(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124226
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】レバー部材、ワイパレバーアッセンブリ及びワイパブレード
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20240905BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B60S1/38 D
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032235
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 周佑
(72)【発明者】
【氏名】濱本 純
(72)【発明者】
【氏名】能勢 博喜
【テーマコード(参考)】
3D225
4F202
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD01
3D225AE08
3D225AE09
4F202AM36
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK06
(57)【要約】
【課題】樹脂材料が成形金型の内部に充填される工程において樹脂材料を成形金型の内部に均一に充填する。
【解決手段】レバー16は、樹脂製であり、ブレードラバー12を支持するワイパレバーアッセンブリ14の一部を構成している。このレバー16は、ワイパアームが連結される連結軸86を有する連結部30を備えている。また、レバー16は、連結部30から互いに反対方向に伸びる一対のアーム部32を備えている。さらに、レバー16は、一方のアーム部32における連結部30とは反対側の端と他方のアーム部32における連結部30とは反対側の端との間の中央部に形成され、連結部30から突出する凸部を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードラバー(12)を支持するワイパレバーアッセンブリ(14)の一部を構成する樹脂製のレバー部材(16、96、102、106)であって、
ワイパアームが連結される連結軸(86)を有する連結部(30)と、
前記連結部から互いに反対方向に伸びる一対のアーム部(32)と、
一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端と他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端との間の中央部に形成され、前記連結部から突出する凸部(92)と、
を備えたレバー部材。
【請求項2】
前記連結部には、窪み(98)が形成されており、
前記凸部の少なくとも一部が、前記窪み(98)に収容された状態で前記窪みの底(98A)から前記窪みの開放端側へ向けて突出している請求項1に記載のレバー部材。
【請求項3】
一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端から他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端にかけての方向を長手方向とした場合において、
前記連結軸の軸方向から見て、前記凸部の少なくとも一部と前記連結軸の少なくとも一部とが、前記長手方向の同じ位置に配置されている請求項1に記載のレバー部材。
【請求項4】
前記凸部は、前記連結部における前記ブレードラバー側の端部から突出している請求項1に記載のレバー部材。
【請求項5】
前記連結部は、前記連結軸の軸方向に間隔をあけて配置されていると共に前記連結軸を介してつながっている一対の側壁部(88)を備えており、
前記凸部は、一方の前記側壁部から突出している請求項1に記載のレバー部材。
【請求項6】
前記連結部は、一対の前記アーム部に対して前記連結軸の軸方向にオフセットして配置され、
前記凸部は、前記連結部における前記アーム部側の前記側壁部から突出している請求項5に記載のレバー部材。
【請求項7】
請求項1に記載のレバー部材と、
一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側及び他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側にそれぞれ前記レバー部材と連続的に配置され、前記ブレードラバーを把持する把持部(60)を有する一対のウイング部材(18)と、
前記レバー部材と一対の前記ウイング部材とがそれぞれ回動可能に連結され、前記ブレードラバーを把持する把持部(84)を有する一対のヨーク部材(20)と、
を備えたワイパレバーアッセンブリ。
【請求項8】
車両の払拭面を払拭する前記ブレードラバーと、
一対の前記ウイング部材の前記把持部及び一対の前記ヨーク部材の前記把持部が前記ブレードラバーを把持することで、前記ブレードラバーを支持する請求項7に記載のワイパレバーアッセンブリと、
を備えたワイパブレード(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レバー部材、ワイパレバーアッセンブリ及びワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両のウインドシールドガラスに付着した水滴等を払拭するワイパブレードが開示されている。この文献に記載されたワイパブレードは、ワイパアームに連結クリップを介して連結される樹脂製のメインレバーを備えている。また、メインレバーの長手方向の中央部には開口が形成されており、この開口の内部には連結クリップが係止される金属製の連結軸がインサート成形されることによって掛け渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂材料が成形金型の内部に充填される工程を経て製造されるメインレバー等のレバー部材では、当該工程において樹脂材料を成形金型の内部に比較的に低圧力で行き渡らせて均一に充填できることが望ましいが、上記特許文献1に記載された構成はこの点が考慮されていない。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、樹脂材料が成形金型の内部に充填される工程において樹脂材料を成形金型の内部に比較的に低圧力にて行き渡らせて均一に充填することができるレバー部材、ワイパレバーアッセンブリ及びワイパブレードを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するレバー部材は、ブレードラバー(12)を支持するワイパレバーアッセンブリ(14)の一部を構成する樹脂製のレバー部材(16、96、102、106)であって、ワイパアームが連結される連結軸(86)を有する連結部(30)と、前記連結部から互いに反対方向に伸びる一対のアーム部(32)と、一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端と他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端との間の中央部に形成され、前記連結部から突出する凸部(92)と、を備えている。また、ワイパレバーアッセンブリは、上記レバー部材と、一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側及び他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側にそれぞれ設けられ、前記ブレードラバーを把持する把持部(60)を有する一対のウイング部材(18)と、前記レバー部材と一対の前記ウイング部材とを連結し、前記ブレードラバーを把持する把持部(84)を有する一対のヨーク部材(20)と、を備えている。また、ワイパブレード(10)は、車両の払拭面を払拭する前記ブレードラバーと、一対の前記ウイング部材の前記把持部及び一対の前記ヨーク部材の前記把持部が前記ブレードラバーを把持することで、前記ブレードラバーを支持する上記ワイパレバーアッセンブリと、を備えている。
【0007】
この様に構成することで、樹脂材料が成形金型の内部に充填される工程において樹脂材料を成形金型の内部に比較的に低圧力にて行き渡らせて均一に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ワイパブレードを示す斜視図であり、一対のウイングの図示を省略して示している。
【
図3】ワイパブレードを示す斜視図であり、レバー及び一対のウイングの図示を省略して示している。
【
図4】ワイパブレードを分解して示す側面図である。
【
図5】ワイパブレードを分解して示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態レバーを下方側から見た底面図である。
【
図7】
図6に示された7-7線に沿って切断したレバーの断面を示す断面図を用いた樹脂材料充填の説明図である。
【
図8】レバーの中央部を前方側から見た正面図である。
【
図9】第2の形態のレバーの中央部を下方側から見た底面図である。
【
図10】第2実施形態のレバーの中央部を前方側から見た正面図である。
【
図11】第2実施形態のレバーに形成されたウェルド位置を模式的に示す底面図である。
【
図12】第3実施形態のレバーに形成されたウェルド位置を模式的に示す底面図である。
【
図13】比較例のレバーに形成されたウェルド位置を模式的に示す底面図である。
【
図14】第4の形態のレバーの中央部を下方側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図5を用いて、第1実施形態のレバー16を備えたワイパブレード10について説明する。
【0010】
図1~
図5に示されように、本実施形態のワイパブレード10は、車両のウインドシールドガラスの外表面である払拭面に付着した水滴等を払拭するためのものである。なお、本実施形態のワイパブレード10は、ワイパレバーアッセンブリが複数のレバーをトーナメント表状に階層的に連結して構成されたトーナメント構造と呼ばれる構造が適用されたワイパブレードとなっている。
【0011】
ワイパブレード10は、図示しないワイパアームの先端部に連結クリップ34を介して連結され、当該ワイパアームからウインドシールドガラスの払拭面側への押圧力を受ける構成になっている。なお、ワイパアームは、ワイパブレード10やワイパモータと共に車両用ワイパ装置を構成している。そして、ワイパアームがピボット軸(不図示)回りに一方側及び他方側へ回動することで、ワイパブレード10がウインドシールドガラスの払拭面に沿って払拭方向の一方側及び他方側へ往復移動(変位)するようになっている。なお、図中に示す矢印UPは、ワイパブレード10の上下方向の上方側を示している。このワイパブレード10の上方側は、ウインドシールドガラスの払拭面に対して略直交する方向となっている。また、図中に示す矢印Lは、ワイパブレード10の長手方向一方側を示している。さらに、図中に示す矢印FRは、ワイパブレード10が往復移動する方向の一方側を示している。ワイパブレード10が往復移動する方向の一方側は、車両用ワイパ装置が停止している状態における車両の前方側かつ斜め下方側へ向けられている。以下の説明においては、ワイパブレード10の上下方向、ワイパブレード10の長手方向を単に上下方向、長手方向とそれぞれ呼ぶことにする。また、ワイパブレード10が往復移動する方向の一方側及び他方側を前側及び後側とそれぞれ呼ぶことにする。
【0012】
図4及び
図5に示されるように、ワイパブレード10は、ウインドシールドガラスの払拭面を払拭するためのブレードラバー12と、ブレードラバー12を支持するワイパレバーアッセンブリ14と、ワイパレバーアッセンブリ14をワイパアームに回動可能に連結する連結クリップ34とによって構成されている。
【0013】
ワイパレバーアッセンブリ14は、ワイパアームの先端部が長手方向中央部に連結されるレバー部材としてのレバー16と、レバー16の長手方向両側に連続的に配置されてレバー16と共に外観意匠を構成する一対のウイング部材18と、レバー16と一対のウイング部材18とが連結された一対のヨーク部材20とによって構成されている。このワイパレバーアッセンブリ14は、一対のウイング部材18及び一対のヨーク部材20によってブレードラバー12を支持する構成になっている。
【0014】
(ブレードラバー12の構成)
ブレードラバー12は、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等のゴム材によって長尺状に形成されている。このブレードラバー12は、ワイパレバーアッセンブリ14によって支持される基部22と、当該基部22から下側へ延出され、下端部がウインドシールドガラスの払拭面に押し当てられる払拭部24とを有している。ブレードラバー12の基部22には、前後方向の両側に開口した一対のバッキング用溝26が長手方向に沿って形成されている。これらのバッキング用溝26には、それぞれ金属製の板ばね材からなるバッキング(図示省略)が嵌め込まれる構成になっている。これらのバッキングは、ワイパアームから受ける払拭面への押圧力をブレードラバー12の長手方向に分散させるものである。また、ブレードラバー12の基部22には、一対のバッキング用溝26よりも下側に、前後方向の両側に開口した一対の支持用溝28が長手方向に沿って形成されている。
【0015】
(ワイパレバーアッセンブリ14の構成)
ワイパレバーアッセンブリ14は、前述したようにレバー16と、一対のウイング部材18と、一対のヨーク部材20とによって構成されている。なお、このワイパレバーアッセンブリ14は、前側から見て、ワイパアームが連結される部分を中心として長手方向に略対称の形状に形成されている。
【0016】
(レバー16の構成)
レバー16は、一例として樹脂材料によって形成されたものであり、長手方向に長尺状に形成されている。このレバー16は、ワイパレバーアッセンブリ14の長手方向中間部を構成している。このレバー16は、長手方向中央部が連結部30とされており、この連結部30の長手方向両側が一対のアーム部32とされている。
【0017】
図6に示されるように、連結部30は、上下方向から見て矩形枠状に形成されており、上下方向に貫通して矩形状に開口形成されている。この連結部30の内部には、後述する連結軸86が設けられている。この連結軸86には、連結クリップ34が連結軸86周りに回動可能に装着され、この連結クリップ34を介してワイパアームの先端部が連結されるようになっている。
【0018】
一対のアーム部32は、連結部30から長手方向一方側及び他方側へそれぞれ伸びている。これらのアーム部32は、レバー16の長手方向視で下側に開口した開断面形状になっている。
【0019】
図5に示すように、アーム部32は、上壁36と、上壁36の前端部から下側へ延出された前壁38と、上壁36の後端部から下側へ延出された後壁40と、を備えている。また、アーム部32における前壁38と後壁40との間には、下方側が開放されたヨーク部材配置凹部42が長手方向に沿って形成されている。なお、アーム部32の上面は、後方側へ向かうにつれて上り傾斜している傾斜面32Aとなっている。
【0020】
(ウイング部材18の構成)
図4及び
図5に示されるように、一対のウイング部材18は、一例として樹脂材料、特に、ワイパブレード10の外観意匠の大部分を構成することから全体的質感を同じくすべくレバー16と同じ樹脂材料によって長尺状に形成されている。これらのウイング部材18は、レバー16の長手方向一方側及び他方側にそれぞれ連続的に配置されている。また、各ウイング部材18は、下側に開口した開断面形状になっている。
【0021】
図5に示されるように、各ウイング部材18は、上壁50と、上壁50の前端部から下側へ延出された前壁52と、上壁50の後端部から下側へ延出された後壁54と、を備えている。また、各ウイング部材18における前壁52と後壁54との間には、下方側が開放されたヨーク部材配置凹部56が長手方向に沿って形成され、組付け状態においてはレバー16のヨーク部材配置凹部42と連続的に凹部が形成される。このように、各ウイング部材18におけるレバー16側の部分は、当該レバー16のアーム部32と同様に構成されている。なお、各ウイング部材18の上面は、アーム部32の上面と同様に後方側へ向かうにつれて上り傾斜している傾斜面18Aとなっている。そして、各ウイング部材18及び前述のレバー16は、ワイパブレード10の意匠面側を構成するブレード本体15となっている。
【0022】
また、各ウイング部材18におけるレバー16とは反対側の端部には、ブレードラバー12の長手方向端部が把持される把持部60が形成されている。把持部60は、前壁52及び後壁54から下側へ延出された前後一対の把持片60Aを有している。前後の把持片60Aの先端部(下端部)は、互いに接近する側へ屈曲されており、前述した一対の支持用溝28内に嵌合している。これにより、ブレードラバー12の長手方向端部が把持部60によって把持(支持)されるようになっている。
なお、ブレードラバー12の一対の支持用溝28の長手方向一端部には、把持片60Aの先端部が係止される係止凹所(図示省略)が形成されており、ブレードラバー12のワイパレバーアッセンブリ14に対する長手方向への抜け止めとなっている。
【0023】
(ヨーク部材20について)
一対のヨーク部材20は、長手方向に長尺状に形成されている。各ヨーク部材20は、所定の形状に裁断された金属板が折曲げられること等により形成されている。なお、一方のヨーク部材20と他方のヨーク部材20の構成は略同一の構成となっている。
【0024】
図2及び
図5に示されるように、レバー16の長手方向一方側のアーム部32が、一方のヨーク部材20に回動可能に係止される。また、レバー16に対して長手方向一方側に配置された一方のウイング部材18が、一方のヨーク部材20に回動可能に係止される。これにより、レバー16と当該レバー16に対して長手方向一方側に配置された一方のウイング部材18とが、一方のヨーク部材20を介して回動可能に長手方向に連結される。
【0025】
これと同様に、レバー16の長手方向他方側のアーム部32が、他方のヨーク部材20に回動可能に係止される。また、レバー16に対して長手方向他方側に配置された他方のウイング部材18が、他方のヨーク部材20に回動可能に係止される。これにより、レバー16と当該レバー16に対して長手方向他方側に配置された他方のウイング部材18とが、他方のヨーク部材20を介して回動可能に長手方向に連結される。
【0026】
図3及び
図5に示されるように、ヨーク部材20の長手方向両端部には、ブレードラバー12の長手方向中間部を把持する把持部84が形成されている。各把持部84は、ヨーク部材20の前端部及び後端部から下側へ延出された前後一対の把持片84Aを有している。前後の把持片84Aの先端部(下端部)は、互いに接近する側へ屈曲されており、前述した一対の支持用溝28内に長手方向他端部から挿通されて嵌合している。これにより、ブレードラバー12の長手方向中間部が各把持部84によって把持(支持)されるようになっている。
【0027】
(レバー16の細部の構成)
次に、レバー16の細部の構成について説明する。
【0028】
図6に示されるように、レバー16の連結部30は、前述のように上下方向から見て矩形枠状に形成されており、上下方向に貫通して矩形状に開口形成されている。詳述すると、レバー16の連結部30は、連結軸86の軸方向である前後方向に間隔をあけて配置された一対の側壁部88と、一対の側壁部88の長手方向一方側の端部及び長手方向他方側の端部をそれぞれ前後方向に接続する一対の接続壁部90と、を備えている。一対の側壁部88は、前後方向を厚み方向として上下方向及び長手方向に延在する矩形板状に形成されている。また、一対の側壁部88の長手方向の中央部における上下方向の中間部は、連結軸86が前後方向に接続されている。また、連結軸86は、レバー16を形成する樹脂材料にて一体に形成されており、前後方向を軸方向とする円柱状に形成されている。
【0029】
図6及び
図7に示されるように、一方のアーム部32における連結部30とは反対側の端と他方のアーム部32における連結部30とは反対側の端との間の中央部、言い換えるとレバー16の長手方向全長における中央部には、凸部92が形成されている。この凸部は、連結部30から突出する略円柱状に形成されている。なお、一方のアーム部32における連結部30とは反対側の端から他方のアーム部32における連結部30とは反対側の端にかけて方向は、ワイパブレード10の長手方向と一致している。
図6~
図8に示されるように、凸部92は、前方側の側壁部88の下端(ブレードラバー12側の端部)から下方側へ向けて突出している。また、
図8に示されるように、連結軸86の軸方向から見て、凸部92の少なくとも一部と連結軸86の少なくとも一部とが、長手方向の同じ位置(長手方向に重なりを生じる位置)に配置されている。本実施形態では、連結軸86の軸方向から見て、凸部92の長手方向の大部分と連結軸86の長手方向の大部分とが、長手方向の同じ位置に配置されている。
【0030】
ここで、
図7には、レバー16を製造するための成形金型の内部に向かう樹脂材料の経路94が二点鎖線で示されている。この図に示されるように、本実施形態では、凸部92の突出方向先端部と対応する位置を成形金型の製品部分が形成されるキャビティに連通するゲート94Aとして、成形金型の内部に樹脂材料が充填される。なお、ゲート94Aとは、樹脂材料が充填される際の入り口のことである。そして、凸部92は、製品であるレバー16における不要部分として当該レバー16の一部にゲートが位置していた痕跡として残っている部分である。また、凸部92は、ゲート痕と呼ばれることがある部分である。
【0031】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0032】
図1、
図6~
図8に示されるように、以上説明した本実施形態のワイパブレード10の一部を構成するレバー16では、一方のアーム部32における連結部30とは反対側の端と他方のアーム部32における連結部30とは反対側の端との間の中央部に連結部30から突出する凸部92が形成されている。この凸部92の突出方向先端部と対応する位置をゲート94Aとして、成形金型の内部に樹脂材料を充填することで、レバー16の長手方向全長における中央部から樹脂材料が充填されることから、樹脂材料を行き渡らせる充填圧力を長手方向一方側と他方側とで同等にでき、ゲート94Aの位置が長手方向のいずれか一方側に偏った位置である場合に比べて樹脂材料の充填圧力を低圧力とすることができる。これにより、樹脂材料を成形金型の内部に比較的に低圧力にて均一に充填することができる。
【0033】
また、本実施形態では、連結軸86の軸方向から見て、凸部92の長手方向の大部分と連結軸86の長手方向の大部分とが、長手方向の同じ位置(長手方向において重なりが生じる位置)に配置されている。この構成では、凸部92側から充填された樹脂材料が、一方の側壁部88から連結軸86側へ速やかに充填される。これにより、ワイパアームからの押圧力やワイパブレード10の払拭抵抗等の力が作用しやすい連結軸86に、後述するウェルド100が形成されてしまうことを防止又は抑制することができる。また、本実施形態では、一対の側壁部88が連結軸86を介してつながっている。これにより、一方の側壁部88に充填された樹脂材料を連結軸86を介して他方の側壁部88側へ速やかに充填させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、凸部92が、一方の側壁部88の下端(ブレードラバー12側の端部)から下方側へ向けて突出している。これにより、ワイパブレード10が使用可能な状態において外観意匠面を構成する部分とは異なる部位に凸部92が配置されるので、凸部92が視認されることを抑制することができ、ワイパブレード10のデザイン性を損ねない。
【0035】
(第2実施形態のレバー96)
次に、
図9及び
図10を用いて、第2実施形態のレバー96について説明する。なお、第2実施形態のレバー96において第1実施形態のレバー16と対応する部分には、第1実施形態のレバー16と対応する部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0036】
図9及び
図10に示されるように、本実施形態のレバー96の連結部30には、窪み98が形成されている。この窪み98は、前方側の側壁部88の下部に形成されており、下方側が開放された構成となっている。また、凸部92は、窪み98の底98Aから当該窪み98の開放端側(下方側)へ向けて突出している。なお、本実施形態のレバー96の他の部分の構成は、第1実施形態のレバー16と同様の構成となっている。
【0037】
以上説明した本実施形態のレバー96においても凸部92の突出方向先端部と対応する位置をゲート94Aとして、成形金型の内部に樹脂材料を充填することで、樹脂材料を成形金型の内部に比較的に低圧力にて均一に充填することができる。
【0038】
また、本実施形態のレバー96では、凸部92が、窪み98の底98Aから当該窪み98の開放端側(下方側)へ向けて突出している。換言すると、凸部92の突出方向基端側の少なくとも一部が、窪み98の内部に収容された状態で配置された構成となっている。これにより、凸部92の側壁部88の下端からの突出量を小さくする、もしくは無くすことができる。
【0039】
ここで、
図11には、本実施形態のレバー96を製造するための成形金型に樹脂材料を充填した際に生じるウェルド100の位置を模式的に示す図が示されている。なお、ウェルド100とは、互いに異なる方向から流れてきた樹脂材料が合流することによって生じる部分である。この図に示されるように、本実施形態のレバー96では、後方側の側壁部88の長手方向の両側にそれぞれウェルド100が生じるが、連結軸86にはウェルド100は生じていない。このことから、連結軸86全体が同一方向の樹脂流れによって形成されていることが解る。
【0040】
なお、
図12は、凸部92を後方側の側壁部88の長手方向の中央部に形成した第3実施形態のレバー102を示す
図11に対応する図である。この図に示されるように、レバー102では、前方側の側壁部88の長手方向の両側にそれぞれウェルド100が生じるが、連結軸86にはウェルド100は生じていない。このことから、連結軸86全体が同一方向の樹脂流れによって形成されていることが解る。
【0041】
以上説明したように、成形金型におけるキャビティに連通するゲート94Aの位置に対応して形成される凸部92を、レバー96、102の長手方向の中央部に設けることで、ウェルド100が連結軸86に形成されることを防止又は抑制することができる。なお、
図13は、凸部92を一方の接続壁部90の前後方向の中央部に形成した比較例のレバー104を示す
図11に対応する図である。比較例のレバー104では、ウェルド100が連結軸86の前後方向の中央部に形成される。その結果、ウェルド100が連結軸86に形成されない構成と比べて、連結軸86の強度の低下を招く。
【0042】
(第4実施形態のレバー106)
次に、
図14を用いて、第4実施形態のレバー106について説明する。なお、第4実施形態のレバー106において第1実施形態のレバー16と対応する部分には、第1実施形態のレバー16と対応する部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0043】
図14に示されるように、本実施形態のレバー106では、連結部30が一対のアーム部32に対して連結軸86の軸方向にオフセットして配置されている。そして、凸部92は、連結部30におけるアーム部32側の側壁部88から突出している。すなわち、連結部30の後側の側壁部88とアーム部32の前側の側壁の一部とが互いに共用して形成され、その共用されている側壁部88に凸部92を設定している。
【0044】
以上説明した本実施形態のレバー106においても凸部92の突出方向先端部と対応する位置をゲート94Aとして、成形金型の内部に樹脂材料を充填することで、樹脂材料を成形金型の内部に比較的に低圧力にて均一に充填することができる。しかも、アーム部32の前側の側壁の一部と互いに共用して形成された連結部30の後側の側壁部88にゲート94Aが位置される凸部92を設定しているので、連結部30と一対のアーム部32の両部位に対して樹脂材料の流れを凸部92の位置から速やかに流動させることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、ワイパブレード10がトーナメント構造である構成としたが、これに限定されず、例えば、ヨーク部材省略してレバー16の長手方向両端部にブレードラバー12を把持する把持部を形成するようにしたワイパブレードであっても良い。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0046】
<付記>
(付記1)
ブレードラバー(12)を支持するワイパレバーアッセンブリ(14)の一部を構成する樹脂製のレバー部材(16、96、102、106)であって、
ワイパアームが連結される連結軸(86)を有する連結部(30)と、
前記連結部から互いに反対方向に伸びる一対のアーム部(32)と、
一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端と他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端との間の中央部に形成され、前記連結部から突出する凸部(92)と、
を備えたレバー部材。
(付記2)
前記連結部には、窪み(98)が形成されており、
前記凸部の少なくとも一部が、前記窪み(98)に収容された状態で前記窪みの底(98A)から前記窪みの開放端側へ向けて突出している付記1に記載のレバー部材。
(付記3)
一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端から他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側の端にかけての方向を長手方向とした場合において、
前記連結軸の軸方向から見て、前記凸部の少なくとも一部と前記連結軸の少なくとも一部とが、前記長手方向の同じ位置に配置されている付記1又は付記2に記載のレバー部材。
(付記4)
前記凸部は、前記連結部における前記ブレードラバー側の端部から突出している付記1又は付記2に記載のレバー部材。
(付記5)
前記連結部は、前記連結軸の軸方向に間隔をあけて配置されていると共に前記連結軸を介してつながっている一対の側壁部(88)を備えており、
前記凸部は、一方の前記側壁部から突出している付記1~付記4のいずれか1つに記載のレバー部材。
(付記6)
前記連結部は、一対の前記アーム部に対して前記連結軸の軸方向にオフセットして配置され、
前記凸部は、前記連結部における前記アーム部側の前記側壁部から突出している付記5に記載のレバー部材。
(付記7)
付記1~付記6のいずれか1つに記載のレバー部材と、
一方の前記アーム部における前記連結部とは反対側及び他方の前記アーム部における前記連結部とは反対側にそれぞれ前記レバー部材と連続的に配置され、前記ブレードラバーを把持する把持部(60)を有する一対のウイング部材(18)と、
前記レバー部材と一対の前記ウイング部材とがそれぞれ回動可能に連結され、前記ブレードラバーを把持する把持部(84)を有する一対のヨーク部材(20)と、
を備えたワイパレバーアッセンブリ。
(付記8)
車両の払拭面を払拭する前記ブレードラバーと、
一対の前記ウイング部材の前記把持部及び一対の前記ヨーク部材の前記把持部が前記ブレードラバーを把持することで、前記ブレードラバーを支持する付記7に記載のワイパレバーアッセンブリと、
を備えたワイパブレード(10)。
【符号の説明】
【0047】
10 ワイパブレード、12 ブレードラバー、14 ワイパレバーアッセンブリ、16 レバー(レバー部材)、18 ウイング部材、20 ヨーク部材、30 連結部、32 アーム部、60 把持部、84 把持部、86 連結軸、88 側壁部、92 凸部、96 レバー(レバー部材)、98 窪み、98A 窪みの底、102 レバー(レバー部材)、106 レバー(レバー部材)