(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124178
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両用制御装置及び車両用制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20240905BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240905BHJP
B60W 30/00 20060101ALI20240905BHJP
B60W 50/08 20200101ALI20240905BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W60/00
B60W30/00
B60W50/08
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032171
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA15
3D241BA29
3D241BA60
3D241CA00
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE01
3D241CE04
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3D241DA13Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DB13Z
3D241DB14Z
3D241DB15Z
3D241DB16Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC34Z
3D241DD07Z
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることを可能とする。
【解決手段】操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両で用いることが可能な自動運転ECU10であって、発進時に開始する自動運転に関する状態である発進時状態を特定する発進時状態特定部104と、車両の乗員に向けて報知を行う報知装置から報知を行わせる報知処理部151とを備え、報知処理部151は、発進時状態特定部104で特定した発進時状態に応じて、報知装置から行わせる報知の内容を変化させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記発進時に開始する前記自動運転に関する状態である発進時状態を特定する発進時状態特定部(104)と、
前記車両の乗員に向けて報知を行う報知装置(17)から報知を行わせる報知処理部(151,151a)とを備え、
前記報知処理部は、前記発進時状態特定部で特定した前記発進時状態に応じて、前記報知装置から行わせる報知の内容を変化させる車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記自動運転を行わせる制御実行部(103,103a)を備え、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要か否かと、前記乗員の周辺監視の状態と、を少なくとも特定するものであり、
前記報知処理部は、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を行わせ、
前記制御実行部は、前記発進操作が行われ、且つ、前記乗員が周辺監視を実施していると前記発進時状態特定部で特定した場合に、前記自動運転での走行を開始させる車両用制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用制御装置であって、
前記報知処理部は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員が前記周辺監視を中断したことを前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を行わせ、
前記制御実行部は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員が前記周辺監視を中断したことを前記発進時状態特定部で特定した場合には、その自動運転での走行を停止させずに継続させる車両用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記制御実行部は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員が前記周辺監視を中断したことを前記発進時状態特定部で特定した場合には、その自動運転での設定車速よりも低い車速で走行させる車両用制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員のシートベルトの着用状態も特定するものであり、
前記制御実行部(103)は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員がシートベルトを着用していないことを前記発進時状態特定部で特定した場合に、その自動運転での走行を停止させる車両用制御装置。
【請求項6】
請求項2に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員のシートベルトの着用状態も特定するものであり、
前記制御実行部(103a)は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員がシートベルトを着用していないことを前記発進時状態特定部で特定した場合に、その自動運転での走行を停止させず、一時的に走行を継続させ、
前記報知処理部(151a)は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合には、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を継続させる車両用制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要か否かを少なくとも特定するものであり、
前記報知処理部は、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から、前記発進操作としてどのような操作を行うべきかを前記乗員に伝える報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要か否かを少なくとも特定するものであり、前記車両の走行駆動源を作動させる操作入力が行われたことをトリガに前記自動運転での走行を開始する前記車両については、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要でないと特定する車両用制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用制御装置であって、
前記報知処理部は、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に不要と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から、その自動運転によって前記車両がどのような発進を行うか前記乗員に伝える報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、目的地までの限定された範囲である限定範囲内を自動運転で移動するラストマイル自動運転を含む前記自動運転の種類を少なくとも特定するものであり、
前記車両の走行する領域を、周辺監視の必要性がより高い第1領域と周辺監視の必要性がより低い第2領域とに区分して特定する領域特定部(111)を備え、
前記報知処理部は、前記発進時に開始する前記自動運転が前記ラストマイル自動運転と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記領域特定部で前記第1領域と特定される領域を前記車両が走行中は、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を行わせる一方、前記領域特定部で前記第2領域と特定される領域を前記車両が走行中は、前記車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクの許可を前記乗員に伝える報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項11】
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記発進時に開始する前記自動運転に関する状態である発進時状態を特定する発進時状態特定工程と、
前記車両の乗員に向けて報知を行う報知装置(17)から報知を行わせる報知処理工程とを含み、
前記報知処理工程では、前記発進時状態特定工程で特定した前記発進時状態に応じて、前記報知装置から行わせる報知の内容を変化させる車両用制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御装置及び車両用制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動運転機能を備える車両において、手動運転と自動運転とを切り替える技術が開示されている。特許文献1には、自動運転可能なエリアにおいて、運転者による自動運転への切り替え操作を検出することにより、自動運転機能の作動を開始させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、手動運転から自動運転へ移行する場合が想定されているが、車両の発進時から自動運転での走行が行われる場合もあり得る。このような車両の発進時から自動運転での走行が行われる場合にも、乗員にとっての利便性を向上させることが求められる。
【0005】
この開示の1つの目的は、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることを可能とする車両用制御装置及び車両用制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、1つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の車両用制御装置は、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、発進時に開始する自動運転に関する状態である発進時状態を特定する発進時状態特定部(104)と、車両の乗員に向けて報知を行う報知装置(17)から報知を行わせる報知処理部(151,151a)とを備え、報知処理部は、発進時状態特定部で特定した発進時状態に応じて、報知装置から行わせる報知の内容を変化させる。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の車両用制御方法は、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、発進時に開始する自動運転に関する状態である発進時状態を特定する発進時状態特定工程と、車両の乗員に向けて報知を行う報知装置(17)から報知を行わせる報知処理工程とを含み、報知処理工程では、発進時状態特定工程で特定した発進時状態に応じて、報知装置から行わせる報知の内容を変化させる。
【0009】
以上の構成によれば、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両の、その発進時に開始する自動運転に関する状態に応じた報知が可能となる。よって、その発進時に開始する自動運転に関する状態に応じて、乗員に有用な報知を行わせることが可能になる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車両用システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】自動運転ECU10の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図3】自動運転ECU10での発進時関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】自動運転ECU10での発進要時処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】自動運転ECU10での発進不要時処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】自動運転ECU10でのラストマイル関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】車両用システム1aの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図8】自動運転ECU10aの概略的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0012】
(実施形態1)
<車両用システム1の概略構成>
以下、本開示の実施形態1について図面を用いて説明する。
図1に示す車両用システム1は、自動運転が可能な車両(以下、自動運転車両)で用いることが可能なものである。車両用システム1は、
図1に示すように、自動運転ECU10、通信モジュール11、ロケータ12、地図データベース(以下、地
図DB)13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、室内カメラ18、ユーザ入力装置19、及びHCU(Human Machine Interface Control Unit)20を含んでいる。例えば、自動運転ECU10、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、及びHCU20は、車内LAN(
図1のLAN参照)と接続される構成とすればよい。車両用システム1を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0013】
自動運転車両の自動運転の段階(以下、自動化レベル)としては、例えばSAEが定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えば以下のようにLV0~5に区分される。
【0014】
LV0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは動的運転タスクと言い換えてもよい。運転タスクは、例えば操舵、加減速、及び周辺監視とする。LV0は、いわゆる手動運転に相当する。LV1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。LV1は、いわゆる運転支援に相当する。LV2は、システムが操舵と加減速とのいずれをも支援するレベルである。LV2は、いわゆる部分運転自動化に相当する。なお、LV1~2も自動運転の一部であるものとする。
【0015】
例えば、LV1~2の自動運転は、安全運転に係る監視義務(以下、単に監視義務)が運転者にある自動運転とする。つまり、監視義務あり自動運転に相当する。なお、LV0~LV2の運転が監視義務のある運転に相当する。監視義務としては、目視による周辺監視がある。LV1~2の自動運転は、セカンドタスクが許可されない自動運転と言い換えることができる。セカンドタスクとは、運転者に対して許可される運転以外の行為であって、予め規定された特定行為である。セカンドタスクは、セカンダリアクティビティ,アザーアクティビティ等と言い換えることもできる。セカンドタスクは、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎ要求にドライバが対応することを妨げてはならないとされる。一例として、動画等のコンテンツの視聴,スマートフォン等の操作,読書,食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0016】
LV3の自動運転は、特定の条件下ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。LV3の自動運転では、システムから運転交代の要求があった場合に、運転手が迅速に対応可能であることが求められる。この運転交代は、車両側のシステムから運転者への周辺監視義務の移譲と言い換えることもできる。LV3は、いわゆる条件付運転自動化に相当する。LV4の自動運転は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV4は、いわゆる高度運転自動化に相当する。LV5の自動運転は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV5は、いわゆる完全運転自動化に相当する。LV4,LV5の自動運転は、例えば高精度地図データが整備された走行区間で実施可能とすればよい。高精度地図データについては後述する。
【0017】
例えば、LV3以上の自動運転は、監視義務が運転者にない自動運転とする。つまり、監視義務なし自動運転に相当する。LV3以上の自動運転は、セカンドタスクが許可される自動運転と言い換えることができる。例えば、LV4以上の自動運転は、運転者の睡眠が許可される自動運転とする。つまり、睡眠許可自動運転に相当する。本施形態の自動運転車両は、例えば自動化レベルが切り替え可能とすればよい。自動化レベルは、LV0~5のうちの一部のレベル間でのみ切り替え可能な構成であってもよい。本実施形態では、自動運転車両が、少なくともLV2以上の自動運転を発進時から実施可能であるものとする。発進時とは、無人の自動運転車両に乗員が乗車して発進するときを指す。
【0018】
通信モジュール11は、自車の外部のセンタとの間で、無線通信を介して情報の送受信を行う。つまり、広域通信を行う。通信モジュール11は、センタから渋滞情報等を広域通信で受信する。通信モジュール11は、他車との間で、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、車車間通信を行ってもよい。通信モジュール11は、路側に設置された路側機との間で、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、路車間通信を行ってもよい。路車間通信を行う場合、通信モジュール11は、路側機を介して、自車の周辺車両から送信されるその周辺車両の情報を受信してもよい。また、通信モジュール11は、センタを介して、自車の周辺車両から送信されるその周辺車両の情報を広域通信で受信してもよい。
【0019】
ロケータ12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ12は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、自車の車両位置(以下、自車位置)を逐次測位する。自車位置は、例えば緯度経度の座標で表されるものとすればよい。なお、自車位置の測位には、車両に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離も用いる構成としてもよい。
【0020】
地
図DB13は、不揮発性メモリであって、高精度地図データを格納している。高精度地図データは、ナビゲーション機能での経路案内に用いられる地図データよりも高精度な地図データである。高精度地図データには、例えば道路の三次元形状情報,車線数情報,各車線に許容された進行方向を示す情報等の自動運転に利用可能な情報が含まれている。他にも、高精度地図データには、例えば区画線等の路面標示について、両端の位置を示すノード点の情報が含まれていてもよい。地
図DB13には、経路案内に用いられる地図データも格納すればよい。なお、ロケータ12は、道路の三次元形状情報を用いることで、GNSS受信機を用いない構成としてもよい。例えば、ロケータ12は、道路の三次元形状情報と、周辺監視センサ15での検出結果とを用いて、自車位置を特定する構成としてもよい。道路の三次元形状情報は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものであってもよい。
【0021】
なお、外部サーバから配信される地図データを、通信モジュール11を介して広域通信で受信し、地
図DB13に格納してもよい。この場合、地
図DB13を揮発性メモリとし、通信モジュール11が自車位置に応じた領域の地図データを逐次取得する構成としてもよい。
【0022】
車両状態センサ14は、自車の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ14としては、車速センサ,アクセルストロークセンサ、シートベルトセンサ等がある。車速センサは、自車の速度を検出する。アクセルストロークセンサは、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。シートベルトセンサは、乗員のシートベルトの装着状態に応じた信号を出力する。つまり、シートベルトセンサは、乗員のシートベルトの装着の有無を検出する。車両状態センサ14は、検出したセンシング情報を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ14で検出したセンシング情報は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
【0023】
周辺監視センサ15は、自車の周辺環境を監視する。一例として、周辺監視センサ15は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ15は、例えば、自車周辺の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周辺の所定範囲に探査波を送信する探査波センサである。探査波センサとしては、ミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等が挙げられる。所定範囲は、自車の前後左右を少なくとも部分的に含む範囲としてもよい。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として自動運転ECU10へ逐次出力する。探査波センサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として自動運転ECU10へ逐次出力する。
【0024】
車両制御ECU16は、自車の走行制御を行う電子制御装置である。走行制御としては、加減速制御及び/又は操舵制御が挙げられる。車両制御ECU16としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU16は、自車に搭載された各走行制御デバイスへ制御信号を出力することで走行制御を行う。走行制御デバイスとしては、電子制御スロットル,ブレーキアクチュエータ,EPS(Electric Power Steering)モータ等が挙げられる。
【0025】
報知装置17は、自車に設けられて、自車の室内へ向けて報知を行う。つまり、報知装置17は、自車の乗員に向けて報知を行う。報知装置17は、HCU19の指示に従って報知を行う。報知装置17としては、例えば表示装置,音声出力装置等が挙げられる。
【0026】
表示装置は、情報を表示することで報知を行う。表示装置としては、例えばメータMID(Multi Information Display),CID(Center Information Display),HUD(Head-Up Display)等を用いることができる。メータMIDは、自車の室内のうちの運転席の正面に設けられる表示装置である。一例として、メータMIDは、メータパネルに設けられる構成とすればよい。CIDは、自車のインスツルメントパネルの中央に配置される表示装置である。HUDは、車室内のうちの例えばインスツルメントパネルに設けられる。HUDは、プロジェクタによって形成される表示像を、投影部材としてのフロントウインドシールドに既定された投影領域に投影する。フロントウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する運転者によって知覚される。これにより、運転者は、フロントウインドシールドの前方にて結像される表示像の虚像を、前景の一部と重ねて視認可能となる。HUDは、フロントウインドシールドの代わりに、運転席の正面に設けられるコンバイナに表示像を投影する構成としてもよい。音声出力装置は、音声を出力することで報知を行う。音声出力装置としては、スピーカ等が挙げられる。
【0027】
室内カメラ18は、自車の車室内の所定範囲を撮像する撮像装置である。室内カメラ18は、少なくとも自車の運転席を含む範囲を撮像することが好ましい。室内カメラ18は、自車の運転席の他、助手席及び後部座席を含む範囲を撮像しても構わない。室内カメラ18は、例えば近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成される。室内カメラ18は、近赤外光源によって近赤外光を照射された自車の乗員を、近赤外カメラによって撮影する。
【0028】
ユーザ入力装置19は、自車の乗員からの入力を受け付ける。ユーザ入力装置19は、乗員からの操作入力を受け付ける操作デバイスとすればよい。操作デバイスとしては、メカニカルなスイッチであってもよいし、表示装置と一体となったタッチスイッチであってもよい。なお、ユーザ入力装置19は、乗員からの入力を受け付ける装置であれば、操作入力を受け付ける操作デバイスに限らない。例えば、乗員からの音声によるコマンドの入力を受け付ける音声入力装置であってもよい。
【0029】
HCU20は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。HCU20は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、乗員と自車のシステムとのやり取りに関する各種の処理を実行する。HCU20は、ユーザ入力装置19で乗員から受け付けた入力の情報を取得する。HCU20は、報知装置17から報知を行わせる。HCU20は、室内カメラ18で撮像した撮像画像を取得する。HCU20は、室内カメラ18で撮像した撮像画像から、自車の乗員の状態を特定する。HCU20は、画像認識技術によって、自車の乗員の存在,顔向き,視線方向の検出を行えばよい。HCU20は、撮像画像から乗員の顔を認識することで、乗員の存在を検出すればよい。自車の乗員の状態は、室内カメラ18の制御ユニットで特定してもよい。
【0030】
自動運転ECU10は、例えばプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。自動運転ECU10は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、自動運転に関する処理を実行する。この自動運転ECU10が車両用制御装置に相当する。なお、自動運転ECU10の構成については以下で詳述する。
【0031】
<自動運転ECU10の概略構成>
続いて、
図2を用いて自動運転ECU10の概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10は、
図2に示すように、走行環境認識部101、行動判断部102、制御実行部103、発進時状態特定部104、HCU通信部105、及び乗員状態特定部106を機能ブロックとして備える。また、コンピュータによって自動運転ECU10の各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。なお、自動運転ECU10が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、自動運転ECU10が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0032】
走行環境認識部101は、自車位置、地図データ、及び周辺監視センサ15から取得するセンシング情報から、自車の走行環境を認識する。自車位置は、ロケータ12から取得すればよい。地図データは、地
図DB13から取得すればよい。一例として、走行環境認識部101は、これらの情報を用いて、自車の周囲の物体の位置、形状、及び移動状態を認識し、実際の走行環境を再現した仮想空間を生成する。走行環境認識部101では、センシング情報から、自車の周辺車両について、その存在,自車に対する相対位置,自車に対する相対速度等も走行環境として認識すればよい。
【0033】
また、走行環境認識部101では、自車位置及び地図データから、地図上での自車位置を認識すればよい。走行環境認識部101は、通信モジュール11を介して周辺車両等の位置情報,速度情報等を取得できる場合には、これらの情報も用いて走行環境を認識すればよい。走行環境認識部101は、領域特定部111をサブ機能ブロックとして備える。領域特定部111は、自車の走行する領域を、乗員による周辺監視の必要性に応じて少なくとも2種類の領域に区分して特定する。具体的に、周辺監視の必要性がより高い第1領域と、周辺監視の必要性がより低い第2領域とに区分して特定する。第1領域としては、駐車場,歩行者の多い過密地域等が挙げられる。第2領域としては、第1領域以外の一般道が挙げられる。領域特定部111は、地図データに基づいて、第1領域と第2領域とを区分して特定すればよい。
【0034】
行動判断部102は、運転者と自車のシステムとの間で運転操作の制御主体を切り替える。本実施形態では、自車の発進時からLV2以上の自動運転に移行するものとする。なお、発進時から自動運転に移行するか否かの設定及びその際の自動化レベルは、予め設定可能であってもよい。この設定は、ユーザ入力装置19で受け付けた入力に応じて行われる構成とすればよい。行動判断部102は、運転操作の制御権がシステム側にある場合、走行環境認識部101による走行環境の認識結果に基づき、自車を走行させる走行計画を決定する。行動判断部102は、走行計画部121及びモード決定部122をサブ機能ブロックとして備える。
【0035】
走行計画部121は、自車を自動運転で走行させる走行計画を決定する。走行計画部121は、走行計画として、長中期の走行計画と、短期の走行計画とを決定する。長中期の走行計画では、設定された目的地に自車を向かわせるための予定経路が決定される。走行計画部121は、この予定経路を、ナビゲーション機能の経路探索と同様にして決定すればよい。走行計画部121は、予定経路を走行する際の設定車速も決定すればよい。走行計画部121は、走行環境認識部101で生成した自車の周囲の仮想空間を用いて、長中期の走行計画に従った走行を実現するための短期の走行計画を決定する。具体的に、短期の走行計画として、車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、及び障害物回避のための操舵及び制動等の実行を決定する。
【0036】
モード決定部122は、自動運転に関するモードを決定する。この自動運転に関するモードを、以下では自動運転関連モードと呼ぶ。自動運転関連モードとしては、自動運転の開始条件別のモード、自動運転の種類別のモード等が挙げられる。自動運転の開始条件別のモードとしては、発進操作不要モード及び発進操作必要モードが挙げられる。発進操作不要モードは、乗員による発進操作が、自車の発進時からの自動運転の走行開始に不要なモードである。発進操作不要モードでは、自車は、走行駆動源を作動させる操作入力が行われたことをトリガに自動運転での走行を開始する。走行駆動源としては、内燃機関又はモータジェネレータが挙げられる。内燃機関を始動させるためのスイッチの操作入力は、イグニッション電源のオンである。モータジェネレータを始動させるためのスイッチの操作入力は、システムメインリレー電源のオンである。イグニッション電源及びシステムメインリレー電源のオンは、例えばパワースイッチのオンによって実現されればよい。以降では、イグニッション電源及びシステムメインリレー電源のオンは、パワースイッチのオンによって実現されるものとして説明する。発進操作必要モードは、乗員による発進操作が、自車の発進時からの自動運転の走行開始に必要なモードである。発進操作必要モードでは、自車は、走行駆動源が作動した場合であっても、特定の発進操作が乗員によって行われないと、自動運転での走行を開始しない。特定の発進操作としては、例えばアクセルペダルの踏み込み等が挙げられる。
【0037】
自動運転の種類別のモードとしては、ラストマイルモード及び通常走行モードが挙げられる。ラストマイルモードは、ラストマイル自動運転を行うモードである。ラストマイル自動運転は、目的地までの限定された範囲である限定範囲内を自動運転で移動する自動運転である。限定範囲は、例えば1マイル(約1.6km)程度とすればよい。通常走行モードは、デフォルトの自動運転を行うモードである。つまり、ラストマイル自動運転以外の自動運転を行うモードである。なお、自動運転関連モードには、上述した以外のモードを含んでもよい。例えば、自動運転の種類別のモードには、自動駐車を行う自動駐車モードを含ませても構わない。この場合、通常走行モードは、ラストマイル自動運転及び自動駐車以外の自動運転を行うモードとすればよい。
【0038】
モード決定部122は、ユーザ入力装置19で受け付けた入力に応じて予め行われる自動運転関連モードの設定をもとに、実施する自動運転関連モードを決定すればよい。走行計画部121は、モード決定部122で決定された自動運転関連モードに応じた走行計画を決定すればよい。例えば、ラストマイルモードでは、通常走行モードよりも設定車速を低く抑えるように走行計画を決定すればよい。通常走行モードでは、例えば設定車速を各走行区間の制限速度とすればよい。
【0039】
制御実行部103は、運転操作の制御権が自車のシステム側にある場合に、車両制御ECU16との連携により、走行制御を実行する。制御実行部103は、行動判断部102にて決定された走行計画に従って、自車の加減速制御及び操舵制御等の走行制御を実行する。つまり、制御実行部103は、自動運転を行わせる。
【0040】
発進時状態特定部104は、自車の発進時に開始する自動運転に関する状態(以下、で発進時状態)を特定する。発進時状態特定部104での処理が、発進時状態特定工程に相当する。発進時状態特定部104は、自車の発進時であることは、自車に乗員が存在しない状態から自車の乗員が存在する状態に移行したことから判断すればよい。自車に乗員が存在するか否かは、HCU20で行った自車の乗員の存在の検出結果から特定すればよい。他にも、自車のパワースイッチがオンになったことから判断してもよい。発進時状態特定部104は、モード決定部122で決定した自動運転関連モードを発進時状態として特定する。発進時状態特定部104は、自車の走行駆動源を作動させる操作入力が行われたことをトリガに自動運転での走行を開始する車両については、自車の乗員による発進操作が自動運転の走行開始に必要でないと特定すればよい。つまり、発進操作不要モードが設定されている車両については、発進操作不要と特定する。以下では、自車の乗員による発進操作が自動運転の走行開始に必要なことを発進操作要と呼ぶ。また、自車の乗員による発進操作が自動運転の走行開始に不要なことを発進操作不要と呼ぶ。
【0041】
発進時状態特定部104は、乗員の周辺監視の状態を発進時状態として特定してもよい。発進時状態特定部104は、HCU20で行った自車の乗員の顔向き,視線方向の検出結果から、乗員の周辺監視の状態を特定すればよい。発進時状態特定部104は、例えば単位時間あたりの顔向き若しくは視線方向の移動量が閾値以上の場合に、周辺監視を実施していると特定すればよい。一方、発進時状態特定部104は、例えば単位時間あたりの顔向き若しくは視線方向の移動量が閾値未満の場合に、周辺監視を実施していないと特定すればよい。発進時状態特定部104は、自車の乗員のシートベルトの着用状態を発進時状態として特定してもよい。発進時状態特定部104は、例えばシートベルトセンサでの検出結果から、自車の乗員のシートベルトの着用状態を特定すればよい。
【0042】
HCU通信部105は、HCU20へ向けた情報の出力処理と、HCU20からの情報の取得処理とを行う。HCU通信部105は、ユーザ入力装置19で受け付けた入力の情報を取得する。HCU通信部105は、室内カメラ18で撮像した画像の情報等を取得する。HCU通信部105は、報知処理部151をサブ機能ブロックとして備える。報知処理部151は、HCU20に指示を送ることで、報知装置17での報知を間接的に制御する。つまり、報知処理部151は、自車の乗員に向けて報知を行わせる。
【0043】
報知処理部151は、発進時状態特定部104で特定した発進時状態に応じて、報知装置17から行わせる報知の内容を変化させる。以上の構成によれば、LV2以上の自動運転を発進時から開始可能な車両の、その発進時に開始する自動運転に関する状態に応じた報知が可能となる。よって、その発進時に開始する自動運転に関する状態に応じて、乗員に有用な報知を行わせることが可能になる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。報知処理部151での処理が、報知処理工程に相当する。
【0044】
報知処理部151は、発進操作要と発進時状態特定部104で特定した場合には、報知装置17から監視促進報知を行わせることが好ましい。監視促進報知は、自車の周辺監視を乗員に促す報知である。報知処理部151は、発進操作不要と発進時状態特定部104で特定した場合には、報知装置17から監視促進報知を行わせなければよい。また、行動判断部102は、発進操作が行われ、且つ、乗員が周辺監視を実施していると特定した場合に、自動運転での走行を開始させればよい。つまり、制御実行部103は、発進操作が行われ、且つ、乗員が周辺監視を実施していると特定した場合に、自動運転での走行を開始させればよい。行動判断部102は、発進操作が行われたことを、例えばアクセルストロークセンサのセンシング情報から特定すればよい。乗員が周辺監視を実施していることは、発進時状態特定部104で特定する。
【0045】
発進操作要の場合には、自動運転の開始に乗員の発進操作が必要である分だけ、自動運転の開始に乗員が責任を負わなければならなくなることが推定される。よって、発進操作要の場合には、自動運転の開始に対して、乗員がより注意を払わなければならないと考えられる。これに対して、以上の構成によれば、自動運転の開始に対して、乗員がより注意を払わなければならない場合に、乗員の周辺監視を促すことが可能になる。また、乗員の周辺監視が実施されたことを条件に、自動運転での走行を開始することが可能になる。その結果、より乗員が安心して自動運転を開始することが可能になる。
【0046】
報知処理部151は、自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、乗員が周辺監視を中断したことを特定した場合に、監視促進報知を行わせることが好ましい。ここで言うところの所定期間は、自動運転での走行開始後の周辺監視を継続した方が好ましいと推定される期間とすればよい。所定期間は、一定距離を走行するまでの期間としてもよいし、一定時間の走行を完了するまでの期間としてもよい。所定期間は、任意に設定可能とすればよい。自動運転での走行が開始されてから所定期間内を、以下では発進期間内と呼ぶ。乗員が周辺監視を中断したことは、発進時状態特定部104で特定する。監視促進報知は、前述したように報知装置17から行わせる。また、行動判断部102は、発進期間内に、乗員が周辺監視を中断したことを特定した場合には、開始した自動運転での走行を停止させずに継続させればよい。つまり、制御実行部103は、発進期間内に、乗員が周辺監視を中断したことを特定した場合には、開始した自動運転での走行を停止させずに継続させればよい。
【0047】
以上の構成によれば、走行が開始されて間もない、周辺監視を継続した方が好ましい期間に、乗員が周辺監視を継続するように促すことが可能になる。また、以上の構成によれば、周辺監視を中断しただけで自動運転での走行を停止させないので、乗員にとっての快適性を損なわずに済む。
【0048】
行動判断部102は、発進期間内に、乗員が周辺監視を中断したことを特定した場合には、開始した自動運転での設定車速よりも低い車速で走行させることが好ましい。つまり、制御実行部103は、発進期間内に、乗員が周辺監視を中断したことを特定した場合には、開始した自動運転での設定車速よりも低い車速で走行させればよい。設定車速よりも低い車速での走行とは、徐行とすればよい。徐行は、例えば10km/h以下の車速での走行とすればよい。車速を抑えるほど、急な障害物の近接に対して自動運転で回避しやすくなる。以上の構成によれば、乗員が周辺監視を中断した場合に自動運転での走行を停止しなくても、自動運転で障害物を回避しやすくなる。
【0049】
報知処理部151は、発進操作要と発進時状態特定部104で特定した場合には、報知装置17から発進操作報知を行わせることが好ましい。発進操作報知は、発進操作としてどのような操作を行うべきかを乗員に伝える報知である。例えば、発進操作としてアクセルペダルの踏み込みを行うべきである場合には、アクセルペダルの踏み込みを行うべきであることを示す報知を行わせる。これによれば、乗員による発進操作が自動運転の走行開始に必要な場合に、走行開始のために乗員がどのような操作を行うべきかわかりやすくなる。
【0050】
報知処理部151は、発進操作不要と発進時状態特定部104で特定した場合には、報知装置17から、発進態様報知を行わせることが好ましい。発進態様報知は、自動運転によって自車がどのような発進を行うか乗員に伝える報知である。発進態様報知は、例えば自車が発進する方向を示す報知とすればよい。例えば、自車が発進する方向は、前進、後退、右折、左折等である。乗員による発進操作が自動運転の走行開始に不要な場合には、乗員による発進操作なしで自動運転での走行が開始される。このような場合に、自動運転によって自車がどのような発進を行うか乗員に伝えることで、乗員にとっての安心感を高めることが可能になる。
【0051】
報知処理部151は、発進時に開始する自動運転がラストマイル自動運転と発進時状態特定部104で特定した場合には、以下のようにすることが好ましい。報知処理部151は、領域特定部111で第1領域と特定される領域を自車が走行中は、報知装置17から監視促進報知を行わせる。一方、報知処理部151は、領域特定部111で第2領域と特定される領域を自車が走行中は、報知装置17からセカンドタスク許可報知を行わせる。セカンドタスク許可報知は、セカンドタスクの許可を乗員に伝える報知である。この処理は、自車の自動化レベルがLV2未満の場合には行わない構成とすればよい。発進時状態特定部104は、モード決定部122でラストマイルモードと決定した場合に、発進時に開始する自動運転がラストマイル自動運転と特定すればよい。
【0052】
以上の構成によれば、ラストマイル自動運転において、乗員が周辺監視を行った方が好ましい領域では、乗員に周辺監視を促すことが可能になる。一方、周辺監視の必要性が低い領域では、セカンドタスクを許可することが可能になる。よって、ラストマイル自動運転において、必要に応じた報知が可能になる。なお、領域特定部111での処理は、処理負荷を抑えるために、モード決定部122でラストマイルモードと決定される場合以外は行わない構成としてもよい。
【0053】
行動判断部102は、発進期間内に、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合に、開始した自動運転での走行を停止させればよい。つまり、制御実行部103は、発進期間内に、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合に、開始した自動運転での走行を停止させればよい。乗員がシートベルトを着用していないことは、発進時状態特定部104で特定する。以上の構成によれば、乗員がシートベルトを着用していない状態では、自動運転を継続させないようにすることが可能になる。その結果、乗員を衝撃から保護しやすくなる。
【0054】
<自動運転ECU10での発進時関連処理>
ここで、
図3のフローチャートを用いて、自動運転ECU10での発進時に関連する処理(以下、発進時関連処理)の流れの一例について説明する。
図3のフローチャートは、自車のパワースイッチがオンになった場合に開始される構成とすればよい。なお、自車が発進時から自動運転に移行するか否かの設定を切り替え可能な場合には、発進時から自動運転に移行する設定となっていることも条件に加える構成とすればよい。
【0055】
まず、ステップS1では、発進時状態特定部104で発進操作要と特定した場合(S1でYES)には、ステップS3に移る。一方、発進時状態特定部104で発進操作不要と特定した場合(S1でNO)には、ステップS5に移る。
【0056】
ステップS3では、発進操作要時処理を行って発進時関連処理を終了する。ここで、
図4のフローチャートを用いて、発進操作要時処理の流れの一例について説明を行う。
【0057】
ステップS31では、報知処理部151が、報知装置17から監視促進報知を行わせる。ステップS32では、報知処理部151が、報知装置17から発進操作報知を行わせる。なお、S31の処理とS32の処理とは、順序を入れ替えてもよいし、並行して行わせてもよい。
【0058】
ステップS33では、発進操作が行われたことを行動判断部102で特定した場合(S33でYES)には、ステップS34に移る。一方、発進操作が行われたことを行動判断部102で特定していない場合(S33でNO)には、ステップS35に移る。
【0059】
ステップS34では、乗員が周辺監視を実施していることを発進時状態特定部104で特定した場合(S34でYES)には、ステップS36に移る。一方、乗員が周辺監視を実施していないことを発進時状態特定部104で特定した場合(S34でNO)には、ステップS35に移る。
【0060】
ステップS35では、発進時関連処理の終了タイミングであった場合(S35でYES)には、発進時関連処理を終了する。一方、発進時関連処理の終了タイミングでなかった場合(S35でNO)には、S33に戻って処理を繰り返す。発進時関連処理の終了タイミングとしては、自車のパワースイッチのオフ等が挙げられる。
【0061】
ステップS36では、制御実行部103が、自動運転での走行を開始させる。ステップS37では、報知処理部151が、発進期間内か否かを判断する。そして、発進期間内と判断した場合(S37でYES)には、ステップS38に移る。一方、発進期間を越えたと判断した場合(S37でNO)には、ステップS43に移る。
【0062】
ステップS38では、乗員が周辺監視を実施していることを発進時状態特定部104で特定した場合(S38でYES)には、ステップS41に移る。一方、乗員が周辺監視を実施していないことを発進時状態特定部104で特定した場合(S38でNO)には、ステップS39に移る。
【0063】
ステップS39では、報知処理部151が、報知装置17から監視促進報知を行わせる。ステップS40では、制御実行部103が、自車を徐行させ、S37に戻って処理を繰り返す。監視促進報知及び徐行は、例えばS37で発進期間を越えたと判断するか、S38で乗員が周辺監視を実施していることを特定するまで継続すればよい。なお、S39の処理とS40の処理とは、順序を入れ替えてもよいし、並行して行わせてもよい。
【0064】
ステップS41では、乗員がシートベルトを着用していることを特定した場合(S41でYES)には、S37に戻って処理を繰り返す。一方、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合(S41でNO)には、ステップS42に移る。ステップS42では、制御実行部103が、自車を停止させ、S37に戻って処理を繰り返す。自車の停止は、例えばS37で発進期間を越えたと判断するか、S41で乗員がシートベルトを着用していることを特定するまで継続すればよい。
【0065】
ステップS43では、発進時関連処理の終了タイミングであった場合(S43でYES)には、発進時関連処理を終了する。一方、発進時関連処理の終了タイミングでなかった場合(S43でNO)には、S43の処理を繰り返す。
【0066】
図3に戻って、ステップS5では、発進操作不要時処理を行って発進時関連処理を終了する。ここで、
図5のフローチャートを用いて、発進操作不要時処理の流れの一例について説明を行う。
【0067】
ステップS51では、報知処理部151が、報知装置17から発進態様報知を行わせる。ステップS52では、制御実行部103が、自動運転での走行を開始させる。ステップS53では、報知処理部151が、発進期間内か否かを判断する。そして、発進期間内と判断した場合(S53でYES)には、ステップS54に移る。一方、発進期間を越えたと判断した場合(S53でNO)には、ステップS56に移る。
【0068】
ステップS54では、乗員がシートベルトを着用していることを特定した場合(S54でYES)には、S53に戻って処理を繰り返す。一方、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合(S54でNO)には、ステップS55に移る。ステップS55では、制御実行部103が、自車を停止させ、S53に戻って処理を繰り返す。自車の停止は、例えばS53で発進期間を越えたと判断するか、S54で乗員がシートベルトを着用していることを特定するまで継続すればよい。
【0069】
ステップS56では、発進時関連処理の終了タイミングであった場合(S56でYES)には、発進時関連処理を終了する。一方、発進時関連処理の終了タイミングでなかった場合(S56でNO)には、S56の処理を繰り返す。
【0070】
<自動運転ECU10でのラストマイル関連処理>
続いて、
図6のフローチャートを用いて、自動運転ECU10でのラストマイルモードでの走行に関連する処理(以下、ラストマイル関連処理)の流れの一例について説明する。
図6のフローチャートは、発進時関連処理で自車の自動運転が開始された場合に開始される構成とすればよい。なお、
図6のフローチャートでは、自車がLV3以上の自動運転を行う場合を例に挙げて説明する。
【0071】
まず、ステップS71では、発進時に開始する自動運転がラストマイル自動運転と発進時状態特定部104で特定した場合(S71でYES)には、ステップS72に移る。一方、発進時に開始する自動運転がラストマイル自動運転でないと発進時状態特定部104で特定した場合(S71でNO)には、ステップS75に移る。
【0072】
ステップS72では、領域特定部111が、第1領域を自車が走行中と特定した場合(S72でYES)には、ステップS73に移る。一方、領域特定部111が、第2領域を自車が走行中と特定した場合(S72でNO)には、ステップS74に移る。
【0073】
ステップS73では、報知処理部151が、報知装置17から監視促進報知を行わせ、ステップS75に移る。ステップS74では、報知処理部151が、報知装置17からセカンドタスク許可報知を行わせ、ステップS75に移る。
【0074】
ステップS75では、ラストマイル関連処理の終了タイミングであった場合(S75でYES)には、ラストマイル関連処理を終了する。一方、ラストマイル関連処理の終了タイミングでなかった場合(S75でNO)には、S71に戻って処理を繰り返す。ラストマイル関連処理の終了タイミングとしては、自車のパワースイッチのオフ,目的地への到着等が挙げられる。
【0075】
(実施形態2)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態2の構成としてもよい。以下では、実施形態2の構成の一例について図を用いて説明する。
【0076】
<車両用システム1aの概略構成>
図7に示す車両用システム1aは、自動運転ECU10a、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、室内カメラ18、ユーザ入力装置19、及びHCU20を含んでいる。車両用システム1aは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10aを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0077】
<自動運転ECU10aの概略構成>
続いて、
図8を用いて自動運転ECU10aの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10aは、走行環境認識部101、行動判断部102a、制御実行部103a、発進時状態特定部104、HCU通信部105a、及び乗員状態特定部106を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10aは、行動判断部102の代わりに行動判断部102aを備える。自動運転ECU10aは、制御実行部103の代わりに制御実行部103aを備える。自動運転ECU10aは、HCU通信部105の代わりにHCU通信部105aを備える。自動運転ECU10aは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10aも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10aの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0078】
行動判断部102aは、実施形態1の行動判断部102と同様に、走行計画部121及びモード決定部122をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。以下では、この異なる点について説明する。制御実行部103aは、行動判断部102aにて決定された走行計画に従う点を除けば、実施形態1の制御実行部103と同様である。報知処理部151aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の報知処理部151と同様である。以下では、この異なる点について説明する。報知処理部151aでの処理も、報知処理工程に相当する。
【0079】
行動判断部102aは、発進期間内に、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合に、開始した自動運転での走行を停止させず、一時的に走行を継続させる。つまり、制御実行部103aは、発進期間内に、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合に、開始した自動運転での走行を停止させず、一時的に走行を継続させる。乗員がシートベルトを着用していないことは、発進時状態特定部104で特定する。一時的にあたる期間は、任意に設定可能とすればよい。また、報知処理部151aは、発進期間内に、乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合には、報知装置17から監視促進報知を継続させる。
【0080】
以上の構成によれば、乗員がシートベルトを着用していない状態であっても、すぐには自動運転を停止させず、乗員にとっての快適性を損なわずに済む。また、監視促進報知を継続させることで、シートベルトを着用していない状態で乗員が衝撃を受ける可能性を低下させることが可能になる。
【0081】
(実施形態3)
前述の実施形態では、自動運転ECU10,10aが車両用制御装置に相当する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自動運転ECU10,10a以外のECUが車両用制御装置に相当する構成としてもよい。
【0082】
(開示されている技術的思想)
この明細書は、以下に列挙された複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0083】
(技術的思想1)
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能な車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記発進時に開始する前記自動運転に関する状態である発進時状態を特定する発進時状態特定部(104)と、
前記車両の乗員に向けて報知を行う報知装置(17)から報知を行わせる報知処理部(151,151a)とを備え、
前記報知処理部は、前記発進時状態特定部で特定した前記発進時状態に応じて、前記報知装置から行わせる報知の内容を変化させる車両用制御装置。
【0084】
(技術的思想2)
技術的思想1に記載の車両用制御装置であって、
前記自動運転を行わせる制御実行部(103,103a)を備え、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要か否かと、前記乗員の周辺監視の状態と、を少なくとも特定するものであり、
前記報知処理部は、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を行わせ、
前記制御実行部は、前記発進操作が行われ、且つ、前記乗員が周辺監視を実施していると前記発進時状態特定部で特定した場合に、前記自動運転での走行を開始させる車両用制御装置。
【0085】
(技術的思想3)
技術的思想2に記載の車両用制御装置であって、
前記報知処理部は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員が前記周辺監視を中断したことを前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を行わせ、
前記制御実行部は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員が前記周辺監視を中断したことを前記発進時状態特定部で特定した場合には、その自動運転での走行を停止させずに継続させる車両用制御装置。
【0086】
(技術的思想4)
技術的思想3に記載の車両用制御装置であって、
前記制御実行部は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員が前記周辺監視を中断したことを前記発進時状態特定部で特定した場合には、その自動運転での設定車速よりも低い車速で走行させる車両用制御装置。
【0087】
(技術的思想5)
技術的思想2~4のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員のシートベルトの着用状態も特定するものであり、
前記制御実行部(103)は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員がシートベルトを着用していないことを前記発進時状態特定部で特定した場合に、その自動運転での走行を停止させる車両用制御装置。
【0088】
(技術的思想6)
技術的思想2~4のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員のシートベルトの着用状態も特定するものであり、
前記制御実行部(103a)は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員がシートベルトを着用していないことを前記発進時状態特定部で特定した場合に、その自動運転での走行を停止させず、一時的に走行を継続させ、
前記報知処理部(151a)は、前記自動運転での走行が開始されてから所定期間内に、前記乗員がシートベルトを着用していないことを特定した場合には、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を継続させる車両用制御装置。
【0089】
(技術的思想7)
技術的思想1~6のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要か否かを少なくとも特定するものであり、
前記報知処理部は、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から、前記発進操作としてどのような操作を行うべきかを前記乗員に伝える報知を行わせる車両用制御装置。
【0090】
(技術的思想8)
技術的思想1~7のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要か否かを少なくとも特定するものであり、前記車両の走行駆動源を作動させる操作入力が行われたことをトリガに前記自動運転での走行を開始する前記車両については、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に必要でないと特定する車両用制御装置。
【0091】
(技術的思想9)
技術的思想8に記載の車両用制御装置であって、
前記報知処理部は、前記乗員による発進操作が前記自動運転の走行開始に不要と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記報知装置から、その自動運転によって前記車両がどのような発進を行うか前記乗員に伝える報知を行わせる車両用制御装置。
【0092】
(技術的思想10)
技術的思想1~9のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記発進時状態特定部は、前記発進時状態として、目的地までの限定された範囲である限定範囲内を自動運転で移動するラストマイル自動運転を含む前記自動運転の種類を少なくとも特定するものであり、
前記車両の走行する領域を、周辺監視の必要性がより高い第1領域と周辺監視の必要性がより低い第2領域とに区分して特定する領域特定部(111)を備え、
前記報知処理部は、前記発進時に開始する前記自動運転が前記ラストマイル自動運転と前記発進時状態特定部で特定した場合には、前記領域特定部で前記第1領域と特定される領域を前記車両が走行中は、前記報知装置から前記車両の周辺監視を前記乗員に促す報知を行わせる一方、前記領域特定部で前記第2領域と特定される領域を前記車両が走行中は、前記車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクの許可を前記乗員に伝える報知を行わせる車両用制御装置。
【0093】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1,1a 車両用システム、10,10a 自動運転ECU(車両用制御装置)、101 走行環境認識部、111 領域特定部、17 報知装置、102,102a 行動判断部、103,103a 制御実行部、104 発進状態特定部、105,105a HCU通信部、151,151a 報知処理部