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特開2024-124220エレベーターシステム及び制御メニュー設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124220
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】エレベーターシステム及び制御メニュー設定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240905BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032228
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一朗
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303CB42
3F303EA03
3F304CA11
3F304EA24
3F304EB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利用者端末とエレベーター装置との間を中継する構成装置において障害が発生した場合であっても、制御メニューの設定変更を可能にし、エレベーターが利用できない状況を回避する。
【解決手段】エレベーターシステム1は、かごの運行に関する制御メニューの設定を変更可能なエレベーター装置70と、利用者端末10による制御メニューの設定操作を中継する情報管理サーバ30と、情報管理サーバ30とエレベーター装置70との間を接続し、情報管理サーバ30の装置状態及び通信状態を監視する監視端末60と、監視端末60に接続可能で、制御メニューの設定を変更する制御メニュー変更機能を有する保守員端末20と、を備え、監視端末60が情報管理サーバ30における装置状態または通信状態の障害を検出した場合に、監視端末60に接続された保守員端末20が自身の制御メニュー変更機能を有効化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの運行に関する制御メニューの設定を変更可能なエレベーター装置と、
利用者端末による前記制御メニューの設定操作を中継する情報管理サーバと、
前記情報管理サーバと前記エレベーター装置との間を接続し、前記情報管理サーバの装置状態及び通信状態を監視する監視端末と、
前記監視端末に接続可能で、前記制御メニューの設定を変更する制御メニュー変更機能を有する保守員端末と、
を備え、
前記監視端末が前記情報管理サーバにおける装置状態または通信状態の障害を検出した場合に、前記監視端末に接続された前記保守員端末が自身の前記制御メニュー変更機能を有効化する
ことを特徴とするエレベーターシステム。
【請求項2】
前記エレベーター装置は、前記制御メニューの設定状態を示す第1の制御メニュー設定データを保持し、
前記情報管理サーバは、前記利用者端末に提供するための情報として、前記第1の制御メニュー設定データを反映した第2の制御メニュー設定データを保持し、
前記監視端末によって前記障害が検出された後、当該障害が復旧する前に、前記制御メニュー変更機能が有効化された前記保守員端末の操作によって前記制御メニューの設定が変更された場合に、
前記監視端末は、前記障害の復旧を検出したときに、前記保守員端末の操作による前記制御メニューの設定の変更に伴う前記第1の制御メニュー設定データの変更内容を前記エレベーター装置から取得して前記情報管理サーバに通知し、
前記情報管理サーバは、前記監視端末から通知された前記第1の制御メニュー設定データの変更内容に、前記第2の制御メニュー設定データを更新する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記情報管理サーバは、前記監視端末から通知された前記第1の制御メニュー設定データの変更内容を前記利用者端末に通知する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記監視端末が前記障害を検出した後、当該障害の復旧を検出していない期間に限って、前記監視端末に接続された前記保守員端末は、自身の前記制御メニュー変更機能を有効化する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記情報管理サーバは、前記利用者端末と通信可能な第1のサーバと、前記第1のサーバ及び前記監視端末との間を接続する第2のサーバとを有して構成され、
前記監視端末は、前記情報管理サーバの通信状態として、前記第1のサーバと前記第2のサーバとの間の通信状態、及び前記第2のサーバと前記監視端末との間の通信状態を監視する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
エレベーター装置のかごの運行に関する制御メニューを利用者端末から設定可能なエレベーターシステムによる制御メニュー変更方法であって、
前記エレベーターシステムは、前記利用者端末による前記制御メニューの設定操作を中継する情報管理サーバと、前記情報管理サーバと前記エレベーター装置との間を接続し、前記情報管理サーバの装置状態及び通信状態を監視する監視端末と、前記監視端末に接続可能で、前記制御メニューの設定を変更する制御メニュー変更機能を有する保守員端末と、を有し、
前記監視端末が前記情報管理サーバにおける装置状態または通信状態の障害を検出した場合に、前記監視端末に接続された前記保守員端末が自身の前記制御メニュー変更機能を有効化する
ことを特徴とする制御メニュー変更方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターシステム及び制御メニュー設定方法に関し、利用者の端末からエレベーター装置の制御メニューを設定する機能を有するエレベーターシステム及び制御メニュー設定方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者(例えば、エレベーターや建屋の管理者)が利用者端末を操作することにより、エレベーターの情報管理サーバ及び監視端末等を介して、エレベーター装置の制御メニューを設定(変更や解除を含む)することができるエレベーターシステムが存在する。エレベーター装置の制御メニューの設定では、例えば、かごの運転状態を運転休止や冠水退避運転などに設定する他、これらの設定を解除したりすることができる。
【0003】
しかし、エレベーター装置と利用者端末との通信を中継する装置(例えば情報管理サーバ)で装置異常や通信障害等が発生すると、利用者端末から送信された制御メニューの設定要求がエレベーター装置まで到達できずに制御メニューの設定変更及び設定解除ができなくなる。このため、運転休止や冠水退避運転が設定された状態の場合には、利用者端末から設定解除ができずにエレベーターが利用できない状況となるおそれがあった。
【0004】
ここで、例えば特許文献1には、センター装置とネットワークを介して接続された端末コントローラがセンター装置からの施解錠指示に基づいて電気錠の施解錠を制御する出入管理システムにおいて、ネットワークが通信不能になった場合には、端末側で解錠機能を有効化することができる技術が開示されている。特許文献1に開示された技術を従来のエレベーターシステムに利用すると、エレベーターシステムの構成装置における障害発生時に、エレベーター装置(例えば制御盤の通信許可制御回路)に対して、利用者端末とは別の保守員端末との通信を許可するように構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-250888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1の技術を利用して、障害発生時に保守員端末から制御盤に対する通信を許可するようにしたとしても、制御メニューの設定機能は利用者端末に提供されることが原則であるため、保守員端末からの操作による制御メニューの設定機能まで許可することは容易には想定できない。
【0007】
また、仮に、保守員端末からの操作によって制御メニューを設定可能にしたとしても、保守員端末から操作によって変更された実際の制御メニューと、障害復旧後に利用者端末から確認される制御メニューの設定内容(情報管理サーバに保持されている制御メニュー情報)との間には、齟齬が生じるため、利用者に対するサービス品質が低下してしまうという課題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、利用者の端末からエレベーター装置の制御メニューを設定可能なサービスを提供するエレベーターシステムにおいて、利用者端末とエレベーター装置との間を中継する構成装置において障害が発生した場合であっても、制御メニューの設定変更を可能にし、エレベーターが利用できない状況を回避することが可能なエレベーターシステム及び制御メニュー変更方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、かごの運行に関する制御メニューの設定を変更可能なエレベーター装置と、利用者端末による前記制御メニューの設定操作を中継する情報管理サーバと、前記情報管理サーバと前記エレベーター装置との間を接続し、前記情報管理サーバの装置状態及び通信状態を監視する監視端末と、前記監視端末に接続可能で、前記制御メニューの設定を変更する制御メニュー変更機能を有する保守員端末と、を備え、前記監視端末が前記情報管理サーバにおける装置状態または通信状態の障害を検出した場合に、前記監視端末に接続された前記保守員端末が自身の前記制御メニュー変更機能を有効化することを特徴とするエレベーターシステムが提供される。
【0010】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、エレベーター装置のかごの運行に関する制御メニューを利用者端末から設定可能なエレベーターシステムによる制御メニュー変更方法であって、前記エレベーターシステムは、前記利用者端末による前記制御メニューの設定操作を中継する情報管理サーバと、前記情報管理サーバと前記エレベーター装置との間を接続し、前記情報管理サーバの装置状態及び通信状態を監視する監視端末と、前記監視端末に接続可能で、前記制御メニューの設定を変更する制御メニュー変更機能を有する保守員端末と、を有し、前記監視端末が前記情報管理サーバにおける装置状態または通信状態の障害を検出した場合に、前記監視端末に接続された前記保守員端末が自身の前記制御メニュー変更機能を有効化することを特徴とする制御メニュー変更方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利用者端末とエレベーター装置との間を中継する構成装置において障害が発生した場合であっても、制御メニューの設定変更を可能にし、エレベーターが利用できない状況を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベーターシステム1の構成例を示す図である。
図2】制御メニュー設定データ74の構成例を示す図である。
図3】制御メニュー設定処理の処理手順例を示すシーケンス図(その1)である。
図4】制御メニュー設定処理の処理手順例を示すシーケンス図(その2)である。
図5】制御メニュー設定処理の処理手順例を示すシーケンス図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述する。
【0014】
なお、以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本発明が実施形態に制限されることは無く、本発明の思想に合致するあらゆる応用例が本発明の技術的範囲に含まれる。本発明は、当業者であれば本発明の範囲内で様々な追加や変更等を行うことができる。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
【0015】
以下の説明では、「テーブル」、「表」、「リスト」、「キュー」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。各情報の内容を説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0016】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号又は参照符号における共通番号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、その要素の参照符号を使用又は参照符号に代えてその要素に割り振られたIDを使用することがある。
【0017】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、少なくとも1以上のプロセッサ(例えばCPU)によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)及び/又はインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノード、ストレージシステム、ストレージ装置、サーバ、管理計算機、クライアント、又は、ホストであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体(例えばプロセッサ)は、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路を含んでもよい。例えば、プログラムを実行して行う処理の主体は、暗号化及び復号化、又は圧縮及び伸張を実行するハードウェア回路を含んでもよい。プロセッサは、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部として動作する。プロセッサを含む装置及びシステムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
【0018】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な非一時的な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサ(例えばCPU)と非一時的な記憶資源とを含み、記憶資源はさらに配布プログラムと配布対象であるプログラムとを記憶してよい。そして、プログラム配布サーバのプロセッサが配布プログラムを実行することで、プログラム配布サーバのプロセッサは配布対象のプログラムを他の計算機に配布してよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0019】
(1)システム構成
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベーターシステム1の構成例を示す図である。エレベーターシステム1は、通常時に利用者端末10からエレベーター装置70の制御メニューを設定可能なサービス(制御メニュー設定サービス)を提供するエレベーターシステムであって、保守員端末20、情報管理サーバ30、監視端末60、及びエレベーター装置70を備えて構成される。なお、本説明において「制御メニューを設定する」とは、所望する制御メニューを設定する(有効な状態にセットする)ことだけでなく、設定済みの制御メニューの設定内容を変更すること、あるいは、設定済みの制御メニューの設定を解除すること、が含まれる。
【0020】
本説明において、「利用者」は、エレベーターを管理する者を指し、具体的には例えば、エレベーター管理者や建屋管理者等である。また、「保守員」は、エレベーターの保守または点検等を行う作業者を指す。
【0021】
利用者端末10は、利用者によって操作される、通信機能を有する情報端末であって、例えば、携帯電話やタブレット等である。利用者端末10は、ネットワークを介して情報管理サーバ30に接続され、制御部12が特定のアプリケーションを起動することによって、利用者が制御メニュー設定サービスを利用可能となる。利用者端末10は、外部との通信を行う通信部11と、自端末を全体的に制御する制御部12と、制御部12の制御に従って情報(表示データ)を表示する表示部13と、を備える。
【0022】
保守員端末20は、保守員によって操作される、通信機能を有する情報端末であって、例えば、携帯電話やタブレット等である。保守員端末20は、エレベーターシステム1において障害が発生した場合に、エレベーター装置70と通信不能となった利用者端末10に代えて、監視端末60に接続され、制御部22が特定のアプリケーションを起動する等によって、保守員が制御メニュー設定サービスを利用可能となる。なお、本説明でいう「障害」は、利用者端末10とエレベーター装置70との通信を中継する構成装置(情報管理サーバ30)における健全性の障害を意味し、具体的には、情報管理サーバ30(Webサーバ40,センターサーバ50)における装置異常の装置異常、または情報管理サーバ30の内外における通信異常(詳細には、Webサーバ40とセンターサーバ50との間の通信異常と、センターサーバ50と監視端末60との間の通信異常)の少なくとも何れかを含む。保守員端末20は、外部との通信を行う通信部21と、自端末を全体的に制御する制御部22と、制御部22の制御に従って情報(表示データ)を表示する表示部23と、処理において所定の判定を行う判定部24と、を備える。
【0023】
情報管理サーバ30は、利用者端末10と監視端末60との間の通信を中継するサーバであって、Webサーバ40及びセンターサーバ50から構成される。なお、図1では、Webサーバ40及びセンターサーバ50が独立した装置(サーバ)であるかのように示されているが、本実施形態における情報管理サーバ30の構成はこれに限定されるものではなく、例えばセンターサーバ50がWebサーバ40の機能(利用者端末10と送受信する機能)を併せ持つようにして情報管理サーバ30が構成される等であってもよい。
【0024】
Webサーバ40は、主に利用者端末10との通信(操作データの受信、表示データの送信等)を担当するサーバであって、通信部41及び制御部42を有する。
【0025】
センターサーバ50は、主に監視端末60との通信を中継するサーバであって、通信部51、制御部52、及び情報DB53を有する。情報DB53には、制御メニュー設定データ54が格納される。
【0026】
制御メニュー設定データ54は、エレベーター装置70における制御メニューの設定内容を利用者に提供するために用いられるデータであって、エレベーター装置70で管理される制御メニュー設定データ74の設定内容が反映される。制御メニュー設定データ54のデータ構成は、少なくとも、制御メニュー設定データ74のデータ内容(図2を参照)を格納できるように構成されることが好ましい。また、エレベーター装置70の制御メニュー(制御メニュー設定データ74)が変更された場合に、利用者端末10にその変更点が分かるように通知したい場合には、制御メニュー設定データ54は、さらに、制御メニュー設定データ74における設定変更の履歴を示す情報を保持する構成であることが好ましい。
【0027】
監視端末60は、エレベーター装置70の動作を監視するとともに、情報管理サーバ30の装置状態及び通信状態を監視する計算機である。監視端末60は、エレベーター装置70と情報管理サーバ30との間に通信可能に接続されることにより、利用者(利用者端末10)から情報管理サーバ30に送られた指令を最終的にエレベーター装置70に反映する。また、監視端末60は、障害時には保守員端末20が接続されることにより、保守員(保守員端末20)からの指令をエレベーター装置70に反映する。
【0028】
監視端末60は、外部との通信を行う通信部61と、自端末を全体的に制御する制御部62と、制御部62の制御に従って各種の判定処理を実行する判定部63と、制御部62による処理において用いられるデータ等を管理する管理部64と、を備える。管理部64が管理するデータの一例として、障害フラグ及び制御メニュー変更フラグが挙げられる。詳細は後述するが、障害フラグは、健全性確認に関する障害の有無を示すフラグであり、制御メニュー変更フラグは、保守員端末20からの操作に基づくエレベーター装置70の制御メニュー(制御メニュー設定データ74)の設定変更の有無を示すフラグである。なお、管理部64は、制御部62の一部として実装されてもよく、その場合、制御部62が、上記した障害フラグ及び制御メニュー変更フラグ等を直接管理すればよい。
【0029】
エレベーター装置70は、一般的なエレベーター装置であって、外部との通信を行う通信部71と、かごの運行を制御する運行制御部72と、エレベーター装置70(主にかご)の制御メニューを管理する制御メニュー管理部73と、上記制御メニューが設定される制御メニュー設定データ74とを備える。通信部71、運行制御部72、制御メニュー管理部73、及び制御メニュー設定データ74は、例えばエレベーター装置70の制御盤に実装される。なお、図1のエレベーター装置70には、本発明との関連性が高い内部構成が示されており、その他の内部構成(例えばかご等)の存在を否定するものではない。
【0030】
図2は、制御メニュー設定データ74の構成例を示す図である。図2に示したように、制御メニュー設定データ74は、制御メニュー設定サービスで設定可能な1以上の制御メニューについて、各制御メニューの設定状態を紐付けて管理する。
【0031】
制御メニューの設定状態として、具体的には例えば、設定直後から制御メニューを有効にする「即時設定」、指定した期間(スケジュール)で制御メニューを有効にする「スケジュール設定」、「即時設定」または「スケジュール設定」とされていた制御メニューを無効にする「解除」、上記の何れの設定状態も指定されていない「未設定」、等が想定される(図2の「状態」欄参照)。また、制御メニュー設定データ74は、設定状態が「スケジュール設定」とされた制御メニューについては、スケジュールの具体的な内容も保持するようにしてよい(図2の「スケジュール」欄参照)。
【0032】
なお、図2の制御メニュー設定データ74では、「No.2」の制御メニュー「冠水退避(最上階で休止)」と「No.3」の制御メニュー「冠水退避(最上階を基準階に変更)」とが、グレーアウトで表示されているが、これらの制御メニューは、現在接続中のエレベーター装置70にとって非対応の機能であることを意味する。エレベーターシステム1は、このような各メニューの対応/非対応に関する情報についても、エレベーター装置70(制御メニュー設定データ74)とセンターサーバ50(制御メニュー設定データ54)の双方で保持する。
【0033】
以上のように、制御メニュー設定データ74は、制御メニューごとの設定内容を保持しており、制御メニュー管理部73によって管理される。そして運行制御部72は、制御メニュー設定データ74の設定内容に従って、エレベーター装置70(例えばかご)の運行を制御する。また、利用者端末10または保守員端末20から送信された制御メニュー変更指令を監視端末60を介して通信部71が受領した場合には、当該制御メニュー変更指令に応じて制御メニュー管理部73が制御メニュー設定データ74を更新することにより、エレベーター装置70における制御メニューの設定が更新される。
【0034】
また、エレベーター装置70における制御メニュー設定データ74の設定内容は、監視端末60を経由してセンターサーバ50に転送され、制御メニュー設定データ54に反映される。障害発生時に保守員端末20からの制御メニュー変更指令に基づいてエレベーター装置70の制御メニューの設定が変更された場合は、障害の復旧後に、制御メニュー設定データ74の変更内容が制御メニュー設定データ54に反映される。
【0035】
また、図2の表示例は、制御メニュー設定サービスによって利用者端末10に表示される、エレベーター装置70のメニュー制御の設定内容の表示画面例とみなすこともできる。この場合、制御メニュー設定データ74ではなく、制御メニュー設定データ54に応じた内容が表示される。そして例えば、「No.2」や「No.3」の制御メニューが、他の制御メニューとは異なる態様(他の項目との識別が可能な態様であればよく、網掛けでもグレーアウト等でもよい)で表示されることにより、これらの制御メニューが現在接続中のエレベーター装置70では非対応の機能であることが利用者に通知される。
【0036】
以上、本実施形態に係るエレベーターシステム1の構成について説明した。なお、上述した各構成要素における「制御部」、「管理部」、及び「判定部」は、例えば、プロセッサがプログラムをメモリに読み出して実行することにより、所定の機能を提供する。これら「制御部」等は、ソフトウェアに限定されるものではなく、一部またはすべてがFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路で実現されてもよい。また、各構成要素における「通信部」は、通信I/Fである。「表示部」は、例えばディスプレイ等の表示装置であるが、外部記憶媒体にデータを記録する出力装置等であってもよい。
【0037】
(2)制御メニュー設定処理
利用者端末10または保守員端末20の操作に応じて、エレベーターシステム1がエレベーター装置70の制御メニューを設定する制御メニュー設定処理について、図3図5を参照しながら、その処理手順を詳しく説明する。なお、以下では、設定済みの制御メニューに対してその設定を「変更」する際の処理を中心に説明するが、制御メニューに対する設定全般(すなわち、制御メニューに対する新規の設定や設定済みの制御メニューに対する解除等を含む)について、同様の処理が行われると考えてよい。
【0038】
図3図5は、制御メニュー設定処理の処理手順例を示すシーケンス図(その1~その3)である。なお、図3図5において、括弧付きで記載された利用者端末10または保守員端末20の処理は、利用者または保守員による処理を意味する。
【0039】
図3によれば、まず、監視端末60が、センターサーバ50からの指令(制御メニュー変更指令)の受信を待ち合わせる(ステップS1)。次いで、例えば定期的に、監視端末60の判定部63が、センターサーバ50からの指令を受信したか否かを判定する(ステップS2)。
【0040】
制御メニュー変更指令に関して、図3のステップS101~S104の処理を説明する。ネットワークを介してWebサーバ40と通信可能に接続されて制御メニュー設定サービスが提供されている利用者端末10において、利用者からエレベーター装置70の制御メニューを変更する操作が行われると(ステップS101)、利用者端末10がWebサーバ40に対して、変更操作に応じた指令信号を送信する(ステップS102)。
【0041】
Webサーバ40は、ステップS102で送信された指令信号を受信すると、これをセンターサーバ50に転送する(ステップS103)。そしてセンターサーバ50は、監視端末60に対して、制御メニュー変更指令を発行する(ステップS104)。制御メニュー変更指令には、変更対象の制御メニューを示す情報と、変更内容を示す情報とが少なくとも含まれる。
【0042】
そして、ステップS104で発行された制御メニュー変更指令を監視端末60の通信部61が受信した場合に、ステップS2において判定部63は、指令の受信が確認できたと判定し(ステップS2のあり)、ステップS105に進む。
【0043】
ステップS105では、監視端末60の制御部62は、受信した制御メニュー変更指令に基づいて、エレベーター装置70に対してメニュー制御の変更指令を発行する。ステップS105において制御部62は、センターサーバ50から受信した制御メニュー変更指令を転送するとしてもよい。
【0044】
エレベーター装置70では、通信部71が変更指令を受信すると、制御メニュー管理部73(運行制御部72でもよい)が、指令内容に従って制御メニュー設定データ74を更新し(ステップS106)、更新の完了後、変更指令への確認応答を監視端末60に返す(ステップS107)。
【0045】
ステップS107の確認応答を受信した監視端末60は、センターサーバ50に確認応答を転送し(ステップS108)、その後はステップS1に戻る。
【0046】
センターサーバ50は、監視端末60から変更指令の確認応答を受信すると、制御部52が、情報DB53に格納されている制御メニュー設定データ54を更新する(ステップS109)。ステップS109では、ステップS106においてエレベーター装置70で実施された制御メニュー変更の内容(すなわち、制御メニュー設定データ74の更新内容)が、制御メニュー設定データ54に反映される。具体的な反映方法としては、例えば、センターサーバ50の制御部52が、ステップS104で制御メニュー変更指令を発行する際に、制御メニューの変更内容を内部的に保持しておき、監視端末60から制御メニュー変更指令の確認応答を受信した場合に、保持しておいた変更内容で制御メニュー設定データ74を更新すればよい。
【0047】
ステップS109で制御メニュー設定データ54を更新した後、センターサーバ50は、Webサーバ40を介して利用者端末10に、ステップS103で受信した指令信号に対する結果を通知する結果信号を送信する(ステップS110,S111)。
【0048】
そして結果信号を受信した利用者端末10では、制御部12が実行する制御メニュー設定サービスのアプリケーションによって、表示部13がエレベーター装置70における制御メニュー変更操作の結果を表示し(ステップS112)、利用者端末10からの制御メニューの変更操作が終了する。なお、ステップS112において制御メニュー変更操作の結果表示を行うためには、センターサーバ50が、ステップS110~S111の結果信号の送付の際に、制御メニュー設定データ54の内容を利用者端末10に送付するようにしてもよいし、センターサーバ50側で図2に例示したような結果表示画面を作成して、作成した画面を表示するための情報を利用者端末10に送付するようにしてもよい。
【0049】
一方、ステップS101において利用者端末10で制御メニュー変更操作が行われなかった場合は、監視端末60の通信部61が制御メニュー変更指令を受信しないため、上述したステップS2において、判定部63は、指令の受信が確認できなかったと判定し(ステップS2のなし)、ステップS3に進む。
【0050】
ステップS3では、監視端末60の制御部62が、利用者端末10とエレベーター装置70との通信を中継する情報管理サーバ30における健全性を確認する。この健全性の確認では、具体的には、情報管理サーバ30における装置異常の有無(すなわち、Webサーバ40及びセンターサーバ50それぞれにおける装置異常の有無)、及び、監視端末60から情報管理サーバ30までの間の通信異常の有無(すなわち、監視端末60とセンターサーバ50の間の通信経路における通信異常の有無、センターサーバ50とWebサーバ40の間の通信経路における通信異常の有無)が確認される。健全性の確認では、監視端末60とセンターサーバ50との間、さらにセンターサーバ50とWebサーバ40との間でそれぞれ、確認信号及びその応答信号の送受信が行われる(ステップS4,S5)。
【0051】
次に、判定部63が、ステップS3~S5で行われた健全性確認の処理結果に基づいて、障害の有無を判定する(ステップS6)。具体的には例えば、Webサーバ40またはセンターサーバ50において装置異常が発生した場合には、当該装置からの応答信号で異常が通知されるか、応答信号が送信されずにタイムアウトとなる。また例えば、Webサーバ40,センターサーバ50,監視端末60の間の何れかの通信区間において通信異常が発生した場合には、当該通信区間を経路とする応答信号が返らずにタイムアウトとなる。このような異常発生時の各ケースと照合することにより、判定部63は、障害の有無を判定することができ、障害発生時には障害の発生箇所まで特定することができる。
【0052】
ステップS6において障害が発生していないと判定した場合(ステップS6のなし)、監視端末60は、ステップS1に戻る。
【0053】
一方、ステップS6において障害が発生していると判定した場合(ステップS6のあり)、監視端末60の制御部62が、管理部64が管理する障害フラグを「ON」にする(ステップS7)。障害フラグは、健全性に関する障害が発生しているときに「ON」にされるフラグであって、上記障害が発生していない状況では「OFF」にされる。
【0054】
次に、監視端末60の制御部62は、情報管理サーバ30(Webサーバ40またはセンターサーバ50)における障害の復旧を確認する(ステップS8)。ステップS8のける障害の復旧確認の方法は、ステップS3における健全性確認と同様と考えてよく、監視端末60とセンターサーバ50との間、さらにセンターサーバ50とWebサーバ40との間でそれぞれ、確認信号及びその応答信号の送受信が行われる(ステップS9,S10)。
【0055】
次に、判定部63が、ステップS8~S10で行われた障害の復旧確認の処理結果に基づいて、障害が復旧したか否かを判定する(ステップS11)。障害の復旧を判定する具体的な方法は、ステップS6における障害の有無の判定と同様でよいため、説明を省略する。ステップS11において障害が復旧したと判定した場合(ステップS11の復旧)、監視端末60は図5に示すステップS301に進む。図5に示す処理は後述する。一方、ステップS11において障害が復旧していないと判定した場合(ステップS11の未復旧)、監視端末60はステップS204に進む。
【0056】
監視端末60がステップS204に進むケースは、情報管理サーバ30で障害が続いている(復旧できていない)状況であり、このような状況では、利用者端末10は情報管理サーバ30を経由して監視端末60及びエレベーター装置70と通信することができない。この結果、ステップS101のように利用者端末10から制御メニューの変更操作を行ったとしても、エレベーター装置70のメニュー制御を変更することができずに、タイムアウトや通信不良により、利用者端末10において制御メニュー変更操作は失敗となる(ステップS201)。エレベーターシステム1は、ステップS201のような状況になってもエレベーター装置70のメニュー制御を変更できるようにするために、保守員が操作する保守員端末20が監視端末60に接続できるように構成される。
【0057】
具体的には、ステップS201の後、利用者がエレベーター装置70の保守サービスを提供する企業等にクレーム連絡を行うと(ステップS202)、保守サービス提供側から指示を受けた保守員が出動する(ステップS203)。そして保守員は、エレベーター装置70が設置されている現場に到着すると、保守員端末20を監視端末60に接続する(ステップS205)。監視端末60に接続された保守員端末20では、制御部22によって保守員向けの制御メニュー設定サービスのアプリケーションが実行される。なお、監視端末60に対する保守員端末20の接続方法は特に限定されず、通信経路となるネットワークは有線でも無線でもよい。
【0058】
ステップS204では、監視端末60は、保守員端末20の接続を待ち、例えば定期的に、判定部63が、保守員端末20の監視端末60への接続検知を判定する(ステップS206)。このステップS206よりも前に、前述したステップS205の処理(保守員端末20の監視端末60への接続)が行われていれば、判定部63は保守員端末20の接続を検知し(ステップS206の接続)、図4に示す処理に進む。一方、ステップS206よりも前に、ステップS205の処理が行われていなければ、判定部63は保守員端末20の接続検知ができず(ステップS206の未接続)、監視端末60は障害フラグをONにしたままステップS8に戻る。
【0059】
図4ではまず、ステップS205で監視端末60に接続された保守員端末20が、監視端末60に対して障害フラグの読み出しを実施し(ステップS207)、監視端末60は障害フラグがONであることを保守員端末20に回答する(ステップS208)。
【0060】
次に、保守員端末20では、判定部24が、ステップS207~S208の処理で取得した障害フラグを確認する(ステップS209)。障害フラグがONである場合(ステップS209のON)、制御部22が、保守員端末20の内部に用意された制御メニュー変更機能を有効化する(ステップS210)。保守員端末20の内部の制御メニュー変更機能は、例えば、前述した保守員向けの制御メニュー設定サービスのアプリケーションが提供する機能の1つと考えてよく、制御部22によって有効化されるまでは当該機能は無効化されている。したがって、ステップS209で障害フラグがOFFである場合は、保守員端末20の内部の制御メニュー変更機能は使用することができず、ステップS210以降の処理は行われない。
【0061】
ステップS210で制御メニュー変更機能を有効化した後、保守員端末20は、監視端末60に対して状態読み出しを実施する(ステップS211)。状態読み出しとは、エレベーター装置70における制御メニューの設定状態を読み出すことであり、保守員端末20から要求を受けた監視端末60は、エレベーター装置70に対して状態読み出しを実施する(ステップS212)。監視端末60からの要求に対して、エレベーター装置70は、例えば制御メニュー管理部73が制御メニュー設定データ74を参照することにより、制御メニューの設定状態を取得し、これを監視端末60に回答する(ステップS213)。そして監視端末60は、エレベーター装置70から受け取った制御メニューの設定状態を示す情報を、保守員端末20に回答する(ステップS214)。
【0062】
次に、保守員端末20では、表示部23が、ステップS214で受け取った制御メニューの設定状態を所定の表示画面(制御メニュー変更機能が提供する表示画面)に表示する(ステップS215)。この表示画面を見て保守員は、エレベーター装置70において設定の変更が必要な制御メニューを検討し、保守員端末20において制御メニューの変更操作を実施する(ステップS216)。ステップS216において保守員端末20は、制御メニューの変更操作に応じた指令信号を監視端末60に向けて送信する。
【0063】
次に、監視端末60では、通信部61が保守員端末20から送信された指令信号を受信し、制御部62が指令信号に応じた制御メニュー変更指令を、エレベーター装置70に発行する(ステップS217)。
【0064】
そしてエレベーター装置70では、通信部71が制御メニュー変更指令を受信すると、制御メニュー管理部73(運行制御部72でもよい)が、指令内容に従って制御メニュー設定データ74を更新し(ステップS218)、更新の完了後、変更指令への確認応答を監視端末60に返す(ステップS219)。
【0065】
次に、ステップS219の確認応答を受信した監視端末60では、制御部62が、管理部64が管理する制御メニュー変更フラグを「ON」にする(ステップS220)。制御メニュー変更フラグは、保守員端末20からの操作に基づいてエレベーター装置70の制御メニュー(制御メニュー設定データ74)の設定が変更された場合に「ON」にされるフラグであって、それ以外の状況では、利用者端末10からの制御メニューの設定が変更された場合でも、初期値の「OFF」にされる。
【0066】
ステップS220の後、監視端末60の制御部62は、ステップS216で指示された制御メニューの変更操作が完了したことを保守員端末20に通知する(ステップS221)。この通知を受信した保守員端末20では、表示部23が、制御メニュー変更機能が提供する表示画面に、制御メニューの設定の変更が完了したことを表示する(ステップS222)。この表示画面を見た後、保守員は保守員端末20を取り外し(監視端末60への保守員端末20の接続を解除し)(ステップS223)、保守員の作業を終了する。
【0067】
一方、ステップS221で制御メニューの変更操作の完了を保守員端末20に通知した後、監視端末60は、前述したステップS8に戻り、障害(情報管理サーバ30の構成異常または通信異常)が復旧したか確認する。
【0068】
障害が復旧するまで、監視端末60は、ステップS8~S11,S204,S205の処理を繰り返す。その後、障害が復旧すると、判定部63がステップS11の復旧判定において復旧したと判定し、ステップS301に進む。
【0069】
ステップS301では、監視端末60の制御部62が障害フラグを「OFF」にする。次に、判定部63が制御メニュー変更フラグの値を確認し(ステップS302)、制御メニュー変更フラグが「ON」の場合は(ステップS302のON)、ステップS303に進む。一方、制御メニュー変更フラグが「ON」ではない場合は(ステップS302のOFF)、特段の処理を行わずにステップS1に戻り、センターサーバ50からの制御メニュー変更指令を待機する。
【0070】
ステップS303において、監視端末60の制御部62は、センターサーバ50に制御メニューの変更を通知し、その後、制御メニュー変更フラグを「OFF」にし(ステップS304)、ステップS1に戻る。
【0071】
一方、監視端末60からの制御メニュー変更の通知を受信したセンターサーバ50では、制御部52が、通知が示す制御メニューの変更内容によって、情報DB53に格納されている制御メニュー設定データ54を更新する(ステップS305)。ステップS305の処理が行われることによって、ステップS218においてエレベーター装置70で実施された制御メニュー変更の内容(すなわち、制御メニュー設定データ74の更新内容)が、制御メニュー設定データ54に反映される。
【0072】
ステップS305で制御メニュー設定データ54を更新した後、センターサーバ50は、Webサーバ40を介して利用者端末10に、監視端末60から受信した制御メニュー変更の通知を送信する(ステップS306,S307)。
【0073】
そして制御メニュー変更の通知を受信した利用者端末10では、制御部12が実行する制御メニュー設定サービスのアプリケーションによって、表示部13がエレベーター装置70における制御メニューの変更内容を表示し(ステップS308)、制御メニュー設定処理を終了する。
【0074】
以上に説明したように、図3図5に示した制御メニュー設定処理が実行されることにより、エレベーターシステム1は、利用者端末10と監視端末60との間を中継する情報管理サーバ30(Webサーバ40,センターサーバ50)において装置異常または通信異常による障害が発生して利用者端末10からエレベーター装置70の制御メニューの設定変更ができなくなった場合でも、監視端末60に接続した保守員端末20から制御メニューの設定変更を可能として、エレベーター装置が利用できない状況を回避することができる。
【0075】
また、制御メニュー設定処理において、上記障害が発生していないか復旧後の状況(すなわち、障害フラグがOFFの状況)では、図4のステップS210~S222の処理に移行しないため、保守員端末20の操作によって制御メニューの設定を変更することはできず、非障害時における制御メニューの設定機能の提供先を利用者に限定することができる。
【0076】
さらに、エレベーターシステム1は、制御メニュー設定処理において、保守員端末20からの操作に基づくメニュー制御の設定変更の内容を、利用者端末10への情報提供向けにセンターサーバ50が保有する制御メニュー設定データ54にも反映することにより、エレベーターシステム1の各装置が保持する情報(制御メニューの設定内容)に齟齬が生じないようにすることができる。その結果、エレベーターシステム1によれば、制御メニュー設定サービスの利用者に対するサービス品質の低下を回避して、利用者が制御メニューの設定変更を正確に把握することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 エレベーターシステム
10 利用者端末
11,21,41,51,61,71 通信部
12,22,42,52,62 制御部
13,23 表示部
20 保守員端末
24,63 判定部
30 情報管理サーバ
40 Webサーバ
50 センターサーバ
53 情報DB
54,74 制御メニュー設定データ
60 監視端末
64 管理部
70 エレベーター装置
72 運行制御部
73 制御メニュー管理部
図1
図2
図3
図4
図5