(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124181
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】光検出装置および光検出システム
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20240905BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01J1/02 S
G01N21/17 E
G01J1/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032175
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上平 祥嗣
【テーマコード(参考)】
2G059
2G065
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB05
2G059CC09
2G059EE01
2G059EE02
2G059HH01
2G059JJ11
2G059KK01
2G059MM09
2G065AA03
2G065AA15
2G065AB02
2G065AB04
2G065BA01
2G065BB06
(57)【要約】
【課題】装置を小型化することが可能な光検出装置および光検出システムを提供することである。
【解決手段】光検出装置は、基板3と、基板3に設けられた複数のセンサと、基板3および複数のセンサを覆う透光体と、透光体の周囲を遮光する形状で覆い、基板3の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを備える。複数のセンサは、基板面において、遮光体の外部から開口を通じ透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられる。複数のセンサは、透光体の内部に入射する光のうち、基板面の正面側における一部の方向からの受光に応じて照度を検出する第1照度センサであるフロントエンドセンサと、第1照度センサよりも広い方向からの受光に応じて照度を検出する第2照度センサである照度センサ31と、受光に応じて日射を検出する日射センサ32~35,38~41と受光に応じて雨を検出するレインセンサ36,37とのうち、少なくとも2つを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた複数のセンサと、
透光性の樹脂により構成され、前記基板および前記複数のセンサを覆う透光体と、
前記透光体の周囲を遮光する形状で覆い、前記基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを備え、
前記複数のセンサは、
前記基板面において、前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられ、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサと、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサと、
受光した光に応じて日射を検出する日射センサと、
受光した光に応じて雨を検出するレインセンサとのうち、少なくとも2つのセンサを含む、光検出装置。
【請求項2】
前記複数のセンサは、前記第1照度センサ、前記第2照度センサ、前記日射センサ、および、前記レインセンサのうち、2つのセンサを備える、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記複数のセンサは、前記第1照度センサ、前記第2照度センサ、前記日射センサ、および、前記レインセンサのうち、3つのセンサを備える、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記複数のセンサは、前記第1照度センサ、前記第2照度センサ、前記日射センサ、および、前記レインセンサのうち、4つのセンサを備える、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記遮光体は、遮光性の樹脂により構成され、
前記透光体と前記遮光体とは、2重モールドで形成された構造である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記透光体は、前記遮光体における前記開口の内側に突出したレンズ形状の構造部を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記遮光体において、前記開口の厚みは、前記レンズ形状の構造部よりも厚い、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記複数のセンサは、前記基板面において、検出機能に応じて必要な方向から前記透光体に入射した光を受光可能とするように配置される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記日射センサは、前記透光体に入射した光の照度および入射角度を検出可能となるように配置された複数の受光素子を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記第2照度センサは、前記レインセンサおよび前記日射センサよりも広い範囲から前記透光体に入射した光を受光可能な位置に配置される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記レインセンサは、車両のウインドウに雨が付着していない場合に、前記ウインドウで反射した赤外光を受光可能な位置に配置される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つのセンサのうちに前記レインセンサを含む請求項1に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【請求項13】
前記2つのセンサのうちに前記レインセンサを含む請求項2に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【請求項14】
前記3つのセンサのうちに前記レインセンサを含む請求項3に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【請求項15】
請求項4に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【請求項16】
車両のウインドウに取付けられた光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、車両のウインドウで反射させながら前記光検出装置に入射させる光学素子とを備え、
前記光検出装置は、
前記発光装置から前記光学素子を通って受光した赤外光に応じて雨を検出するレインセンサを含み、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記光検出装置よりも下方に設けられる、光検出システム。
【請求項17】
前記光検出装置は、
前記レインセンサを含み、基板上に設けられた複数のセンサと、
透光性の樹脂により構成され、前記基板および前記複数のセンサを覆う透光体と、
前記透光体の周囲を遮光する形状で覆い、前記基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを含み、
前記光学素子は、前記発光装置により発生させられた赤外光を、車両のウインドウで反射させながら前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射させることが可能な位置に設けられ、
前記複数のセンサは、前記基板面において、前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられる、請求項16に記載の光検出システム。
【請求項18】
前記複数のセンサは、前記透光体の内部に入射する光のうち、前記基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサをさらに含む、請求項17に記載の光検出システム。
【請求項19】
前記複数のセンサは、前記透光体の内部に入射する光のうち、前記第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサをさらに含む、請求項18に記載の光検出システム。
【請求項20】
前記複数のセンサは、受光した光に応じて日射を検出する日射センサをさらに含む、請求項17~請求項19のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項21】
基板と、
前記基板に設けられた複数のセンサと、
透光性の樹脂により構成され、前記基板および前記複数のセンサを覆う透光体と、
前記透光体の周囲を遮光する形状で覆い、前記基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを備え、
前記複数のセンサは、
前記基板面において、前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられ、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサと、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサとを含む、光検出装置。
【請求項22】
前記複数のセンサは、受光した光に応じて雨を検出するレインセンサをさらに含む、請求項21に記載の光検出装置。
【請求項23】
前記複数のセンサは、受光した光に応じて日射を検出する日射センサをさらに含む、請求項21または請求項22に記載の光検出装置。
【請求項24】
請求項21に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置および光検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両において、日射の強さを検出する日射センサ、および、雨量を検出するレインセンサ等の受光素子を備えた複数種類のセンサが、異なる位置に設けられた例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、受光素子を備えた複数種類のセンサを異なる位置に設ける場合には、複数種類のセンサを含む光検出装置が小型化できないという問題が生じ得る。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、装置を小型化することが可能な光検出装置および光検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従う光検出装置は、基板と、基板に設けられた複数のセンサと、透光性の樹脂により構成され、基板および複数のセンサを覆う透光体と、透光体の周囲を遮光する形状で覆い、基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを備え、複数のセンサは、基板面において、遮光体の外部から開口を通して透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられ、透光体の内部に入射する光のうち、基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサと、透光体の内部に入射する光のうち、第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサと、受光した光に応じて日射を検出する日射センサと、受光した光に応じて雨を検出するレインセンサとのうち、少なくとも2つのセンサを含む。
【0007】
本開示の他の局面に従う光検出システムは、少なくとも2つのセンサのうちにレインセンサを含む光検出装置と、赤外光を発光する発光装置と、車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、ウインドウで反射させながらレインセンサに入射させる光学素子とを備え、複数のセンサは、ウインドウに取付けられ、発光装置、および、光学素子は、レインセンサよりも下方に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、装置を小型化することが可能な光検出装置および光検出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る光検出装置および光検出システムの設置例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る光検出システムの内部構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る光検出システムの内部構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1の照度センサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の日射センサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1のレインセンサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3に係る光検出システムの構成を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3の照度センサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3の日射センサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3のレインセンサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態4に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態5に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態6に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態6の日射センサおよびフロントエンドセンサの検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
【
図18】
図18は、実施の形態7に係る光検出装置の基板上における各種センサの配置例を示す基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
【0011】
以下に示す実施の形態1~実施の形態7では、
図1~
図18を用いて、光検出装置と光検出システムとを説明する。具体的に、実施の形態1~実施の形態7では、複数のセンサが1つの基板に設けられた光検出装置1,1A、および、光検出装置1,1Aを含む光検出システム10,10A等を説明する。
【0012】
以下の実施の形態1~実施の形態7に示す光検出装置1,1Aは、後述する日射センサと、フロントエンドセンサと、照度センサと、レインセンサとの複数のセンサのうち、少なくとも2つのセンサが設けられるものであればよい。例えば、光検出装置1,1Aは、複数のセンサのうちいずれか2つのセンサが設けられる構成と、複数のセンサのうちいずれか3つのセンサが設けられる構成と、複数のセンサのうち4つのセンサが設けられる構成とのいずれの構成であってもよい。
【0013】
<実施の形態1>
[光検出システム10の構成]
図1は、実施の形態1に係る光検出装置1を含む光検出システム10の設置例を示す図である。
図1の例では、車両100の側面図が示されている。
図1においては、例えば自動車のような車両100のウインドウであるフロントガラス101の内側に光検出システム10が設置された構成が示されている。
【0014】
光検出システム10は、複数のセンサが1つの基板に設けられた光検出装置1を含む。光検出装置1に設けられた複数のセンサは、受光した光に応じて雨を検出するレインセンサと、受光した光に応じて照度を検出する照度センサと、受光した光に応じて日射を検出する日射センサとを含む。なお、複数のセンサは、レインセンサと、照度センサおよび日射センサの少なくとも一方とを含むものであってもよい。また、複数のセンサは、照度センサと日射センサとの2つのセンサであってもよい。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る光検出システム10の内部構成を示す側面図である。
図3は、実施の形態1に係る光検出システム10の内部構成を示す平面図である。
【0016】
図2では、フロントガラス101に取付けられた光検出システム10を車両100の上方側から観た光検出システム10の内部における構成が示されている。
図2において、光検出装置1は、内部構成を明確化するために、底板2および発光装置11a,11b以外は断面図が示されている。
【0017】
図3では、フロントガラス101に取付けられた状態をフロントガラス101の外側から観た構成が示されている。
図3において、光検出システム10の一部は、構成を明確化するために破線で示されている。
【0018】
以下においては、
図2および
図3を参照して、光検出システム10についての構成を説明する。以下の説明では、光検出システム10を平置きした状態での構成を説明するので、上下方向を説明する場合は、光検出システム10を平置きした状態での上下方向を意味する。したがって、基板3の上方向という場合は、基板3の基板面の正面方向を意味する。
【0019】
光検出システム10では、筐体9の内部に、光検出装置1、複数の発光装置11a,11b、および、複数のレンズ12a,12b,12c,12dが設けられている。
【0020】
複数の発光装置11a,11bは、光検出装置1に含まれるレインセンサ(
図4のレインセンサ36,37)が雨を検出するために用いる赤外光を発光するLEDを備えた発光装置である。複数のレンズ12a,12b,12c,12dは、光検出装置1に含まれるレインセンサ(
図4のレインセンサ36,37)が雨または雨滴を検出することにより降雨状態を検出するために用いるレンズである。複数のレンズ12a,12b,12c,12dは、後述するように、赤外線のような光を反射する機能等を主な機能として有するが、後述するような光を反射する機能等を有するものであれば、レンズ以外に、その他の光学素子を用いてもよい。
【0021】
レインセンサは、発光装置11a,11bのような発光装置から発光してフロントガラス101に入射し、フロントガラス101で反射した赤外光の光線量に応じて降雨状態を検出する光学センサである。レインセンサは、フロントガラス101に雨が付着していない場合に、フロントガラス101で反射した赤外光を受光可能な位置に配置される。レインセンサでは、フロントガラス101に雨または雨滴が付着している場合に、フロントガラス101に雨または雨滴が付着していない場合よりも、フロントガラス101で反射する赤外光の光線量が減少することに応じて、検出する赤外光の光線量が低下する。その理由は、フロントガラス101に雨または雨滴が付着している場合は、フロントガラス101に雨または雨滴が付着していない場合よりも、フロントガラス101から外部に出ていく赤外光の光線量が多くなるという現象が生じるためである。したがって、レインセンサは、フロントガラス101で反射した赤外光の光線量を検出することに応じて、降雨状態を検出することが可能である。
【0022】
レンズ12a,12b,12c,12dは光検出装置1に含まれるレインセンサ(
図4のレインセンサ36,37)が雨を検出するために用いるレンズである。レンズ12a,12b,12c,12dの各々は、図示を省略する透明の板状のレンズ支持体において複数設けられている。レンズ12a,12b,12c,12dの各々は、円錐形状のレンズである。レンズ12a,12b,12c,12dの各々は、筐体9の内部空間の方向に突出する態様で設けられている。なお、光検出装置1では、赤外光を通すレンズとして、レンズ12a,12b,12c,12dに加えて、三角柱形状のレンズを用いてもよい。
【0023】
筐体9の内部において、底面には、光検出装置1と、複数の発光装置11a,11bとが離隔して設けられている。筐体9の内部の底面においては、底面の中央部に光検出装置1が設けられている。筐体9の内部における底面には、光検出装置1の一方端の方向に発光装置11aが設けられ、光検出装置1の他方端の方向に発光装置11bが設けられている。
【0024】
レンズ12a,12b,12c,12dの各々は、突出面の側が光検出装置1および発光装置11a,11b等と対向するように設けられている。レンズ12a,12bは、発光装置11aと光検出装置1との間の領域の上方に位置する。レンズ12c,12dは、発光装置11bと光検出装置1との間の領域の上方に位置する。
【0025】
光検出装置1は、底板2、基板3、透光体4、および、遮光体5を含む。基板3は、複数種類の光センサが実装された回路基板である。透光体4は、基板3と、基板3上に設けられた各種の光センサとを透光性の合成樹脂により封止するモールド部材である。遮光体5は、透光体4の外側の周囲に形成され、透光体4の上面側を除く透光体4の周囲を遮光性の合成樹脂により覆うモールド部材である。これにより、基板3は、透光体4および遮光体5により二重にモールドされている。なお、遮光体5は、遮光機能がある金属を一部または全部に用いる部材であってもよい。
【0026】
底板2は、基板3よりもサイズが大きい矩形状の板状部材である。基板3は、底板2上に取付けられる矩形状の板状部材である。基板3上には、
図4に示すように複数の光センサが設けられている。
【0027】
透光体4は、基板3の側面側および上面側を覆うように形成されている。透光体4の上面側の中央部には、凸レンズ形状のレンズ部49が上方に突出した態様で設けられている。
【0028】
遮光体5は、透光体4の外側において、透光体4の側面側と、上面側の中央部を除く部分とを覆うように形成されている。遮光体5においては、透光体4における上面側の中央部の上方において、円形の開口50が設けられている。
【0029】
開口50は、透光体4におけるレンズ部49と、レンズ部49の周辺領域の一部とが上方から視認できるような直径の円形である。開口50は、直径がレンズ部49の直径よりも大きい。開口50の直径は、基板3の1辺の長さと同様である。なお、開口50の直径は、基板3の1辺の長さと同じであってもよく、基板3の1辺の長さと異なってもよい。開口50の厚みは、レンズ部49の厚みよりも厚い。レンズ部49は、遮光体5における開口50の内側に突出した半円形のレンズ形状の構造部である。開口50は、基板3の基板面に対向する位置に設けられている。
【0030】
このような遮光体5により、光検出装置1では、遮光体5の側面側からの光と、遮光体5の上面側の開口50以外の部分からの光とが、基板3上における複数の光センサにより検出不可能となる。一方、透光体4において、レンズ部49の上方と、レンズ部49の周辺領域の一部の上方とは、遮光体5に開口50が存在することにより、遮光されていない。これにより、光検出装置1では、透光体4におけるレンズ部49と、レンズ部49の周辺領域の一部とを通して光が内部に入射する。光検出装置1では、このように入射した光が基板3上における複数の光センサにより検出可能となる。
【0031】
また、レンズ部49は、上方に突出した形状であり、光検出装置1の上方から、より多くの光を集めて基板3上の複数のセンサに送ることが可能である。なお、光検出装置1は、レンズ部49を設けない構造であってもよい。
【0032】
レンズ12a,12bは、
図2で破線の矢印で示すように、フロントガラス101に雨または雨滴が付着していない場合に、発光装置11aの発光により生じた赤外光が、レンズ12aを通ってフロントガラス101で反射し、レンズ12bを通って透光体4に入射するように配置されている。レンズ12aは、発光装置11aの発光により生じた赤外光が雨を検出するために最適な角度でフロントガラス101に入射するように光を透過させる。レンズ12bは、レンズ12aを通ってフロントガラス101に入射して反射した赤外光が、光検出装置1まで到達するために最適な角度で透光体4に入射するように赤外光を透過させる。
【0033】
レンズ12c,12dは、
図2で破線の矢印で示すように、発光装置11bの発光により生じた赤外光が、レンズ12dを通ってフロントガラス101で反射し、レンズ12cを通って透光体4に入射するように配置されている。レンズ12dは、発光装置11bの発光により生じた赤外光が雨を検出するために最適な角度でフロントガラス101に入射するように赤外光を透過させる。レンズ12cは、レンズ12dを通ってフロントガラス101に入射して反射した赤外光が、光検出装置1まで到達するために最適な角度で透光体4に入射するように赤外光を透過させる。
【0034】
[光検出装置1の基板3上における各種センサの配置]
図4は、実施の形態1に係る光検出装置1の基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
図4においては、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。以下の説明では、このように光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態での上下方向および左右方向により方向を説明する。
【0035】
基板3の基板面上においては、照度センサ31、レインセンサ36,37、および、日射センサ32,33,34,35,38,39,40,41のような複数の光センサが配置される。これらの複数の光センサは、透光体4に入射した光のうち、各センサの検出機能に応じて必要な方向からの光を受光可能とするように配置される。
【0036】
基板3上の中央部には、照度センサ31が取付けられている。基板3上において、照度センサ31の左右両側で、照度センサ31から離れた位置には、レインセンサ36,37が設けられている。具体的に、レインセンサ36,37は、フロントガラス101に雨または雨滴が付着していない場合に、フロントガラス101で反射した赤外光を受光可能な位置に配置されている。レインセンサ36,37は、基板3の左右両端部において、基板3の中心を上下方向に通る線を介して左右対称な位置に取付けられている。
【0037】
基板3上において、照度センサ31の上下両側で、照度センサ31から離れた位置には、日射センサ32,33,34,35と、日射センサ38,39,40,41とが設けられている。これらのセンサは、例えばフォトダイオードのような受光素子により構成されている。具体的に、日射センサ32,33,34,35と、日射センサ38,39,40,41とは、基板3の上下両端部において、基板3の中心を左右方向に通る線を介して上下対称な位置に取付けられている。
【0038】
日射センサ32は、基板3の右上端部の位置に取付けられている。日射センサ35は、基板3の左上端部の位置に取付けられている。日射センサ33は、基板3の上端部において、日射センサ32の左隣の位置に取付けられている。日射センサ34は、基板3の上端部において、日射センサ35の右隣の位置に取付けられている。
【0039】
日射センサ38は、基板3の右下端部の位置に取付けられている。日射センサ41は、基板3の左下端部の位置に取付けられている。日射センサ39は、基板3の下端部において、日射センサ38の左隣の位置に取付けられている。日射センサ40は、基板3の下端部において、日射センサ40の右隣の位置に取付けられている。
【0040】
図4に示された照度センサ31、レインセンサ36,37、および、日射センサ32~35,38~41の位置は、各センサの受光素子が設けられた領域の位置を示している。
【0041】
照度センサ31では、受光素子が設けられた領域において、可視光のみを透過させる光学フィルタとしての可視光透過フィルタが設けられている。これにより、照度センサ31では、可視光を、より効率的に受光することが可能となる。なお、このような可視光透過フィルタは、設けられていなくてもよい。
【0042】
レインセンサ36,37の各々では、受光素子が設けられた領域において、可視光を透過させない光学フィルタとしての可視光カットフィルタが設けられている。これにより、レインセンサ36,37では、発光装置11a,11bにより発光した赤外光をより効率的に受光することが可能となる。なお、このような可視光カットフィルタは、設けられていなくてもよい。
【0043】
日射センサ32~35,38~41の各々では、受光素子が設けられた領域において、光学フィルタが設けられていない。なお、日射センサ32~35,38~41の各々では、可視光カットフィルタが設けられてもよい。
【0044】
[各種センサの検出特性例]
図5は、実施の形態1の照度センサ31の検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
図5において、検出角度は、照度センサ31において、
図4に示された基板3の左方向の角度が負の角度として示され、
図4に示された基板3の右方向の角度が正の角度として示される。
図5において、検出光線量は、照度センサ31において、
図4の基板3の基板面の正面の方向から光を受光したときの検出光線量を1.0とした場合の光線量の比率が示される。
【0045】
図5を参照して、照度センサ31は、左右方向ともに例えば50度から0度までの光を受光可能である。照度センサ31は、検出光線量の最大ピーク値が例えば0度の検出角度で得られる。このように、照度センサ31は、基板3の左右の両方向の幅広い範囲から入射する光を検出する。照度センサ31では、検出した光線量に応じて、照度を検出することが可能である。
【0046】
照度センサ31により検出可能な照度の情報は、例えば、車両100の周囲の明るさに応じて車両100に設けられたライトを自動的に点灯または消灯させるオートライト制御を実行するために用いられる。
【0047】
図6は、実施の形態1の日射センサ32~35,38~41の検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
図6において、検出角度は、各日射センサにおいて、
図4に示された基板3の左方向の角度が負の角度として示され、
図4に示された基板3の右方向の角度が正の角度として示される。
図6において、検出光線量は、日射センサ32~35,38~41において、
図4の基板3の基板面の正面の方向から光を受光したときの検出光線量を1.0とした場合の光線量の比率が示される。
【0048】
図6には、一例として、日射センサ32~35の検出例が示されている。
図6において、日射センサ32の検出特性は、破線で示されている。
図6において、日射センサ33の検出特性は、二点鎖線で示されている。
図6において、日射センサ34の検出特性は、一点鎖線で示されている。
図6において、日射センサ35の検出特性は、実線で示されている。
【0049】
図6に示すように、日射センサ32,33は、検出角度の範囲が例えば-50度~15度の範囲である。日射センサ32は、検出光線量の最大ピーク値が例えば-40度の検出角度で得られる。日射センサ33は、検出光線量の最大ピーク値が例えば-20度の検出角度で得られる。このように、日射センサ32,33は、主に基板3の左方向から入射する光を検出する。
【0050】
図6に示すように、日射センサ34,35は、検出角度の範囲が例えば-15度~50度の範囲である。日射センサ35は、検出光線量の最大ピーク値が例えば40度の検出角度で得られる。日射センサ34は、検出光線量の最大ピーク値が例えば20度の検出角度で得られる。このように、日射センサ34,35は、主に基板3の右方向から入射する光を検出する。
【0051】
日射センサ38~41の検出特性は、
図6に示された日射センサ32~35の検出特性と同様である。
【0052】
日射センサ32~35,38~41では、各日射センサにより光線量を検出することが可能であるとともに、複数の日射センサが検出した光線量を分析することにより、光の入射方向を特定することが可能である。
【0053】
日射センサ32~35,38~41により検出可能な光線量の情報および光の入射方向の情報は、例えば、車両100に設けられた空調装置の自動制御を実行するために用いられる。
【0054】
図7は、実施の形態1のレインセンサ36,37の検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
図7において、検出角度は、各レインセンサにおいて、
図7に示された基板3の左方向の角度が負の角度として示され、
図4に示された基板3の右方向の角度が正の角度として示される。
図7において、検出光線量は、レインセンサ36,37において、
図4の基板3の基板面の正面の方向から赤外光を受光したときの検出光線量を1.0とした場合の光線量の比率が示される。
【0055】
図7において、レインセンサ36の検出特性は、破線で示されている。
図7において、レインセンサ37の検出特性は、実線で示されている。
【0056】
図7に示すように、レインセンサ36は、検出角度の範囲が例えば-60度~15度の範囲である。レインセンサ36は、検出光線量の最大ピーク値が例えば-40度の検出角度で得られる。このように、レインセンサ36は、主に基板3の左方向から入射する光を検出する。
【0057】
レインセンサ37は、検出角度の範囲が例えば60度~-15度の範囲である。レインセンサ37は、検出光線量の最大ピーク値が例えば40度の検出角度で得られる。このように、レインセンサ37は、主に基板3の右方向から入射する光を検出する。
【0058】
レインセンサ36,37では、検出した光線量に応じて、降雨状態を検出することが可能である。レインセンサ36,37により検出可能な降雨状態の情報は、例えば、車両100に設けられたワイパー装置を降雨時において自動的に動作させる制御を実行するために用いられる。
【0059】
なお、実施の形態1では、光検出装置1において、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が設けられた例を説明した。しかし、これに限らず、1つの基板3上には、実施の形態5に示すように、レインセンサ36,37が設けられず、照度センサ31と、日射センサ32~35,38~41とが設けられてもよい。また、1つの基板3上には、日射センサ32~35,38~41が設けられず、レインセンサ36,37と、照度センサ31とが設けられてもよい。また、1つの基板3上には、照度センサ31が設けられず、レインセンサ36,37と、日射センサ32~35,38~41とが設けられてもよい。
【0060】
実施の形態1によれば、
図4に示すように、光検出装置1において、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が設けられたことにより、光検出装置1を小型化することができる。このような効果は、1つの基板3上に、レインセンサ36,37と、照度センサ31とが設けられた場合、および、1つの基板3上に、レインセンサ36,37と、日射センサ32~35,38~41とが設けられた場合においても得ることができる。
【0061】
実施の形態1によれば、
図4に示すように、光検出装置1において、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が設けられたことにより、同じ基板上の領域を対象として、複数種類の光学センサに関する光学設計を行なうことができるので、検出装置1に関する光学設計を容易化することができる。このような効果は、1つの基板3上に、レインセンサ36,37と、照度センサ31とが設けられた場合、および、1つの基板3上に、レインセンサ36,37と、日射センサ32~35,38~41とが設けられた場合においても得ることができる。
【0062】
実施の形態1によれば、
図4に示すように、光検出装置1において、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が設けられたことにより、複数種類の光学センサについて、光学センサを実装する基板を光学センサ別に設ける場合と比べて、基板数を減らすことができる。これにより、実施の形態1では、検出装置1に関する製造コストを低減することができる。
【0063】
実施の形態1によれば、
図2および
図3に示すように、検出装置1においては、透光体4が、基板3と、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41とを覆い、遮光体5が開口50以外の領域において、透光体4の周囲を遮光する形状で覆う。これにより、実施の形態1では、検出装置1において、例えば車両100のフロントガラス101以外の部分で反射した光のような不要な光の検出量を低減することができる。
【0064】
実施の形態1によれば、
図2に示すように、検出装置1においては、透光体4と遮光体5とが、2重モールドで形成された構造であるので、検出装置1の製造を容易化することができる。
【0065】
実施の形態1によれば、
図2に示すように、検出装置1においては、透光体4が遮光体5における開口50の内側に突出したレンズ形状の構造部であるレンズ部49を含むので、レンズ部49によって、開口50の外側からの光をより効率的に集めることができる。
【0066】
実施の形態1によれば、
図2に示すように、検出装置1においては、遮光体5において、開口50の厚みは、レンズ部49の厚みよりも厚いので、レンズ部49が、例えば車両100のフロントガラス101以外の部分で反射した光のような不要な光を集めることを抑制することができる。
【0067】
実施の形態1によれば、
図2および
図4に示すように、検出装置1においては、レインセンサ36,37が、車両のウインドウに付着した雨滴によりフロントガラス101で反射した赤外光を受光可能な位置に配置される透光体4が遮光体5における開口50の内側に突出したレンズ形状の構造部であるレンズ部49を含むので、レンズ部49によって、開口50の外側からの光をより効率的に集めることができる。
【0068】
実施の形態1によれば、
図4~
図7に示すように、複数のセンサであるレインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が、基板3において、検出機能に応じて必要な方向から透光体4に入射した光を受光可能とするように配置されているので、1つの基板3に複数のセンサを実装した場合でも、各センサの機能に支障が生じないようにすることができる。
【0069】
実施の形態1によれば、
図2、
図4、および、
図7に示すように、レインセンサ36,37は、車両100のウインドウ(フロントガラス101)に雨が付着していない場合にフロントガラス101で反射した赤外光を受光可能な位置に配置されるので、1つの基板3に複数のセンサを実装した場合でも、レインセンサ36,37の機能に支障が生じないようにすることができる。
【0070】
実施の形態1によれば、
図4および
図5に示すように、照度センサ31は、レインセンサ36,37および日射センサ32~35,38~41よりも広い範囲において、透光体4に入射した光を受光可能な位置に配置されるので、1つの基板3に複数のセンサを実装した場合でも、照度センサ31の機能に支障が生じないようにすることができる。
【0071】
実施の形態1によれば、
図4および
図6に示すように、日射センサ32~35,38~41は、透光体に入射した光の照度および入射角度を検出可能となるように配置された複数の受光素子(日射センサ32~35,38~41を構成する複数の受光素子)を含むので、1つの基板3に複数のセンサを実装した場合でも、日射センサ32~35,38~41の機能に支障が生じないようにすることができる。
【0072】
実施の形態1によれば、
図2および
図3に示すように、光検出システム10が、光検出装置1と、発光装置11a,11bと、レンズ12a~12dとを含むので、前述したような光検出装置1の特徴により、光検出システム10の小型化、光学設計の容易化、および、製造コストの低減を図ることができる。
【0073】
<実施の形態2>
実施の形態2では、光検出装置1の基板3上における各種センサの配置に関するその他の例を説明する。実施の形態1において
図4に示した基板3上における各種センサの配置では、レインセンサ36,37および日射センサ32~35,38~41に関して、主に基板3の左右方向から入射する光について検出精度が高い。実施の形態2では、レインセンサ36,37および日射センサ32~35,38~41に関して、基板3の左右方向に加えて、基板3の上下方向から入射する光についても検出精度が高い各種センサの配置例を説明する。
【0074】
図8は、実施の形態2に係る光検出装置1の基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
【0075】
図8においては、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。以下の説明では、
図4の場合と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態での上下方向および左右方向により方向を説明する。
【0076】
図8の構成が、
図4の構成と異なるのは、次の点である。日射センサ38とレインセンサ36との間の位置に日射センサ61が取付けられている。日射センサ32とレインセンサ36との間の位置に日射センサ62が取付けられている。日射センサ41とレインセンサ37との間の位置に日射センサ65が取付けられている。日射センサ35とレインセンサ37との間の位置に日射センサ66が取付けられている。日射センサ39と日射センサ40との間の位置にレインセンサ63が取付けられている。日射センサ33と日射センサ34との間の位置にレインセンサ64が取付けられている。
【0077】
このように日射センサ61,62,65,66が取付けられた場合は、日射センサ38,61,62,32により、基板3の上下方向から入射する光に対応して、
図6に示す検出特性と同様の検出特性を得ることができる。また、日射センサ41,65,66,35により、基板3の上下方向から入射する光に対応して、
図6に示す検出特性と同様の検出特性を得ることができる。
【0078】
また、このようにレインセンサ63,64が取付けられた場合は、レインセンサ63,64により、基板3の上下方向から入射する光に対応して、
図7に示す検出特性と同様の検出特性を得ることができる。
図8の構成においてレインセンサ63,64が
図7に示す検出特性と同様の検出特性を得るためには、光検出システム10において、光検出装置1の上方向からレンズ部49に赤外光を入射させるように配置された発光装置およびレンズと、光検出装置1の下方向からレンズ部49に赤外光を入射させるように配置された発光装置およびレンズとを備えればよい。
【0079】
<実施の形態3>
実施の形態3では、光検出装置の位置と複数の発光装置の位置との相対的な位置関係が異なる光検出システムについて説明する。具体的に、実施の形態3では、複数の発光装置およびレンズを光検出装置の位置よりも下方の位置に設けた例を説明する。
【0080】
[光検出システム10Aの構成]
図9は、実施の形態3に係る光検出システム10Aの構成を示す図である。
図9においては、光検出装置1Aと、複数の発光装置11c,11d、および、レンズ12e,12f,12g,12hとの相対的な位置関係を明確化するために、光検出システム10Aがフロントガラス101に取付けられた状態をフロントガラス101の外側から観た構成が示されている。
【0081】
図9に示すように、光検出システム10Aでは、レインセンサで降雨状態を検出するために用いる赤外光を発生する複数の発光装置11c,11dが、光検出装置1Aの下方に設けられている。光検出装置1Aは、基板3における各種センサの配置状態を除き、
図2および
図3に示す光検出装置1と同様の構造である。
【0082】
レンズ12e,12f,12g,12hは、
図2および
図3に示すレンズ12a,12b,12c,12dと同様の構成および機能を有するレンズである。
【0083】
発光装置11cで発光した赤外光は、図中の破線矢印で示すように、レンズ12eを通り、フロントガラス101で反射する。フロントガラス101で反射した赤外光は、図中の破線矢印で示すように、レンズ12fを通り、遮光体5の開口50からレンズ部49を経て基板3の右上端部に届くように、光検出装置1Aの内部に入射する。
【0084】
発光装置11dで発光した赤外光は、図中の破線矢印で示すように、レンズ12gを通り、フロントガラス101で反射する。フロントガラス101で反射した赤外光は、図中の破線矢印で示すように、レンズ12hを通り、遮光体5の開口50からレンズ部49を経て基板3の左上端部に届くように、検出装置1Aの内部に入射する。
【0085】
[光検出装置1Aの基板3上における各種センサの配置]
図10は、実施の形態3に係る光検出装置1Aの基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
図10においては、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。以下の説明では、
図4の場合と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態での上下方向および左右方向により方向を説明する。
【0086】
図10が
図4と異なるのは、レインセンサ36,37、および、日射センサ32,35,38,41が取付けられた位置である。
【0087】
レインセンサ36は、基板3の右上端部の位置に取付けられている。レインセンサ37は、基板3の左上端部の位置に取付けられている。日射センサ32は、レインセンサ36の下方向の隣接位置に取付けられている。日射センサ35は、レインセンサ37の下方向の隣の位置に取付けられている。日射センサ38は、基板3の右下端部の位置の上方向の隣接位置に取付けられている。日射センサ41は、基板3の左下端部の位置の上方向の隣接位置に取付けられている。
【0088】
レインセンサ36は、主に発光装置11cから発光した光を検出することが可能である。レインセンサ37は、主に発光装置11dから発光した光を検出することが可能である。具体的に、レインセンサ36,37は、フロントガラス101に雨または雨滴が付着していない場合に、フロントガラス101で反射した赤外光を受光可能な位置に配置されている。
【0089】
[各種センサの検出特性例]
図11は、実施の形態3の照度センサ31の検出角度(度)と検出光線量(ルーメン)との関係を示す図である。
図11において、検出角度(度)は、照度センサにおいて、
図10に示された基板3の左方向の角度が負の角度として示され、
図11に示された基板3の右方向の角度が正の角度として示される。
【0090】
図11に示すように、実施の形態3の照度センサ31は、
図4の照度センサ31の位置と同様の位置に取付けられているので、
図5に示す検出特性と同様の検出特性である。
【0091】
図12は、日射センサ32~35,38~41の検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
図12において、検出角度は、各日射センサにおいて、
図10に示された基板3の左方向の角度が負の角度として示され、
図10に示された基板3の右方向の角度が正の角度として示される。
図12において、検出光線量は、日射センサ32~35,38~41において、
図10の基板3の基板面の正面の方向から光を受光したときの検出光線量を1.0とした場合の光線量の比率が示される。
【0092】
図12には、一例として、日射センサ32~35の検出例が示されている。
図12において、日射センサ32の検出特性は、破線で示されている。
図12において、日射センサ33の検出特性は、二点鎖線で示されている。
図12において、日射センサ34の検出特性は、一点鎖線で示されている。
図12において、日射センサ35の検出特性は、実線で示されている。
【0093】
図12に示すように、日射センサ32は、検出角度の範囲が例えば-60度~10度の範囲である。日射センサ32は、検出光線量の最大ピーク値が例えば-40度の検出角度で得られる。日射センサ33は、検出角度の範囲が例えば-50度~15度の範囲である。日射センサ33は、検出光線量の最大ピーク値が例えば-20度の検出角度で得られる。このように、日射センサ32,33は、主に基板3の左方向から入射する光を検出する。
【0094】
図12に示すように、日射センサ34は、検出角度の範囲が例えば-15度~50度の範囲である。日射センサ34は、検出光線量の最大ピーク値が例えば20度の検出角度で得られる。日射センサ35は、検出角度の範囲が例えば-10度~60度の範囲である。日射センサ35は、検出光線量の最大ピーク値が例えば40度の検出角度で得られる。このように、日射センサ34,35は、主に基板3の右方向から入射する光を検出する。
【0095】
日射センサ38~41の検出特性は、
図12に示された日射センサ32~35の検出特性と同様である。
【0096】
日射センサ32~35,38~41では、各日射センサにより光線量を検出することが可能であるとともに、複数の日射センサが検出した光線量を分析することにより、光の入射方向を特定することが可能である。
【0097】
図13は、実施の形態3のレインセンサ36,37の検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
図13において、検出角度は、各レインセンサにおいて、
図10に示された基板3の左方向の角度が負の角度として示され、
図10に示された基板3の右方向の角度が正の角度として示される。
図13において、検出光線量は、レインセンサ36,37において、
図10の基板3の基板面の正面の方向から赤外光を受光したときの検出光線量を1.0とした場合の光線量の比率が示される。
【0098】
図13において、レインセンサ36の検出特性は、破線で示されている。
図13において、レインセンサ37の検出特性は、実線で示されている。
【0099】
図13に示すように、レインセンサ36は、検出角度の範囲が例えば-60度~15度の範囲である。レインセンサ36は、検出光線量の最大ピーク値が例えば-40度の検出角度で得られる。このように、レインセンサ36は、主に基板3の左方向から入射する光を検出する。
【0100】
レインセンサ37は、検出角度の範囲が例えば60度~-15度の範囲である。レインセンサ37は、検出光線量の最大ピーク値が例えば40度の検出角度で得られる。このように、レインセンサ37は、主に基板3の右方向から入射する光を検出する。
【0101】
図13に示すようにレインセンサ36,37は、
図7に示すレインセンサ36,37の検出特性と同様の検出特性である。
【0102】
なお、実施の形態3では、光検出装置1Aにおいて、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が設けられた例を説明した。しかし、これに限らず、1つの基板3上には、レインセンサ36,37が設けられず、照度センサ31と、日射センサ32~35,38~41とが設けられてもよい。また、1つの基板3上には、日射センサ32~35,38~41が設けられず、レインセンサ36,37と、照度センサ31とが設けられてもよい。また、1つの基板3上には、照度センサ31が設けられず、レインセンサ36,37と、日射センサ32~35,38~41とが設けられてもよい。
【0103】
実施の形態3によれば、実施の形態1で説明した効果と同様の効果が得られる。そして、実施の形態3によれば、実施の形態1で説明した効果の他に、次のような効果を得ることができる。
【0104】
レインセンサ36,37は、主に、自然光ではなく、発光装置11c,11dにより発光される赤外光を受光することにより、雨滴を検出することが可能である。一方、照度センサ31は、主に自然光を受光することにより照度を検出することが可能であり、日射センサ32~35,38~41は、主に自然光を受光することにより光の入射方向等を検出することが可能である。
【0105】
照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41は、主に自然光を受光すれば、目的とする光の検出結果を得ることができるが、1つの基板3上にレインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が設けられる場合には、レインセンサ36,37に用いる赤外光の影響を受けないようにする必要がある。レインセンサ36,37に用いる赤外光の影響が生じる場合としては、例えば赤外光を通すレンズ12e~12hで反射した赤外光を照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が受光すると、照度センサ31の検出値、および、日射センサ32~35,38~41の検出値に悪影響を及ぼすおそれがあると考えられる。
【0106】
実施の形態3では、このようなレインセンサ36,37に用いる赤外光が照度センサ31の検出値、および、日射センサ32~35,38~41の検出値に悪影響を与えないようにする光検出システム10Aを提供することを目的としている。
【0107】
照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41が主に受光する自然光は、太陽の光に基づくものであるため、基本的に光検出装置1Aの上方から光検出装置1Aに入射する光の光量が多い。したがって、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41では、レンズ12e~12h等で反射した赤外光が、光検出装置1Aの上方から光検出装置1Aに入射しにくくなるようにすれば、レインセンサ36,37に用いる赤外光が照度センサ31の検出値、および、日射センサ32~35,38~41の検出値に悪影響を与えないようにすることができると考えられる。
【0108】
実施の形態3では、レインセンサ36,37に用いる赤外光を光検出装置1Aに入射させるための発光装置11c,11d、および、レンズ12e~12hが、光検出装置1Aよりも下方に設けられている。これにより、実施の形態3では、レンズ12e~12h等で反射した赤外光が、光検出装置1Aの上方から光検出装置1Aに入射することが抑制されるので、レインセンサ36,37に用いる赤外光が照度センサ31の検出値、および、日射センサ32~35,38~41の検出値に悪影響を与えないようにすることができる。
【0109】
また、実施の形態3では、レインセンサ36,37に用いる赤外光を光検出装置1Aに入射させるための発光装置11c,11d、および、レンズ12e~12hが、光検出装置1Aよりも下方に設けられることにより、レインセンサ36,37が受光する赤外光と、その他の光センサが受光する光とが相互干渉することが抑制されるので、フロントガラス101の角度がどのような角度であっても、レインセンサ36,37が雨を正確に検出することができる。
【0110】
<実施の形態4>
実施の形態4では、光検出装置1Aの基板3上における各種センサの配置に関するその他の例を説明する。実施の形態3において
図10に示した基板3上における各種センサの配置では、日射センサに関して、主に基板3の左右方向から入射する光について検出精度が高い。実施の形態4では、日射センサに関して、基板3の上下方向から入射する光について検出精度が高い各種センサの配置例を説明する。
【0111】
図14は、実施の形態4に係る光検出装置1Aの基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
【0112】
図14においては、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。以下の説明では、
図4の場合と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態での上下方向および左右方向により方向を説明する。
【0113】
図14の構成が、
図10の構成と異なるのは、次の点である。
図10の日射センサ39の位置に日射センサ32が取付けられている。
図10の日射センサ38の位置に日射センサ33が取付けられている。
図10の日射センサ32の位置に日射センサ34が取付けられている。
図10の日射センサ33の位置に日射センサ35が取付けられている。
図10の日射センサ40の位置に日射センサ38が取付けられている。
図10の日射センサ39の位置に日射センサ41が取付けられている。
図10の日射センサ35の位置に日射センサ40が取付けられている。
図10の日射センサ34の位置に日射センサ41が取付けられている。
【0114】
このように日射センサ33~35,38~41が取付けられた場合は、日射センサ33~35により、基板3の上下方向から入射する光に対応して、
図12に示す検出特性と同様の検出特性を得ることができる。また、日射センサ38~41により、基板3の上下方向から入射する光に対応して、
図12に示す検出特性と同様の検出特性を得ることができる。
【0115】
<実施の形態5>
実施の形態5では、光検出装置1において、1つの基板3上に、照度センサ31と、日射センサ32~35,38~41とが設けられた例を説明する。
【0116】
[光検出装置1の基板3上における各種センサの配置]
図15は、実施の形態5に係る光検出装置1の基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
図15においては、
図4等と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。以下の説明では、
図4の場合と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態での上下方向および左右方向により方向を説明する。
【0117】
図15の構成が、
図4の構成と異なるのは、基板3上に、レインセンサ36,37が設けられず、照度センサ31と、日射センサ32~35,38~41とが設けられていることである。
【0118】
このような実施の形態5においても、実施の形態1と同様に、光検出装置1および検出システム10について、小型化、光学設計の容易化、および、製造コストの低減を図ることができる。
【0119】
なお、基板3上に、レインセンサ36,37が設けられず、照度センサ31と、日射センサ32~35,38~41とが設けられる構成は、
図8、
図10、および、
図14に示すようにセンサが配置された基板3にも適用することが可能である。
【0120】
<実施の形態6>
実施の形態6では、光検出装置1において、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~35,38~41に加えて、フロントエンドセンサ71,72が設けられた例を説明する。
【0121】
一般的な車両においては、日射の強さを検出する日射センサ、および、雨量を検出するレインセンサ等の受光素子を備えた複数種類のセンサが、異なる位置に設けられる例がある。そして、照度を検出する受光素子としては、フロントエンドセンサが車両に設けられる場合がある。フロントエンドセンサは、例えば車両の前方における一部の方向からの光の照度を主に検出し、その検出情報が各種の照明の制御条件を判定するため等に用いられる。
【0122】
フロントエンドセンサは、オートライト制御に用いられる照度センサとは別に設けられる。光検出装置および光検出システムにおいては、このようなフロントエンドセンサも含めて複数種類のセンサを備える必要があるので、これらの複数種類のセンサを異なる位置に設ける場合には、複数種類のセンサを含む光検出装置が小型化できないという問題が生じ得る。実施の形態6では、光検出装置および光検出システムがフロントエンドセンサも含めて複数種類のセンサを備える場合に、光検出装置および光検出システムを小型化することを目的とする。
【0123】
図16は、実施の形態6に係る光検出装置1の基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
図16においては、
図14と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。以下の説明では、
図4の場合と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態での上下方向および左右方向により方向を説明する。
【0124】
図16の構成が、
図14の構成と異なるのは、基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、および、日射センサ32~34,38~40に加えて、フロントエンドセンサ71,72が設けられていることである。
【0125】
フロントエンドセンサ71,72は、透光体4の内部に入射する光のうち、基板3の基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサである。これに対し、照度センサ31は、透光体4の内部に入射する光のうち、フロントエンドセンサ71,72よりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサである。
【0126】
フロントエンドセンサ71,72は、
図1に示すように車両100のフロントガラス101の内側に光検出システム10が取付けられた場合に、例えば車両100の前方における一部の方向からの光の照度を主に検出するセンサである。フロントエンドセンサ71,72により検出可能な照度の情報は、昼の状態、夜の状態、夕暮れの状態、トンネルを通過中の状態、および、橋を通過中の状態等、各種の照明の制御条件を判定するために用いられる。このようなフロントエンドセンサ71,72により検出可能な照度の情報に応じて判定された照明の制御条件に対応して、制御装置により、車両100に設けられたライトの点灯制御が実行される。
【0127】
[各種センサの検出特性例]
図17は、実施の形態6の日射センサ32~34,38~40およびフロントエンドセンサ71,72の検出角度と検出光線量との関係を示す図である。
図17において、検出角度は、各日射センサおよび各フロントエンドセンサにおいて、
図17に示された基板3を図中の左側から見た場合の左方向の角度が負の角度として示され、
図17に示された基板3を図中の左側から見た場合の右方向の角度が正の角度として示される。
図17において、検出光線量は、日射センサ32~34,38~40およびフロントエンドセンサ71,72において、基板3の基板面の正面の方向から光を受光したときの検出光線量を1.0とした場合の光線量の比率が示される。
【0128】
図17には、一例として、日射センサ32~34、および、フロントエンドセンサ72の検出例が示されている。
図17において、日射センサ32の検出特性は、破線で示されている。
図17において、日射センサ33の検出特性は、二点鎖線で示されている。
図17において、日射センサ34の検出特性は、一点鎖線で示されている。
図17において、フロントエンドセンサ72の検出特性は、実線で示されている。
【0129】
図17に示すように、フロントエンドセンサ72は、検出光線量の最大ピーク値が例えば40度の検出角度で得られる。図示を省略するが、フロントエンドセンサ71の検出特定は、フロントエンドセンサ72の検出特定と同様である。
図17に示すように、フロントエンドセンサ71,72は、主に基板3の下方向から入射する光を検出する。これにより、フロントエンドセンサ71,72は、
図1のように車両100のフロントガラス101の内側に光検出システム10が取付けられた場合に、例えば車両100の前方における一部の方向からの光の照度を主に検出する。
【0130】
このような実施の形態6においても、実施の形態1と同様に、光検出装置1および検出システム10について、小型化、光学設計の容易化、および、製造コストの低減を図ることができる。
【0131】
なお、実施の形態1では、光検出装置1において、1つの基板3上に、レインセンサ36,37、照度センサ31、日射センサ32~34,38~40、および、フロントエンドセンサ71,72が設けられた例を説明した。しかし、これに限らず、1つの基板3上には、実施の形態7に示すように、レインセンサ36,37および日射センサ32~34,38~40が設けられず、照度センサ31と、フロントエンドセンサ71,72とが設けられてもよい。
【0132】
<実施の形態7>
実施の形態7では、光検出装置1において、1つの基板3上に、照度センサ31と、フロントエンドセンサ71,72とが設けられた例を説明する。
【0133】
図18は、実施の形態7に係る光検出装置1の基板3上における各種センサの配置例を示す基板3の平面図である。
図18においては、
図16等と同様に、光検出装置1がフロントガラス101に取付けられた状態を正面側から見た状態での上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)に対応して、基板3が示されている。
【0134】
図18の構成が、
図16の構成と異なるのは、基板3上に、日射センサ32~34,38~40およびレインセンサ36,37が設けられず、照度センサ31と、フロントエンドセンサ71,72とが設けられていることである。
【0135】
このような実施の形態7においても、実施の形態1と同様に、光検出装置1および検出システム10について、小型化、光学設計の容易化、および、製造コストの低減を図ることができる。
【0136】
なお、基板3上に、日射センサ32~34,38~40およびレインセンサ36,37が設けられず、照度センサ31と、フロントエンドセンサ71,72とが設けられる構成において、フロントエンドセンサ71,72は、基板3上において
図18に示された領域以外の領域に設けられてもよい。
【0137】
前述した実施の形態1~実施の形態7に示すような光検出装置および光検出システムのうち、複数のセンサを備えた光検出装置においてレインセンサが含まれる場合には、すべて、
図9に示すような構成により、複数の発光装置、および、光学素子としてのレンズを光検出装置の位置よりも下方の位置に設けた例を適用することが可能である。
【0138】
<付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0139】
[構成1] 基板と、
前記基板に設けられた複数のセンサと、
透光性の樹脂により構成され、前記基板および前記複数のセンサを覆う透光体と、
前記透光体の周囲を遮光する形状で覆い、前記基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを備え、
前記複数のセンサは、
前記基板面において、前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられ、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサと、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサと、
受光した光に応じて日射を検出する日射センサと、
受光した光に応じて雨を検出するレインセンサとのうち、少なくとも2つのセンサを含む、光検出装置。
【0140】
[構成2] 前記複数のセンサは、前記第1照度センサ、前記第2照度センサ、前記日射センサ、および、前記レインセンサのうち、2つのセンサを備える、構成1に記載の光検出装置。
【0141】
[構成3] 前記複数のセンサは、前記第1照度センサ、前記第2照度センサ、前記日射センサ、および、前記レインセンサのうち、3つのセンサを備える、構成1に記載の光検出装置。
【0142】
[構成4] 前記複数のセンサは、前記第1照度センサ、前記第2照度センサ、前記日射センサ、および、前記レインセンサのうち、4つのセンサを備える、構成1に記載の光検出装置。
【0143】
[構成5] 前記遮光体は、遮光性の樹脂により構成され、
前記透光体と前記遮光体とは、2重モールドで形成された構造である、構成1~構成4のいずれかに記載の光検出装置。
【0144】
[構成6] 前記透光体は、前記遮光体における前記開口の内側に突出したレンズ形状の構造部を含む、構成1~構成5のいずれかに記載の光検出装置。
【0145】
[構成7] 前記遮光体において、前記開口の厚みは、前記レンズ形状の構造部よりも厚い、構成5に記載の光検出装置。
【0146】
[構成8] 前記複数のセンサは、前記基板面において、検出機能に応じて必要な方向から前記透光体に入射した光を受光可能とするように配置される、構成1~構成7のいずれかに記載の光検出装置。
【0147】
[構成9] 前記日射センサは、前記透光体に入射した光の照度および入射角度を検出可能となるように配置された複数の受光素子を含む、構成1~構成8のいずれかに記載の光検出装置。
【0148】
[構成10] 前記第2照度センサは、前記レインセンサおよび前記日射センサよりも広い範囲から前記透光体に入射した光を受光可能な位置に配置される、構成1~構成9のいずれかに記載の光検出装置。
【0149】
[構成11] 前記レインセンサは、車両のウインドウに雨が付着していない場合に、前記ウインドウで反射した赤外光を受光可能な位置に配置される、構成1~構成10のいずれかに記載の光検出装置。
【0150】
[構成12] 前記少なくとも2つのセンサのうちに前記レインセンサを含む構成1に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【0151】
[構成13] 前記2つのセンサのうちに前記レインセンサを含む構成2に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【0152】
[構成14] 前記3つのセンサのうちに前記レインセンサを含む構成3に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【0153】
[構成15] 構成4に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【0154】
[構成16]
車両のウインドウに取付けられた光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、車両のウインドウで反射させながら前記光検出装置に入射させる光学素子とを備え、
前記光検出装置は、
前記発光装置から前記光学素子を通って受光した赤外光に応じて雨を検出するレインセンサを含み、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記光検出装置よりも下方に設けられる、光検出システム。
【0155】
このような構成によれば、レインセンサが受光する赤外光を発光する発光装置、および、車両のウインドウで反射させながら光検出装置に入射させる光学素子が、光検出装置よりも下方に設けられている。これにより、光学素子等で反射した赤外光が、光検出装置の上方から入射することが抑制されるので、レインセンサが受光する赤外光が他のセンサの検出値に悪影響を与えないようにすることができる。
【0156】
[構成17] 前記光検出装置は、
前記レインセンサを含み、基板上に設けられた複数のセンサと、
透光性の樹脂により構成され、前記基板および前記複数のセンサを覆う透光体と、
前記透光体の周囲を遮光する形状で覆い、前記基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを含み、
前記光学素子は、前記発光装置により発生させられた赤外光を、車両のウインドウで反射させながら前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射させることが可能な位置に設けられ、
前記複数のセンサは、前記基板面において、前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられる、構成16に記載の光検出システム。
【0157】
[構成18] 前記複数のセンサは、前記透光体の内部に入射する光のうち、前記基板面の正面側における一部の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサをさらに含む、構成17に記載の光検出システム。
【0158】
[構成19] 前記複数のセンサは、前記透光体の内部に入射する光のうち、前記第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサをさらに含む、構成18に記載の光検出システム。
【0159】
[構成20] 前記複数のセンサは、受光した光に応じて日射を検出する日射センサをさらに含む、構成17~構成19のいずれかに記載の光検出システム。
【0160】
[構成21] 前記遮光体は、遮光性の樹脂により構成され、
前記透光体と前記遮光体とは、2重モールドで形成された構造である、構成12~構成14のいずれかに記載の光検出システム。
【0161】
[構成22] 前記透光体は、前記遮光体における前記開口の内側に突出したレンズ形状の構造部を含む、構成17~構成21のいずれかに記載の光検出システム。
【0162】
[構成23] 前記遮光体において、前記開口の厚みは、前記レンズ形状の構造部よりも厚い、構成22に記載の光検出システム。
【0163】
[構成24] 前記複数のセンサは、前記基板面において、検出機能に応じて必要な方向から前記透光体に入射した光を受光可能とするように配置される、構成17~構成23のいずれかに記載の光検出システム。
【0164】
[構成25] 前記日射センサは、前記透光体に入射した光の照度および入射角度を検出可能となるように配置された複数の受光素子を含む、構成20~構成24のいずれかに記載の光検出システム。
【0165】
[構成26] 前記第2照度センサは、前記レインセンサよりも広い範囲から前記透光体に入射した光を受光可能な位置に配置される、構成19~構成25のいずれかに記載の光検出システム。
【0166】
[構成27] 前記レインセンサは、車両のウインドウに雨が付着していない場合に、前記ウインドウで反射した前記赤外光を受光可能な位置に配置される、構成16~構成26のいずれかに記載の光検出システム。
【0167】
[構成28] 基板と、
前記基板に設けられた複数のセンサと、
透光性の樹脂により構成され、前記基板および前記複数のセンサを覆う透光体と、
前記透光体の周囲を遮光する形状で覆い、前記基板の基板面に対向する位置に開口が設けられた遮光体とを備え、
前記複数のセンサは、
前記基板面において、前記遮光体の外部から前記開口を通して前記透光体の内部に入射する光を受光可能な位置に設けられ、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記基板面の正面の方向から受光した光に応じて照度を検出する第1照度センサと、
前記透光体の内部に入射する光のうち、前記第1照度センサよりも広い方向から受光した光に応じて照度を検出する第2照度センサとを含む、光検出装置。
【0168】
このような構成によれば、基板面の正面の方向から受光した光に応じて照度を検出するセンサを含む複数の光学センサを備える場合において、光検出装置1および検出システム10について、小型化、光学設計の容易化、および、製造コストの低減を図ることができる。
【0169】
[構成29] 前記複数のセンサは、受光した光に応じて雨を検出するレインセンサをさらに含む、構成28に記載の光検出装置。
【0170】
[構成30] 前記複数のセンサは、受光した光に応じて日射を検出する日射センサをさらに含む、構成28または構成29に記載の光検出装置。
【0171】
[構成31] 前記遮光体は、遮光性の樹脂により構成され、
前記透光体と前記遮光体とは、2重モールドで形成された構造である、構成28~構成30のいずれかに記載の光検出装置。
【0172】
[構成32] 前記透光体は、前記遮光体における前記開口の内側に突出したレンズ形状の構造部を含む、構成28~構成31のいずれかに記載の光検出装置。
【0173】
[構成33] 前記遮光体において、前記開口の厚みは、前記レンズ形状の構造部よりも厚い、構成32に記載の光検出装置。
【0174】
[構成34] 前記複数のセンサは、前記基板面において、検出機能に応じて必要な方向から前記透光体に入射した光を受光可能とするように配置される、構成28~構成33のいずれかに記載の光検出装置。
【0175】
[構成35] 前記日射センサは、前記透光体に入射した光の照度および入射角度を検出可能となるように配置された複数の受光素子を含む、構成34に記載の光検出装置。
【0176】
[構成36] 前記第2照度センサは、前記レインセンサよりも広い範囲から前記透光体に入射した光を受光可能な位置に配置される、構成28に記載の光検出装置。
【0177】
[構成37] 前記レインセンサは、車両のウインドウに雨が付着していない場合に、前記ウインドウで反射した赤外光を受光可能な位置に配置される、構成28~構成36のいずれかに記載の光検出装置。
【0178】
[構成38] 構成28に記載の光検出装置と、
赤外光を発光する発光装置と、
車両のウインドウに取付けられ、前記発光装置により発生させられた赤外光を、前記ウインドウで反射させながら前記レインセンサに入射させる光学素子とを備え、
前記複数のセンサは、前記ウインドウに取付けられ、
前記発光装置、および、前記光学素子は、前記レインセンサよりも下方に設けられる、光検出システム。
【0179】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0180】
1,1A 光検出装置、2 底板、3 基板、4 透光体、5 遮光体、9 筐体、10,10A 光検出システム、11a~11d 発光装置、31 照度センサ、32~35,38~41,61~64 日射センサ、36,37,63,64 レインセンサ、49 レンズ部、50 開口、100 車両、101 フロントガラス。