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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124177
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/00 20240101AFI20240905BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B60K37/00 C
G01D11/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032170
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】青木 敬
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼西 雄大
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和輝
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA01
3D344AA30
3D344AB01
3D344AC07
(57)【要約】
【課題】カバーパネルがリアケースに沿って湾曲形成され、オンダッシュ搭載されるものにおいて、リアケースの強度を効果的に上げることのできる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両のダッシュボード上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置において、底面部131の背面側には、三角形、四角形、あるいは六角形の筒状体が、それぞれ単独状態で、あるいは混合状態で並べられて、筒状体の各壁部133aによって形成される背面補強リブ133が設けられており、背面補強リブのうち、底面部の下辺1312側から上辺1311側となる所定方向に対して所定の角度差を許容して、所定方向に沿うように連続的に繋がる連続リブ1331の高さh1が、所定値に設定され、背面補強リブのうち、連続リブを除き、所定方向に対して交差する交差リブ1332の高さh2が、所定値よりも低く設定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体状態で平面状を成して、画像を表示する表示部(110)と、
前記単体状態で前記平面状を成して、前記表示部の視認側に接合される透明なカバー部材(120)と、
矩形状を成して前記表示部の背面側に配設される底面部(131)を有し、前記底面部が湾曲形成されており、前記底面部に沿うように強制的に湾曲された前記表示部および前記カバー部材を支持する筐体(130)と、を備え、
車両のダッシュボード上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、
前記底面部の背面側には、三角形、四角形、あるいは六角形の筒状体が、それぞれ単独状態で、あるいは混合状態で並べられて、前記筒状体の各壁部(133a)によって形成される背面補強リブ(133)が設けられており、
前記背面補強リブのうち、前記底面部の下辺(1312)側から上辺(1311)側となる所定方向に対して所定の角度差を許容して、前記所定方向に沿うように連続的に繋がる連続リブ(1331)の高さ(h1)が、所定値に設定され、
前記背面補強リブのうち、前記連続リブを除き、前記所定方向に対して交差する交差リブ(1332)の高さ(h2)が、前記所定値よりも低く設定された車両用表示装置。
【請求項2】
前記底面部には、4辺のうち、少なくとも前記上辺に沿う領域に、断面がU字状のUリブ(134)が形成された請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記Uリブの内側には、対向する壁部同士を接続する接続リブ(1341)が形成された請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記UリブのU字状底部には、前記底面部の背面側に延びる延設リブ(1342)が形成された請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示部には、表示制御用の駆動回路(150)が、フレキシブル配線(151)を介して接続されており、
前記フレキシブル配線は、前記底面部に形成された矩形状の挿通孔(131a)に挿通されており、
前記挿通孔の少なくとも1辺に沿う領域には、前記底面部の背面側に延びる補強リブ(135)が形成された請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記底面部には、背面側に突出する台座部(136)が形成された請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記背面補強リブの前記各壁部は、前記底面部の上辺と下辺とを結ぶ仮想面(VP)に対して、直交する方向に設定された請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記筐体は、重量6.8kg、直径165mmのインパクターが、速度5.4m/sで打撃されたときに、時間3msの間、発生加速度が80Gを超えないように設定された請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用表示装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の車両用表示装置は、ディスプレイパネル(表示部)を収容するキャビネット(筐体)の外周部に、断面がL字で額縁状を成す金属製のエッジブラケットが取付られている。ディスプレイパネルの視認者側には、ガラス製のカバープレート(カバーパネル)が設けられている。そして、カバープレートの外周部(縁部分)は、接着層を介してエッジブラケットに接着されており、カバープレートの縁表面(板厚の見える面)は、エッジブラケットの立ち壁(第2の部分)によって、保護(割れ防止)されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6074498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、湾曲形成された筐体に沿うように、カバーパネルおよび表示部が強制的に曲げられて筐体に装着される車両用表示装置(曲面ディスプレイ装置)では、曲げ性を確保するために、カバーパネルの板厚は相対的に薄いものが選定される。また、この車両用表示装置が、車両のダッシュボードに対して立ち姿勢となるオンダッシュ搭載であると、車両衝突時の乗員の頭部の衝突による外力や、乗車や降車時に乗員が車両用表示装置に手を置いて体を支えることによる外力等を受ける場合がある。このような場合、筐体が変形して、この変形に伴って、カバーパネルが割れることがある。上記の特許文献1では、このようなカバーパネルの割れを防止できない。
【0005】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、カバー部材が筐体に沿って湾曲形成され、オンダッシュ搭載されるものにおいて、筐体の強度を効果的に上げることのできる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
本開示では、単体状態で平面状を成して、画像を表示する表示部(110)と、
単体状態で平面状を成して、表示部の視認側に接合される透明なカバー部材(120)と、
矩形状を成して表示部の背面側に配設される底面部(131)を有し、底面部が湾曲形成されており、底面部に沿うように強制的に湾曲された表示部およびカバー部材を支持する筐体(130)と、を備え、
車両のダッシュボード上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、
底面部の背面側には、三角形、四角形、あるいは六角形の筒状体が、それぞれ単独状態で、あるいは混合状態で並べられて、筒状体の各壁部(133a)によって形成される背面補強リブ(133)が設けられており、
背面補強リブのうち、底面部の下辺(1312)側から上辺(1311)側となる所定方向に対して所定の角度差を許容して、所定方向に沿うように連続的に繋がる連続リブ(1331)の高さ(h1)が、所定値に設定され、
背面補強リブのうち、連続リブを除き、所定方向に対して交差する交差リブ(1332)の高さ(h2)が、所定値よりも低く設定されている。
【0008】
この開示によれば、底面部の背面側に背面補強リブが設けられているので、単純に底面部の板厚を厚くして、剛性を上げる場合に比べて、板厚や重量の増加を抑制しつつ、底面部(筐体)の強度を効果的に上げることができる。
【0009】
また、背面補強リブは、並べられた筒状体の各壁部によって形成されており、連続リブの高さが所定値に設定され、交差リブの高さが所定値よりも低くなるように設定されている。よって、筐体を射出成形する場合に、底面部の上辺側、あるいは下辺側から材料を射出することで、連続リブによって材料の流れ性が向上されて材料引けの抑制された筐体を成形することが可能となる。材料引けが抑制されることで、筐体の強度を充分に確保することが可能となる。
【0010】
また、表示部で発生した熱が底面部の背面側の空気に伝達されるが、温度上昇した空気は、隣り合う連続リブの間を通り、交差リブの上端部を通過して、下辺側から上辺側に移動しやすくなり、放熱効果を高めることが可能となる。
【0011】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態における車両用表示装置の全体構成を示す分解斜視図である。
図2】車両用表示装置の全体を示す斜視図である。
図3図1のIII-III部を示す断面図である。
図4図3のIV部を示す拡大図である。
図5図3のV方向から見た矢視図である。
図6】背面補強リブにおける連続リブ、および交差リブを示す説明図である。
図7】筐体の成形用の金型を示す説明図である。
図8】第2実施形態の車両用表示装置の全体を示す斜視図である。
図9図8のIX部を示す拡大図である。
図10】第3実施形態の車両用表示装置の背面側を示す説明図である。
図11図10のXI-XI部を示す断面図である。
図12】第4実施形態の車両用表示装置の背面側を示す説明図である。
図13】表示部およびカバーパネルの組付け要領を示す説明図である。
図14】その他の実施形態の背面補強リブを示す説明図である。
図15】その他の実施形態の背面補強リブを示す説明図である。
図16】その他の実施形態の背面補強リブを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態における車両用表示装置100Aについて図1図7を用いて説明する。本実施形態の車両用表示装置100Aは、車両に搭載されて、車両に関連する各種情報(画像)を表示するものとなっている。各種情報は、例えば、車速等の車両走行情報(メータ装置としての表示情報)である。各種情報としては、車両走行情報の他にも、車両用空調装置の作動状態を示す情報、カーナビゲーションシステムにおける地図上の現在位置情報および目的地案内情報、車両オーディオ装置の作動状態を示す情報等とすることも可能である。更に、車両用表示装置100Aでは、テレビやDVD等の動画の表示も可能である。
【0015】
車両用表示装置100Aは、例えば、車両のダッシュボード(インパネ)上に立ち姿勢となるように搭載されており、運転者(視認者)と対向する位置、あるいは車両幅方向の中央位置等に配置されて、表示部110における表示面111が運転者に向けられている。車両用表示装置100Aは、図1図2に示すように、全体(底面部131)が円弧状に湾曲するように形成されている。車両用表示装置100Aは、例えば、上下方向において、上下端(湾曲端部131b)が視認側に突出して、中央部がへこむように湾曲している。表示面111が湾曲形成されることで、運転者には、表示画像に対して立体感(奥行感)を持たせることができる。
【0016】
車両用表示装置100Aは、図1図4に示すように、表示部110、カバーパネル120、リアケース130、接着剤140、および駆動回路150等を備えている。
【0017】
表示部110は、表示面111にマトリックス配置される複数の画素の発光によって、所定の画像(各種情報)を表示するようになっている。表示部110としては、例えば、自発光式のものが使用されている。表示部110は、例えば、正面形状が横長となる矩形状(四角形)の有機ELパネルが使用されている。有機ELパネルの「EL」は、Electro Luminescenceの略表示である。有機ELパネルは、OLED(Organic Light Emitting Diode)とも表示される。
【0018】
表示部110は、自発光式であることから、例えば、液晶式のパネルのようなバックライトを必要としないので、車両用表示装置100Aの厚み寸法としては、極めて薄く(0.1~0.15mm程度)設定することが可能となっている(薄型化)。そして、表示部110は、可撓性(フレキシブル性)を有しており、単体状態では、平面状を成しているが、たわませたり折曲げたりすることも可能となっている。
【0019】
カバーパネル120は、表示部110の表示面111を保護するために設けられた透光性の(透明な)板状の部材となっており、表示部110の運転者側(視認側)に設けられている。カバーパネル120は、本開示のカバー部材に対応する。カバーパネル120は、例えば、ガラス材から形成されている。カバーパネル120は、単体状態では、平面状を成しているが、可撓性を有しており、強制的に湾曲させることが可能となっている。ガラス材としては、例えば、アルミノシリケート(化学強化がラス)を用いて好適である。
【0020】
カバーパネル120は、後述するように表示部110と共に、湾曲形成(冷間曲げ)されており、曲げの曲率半径に応じてカバーパネル120の厚みが設定される。つまり、曲率半径が大きい程、厚みを相対的に大きく設定できる。ここでは、カバーパネル120の厚みは、例えば、0.3~0.4mm程度に設定されている。カバーパネル120は、透光性を有することから、表示部110によって形成される画像が透過して運転者に視認されるようになっている。
【0021】
カバーパネル120の正面形状は、表示部110の表示面111よりも大きく、後述するリアケース130の大きさ(運転者側から見た大きさ)に相当する横長の矩形状を成している。尚、カバーパネル120の材質としては、ガラスの他にも、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)や、PC(ポリカーボネート)等の透明な樹脂材等を用いたものとしてもよい。
【0022】
そして、表示部110とカバーパネル120との間には、例えば、光透過性、および弾性を有する光学透明接着剤121が設けられて、表示部110とカバーパネル120とは、接合されている。尚、光学透明接着剤121に代えて、他の透明な弾性を有する粘着剤(例えば、光学粘着シート(OCA)等)としてもよい。
【0023】
リアケース130は、表示部110の背面側に設けられて、表示部110およびカバーパネル120を支持(収容)する容器体となっている。リアケース130は、本開示の筐体に対応する。リアケース130の正面形状は、カバーパネル120と同等の、横長の矩形状となっている。リアケース130は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、あるいは鋼等の金属から成る部材となっている。リアケース130は、例えば、成形用金型200(上型201、下型202)を用いて、溶融した金属材料を射出することで成形される(図7)。
【0024】
リアケース130は、板状の底面部131と、底面部131の外周領域で、カバーパネル120側に延びる側壁132とを有している。また、底面部131の背面側には、視認側とは反対側(以下、反視認側)に突出する背面補強リブ133が設けられている。尚、リアケース130は、金属製部材とすることで、表示部110、および後述する駆動回路150に対するヒートシンクの役割を果たす部材にもなっている。
【0025】
底面部131は、上記(図1図2)のように湾曲形成されている。底面部131の板厚t(図4)は、例えば、3mm程度である。底面部131の例えば下側には、左右方向に延びる挿通孔131aが設けられており、後述する駆動回路150のフレキシブル配線151が挿通されるようになっている。また、底面部131の湾曲方向(上下方向)の端部は、湾曲端部131bとなっている。また、底面部131の上側の辺は、上辺1311、下側の辺は下辺1312となっている(図5)。
【0026】
また、側壁132は、視認方向に沿って(平行に)立ち上がる壁となっている。立ち上がった面(先端の面)は、端部132aとなっている。端部132aの位置は、カバーパネル120の表側面よりも更に、視認側に突出するようにして、乗員の頭部等の衝突時にカバーパネル120への衝撃が直接的に及ばないようにするとよい。
【0027】
そして、側壁132の内周側には、底面部131の中心側から側壁132に向けて順に、第1端部1321、および第2端部1322が形成されている。第1端部1321と第2端部1322は、底面部131と同様に湾曲形成されている。
【0028】
第1端部1321は、底面部131から視認方向に所定高さだけ突出した面となっている。第1端部1321は、後述する接着剤140が設けられる部位となっている。また、第2端部1322は、第1端部1321(端面)と側壁132の端部132aとの中間位置となるように、底面部131から視認方向に突出した面となっている。第2端部1322は、カバーパネル120の外周部が支持される(当接する)面となっている。
【0029】
背面補強リブ133は、図4図6に示すように、リアケース130(底面部131)の剛性を上げるための補強部であり、底面部131の背面(背面側)において、反視認側に突出して形成されている。背面補強リブ133は、例えば、六角形の筒状体が並べられて(ハニカム構造を成して)、筒状体の各壁部133aが1つ1つのリブとなって形成されている。ここでは、筒状体は隙間なく並べられており、筒状体の六角形は、正六角形となっている。そして、6つの角部のうち、周方向に180度離れて対向する2つの角部が上下位置にくるように配置されている。
【0030】
そして、背面補強リブ133において、底面部131の下辺1312側から上辺1311側となる所定方向(図6中の矢印)に対して、所定の角度差を許容して、所定方向に沿うように連続的に繋がるリブが、連続リブ1331となっている。また、背面補強リブ133において、連続リブ1331を除き、所定方向に対して交差するリブが、交差リブ1332となっている。図6では、理解しやすいように、連続リブ1331を太線で示し、交差リブ1332を細線で示している。
【0031】
上記の所定方向とは、例えば、下側から左上側に向かう方向となっている。所定方向は、ここでは、背面補強リブ133の各六角形との対応から、上下方向(垂直方向)に対して反時計方向に30度、傾いている。そして、所定の角度差とは、所定方向と、連続リブ1331を形成する各壁部133aの傾斜方向との差であり、ここでは、30度となっている。連続リブ1331において、1つ1つの壁部133aは、所定方向に対して完全に一致していないが、所定の角度差を許容することで、連続リブ1331は、全体が緩いジグザグ状を成して所定方向を向いている。隣り合う連続リブ1331は、外部空気の流路を形成する。
【0032】
交差リブ1332の高さh2は、連続リブ1331の高さh1(所定値)よりも低くなるように設定されている。高さh2は、底面部131の板厚tに対して、例えば、1.7倍程度に設定されている。高さh1は、底面部131の板厚tに対して、例えば、2.5倍程度に設定されている。よって、高さh2は、高さh1の70%程度となっている。
【0033】
背面補強リブ133の各壁部133aの面は、底面部131の上辺1311と下辺1312とを結ぶ仮想面VP(図3図4)に対して、直交する方向に設定されている。仮想面VPは、実質的に側壁132の上下の端部132a同士を結ぶ面と同等である。
【0034】
カバーパネル120において、表示部110側となる面の外周部は、第2端部1322に当接支持されている。カバーパネル120は、例えば、位置決め冶具等によって、第2端部1322に対応する位置決めがなされて、第2端部1322によって、厚み方向の位置が規制される。カバーパネル120は、第2端部1322に対して非接合となっている。
【0035】
接着剤140は、カバーパネル120の外周部と、第1端部1321との間に設けられて、カバーパネル120の外周部と、第1端部1321とを接合している。接着剤140としては、例えば、弾性を有する弾性接着剤を用いるのがよい。接着剤140は、図1に示すように、カバーパネル120の外周に沿うように、枠状に形成されている。カバーパネル120が第2端部1322に当接支持される部位は、接着剤140よりも外側(外周側)となっている。
【0036】
接着剤140によって、カバーパネル120が第1端部1321に接合されることで、カバーパネル120、および表示部110は、全体にわたって、リアケース130の底面部131に沿うように冷間曲げされて(弾性変形されて)、湾曲形成されている。
【0037】
接着剤140としては、上記の弾性接着剤に代えて、粘着テープやクランプ機構等を用いたものとしてもよい。
【0038】
尚、表示部110と底面部131との間には、表示部110が直接的に底面部131に干渉しないようにするために緩衝材を設けるようにしてもよい。緩衝材としては、ゲルや接着剤等の液剤、もしくは樹脂やウレタン等のシートとすることが望ましい。また、フィラー(充填剤)を入れる等して、放熱機能を持たせてもよい。つまり、表示部110で発生される熱が、緩衝材を介して、底面部131(リアケース130)から外部に放出されるようにしてもよい。
【0039】
駆動回路150は、表示部110の表示面111における画像の表示状態を制御する制御部である。駆動回路150は、フレキシブル配線151によって、表示部110に接続されている。フレキシブル配線151は、挿通孔131aに挿通されて、駆動回路150は、底面部131の背面側に固定されている。駆動回路150は、ビス等を用いた機械的な締結や、接着剤等を用いた接着等により底面部131に固定されている(図3)。
【0040】
本実施形態の車両用表示装置100Aの構成は、上記のようになっており、以下、その作動および作用効果について説明する。
【0041】
運転者が車両用表示装置100Aの作動操作(例えば、イグニッションスイッチオン)をすると、表示部110の表示面111における各画素の発光状態が、駆動回路150によって制御されて、各種情報が表示される。運転者は、表示される各種情報に基づいて(画像を視認して)、車両の運転を行うことができる。
【0042】
冒頭でも述べたように、カバーパネル120(および表示部110)が後曲げによってリアケース130に装着される場合、曲げ性を確保するために、カバーパネル120の板厚は相対的に薄いものが選定される。また、車両用表示装置100Aがオンダッシュ搭載であると、主に、上辺1311側において、車両衝突時の乗員の頭部の衝突による外力や、乗車や降車時に乗員が車両用表示装置100Aに手を置いて体を支えることによる外力等を受ける場合がある。このような場合、リアケース130が変形して、この変形に伴って、カバーパネル120が割れることがある。よって、リアケース130の強度(剛性)向上が必要となる。
【0043】
本実施形態においては、底面部131の背面側に背面補強リブ133が設けられているので、単純に底面部131の板厚を厚くして、剛性を上げる場合に比べて、板厚や重量の増加を抑制しつつ、底面部131(リアケース130)の強度を効果的に上げることができる。
【0044】
また、背面補強リブ133は、並べられた筒状体の各壁部133aによって形成されており、連続リブ1331の高さh1が所定値に設定され、交差リブ1332の高さh2が、高さh1よりも低くなるように設定されている。よって、リアケース130を射出成形する場合に、底面部131の上辺1311側、あるいは下辺1312側から材料を射出することで、連続リブ1331によって材料の流れ性が向上されて材料引けの抑制されたリアケース130を成形することが可能となる。材料引けが抑制されることで、リアケース130の強度を充分に確保することが可能となる。
【0045】
また、表示部110(および駆動回路150)で発生した熱が底面部131の背面側の空気に伝達されるが、温度上昇した空気は、隣り合う連続リブ1331の間(流路)を通り、交差リブ1332の上端部を通過して、下辺1312側から上辺1311側に移動しやすくなり、放熱効果を高めることが可能となる。
【0046】
また、背面補強リブ133の各壁部133aの面は、底面部131の上辺1311と下辺1312とを結ぶ仮想面VPに対して、直交する方向に設定されている。これにより、図7に示すように、各壁部133aの面の方向を、リアケース130の成形用金型200の抜き方向(図7中の白抜き矢印)に合わせることができる。更に、成形用金型200においては、仮想面VPを水平方向に設定して、上型201と下型202とを設定することで、成形用金型200の厚さ寸法Hを最小にすることが可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、底面部131に背面補強リブ133を設けることにより、車両の衝突時に乗員の頭部が衝突する場合を想定した球状頭部模型の衝突試験(ヘッドインパクト試験)において、カバーパネル120の割れを抑制可能である。球状頭部模型の衝突試験の条件は、「リアケース130は、重量6.8kg、直径165mmのインパクターが、速度5.4m/sで打撃されたときに、時間3msの間、発生加速度が80Gを超えないように設定されていること」である。
【0048】
尚、背面補強リブ133における連続リブ1331の方向は、背面側から見た底面部131の左右方向中心から右側領域において、所定方向が左上側を向くようにし(図6)、また、底面部131の左右方向中心から左側領域において、所定方向が右上側を向くようにしてもよい。これにより、上辺1311の中央部に発生し得る頭部衝突に対して、リアケース130の強度を更に上げることができる。また、背面補強リブ133は、六角形の筒状体が隙間なく並べられたものとしたが、隙間を有するように並べられてもよい。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態の車両用表示装置100Bを図8図9に示す。第2実施形態の車両用表示装置100Bは、第1実施形態の車両用表示装置100Aに対して、Uリブ134を追加したものである。
【0050】
Uリブ134は、底面部131において、4辺のうち、少なくとも上辺1311に沿う領域に形成されている。Uリブ134は、断面がU字状を成して、U字の底部が反視認側を向いている。U字状の底部は、底面部131の背面から反視認側へ突出するように形成されている。
【0051】
また、Uリブ134の内側には、U字の対向する壁同士を接続する板状の接続リブ1341が、上辺1311の延びる方向に、所定間隔をもって、複数、設けられている。
【0052】
更に、Uリブ134の底部には、反視認側(底面部131の背面側)に延びる(突出)する板状の延設リブ1342が設けられている。延設リブ1342は、上辺1311の延びる方向に連続している。
【0053】
Uリブ134の対向する壁、接続リブ1341、および延設リブ1342の板面は、上記の背面補強リブ133の各壁部133aの面と同様に、仮想面VPに対して直交する方向となっている。
【0054】
上記Uリブ134によって、Uリブ134の形成された底面部131の辺部近傍の強度を上げることが可能になり、外力に対するリアケース130の変形を更に効果的に抑制することが可能となる。接続リブ1341、および延設リブ1342によって、Uリブ134自身の強度を更に向上させることが可能となる。
【0055】
乗員の頭部の衝突による外力や、乗員が手を置く際の外力は、主に、底面部131(リアケース130)の上辺1311に加わり易いので、Uリブ134(および接続リブ1341、延設リブ1342)を、底面部131の上辺1311に沿うように設けて効果的となる。
【0056】
尚、Uリブ134(および接続リブ1341、延設リブ1342)は、底面部131の左右の辺、および下辺1312に沿うように設けるようにしてもよい。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態の車両用表示装置100Cを図10図11に示す。第3実施形態の車両用表示装置100Cは、第1実施形態の車両用表示装置100Aに対して、補強リブ135を追加したものである。
【0058】
補強リブ135は、挿通孔131aの少なくとも1辺に沿う領域に形成されており、底面部131の背面側に延びる(突出する)板状のリブとなっている。ここでは、補強リブ135は、挿通孔131aの各辺のうち、上側と下側の辺に沿うように設けられている。
【0059】
補強リブ135の板面は、上記の背面補強リブ133の各壁部133aの面と同様に、仮想面VPに対して直交する方向となっている。
【0060】
挿通孔131aによって、部分的に底面部131の強度が低下することになるが、補強リブ135によって、強度の低下を補うことが可能となる。
【0061】
(第4実施形態)
第4実施形態の車両用表示装置100Dを図12図13に示す。第4実施形態の車両用表示装置100Dは、第1実施形態の車両用表示装置100Aに対して、台座部136を追加したものである。
【0062】
台座部136は、底面部131に形成されており、底面部131の背面から反視認側に突出する、例えば、円筒状の突部となっている。台座部136は、底面部131の全体に渡るように、所定間隔で複数、設けられている。台座部136の突出方向は、仮想面VPに対して直交する方向となっている。
【0063】
本実施形態の車両用表示装置100Dにおいては、カバーパネル120および表示部110を強制的に湾曲させてリアケース130に組み付ける際に効果を発揮する。即ち、組付けに当たっては、図13に示すように、台座部136に対応した受け部301が設けられた受け冶具300に、リアケース130をセットし、更に、表示部110が接合されたカバーパネル120をリアケース130に対して、押込むようにして湾曲させて接合する。これにより、容易に、カバーパネル120(および表示部110)を強制的に湾曲させてリアケース130に組み付けることが可能となる。
【0064】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、背面補強リブ133を形成する筒状体の六角形は、周方向に180度、離れた角部が上下方向を向くようにしたが、図14に示すように、周方向に180度、離れた角部が左右方向を向くようにしてもよい。この場合は、連続リブ1331に対する所定方向は、上下方向となり、交差リブ1332は水平方向となる。
【0065】
また、背面補強リブ133を形成する筒状体の六角形は、図15図16に示すように、三角形(正三角形)や、四角形(正方形)としてもよい。この場合、連続リブ1331の全体は、完全に所定方向と一致するように形成される。
【0066】
更に、上記各実施形態では、背面補強リブ133は、三角形、四角形、あるいは六角形の筒状体が、それぞれ単独状態で並べられたものとして説明したが、例えば、三角形と四角形の組み合わせのように、三角形、四角形、あるいは六角形の筒状体が混合状態で並べられたものとしてもよい。
【0067】
また、リアケース130の湾曲の形状は、上記各実施形態で説明した中央部がへこむように湾曲したもの(図1図2)に限らず、中央部が視認側に突出するもの(凸湾曲)、S字状を成すもの、あるいは、Rと平面とを組み合わせたもの等とすることができる。
【0068】
また、接着剤140の形状は、上記各実施形態で説明した枠状のもの(図1)に対して、カバーパネル120の上側の辺と下側の辺に対応する帯状のものとしてもよい。あるいは、カバーパネル120の左辺と右辺に対応する帯状のものとしてもよい。あるいは、カバーパネル120の周囲に離散的に配置されるものとしてもよい。あるいは、カバーパネル120の全面に設けられるものとしてもよい。
【0069】
また、表示部110およびカバーパネル120との間に、タッチ操作に基づく所定機器への入力を可能とするタッチセンサを設けるようにしてもよい。所定機器は、車両用空調装置、カーナビゲーションシステム、車両オーディオ装置等である。これにより、カバーパネル120側からのタッチ操作によって、所定機器への入力操作が可能となる。
【0070】
また上記各実施形態では、自発光式の表示部110として、有機ELパネルを代表例として説明したが、これに限定されることなく、他の蛍光表示管、無機ELディスプレイ等に適用してもよい。
【0071】
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0072】
(付記)
この明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想1~8と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0073】
(技術的思想1)
単体状態で平面状を成して、画像を表示する表示部(110)と、
単体状態で平面状を成して、表示部の視認側に接合される透明なカバー部材(120)と、
矩形状を成して表示部の背面側に配設される底面部(131)を有し、底面部が湾曲形成されており、底面部に沿うように強制的に湾曲された表示部およびカバー部材を支持する筐体(130)と、を備え、
車両のダッシュボード上に立ち姿勢となるように搭載された車両用表示装置であって、
底面部の背面側には、三角形、四角形、あるいは六角形の筒状体が、それぞれ単独状態で、あるいは混合状態で並べられて、筒状体の各壁部(133a)によって形成される背面補強リブ(133)が設けられており、
背面補強リブのうち、底面部の下辺(1312)側から上辺(1311)側となる所定方向に対して所定の角度差を許容して、所定方向に沿うように連続的に繋がる連続リブ(1331)の高さ(h1)が、所定値に設定され、
背面補強リブのうち、連続リブを除き、所定方向に対して交差する交差リブ(1332)の高さ(h2)が、所定値よりも低く設定された車両用表示装置。
【0074】
(技術的思想2)
底面部には、4辺のうち、少なくとも上辺に沿うよう領域に、断面U字状のUリブ(134)が形成された技術的思想1に記載の車両用表示装置。
【0075】
(技術的思想3)
Uリブの内側には、対向する壁部同士を接続する接続リブ(1341)が形成された技術的思想2に記載の車両用表示装置。
【0076】
(技術的思想4)
UリブのU字状底部には、底面部の背面側に延びる延設リブ(1342)が形成された技術的思想2または技術的思想3に記載の車両用表示装置。
【0077】
(技術的思想5)
表示部には、表示制御用の駆動回路(150)が、フレキシブル配線(151)を介して接続されており、
フレキシブル配線は、底面部に形成された矩形状の挿通孔(131a)に挿通されており、
挿通孔の少なくとも1辺に沿う領域には、底面部の背面側に延びる補強リブ(135)が形成された技術的思想1~技術的思想4のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0078】
(技術的思想6)
底面部には、背面側に突出する台座部(136)が形成された技術的思想1~技術的思想5のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0079】
(技術的思想7)
背面補強リブの各壁部は、底面部の上辺と下辺とを結ぶ仮想面(VP)に対して、直交する方向に設定された技術的思想1~技術的思想6のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0080】
(技術的思想8)
筐体は、重量6.8kg、直径165mmのインパクターが、速度5.4m/sで打撃されたときに、時間3msの間、発生加速度が80Gを超えないように設定された技術的思想1~技術的思想7のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【符号の説明】
【0081】
100A、100B、100C、100D 車両用表示装置
110 表示部
120 カバーパネル(カバー部材)
130 リアケース(筐体)
131 底面部
131a 挿通孔
1311 上辺
1312 下辺
133 背面補強リブ
133a 各壁部
1331 連続リブ
1332 交差リブ
134 Uリブ
1341 接続リブ
1342 延設リブ
135 補強リブ
136 台座部
150 駆動回路
151 フレキシブル配線
VP 仮想面
h1 高さ
h2 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16