(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124208
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】調光装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/75 20230101AFI20240905BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240905BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240905BHJP
G03B 7/18 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H04N23/75
H04N23/55
G03B11/00
G03B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032215
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】横井 昇市
(72)【発明者】
【氏名】岸場 道郎
【テーマコード(参考)】
2H002
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H002FB39
2H002FB84
2H002HA01
2H083AA05
2H083AA15
2H083AA26
2H083AA32
2H083AA53
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA12
5C122FB07
5C122FF08
5C122FF09
5C122FF13
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】反転する駆動電圧が画質に与える影響をより低減可能な調光素子及び撮像装置を提供する。
【解決手段】調光装置は、印加される電圧に応じて、撮像時に被写体から撮像素子に到達する光の量を調節する調光素子と、調光素子に反転する駆動電圧を印加する駆動装置と、駆動装置を制御する制御部と、を備える。制御部は、駆動装置を制御して、予め設定された撮像素子の露光時間の長さに応じて駆動電圧の駆動周波数を変化させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される電圧に応じて、撮像時に被写体から撮像素子に到達する光の量を調節する調光素子と、
前記調光素子に反転する駆動電圧を印加する駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動装置を制御して、予め設定された前記撮像素子の露光時間の長さに応じて前記駆動電圧の駆動周波数を変化させる、
調光装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記露光時間が長い程前記駆動周波数を高くする、請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記露光時間が所定の時間以上であるとき、前記駆動電圧の駆動周波数を所定の周波数より高くし、
前記露光時間が前記所定の時間より短いとき、前記駆動周波数を前記所定の周波数以下とする、
請求項1に記載の調光装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動電圧を前記撮像素子の駆動信号に同期させる、請求項1に記載の調光装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記撮像素子の駆動信号の変化の所定時間前又は後に前記駆動電圧を変化させる、請求項4に記載の調光装置。
【請求項6】
撮像時に前記被写体から前記撮像素子に到達する光を遮光する遮光素子を更に備え、
前記制御部は、前記駆動電圧を前記遮光素子による遮光のタイミングに同期させる、請求項1に記載の調光装置。
【請求項7】
撮像時に前記被写体から前記撮像素子に到達する光を遮光する遮光素子を更に備え、
前記制御部は、
前記遮光素子による前記光の遮光のタイミングを制御し、
前記遮光素子に前記光を遮光させている間に前記駆動電圧を変化させる、請求項1に記載の調光装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮像素子の駆動信号の出力時間間隔を、前記撮像素子の読み出し時間と前記露光時間との和より長くする、請求項4に記載の調光装置。
【請求項9】
前記制御部は、
動画像用の露光時間と静止画像用の露光時間を決定し、
動画像の撮影時には、前記動画像用の露光時間の長さに応じて前記駆動電圧の駆動周波数を変化させ、
静止画像の撮影時には、
前記静止画像用の露光時間が所定の時間以上であるとき、前記駆動電圧の駆動周波数を所定の周波数より高くし、
前記静止画像用の露光時間が前記所定の時間より短いとき、前記駆動電圧を反転させない、
請求項1に記載の調光装置。
【請求項10】
前記調光素子は、印加される電圧に応じて透過光量を調節する液晶素子を含む、請求項1に記載の調光装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の調光装置と、
被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調光装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レンズと、レンズの光軸上に設けられた撮像素子と、レンズと撮像素子との間に設けられた調光素子と、を備える撮像装置が開示されている。調光素子は、レンズから撮像素子に向かう光の量を調整する。さらに、特許文献1の撮像装置は、両端電極となる2枚の電極に挟まれた液晶層が、複数、透過光の光軸方向に並んで配置される液晶調光素子と、前記液晶調光素子に対して、各液晶層の両端電極に所定周期で反転する駆動信号を与えるとともに、各駆動信号は位相が同相又は逆相の関係からずれた信号とする調光駆動部と、を備える。特許文献1には、上記構成により、液晶調光素子の各液晶層の反転タイミングが交流駆動信号の周波数の反転タイミングから分散されるようにし、撮像画像の品質の劣化を低減することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、反転する駆動電圧が画質に与える影響をより低減可能な調光素子及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る調光装置は、印加される電圧に応じて、撮像時に被写体から撮像素子に到達する光の量を調節する調光素子と、調光素子に反転する駆動電圧を印加する駆動装置と、駆動装置を制御する制御部と、を備え、制御部は、駆動装置を制御して、予め設定された撮像素子の露光時間の長さに応じて駆動電圧の駆動周波数を変化させる。
【0006】
本開示の一態様に係る撮像装置は、上記の調光装置と、被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、反転する駆動電圧が画質に与える影響をより低減可能な調光素子及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図
【
図2】調光素子の構成例と調光の原理を説明するための模式図
【
図3】調光素子の構成例と調光の原理を説明するための模式図
【
図4】調光装置が高周波駆動する場合のイメージセンサの各ラインについて、露光時間と、駆動電圧の反転のタイミングとの関係を説明するための模式図
【
図5】高周波駆動の場合に露光時間が短いときの撮像画像を示す模式図
【
図6】高周波駆動の場合に露光時間が長いときの撮像画像を示す模式図
【
図7A】調光装置が低周波駆動する場合のイメージセンサの各ラインについて、露光時間が長い場合における、露光時間と駆動電圧の反転のタイミングとの関係を説明するための模式図
【
図7B】調光装置が低周波駆動する場合のイメージセンサの各ラインについて、露光時間が短い場合における、露光時間と駆動電圧の反転のタイミングとの関係を説明するための模式図
【
図8】低周波駆動の場合に露光時間が長いときの撮像画像を示す模式図
【
図9】低周波駆動の場合に露光時間が短いときの撮像画像を示す模式図
【
図10】実施形態1に係る調光処理を示すフローチャート
【
図11】実施形態2に係る調光処理を示すフローチャート
【
図12】
図11のライブビューモードにおける処理を示すフローチャート
【
図13】
図11の静止画像撮影モードにおける処理を示すフローチャート
【
図14】実施形態2に係る調光処理における駆動電圧の制御を説明するためのタイミングチャート
【
図15】実施形態2に係る調光処理における駆動電圧の制御を説明するためのタイミングチャート
【
図16】実施形態2に係る調光処理における駆動電圧の制御を説明するためのタイミングチャート
【
図17】第2変形例に係る調光素子の構成を示す模式図
【
図18】第4変形例に係るグローバルシャッタ方式のイメージセンサの各ラインについて、露光時間と、駆動電圧の反転のタイミングとの関係を説明するための模式図
【
図19】第7変形例に係るフォーカルプレインシャッタを遮光素子として用いた方式のイメージセンサの各ラインについて、露光時間と、駆動電圧の反転のタイミングとの関係を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。
【0011】
1.実施形態1
1-1.構成
1-1-1.デジタルカメラの構成例
図1は、本開示の実施形態1に係るデジタルカメラ100(撮像装置の一例)の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ100は、光学系110と、調光装置10と、イメージセンサ115と、画像処理部120と、バッファメモリ125と、表示モニタ130と、制御部135とを備える。さらに、デジタルカメラ100は、カードスロット141と、通信モジュール143と、フラッシュメモリ145と、操作部150とを備える。
【0012】
光学系110は、フォーカスレンズ、ズームレンズ、光学式手ぶれ補正レンズ(OIS)、絞り、シャッタ等を含む。光学系110に含まれる各種レンズは、1又は複数のレンズで構成される。
【0013】
調光装置10は、調光素子11と、調光素子11に交流の駆動電圧を印加する駆動装置14とを含む。交流の駆動電圧は、本開示の「反転する駆動電圧」の一例である。反転する駆動電圧は、定期的又は不定期的に正負が反転する駆動電圧である。本開示では、調光素子11と駆動装置14だけでなく、制御部135又は制御部135のうち調光制御機能を有する部分を更に含む構成を調光装置と呼ぶ場合がある。
【0014】
調光素子11は、駆動電圧の大きさに応じて、撮像時に被写体からイメージセンサ115に到達する光の量を調節する。したがって、調光素子11は、被写体とイメージセンサ115との間に配置される。例えば、調光素子11は、光学系110とイメージセンサ115との間に配置される。本実施形態では、調光素子11は、液晶素子12,13を備える。調光装置10の詳細については後述する。
【0015】
イメージセンサ115は、光学系110を介して形成された被写体像を撮像して画像データを生成する。画像データは、動画像データ、静止画像データ及びライブビュー画像データを含む。ライブビュー画像データが示すライブビュー画像は主に動画像であり、リアルタイムで表示モニタ130に表示される画像である。ユーザは、ライブビュー画像を参照することで被写体の状況を確認でき、これにより例えば撮影画像の構図を決定することができる。
【0016】
イメージセンサ115は、所定のフレームレート(例えば、24フレーム/秒(fps)、30fps、60fps等)で新しいフレームの画像データを生成する。イメージセンサ115は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、又はNMOSイメージセンサなど、種々のイメージセンサを用いてもよい。イメージセンサ115は、本実施形態における撮像素子の一例である。
【0017】
イメージセンサ115の画素は、2次元アレイ状に配列されている。例えば、イメージセンサ115は、垂直方向に配列された複数の1次元センサアレイ(ライン)を含む。各ラインにおいては、複数の画素が水平方向に配列されている。
【0018】
画像処理部120は、イメージセンサ115から出力された画像データ又はメモリカード142から読み出した画像データに対して所定の処理を施す。処理後の画像データは、例えば表示モニタ130に表示され、又はメモリカード142、フラッシュメモリ145等に記憶される。所定の処理としては、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されない。画像処理部120は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータ等で構成されてもよい。
【0019】
表示モニタ130は、情報を表示することができる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。例えば、表示モニタ130は、画像処理部120で処理された画像データが示す画像を表示する。また、表示モニタ130は、ユーザがデジタルカメラ100の設定を確認するためのメニュー画面を表示する。
【0020】
制御部135は、デジタルカメラ100全体の動作を制御する。制御部135は、プログラムを実行することで所定の機能を実現するように構成されたプロセッサを含んでもよい。例えば、制御部135は、CPU、MPU、GPU、DSU、FPGA、ASIC等の種々のプロセッサで実現できる。制御部135は、1又は複数のプロセッサで構成されてもよい。また、制御部135は、画像処理部120、バッファメモリ125等と共に1つの半導体チップで構成されてもよい。
【0021】
バッファメモリ125は、画像処理部120や制御部135のワークメモリとして機能する記録媒体である。バッファメモリ125は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により実現される。フラッシュメモリ145は不揮発性の記録媒体である。各メモリ125,145は、それぞれ本実施形態における記憶部の一例である。
【0022】
カードスロット141には、メモリカード142が着脱可能に挿入される。カードスロット141は、メモリカード142を電気的及び機械的に接続可能である。メモリカード142は、内部にフラッシュメモリ等の記録素子を備えた外部メモリである。メモリカード142は、画像処理部120で生成される画像データ等の情報を格納することができる。
【0023】
通信モジュール143は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う。例えば、デジタルカメラ100は、通信モジュール143を介して、インターネット等の通信ネットワーク、外部機器等と通信することができる。デジタルカメラ100は、通信モジュール143を介して、他の機器と直接通信を行ってもよいし、アクセスポイント経由で通信を行ってもよい。
【0024】
操作部150は、ユーザによる操作を受け付けるユーザインタフェースの総称である。操作部150は、例えば、レリーズボタン等のボタン、レバー、モードダイヤル、タッチパネル、スイッチを含む。操作部150はハードキーに限定されず、例えば表示モニタ130に表示される仮想的なボタン等のソフトウェアキーを含んでもよい。操作部150は、ユーザによる操作を受け付けると、ユーザ操作に対応した操作信号を制御部135に送信する。
【0025】
1-1-2.調光素子の構成例
図2及び
図3は、調光素子11の構成例と調光の原理を説明するための模式図である。調光素子11は、
図2の状態では入射光を遮光し、
図3の状態では透過させる。
図2及び
図3には、説明の便宜のために、互いに直交する仮想的なx,y,z軸を示している。z軸の方向は、
図1のデジタルカメラ100における光学系110の光路の方向に略一致する。
【0026】
液晶素子12,13はそれぞれ、二色性色素分子(ゲスト)Gと液晶分子(ホスト)Hとを含むゲスト-ホスト型の液晶素子である。駆動装置14から駆動電圧Vの供給を受けるために、液晶素子12,13はそれぞれ、図示しない電極に挟まれている。この構成は4枚の電極を有する。
【0027】
あるいは、液晶素子12,13の両方が一対の電極に挟まれていてもよい。この構成は2枚の電極を有する。
【0028】
二色性色素分子Gは、液晶分子Hと同方向に配向される。
図2では、液晶素子12,13に電圧は印加されていない(駆動電圧Vは0である)。電圧は印加されていない状態では、液晶素子12の二色性色素分子G及び液晶分子Hはx方向に配向され、液晶素子13の二色性色素分子G及び液晶分子Hはy方向に配向されている。
【0029】
偏光方向が任意である入射光が、電圧が印加されていない液晶素子12に入射すると、入射光のうちx方向に偏光した部分は液晶素子12の二色性色素分子Gにより遮光される。したがって、入射光のうちy方向に偏光した部分のみが液晶素子12を透過する。このy偏光した光は、y方向に配向された液晶素子13の二色性色素分子Gに遮光され、液晶素子13を透過できない。したがって、電圧が印加されていない状態では、入射光は液晶素子12,13により遮光される(ノーマリーブラック)。
【0030】
図3に示すように、駆動装置14によって駆動電圧Vが印加されると、液晶素子12,13の液晶分子Hの配向はz方向に変化し、これに応じて二色性色素分子Gの配向もz方向に変化する。液晶素子12,13の二色性色素分子Gの配向がz方向であると、入射光は液晶素子12,13を透過することができる。このようにして、駆動装置14を制御する制御部135は、液晶素子12,13を含む調光素子11の透過率を制御することができる。
【0031】
液晶素子に直流電圧が印加されると、正負電荷の偏りにより液晶素子が劣化し、液晶素子の寿命が短くなる。これを防止するために、液晶素子に交流の駆動電圧を印加する技術が知られている。
図3も、駆動電圧Vが交流である例を示している。
【0032】
駆動電圧Vが交流である場合、駆動電圧Vの反転のタイミングで調光素子11を透過する光量が変化する現象(明滅)が発生する。例えば、調光素子11の透過率が、駆動電圧Vの反転のタイミングで、意図した透過率(反転のタイミング以外の期間における透過率)より低くなる。そのため、撮像画像にスジ、ムラ等が生じ、画質に影響を与えることがある。
【0033】
1-2.交流の駆動電圧が画質に与える影響
以下、
図4~9を参照して、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響の有無とその程度について説明する。
【0034】
1-2-1.高周波駆動の場合
図4は、調光装置10が高周波駆動する場合のイメージセンサ115の各ラインについて、露光時間と、駆動電圧Vの反転のタイミングとの関係を説明するための模式図である。
図4に示した例では、イメージセンサ115は、垂直方向に配列されたN(Nは2以上の整数)個の1次元センサアレイ(ライン)を含む。
図4では、イメージセンサ115に到達する入射光が駆動電圧Vの反転のタイミングで減少することを、垂直方向に延びる縞模様又は破線で示している。
【0035】
イメージセンサ115に重畳して表示された2つの四角形は、ローリングシャッタ方式を採用したときの各ラインの露光タイミングを示している。左側の四角形は、露光時間がt1である(露光時間が短い)ときの各ラインの露光タイミングを示し、右側の四角形は、露光時間がt2(>t1)である(露光時間が長い)ときの各ラインの露光タイミングを示している。
図4に示したローリングシャッタ方式では、イメージセンサ115は、上方のラインから下方へ向けて順次露光される。
【0036】
露光時間は、例えば、撮影前にユーザによって設定される。ユーザは、露光時間がt1であるかt2であるかを選択できる。あるいは、露光時間は、周囲の明るさ等の環境に応じて制御部135が自動的に設定してもよい。
【0037】
例えば、
図4の露光時間t1は所定の時間閾値t
thより短く、露光時間t2は時間閾値t
th以上である。時間閾値t
thは、例えば4T
H以上、例えば6T
H、8T
H等に設定されるが、これらに限定されない。ここで、T
Hは、高周波駆動の場合の駆動電圧Vの周期である。高周波駆動の場合、駆動電圧Vの駆動周波数f
Hは例えば1~10kHzであり、T
Hは1/f
Hである。
【0038】
図5は、高周波駆動の場合に露光時間が短い(例えば、露光時間が
図4のt1である)ときの撮像画像I1を示す模式図である。撮像画像I1では、駆動電圧Vの反転による明滅の影響が、水平方向に延びるスジ又は縞となって表れている。このように、高周波駆動の場合には、露光時間が短いと、駆動電圧Vの反転による明滅の影響が撮像画像I1に比較的顕著に表れる。
【0039】
図6は、高周波駆動の場合に露光時間が長い(例えば、露光時間が
図4のt2である)ときの撮像画像I2を示す模式図である。高周波駆動の場合に露光時間が長いと、駆動電圧Vの反転の影響が発生する期間(
図4で破線で示された箇所)の総計は、各ラインにおいてほぼ等しくなる。したがって、
図6の撮像画像I2では、
図5と異なり、ライン間の明暗の差が顕著に表れることはない。
【0040】
そこで、本実施形態では、制御部135は、露光時間が所定の時間閾値tthより長いとき、駆動装置14を制御して、駆動電圧Vの駆動周波数を所定の周波数fthより高くする。ここで、所定の周波数fthは、例えば1~10kHzである。これにより、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0041】
1-2-2.低周波駆動の場合
図7A及び
図7Bは、調光装置10が低周波駆動する場合のイメージセンサ115の各ラインについて、露光時間と、駆動電圧Vの反転のタイミングとの関係を説明するための模式図である。
【0042】
制御部135により、時間Tnにおける、イメージセンサ115の垂直同期信号VDから、読み出し時間Rにかけて、露光時間t3(
図7A参照)又はt4(
図7B参照)の露光が、画像処理部120に、読み出される。制御部135は、イメージセンサ115に、時間Tn-1までに、イメージセンサ115の、非蓄積時間St3又はSt4を設定する。一般にイメージセンサは、フォトダイオードが搭載されており、電子シャッタ・パルスにより、非蓄積時間の間、フォトダイオードに蓄積される電荷を、イメージセンサの基板に放出することで、露光時間を調節する。
図7Aの非蓄積時間St3は、イメージセンサ115の垂直同期信号VDの出力時間間隔T
VDから、露光時間t3を減算した、時間間隔である。
図7Bの非蓄積時間St4は、イメージセンサ115の垂直同期信号VDの出力時間間隔T
VDから、露光時間t4を減算した、時間間隔である。
【0043】
露光時間t3又はt4に対して、駆動電圧Vの反転時を、先行時間Aだけ先行させる。先行時間Aは、駆動電圧Vの反転による明滅を避けるための時間間隔であり、例えば0.5THを設定する。
【0044】
低周波駆動の場合、駆動電圧Vの駆動周波数f
Lは例えば10~100Hzであり、駆動電圧Vの周期T
Lは1/f
Lである。
図7Aの露光時間t3は時間閾値t
th以上であり、
図7Bの露光時間t4は時間閾値t
thより短い。
【0045】
図8は、低周波駆動の場合に露光時間が長いときの撮像画像I3を示す模式図である。低周波駆動の場合に露光時間が長いときとは、例えば、露光時間が
図7Aのt3であるとき、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なるとき等である。露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なるときの一例は、露光時間と読み出し時間Rと先行時間Aとの和がT
L/2以上であるときである。
【0046】
図8の撮像画像I3では、駆動電圧Vの反転による明滅の影響が表れている。露光時間が長いと、明度の高い画像が得られる一方で、低周波駆動の場合には、
図8に示すように駆動電圧Vの反転による明滅の影響が撮像画像I3に比較的顕著に表れる。
【0047】
図9は、低周波駆動の場合に露光時間が短い(例えば、露光時間が
図7Bのt4である)ときの撮像画像I4を示す模式図である。このように、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重ならない場合、撮像画像I4では、
図8と異なり、ライン間の明暗の差が顕著に表れることはない。
【0048】
そこで、本実施形態では、制御部135は、露光時間が所定の時間閾値tthより短いとき、駆動装置14を制御して、駆動電圧Vの駆動周波数を所定の周波数fthより低いfLとする。これにより、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重ならないようにするために、制御部135は、低周波の駆動電圧Vを、イメージセンサ115の駆動信号、例えば垂直同期信号VDに同期させる。これにより、
図7Bに示すように、駆動電圧Vの反転のタイミングの直後に露光を開始し、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0050】
1-3.動作
図10は、本実施形態に係る調光処理を示すフローチャートである。本処理は、制御部135によって、例えば露光時間Teが設定又は変更される度に実行される。
【0051】
まず、制御部135は、設定された露光時間Teを取得する(S11)。例えば、撮影前にユーザが操作部150を用いて所望の露光時間を選択すると、制御部135は、ユーザの選択に基づいて露光時間Teを設定する。あるいは、制御部135は、周囲の明るさ等の環境に応じて露光時間Teを設定してもよい。
【0052】
次に、制御部135は、露光時間Teが時間閾値tth以上であるか否かを判定する(S12)。
【0053】
露光時間Teが時間閾値tth以上である場合(S12でYes)、制御部135は、調光素子11を高周波駆動する(S13)。例えば、制御部135は、駆動装置14を制御して、駆動電圧Vの駆動周波数を所定の周波数fthより高くする。これにより、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0054】
ステップS12において露光時間Teが時間閾値tthより短い場合(S12でNo)、制御部135は、調光素子11を低周波駆動する(S14)。例えば、制御部135は、駆動装置14を制御して、駆動電圧Vの駆動周波数を所定の周波数fthより低くする。
【0055】
低周波駆動の場合、制御部135は、駆動電圧Vをイメージセンサ115の駆動信号に同期させる(S15)。例えば、制御部135は、駆動電圧Vの立ち上がり及び立ち下がりのうちの少なくとも一方を、イメージセンサ115の垂直同期信号VDの立ち上がり又は立ち下がりに同期させる。これにより、
図7Bに示すように、駆動電圧Vの反転のタイミングの直後に露光を開始し、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0056】
ここで、第1の信号を第2の信号に同期させるとは、第1の信号の立ち上がり又は立ち下がりの時刻と、第2の信号の立ち上がり又は立ち下がりの時刻とを完全に一致させることだけでなく、第1の信号の変化の所定時間後又は前に第2の信号を変化させることをも含む。本実施形態では、例えば、垂直同期信号VDの立ち上がりの所定時間前又は後に駆動電圧Vが反転してもよいし、駆動電圧Vの反転タイミングの所定時間前又は後に垂直同期信号VDが立ち上がってもよい。
【0057】
ステップS13又はS15の後、制御部135は、露光及び読み出しを含む撮影動作を行う(S16)。駆動電圧Vを低周波駆動する場合の撮影動作では、制御部135は、イメージセンサ115の垂直同期信号VDの出力時間間隔T
VD(
図7A及び
図7B参照)を、イメージセンサ115の読み出し時間Rと露光時間Teとの和より長くしてもよい。これにより、露光時間又は読み出し時間と駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なることを防止することができる。
【0058】
制御部135は、イメージセンサ115及び画像処理部120により生成された画像データを表示モニタ130に表示し、又はメモリカード142、フラッシュメモリ145等に格納する。
【0059】
1-4.効果等
以上のように、本実施形態に係る調光装置10は、印加される電圧に応じて、撮像時に被写体からイメージセンサ115に到達する光の量を調節する調光素子11と、調光素子11に交流の駆動電圧Vを印加する駆動装置14と、駆動装置14を制御する制御部135と、を備える。制御部135は、駆動装置14を制御して、予め設定されたイメージセンサ115の露光時間Teの長さに応じて駆動電圧Vの駆動周波数を変化させる。これにより、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0060】
制御部135は、露光時間Teが長い程、駆動周波数を高くしてもよい。例えば、制御部135は、露光時間Teが所定の時間tth以上であるとき、駆動電圧Vの駆動周波数を所定の周波数fthより高くし、露光時間Teが所定の時間tthより短いとき、駆動周波数を所定の周波数fth以下とする。駆動周波数が高い場合に露光時間が長いと、駆動電圧Vの反転の影響が発生する期間の総計は、イメージセンサ115の各ラインにおいてほぼ等しくなる。したがって、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0061】
制御部135は、駆動電圧Vをイメージセンサ115の駆動信号に同期させてもよい。これにより、露光時間又は読み出し時間と駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0062】
制御部135は、イメージセンサ115の駆動信号の変化の所定時間前又は後に駆動電圧Vを変化させてもよい。これにより、露光時間又は読み出し時間と駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0063】
制御部135は、イメージセンサ115の駆動信号の出力時間間隔TVDを、イメージセンサ115の読み出し時間Rと露光時間Teとの和より長くしてもよい。これにより、露光時間又は読み出し時間と駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0064】
2.実施形態2
実施形態2では、制御部135は、ライブビュー画像を表示モニタ130に表示するライブビューモードと、静止画像撮影モードとを切り替えることができる。例えば、ユーザは、表示モニタ130に表示されたライブビュー画像を参照することで構図を決定し、レリーズボタンを押下することで静止画像撮影モードに移行して静止画像撮影と保存を行うことができる。
【0065】
表示モニタ130にリアルタイムで表示されるライブビュー画像は、ユーザによる構図確認のため、高画質である必要性が低い場合がある。このような場合には、イメージセンサ115の画素の信号を部分的に読み出すことにより、読み出し時間の総計を短くすることができる。これに対して、静止画像撮影を行う場合には、イメージセンサ115の全画素の信号を読み出すこと、又は読み出し対象の画素を間引く程度をライブビュー画像の場合より控えめにすることがある。したがって、読み出し時間の総計が長くなり、読み出し時間と露光時間と先行時間Aとの和がTL/2より長くなり、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なるおそれがある。
【0066】
そこで、実施形態2では、静止画像撮影モードにおいて、露光時間が所定の時間閾値より短い場合、駆動電圧Vを所定値に固定するこれにより、静止画像撮影時の露光及び読み出しの最中に駆動電圧Vが反転しないため、駆動電圧Vの反転が画質に与える影響を低減することができる。
【0067】
図11は、実施形態2に係る調光処理を示すフローチャートである。制御部135は、デジタルカメラ100及び調光装置10をライブビューモードS21で動作させる。制御部135は、静止画像撮影指示(S22)を受信すると、静止画像撮影モードS23に移行する。
【0068】
制御部135は、静止画像撮影モードS23における静止画像撮影が完了すると、垂直同期信号VDのタイミングを調整し(S24)、その後ライブビューモードS21に戻る。調整ステップS24は、例えば、表示モニタ130のフレームレート(例えば60fps)に垂直同期信号VDを同期させるために行われる。
【0069】
図12は、ライブビューモードS21における処理を示すフローチャートである。
図12のステップS11~S16は、
図10のステップS11~S16と同様であるため説明を省略する。
図12のステップS17では、制御部135は、ライブビュー画像を表示モニタ130に表示する。
【0070】
図13は、静止画像撮影モードS23における処理を示すフローチャートである。
【0071】
まず、制御部135は、静止画像用の露光時間Te2を取得する(S31)。例えば、制御部135は、操作部150を用いたユーザの選択に基づいて露光時間Te2を設定する。あるいは、制御部135は、周囲の明るさ等の環境に応じて露光時間Te2を設定してもよい。
【0072】
次に、制御部135は、露光時間Te2が時間閾値t
th2以上であるか否かを判定する(S32)。時間閾値t
th2は、
図12の時間閾値t
thと同一であってもよいし、異なってもよい。
【0073】
露光時間Te2が時間閾値tth2以上である場合(S32でYes)、制御部135は、調光素子11を高周波駆動する(S33)。
【0074】
ステップS32において露光時間Te2が時間閾値tth2より短い場合(S32でNo)、制御部135は、駆動電圧Vを所定値に固定する(S34)。あるいは、制御部135は、駆動電圧Vを反転させないように駆動装置14を制御してもよい。これにより、駆動電圧Vが反転しないため、駆動電圧Vの反転が画質に与える影響を低減することができる。
【0075】
ステップS33又はS34の後、制御部135は、露光及び読み出しを含む静止画像の撮影動作を行う(S35)。静止画像の撮影動作では、制御部135は、イメージセンサ115の駆動信号の出力時間間隔T
VD2(後述の
図14参照)を、イメージセンサ115の読み出し時間Rと露光時間Te2との和より長くしてもよい。これにより、露光時間又は読み出し時間と駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0076】
次に、制御部135は、イメージセンサ115及び画像処理部120により生成された静止画像データをメモリカード142、フラッシュメモリ145等に保存する(S36)。
【0077】
図14~16は、実施形態2に係る調光処理における駆動電圧Vの制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0078】
図14及び
図15は、露光時間Te2が時間閾値t
th2より短い場合(
図13のS32でNoの場合)のタイミングチャートである。
図14は、ライブビューモードS21で低周波駆動の場合(
図12のS12でNoの場合)を示している。ライブビューモードS21中に静止画像撮影指示があると、調光装置10のモードは、所定期間後、静止画像撮影モードS23に移行する。
図15は、ライブビューモードS21で高周波駆動の場合(
図12のS12でYesの場合)を示している。
図14及び
図15では、露光時間Te2が時間閾値t
th2より短い場合ため、静止画像撮影モードS23において駆動電圧Vは所定値に固定される(S34)。
【0079】
図16は、露光時間Te2が時間閾値t
th2以上である場合(
図13のS32でYesの場合)のタイミングチャートである。この場合、駆動電圧Vは高周波駆動される(S33)。これにより、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0080】
なお、移行直前にライブビュー画像を生成しても、表示モニタ130には表示しないため、制御部135は、
図14~16に示すように、移行直前にはライブビュー画像を生成しなくてもよい。
【0081】
3.他の実施形態
以上のように、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施形態を例示する。
【0082】
3-1.第1変形例
上記の実施形態1では、液晶素子12,13が、駆動電圧Vが印加されていない状態では入射光を遮光する構成(ノーマリーブラック)について説明した。しかしながら、本開示の液晶素子はこれに限定されず、駆動電圧Vが印加されていない状態で入射光の透過率が最大となり、駆動電圧Vが印加された状態では入射光を遮光する構成(ノーマリーホワイト)であってもよい。
【0083】
3-2.第2変形例
上記の実施形態1では、2つの液晶素子12,13を有する調光素子11について説明したが、本開示の調光素子の構成はこれに限定されない。
図17は、第2変形例に係る調光素子11aの構成を示す模式図である。
図17の調光素子11aは、
図2,3の調光素子11が液晶素子12を備えることに代えて、y方向に偏光した入射光のみを通過させる偏光板12aを備える。駆動装置14が駆動電圧Vを印加していない場合、偏光板12aを透過したy偏光した光は、y方向に配向された液晶素子13の二色性色素分子Gに遮光され、液晶素子13を透過できない。したがって、第2変形例に係る調光素子11aでは、実施形態1と同様、駆動電圧Vが印加されていない状態では、入射光は調光素子11aと液晶素子13により遮光され、駆動電圧Vが印加された状態では入射光の透過率が最大となる(ノーマリーブラック)。
【0084】
3-3.第3変形例
上記の実施形態1では、露光時間Teが時間閾値tth以上である場合(S12でYes)に高周波駆動を行い(S13)、露光時間Teが時間閾値tthより短い場合(S12でNo)に低周波駆動を行う(S14)例について説明した。しかしながら、本開示の調光方法は、このように駆動電圧Vの駆動周波数を2段階で切り替えることに限定されない。例えば、制御部135は、予め設定された露光時間Teの長さに応じて駆動電圧Vの駆動周波数を3段階以上の多段階で切り替えてもよい。この場合、制御部135は、露光時間Teが長い程、駆動電圧Vの駆動周波数を高くする。
【0085】
3-4.第4変形例
上記の実施形態1では、ローリングシャッタ方式の撮影方式に適用可能な調光装置10について説明したが、本開示の調光装置は、グローバルシャッタ方式の撮影方式にも適用可能である。
【0086】
図18は、第4変形例に係るグローバルシャッタ方式のイメージセンサ115の各ラインについて、露光時間Te3と、駆動電圧Vの反転のタイミングとの関係を説明するための模式図である。
【0087】
制御部135は、実施形態1と同様に、露光時間Te3が時間閾値t
thより短い場合、調光素子11を低周波駆動する。この場合、制御部135は、
図18に示すように、駆動電圧Vをイメージセンサ115の駆動信号に同期させる。垂直同期信号VDの出力時間間隔T
VDが、露光時間Te3とイメージセンサ115の読み出し時間R
Gと先行時間Aとの和より長い場合、露光時間Te3又は読み出し時間R
Gと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重ならない。したがって、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0088】
3-5.第5変形例
上記の実施形態2では、露光時間Te2が時間閾値t
th2より短い場合(S32でNo)、駆動電圧Vが所定値に固定される(S34)例について説明した。しかしながら、ステップS32でNoの場合に行われる動作はこれに限定されない。例えば、制御部135は、ステップS32でNoの場合、
図12のステップS14,S15と同様に、調光素子11を低周波駆動し、駆動電圧Vをイメージセンサ115の駆動信号に同期させてもよい。これにより、露光時間又は読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングとが重なる可能性を低減することができる。
【0089】
3-6.第6変形例
上記の実施形態2では、ライブビューモードと静止画像撮影モードとが切り替えられる例について説明した。しかしながら、モードの切替えはこれに限定されず、制御部135は、ライブビューモードと動画像撮影モードとを切り替え可能であってもよい。ライブビューモードから動画像撮影モードに移行する場合、動画像撮影モードでは、制御部135は、露光時間に応じて調光素子の駆動周波数を変更してもよい。例えば、動画像撮影モードでは、制御部135は、
図12のS11~S16と同様の処理を実行してもよい。
【0090】
さらに、制御部135は、ライブビューモード、静止画像撮影モード、及び動画像撮影モードの3つのモードを相互に切り替え可能であってもよい。
【0091】
3-7.第7変形例
上記の実施形態1では、静止画像撮影モードに、イメージセンサ115の電子シャッタを用いる例について説明した。しかしながら、シャッタ方式はこれに限定されず、遮光素子を用いてもよい。光学系110のシャッタ、すなわちレンズシャッタを遮光素子にしてもよいし、調光素子10とイメージセンサ115の間に、フォーカルプレインシャッタを設置し、これを遮光素子に用いてもよい。また、フォーカルプレインシャッタと電子シャッタを併用する電子先幕シャッタを用いてもよい。
【0092】
図19は、第7変形例に係るフォーカルプレインシャッタを遮光素子に用いた方式のイメージセンサ115の各ラインについて、露光時間Te2と、駆動電圧Vの反転のタイミングとの関係を説明するための模式図である。フォーカルプレインシャッタの先幕C1と後幕C2がともに開いている区間が、露光時間Te2である。ここでは、露光時間Te2が時間閾値t
th2より短い場合(S32でNo)を示す。
【0093】
フォーカルプレインシャッタにより、先幕C1が閉じている区間TC1と、後幕C2が閉じている区間TC2では、イメージセンサ115への入射光が遮光される。制御部135は、
図19に示すように、先幕C1及び後幕C2がともに開いている区間が、イメージセンサ115の出力時間間隔T
VDに収まるよう、同期させる。また、制御部135は、
図19に示すように、駆動電圧Vをフォーカルプレインシャッタの先幕C1と後幕C2に同期させる。読み出し時間Rと駆動電圧Vの反転のタイミングが重なっても、後幕C2により遮光されているため、イメージセンサ115は露光しない。T
L/2が、露光時間Te2と幕速CSと先行時間ACとの和より長い場合、露光時間Te2は駆動電圧Vの反転のタイミングと重ならない。したがって、交流の駆動電圧Vが画質に与える影響を低減することができる。
【0094】
以上のように、第7変形例では、制御部135は、遮光素子の一例である先幕C1及び後幕C2による遮光のタイミングに同期させる。制御部135は、先幕C1又は後幕C2に光を遮光させている間に駆動電圧Vを変化させてもよい。
【0095】
または、制御部135は、露光時間Te2を含む時間、駆動電圧Vを所定値に固定してもよい(S34)。
【0096】
または、駆動電圧Vをイメージセンサ115の駆動信号に同期させてもよい。
【0097】
6.態様例
以下、本開示の態様を例示する。
【0098】
<態様1>
本開示に係る第1の態様は、印加される電圧に応じて、撮像時に被写体から撮像素子に到達する光の量を調節する調光素子と、調光素子に反転する駆動電圧を印加する駆動装置と、駆動装置を制御する制御部と、を備え、制御部は、駆動装置を制御して、予め設定された撮像素子の露光時間の長さに応じて駆動電圧の駆動周波数を変化させる調光装置である。
【0099】
<態様2>
本開示に係る第2の態様では、第1の態様の調光装置において、制御部は、露光時間が長い程駆動周波数を高くする。
【0100】
<態様3>
本開示に係る第3の態様では、第1又は第2の態様の調光装置において、制御部は、露光時間が所定の時間以上であるとき、駆動電圧の駆動周波数を所定の周波数より高くし、露光時間が所定の時間より短いとき、駆動周波数を所定の周波数以下とする。
【0101】
<態様4>
本開示に係る第4の態様では、第1~第3のいずれかの態様の調光装置において、制御部は、駆動電圧を撮像素子の駆動信号に同期させる。
【0102】
<態様5>
本開示に係る第5の態様では、第4の態様の調光装置において、制御部は、撮像素子の駆動信号の変化の所定時間前又は後に駆動電圧を変化させる。
【0103】
<態様6>
本開示に係る第6の態様では、第1~第5のいずれかの態様の調光装置において、調光装置は、撮像時に被写体から撮像素子に到達する光を遮光する遮光素子を更に備え、制御部は、駆動電圧を遮光素子による遮光のタイミングに同期させる。
【0104】
<態様7>
本開示に係る第7の態様では、第1~第6のいずれかの態様の調光装置において、調光装置は、撮像時に被写体から撮像素子に到達する光を遮光する遮光素子を更に備え、制御部は、遮光素子による光の遮光のタイミングを制御し、遮光素子に光を遮光させている間に駆動電圧を変化させる。
【0105】
<態様8>
本開示に係る第8の態様では、第4又は第5の態様の調光装置において、制御部は、撮像素子の駆動信号の出力時間間隔を、撮像素子の読み出し時間と露光時間との和より長くする。
【0106】
<態様9>
本開示に係る第9の態様では、第1~第8のいずれかの態様の調光装置において、制御部は、
動画像用の露光時間と静止画像用の露光時間を決定し、
動画像の撮影時には、動画像用の露光時間の長さに応じて駆動電圧の駆動周波数を変化させ、
静止画像の撮影時には、
静止画像用の露光時間が所定の時間以上であるとき、駆動電圧の駆動周波数を所定の周波数より高くし、
静止画像用の露光時間が所定の時間より短いとき、駆動電圧を反転させない。
【0107】
<態様10>
本開示に係る第10の態様では、第1~9のいずれかの態様の調光装置において、調光素子は、印加される電圧に応じて透過光量を調節する液晶素子を含む。
【0108】
<態様11>
本開示に係る第11の態様は、第1~10のいずれかの態様の調光装置と、
被写体を撮像して画像データを生成する撮像素子と、
を備える撮像装置である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示は、調光装置と、調光装置を備える撮像装置とに適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 調光装置
11 調光素子
12 液晶素子
13 液晶素子
14 駆動装置
100 デジタルカメラ
110 光学系
115 イメージセンサ
120 画像処理部
125 バッファメモリ
130 表示モニタ
135 制御部
141 カードスロット
142 メモリカード
143 通信モジュール
145 フラッシュメモリ
150 操作部