(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124186
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電子部品の搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/18 20060101AFI20240905BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65G47/18
B65G43/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032184
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】矢島 貴史
(72)【発明者】
【氏名】奥野 和也
【テーマコード(参考)】
3F027
3F080
【Fターム(参考)】
3F027AA02
3F027AA09
3F027BA02
3F027DA07
3F027DA16
3F080AA13
3F080BA04
3F080BF05
3F080CB16
3F080CE03
3F080CE11
3F080CF01
3F080CF14
3F080CF22
(57)【要約】
【課題】搬送されるワークの供給量を正確に検出し、生産性を向上させることができる、電子部品の搬送装置を提供すること。
【解決手段】電子部品の搬送装置1は、容器10と、搬送機構20と、センサー30と、容器傾け機構50と、ノック機構40と、制御部100と、を有し、容器10は、収容部11と、排出口12と、を有し、搬送機構20は、複数の電子部品22を搬送する搬送部21を有し、センサー30は、複数の電子部品22の総断面積32を検出する断面積センサーであり、容器傾け機構50は、容器10を傾ける機構であり、ノック機構40は、容器10を叩く機構であり、制御部100は、排出口12から排出された複数の電子部品22を搬送部21で搬送する際に、センサー30で検出された複数の電子部品22の総断面積32の検出結果に基づいて、容器傾け機構50を制御して、容器10の傾倒角度を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、搬送機構と、センサーと、容器傾け機構と、ノック機構と、制御部と、を有する電子部品の搬送装置であって、
前記容器は、
内部に複数の電子部品を収容する収容部と、
前記複数の電子部品を排出する排出口と、を有し、
前記搬送機構は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を搬送する搬送部を有し、
前記センサーは、
前記搬送部において搬送される前記複数の電子部品の総断面積を検出する断面積センサーであり、
前記容器傾け機構は、
前記容器を傾ける機構であり、
前記ノック機構は、
前記排出口より前記複数の電子部品を排出するために前記容器を叩く機構であり、
前記制御部は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構を制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、電子部品の搬送装置。
【請求項2】
前記容器の傾倒角度は、
前記排出口を備える面と、重力方向に対し直交する水平面との間の角度が90°以上135°以下である、請求項1に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項3】
前記容器の傾倒角度は、
前記排出口を備える面と、重力方向に対し直交する水平面との間の角度が90°以上125°以下である、請求項1に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項4】
前記ノック機構が前記容器を叩く頻度は、1回/秒以上10回/秒以下である、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項5】
前記ノック機構が前記容器を叩く頻度は、2回/秒以上3回/秒以下である、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項6】
前記ノック機構が前記容器を叩く頻度は、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の値に基づいて制御される、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項7】
前記容器は、蓋をさらに有し、
前記蓋は、前記蓋の下部に前記排出口を配置しており、
前記搬送機構は、
前記排出口よりも低い位置に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構をフィードバック制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の搬送装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構をPID制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の搬送装置が知られている。
特許文献1には、2つのセンサーで、ゲート付近にたまったワークの量を2点で検出して電子部品を搬送する、電子部品の搬送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような電子部品の搬送装置においては、2つのセンサーで、ゲート付近にたまったワークの量を2点でしか検出していないため、任意の供給量にするためには、都度センサー位置を手動で変更する必要があり、生産性に課題があった。
【0005】
また、被処理物の供給量の検出に透過型光電センサーを用いているため、搬送されたワークの一部分しか検出できず、搬送されるワークの全ての供給量を正確に検出できない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、搬送されるワークの供給量を正確に検出し、生産性を向上することができる、電子部品の搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
容器と、搬送機構と、センサーと、容器傾け機構と、ノック機構と、制御部と、を有する電子部品の搬送装置であって、前記容器は、内部に複数の電子部品を収容する収容部と、前記複数の電子部品を排出する排出口と、を有し、前記搬送機構は、前記排出口から排出された前記複数の電子部品を搬送する搬送部を有し、前記センサーは、前記搬送部において搬送される前記複数の電子部品の総断面積を検出する断面積センサーであり、前記容器傾け機構は、前記容器を傾ける機構であり、前記ノック機構は、前記排出口より前記複数の電子部品を排出するために前記容器を叩く機構であり、前記制御部は、前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構を制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、電子部品の搬送装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送されるワークの供給量を正確に検出し、生産性を向上することができる、電子部品の搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】電子部品の搬送装置のA方向から見た矢視図である。
【
図4】制御部の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図5】容器角度と電子部品の総断面積との関係を示すグラフである。
【
図6】容器角度と電子部品重量との関係を示すグラフである。
【
図7】電子部品の搬送装置の電子部品の搬送量の制御方法のフローチャートである。
【
図8】電子部品の搬送量の制御方法のうち容器傾け工程の詳細の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る電子部品の搬送装置について説明する。
図1は、電子部品の搬送装置の概略斜視図である。
図2は、電子部品の搬送装置の側面図である。
図3は、電子部品の搬送装置のA方向から見た矢視図である。なお、
図1及び
図2にはXYZ直交座標系が示されている。
図1に示すように、X方向は、電子部品を搬送する方向に平行な方向である。Y方向は、電子部品の搬送装置の幅方向を指す。Z方向は、電子部品の搬送装置の高さ方向を指す。
【0011】
図1に示すように、電子部品の搬送装置1は、容器10と、搬送機構20と、センサー30と、ノック機構40と、容器傾け機構50と、制御部100と、を備える。電子部品は、積層セラミックコンデンサ、その他チップ型電子部品を含む。なお、制御部100は電子部品の搬送装置1に配置されていてもよいし、不図示のサーバに設けられていてもよい。また、制御部100は、複数の場所に分散されて配置されていてもよい。
【0012】
容器10は、収容部11と、排出口12と、傾倒面を構成する蓋13と、底面14と、を備える。本実施形態の収容部11は、容器本体と、傾倒面を構成する蓋13と、を有する。排出口12は、蓋13の下部に設けられている。これにより、電子部品の収容作業が容易となり、かつ適切な位置から電子部品を排出しやすくなる。本実施形態においては、蓋13と底面14のなす角は90°である。収容部11は、複数の電子部品22を収容部11の内部に収容する。
また、排出口12は、搬送機構20との垂直方向の距離が近くなるように配置される。
【0013】
搬送機構20は、電子部品を搬送する搬送部21を備える。例えば搬送部21は、搬送ベルトであってもよい。搬送部21は、収容部11の排出口12よりも低い位置に配置される。搬送部21は、収容部11の排出口12から排出された複数の電子部品22を搬送する。本実施形態では、搬送部21はX方向に電子部品を水平搬送する。
なお、搬送機構20は、ベルトコンベアであってもよいが、これに限らない。搬送機構20は、振動を利用した搬送機構であってもよい。例えば電磁振動と板バネの共振作用を応用した振動フィーダーであってもよいし、振動モータやエアバイブレータ等を使用したものなど、種々のものを用いることが可能である。
【0014】
センサー30は、レーザー射出機構(不図示)と、カメラ(不図示)と、を備える。センサー30は、搬送部21の上方に配置され、搬送部21により搬送される複数の電子部品22の搬送量を測定する。
図1、
図2、
図3に示すように、センサー30は、搬送部21及び搬送部21により搬送される複数の電子部品22に向けて、レーザー射出機構から帯状のレーザー光31を射出する。センサー30が備えるカメラは、帯状のレーザー光31が複数の電子部品22の表面に当たる位置で反射した反射光を、観測する。
図3に示すように、反射光の位置を、センサー30が備えるカメラが観測し、三角測量の原理を用いて得られた結果に基づいて、搬送部21によって搬送される複数の電子部品22の総断面積32を算出する。総断面積32を算出する処理は、センサー30が備えるセンサーコントローラが行ってもよいし、後述の制御部100が行ってもよい。制御部100が算出する場合は、制御部100のうち、総断面積32を算出する機能ブロックを、センサー30の一部を構成するセンサーコントローラとして考える。
例えば、センサーコントローラは、センサー30のカメラが取得した反射光の位置に基づき、三角測量の原理を用いて、搬送部21によって搬送される複数の電子部品22の総断面積32を算出する。
複数の電子部品22の総断面積32の測定は、短時間でサンプリングすることができる。サンプリング周期は、10Hz以上1000Hz以下であってもよい。本実施形態では、センサー30は、帯状のレーザー光31をY方向に平行に射出するように配置される。
【0015】
ノック機構40は、ノック片41と、アクチュエータ(不図示)と、を備える。本実施形態においては、ノック機構40は、収容部11のY方向の側面に配置される。容器10が後述の容器傾け機構50によって傾けられたときに、内部に収容された複数の電子部品22は、複数の電子部品22同士の摩擦力により引っ掛かりが発生する。このときに、ノック機構40のノック片41は、容器10を叩く。これにより、収容部11に収容された複数の電子部品22は、排出口12から容易に排出される。
【0016】
容器傾け機構50は、容器10を回転可能に支持するように配置される。本実施形態において、容器傾け機構50は、Y方向と平行に配置された軸を中心に回転することで、容器10を傾けるものである。容器10の傾倒角度αは、傾倒面を構成する蓋13と、重力方向に対し直交する所謂水平面との間の角度を指す。
図2に示される容器10の傾倒角度αは、水平面に対し90°を超えて傾けられている。
また、容器10の傾倒角度βは、底面14と、重力方向に対し直交する所謂水平面との間の角度βを指す。
図2に示される容器10の傾倒角度βは、水平面に対し90°未満に傾けられている。
容器傾け機構50は、電子部品22の排出時において、容器10の傾倒角度αを90°以上135°以下の範囲で動作させることが好ましい。これにより、電子部品が適切に排出される。より好ましくは、90°以上125°以下であり、さらに好ましくは、100°以上125°以下である。105°以上115°以下であれば、さらにスムーズに電子部品22が排出される。
【0017】
図4は、制御部100の機能ブロックを示すブロック図である。制御部100は、容器傾け制御部101と、搬送機構制御部102と、ノック機構制御部103と、測定情報取得部104と、判断部105と、を備える。
制御部100は、搬送機構20と、センサー30と、ノック機構40と、容器傾け機構50と、それぞれ電気的に接続されている。制御部100は、センサー30の検出結果を取得する。また、制御部100は信号を出力して、搬送機構20と、ノック機構40と、容器傾け機構50と、をそれぞれ制御する。
【0018】
制御部100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部100の各種機能は、例えば記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部100の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0019】
測定情報取得部104は、センサー30の検出結果として、搬送部21によって搬送される複数の電子部品22の総断面積32を取得する。
【0020】
容器傾け制御部101は、容器傾け機構50を制御して、容器の傾倒角度αを調整する。また、容器傾け制御部101は、排出口から排出された複数の電子部品22を搬送部21で搬送する際に、取得した総断面積32に基づき、容器傾け機構50を制御して、容器10の傾倒角度αを調整する。本実施形態においては、容器傾け制御部101は、取得した総断面積32が所定の目標断面積となるように、容器傾け機構50を制御する。これにより、容器傾け機構50は、取得した総断面積32に基づき、容器10が所定の傾倒角度αとなるように駆動する。
例えば、容器傾け制御部101は、設定された目標断面積と、取得した総断面積32との比較結果に基づき、総断面積32が目標断面積に近づくように、容器傾け機構50を制御する。この制御は例えばフィードバック制御であってもよい。フィードバック制御として、例えばPID制御が採用されてもよい。
【0021】
判断部105は、収容部11に収容された電子部品22が搬送中であるか否かを判断する。具体的には、判断部105は、フィードバック制御が適切に行われている場合は、複数の電子部品22が搬送部21によって搬送中であると判断する。一方、判断部105は、フィードバック制御が適切に行われておらず、かつ、取得した総断面積32に基づき、複数の電子部品22の存在を一定時間確認できない場合は、複数の電子部品22の搬送部21による搬送が完了したと判断する。判断部105は、フィードバック制御が適切に行われておらず、かつ複数の電子部品22の存在を確認できる場合は、フィードバック制御が適切に行えていない旨を知らせる報知を行ってもよい。
【0022】
搬送機構制御部102は、複数の電子部品22を搬送する搬送機構20を所定の搬送速度となるように制御する。
【0023】
ノック機構制御部103は、ノック機構40のノック動作頻度を制御する。ノック機構制御部は、取得した総断面積32に基づき、ノック動作頻度を変化させてもよい。この場合、ノック機構40が容器10を叩く頻度は、センサー30により検出された総断面積32の値に基づいて制御される。例えば、取得した総断面積32が目標断面積よりも所定量以上少ない場合にノック動作頻度を高め、取得した総断面積32が目標断面積よりも所定量以上多い場合にノック動作頻度を下げてもよい。
【0024】
なお、制御部100は、不図示の登録部を有していてもよい。登録部は、記憶部に搬送量の情報を登録する。具体的には、電子部品の搬送装置1に要求される搬送量の情報を、記憶部に記憶させる。この登録作業は、例えばオペレータの入力操作により、あるいは上位システム等の制御により行われる。搬送量の情報は、目標断面積であってもよいし、目標断面積に変換可能な情報であってもよい。
【0025】
次に、本実施形態の電子部品の搬送装置1における、電子部品の搬送量の制御方法について、
図7を用いて説明する。
図7は、電子部品の搬送装置1における、電子部品の搬送量の制御方法を説明するためのフローチャートである。
電子部品の搬送装置1における、電子部品の搬送量の制御方法は、ノック工程(ステップS10)と、搬送工程(ステップS11)と、容器傾け工程(ステップS12)と、を有する。
【0026】
ノック工程(ステップS10)において、ノック機構制御部103は、設定されたノック動作頻度となるように、ノック機構40を制御する。ノック機構40は、容器10を設定された動作頻度で叩き始める。
【0027】
搬送工程(ステップS11)において、搬送機構制御部102は、複数の電子部品22を搬送する搬送機構20を所定の搬送速度となるように制御する。搬送機構20の搬送部21は所定の搬送速度での駆動を開始する。
【0028】
容器傾け工程(ステップS12)において、容器傾け制御部101は、センサー30から取得した複数の電子部品22の総断面積32に基づき、容器傾け機構50を制御する。容器傾け機構50は、取得した総断面積32に基づき、容器10が所定の傾倒角度αとなるように駆動する。
【0029】
なお、各ステップの順番は適宜入れ替え可能であり、例えば、ステップS10とステップS11は、順序が逆になってもよい。
【0030】
図8は、電子部品の搬送量の制御方法のうち容器傾け工程の詳細の一例を示すフローチャートである。
容器傾け工程(ステップS12)は、容器角度調整開始工程(ステップS13)と、容器角度フィードバック工程(ステップS14)と、判断工程(ステップS15)と、停止処理工程(ステップS16)と、を有する。
【0031】
容器角度調整開始工程(ステップS13)において、容器傾け制御部101は、容器傾け機構50を、スタンバイ角度(α=0°)で待機していた容器10に対して、所定の傾倒角度αに傾ける。
【0032】
容器角度フィードバック制御工程(ステップS14)において、測定情報取得部104は、センサー30の検出結果として、搬送部21によって搬送される複数の電子部品22の総断面積32を取得する。そして、容器傾け制御部101は、取得した総断面積32に基づき、取得した総断面積32が所定の目標断面積となるように、容器傾け機構50をフィードバック制御する。
【0033】
判断工程(ステップS15)において、判断部105は、収容部11に収容された電子部品22が搬送中であるか否かを判断する。具体的には、判断部105は、フィードバック制御が適切に行われている場合は、複数の電子部品22が搬送部21によって搬送中であると判断し、引き続き容器角度フィードバック制御工程(ステップS14)を継続する。
【0034】
一方、判断工程(ステップS15)において、判断部105は、フィードバック制御が適切に行われておらず、かつ、取得した総断面積32に基づき、複数の電子部品22の存在を一定時間確認できない場合は、複数の電子部品22の搬送部21による搬送が完了したと判断する。この場合には、停止処理工程(ステップS16)へ進む。
【0035】
停止処理工程(ステップS16)において、容器傾け制御部101は、容器10をスタンバイ角度(α=0°)となるように、容器傾け機構50を制御する。また、ノック機構制御部103は、ノック機構40のノック動作の停止制御を実施する。また、搬送機構制御部102は、搬送機構20の搬送部21の駆動の停止制御を実施する。これにより、電子部品の搬送装置1の電子部品の搬送量の制御方法は停止する。
【0036】
センサー30による複数の電子部品22の総断面積32の測定は、短時間でサンプリングすることができる。そのため、センサー30は、複数の電子部品22の搬送量を連続的な値として検出することができる。特許文献1では、高位置センサーと低位置センサーの2つの検出点でワークを検出していたため、任意の供給量を供給するためには、都度センサー位置を手動で変更する必要があった。しかし、上記構成を備えることにより、搬送されるワークの供給量を正確に検出することができ、さらにセンサー位置を手動で変更する作業がなくなり、生産性を向上させることができる。
【0037】
図5は、容器角度と電子部品の総断面積との関係を示すグラフである。
図5のグラフは、以下の実験の結果である。この実験においては、容器10の傾倒角度αを100°以上125°以下の間で増減させその際の搬送部21を通過するワーク断面積を測定した。なお、ワークが排出されていない60秒以前のデータと、容器10の収容部11からワーク排出が完了した後の95秒以降のデータはグラフのデータ範囲から除いている。なお、本実験では、ノック機構40を動作させ続けた。また、
図5のグラフの右側の断面積は、正規化した値である。
図5の断面積は、実験開始後60秒以降で最初に115°の角度に傾けたときに検出された、最大の断面積を基準としたときの相対値を示している。
【0038】
図5の示す容器角度と電子部品の総断面積の関係の実験結果から、ノック機構40を常時作動させ、容器10の傾倒角度αを100°以上125°以下とすることがより好ましい。ノック機構40を常時作動させることで、複数の電子部品22同士の引っ掛かりを軽減する。さらに、容器10の角度αを100°以上125°以下で動作させることで、排出口12付近の複数の電子部品22同士で発生する摩擦力よりも、複数の電子部品22の重力が大きくなり、排出口12付近での複数の電子部品22の詰まりが発生しにくくなる。
排出口12付近での複数の電子部品22の詰まりが解消されることで、確率的に起きていた複数の電子部品22の搬送量のばらつきを低減することができ、これにより常時液体のように複数の電子部品22を容器10から排出することができる。容器10の傾倒角度αが100°以上125°以下であれば、容器10の傾倒角度と搬送量との関係は、比例に近い関係となり、PID制御を扱いやすくなるため、搬送量を任意に設定しやすくなる。
【0039】
なお、ノック機構制御部103による、ノック機構40の動作頻度は、1回/秒以上10回/秒以下であることが好ましい。さらに好ましくは、2回/秒以上3回/秒以下である。ノック機構40の動作頻度が2回/秒以上であると、ワークの詰まりの発生をほぼ解消できる。また、3回/秒以下にすることで、ワークの振動回数を減らすことができ、ワークの欠けや割れが起こる可能性を低くすることができる。
【0040】
図6は、容器角度と電子部品重量の関係のグラフである。
図6のグラフは、以下の実験の結果である。この実験においては、(a)容器の傾倒角度αを90°から5°ずつ増加させ、最大125°まで増加させる。(b)角度5°増加後、ワークの詰まりが解消されない場合は、さらに角度5°増加させる。(c)角度5°増加後、ワークの詰まりが解消されワークが排出された場合、ワークすべてが排出されるか、又は、再度ワークが詰まるまで、その角度を維持する。上記を合計5回試行した。4回目の試行では、ワークの詰まりが未解消のまま試行が終了した。他の試行では、ほぼ全ワークが排出された。なお、実験のときに、ノック機構40は不使用である。また、
図6の電子部品重量は、正規化した値である。
図6のグラフの縦軸の電子部品重量は、実験において容器に投入する電子部品の投入重量を基準とした相対値を示している。
【0041】
図6の示す容器角度と電子部品重量の関係のグラフにより、容器10の傾倒角度αは、105°以上115°以下であれば、複数の電子部品22を容易に排出できることが分かる。
このような角度であれば、排出口12付近での複数の電子部品22の詰まりが解消され、確率的に起きていた複数の電子部品22の搬送量のばらつきを低減することができる。
なお、容器10の傾倒角度αが105°未満では、容器10を叩くノック機構40が使用されないと、複数の電子部品22は排出口12から十分に排出されない。
【0042】
以上説明した本実施形態の電子部品の搬送装置1によれば、以下のような効果が奏される。
【0043】
(1)本実施形態の電子部品の搬送装置1は、容器10と、搬送機構20と、センサー30と、容器傾け機構50と、ノック機構40と、制御部100と、を有し、容器10は、内部に複数の電子部品22を収容する収容部11と、複数の電子部品22を排出する排出口12と、を有し、搬送機構20は、排出口12から排出された複数の電子部品22を搬送する搬送部21を有し、センサー30は、搬送部21において搬送される複数の電子部品22の総断面積32を測定する測定部を有する断面積センサーであり、容器傾け機構50は、容器10を傾ける機構であり、ノック機構40は、排出口12より複数の電子部品22を排出するために前記容器を叩く機構であり、制御部100は、排出口12から排出された複数の電子部品22を搬送部21で搬送する際に、センサー30で検出された複数の電子部品22の総断面積32の検出結果に基づいて、容器傾け機構50を制御して、容器10の傾倒角度αを調整する。
これにより、搬送されるワークの供給量を正確に検出し、生産性を向上することができる、電子部品の搬送装置を提供できる。
本実施形態によれば、一部分のみを検出する光電センサーやレーザー変位センサーのようなセンサーではなく、断面積センサーを設けることで、搬送部によって搬送されるワークの全ての供給量を正確に検出することができる。また、センサーで検出するワークの量を連続的に検出することができるため、従来技術のように都度センサー位置を手動で変更する必要が無く、生産性を向上させることができる。
【0044】
(2)(1)に記載の電子部品の搬送装置1において、容器10の傾倒角度αは、排出口12を備える傾倒面を構成する蓋13と、重力方向に対し直交する水平面との間の角度が90°以上135°以下である。
これにより、排出口12付近での複数の電子部品22の詰まりが解消されることで、確率的に起きていた複数の電子部品22の搬送量のばらつきを低減することができ、常時液体のように複数の電子部品22を容器10から排出することができる。容器10の角度と搬送量との関係は、比例に近い関係となり、PID制御を扱いやすくなるため、搬送量を任意に設定しやすくなる。
【0045】
(3)(1)から(2)に記載の電子部品の搬送装置1において、容器10の傾倒角度αは、排出口12を備える傾倒面を構成する蓋13と、重力方向に対し直交する水平面との間の角度が90°以上125°以下である。
これにより、より効果的に排出口12付近での複数の電子部品22の詰まりを解消することができる。
【0046】
(4)(1)から(3)に記載の電子部品の搬送装置1において、容器10を叩く頻度が、1回/秒以上10回/秒以下である。
これにより、複数の電子部品22同士の引っ掛かりを十分に軽減することができる。
【0047】
(5)(1)から(4)に記載の電子部品の搬送装置1において、容器10を叩く頻度が、2回/秒以上3回/秒以下である。
これにより、ワークの詰まりの発生をほぼ解消できる。また、ワークの振動回数を減らすことにより、ワークの欠けや割れが起こる可能性を低くすることができる。
【0048】
(6)(1)から(5)に記載の電子部品の搬送装置1において、前記容器を叩く頻度が、前記断面積センサーにおいて測定した前記複数の電子部品の総断面積32の値に基づいて制御される。
これにより、複数の電子部品22の搬送量を効果的に制御することができる。
【0049】
(7)(1)から(6)に記載の電子部品の搬送装置1において、容器10は、蓋13をさらに有し、蓋13は、蓋13の下部に排出口12を配置しており、搬送機構20は、排出口12よりも低い位置に配置されている。
容器10の蓋13の下部に排出口12を配置することで、複数の電子部品22が排出される出口を、搬送部21と高さが近い位置に配置される排出口12のみに限定することができる。これにより、ワークの搬送部21への落下高さを制限することができ、複数の電子部品22の収容部11からの落下による欠けや割れを抑制することができる。
例えば、特許文献1においては、ワークと受け皿との落下高さを制限していない。ゲートを超えたワークが落下した場合に、ワークと受け皿との落下高さがある一定以上になると、落下の衝撃でワークに欠けや割れが起こる可能性が高くなる。
【0050】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。本発明は以下の組み合わせを含む。
【0051】
<1>容器と、搬送機構と、センサーと、容器傾け機構と、ノック機構と、制御部と、を有する電子部品の搬送装置であって、
前記容器は、
内部に複数の電子部品を収容する収容部と、
前記複数の電子部品を排出する排出口と、を有し、
前記搬送機構は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を搬送する搬送部を有し、
前記センサーは、
前記搬送部において搬送される前記複数の電子部品の総断面積を検出する断面積センサーであり、
前記容器傾け機構は、
前記容器を傾ける機構であり、
前記ノック機構は、
前記排出口より前記複数の電子部品を排出するために前記容器を叩く機構であり、
前記制御部は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構を制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、電子部品の搬送装置。
【0052】
<2>前記容器の傾倒角度は、
前記排出口を備える面と、重力方向に対し直交する水平面との間の角度が90°以上135°以下である、<1>に記載の電子部品の搬送装置。
【0053】
<3>前記容器の傾倒角度は、
前記排出口を備える面と、重力方向に対し直交する水平面との間の角度が90°以上125°以下である、<1>又は<2>に記載の電子部品の搬送装置。
【0054】
<4>前記ノック機構が前記容器を叩く頻度は、1回/秒以上10回/秒以下である、<1>から<3>のいずれか1つに記載の電子部品の搬送装置。
【0055】
<5>前記ノック機構が前記容器を叩く頻度は、2回/秒以上3回/秒以下である、<1>から<4>のいずれか1つに記載の電子部品の搬送装置。
【0056】
<6>前記ノック機構が前記容器を叩く頻度は、前記センサーにおいてで検出された前記複数の電子部品の総断面積の値に基づいて制御される、<1>から<5>のいずれか1つに記載の電子部品の搬送装置。
【0057】
<7>前記容器は、蓋をさらに有し、
前記蓋は、前記蓋の下部に前記排出口を配置しており、
前記搬送機構は、
前記排出口よりも低い位置に配置されている、<1>から<6>のいずれか1つに記載の電子部品の搬送装置。
【0058】
<8>前記制御部は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構をフィードバック制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、<1>から<7>のいずれか1つに記載の電子部品の搬送装置。
【0059】
<9>前記制御部は、
前記排出口から排出された前記複数の電子部品を前記搬送部で搬送する際に、前記センサーで検出された前記複数の電子部品の総断面積の検出結果に基づいて、前記容器傾け機構をPID制御して、前記容器の傾倒角度を調整する、<1>から<8>のいずれか1つに記載の電子部品の搬送装置。
【符号の説明】
【0060】
1 電子部品の搬送装置
10 容器
11 収容部
12 排出口
13 蓋
20 搬送機構
21 搬送部
22 複数の電子部品
30 センサー
40 ノック機構
50 容器傾け機構
100 制御部