IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-障子の操作部構造および障子 図1
  • 特開-障子の操作部構造および障子 図2
  • 特開-障子の操作部構造および障子 図3
  • 特開-障子の操作部構造および障子 図4
  • 特開-障子の操作部構造および障子 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124221
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】障子の操作部構造および障子
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/06 20060101AFI20240905BHJP
   E06B 3/38 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E05B1/06 103
E06B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032229
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊野 亘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小石 恵
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014EA06
2E014EB01
2E014EB08
(57)【要約】
【課題】開閉操作を容易に行い得る障子の操作部構造および障子を提供すること。
【解決手段】操作部構造10は、Z軸方向に回動開閉される内障子50を操作する構造であって、内障子50は、内框体55と、内框体55内に配置される面材56とを備える。内框体55は、開閉操作される内側下框52(戸先框)を有する。内側下框52には、面材56よりも第1空間側(一方側)の位置でX軸方向に沿って配置される第一操作部62と、面材56よりも第2空間側(他方側)の位置でX軸方向に沿って配置される第二操作部63とが構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見込み方向に回動開閉される障子の操作部構造であって、
前記障子は、框体と、前記框体内に配置される面材とを備え、
前記框体は、開閉操作される戸先框を有し、
前記戸先框には、前記面材よりも一方側の位置で当該戸先框の長手方向に沿って配置される第一操作部と、前記面材よりも他方側の位置で当該戸先框の長手方向に沿って配置される第二操作部とが構成される
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の障子の操作部構造において、
前記戸先框は、前記第一操作部および前記第二操作部が一体に形成される押出形材で構成される
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項3】
請求項1に記載の障子の操作部構造において、
前記第一操作部および前記第二操作部は、前記面材に対して見込み方向に間隔を隔てた位置で前記戸先框の内周見込み面から内周側に突出して形成される突出部を有する
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項4】
請求項3に記載の障子の操作部構造において、
前記戸先框は、見付け面部を有し、
前記突出部は、前記見付け面部と共同して前記戸先框の見付け面を構成する
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項5】
請求項3に記載の障子の操作部構造において、
前記突出部の長手方向に沿った縁部は、前記面材側に膨出する
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項6】
請求項3に記載の障子の操作部構造において、
前記戸先框は、前記面材を保持する一対の保持片部を有し、
前記一対の保持片部は、前記第一操作部の前記突出部と前記第二操作部の前記突出部との間において前記戸先框の内周見込み面から内周側に突出して形成される
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項7】
請求項6に記載の障子の操作部構造において、
前記第一操作部の前記突出部、前記第二操作部の前記突出部および前記一対の保持片部のそれぞれの前記戸先框の長手方向に沿った縁部の位置は、見込み方向に揃えられる
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項8】
請求項7に記載の障子の操作部構造において、
前記戸先框は、その長手方向に沿った中空部を形成し且つ前記内周見込み面を有する中空形成部を有し、
前記中空形成部には、前記中空部に位置するビスホールが形成され、
前記内周見込み面のうち前記一対の保持片部の間の部分には、凹溝が外周側に凹んで形成される
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項9】
請求項1に記載の障子の操作部構造において、
前記戸先框は、その見込み方向における中央位置で前記面材を保持する構成とされる
ことを特徴とする障子の操作部構造。
【請求項10】
上段に回動開閉可能な開閉窓が構成され且つ下段に他の窓が構成される障子であって、
前記開閉窓は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の障子の操作部構造を有する
ことを特徴とする障子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に対して見込み方向における一方側に突き出されることで開放状態とされる障子の操作部構造および障子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空間を区画する仕切壁に配置される室内窓ユニットが知られている(特許文献1参照)。室内窓ユニットでは、最上段に開閉窓が配置されており、最上段よりも下段にFIX窓(固定窓)が配置されている。開閉窓は、開閉枠体と、開閉枠体内に配置された開閉障子と、開閉障子の開口角度を任意角度で保持するフリクションステーとを備えている。開閉障子は、開閉框体と、開閉ガラスと、開閉把持部と、開閉枠体と開閉障子の上端部とを連結すると共に開閉障子の回転軸を構成する回転連結部とを備えている。回転連結部は、開閉障子を開閉枠体に対して回転可能に開閉枠体の縦枠と開閉障子の上端部とを接続しており、このため、開閉障子が回転操作されて開いた開放状態では、当該開閉障子は、その下端部が開閉枠体に対して見込み方向における開放側に突き出されて配置される。また、開閉把持部は、開閉障子を開放・閉鎖する際に使用者に把持されるものであり、開閉框体の開閉下框に装着され且つ開閉下框に対して閉鎖側の位置のみに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-044435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の室内窓ユニットにおける開閉窓では、開閉下框に対して閉鎖側の位置のみに開閉框体が設けられているので、例えば開閉把持部を把持して開閉障子を開放操作する際には、開閉把持部を開閉枠体から開放側に押し出さなければならず、特に前述した室内窓ユニットのように、開閉窓が最上段という高い位置に配置されている場合に開閉把持部を把持しにくくなって開閉障子の開放操作を行い難くなるおそれがある。
また、例えば開閉把持部を把持して開閉障子を閉鎖操作する際には、開閉枠体のある閉鎖側から開閉把持部を把持して引っ張らなければならず、特に前述した室内窓ユニットのように、開閉窓が最上段という高い位置に配置されている場合に開閉把持部を把持しにくくなって開閉障子の開放操作を行い難くなるおそれがある。
このように、特許文献1に記載の室内窓ユニットにおいては、当該室内窓ユニット開閉窓を容易に開閉することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、開閉操作を容易に行い得る障子の操作部構造および障子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の障子の操作部構造は、見込み方向に回動開閉される障子の操作部構造であって、前記障子は、框体と、前記框体内に配置される面材とを備え、前記框体は、開閉操作される戸先框を有し、前記戸先框には、前記面材よりも一方側の位置で当該戸先框の長手方向に沿って配置される第一操作部と、前記面材よりも他方側の位置で当該戸先框の長手方向に沿って配置される第二操作部とが構成されることを特徴とする。
本発明の障子は、上段に回動開閉可能な開閉窓が構成され且つ下段に他の窓が構成される障子であって、前記開閉窓は、前述した本発明の障子の操作部構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開閉操作を容易に行い得る障子の操作部構造および障子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る障子を示す外観姿図。
図2】前記実施形態に係る障子を示す縦断面図。
図3】前記実施形態に係る障子を示す横断面図。
図4】前記実施形態に係る障子の操作部構造を示す縦断面図。
図5】前記実施形態に係る障子の開放状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3において、本発明の実施形態に係る障子4を左右に一対有する障子ユニット3は、建物の室内空間を一方側の第1空間と他方側の第2空間とに仕切る室内壁部(壁部)に設置される室内窓1(建具)に備えられるものである。室内窓1は、壁開口部F1の上面F2に固定される上枠2と、上枠2に連結されると共に壁開口部F1の下面F3に固定される前述した障子ユニット3とを備えている。障子ユニット3は、前述した一対の障子4が左右に連結されてなる。一対の障子4は、上段に位置する開閉窓としての横すべり出し窓40と、下段に位置するFIX窓70(固定窓、嵌め殺し窓)とをそれぞれ備えている。
以下の説明において、障子ユニット3の左右方向をX軸方向とし、障子ユニット3の上下方向をY軸方向とし、障子ユニット3の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
上枠2のX軸方向の長さは、上面F2のX軸方向の長さよりも短い。図2に示すように、上枠2は、上面F2にねじ止めされる長方形板状の上枠本体21と、上枠本体21のX軸方向に沿った両側縁から下方に延びる上枠対向部22とを備えて断面略コ字状に形成されている。
上枠本体21には、連結部材23が固定されている。連結部材23は、上枠本体21にねじ止めされる四角板状の連結部材本体231と、連結部材本体231の第1空間側の端縁から下方に延びる連結垂下片232とを備えている。連結垂下片232の下端側の部位には、障子4を上枠2に固定するための上框固定ねじ24が螺合される雌ねじ部232Aが設けられている。
【0011】
図2および図3に示すように、障子4は、アルミ製押出形材で形成される外側上框31、外側下框32、左右の外側縦框33および中桟34を框組みして構成される外框体35と、外側下框32、左右の外側縦框33の下部および中桟34で区画される下側の面内に配置されるガラスパネル等で四角板状に形成される面材36とを備えており、外側上框31、外側下框32、左右の外側縦框33の下部、中桟34および面材36によって前述したFIX窓70を構成しており、外側上框31、左右の外側縦框33の上部および中桟34で区画される面内に前述した横すべり出し窓40が設置されている。
また、一対の障子4のうちX軸方向に互いに隣接する外側縦框33同士は、図3に示すように、互いにねじ止めされることで連結される連結框として構成されており、これらの連結框における第1空間側および第2空間側の部分にはカバー部材331が装着されている。
【0012】
外側上框31、左右の外側縦框33の上部および中桟34の内周見込み面には、横すべり出し窓40のアルミ製押出形材で形成される上枠41、左右の縦枠42および下枠43を枠組みしてなる窓枠45(枠体)が係合している。
窓枠45内には、横すべり出し窓40における障子を構成する内障子50が配置されている。内障子50は、アルミ製押出形材で形成される内側上框51、内側下框52、左右の内側縦框53(それぞれ横すべり出し窓40における上框、下框および左右の縦框に相当する)を有する内框体55(横すべり出し窓40における框体に相当する)と、内框体55内に配置されるガラスパネル等で四角板状に形成される面材56とを框組みして構成されており、左右の内側縦框53がフリクションステー57を介して左右の縦枠42に対して任意角度で保持可能であってすべり出し式に回動可能に構成されている。本実施形態では、内障子50はその上部よりも下部が第2空間側にすべり出し可能に窓枠45に連結されている。
【0013】
内側上框51、内側下框52および左右の内側縦框53は、中空枠状にそれぞれ形成されており、面材56を保持する保持溝58が内周側に開口してそれぞれ形成されている。内側上框51および内側下框52の中空部510,520には、X軸方向に沿ったビスホール59(図4参照)が配置されており、これらのビスホール59にネジ60が螺合することで、内側上框51および内側下框52に左右の内側縦框53が縦勝ちに連結されている。
【0014】
内側下框52は、横すべり出し窓40における戸先框を構成しており、図4に示すように、中空形成部61と、面材56よりも第1空間側(一方側)の位置でX軸方向に沿って配置される第一操作部62と、面材56よりも第2空間側(他方側)の位置でX軸方向に沿って配置される第二操作部63と、面材56を保持する一対の保持片部64とを一体に有している。
【0015】
中空形成部61は、第1空間側の見付け面部521、第2空間側の見付け面部522、内周見込み面部523および外周見込み面部524によって断面略矩形状に構成されており、その内部にX軸方向に沿った前述した中空部520を形成して内側下框52の強度を高めている。内周見込み面部523には、中空部520に配置される前述したビスホール59が面材56の見込み位置に対して第1空間側の位置および第2空間側の位置に形成されている。
【0016】
第一操作部62は、面材56に対してZ軸方向に間隔を隔てた位置で内周見込み面部523の面材56側の内周見込み面から上方側(内周側)に突出して形成される突出部621を有しており、この突出部621は、第1空間側の見付け面部521と共同して内側下框52の第1空間側の見付け面を面一に構成している。突出部621のX軸方向に沿った縁部621A(先端縁部)は断面略円形状に形成されて面材56側に膨出している。
第二操作部63は、面材56に対してZ軸方向に間隔を隔てた位置で内周見込み面部523の面材側の内周見込み面から上方側(内周側)に突出して形成される突出部631を有しており、この突出部631は、第2空間側の見付け面部522と共同して内側下框52の第2空間側の見付け面を面一に構成している。突出部631のX軸方向に沿った縁部631A(先端縁部)は断面略円形状に形成されて面材56側に膨出している。
【0017】
一対の保持片部64は、突出部621,631間において内側下框52の内周見込み面から上方側(内周側)に突出して形成されている。この一対の保持片部64は、内側下框52においてZ軸方向における中央位置で互いにZ軸方向に対向しており、面材56を保持する保持溝58を構成している。このため、保持溝58に保持される面材56は、内側下框52に対してZ軸方向における中央位置に配置されることとなる。また、内側下框52の内周見込み面のうち一対の保持片部64の間に位置する部分には、外周側に凹んだ凹溝581が保持溝58の一部として形成されており、凹溝581にはセッティングブロック582が配置されている。一対の保持片部64のX軸方向に沿った縁部64A(先端縁部)の高さ位置は、突出部621,631の縁部621A,631Aの高さ位置と同一高さ位置となるようZ軸方向に揃えられている。なお、一対の保持片部64と面材56との間にはガスケット583が配設されている。
【0018】
前述した障子ユニット3は、左右一対の障子4を備えるので、各障子4における横すべり出し窓40同士と、FIX窓70同士とが左右に並設される構成となる。この障子ユニと3においては、下段の位置に構成されるFIX窓70に対して上段の位置に構成される横すべり出し窓40の内側下框52における上部に対して、第一操作部62および第二操作部63による内障子50の操作部構造10が構成されているので、操作者が上段の横すべり出し窓40を見上げても操作部構造10が目立ち難く、このため、意匠性の向上を図り得る。
【0019】
以下、障子ユニット3における横すべり出し窓40の開閉動作について説明する。
第1空間側からの開放動作は次のように行う。図1から図3に示すように閉鎖状態にある横すべり出し窓40の内側下框52における第一操作部62を第2空間側に押し出して図5に示す開放状態とする。具体的には、面材56よりも第1空間側に位置する第一操作部62の突出部621を操作者の手で第2空間側に押し出すことで、内障子50が窓枠45に対して回動を生じつつ第2空間側にすべり出し、内障子50の下部の位置はその上部の位置よりもZ軸方向において第2空間側に配置される。このように第1空間側から開放操作を行う場合には、内障子50の下部を窓枠45からすべり出す分のZ軸方向のストロークが必要となり、操作者は窓枠45内に手を入れて当該ストローク分の開放操作を行うこととなる。なお、横すべり出し窓40の開放状態はフリクションステー57によって保持される。
また、第1空間側からの閉鎖動作は次のように行う。開放状態にある横すべり出し窓40の内側下框52における第一操作部62の突出部621に操作者の手の指を掛けて第1空間側に引き寄せる。この場合、内障子50の下部を窓枠45内に引き寄せる分のZ軸方向のストロークが必要となり、操作者は窓枠45内に手を入れて当該ストローク分の閉鎖操作を行うこととなる。
【0020】
第2空間側からの開放動作は次のように行う。操作者が第二操作部63における突出部631に手の指を掛けて内障子50の下部を第2空間側に引き出して開放状態とする。この場合、第2空間側から第二操作部63を開放操作することになるので、操作者は窓枠45内に手を入れて前述したストローク分の閉鎖操作を行う必要がない。
また、第2空間側からの閉鎖動作は次のように行う。開放状態にある横すべり出し窓40の内側下框52における第二操作部63を第1空間側に押し込んで閉鎖状態とする。具体的には、面材56よりも第2空間側に位置する第二操作部63の突出部631を操作者の手で第1空間側に押し込むことで、内障子50が窓枠45に対して回動を生じつつ第1空間側に移動し、当該窓枠45内に納まって配置されることとなる。この閉鎖操作を行う場合には、操作者は窓枠45内に手を入れて前述したストローク分の閉鎖操作を行う必要がない。
【0021】
[変形例]
前記実施形態では、第一操作部62および第二操作部63が内側下框52(戸先框)自体に一体に形成される押出形材の一部として構成されているが、これに限らず、内側下框52を構成する押出形材に対して装着される取っ手やハンドルなどの別部材を内側下框52の一部を構成する第一操作部および第二操作部として構成してもよい。
前記実施形態では、第一操作部62および第二操作部63は、内側下框52の内周見込み面から上方側(内周側)に突出して形成される突出部621,631を有しているが、これに限らず、突出部621,631は内障子50の開閉操作が可能であれば第1空間側や第2空間側などの他の向きに突出して形成されていてもよい。
前記実施形態では、突出部621は見付け面部521と共同して内側下框52の第1空間側の見付け面を構成し、突出部631は見付け面部522と共同して内側下框52の第2空間側の見付け面を構成しているが、これに限らず、見付け面部521だけが内側下框52の第1空間側の見付け面を構成してもよく、また、見付け面部522だけが第2空間側の見付け面を構成してもよい。
前記実施形態では、突出部621,631の縁部621A,631Aは面材56側に膨出して形成されているが、これに限らず、縁部621A,631Aは前述したように膨出していなくてもよい。
前記実施形態では、面材56を保持する一対の保持片部64を有しているが、一対の保持片部64がなくても面材56を保持可能であれば当該一対の保持片部64の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、突出部621,631および一対の保持片部64の縁部621A,631A,64Aの位置は、Z軸方向に揃えられているが、これに限らず、Y軸方向に異なる位置に配置されてもよい。
前記実施形態では、内側下框52には中空形成部61が形成されているが、これに限らず、十分な強度を有する場合には、中空形成部61を構成して中空部520を形成しなくてもよい。また、ビスホール59を用いて隣接する框材と連結しない場合にはビスホール59の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、一対の保持片部64の間の部分には凹溝581が外周側に凹んで形成されているが、これに限らず、凹溝581が形成されずに平坦な内周見込み面が形成されてもよい。
前記実施形態では、内側下框52は、そのZ軸方向における中央位置で面材56を保持する構成とされているので、上框、縦框などの他の框材としても利用可能である。また、内側下框52は、他の框材として利用しない場合には、前述した中央位置からZ軸方向にズレた位置で面材56を保持する構成とされてもよい。
前記実施形態では、横すべり出し窓40を開閉窓として構成したが、このほか、縦すべり出し窓や突き出し窓、両開き窓などの回動開閉する各種の開閉窓で構成されてもよい。この場合、第一操作部62および第二操作部63は戸先を構成する框材に設けられていればよく、このため、各種窓の下框に限らず、戸先框を構成する縦框や上框に設けられていてもよい。
前記実施形態では、障子4の下段にはFIX窓70が構成されているが、このほかの各種窓が構成されてもよい。また、障子4は、上下2段構成とされているが、上下3段以上の構成とされてもよく、この場合、開閉窓は最上段や2段目などの1段目よりも高い位置に設けられてもよい。
前記実施形態では、障子ユニット3は、左右一対の障子4が互いに連結されて構成されているが、このほか、一対よりも多くの障子4がX軸方向に連結されて障子ユニットを構成してもよい。
前記実施形態では、障子ユニット3を、室内窓1を構成するものとして利用したが、このほか、屋内外を仕切る建物壁に設けられる窓として利用されてもよい。
【0022】
[発明のまとめ]
(1)本発明の障子の操作部構造は、見込み方向に回動開閉される障子の操作部構造であって、前記障子は、框体と、前記框体内に配置される面材とを備え、前記框体は、開閉操作される戸先框を有し、前記戸先框には、前記面材よりも一方側の位置で当該戸先框の長手方向に沿って配置される第一操作部と、前記面材よりも他方側の位置で当該戸先框の長手方向に沿って配置される第二操作部とが構成されることを特徴とする。
本発明によれば、閉鎖状態の障子を回動して開放操作する際には、第一操作部を操作して戸先框を見込み方向において開放側に押し出すことで障子を開放操作することもできるが、これに代えて、第二操作部を操作して戸先框を見込み方向において開放側に引き出すことで障子を開放操作することもできる。一方、開放状態の障子を回動して閉鎖操作する際には、第一操作部を操作して戸先框を閉鎖側に引き寄せて障子を閉鎖操作することもできるが、これに代えて、第二操作部を操作して戸先框を閉鎖側に押し込むことで障子を閉鎖操作することもできる。このため、障子にする見込み方向における一方側および他方側のいずれの側からでも開閉操作できる。
更に、障子を開放・閉鎖するいずれの場合においても、第一操作部を操作する場合には、一旦、障子を支持する枠体などの側から障子を操作するために手を差し入れる見込み方向のストロークが必要となるが、第二操作部を操作する場合には、障子を支持する枠体などの側から手を差し込む必要はなく、単に、戸先框を開放側に引き寄せ、また、閉鎖側に押し込めばよいので、当該操作をするのに前述したような手を差し入れるストロークは必要とされない。このため、障子の開閉操作を容易に行うことができ、例えば障子が高い位置に設置されたとしても、第二操作部を操作することで前述したストロークが必要なくなるので、この場合でも、障子の開閉操作を容易に行い得る。
(2)本発明の障子の操作部構造では、前記戸先框は、前記第一操作部および前記第二操作部が一体に形成される押出形材で構成されてもよい。
このような構成によれば、戸先框を第一操作部および第二操作部が一体の押出形材で構成するので、別体の操作部を更に取り付ける必要をなくすことができて部品点数を削減でき且つ部品点数を削減できる分、組立性を向上し得る。
(3)本発明の障子の操作部構造では、前記第一操作部および前記第二操作部は、前記面材に対して見込み方向に間隔を隔てた位置で前記戸先框の内周見込み面から内周側に突出して形成される突出部を有してもよい。
このような構成によれば、突出部に手を掛けて戸先框を開閉操作可能な構成にでき、また、戸先框の見付け面よりも見込み方向に突出する部分をなくし得て、戸先框を建物の壁部の見込み寸法内に収まる寸法として容易に構成し得る。
(4)本発明の障子の操作部構造では、前記戸先框は、見付け面部を有し、前記突出部は、前記見付け面部と共同して前記戸先框の見付け面を構成してもよい。
このような構成によれば、突出部が戸先框の見付け面の一部を構成するので、突出部が第一操作部や第二操作部として目立たないうえ、例えば戸先框の見付け面部に取っ手などの操作部が見込み方向に突出して取り付けられる場合に比べて、見付け面部から見込み方向に突出する部分をなくすことができて、障子の見栄えを向上し得る。
(5)本発明の障子の操作部構造では、前記突出部の長手方向に沿った縁部は、前記面材側に膨出してもよい。
このような構成によれば、突出部の縁部が面材側に膨出しているので、操作者が突出部に指を掛けやすい第一操作部、第二操作部を構成でき、障子を開閉する操作性を向上できる。
(6)本発明の障子の操作部構造では、前記戸先框は、前記面材を保持する一対の保持片部を有し、前記一対の保持片部は、前記第一操作部の前記突出部と前記第二操作部の前記突出部との間において前記戸先框の内周見込み面から内周側に突出して形成されてもよい。
このような構成によれば、操作者が突出部に手を掛けて障子を開閉操作する場合に手が面材に触れてしまうおそれがあり、戸先框の見込み寸法を小さくする場合には更に手が面材に触れやすい構成となってしまうが、戸先框が前述したように内周見込み面から内周側に突出して面材を保持する一対の保持片部を有することで、障子を開閉操作する際に操作者の手が面材に対して直接に触れにくい構成にできる。
(7)本発明の障子の操作部構造では、前記第一操作部の前記突出部、前記第二操作部の前記突出部および前記一対の保持片部のそれぞれの前記戸先框の長手方向に沿った縁部の位置は、見込み方向に揃えられてもよい。
このような構成によれば、例えば、戸先框の見付け寸法を小さくするために突出部の見付け寸法を小さくすることが考えられるが、突出部の見付け寸法を小さくすることで一対の保持片部が外観上目立つ構成となるおそれがあるが、一対の保持片部と突出部との前述した縁部の位置を見込み方向に揃えて戸先框を構成することで、一対の保持片部が外観上目立つおそれを低減でき、障子の意匠性を向上し得る。
(8)本発明の障子の操作部構造では、前記戸先框は、その長手方向に沿った中空部を形成し且つ前記内周見込み面を有する中空形成部を有し、前記中空形成部には、前記中空部に位置するビスホールが形成され、前記内周見込み面のうち前記一対の保持片部の間の部分には、凹溝が外周側に凹んで形成されてもよい。
このような構成によれば、中空形成部によって中空部を形成することで戸先框の強度を向上でき、ビスホールを形成することで戸先框の端部に隣接する他の框材と固定具で連結することができる。
加えて、戸先框の見付け寸法を小さくして戸先框のスリム化を図りたい場合、前述したように突出部および一対の保持片部の見付け寸法を小さくすることが考えられる。この場合、一対の保持片部は面材を保持したり、操作者の手が面材に直接触れないようにしたりするためにある程度の見付け寸法が求められ、ある程度の見付け寸法を有する一対の保持片部を形成するためには中空形成部の見付け寸法を小さくすることが必要となる。しかし、中空形成部には中空部に位置するビスホールが形成されているので、当該中空形成部の見付け寸法を小さくすることは押出しなどの成形上困難である。そこで、本発明では、中空形成部の見付け寸法を小さくした場合でも、中空形成部の内周見込み面のうち一対の保持片部の間の部分に凹溝を外周側に凹んで形成することで、面材を一対の保持片部の間の深くまで配置できるようにして当該一対の保持片部による面材の保持領域を維持できる構成とし、これにより、中空部にビスホールが配置された戸先框であっても、突出部および一対の保持片部の縁部の位置を見込み方向に揃えつつ戸先框の見付け方向におけるスリム化を図り得る。
(9)本発明の障子の操作部構造では、前記戸先框は、その見込み方向における中央位置で前記面材を保持する構成とされてもよい。
このような構成によれば、戸先框を反転して用いても面材を保持する見込み位置は前述した中央位置のままなので、戸先以外の箇所の框材としても兼用し得る戸先框を構成できる。
(10)本発明の障子は、上段に回動開閉可能な開閉窓が構成され且つ下段に他の窓が構成される障子であって、前記開閉窓は、前述した本発明の障子の操作部構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、下段の窓よりも高い位置にある開閉窓の開閉操作を前述した本発明の障子の操作部構造の作用効果と同様の作用効果を発揮できる障子を構成できる。
【符号の説明】
【0023】
1…室内窓、10…操作部構造、2,41…上枠、21…上枠本体、22…上枠対向部、23…連結部材、231…連結部材本体、232…連結垂下片、232A…雌ねじ部、24…上框固定ねじ、3…障子ユニット、31…外側上框、32…外側下框、33…外側縦框、331…カバー部材、34…中桟、35…外框体、36,56…面材、4…障子(広義の障子)、40…横すべり出し窓(開閉窓)、42…縦枠、43…下枠、45…窓枠(枠体)、50…内障子(狭義の障子)、51…内側上框(上框)、510…中空部、52…内側下框(下框、戸先框)、520…中空部、521…見付け面部、522…見付け面部、523…内周見込み面部、524…外周見込み面部、53…内側縦框(縦框)、55…内框体(框体)、57…フリクションステー、58…保持溝、581…凹溝、582…セッティングブロック、583…ガスケット、59…ビスホール、60…ネジ、61…中空形成部、62…第一操作部、621,631…突出部、621A,631A,64A…縁部、63…第二操作部、64…保持片部、70…FIX窓(固定窓)、F1…壁開口部、F2…上面、F3…下面。
図1
図2
図3
図4
図5