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特開2024-124227接合プリント配線板、プリント配線板、および接合プリント配線板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124227
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】接合プリント配線板、プリント配線板、および接合プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20240905BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20240905BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05K1/14 J
H05K3/36 A
H05K3/46 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032236
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】重岡 赳志
【テーマコード(参考)】
5E316
5E344
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB04
5E316BB20
5E316CC10
5E316CC14
5E316CC16
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC39
5E316DD13
5E316EE13
5E316EE32
5E316EE33
5E316FF03
5E316FF04
5E316FF07
5E316FF13
5E316FF14
5E316FF18
5E316GG08
5E316GG15
5E316GG28
5E316HH06
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB10
5E344BB14
5E344BB15
5E344CC09
5E344CD04
5E344DD06
5E344DD14
5E344EE08
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で伝送損失を抑えることができる接合プリント配線板を提供する。
【解決手段】実施形態に係る接合プリント配線板1は、互いに接合されたプリント配線板10,20と、プリント配線板10,20に渡って設けられた導電層を有するシールド部30とを備える。プリント配線板10は、第1の絶縁層と、信号線11と、信号線11の少なくとも一部を埋設するように第1の絶縁層に積層された第2の絶縁層と、プリント配線板10を厚さ方向に見て信号線11を包含するように設けられたグランド層14とを備える。プリント配線板20は、第3の絶縁層と、信号線11と電気的に接続された信号線21とを備える。シールド部30の導電層は、プリント配線板20を厚さ方向に見て信号線21を包含するように設けられた第1の導電部と、第1の導電部と一体でありグランド層14に接合された第2の導電部とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板に接合された第2のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に渡って設けられた導電層を有するシールド部と、
を備える接合プリント配線板であって、
前記第1のプリント配線板は、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する第1の絶縁層と、
前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、
前記第1の主面に対向する第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面とを有し、前記第1の信号線の少なくとも一部を埋設するように前記第1の絶縁層に積層された第2の絶縁層と、
前記第4の主面に、前記第1のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第1の信号線を包含するように設けられたグランド層と、
を備え、
前記第2のプリント配線板は、
前記第1のプリント配線板に接合された第5の主面と、前記第5の主面と反対側の第6の主面とを有する第3の絶縁層と、
前記第1の信号線と電気的に接続された第2の信号線と、
を備え、
前記シールド部の前記導電層は、
前記第2のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように設けられた第1の導電部と、
前記第1の導電部と一体であり、前記グランド層に接合された第2の導電部と、
を含む接合プリント配線板。
【請求項2】
前記第2のプリント配線板は、前記第2の信号線に接続され、無線信号を受信するアンテナが設けられたアンテナ基板であり、
前記第1のプリント配線板は、前記第1の信号線が別の基板に接続されたケーブル基板、または前記アンテナで受信した無線信号を処理する半導体チップが実装されたメイン基板である、請求項1に記載の接合プリント配線板。
【請求項3】
前記第1のプリント配線板の前記第1の絶縁層は、液晶ポリマー、フッ素系材料、ポリイミド系材料、またはシクロオレフィンポリマーからなる第1の絶縁基材を含み、
前記第1のプリント配線板の前記第2の絶縁層は、液晶ポリマー、フッ素系材料、ポリイミド系材料、またはシクロオレフィンポリマーからなる第2の絶縁基材を含み、
前記第2のプリント配線板の前記第3の絶縁層は、ポリイミド系材料、液晶ポリマー、フッ素系材料、エポキシガラス、シクロオレフィンポリマー、セラミックまたはポリフェニレンエーテルからなる第3の絶縁基材を含む、請求項2に記載の接合プリント配線板。
【請求項4】
前記シールド部の前記導電層は、金属箔、導電ペースト層、半田層、等方性導電性接着剤層、または導電性フィルム層を有する、請求項1に記載の接合プリント配線板。
【請求項5】
前記シールド部の前記導電層は、金属箔であり、
前記シールド部は、前記金属箔を前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に接着させるための異方性導電性接着剤層をさらに有する、請求項4に記載の接合プリント配線板。
【請求項6】
前記シールド部の前記導電層は、導電ペースト層であり、
前記シールド部は、前記導電ペースト層を前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に接着させるための等方性導電性接着剤層をさらに有する、請求項4に記載の接合プリント配線板。
【請求項7】
前記シールド部の前記導電層は、導電ペースト層または半田層であり、
前記シールド部は、前記導電ペースト層または前記半田層を前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に接着させるための異方性導電性接着剤層をさらに有する、請求項4に記載の接合プリント配線板。
【請求項8】
前記シールド部の前記導電層は、等方性導電性接着剤層である、請求項4に記載の接合プリント配線板。
【請求項9】
前記シールド部の前記導電層は金属箔であり、
前記シールド部は、
前記第2のプリント配線板に設けられ、前記導電層の前記第1の導電部を前記第2のプリント配線板に接着する第1の絶縁性接着剤層と、
前記第1のプリント配線板に設けられ、前記導電層の前記第2の導電部を前記第1のプリント配線板に接着する第2の絶縁性接着剤層と、
をさらに有し、
前記第2の導電部が前記グランド層と導電材料を介して電気的に接続されている、請求項4に記載の接合プリント配線板。
【請求項10】
前記第1のプリント配線板の前記第2の絶縁層は、前記第1の主面および前記第1の信号線の端部が局所的に露出するように前記第1の絶縁層に積層され、
前記第2のプリント配線板の前記第2の信号線は、前記第5の主面に設けられ、
前記シールド部の前記第1の導電部は、前記第6の主面に接合され、
前記第5の主面は、第2の導電材料を介して前記第1のプリント配線板の前記第1の主面の局所的に露出した部分に接合され、
前記第1の信号線の端部と前記第2の信号線が前記第2の導電材料を介して電気的に接続されている、請求項1~9のいずれかに記載の接合プリント配線板。
【請求項11】
前記第1のプリント配線板は、前記第2の絶縁層を貫通し、前記第1の信号線と、前記第4の主面に設けられたランドを電気的に接続する層間接続部をさらに備え、
前記第2のプリント配線板の前記第5の主面は、前記第1のプリント配線板の前記第4の主面と接合し、
前記第1の信号線と前記第2の信号線が前記層間接続部および前記ランドを介して電気的に接続されている、請求項1~9のいずれかに記載の接合プリント配線板。
【請求項12】
前記第2のプリント配線板の前記第2の信号線は、前記第5の主面に設けられ、
前記シールド部の前記第1の導電部は、前記第6の主面に接合され、
前記層間接続部の前記ランドと前記第2の信号線が第2の導電材料を介して電気的に接続されている、請求項11に記載の接合プリント配線板。
【請求項13】
前記第2のプリント配線板は、前記第3の絶縁層に設けられた、前記第2の信号線と異なる第3の信号線をさらに備え、
前記層間接続部の前記ランドと前記第3の信号線が第3の導電材料を介して電気的に接続されている、請求項12に記載の接合プリント配線板。
【請求項14】
前記第2のプリント配線板の前記第2の信号線は、前記第6の主面に設けられ、
前記第2のプリント配線板は、
前記第2の信号線を被覆する絶縁性保護層と、
前記第3の絶縁層を貫通する貫通孔を充填し、前記第1のプリント配線板の前記ランドおよび前記第2の信号線を電気的に接続する第3の導電材料と、
をさらに備え、
前記シールド部の前記第1の導電部は、前記絶縁性保護層に接合されている、請求項11に記載の接合プリント配線板。
【請求項15】
前記第2のプリント配線板は、前記第5の主面に設けられた第2のグランド層をさらに備え、
前記グランド層と前記第2のグランド層が第2の導電材料を介して電気的に接続されている、請求項14に記載の接合プリント配線板。
【請求項16】
前記第4の主面および前記第5の主面の間に、第3の絶縁性接着剤層と、第2の絶縁性保護層と、第4の絶縁性接着剤層とが、この順で積層されている、請求項11に記載の接合プリント配線板。
【請求項17】
前記第1のプリント配線板および/または前記第2のプリント配線板はフレキシブルプリント配線板である、請求項1~9のいずれかに記載の接合プリント配線板。
【請求項18】
前記第1のプリント配線板は2~5層の回路層を有する、請求項1~9のいずれかに記載の接合プリント配線板。
【請求項19】
前記第2のプリント配線板は1~5層の回路層を有する、請求項1~9のいずれかに記載の接合プリント配線板。
【請求項20】
第1のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板に接合された第2のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に渡って設けられた導電層を有するシールド部と、
を備える接合プリント配線板であって、
前記第1のプリント配線板は、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する第1の絶縁層と、
前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、
前記第1の主面に、前記第1の信号線を挟むように設けられたグランド線と、
を備え、
前記第2のプリント配線板は、
前記第1の主面に接合された第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面とを有する第2の絶縁層と、
前記第3の主面に設けられ、導電材料を介して前記第1の信号線と電気的に接続された第2の信号線と、
を備え、
前記シールド部の前記導電層は、
前記第4の主面に、前記第2のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように設けられた第1の導電部と、
前記第1の導電部と一体であり、前記グランド線に接合された第2の導電部と、
を含む、接合プリント配線板。
【請求項21】
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する第1の絶縁層と、
前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、
前記第1の主面に対向する第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第2の絶縁層であって、前記第1の絶縁層に積層された積層部と、前記積層部から長手方向に延出する延出部とを含む、第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の前記積層部および前記延出部において前記第4の主面に設けられた第2の信号線と、
前記第2の絶縁層の前記積層部において前記第4の主面に、前記第2の信号線と間隔を空けて設けられたグランド層と、
前記第2の絶縁層を貫通し、前記第1の信号線と前記第2の信号線を電気的に接続する層間接続部と、
前記第2の信号線を被覆するように設けられた絶縁性保護層と、
前記第2の絶縁層を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように設けられた第1の導電部と、前記第1の導電部と一体であり、前記グランド層に接合された第2の導電部とを含む導電層を有するシールド部と、
を備えるプリント配線板。
【請求項22】
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する第1の絶縁層と、前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、前記第1の主面に対向する第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面とを有し、前記第1の主面および前記第1の信号線の少なくとも一部を埋設するように前記第1の絶縁層に積層された第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層を厚さ方向に見て前記第1の信号線を包含するように前記第4の主面に設けられたグランド層と、を備える第1のプリント配線板を用意する工程と、
第5の主面と、前記第5の主面と反対側の第6の主面とを有する第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層に設けられた第2の信号線と、を備える第2のプリント配線板を用意する工程と、
導電材料を介して前記第1のプリント配線板と前記第2のプリント配線板を接合する工程であって、前記第1のプリント配線板に前記第2のプリント配線板の前記第5の主面を接合し、前記第1の信号線と前記第2の信号線を電気的に接続する工程と、
第1の導電部と、前記第1の導電部と一体の第2の導電部とを含む導電層を有するシールド部を設ける工程であって、前記第1の導電部を、前記第2のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように前記第2のプリント配線板に接合し、前記第2の導電部を前記グランド層に接合する工程と、
を備える、接合プリント配線板の製造方法。
【請求項23】
前記第1のプリント配線板と前記第2のプリント配線板を接合する工程と、前記シールド部を設ける工程を同時に行う、請求項22に記載の接合プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合プリント配線板、プリント配線板、および接合プリント配線板の製造方法に関し、より詳しくは、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる接合プリント配線板、プリント配線板、および接合プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、スマートフォンなどの情報通信機器の内部において、電波を受信するアンテナ基板、信号を伝送する信号線などが設けられたケーブル基板、および半導体チップが搭載されたメイン基板のいずれにも用いられている。
【0003】
基板のサイズを小型にすることと、5Gなどで用いられる高周波数帯の信号においても高い伝送特性を有することとを両立させるため、アンテナ基板の材料と、ケーブル基板またはメイン基板の材料とは同一でないことが多い。たとえば、アンテナ基板では小型化のために高誘電率の材料(ポリイミドなど)が用いられ、ケーブル基板またはメイン基板では伝送損失を減らすために低誘電率の材料(液晶ポリマーなど)が用いられる。
【0004】
そのため、アンテナ基板と、ケーブル基板またはメイン基板とを、導電材料などを介して接合する必要がある。特許文献1には、材料の異なる2つのプリント配線板が導電材料を介して接合された接合プリント配線板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4685614号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高周波帯の信号を伝送する接合プリント配線板は、マイクロストリップライン構造またはストリップライン構造を有する。これらの構造では、絶縁層を挟んで信号線とグランド層がそれぞれ設けられる。接合プリント配線板において、一方のプリント配線板のグランド層と、他方のプリント配線板のグランド層とが電気的に接続されていない場合、信号線を流れる信号によってグランド層に誘導されるリターン電流が接合部分で遮断され、ノイズが発生し、伝送特性が低下してしまう。特許文献1の接合プリント配線板では、両基板のグランド層が電気的に接続されておらず、リターン電流の遮断により伝送特性が低下する。
【0007】
本発明は、上記技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる接合プリント配線板およびその製造方法を提供することである。ただし、この目的に限られず、後述する各実施形態の構成による各効果に対応する目的を、本発明の目的としてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る接合プリント配線板は、
第1のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板に接合された第2のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に渡って設けられた導電層を有するシールド部と、
を備える接合プリント配線板であって、
前記第1のプリント配線板は、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する第1の絶縁層と、
前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、
前記第1の主面に対向する第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面とを有し、前記第1の信号線の少なくとも一部を埋設するように前記第1の絶縁層に積層された第2の絶縁層と、
前記第4の主面に、前記第1のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第1の信号線を包含するように設けられたグランド層と、
を備え、
前記第2のプリント配線板は、
前記第1のプリント配線板に接合された第5の主面と、前記第5の主面と反対側の第6の主面とを有する第3の絶縁層と、
前記第1の信号線と電気的に接続された第2の信号線と、
を備え、
前記シールド部の前記導電層は、
前記第2のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように設けられた第1の導電部と、
前記第1の導電部と一体であり、前記グランド層に接合された第2の導電部と、
を含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第2のプリント配線板は、前記第2の信号線に接続され、無線信号を受信するアンテナが設けられたアンテナ基板であり、
前記第1のプリント配線板は、前記第1の信号線が別の基板に接続されたケーブル基板、または前記アンテナで受信した無線信号を処理する半導体チップが実装されたメイン基板であるようにしてもよい。
【0010】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第1のプリント配線板の前記第1の絶縁層は、液晶ポリマー、フッ素系材料、ポリイミド系材料、またはシクロオレフィンポリマーからなる第1の絶縁基材を含み、
前記第1のプリント配線板の前記第2の絶縁層は、液晶ポリマー、フッ素系材料、ポリイミド系材料、またはシクロオレフィンポリマーからなる第2の絶縁基材を含み、
前記第2のプリント配線板の前記第3の絶縁層は、ポリイミド系材料、液晶ポリマー、フッ素系材料、エポキシガラス、シクロオレフィンポリマー、セラミックまたはポリフェニレンエーテルからなる第3の絶縁基材を含むようにしてもよい。
【0011】
また、前記接合プリント配線板において、
前記シールド部の前記導電層は、金属箔、導電ペースト層、半田層、等方性導電性接着剤層、または導電性フィルム層を有するようにしてもよい。
【0012】
また、前記接合プリント配線板において、
前記シールド部の前記導電層は、金属箔であり、
前記シールド部は、前記金属箔を前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に接着させるための異方性導電性接着剤層をさらに有するようにしてもよい。
【0013】
また、前記接合プリント配線板において、
前記シールド部の前記導電層は、導電ペースト層であり、
前記シールド部は、前記導電ペースト層を前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に接着させるための等方性導電性接着剤層をさらに有するようにしてもよい。
【0014】
また、前記接合プリント配線板において、
前記シールド部の前記導電層は、導電ペースト層または半田層であり、
前記シールド部は、前記導電ペースト層または前記半田層を前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に接着させるための異方性導電性接着剤層をさらに有するようにしてもよい。
【0015】
また、前記接合プリント配線板において、
前記シールド部の前記導電層は、等方性導電性接着剤層であるようにしてもよい。
【0016】
また、前記接合プリント配線板において、
前記シールド部の前記導電層は金属箔であり、
前記シールド部は、
前記第2のプリント配線板に設けられ、前記導電層の前記第1の導電部を前記第2のプリント配線板に接着する第1の絶縁性接着剤層と、
前記第1のプリント配線板に設けられ、前記導電層の前記第2の導電部を前記第1のプリント配線板に接着する第2の絶縁性接着剤層と、
をさらに有し、
前記第2の導電部が前記グランド層と導電材料を介して電気的に接続されているようにしてもよい。
【0017】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第1のプリント配線板の前記第2の絶縁層は、前記第1の主面および前記第1の信号線の端部が局所的に露出するように前記第1の絶縁層に積層され、
前記第2のプリント配線板の前記第2の信号線は、前記第5の主面に設けられ、
前記シールド部の前記第1の導電部は、前記第6の主面に接合され、
前記第5の主面は、第2の導電材料を介して前記第1のプリント配線板の前記第1の主面の局所的に露出した部分に接合され、
前記第1の信号線の端部と前記第2の信号線が前記第2の導電材料を介して電気的に接続されているようにしてもよい。
【0018】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第1のプリント配線板は、前記第2の絶縁層を貫通し、前記第1の信号線と、前記第4の主面に設けられたランドを電気的に接続する層間接続部をさらに備え、
前記第2のプリント配線板の前記第5の主面は、前記第1のプリント配線板の前記第4の主面と接合し、
前記第1の信号線と前記第2の信号線が前記層間接続部および前記ランドを介して電気的に接続されているようにしてもよい。
【0019】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第2のプリント配線板の前記第2の信号線は、前記第5の主面に設けられ、
前記シールド部の前記第1の導電部は、前記第6の主面に接合され、
前記層間接続部の前記ランドと前記第2の信号線が第2の導電材料を介して電気的に接続されているようにしてもよい。
【0020】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第2のプリント配線板は、前記第3の絶縁層に設けられた、前記第2の信号線と異なる第3の信号線をさらに備え、
前記層間接続部の前記ランドと前記第3の信号線が第3の導電材料を介して電気的に接続されているようにしてもよい。
【0021】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第2のプリント配線板の前記第2の信号線は、前記第6の主面に設けられ、
前記第2のプリント配線板は、
前記第2の信号線を被覆する絶縁性保護層と、
前記第3の絶縁層を貫通する貫通孔を充填し、前記第1のプリント配線板の前記ランドおよび前記第2の信号線を電気的に接続する第3の導電材料と、
をさらに備え、
前記シールド部の前記第1の導電部は、前記絶縁性保護層に接合されているようにしてもよい。
【0022】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第2のプリント配線板は、前記第5の主面に設けられた第2のグランド層をさらに備え、
前記グランド層と前記第2のグランド層が第2の導電材料を介して電気的に接続されているようにしてもよい。
【0023】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第4の主面および前記第5の主面の間に、第3の絶縁性接着剤層と、第2の絶縁性保護層と、第4の絶縁性接着剤層とが、この順で積層されているようにしてもよい。
【0024】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第1のプリント配線板および/または前記第2のプリント配線板はフレキシブルプリント配線板であるようにしてもよい。
【0025】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第1のプリント配線板は2~5層の回路層を有するようにしてもよい。
【0026】
また、前記接合プリント配線板において、
前記第2のプリント配線板は1~5層の回路層を有するようにしてもよい。
【0027】
本発明の第2の態様に係る接合プリント配線板は、
第1のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板に接合された第2のプリント配線板と、
前記第1のプリント配線板および前記第2のプリント配線板に渡って設けられた導電層を有するシールド部と、
を備える接合プリント配線板であって、
前記第1のプリント配線板は、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する第1の絶縁層と、
前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、
前記第1の主面に、前記第1の信号線を挟むように設けられたグランド線と、
を備え、
前記第2のプリント配線板は、
前記第1の主面に接合された第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面とを有する第2の絶縁層と、
前記第3の主面に設けられ、導電材料を介して前記第1の信号線と電気的に接続された第2の信号線と、
を備え、
前記シールド部の前記導電層は、
前記第4の主面に、前記第2のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように設けられた第1の導電部と、
前記第1の導電部と一体であり、前記グランド線に接合された第2の導電部と、
を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明に係るプリント配線板は、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する第1の絶縁層と、
前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、
前記第1の主面に対向する第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第2の絶縁層であって、前記第1の絶縁層に積層された積層部と、前記積層部から長手方向に延出する延出部とを含む、第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の前記積層部および前記延出部において前記第4の主面に設けられた第2の信号線と、
前記第2の絶縁層の前記積層部において前記第4の主面に、前記第2の信号線と間隔を空けて設けられたグランド層と、
前記第2の絶縁層を貫通し、前記第1の信号線と前記第2の信号線を電気的に接続する層間接続部と、
前記第2の信号線を被覆するように設けられた絶縁性保護層と、
前記第2の絶縁層を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように設けられた第1の導電部と、前記第1の導電部と一体であり、前記グランド層に接合された第2の導電部とを含む導電層を有するシールド部と、
を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る接合プリント配線板の製造方法は、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する第1の絶縁層と、前記第1の主面に設けられた第1の信号線と、前記第1の主面に対向する第3の主面と、前記第3の主面と反対側の第4の主面とを有し、前記第1の主面および前記第1の信号線の少なくとも一部を埋設するように前記第1の絶縁層に積層された第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層を厚さ方向に見て前記第1の信号線を包含するように前記第4の主面に設けられたグランド層と、を備える第1のプリント配線板を用意する工程と、
第5の主面と、前記第5の主面と反対側の第6の主面とを有する第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層に設けられた第2の信号線と、を備える第2のプリント配線板を用意する工程と、
導電材料を介して前記第1のプリント配線板と前記第2のプリント配線板を接合する工程であって、前記第1のプリント配線板に前記第2のプリント配線板の前記第5の主面を接合し、前記第1の信号線と前記第2の信号線を電気的に接続する工程と、
第1の導電部と、前記第1の導電部と一体の第2の導電部とを含む導電層を有するシールド部を設ける工程であって、前記第1の導電部を、前記第2のプリント配線板を厚さ方向に見て前記第2の信号線を包含するように前記第2のプリント配線板に接合し、前記第2の導電部を前記グランド層に接合する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0030】
また、前記接合プリント配線板の製造方法において、
前記第1のプリント配線板と前記第2のプリント配線板を接合する工程と、前記シールド部を設ける工程を同時に行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る接合プリント配線板によれば、第1および第2のプリント配線板に渡って設けられた導電層を有するシールド部を備えることにより、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(a)は、第1の実施形態に係る接合プリント配線板の接合前の平面図である。(b)は、第1の実施形態に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図2】第1の実施形態に係る接合プリント配線板のグランド線に沿った縦断面図である。
図3A】第1の実施形態に係る接合プリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3B図3Aに続く、第1の実施形態に係る接合プリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3C図3Bに続く、第1の実施形態に係る接合プリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3D図3Cに続く、第1の実施形態に係る接合プリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図4】(a)は、第1の実施形態の変形例1に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。(b)は、第1の実施形態の変形例2に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図5】(a)は、第1の実施形態の変形例3に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。(b)は、第1の実施形態の変形例4に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図6】第1の実施形態の変形例5に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図7】第2の実施形態に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図8】第2の実施形態の変形例に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図9】第3の実施形態に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図10】第4の実施形態に係る接合プリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
図11】(a)は、第5の実施形態に係る接合プリント配線板の接合前の平面図である。(b)は、第5の実施形態に係る接合プリント配線板のグランド線に沿った縦断面図である。
図12】第6の実施形態に係るプリント配線板の信号線に沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、同等の機能を有する構成要素に同一の符号を付している。
【0034】
なお、各構成要素の縮尺比率は、図面上で認識可能な程度の大きさとするため、適宜に変えている。また、図面は模式的なものであり、各実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0035】
また、以下の説明においては、特に限定しない限り、「接合」には接着剤を介する場合、および直接接触する場合のいずれも含まれるものとする。接着剤を介する場合、導電性もしくは絶縁性、および異方性もしくは等方性についても限定しない。
【0036】
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して、第1の実施形態に係る接合プリント配線板1について説明する。図1(a)は、本実施形態に係る接合プリント配線板1の接合前の平面図である。図1(b)は、本実施形態に係る接合プリント配線板1の信号線11,21に沿った縦断面図である。図2は、本実施形態に係る接合プリント配線板1のグランド線12に沿った縦断面図である。なお、図1(a)において、グランド層14、絶縁性保護層19およびシールド部30は省略している。
【0037】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る接合プリント配線板1は、プリント配線板10と、プリント配線板20と、シールド部30とを備える。
【0038】
本実施形態では、プリント配線板20は、無線信号を受信するアンテナ22が設けられたアンテナ基板である。また、プリント配線板10は、たとえばアンテナ22で受信した無線信号を伝送するためのケーブル基板である。ケーブル基板は、他の基板、たとえば当該無線信号を処理するための半導体チップが実装されたメイン基板などに接続される。なお、プリント配線板10に半導体チップを実装することで、プリント配線板10自体をメイン基板として用いてもよい。
【0039】
プリント配線板10は、信号線11と、グランド線(ガードグランド)12と、グランド層13,14と、絶縁基材15,16と、絶縁性接着剤層17と、絶縁性保護層18,19とを備える。絶縁基材15は、第1の絶縁層の一例である。また、絶縁基材16および絶縁性接着剤層17によって、第2の絶縁層の一例が構成されている。
【0040】
絶縁基材15(第1の絶縁層)は、上面(第1の主面)と、当該上面と反対側の下面(第2の主面)とを有する。信号線11は、絶縁基材15の上面に設けられている。また、絶縁基材15の上面には、一対のグランド線12(ガードグランド)が信号線11を挟むように設けられている。グランド層13は、絶縁基材15の下面に設けられている。グランド層13は、絶縁基材15を厚さ方向に見て信号線11を包含するように設けられている。
【0041】
図2に示すように、グランド線12およびグランド層13は、複数のグランドビア51によって電気的に接続されている。複数のグランドビア51は、信号線11で伝送される信号の周波数、および絶縁基材15の誘電率によって決定された波長(電気長)の1/4以下の間隔で設けられてもよい。本実施形態では、信号の周波数が6GHzであり、絶縁基材15として液晶ポリマー(LCP)を用いることを想定し、グランドビア51の間隔を1.5mmとしている。これにより、信号線11を伝播する信号の伝送特性を向上させることができる。
【0042】
絶縁基材16および絶縁性接着剤層17(第2の絶縁層)は、下面(第3の主面)と、当該下面と反対側の上面(第4の主面)とを有する。本実施形態では、第2の絶縁層の下面は、絶縁性接着剤層17の下面である。また、第2の絶縁層の上面は、絶縁基材16の上面である。
【0043】
絶縁性接着剤層17の下面は、絶縁基材15の上面と対向する。また、絶縁性接着剤層17は、信号線11およびグランド線12の少なくとも一部を埋設するように絶縁基材15に積層されている。本実施形態では、絶縁性接着剤層17は、絶縁基材15の上面と、信号線11およびグランド線12の端部とが局所的に露出するように絶縁基材15に積層されている。
【0044】
なお、絶縁基材15と絶縁基材16が接着剤無しで接合可能な場合、絶縁性接着剤層17は設けられていなくてもよい。この場合、第2の絶縁層の下面は、絶縁基材16の下面である。また、この場合、絶縁基材16は、信号線11およびグランド線12の少なくとも一部を埋設するように絶縁基材15に積層されてもよい。
【0045】
本実施形態では、絶縁基材15,16の材料は、比較的誘電率の低い液晶ポリマー(LCP)である。これに限られず、絶縁基材15,16の材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリエチレンナフタレート(PEN)などであってもよい。あるいは、絶縁基材15,16の材料は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素材等でエポキシガラスを埋設した材料などのフッ素系材料、変性ポリイミド(MPI)、ポリイミド(PI)などのポリイミド系材料、またはシクロオレフィンポリマー(COP)などの低誘電率かつ低誘電正接の材料であってもよい。本実施形態で用いるLCPは、低誘電率かつ低誘電正接の材料に含まれる。絶縁基材15,16の材料として低誘電率かつ低誘電正接の材料を用いることにより、プリント配線板10における伝送特性を向上させることができる。
【0046】
なお、絶縁基材15および絶縁基材16の材料は、同じものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0047】
グランド層14は、絶縁基材16の上面に設けられている。グランド層14は、プリント配線板10を厚さ方向に見て信号線11を包含するように設けられている。また、図2に示すように、グランド線12およびグランド層14は、複数のグランドビア52によって電気的に接続されている。複数のグランドビア52の間隔は、複数のグランドビア51の間隔と同様に定められる。
【0048】
絶縁性保護層18は、グランド層13を被覆するように設けられている。また、絶縁性保護層19は、後述する異方性導電性接着剤層34が接合される部分を除いてグランド層14を被覆するように設けられている。なお、絶縁性保護層18,19には、接続用の開口などが設けられてもよい。
【0049】
本実施形態において、絶縁性保護層18,19はポリイミドフィルムである。なお、絶縁性保護層18,19には、感光性フォトレジストを用いてもよい。後述の絶縁性保護層29も同様である。
【0050】
プリント配線板20は、信号線21と、アンテナ22と、絶縁基材25と、絶縁性保護層29とを備える。絶縁基材25は、第3の絶縁層の一例である。
【0051】
絶縁基材25(第3の絶縁層)は、下面(第5の主面)と、当該下面と反対側の上面(第6の主面)とを有する。本実施形態では、絶縁基材25の材料は、LCPよりも誘電率の高いポリイミド(PI)である。絶縁基材25の材料として高誘電率かつ低誘電正接の材料を用いることで、プリント配線板20をアンテナ基板として用いる場合、より小型のアンテナを提供することができる。なお、絶縁基材25の材料は、フッ素系材料、PI以外のポリイミド系材料、LCP、FR4などのエポキシガラス、またはCOPなどであってもよい。あるいは、絶縁基材25の材料は、セラミックまたはポリフェニレンエーテルなどの高誘電率かつ低誘電正接の材料であってもよい。
【0052】
プリント配線板20は、異方性導電性接着剤41を介してプリント配線板10に接合されている。本実施形態では、プリント配線板20の絶縁基材25の下面は、異方性導電性接着剤41を介してプリント配線板10の絶縁基材15の上面の局所的に露出した部分に接合されている。また、本実施形態では、異方性導電性接着剤41は、異方性導電性フィルム(ACF)である。異方性導電性接着剤41は、第2の導電材料の一例である。
【0053】
なお、異方性導電性接着剤41は、異方性導電性ペースト(ACP)であってもよい。また、異方性導電性接着剤41に代えて、等方性導電性フィルム、等方性導電性ペーストなどの等方性導電性接着剤、またはクリーム半田などの半田などを用いてもよい。等方性導電性接着剤または半田などを用いる場合、非導電性フィルム(NCF)、非導電性ペースト(NCP)、絶縁性接着剤などの絶縁材料を用いて、等方性導電性接着剤または半田間の絶縁を図るようにしてもよい。
【0054】
信号線21は、信号線11と電気的に接続されている。本実施形態では、信号線21は、絶縁基材25の下面に設けられている。また、本実施形態では、信号線11の端部と信号線21の端部が互いに対向し、異方性導電性接着剤41を介して電気的に接続されている。なお、異方性導電性接着剤41に代えて、等方性導電性接着剤、等方性導電ペースト、またはクリーム半田などの半田を用いる場合、信号線11と信号線21は互いに対向せず、平面視で位置がずれていてもよい。あるいは、信号線11と信号線21を直接接触させ、絶縁材料を用いてプリント配線板10,20を接合してもよい。
【0055】
アンテナ22は、たとえば無線信号を受信または送信する。本実施形態では、アンテナ22は、絶縁基材25の下面に設けられ、信号線21と一体に形成され、信号線21と電気的に接続されている。本実施形態では、絶縁基材25として厚さ25μmのPIを用いるため、図1(a)に示すアンテナ22の幅Wは、たとえば16mmであり、長さLは、たとえば13mmである。
【0056】
絶縁性保護層29は、信号線21の一部、およびアンテナ22を被覆するように設けられている。
【0057】
シールド部30は、図1(b)および図2に示すように、プリント配線板10およびプリント配線板20に渡って設けられている。シールド部30は、プリント配線板10およびプリント配線板20に渡って設けられた金属箔31と、異方性導電性接着剤層34と、絶縁性保護層39とを有する。金属箔31は、導電層の一例である。
【0058】
本実施形態では、金属箔31は、絶縁基材25の上面全体およびグランド層14の一部に渡って設けられている。より詳しくは、金属箔31は、絶縁基材25の上面に接合された金属箔31a(第1の導電部)と、プリント配線板20の端部から延出し、グランド層14に接合された金属箔31b(第2の導電部)とを含む。また、本実施形態では、金属箔31は3μmの銅箔である。
【0059】
金属箔31aは、プリント配線板20を厚さ方向に見て信号線21およびアンテナ22を包含するように設けられている。これにより、金属箔31aは、信号線21およびアンテナ22のグランドとして機能する。なお、図1においては、金属箔31aが絶縁基材25の上面の全体に設けられ、プリント配線板20を厚さ方向に見て信号線21およびアンテナ22を包含するように設けられているが、金属箔31aは、プリント配線板20を厚さ方向に見て少なくとも信号線21を包含するように設けられていればよい。
【0060】
金属箔31bは、金属箔31aと一体であり、異方性導電性接着剤層34を介してグランド層14に接合されている。これにより、金属箔31は、グランド層14と電気的に接続されている。
【0061】
異方性導電性接着剤層34は、金属箔31と、プリント配線板10,20との間に設けられ、金属箔31をプリント配線板10,20に接着させる。なお、異方性導電性接着剤層34は、2つ以上の部分に分かれていてもよい。たとえば、異方性導電性接着剤層34は、金属箔31aを絶縁基材25の上面に接合する第1の異方性導電接着剤と、金属箔31bをグランド層14に接合する第2の異方性導電接着剤に分かれていてもよい。
【0062】
絶縁性保護層39は、金属箔31の上に設けられ、金属箔31を被覆する。なお、絶縁性保護層39は設けられていなくてもよい。
【0063】
以上説明した接合プリント配線板1では、シールド部30がプリント配線板10およびプリント配線板20に渡って設けられている。シールド部30の金属箔31は、金属箔31aおよび金属箔31bを有する。金属箔31aは、信号線21のグランドとして機能する。金属箔31bは、金属箔31aと一体であり、プリント配線板10のグランド層14に電気的に接続されている。このように構成されているため、リターン電流は接合部分で遮断されない。たとえば、アンテナ22で無線信号を受信し、その電流が信号線21から信号線11に流れる場合、信号線11を流れる電流によってグランド層14に誘導されるリターン電流は、金属箔31bを介して金属箔31aに流れるため、接合部分で遮断されない。これにより、簡易な構成で信号線11,21を伝播する信号の伝送特性を向上させることができる。
【0064】
<接合プリント配線板の製造方法>
次に、図3A図3Dを参照して、第1の実施形態に係る接合プリント配線板1の製造方法を説明する。図3A図3Dは、本実施形態に係る接合プリント配線板1の製造方法を説明する工程断面図である。
【0065】
図3A(1)に示すように、金属箔110、金属箔120、および絶縁基材130を有する両面金属張積層板100を用意する。金属箔110は、絶縁基材130の上面に設けられ、金属箔120は、絶縁基材130の下面に設けられている。
【0066】
金属箔110,120は、たとえば厚さ12μmの銅箔である。なお、金属箔110,120の材料は、銅に限られず、銀、アルミニウムなどの金属であってもよい。後述する金属箔210,310についても同様である。
【0067】
絶縁基材130は、たとえば厚さ100μmのLCPである。なお、絶縁基材130の材料は、PEEK、PEN、フッ素系材料、ポリイミド系材料、またはCOPなどであってもよい。
【0068】
次に、図3A(2)に示すように、公知のフォトファブリケーション手法を用いて金属箔110,120をパターニングする。これにより、金属箔110がパターニングされ、信号線11およびグランド線12が形成される。また、金属箔120がパターニングされ、グランド層13が形成される。このとき、グランド層13には、コンフォーマルマスク用の開口(図示せず)を形成する。なお、当該開口は別の工程において形成してもよい。
【0069】
次に、図3A(3)に示すように、金属箔210および絶縁基材220を有する片面金属張積層板200を用意する。金属箔210は、絶縁基材220の上面に設けられている。
【0070】
絶縁基材220は、たとえば厚さ50μmのLCPである。なお、絶縁基材220の材料は、PEEK、PEN、フッ素系材料、ポリイミド系材料、またはCOPなどであってもよい。
【0071】
次に、図3A(4)に示すように、公知のフォトファブリケーション手法を用いて金属箔210をパターニングすることにより、グランド層14および金属箔210aを形成する。このとき、グランド層14には、コンフォーマルマスク用の開口(図示せず)を形成する。なお、当該開口は別の工程において形成してもよい。金属箔210aを形成することにより絶縁基材220の端部形状が安定するため、後に絶縁基材220の一部を除去する工程が容易となる。なお、金属箔210aは形成されなくてもよい
また、絶縁基材220の下面に絶縁性接着剤層17を設ける。図3A(4)に示すように、絶縁性接着剤層17は、絶縁基材220の端領域には設けられない。これにより、後のステップにおいて、絶縁基材220の一部を除去しやすくなる。本実施形態では、絶縁性接着剤層17の厚さは50μmである。なお、絶縁性接着剤層17の材料は、低誘電率かつ低誘電正接の材料であってもよい。
【0072】
次に、図3B(1)に示すように、図3A(2)において得られた基材の上に、図3A(4)において得られた基材を積層する。より詳しくは、図3A(2)の基材の信号線11と、図3A(4)の基材の絶縁性接着剤層17とが対向するように位置合わせを行う。このとき、絶縁基材130の上面と、信号線11およびグランド線12の端部とが局所的に露出するように積層する。その後、熱プレスにより加熱、加圧して一体化する。熱プレス工程では、絶縁性接着剤層17のフローティングポイントより高い温度(たとえば170℃)にてプレスする。なお、熱硬化が足りない場合はオーブンキュアによる加熱工程を追加してもよい。
【0073】
次に、図3B(2)に示す点線CLに沿って絶縁基材220を切断することにより、絶縁基材220の一部および金属箔210aを除去する。本実施形態では、絶縁基材220の一部をクランプで裂いて除去する。なお、CO2レーザなどを用いて絶縁基材220を切断、除去してもよい。また、絶縁基材220を切断する代わりに、予め絶縁基材130より短い絶縁基材220を用いてもよい。
【0074】
次に、グランド層13,14に設けられた開口にレーザパルスを照射することにより、絶縁基材130,220にグランドビア51,52(図2参照)を形成するための導通用孔を形成する。より詳しくは、開口周辺の金属箔(グランド層13,14の一部)をコンフォーマルマスクとしてレーザパルスを照射することにより、開口部分の絶縁基材130,220および絶縁性接着剤層17を除去する。本実施形態では、レーザとして炭酸レーザを用いたが、UV-YAGレーザなどを用いてもよい。また、導通用孔の径は、たとえば直径150μmである。導通用孔の底面には、グランド線12が露出する。導通用孔を形成した後、デスミア処理を行ってもよい。
【0075】
次に、当該導通用孔に金属めっきを形成することにより、グランドビア51,52を形成する。本実施形態では、銅めっき処理を行い、銅めっきを形成する。また、本実施形態では、ドライフィルムをグランド層13,14上にラミネートした後、ドライフィルムを露光・現像して導通用孔が形成された部分に開口を形成し、めっき処理を施すボタンめっき法(パターンめっき法)を用いた。なお、ボタンめっき法に代えて、基板全体に金属めっき処理を施すパネルめっき法を用いてもよい。これらの工程により、絶縁基材130,220は前述の絶縁基材15,16となる。なお、金属めっき処理の後、公知のフォトファブリケーション手法によりグランド層13,14をパターニングしてもよい。
【0076】
次に、図3B(3)に示すように、グランド層13に絶縁性保護層18を被覆し、グランド層14に絶縁性保護層19を被覆する。本実施形態では、グランド層13,14にポリイミドフィルムをラミネートしたが、感光性フォトレジストを用いてもよい。このとき、少なくともグランド層14の一部は、後にシールド部との電気的接続のために露出させる。また、露出したグランド層13,14には金めっきなどの表面処理を施してもよい。本実施形態では、金めっき処理を施したが、水性プリフラックスを適用してもよい。
【0077】
以上の工程により、図3B(3)に示すプリント配線板10を得る。
【0078】
次に、図3C(1)に示すように、金属箔310および絶縁基材320を有する片面金属張積層板300を用意する。金属箔310は、絶縁基材320の下面に設けられている。
【0079】
本実施形態では、絶縁基材320は、たとえば厚さ25μmのポリイミドである。なお、絶縁基材320の材料は、フッ素系材料、ポリイミド以外のポリイミド系材料、LCP、エポキシガラス、COP、セラミックまたはポリフェニレンエーテルなどであってもよい。
【0080】
次に、図3C(2)に示すように、公知のフォトファブリケーション手法を用いて、金属箔310をパターニングすることにより、信号線21およびアンテナ22を形成する。なお、本実施形態では絶縁基材320にはビアなどの層間接続部を形成しないため、この段階で絶縁基材25となっている。
【0081】
次に、図3C(3)に示すように、信号線21およびアンテナ22に絶縁性保護層29を被覆する。このとき、少なくとも信号線21の端部は、後に信号線11との電気的接続のために露出させる。本実施形態では、信号線21およびアンテナ22にポリイミドフィルムをラミネートしたが、感光性フォトレジストを用いてもよい。また、露出した信号線21の端部などには金めっきなどの表面処理を施してもよい。本実施形態では、金めっき処理を施したが、水性プリフラックスを適用してもよい。
【0082】
以上の工程により、図3C(3)に示すプリント配線板20を得る。
【0083】
次に、図3D(1)に示すように、異方性導電性接着剤41を介してプリント配線板10とプリント配線板20を接合する。本実施形態では、異方性導電性接着剤41としてACFを用いて、以下の工程によりプリント配線板10とプリント配線板20を接合する。
【0084】
まず、ACFの位置決めをするため、ACFの硬化温度以下の温度で仮接着をする。たとえば、170℃で硬化するエポキシ系材料のACFを用いる場合、加熱温度を100℃として、プリント配線板10の端部に局所的に露出した絶縁基材15の上面および信号線11にACFを仮接着する。なお、ACFを仮接着する場所は、プリント配線板20の絶縁基材25の下面および信号線21であってもよい。
【0085】
次に、プリント配線板10とプリント配線板20の位置合わせを行う。本実施形態ではプリント配線板10,20の外形を基準として位置合わせを行う。なお、プリント配線板10,20に透過材やスルーホールを設け、当該透過材やスルーホールを基準として位置合わせを行ってもよい。
【0086】
次に、温度170℃、圧力4MPaにて本接着工程を行う。
【0087】
以上の工程により、プリント配線板10とプリント配線板20が接合される。
【0088】
本実施形態では、絶縁基材15の上面の局所的に露出した部分に絶縁基材25の下面が接合される。これにより、信号線11と信号線21が電気的に接続される。
【0089】
次に、図3D(2)に示すように、プリント配線板10およびプリント配線板20に渡ってシールド部30を設ける。より詳しくは、金属箔31aを、プリント配線板20を厚さ方向に見て信号線21を包含するように絶縁基材25の上面に接合する。また、金属箔31bを、グランド層14と接合する。本工程では、たとえば、異方性導電性接着剤層34、金属箔31、および絶縁性保護層39が一体となっているものを貼り合わせる。あるいは、異方性導電性接着剤層34を塗布または配置した後、金属箔31および絶縁性保護層39を有するシールド材を貼り合わせる。これにより、金属箔31aは、信号線21およびアンテナ22のグランドとして機能する。金属箔31は、異方性導電性接着剤層34を介してグランド層14と電気的に接続される。
【0090】
以上の工程によって、本実施形態に係る接合プリント配線板1を得る。
【0091】
以上説明したように、第1の実施形態に係る接合プリント配線板1の製造方法によれば、プリント配線板10,20を接合した後にシールド部30を設け、シールド部30の金属箔31(導電層)を信号線21およびアンテナ22のグランド(グランド層)として機能させることとした。これにより、プリント配線板20の出発材料として、片面金属張積層板を用いることができ、接合プリント配線板1を簡易かつ安価に作製することができる。また、たとえば低誘電率かつ透明である材料などの特性の良い材料を用いることができる。
【0092】
なお、上記の製造方法において、プリント配線板10とプリント配線板20を接合する工程と、シールド部30を設ける工程を同時に行ってもよい。より詳しくは、異方性導電性接着剤41、プリント配線板10,20およびシールド部30を位置合わせした後、平板プレスにて接合する。本実施形態の条件においては、たとえば170℃にて60秒のプレスを行う。これにより、工程を短縮でき、接合プリント配線板1をより安価に製造できる。
【0093】
また、第1の実施形態に係る接合プリント配線板1において、シールド部30の金属箔31(導電層)は、グランド層14と電気的に接続されている。これにより、信号線を流れる信号によって一方のプリント配線板のグランド層に誘導されるリターン電流が接合部分で遮断されることなく他方のプリント配線板のグランド層に流れる。これにより、伝送特性を向上させることができる。
【0094】
また、シールド部30の導電層において、第1の導電層と第2の導電層は一体として形成されている。これにより、グランドリターン電流が流れる経路上において、電気的特性が変化する箇所を少なくすることができ、伝送特性をより向上させることができる。
【0095】
さらに、プリント配線板10に低誘電率かつ低誘電正接の材料を適用し、プリント配線板20に高誘電率かつ低誘電正接の材料を適用することができる。このように、プリント配線板10,20に異なる材料を適用することができ、高い伝送特性を有するケーブル基板と省スペースのアンテナ基板を共存させることができる。
【0096】
なお、プリント配線板10は、フレキシブルプリント配線板であってもよいし、リジッドプリント配線板であってもよい。プリント配線板20についても同様である。また、プリント配線板10,20の一方をフレキシブルプリント配線板とし、他方をリジッドプリント配線板とすることにより、リジッドフレックス構造を安価に提供することができる。
【0097】
また、上記の説明において、プリント配線板10は、2層の回路層(信号線、グランド線および/またはグランド層を含む層)を有するとした。これに限られず、プリント配線板10は、任意の数の回路層を有してもよい。また、プリント配線板10は、1~5層の回路層を有してもよい。
【0098】
同様に、上記の説明において、プリント配線板20は、2層の回路層を有するとした。これに限られず、プリント配線板20は、任意の数の回路層を有してもよい。また、プリント配線板20は、1~5層の回路層を有してもよい。いずれの数の回路層を有するプリント配線板20を用いる場合においても、シールド部30によってグランド層が構成されるため、回路層の数を1つ減らすことができる。より詳しくは、プリント配線板20の作製において、通常用いられるものより少ない回路層のものを用いることができる。そのため、接合プリント配線板1をより安価に製造できる。
【0099】
また、上記の説明において、プリント配線板10は、アンテナ基板に接続されるケーブル基板またはメイン基板であるとした。これに限られず、プリント配線板10は、メイン基板同士を接続するケーブル基板であってもよい。この場合、ケーブル基板に設けられた信号線のグランドとして機能するシールド部を設けてもよい。たとえば、当該シールド部は、ケーブル基板を厚さ方向に見てケーブル基板の信号線を包含するような導電層を有する。当該導電層はメイン基板のグランド層と電気的に接続されてもよい。これにより、たとえばコプレーナ配線を用いる場合と比べて信号線の幅をより大きくすることができ、高周波数帯の信号において高い伝送特性を有するケーブル基板を提供することができる。さらに、エッチング工程を省略できるため、ケーブル基板を安価に作製することができる。
【0100】
また、上記の説明において、プリント配線板20は、アンテナ基板であるとした。これに限られず、プリント配線板20は、ケーブル基板またはメイン基板であってもよい。また、プリント配線板10,20がいずれもケーブル基板であってもよい。これにより、長尺のケーブルを作製することができる。さらに、各プリント配線板の長手方向の向きを異なるものとしてもよい。たとえば、プリント配線板10,20は、接合領域において互いの長手方向の向きが直角または他の角度に交わるように接合されてもよい。これにより、複数のプリント配線板を用いた多様な形状のケーブルを作製することができる。
【0101】
また、上記の説明において、プリント配線板10とプリント配線板20は、信号線11,21が延在する方向が平行である場合について説明した。これに限られず、信号線11,21は、絶縁基材15においてプリント配線板10,20の接合領域付近で直角、他の角度、または円弧状に曲がって設けられてもよい。
【0102】
なお、本実施形態の構造は、電源線を有するケーブル基板と、ICを有するメイン基板との接合部分にも適用可能である。この場合、たとえば当該ケーブル基板をプリント配線板10とみなし、当該メイン基板をプリント配線板20とみなして、本実施形態のようにシールド部30を設けることができる。当該ケーブル基板の電源線は、信号線11に代えて、あるいは信号線11とともに設けられてもよい。電源線を有するケーブル基板はICによって引き起こされるIRドロップによって、パワーインテグリティが損なわれる問題がある。そこで、上述したようにシールド部30を設けることで導体層数を増加させる。これにより、ケーブル(PDN:Power Delivery Network)のインピーダンスを小さくすることや、IC直下へのパワーラインの引き回しを安価かつ簡易に実現することができ、パワーインテグリティを向上させることができる。
【0103】
なお、シールド部30の導電層は、金属箔31に限られない。たとえば、導電層は、金属箔、導電ペースト層、半田層(たとえばクリーム半田層)、等方性導電性接着剤層、または導電性フィルム層を有してもよい。ここで、導電性フィルムとは、たとえば透明の樹脂に微細な配線をメッシュ状に形成し、疑似透明材料としたものである。また、シールド部30の異方性導電性接着剤層34に代えて、等方性導電性接着剤層を用いてもよい。あるいは、シールド部30の導電層は、導電ペーストまたは半田を介してグランド層14と接合され、導電性接着剤または絶縁性接着剤を介して絶縁基材25の上面および絶縁性保護層19に接合されてもよい。
【0104】
以下、第1の実施形態とシールド部の構成が異なる例として、第1の実施形態の変形例1~4について説明する。なお、各変形例の説明においては、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と共通の部分についての説明は省略する。
【0105】
(第1の実施形態の変形例1)
図4(a)を参照して、第1の実施形態の変形例1に係る接合プリント配線板について説明する。図4(a)は、本変形例に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。
【0106】
本変形例のシールド部30Aは、第1の実施形態のシールド部30における金属箔31に代えて導電ペースト層32を有し、異方性導電性接着剤層34に代えて等方性導電性接着剤層33を有する。すなわち、図4(a)に示すように、本変形例のシールド部30Aは、導電ペースト層32と、等方性導電性接着剤層33と、絶縁性保護層39とを有する。導電ペースト層32は、導電層の一例である。
【0107】
なお、「等方性導電性接着剤」は、導電性を有する接着剤である導電性接着剤のうち、異方性導電性接着剤を除いたものを意味する。
【0108】
このように、本変形例のシールド部30Aによれば、たとえば第1の実施形態のシールド部30と異なる特性を有するシールド部を構成することができる。
【0109】
(第1の実施形態の変形例2)
図4(b)を参照して、第1の実施形態の変形例2に係る接合プリント配線板について説明する。図4(b)は、本変形例に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。
【0110】
本変形例のシールド部30Bは、第1の実施形態のシールド部30における金属箔31に代えて導電ペースト層32を有する。すなわち、シールド部30Bは、導電ペースト層32と、異方性導電性接着剤層34と、絶縁性保護層39とを有する。なお、導電ペースト層32に代えて、半田層が設けられてもよい。導電ペースト層32または半田層は、導電層の一例である。
【0111】
第1の実施形態のシールド部30、および第1の実施形態の変形例1のシールド部30Aは、たとえば導電層、導電性接着剤層、絶縁性保護層が一体となった既製品を使用する場合である。これに対して、本変形例のシールド部30Bは、たとえば異方性導電性接着剤層34を設けた後、導電ペースト層32または半田層を塗布する工程によって製造される。
【0112】
より詳しくは、まず、異方性導電性接着剤層34を配置し、圧着する。次に、異方性導電性接着剤層34の上にインクジェットまたはスクリーン印刷により、導電ペーストまたは半田を設ける。次に、絶縁性保護層39を配置し、圧着する。以上の工程により、シールド部30Bを設ける。
【0113】
なお、絶縁性保護層39を設ける場合、異方性導電性接着剤層34を配置した後の圧着を省略し、絶縁性保護層39を配置した後の圧着において、異方性導電性接着剤層34と絶縁性保護層39の圧着を同時に行ってもよい。
【0114】
このように、本変形例のシールド部30Aによれば、異なる製造方法によってシールド部を設けることができる。
【0115】
(第1の実施形態の変形例3)
図5(a)を参照して、第1の実施形態の変形例3に係る接合プリント配線板について説明する。図5(a)は、本変形例に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。
【0116】
本変形例において、シールド部30Cは、等方性導電性接着剤層33と、絶縁性保護層39とを有する。等方性導電性接着剤層33は、導電層の一例である。
【0117】
等方性導電性接着剤層33は、絶縁基材25の上面に接合された等方性導電性接着剤層33a(第1の導電部)と、プリント配線板20の端部から延出し、グランド層14に接合された等方性導電性接着剤層33b(第2の導電部)とを含む。
【0118】
等方性導電性接着剤層33aは、プリント配線板20を厚さ方向に見て信号線21およびアンテナ22を包含するように設けられている。これにより、金属箔31aは、信号線21およびアンテナ22のグランドとして機能する。
【0119】
等方性導電性接着剤層33bは、等方性導電性接着剤層33aと一体であり、グランド層14に接合されている。これにより、等方性導電性接着剤層33は、グランド層14と電気的に接続されている。
【0120】
本変形例では、導電層としての等方性導電性接着剤層33がプリント配線板10およびプリント配線板20に直接接着されている。これにより、シールド部の構成をより簡易にすることができる。
【0121】
(第1の実施形態の変形例4)
図5(b)を参照して、第1の実施形態の変形例4に係る接合プリント配線板について説明する。図5(b)は、本変形例に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。
【0122】
本変形例において、シールド部30Dは、金属箔31と、絶縁性接着剤層35aと、絶縁性接着剤層35bとを有する。金属箔31は、導電層の一例である。
【0123】
金属箔31は、絶縁基材25の上面およびグランド層14に渡って設けられている。より詳しくは、金属箔31は、絶縁性接着剤層35aを介して絶縁基材25の上面に接着された金属箔31a(第1の導電部)と、絶縁性接着剤層35bを介して絶縁性保護層19に接着された金属箔31b(第2の導電部)とを含む。絶縁性接着剤層35a,35bは、たとえばNCF、NCP、絶縁性接着剤である。
【0124】
また、金属箔31bの一部は、図中Aの位置おいて導電材料36を介してグランド層14と電気的に接続されている。導電材料36は、たとえば半田、導電ペースト、または導電性接着剤である。
【0125】
なお、金属箔31bの一部は、図中Aの位置おいて導電材料36を介さずグランド層14と直接接触していてもよい。この場合、絶縁性接着剤などを用いて、金属箔31bを上から押さえてもよい。
【0126】
また、金属箔31の上に絶縁性保護層が設けられてもよい。
【0127】
このように、本変形例のシールド部30Dによれば、金属箔を出発材料としてシールド部を構成することができる。
【0128】
(第1の実施形態の変形例5)
図6を参照して、第1の実施形態の変形例5について説明する。本変形例と第1の実施形態との相違点の1つは、プリント配線板10の層数である。図6は、本変形例に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。以下、本実施形態について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と共通の部分についての説明は省略する。
【0129】
本実施形態のプリント配線板10は、第1の実施形態のプリント配線板10に加えて、信号線11Aと、絶縁基材16Aと、絶縁性接着剤層17Aと、信号ビア53とを備える。
【0130】
信号線11Aは、信号線11と異なる層に設けられた信号線であり、絶縁基材15の下面に設けられている。また、信号線11Aは、信号ビア53を介して信号線11と電気的に接続されている。信号ビア53は、絶縁基材15を貫通するように設けられている。なお、一対のグランド線が、絶縁基材15の下面に信号線11Aを挟むように設けられてもよい。また、当該グランド線とグランド層13および/またはグランド線12がグランドビアを介して電気的に接続されてもよい。
【0131】
絶縁性接着剤層17Aは、絶縁基材15の下面に信号線11Aを埋設するように設けられている。絶縁基材16Aは、絶縁性接着剤層17Aの下面に設けられている。なお、絶縁性接着剤層17Aは設けられていなくてもよい。この場合、絶縁基材16Aは、信号線11Aを埋設するように設けられてもよい。
【0132】
絶縁基材16Aの下面には、グランド層13が設けられている。絶縁性保護層18は、グランド層13を被覆するように設けられている。
【0133】
以上説明したように、第1の実施形態の変形例5に係る接合プリント配線板によれば、プリント配線板10として4つの回路層を有する多層基板を用いることができる。これにより、たとえば多層基板とアンテナ基板が一体となった接合プリント配線板において、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる。
【0134】
(第2の実施形態)
図7を参照して第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態との相違点の1つは、たとえばプリント配線板10の端部の形状である。図7は、本実施形態に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。
【0135】
本実施形態では、第1の実施形態と異なり、絶縁基材16および絶縁性接着剤層17(第2の絶縁層)が信号線11およびグランド線12を完全に埋設するように絶縁基材15に積層されている。換言すると、絶縁性接着剤層17は、絶縁基材15の上面と、信号線11およびグランド線12とが露出しないように絶縁基材15に積層されている。
【0136】
そのため、信号線11と信号線21を電気的に接続するために、プリント配線板10は、さらに、信号ビア54を備える。信号ビア54は、絶縁基材16および絶縁性接着剤層17を貫通し、信号線11と、絶縁基材16の上面に設けられたランド55を電気的に接続する。信号ビア54は、層間接続部の一例である。
【0137】
また、絶縁基材25の下面(第5の主面)は、異方性導電性接着剤41を介して絶縁基材16の上面(第4の主面)に接合されている。
【0138】
そして、ランド55と信号線21の端部は、異方性導電性接着剤41を介して電気的に接続されている。
【0139】
第2の実施形態に係る接合プリント配線板によれば、信号線11が端部に露出していない構造において、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる。
【0140】
なお、本実施形態における絶縁基材25の厚さは、第1の実施形態における絶縁基材25よりも薄くてもよい。これにより、接合プリント配線板1全体の厚みを抑えることができる。
【0141】
(第2の実施形態の変形例)
図8を参照して、第2の実施形態の変形例について説明する。本変形例と第2の実施形態との相違点は、プリント配線板10の層数である。図8は、本変形例に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。
【0142】
本実施形態のプリント配線板10は、第1の実施形態のプリント配線板10に加えて、信号線11Aと、絶縁性接着剤層17Aと、絶縁基材16Aと、信号ビア53とを備えて構成されている。
【0143】
なお、信号線11Aと、絶縁性接着剤層17Aと、絶縁基材16Aと、信号ビア53とについては、第1の実施形態の変形例5と同様であるため、説明を省略する。
【0144】
第2の実施形態の変形例に係る接合プリント配線板によれば、プリント配線板10として4つの回路層を有する多層基板を用いることができる。これにより、たとえば信号線11が端部に露出していない多層基板において、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる。
【0145】
次に、プリント配線板20に層間接続部を設ける第3および第4の実施形態について説明する。
【0146】
(第3の実施形態)
図9を参照して、第3の実施形態に係る接合プリント配線板について説明する。図9は、本実施形態に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。以下、本実施形態について、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第2の実施形態と共通の部分についての説明は省略する。
【0147】
本実施形態のプリント配線板20は、信号線21と、グランド層24と、絶縁基材25と、絶縁性保護層28と、導電ペースト61とを備える。導電ペースト61は、第3の導電材料の一例である。
【0148】
信号線21は、絶縁基材25の上面(第6の主面)に設けられている。信号線21は、絶縁性保護層28によって被覆されている。信号線21は、導電ペースト61を介してランド55と電気的に接続されている。なお、信号線21の一部は、アンテナであってもよい。
【0149】
グランド層24は、絶縁基材25の下面(第5の主面)に設けられている。グランド層24は、プリント配線板20を厚さ方向に見て信号線21を包含するように設けられている。グランド層14とグランド層24は、異方性導電性接着剤41を介して電気的に接続されている。
【0150】
本実施形態では、絶縁基材16の上面と、絶縁基材25の下面との間に、絶縁性接着剤層71と、絶縁性保護層73と、絶縁性接着剤層72とが、この順で積層されている。これにより、グランド層14とグランド層24の絶縁性を向上させることができる。
【0151】
図9に示すように、絶縁性接着剤層71、絶縁性保護層73、および絶縁性接着剤層72には、異方性導電性接着剤41および導電ペースト61を充填するための開口がそれぞれ設けられている。
【0152】
絶縁性保護層28は、信号線21を被覆するように設けられている。絶縁性保護層28の材料は、絶縁性保護層29と同様である。
【0153】
導電ペースト61は、絶縁基材25に設けられた貫通孔、絶縁性接着剤層71、絶縁性保護層73、および絶縁性接着剤層72を充填し、信号線21およびランド55を電気的に接続する。
【0154】
導電ペースト61の形成には、たとえば特許第6177639号に記載された方法を用いる。なお、導電ペースト61は、異方性導電性接着剤41の硬化温度に近い温度(たとえば170℃)で合金を形成するものを用いてもよい。これにより、導電ペースト61の形成と、異方性導電性接着剤41による接合を同時に行うことができる。これにより、本実施形態に係る接合プリント配線板をより安価に提供することができる。
【0155】
さらに、導電ペースト61の形成と、異方性導電性接着剤41による接合と、シールド部30の接合とを同時に行ってもよい。これにより、本実施形態に係る接合プリント配線板をさらに安価に提供することができる。導電ペースト61の形成と、異方性導電性接着剤41による接合と、シールド部30の接合とを同時に行う場合、たとえば平板プレスを用いる。
【0156】
シールド部30の金属箔31a(第1の導電部)は、図9に示すように、絶縁性保護層28に接合されている。金属箔31aは、信号線21とともに絶縁性保護層28を挟むように設けられ、信号線21のグランドとして機能する。
【0157】
このように、本実施形態のプリント配線板20は、信号線21、グランド層24、および金属箔31aを有するストリップライン構造を形成することができる。すなわち、プリント配線板20の出発材料として、両面金属張積層板を用いることができ、3層基板を出発材料とする場合と比べてストリップライン構造を安価に提供することができる。
【0158】
また、信号線21をアンテナとして用いることにより、簡易な構成で伝送特性の高いストリップラインアンテナを提供することができる。
【0159】
なお、グランド層24は設けられていなくてもよい。あるいは、後述する第4の実施形態のように、グランド層24に代えて信号線21とは別の信号線、またはアンテナが絶縁基材25の下面に設けられてもよい。
【0160】
また、本実施形態のプリント配線板10は、第2の実施形態と同様の構造であるが、プリント配線板10として、第1の実施形態と同様の構造のものを用いてもよい。
【0161】
(第4の実施形態)
図10を参照して、第4の実施形態に係る接合プリント配線板について説明する。図10は、本実施形態に係る接合プリント配線板の信号線11,21に沿った縦断面図である。以下、本実施形態について、第2および第3の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第2および第3の実施形態と共通の部分についての説明は省略する。
【0162】
本実施形態のプリント配線板20は、信号線21と、信号線21Aと、絶縁基材25とを備える。
【0163】
信号線21は、絶縁基材25の下面(第5の主面)に設けられている。信号線21は、異方性導電性接着剤41を介してランド55と電気的に接続されている。
【0164】
信号線21Aは、絶縁基材25の下面に、信号線21と間隔を空けて設けられている。信号線21Aは、導電ペースト62を介してランド55と電気的に接続されている。なお、信号線21Aは、絶縁基材25の上面など、信号線21と異なる層に設けられてもよい。
【0165】
導電ペースト62は、絶縁性接着剤層71、絶縁性保護層73、絶縁性接着剤層72を充填し、信号線21とランド55を電気的に接続する。導電ペースト62は、第3の導電材料の一例である。
【0166】
導電ペースト62および異方性導電性接着剤41は、信号線21および信号線21Aが互いに異なる電気的特性(たとえば、電流容量)を有する場合に使い分けることができる。たとえば、信号線21および信号線21Aの両方に大きな電流を流さない場合、図9における導電ペースト62に代えて異方性導電接着剤を設けてもよい。
【0167】
また、本実施形態のプリント配線板20は、複数の信号線21,21Aを備える。これにより、たとえばプリント配線板20をアンテナ基板として用いる場合、超広帯域(UWB)アンテナを作製することができる。
【0168】
なお、本実施形態では信号線21,21Aは、同じランド55に電気的に接続されている。これに限られず、信号線21,21Aは、互いに異なるランドに電気的に接続されてもよい。
【0169】
(第5の実施形態)
図11を参照して、第5の実施形態に係る接合プリント配線板1Aについて説明する。図11(a)は、本実施形態に係る接合プリント配線板1Aの接合前の平面図である。図11(b)は、本実施形態に係る接合プリント配線板1Aのグランド線12Aに沿った縦断面図である。なお、図1(a)において、グランド層14、絶縁性保護層19およびシールド部30は省略している。
【0170】
本実施形態は、プリント配線板10が1層の回路層(コプレーナ構造)を有する場合である。以下、本実施形態について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と共通の部分についての説明は省略する。
【0171】
図11に示すように、本実施形態に係るプリント配線板10は、信号線11と、グランド線12と、絶縁基材15と、絶縁性保護層19とを備える。
【0172】
絶縁基材15の上面には、信号線11が設けられている。また、絶縁基材15の上面には、一対のグランド線12Aが、信号線11を挟むように設けられている。
【0173】
信号線11およびグランド線12Aを被覆するように、絶縁性保護層19が設けられている。絶縁性保護層19は、絶縁基材15の上面、信号線11、およびグランド線12Aの端部が露出するように設けられている。また、絶縁性保護層19には、開口19aが設けられ、開口19aの内部には、グランド線12Aが露出している。
【0174】
シールド部30の金属箔31のうち、金属箔31bは、異方性導電性接着剤層34を介して、開口19aの内部に露出したグランド線12Aに接合されている。これにより、金属箔31は、グランド線12Aと電気的に接続されている。
【0175】
このように、第5の実施形態に係る接合プリント配線板1Aによれば、コプレーナ構造を有するプリント配線板10に対しても、シールド部30を設けることにより、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる
【0176】
(第6の実施形態)
図12を参照して、第6の実施形態に係るプリント配線板10Aについて説明する。図12は、本実施形態に係るプリント配線板10Aの信号線11,21に沿った縦断面図である。本実施形態では、第1~第5の実施形態のように2つのプリント配線板を接合する代わりに、プリント配線板10Aの一部の絶縁基材が延出している。
【0177】
プリント配線板10Aは、信号線11,11A,21と、グランド層13,14と、絶縁基材15,16,16Aと、絶縁性保護層18,19,29と、信号ビア54と、シールド部30とを備える。
【0178】
信号線11,11A、グランド層13、絶縁基材15,16A、および絶縁性保護層18,19については、図8に示す第2の実施形態の変形例と同様であるため、説明を省略する。なお、図12において、絶縁性接着剤層17,17Aは省略している。
【0179】
絶縁基材16は、絶縁基材15に積層され、信号線11を埋設する積層部と、積層部から長手方向(右方向)に延出する延出部とを含む。
【0180】
信号線21は、絶縁基材16の積層部および延出部において、絶縁基材16の上面に設けられている。信号線21は、絶縁基材16を貫通するように設けられた信号ビア54を介して、信号線11と電気的に接続されている。信号線21は、アンテナであってもよい。この場合、信号線21のうち絶縁基材16の延出部に設けられた部分は、図1(a)のアンテナ22のような形状であってもよい。
【0181】
グランド層14は、絶縁基材16の積層部において信号線21と間隔を空けて設けられている。
【0182】
絶縁性保護層29は、信号線21と、グランド層14の一部とを被覆するように設けられている。なお、絶縁性保護層29は、絶縁性保護層19と一体であってもよい。
【0183】
シールド部30は、絶縁基材16の積層部および延出部に渡って設けられ、金属箔31と、異方性導電性接着剤層34と、絶縁性保護層39とを有する。
【0184】
金属箔31(導電層)は、絶縁基材16の積層部および延出部に渡って設けられている。より詳しくは、金属箔31は、絶縁性保護層29に接合された金属箔31a(第1の導電部)と、グランド層14に接合された金属箔31b(第2の導電部)とを含む。
【0185】
金属箔31aは、絶縁基材16を厚さ方向に見て信号線21を包含するように設けられている。これにより、金属箔31aは、信号線21のグランドとして機能する。
【0186】
金属箔31bは、金属箔31aと一体であり、異方性導電性接着剤層34を介してグランド層14に接合されている。これにより、金属箔31は、グランド層14と電気的に接続されている。
【0187】
このように、第6の実施形態に係るプリント配線板10Aによれば、シールド部30を設けることにより、2つのプリント配線板を接合させる場合に限られず、簡易な構成で伝送特性を向上させることができる。
【0188】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。たとえば、第2~第6の実施形態において、シールド部30に代えてシールド部30A~30Dを用いてもよい。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0189】
1,1A 接合プリント配線板
10,10A,20 プリント配線板
11,11A,21,21A 信号線
12,12A グランド線
13,14,24 グランド層
15,16,16A,25 絶縁基材
17,17A 絶縁性接着剤層
18,19,28,29 絶縁性保護層
22 アンテナ
30,30A,30B,30C,30D シールド部
31,31a,31b 金属箔
32 導電ペースト層
33,33a,33b 等方性導電性接着剤層
34 異方性導電性接着剤層
35a,35b 絶縁性接着剤層
36 導電材料
39 絶縁性保護層
41 異方性導電性接着剤
51,52 グランドビア
53,54 信号ビア
55 ランド
61,62 導電ペースト
71,72 絶縁性接着剤層
73 絶縁性保護層
100 両面金属張積層板
110,120,210,210a,310 金属箔
130,220,320 絶縁基材
200,300 片面金属張積層板
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12