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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124210
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ミシン及びミシンを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   D05B 19/14 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
D05B19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032217
(22)【出願日】2023-03-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年4月19日に北米、豪州、欧州にて販売開始 令和4年4月20日に米国の展示会VDTA/SDTA2022にて発表 令和4年5月14日に豪州、メルボルンにて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 健太郎
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150GE13
3B150JA02
3B150LA15
3B150LA82
3B150LA83
3B150LA84
3B150LA85
3B150LB02
3B150NC02
3B150QA06
3B150QA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、さまざまな入力情報に基づくミシンの柔軟な制御を行う仕組みを提供する。
【解決手段】ミシンは、被縫製物の移動を検知する移動検知センサ6からの情報と所定の縫いピッチ量とに基づいて回転速度指示値を決定するように構成された回転速度決定ユニット113と、上限回転速度値を設定するように構成された上限回転速度設定ユニット112と、前記回転速度指示値に回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記上限回転速度値に達する場合は前記上限回転速度値に前記回転速度を制御するように構成された回転速度制御ユニット114と、制御された前記回転速度により針を動作させるミシンモータ2と、を含む。被縫製物の移動量に応じたミシンモータ2の回転速度制御が実行されるが、その回転速度は上限回転速度を越えないように制御される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンであって、
被縫製物の移動を検知する移動検知センサからの情報と所定の縫いピッチ量とに基づいて回転速度指示値を決定するように構成された回転速度決定ユニットと、
上限回転速度値を設定するように構成された上限回転速度設定ユニットと、
前記回転速度指示値に回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記上限回転速度値に達する場合は前記上限回転速度値に前記回転速度を制御するように構成された回転速度制御ユニットと、
制御された前記回転速度により針を動作させるミシンモータと、
を含む、ミシン。
【請求項2】
前記上限回転速度設定ユニットは、少なくともスピードコントローラの出力に基づいて前記上限回転速度値を設定するように構成される、請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記上限回転速度設定ユニットは、少なくともフットコントローラの出力に基づいて前記上限回転速度値を設定するように構成される、請求項1に記載のミシン。
【請求項4】
前記上限回転速度設定ユニットは、スピードコントローラの出力に基づいて第1の上限回転速度値を設定すると共にフットコントローラの出力に基づいて第2の上限回転速度値を設定するように構成され、
前記回転速度制御ユニットは、前記第1の上限回転速度値よりも前記第2の上限回転速度値が低い場合に前記第2の上限回転速度値を前記上限回転速度値に使用するように構成される、請求項1に記載のミシン。
【請求項5】
前記上限回転速度設定ユニットは、スピードコントローラの出力に基づいて第1の上限回転速度値を算出すると共にフットコントローラの出力に基づいて第2の上限回転速度値を算出し、前記第1の上限回転速度値と前記第2の上限回転速度値とを比較して低い方の値を前記上限回転速度値に設定するように構成される、請求項1に記載のミシン。
【請求項6】
最低回転速度値を設定するように構成された最低回転速度設定ユニットをさらに含み、
前記回転速度制御ユニットは、前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回るまでは前記最低回転速度値に前記回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回ると前記回転速度指示値に前記回転速度を制御するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のミシン。
【請求項7】
前記移動検知センサとしてイメージセンサが使用され、該イメージセンサにより被縫製物を撮像して得られるイメージデータを画像処理することにより、該被縫製物の移動に関する前記情報を取得する、請求項1に記載のミシン。
【請求項8】
針を動作させるミシンモータと、該ミシンモータを制御するプロセッサと、を含むミシンを制御する方法であって、
前記プロセッサにより、
被縫製物の移動を検知する移動検知センサからの情報と所定の縫いピッチ量とに基づいて回転速度指示値を決定し、
上限回転速度値を設定し、
前記回転速度指示値に前記回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記上限回転速度値に達する場合は前記上限回転速度値に前記回転速度を制御し、
制御された前記回転速度により前記ミシンモータを駆動する、
ことを含む、方法。
【請求項9】
前記上限回転速度値は、少なくともスピードコントローラの出力に基づいて設定する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記上限回転速度値は、少なくともフットコントローラの出力に基づいて設定する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
スピードコントローラの出力に基づいて第1の上限回転速度値を設定すると共にフットコントローラの出力に基づいて第2の上限回転速度値を設定し、
前記第1の上限回転速度値よりも前記第2の上限回転速度値が低い場合に前記第2の上限回転速度値を前記上限回転速度値に使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
スピードコントローラの出力に基づいて第1の上限回転速度値を算出すると共にフットコントローラの出力に基づいて第2の上限回転速度値を算出し、前記第1の上限回転速度値と前記第2の上限回転速度値とを比較して低い方の値を前記上限回転速度値に設定する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセッサにより、
最低回転速度値を設定し、
前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回るまでは前記最低回転速度値に前記回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回ると前記回転速度指示値に前記回転速度を制御する、
ことをさらに含む、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ミシンのプロセッサにより実行されると、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法を該プロセッサに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン及びミシンを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、センサによって被縫製物の移動を監視し、その移動量に応じて、針を動作させるミシンモータの回転速度を制御することにより、縫いピッチを一定に保つように構成されるミシンがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-110608
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のミシンは、センサの検知信号に基づいて算出される被縫製物の移動量を唯一のパラメータとしてミシンモータの回転速度を制御している。
しかしながら、本特許文献1では、さまざまな入力情報に基づくミシンの柔軟な制御について検討がなされていない。
そこで、本発明は、さまざまな入力情報に基づくミシンの柔軟な制御を行う仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する構成や方法を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ミシンに関する。このミシンは、被縫製物の移動を検知する移動検知センサからの情報と所定の縫いピッチ量とに基づいて回転速度指示値を決定するように構成された回転速度決定ユニットと、上限回転速度値を設定するように構成された上限回転速度設定ユニットと、回転速度指示値に回転速度を制御し、回転速度指示値が上限回転速度値に達する場合は上限回転速度値に回転速度を制御するように構成された回転速度制御ユニットと、制御された回転速度により針を動作させるミシンモータと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、さまざまな入力情報に基づくミシンの柔軟な制御を行う仕組みを提供することができる。
本発明のその他の態様については、以下に述べる発明を実施する形態の説明の中で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ミシンの実施例を示した図の例である。
図2図1に例示したミシンにおける移動検知センサの部分を拡大し一部断面にして示す図の例である。
図3】ミシンモータを駆動するプロセッサの実施例を示したブロック図の例である。
図4】被縫製物の移動速度に対するミシンモータの回転速度を例示した制御チャートの例である。
図5】プロセッサにより実行される縫い動作開始-停止制御の実施例を示すフローチャートの例である。
図6】プロセッサによって縫い動作中に実行される回転速度制御の実施例1を示すフローチャートの例である。
図7】プロセッサによって縫い動作中に実行される回転速度制御の実施例2を示すフローチャートの例である。
図8】プロセッサによって縫い動作中に実行される回転速度制御の実施例3を示すフローチャートの例である。
図9】プロセッサによって縫い動作中に実行される回転速度制御の実施例4を示すフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施する形態に関し、具体的な実施例を例示して説明する。
【0009】
図1は、ミシンの実施例を示している。ミシン1は、ミシンモータ2から周知のリンク機構を介して針3を動作させ、押さえ4により押さえた被縫製物(図示せず)が使用者により移動させられるとこれに同調して縫い動作を実行する。縫い動作により上糸と下糸と(図示せず)を交差させて被縫製物に縫い目を形成する。縫いピッチとは縫い目と縫い目との間隔のことである。押さえ4は、針3の動作に合わせて上下動可能な押さえ棒5に取り付けられている。この押さえ4に、図2に示すとおり、移動検知センサ6が組み込まれている。移動検知センサ6は、例えばイメージセンサを使用して構成されており、イメージセンサにより被縫製物の表面を撮像して得られるイメージデータを画像処理することにより、被縫製物の移動に関する情報を取得する。他にも、移動検知センサ6として光学式センサを使用することもでき、光学式センサは、可視光線や赤外線などを使用して被縫製物の表面形状を読み取り、被縫製物の移動量を検知する。
【0010】
また、ミシン1は、使用者から操作し易い位置に、スタートストップキー7、スピードコントローラ8、タッチパネル式のディスプレイ9を備えている。スタートストップキー7は縫い動作の開始/停止操作を行うためのもので、本例では押しボタンとして構成されている。スピードコントローラ8は、本例ではスライドつまみで、使用者がつまみを左右にスライドさせた位置に応じて出力が変化するアナログデバイスである。一例としてスライドつまみを示しているが、回転つまみなどとしてもよい。また、入力をデジタル信号で処理するデジタルデバイスで実装してもよい。一例として液晶パネルで実装されるディスプレイ9は、ミシン1の機能や動作状態を表示し、また、設定画面などで各種パラメータをタッチ入力するために使用される。特に、本例の場合、使用者は、設定画面を表示したディスプレイ9の所定領域をタッチすることで縫いピッチの設定入力を行うことができる。
【0011】
さらに、ミシン1には、入出力端子を通してフットコントローラ10を接続することができる。フットコントローラ10は、ベース11に、揺動できるように踏板12を軸支した構造をもち、この踏板12が足を離すと戻るように付勢してあって、付勢力に逆らって踏板12を踏み込むことで出力が生じる。フットコントローラ10には、ベース11内にエンコーダ13が内蔵してあり、踏板12の踏み込み量に応じた出力が得られる。出力はアナログ信号であってもよいし、デジタルの情報であってもよい。
【0012】
[プロセッサの実施例]
図3に、ミシン1に搭載され、縫い動作を制御するように構成されたプロセッサ100の実施例をブロック図で示す。プロセッサ(CPU)100は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)により構成されており、外部又は内部のメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行して縫い動作を制御する。プロセッサ100において、後述する各ユニットは、ぞれぞれソフトウェアモジュールあるいはハードウェアモジュールとして構成することができる。
【0013】
プロセッサ100は、入力部として、GPIO(General Purpose Input/Output)101、A/Dコンバータ102,103、シリアル通信制御ユニット104、及びタッチパネル制御ユニット105を有する。GPIO101は、スタートストップキー7の信号を入力する端子である。A/Dコンバータ102は、フットコントローラ10のアナログ出力をデジタル変換する。A/Dコンバータ103は、スピードコントローラ8のアナログ出力をデジタル変換する。シリアル通信制御ユニット104は、移動検知センサ6から情報を受信する。タッチパネル制御ユニット105は、ディスプレイ9の全般を制御し、特に、ディスプレイ9に表示した設定画面において使用者が縫いピッチ量の設定をタッチ入力できるようにして、その入力情報を受け取る。
【0014】
具体的に、スタートストップキー7は、押されたときにHighレベルの信号を発生し、押されていなければLowレベルの信号を維持する。縫い動作を開始するために(つまり縫い動作の停止時)使用者がスタートストップキー7を押すことでHighレベルの信号がGPIO101に提供されると、これを検知したプロセッサ100は、最低回転速度でミシンモータ2の駆動を開始する。縫い動作中に使用者がスタートストップキー7を押すことでHighレベルの信号がGPIO101に提供されると、これを検知したプロセッサ100は、ミシンモータ2の駆動を停止する。
【0015】
フットコントローラ10は、開放(踏み込みの無い)時にアナログ出力が最低レベルにあり、踏み込まれると、その踏み込み量に応じてアナログ出力のレベルが上昇する。縫い動作停止時に使用者がフットコントローラ10を踏み込むと、アナログ出力のレベルが最低レベルから上昇し、この上昇を検知したプロセッサ100は、最低回転速度でミシンモータ2の駆動を開始する。そして、プロセッサ100は、上昇したアナログ出力のレベルからフットコントローラ10の踏み込み量を検知し、ミシンモータ2の上限回転速度値を設定する。縫い動作時に使用者がフットコントローラ10を開放する(足を離す)と、アナログ出力が最低レベルへ下がり、この下降を検知したプロセッサ100が、ミシンモータ2の駆動を停止する制御も可能である。
【0016】
本例ではスライドつまみであるスピードコントローラ8は、使用者がつまみをスライドさせて留めた位置に応じてアナログ出力のレベルが変化する。プロセッサ100は、縫い動作時、スピードコントローラ8の出力レベル(すなわち、つまみの位置)に応じてミシンモータ2の上限回転速度値を設定する。
【0017】
移動検知センサ6は、シリアル通信制御ユニット104を介してプロセッサ100と定期的にシリアル通信を実行し、移動検知センサ6が検知した被縫製物の移動量の情報が定期的にシリアルデータで受信される。そして、プロセッサ100は、使用者による縫いピッチ設定入力に従って設定される縫いピッチ量と移動検知センサ6の情報による被縫製物の移動速度とから、縫いピッチが一定となるようにミシンモータ2の回転速度指示値を決定する。
【0018】
使用者がディスプレイ9をタッチして入力される縫いピッチの設定は、タッチパネル制御ユニット105を通してプロセッサ100に提供される。
【0019】
プロセッサ100は、出力部として、GPIO106、及びPWM(Pulse Width Modulation)ユニット107を有する。GPIO106は、ミシンモータ2へ、オン信号(Highレベル)及びオフ信号(Lowレベル)を提供する。これに従いミシンモータ2の駆動電源がオン/オフされる。PWMユニット107は、後述のように制御される回転速度に応じた電流値をPWM(パルス幅変調)波形で生成してミシンモータ2へ提供し、ミシンモータ2がその制御された回転速度で作動し、針3を動作させる。
【0020】
プロセッサ100は、縫い動作の開始-停止(ミシンモータ2の駆動開始-停止)の制御と、縫い動作中のミシンモータ2の回転速度の制御を実行するために、駆動開始/停止制御ユニット110、最低回転速度設定ユニット111、上限回転速度設定ユニット112、回転速度決定ユニット113、及び回転速度制御ユニット114を含む。
【0021】
駆動開始/停止制御ユニット110は、GPIO101からスタートストップキー7の信号を受信し、また、A/Dコンバータ102でデジタル変換したフットコントローラ10の出力を受信する。これらの入力に応答して駆動開始/停止制御ユニット110は、GPIO106を介しミシンモータ2へオン信号又はオフ信号を提供する。
【0022】
最低回転速度設定ユニット111は、GPIO101からスタートストップキー7の信号を受信し、また、A/Dコンバータ102でデジタル変換したフットコントローラ10の出力を受信する。これらの入力に応答して最低回転速度設定ユニット111は、回転速度制御ユニット114に最低回転速度値を設定する。
【0023】
上限回転速度設定ユニット112は、A/Dコンバータ102でデジタル変換したフットコントローラ10の出力を受信し、また、A/Dコンバータ103でデジタル変換したスピードコントローラ8の出力を受信する。これら出力のレベルに従って上限回転速度設定ユニット112は、回転速度制御ユニット114に上限回転速度値を設定する。
【0024】
回転速度決定ユニット113は、シリアル通信制御ユニット104を介して移動検知センサ6から被縫製物の移動に関する情報を受信し、また、タッチパネル制御ユニット105を介し、使用者により設定された縫いピッチ量を受信する。これらの情報から回転速度決定ユニット113は、回転速度指示値を決定して回転速度制御ユニット114に提供する。
【0025】
回転速度制御ユニット114は、以上のユニットにより決められる最低回転速度値、上限回転速度値、及び回転速度指示値のいずれかでPWMユニット107を制御する。このPWMユニット107を介してミシンモータ2の回転速度が制御される。
【0026】
プロセッサ100が最低回転速度値、上限回転速度値、及び回転速度指示値のいずれかに回転速度を制御することにより、図4に示す制御チャートのように、縫い動作においてミシンモータ2の回転速度が制御される。図4のチャートは、横軸を被縫製物の移動速度として、ミシンモータ2の回転速度を縦軸にとったグラフで表している。回転速度決定ユニット113による回転速度指示値が、最低回転速度設定ユニット111による最低回転速度値に達する前は、回転速度は、最低回転速度値に制御される。その後、回転速度指示値が最低回転速度値を上回ると、回転速度は、回転速度決定ユニット113による回転速度指示値に制御され、被縫製物の移動速度に応じて変化し、設定された縫いピッチが施されるように針3の動作が調節される。そして、被縫製物の移動速度が上がり、回転速度決定ユニット113による回転速度指示値が、上限回転速度設定ユニット112による上限回転速度値に達すると、被縫製物の移動速度がそれ以上に上がっても、回転速度は、上限回転速度値に制御される。
【0027】
[縫い動作開始-停止制御の実施例]
図5に、プロセッサ100が上述の各ユニットを通して実行する、縫い動作の開始から停止までの制御フローチャートを例示する。この制御は、例えば、使用者がミシン1の主電源を入れ、ディスプレイ9で、フリーモーション-ステッチレギュレータ(ASR)の機能をタッチ選択することでスタートする。
【0028】
駆動開始/停止制御ユニット110は、ステップS1で、ミシン1のスタートストップキー7が操作(押す)されたか、又は、フットコントローラ10が接続されている場合はフットコントローラ10がオン(踏み込み)されたか、を判断する。スタートストップキー7の操作もフットコントローラ10のオンも無い場合(いいえ)はステップS1を継続する。スタートストップキー7の操作かフットコントローラ10のオンが確認されると(はい)、ステップS2へ進み、最低回転速度設定ユニット111が最低回転速度値を設定する。回転速度制御ユニット114は、その最低回転速度値に回転速度を制御し、PWMユニット107からPWM波形をミシンモータ2へ提供して駆動開始する。ミシンモータ2は最低回転速度で始動し、針3を最低速度で上下動作させる(縫い動作の開始)。なお、ステップS1の別の例として、フットコントローラ10がミシン1に接続されている場合は、スタートストップキー7を無効とする制御も可能である(この場合はフットコントローラ10のみの判断で済む)。このフットコントローラ10の接続有無に関しては、例えば、スタートストップキー7でミシン1が動作開始した後にフットコントローラ10がミシン1に接続された場合、安全性を考慮して、プロセッサ100がミシン1を一旦停止させる制御を実行することもできる。停止後にステップS1から再実行とすることができる。
【0029】
最低回転速度値を設定してミシンモータ2の駆動を開始すると、ステップS3へ進んで、移動検知センサ6からシリアル通信制御ユニット104を介して情報を取得する回転速度決定ユニット113が、被縫製物の移動を監視する。回転速度決定ユニット113は、ステップS4で、移動検知センサ6の情報から被縫製物の移動量を判断する。移動していればステップS5へ進んで、ミシンモータ2の回転速度を決定する後述のサブルーチンが実行される。被縫製物が移動していなければ、ステップS6で、回転速度制御ユニット114が最低回転速度値の適用を継続する。ステップS2とステップS6の実行により、縫い動作中、被縫製物の移動がなくてもミシンモータ2は最低回転速度を維持し、針3の最低速度で縫い動作が維持される。
【0030】
ステップS5でプロセッサ100は、図6図9に例示するサブルーチンを実行する(後述)。このステップS5において、スピードコントローラ8のつまみ位置に応じた出力、フットコントローラ10の踏み込み量に応じた出力、そして、移動検知センサ6から取得される被縫製物の移動量及びディスプレイ9で使用者が設定した縫いピッチ量、を利用して、最低回転速度設定ユニット111による最低回転速度値、上限回転速度設定ユニット112による上限回転速度値、及び回転速度決定ユニット113による回転速度指示値に、回転速度制御ユニット114が回転速度を制御する。
【0031】
ステップS5又はステップS6で制御された回転速度に従って、ステップS7においてPWMユニット107からPWM波形が提供され、ミシンモータ2が駆動されて針3が動作する。そしてステップS8で、駆動開始/停止制御ユニット110が、ミシン1のスタートストップキー7が操作(押す)されたか、又は、フットコントローラ10がオフ(開放)されたか、を判断する。スタートストップキー7の操作もフットコントローラ10のオフも無い場合(いいえ)は、ステップS3へ戻って回転速度制御が続行される。スタートストップキー7の操作かフットコントローラ10のオフが確認されると(はい)、ステップS9で停止信号がミシンモータ2へ送られ、駆動停止の制御が実行されて縫い動作終了となる。
【0032】
[回転速度制御の実施例1]
図6に、図5のステップS5で実行される回転速度制御の第1実施例についてフローチャートを示す。
【0033】
ステップS10において、回転速度決定ユニット113は、移動検知センサ6から取得される情報に基づいて被縫製物の移動速度を算出する。次にステップS11において、回転速度決定ユニット113は、ディスプレイ9を使用して使用者により設定された縫いピッチ量と、ステップS10の移動速度とから、回転速度指示値を算出する。続いて、ステップS12において、上限回転速度設定ユニット112が、スピードコントローラ8の出力から、つまみの位置に従った上限回転速度値を算出する。
【0034】
ステップS13の判断で、回転速度制御ユニット114は、ステップS11の回転速度指示値とステップS12の上限回転速度値とを比較し、回転速度指示値が上限回転速度値を上回るか否かを判断する。回転速度指示値が上限回転速度値を上回っていれば、ステップS14へ進んで、回転速度制御ユニット114において上限回転速度値が回転速度指示値とされる。つまり、ミシンモータ2の回転速度は上限回転速度値に維持される。
【0035】
ステップS14で上限回転速度値を回転速度指示値とした後、又は、ステップS13で回転速度指示値が上限回転速度値を上回っていなければ、ステップS15で、回転速度制御ユニット114は、最低回転速度設定ユニット111により設定される最低回転速度値と回転速度指示値とを比較する。回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていれば、ステップS16で回転速度制御ユニット114は、回転速度指示値を回転速度に決定し、一方、回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていなければ、ステップS17で回転速度制御ユニット114は、最低回転速度値を回転速度に決定して、PWMユニット107を通しミシンモータ2を駆動する。ミシンモータ2は、その制御された回転速度により針3を動作させる。
【0036】
[回転速度制御の実施例2]
図7に、図5のステップS5で実行される回転速度制御の第2実施例についてフローチャートを示す。
【0037】
ステップS20において、回転速度決定ユニット113は、移動検知センサ6から取得される情報に基づいて被縫製物の移動速度を算出する。次にステップS21において、回転速度決定ユニット113は、ディスプレイ9を使用して使用者により設定された縫いピッチ量と、ステップS20の移動速度とから、回転速度指示値を算出する。続いて、ステップS22において、上限回転速度設定ユニット112が、フットコントローラ10の出力から、踏み込み量に従った上限回転速度値を算出する。
【0038】
ステップS23の判断で、回転速度制御ユニット114は、ステップS21の回転速度指示値とステップS12の上限回転速度値とを比較し、回転速度指示値が上限回転速度値を上回るか否かを判断する。回転速度指示値が上限回転速度値を上回っていれば、ステップS24へ進んで、回転速度制御ユニット114において上限回転速度値が回転速度指示値とされる。つまり、ミシンモータ2の回転速度は上限回転速度値に維持される。
【0039】
ステップS24で上限回転速度値を回転速度指示値とした後、又は、ステップS23で回転速度指示値が上限回転速度値を上回っていなければ、ステップS25で、回転速度制御ユニット114は、最低回転速度設定ユニット111により設定される最低回転速度値と回転速度指示値とを比較する。回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていれば、ステップS26で回転速度制御ユニット114は、回転速度指示値を回転速度に決定し、一方、回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていなければ、ステップS27で回転速度制御ユニット114は、最低回転速度値を回転速度に決定して、PWMユニット107を通しミシンモータ2を駆動する。ミシンモータ2は、その制御された回転速度により針3を動作させる。
【0040】
[回転速度制御の実施例3]
図8に、図5のステップS5で実行される回転速度制御の第3実施例についてフローチャートを示す。この第3実施例の制御では、スピードコントローラ8の位置に応じて設定される第1の上限回転速度値が、フットコントローラ10の踏み込み量に応じて設定される第2の上限回転速度値により変更される。
【0041】
ステップS30において、回転速度決定ユニット113は、移動検知センサ6から取得される情報に基づいて被縫製物の移動速度を算出する。次にステップS31において、回転速度決定ユニット113は、ディスプレイ9を使用して使用者により設定された縫いピッチ量と、ステップS30の移動速度とから、回転速度指示値を算出する。続いて、ステップS32において、上限回転速度設定ユニット112が、スピードコントローラ8の出力から、つまみの位置に従った第1の上限回転速度値を算出する。
【0042】
ステップS33の判断で、回転速度制御ユニット114は、ステップS31の回転速度指示値とステップS32の第1の上限回転速度値とを比較し、回転速度指示値が第1の上限回転速度値を上回るか否かを判断する。回転速度指示値が第1の上限回転速度値を上回っていれば、ステップS34へ進んで、回転速度制御ユニット114において第1の上限回転速度値が回転速度指示値とされる。
【0043】
ステップS34で第1の上限回転速度値を回転速度指示値とした後、又は、ステップS33で回転速度指示値が第1の上限回転速度値を上回っていなければ、次に、ステップS35で、プロセッサ100がフットコントローラ10がミシン1に接続されているか否か確認し、フットコントローラ10が接続されていなければ、ステップS39の最低回転速度値の判断へ進む。一方、フットコントローラ10が接続されていれば、ステップS36へ進んで、上限回転速度設定ユニット112が、フットコントローラ10の出力から、踏み込み量に従った第2の上限回転速度値を算出する。
【0044】
続いてステップS37の判断で、回転速度制御ユニット114は、ステップS34までのステップによる回転速度指示値とステップS36の第2の上限回転速度値とを比較し、回転速度指示値が第2の上限回転速度値を上回るか否かを判断する。回転速度指示値が第2の上限回転速度値を上回っていれば、ステップS38へ進んで、回転速度制御ユニット114において第2の上限回転速度値が回転速度指示値とされる。このときに、フットコントローラ10が踏み込まれていなければ、第2の上限回転速度値=第1の上限回転速度値である。また、このステップS37-ステップS38の実行により、第1の上限回転速度値よりも第2の上限回転速度値が低ければ第2の上限回転速度値が使用される。すなわち、2つの上限回転速度値のうちの低い方の値が使用されることになる。
【0045】
ステップS38で第2の上限回転速度値を回転速度指示値とした後、又は、ステップS37で回転速度指示値が第2の上限回転速度値を上回っていなければ、ステップS39で、回転速度制御ユニット114は、最低回転速度設定ユニット111により設定される最低回転速度値と回転速度指示値とを比較する。回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていれば、ステップS40で回転速度制御ユニット114は、回転速度指示値を回転速度に決定し、一方、回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていなければ、ステップS41で回転速度制御ユニット114は、最低回転速度値を回転速度に決定して、PWMユニット107を通しミシンモータ2を駆動する。ミシンモータ2は、その制御された回転速度により針3を動作させる。
【0046】
[回転速度制御の実施例4]
図9に、図5のステップS5で実行される回転速度制御の第4実施例についてフローチャートを示す。この第4実施例の制御では、スピードコントローラ8の位置に応じて決まる第1の上限回転速度値と、フットコントローラ10の踏み込み量に応じて決まる第2の上限回転速度値とを比較して、低い方の値を上限回転速度値に設定する。
【0047】
ステップS50において、回転速度決定ユニット113は、移動検知センサ6から取得される情報に基づいて被縫製物の移動速度を算出する。次にステップS51において、回転速度決定ユニット113は、ディスプレイ9を使用して使用者により設定された縫いピッチ量と、ステップS50の移動速度とから、回転速度指示値を算出する。
【0048】
続いて、ステップS52において、上限回転速度設定ユニット112が、スピードコントローラ8の出力から、つまみの位置に従った第1の上限回転速度値を算出する。また、次のステップS53において、上限回転速度設定ユニット112が、フットコントローラ10の出力から、踏み込み量に従った第2の上限回転速度値を算出する。なお、この2つのステップS52,S53は、どちらが先でも、また同時実行でもよい。
【0049】
次に、ステップS54で、上限回転速度設定ユニット112が、ステップS52の第1の上限回転速度値とステップS53の第2の上限回転速度値とを比較し、低い方の値を上限回転速度値に設定する。そして、ステップS55の判断で、回転速度制御ユニット114は、ステップS51の回転速度指示値とステップS54の上限回転速度値とを比較し、回転速度指示値が上限回転速度値を上回るか否かを判断する。回転速度指示値が上限回転速度値を上回っていれば、ステップS56へ進んで、回転速度制御ユニット114において上限回転速度値が回転速度指示値とされる。つまり、ミシンモータ2の回転速度は上限回転速度値に維持される。
【0050】
ステップS56で上限回転速度値を回転速度指示値とした後、又は、ステップS55で回転速度指示値が上限回転速度値を上回っていなければ、ステップS57で、回転速度制御ユニット114は、最低回転速度設定ユニット111により設定される最低回転速度値と回転速度指示値とを比較する。回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていれば、ステップS58で回転速度制御ユニット114は、回転速度指示値を回転速度に決定し、一方、回転速度指示値が最低回転速度値を上回っていなければ、ステップS59で回転速度制御ユニット114は、最低回転速度値を回転速度に決定して、PWMユニット107を通しミシンモータ2を駆動する。ミシンモータ2は、その制御された回転速度により針3を動作させる。
【0051】
上記実施例を例示して説明した実施の形態によれば、次の利点がある。
スタートストップキー7又はフットコントローラ10のオンで縫い動作を開始したとき、最初は針3が最低回転速度でゆっくり動く。これにより、一定のゆっくりした速度で縫製を行うことができ、均等な縫いピッチの縫い目を作りやすい。また、縫い動作中にフットコントローラ10の踏み込みを緩めるか足を離せば、針3を最低回転速度でゆっくり動かすことができ、縫いピッチを調節し易くなる。
【0052】
縫い動作において針3の動作速度があまりに速くなると、被縫製物のコントロールがし難くなって一定の縫いピッチを維持し難くなる上に、被縫製物を操作する使用者にミスも起こりやすくなる。上限回転速度を設けることによりこれを回避できる。また、その上限回転速度は、スピードコントローラ8の位置又はフットコントローラ10の踏み込み具合で使用者の好みにコントロールすることができる。スピードコントローラ8とフットコントローラ10の両方で設定される場合の上限回転速度は低い方の速度が採用されるので、よりコントロールのし易さと安全面に配慮してある。
【0053】
例えば、フットコントローラ10を目一杯踏み込んだとしても、スピードコントローラ8に従う上限回転速度を超えることはない、といった制御が実行される。また、最低回転速度を越えた回転速度制御領域(図4参照)では、使用者が被縫製物を動かす速さに応じて針3の動作速度が調節され、縫製物を速く動かすほど針3の動作速度も上がって上限回転速度までは速く縫うことができる制御であるが、その上限回転速度(つまり針3の上限動作速度)を、スピードコントローラ8の位置かフットコントローラ10の踏み込みで調節することが可能である。
【0054】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるわけではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0055】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0056】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0057】
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示しており、例えば以下を開示する。
〔1〕ミシン1は、
被縫製物の移動を検知する移動検知センサ6からの情報と(使用者が設定する)所定の縫いピッチ量とに基づいて回転速度指示値を決定するように構成された回転速度決定ユニット113と、
上限回転速度値を設定するように構成された上限回転速度設定ユニット112と、
前記回転速度指示値に回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記上限回転速度値に達する場合は前記上限回転速度値に前記回転速度を制御するように構成された回転速度制御ユニット114と、
制御された前記回転速度により針3を動作させるミシンモータ2と、を含む。
〔2〕上限回転速度設定ユニット112は、少なくともスピードコントローラ8の出力に基づいて前記上限回転速度値を設定するように構成される。
〔3〕上限回転速度設定ユニット112は、少なくともフットコントローラ10の出力に基づいて前記上限回転速度値を設定するように構成される。
〔4〕上限回転速度設定ユニット112は、スピードコントローラ8の出力に基づいて第1の上限回転速度値を設定すると共にフットコントローラ10の出力に基づいて第2の上限回転速度値を設定するように構成され、
回転速度制御ユニット114は、前記第1の上限回転速度値よりも前記第2の上限回転速度値が低い場合に前記第2の上限回転速度値を前記上限回転速度値に使用するように構成される。
〔5〕上限回転速度設定ユニット112は、スピードコントローラ8の出力に基づいて第1の上限回転速度値を算出すると共にフットコントローラ10の出力に基づいて第2の上限回転速度値を算出し、これら第1の上限回転速度値と第2の上限回転速度値とを比較して低い方の値を前記上限回転速度値に設定するように構成される。
〔6〕ミシン1は、
最低回転速度値を設定するように構成された最低回転速度設定ユニット111をさらに含み、
回転速度制御ユニット114は、前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回るまでは前記最低回転速度値に前記回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回ると前記回転速度指示値に前記回転速度を制御するように構成される。
〔7〕移動検知センサ6としてイメージセンサが使用され、該イメージセンサにより被縫製物を撮像して得られるイメージデータを画像処理することにより、該被縫製物の移動に関する前記情報を取得する。
〔8〕針3を動作させるミシンモータ2と、ミシンモータ2を制御するプロセッサ100と、を含むミシン1を制御する方法であって、
プロセッサ100により、
被縫製物の移動を検知する移動検知センサ6からの情報と(使用者が設定する)所定の縫いピッチ量とに基づいて回転速度指示値を決定し、
上限回転速度値を設定し、
前記回転速度指示値に前記回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記上限回転速度値に達する場合は前記上限回転速度値に前記回転速度を制御し、
制御された前記回転速度によりミシンモータ2を駆動する、
ことを含む、方法。
〔9〕上記方法において、前記上限回転速度値は、少なくともスピードコントローラ8の出力に基づいて設定する。
〔10〕上記方法において、前記上限回転速度値は、少なくともフットコントローラ10の出力に基づいて設定する。
〔11〕上記方法において、
スピードコントローラ8の出力に基づいて第1の上限回転速度値を設定すると共にフットコントローラ10の出力に基づいて第2の上限回転速度値を設定し、
前記第1の上限回転速度値よりも前記第2の上限回転速度値が低い場合に前記第2の上限回転速度値を前記上限回転速度値に使用する。
〔12〕上記方法において、
スピードコントローラ8の出力に基づいて第1の上限回転速度値を算出すると共にフットコントローラ10の出力に基づいて第2の上限回転速度値を算出し、これら第1の上限回転速度値と第2の上限回転速度値とを比較して低い方の値を前記上限回転速度値に設定する。
〔13〕上記方法は、
前記プロセッサ100により、
最低回転速度値を設定し、
前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回るまでは前記最低回転速度値に前記回転速度を制御し、前記回転速度指示値が前記最低回転速度値を上回ると前記回転速度指示値に前記回転速度を制御する、ことをさらに含む。
〔14〕ミシン1のプロセッサ100により実行されると、上記〔8〕~〔13〕のいずれかに係る方法をプロセッサ100に実行させる、コンピュータプログラム。
【0058】
以上、本発明に関し、いくつかの実施例を示し説明した。しかし、当該実施例以外にも、以上の説明で理解される本発明の思想に基づいて種々の実施形態を想到し得る。
【符号の説明】
【0059】
1 ミシン
2 ミシンモータ
3 針
4 押さえ
5 押さえ棒
6 移動検知センサ
7 スタートストップキー
8 スピードコントローラ
9 ディスプレイ
10 フットコントローラ
11 ベース
12 踏板
13 エンコーダ
100 プロセッサ
101,106 GPIO
102,103 A/Dコンバータ
104 シリアル通信制御ユニット
105 タッチパネル制御ユニット
107 PWMユニット
110 駆動開始/停止制御ユニット
111 最低回転速度設定ユニット
112 上限回転速度設定ユニット
113 回転速度決定ユニット
114 回転速度制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9