駆体源が基板に到達する前に反応することを減らすことに寄与し、且つ余分な第1前駆体源及び第2前駆体源が基板の第1面以外の領域に到達することを抑制することができ、それによって周囲めっきを減らすことができる。
【0111】
いくつかの実施例において、
図8に示すように、上記排気領域に排気ラインが設けられてもよく、排気ラインを真空ポンプに接続することによって、排気領域のガス物質への吸引を実現することができ、それによって排気領域に拡散した余分な第1前駆体源及び第2前駆体源を反応チャンバから適時に排出することができる。
【0112】
これらの実施例において、排気領域による「空間」的な隔離が可能であり、且つ反応チャンバの排気プロセスを省略することができ、さらに第1パッシベーション層の製造に要する時間を大幅に短縮することができる。同時に、排気領域を設けることにより、第1前駆体源と第2前駆体源とを隔離し、且つ排気領域の幅を合理的に設けることにより、第1前駆体源と第2前駆体源とがぶつかり合うことを効果的に隔離し、大きな割合の第1前駆体源と第2前駆体源との反応が基板1の第1面側で行われるようにし、それによって周囲めっきを減らす。
【0113】
もちろん、いくつかの実施例において、基板1の移動方向に沿って順次配列された2組の噴流ヘッドを反応チャンバ内に設けてもよく、一組の噴流ヘッドは、第1噴流ヘッド及び第3噴流ヘッド、及び第1噴流ヘッドと第3噴流ヘッドとの間に設けられた第2噴流ヘッドを含み、第2噴流ヘッドは隔離ガスを噴出するために用いられ、もう一組の噴流ヘッドは、第1噴流ヘッド及び第3噴流ヘッド、及び第1噴流ヘッドと第3噴流ヘッドとの間に設けられた排気領域を含んでもよい。第1前駆体源の第1噴流領域、排気領域、隔離ガスの第2噴流領域、及び第2前駆体源の第3噴流領域を順次通過させるように基板1を移動させるように制御することによって、空間的に隔離された堆積を実現することも可能であり、連続的な複数の堆積を実現することも可能である。
【0114】
さらに別のいくつかの実施例において、
図9に示すように、ALD空間法の製造方法は、第1前駆体源が導入された第1噴流領域及び第2前駆体源が導入された第3噴流領域を順次通過するように基板1を移動させるように制御するステップ401であって、第1噴流領域と第3噴流領域との間に第1間隔dを有するステップ401と、第1パッシベーション層21の厚さが目標厚さに達するまで、ステップ401を繰り返し実行するステップ402と、を含んでもよい。
【0115】
図10に示すように、基板1はホットプレート上に置かれ、ホットプレートを移動させることにより、基板1を反応チャンバ内で移動させ、第1前駆体源は第1噴流ヘッドで噴出され、第2前駆体源は第3噴流ヘッドで噴出され、第1間隔dは第1噴流領域と第3噴流領域との間の距離を広げることができ、それによって第1前駆体源及び第2前駆体源が基板1の第1面以外の残りの領域で反応することを効果的に抑制することができ、それによって周囲めっきを減らすことができる。
【0116】
いくつかの実施例において、第1間隔dは、第1前駆体源及び第2前駆体源の噴出流量及び/又は噴出圧力に応じて決定されてもよい。
【0117】
具体的には、第1間隔dを設ける目的は、第1前駆体源及び第2前駆体源が基板1の第1面以外の残りの領域で反応することを減少させることであるため、第1前駆体源及び第2前駆体源の噴出流量又は噴出圧力が大きいほど、2つの前駆体源は、気流の作用によって反応しやすくなる。したがって、第1間隔dの設定は、第1前駆体源及び第2前駆体源の噴出流量及び噴出圧力と正の相関関係を有し、つまり、第1前駆体源及び第2前駆体源の噴出流量及び/又は噴出圧力が大きいほど、第1間隔dをより大きい値に設定して「空間」的な隔離効果を向上させる必要がある。
【0118】
これらの実施例において、第1噴流領域と第3噴流領域との間に第1間隔dを設けることによって、他のデバイスの追加又は隔離ガスの負荷を必要とすることなく、大きな割合の第1前駆体源及び第2前駆体源を基板1の第1面側で反応させることができ、それによって周囲めっきを減らすという目的を達成することができる。すなわち、第1噴流領域と第3噴流領域との間に、他の任意のガスが導入された噴流領域を設けなくてもよい。
【0119】
いくつかの実施例において、上記第2パッシベーション層は、プラズマ強化化学気相堆積を採用して製造することができる。
【0120】
これらの実施例において、プラズマ強化化学気相堆積を利用して第2パッシベーション層を製造し、第2パッシベーション層の周囲めっきを考慮する必要がなく、製造効率を向上させることができる。
【0121】
別のいくつかの実施例において、第2パッシベーション層は、プラズマ強化化学気相堆積とALD空間法とを交互に採用して製造することができる。
【0122】
これらの実施例において、製造効率を向上させつつ、第2パッシベーション層の周囲めっきを適度に減らすことができ、第2パッシベーション層の膜層の緻密度をある程度向上させてパッシベーション効果をさらに向上させることができる。
【0123】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の水素含有量は、第2パッシベーション層22の水素含有量よりも小さい。ここで、パッシベーション層2の水素含有量は、対応する製造プロセスに関連する。具体的には、第1パッシベーション層21及び第2パッシベーション層22の材質が酸化アルミニウムであることを例とすると、プラズマ強化化学気相堆積法を採用して第2パッシベーション層22を製造し、且つ第2パッシベーション層22中の水素含有量を高く制御し、例えばトリメチルアルミニウムの導入量及び反応の飽和度を制御することにより、第2パッシベーション層22中の水素含有量を高く制御することができる。一方、原子層堆積「時間」法を採用して第1パッシベーション層21を製造し、且つ第1パッシベーション層21中の水素含有量を低く制御し、例えばトリメチルアルミニウムの導入量及び反応の飽和度を制御することにより、第1パッシベーション層21中の水素含有量を低く制御することができる。パッシベーション層中の水素原子含有量が低いほど、パッシベーション効果が高い。したがって、上記パッシベーション層2の製造効率が高い場合、プラズマ強化化学気相堆積とALD空間法とを交互に採用して第2パッシベーション層22を製造し、第2パッシベーション層22のパッシベーション効果をさらに向上させることができ、それによってパッシベーション層2のパッシベーション効果をさらに向上させることができる。
【0124】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層21の負電荷密度は、第2パッシベーション層22の負電荷密度よりも大きい。具体的には、パッシベーション層と基板1との接触面の負電荷密度が高いほど、P型シリコン表面の少数キャリアを遮蔽する能力が高くなるため、より良好なフィールドパッシベーション特性を有する。
【0125】
これらの実施例において、第1パッシベーション層21の負電荷密度を第2パッシベーション層22の負電荷密度よりも大きく設定することにより、基板1に近い第1パッシベーション層21のパッシベーション効果が基板1から遠い第2パッシベーション層22のパッシベーション効果よりも高くなり、太陽電池の光電変換効率をより効果的に向上させることができる。
【0126】
上記の各実施例に係るフローチャート中の各ステップは、矢印で示されるように連続して表示されるが、これらのステップは必ずしも矢印で示される順序で連続して実行されるわけではないことが理解されるべきである。本明細書で明示的に指定されていない限り、これらのステップの実行には厳密な順序制限はなく、別の順序で実行することができる。さらに、上記の各実施例に係るフローチャート中のステップの少なくとも一部は、必ずしも同じ時刻に完了するのではなく、異なる時刻に実行されることができる複数のステップ又は複数の段階を含むことができ、これらのステップ又は段階の実行順序は必ずしも連続的ではなく、他のステップ又は他のステップ中のステップ又は段階の少なくとも一部と交互に又は交互に実行されることができる。
【0127】
第2態様において、本願のいくつかの実施例は、直列及び/又は並列に接続された複数の太陽電池を含む太陽光発電モジュールを提供し、少なくとも1つの太陽電池は第1態様に記載の太陽電池である。
【0128】
いくつかの実施例において、太陽光発電モジュールは、直列及び/又は並列に接続された複数の太陽電池の表面を被覆するための封止層と、太陽電池から離れた封止層の表面を被覆するためのカバープレートとをさらに含むことができる。太陽電池は、全体又は複数枚の形態で電気的に接続される。
【0129】
いくつかの実施例において、複数の太陽電池は導電性テープによって電気的に接続されてもよい。封止層は、太陽電池及び導電性テープの表面を被覆して太陽電池を封止する。
【0130】
いくつかの実施例において、封止層は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー薄膜、ポリエチレンオクテン共エラストマー薄膜、又はポリエチレンテレフタレート薄膜などの有機封止薄膜であってもよい。
【0131】
別のいくつかの実施例において、カバープレートは、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。
【0132】
本願の実施例は、第2態様に記載の太陽光発電モジュールを含む、太陽光発電システムをさらに提供する。
【0133】
理解されるように、太陽光発電システムは、地上発電所、屋上発電所、水面発電所などの太陽光発電所に適用することができ、ユーザ太陽光電源、太陽光街路灯、太陽光カー、太陽光ビルディングなどのような太陽光を利用して発電する設備又は装置に適用することができることを理解されたい。もちろん、理解されるように、太陽光発電システムの適用場面はこれらに限らない。
【0134】
つまり、太陽光発電が要求されるあらゆる分野に適用可能である。太陽光発電システム網を例にとると、太陽光発電システムは、太陽光発電アレイ、母線箱及びインバータを含み、太陽光発電アレイは、複数の太陽光発電モジュールのアレイの組み合わせであってもよく、例えば、複数の太陽光発電モジュールは、複数の太陽光発電アレイを構成してもよく、太陽光発電アレイは、母線箱に接続され、母線箱は、太陽光発電アレイが発生する電流を集束し、集束した電流は、インバータを介して商用電力網が要求する交流電流に変換した後、商用電力網に接続されて太陽光の給電を実現する。
【0135】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例の各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書に記載の範囲と考えるべきである。
【0136】
上記実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示したに過ぎず、その説明は、より具体的且つ詳細になされたものであるが、それによって特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。当業者にとっては、本発明の概念から逸脱することなく、いくつかの変形及び改良が加えられてもよく、これらは本発明の保護範囲に属することに留意されたい。したがって、本発明特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。